JP2006238565A - 永久磁石式回転電機、それに用いる永久磁石の製造方法およびその製造方法を用いた永久磁石式回転電機の製造方法 - Google Patents

永久磁石式回転電機、それに用いる永久磁石の製造方法およびその製造方法を用いた永久磁石式回転電機の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 渦電流を低減し、かつ高出力を達成できる永久磁石式回転電機を簡易かつ低コストに実現する。
【解決手段】 永久磁石は、焼結による収縮率が互いに異なる第1および第2の磁石用粉末20,30との混合物を圧縮成形して成る成形体を焼結した焼結体11からなる。成形体において、第1および第2の磁石用粉末20,30は、所定の方向に交互に堆積される。焼結体11は、収縮率が相対的に低い第2の磁石用粉末30の堆積部分にそれぞれ配される複数の間隙部12を含む。永久磁石に生じる渦電流は、間隙部12によって電気的に分断された複数の経路に分割される。その結果、単体の磁石で構成される永久磁石に対して渦電流に対する電気抵抗が高くなり、渦電流が低減される。また、スリットの加工処理が不要となるため、ロータに埋め込まれる永久磁石の占積率の向上および低コスト化を実現できる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、永久磁石式回転電機、それに用いる永久磁石の製造方法およびその製造方法を用いた永久磁石式回転電機の製造方法に関し、特に、渦電流を低減して高出力を達成できる永久磁石式回転電機、それに用いる永久磁石の製造方法およびその製造方法を用いた永久磁石式回転電機の製造方法に関する。
永久磁石式回転電機の回転子(以下、ロータとも称する)においては、例えば図6に示すように、ロータコア50に複数の穴52を設け、この穴52の内部に永久磁石54を挿入配置することによって極が形成される。そして、ロータコア50を取り囲むように配置した固定子(以下、ステータとも称する)60側のコイルに通電して形成された回転磁界に基づいて、ロータが回転駆動される。永久磁石54により所定の極毎の磁界が形成されるため、小型で、高出力が得られる。
ここで、ステータ60のコイルによって発生される磁束は永久磁石54を貫くため、永久磁石54において渦電流が発生する。図7は、図6における永久磁石54に生起する渦電流の電流経路を示す図である。詳細には、図7(A)は、図6のロータコア50の1つの穴52に挿入される永久磁石54の構造を示し、図7(B)は、図7(A)の永久磁石54に生起する渦電流の電流経路を示す。
ロータコア50の1つの穴52に挿入される永久磁石54が図7(A)のように単体の場合には、永久磁石54には、図7(B)の矢印で示すように、磁束密度が比較的高い端部において、単体の磁石全体を電流経路とする経路の広い渦電流が生起される。磁石中に発生した渦電流は、回転電機の小型化、高速化および高出力化に伴い、その発熱および損失の問題が顕著となる。すなわち、発熱は磁石の減磁につながり、回転電機の故障の原因となる。また、渦電流による損失は、回転電機の効率を低下させることとなる。
そこで、永久磁石式回転電機においては、磁石内部に生じる渦電流の低減が重要な課題とされており、従来より渦電流を抑えた永久磁石の構造が多数開示されている(たとえば特許文献1〜7参照)。これらの特許文献に開示される永久磁石の構造は、概して、以下に掲げる2通りに大別される。
図8は、従来の永久磁石式回転電機における永久磁石の第1の構造を示す図である。
図8(A)を参照して、ロータコア50の1つの穴52に挿入される永久磁石56は、回転方向に対して垂直方向(回転軸方向に相当)に配列される複数の永久磁石片560で構成される。すなわち、永久磁石片560は、図8(A)に示す単体の永久磁石54を複数の永久磁石片に分割したものに等しい。以下においては、当該第1の構造に係る永久磁石56を、単に「分割型の永久磁石」とも称する。
なお、隣接する永久磁石片560の間には、電気的絶縁を確保するための絶縁材562が介在する。絶縁材562としては、例えば、絶縁紙、絶縁テープ、エポキシ樹脂等の合成樹脂が用いられる。さらに、個々の永久磁石片560には、図示しない絶縁材でコーティングされる絶縁処理が施されている。
図8(B)は、図8(A)の永久磁石56に生起する渦電流を示す図である。
図8(B)を参照して、渦電流は、個々の永久磁石片560を、矢印で示された電流経路に沿って流れる。すなわち、渦電流の電流経路は、図7(B)に示す単一の経路から、永久磁石56の分割数に応じた複数の経路へと変化することになる。
本構造によれば、渦電流の電流経路は、分割されることによって、渦電流に対する電気抵抗が大きくなり、すなわち渦電流が流れにくくなり、渦電流損失および発熱を低減することができる。
図9は、従来の永久磁石式回転電機における永久磁石の第2の構造を示す図である。
図9(A)を参照して、ロータコア50の1つの穴52に挿入される永久磁石は、単体の永久磁石58で構成される。永久磁石58は、単体ではあるものの、その回転方向の両端部分が、端部から内側に向けて形成された複数のスリット580によって、複数に分割されている点で、図7に示す永久磁石54とは相違する。なお、以下においては、当該第2の構造に係る永久磁石58を、単に「スリット型の永久磁石」とも称する。
図9(B)は、図9(A)の永久磁石58に生起する渦電流を示す図である。
図9(B)から分かるように、渦電流は、比較的磁束密度の高い永久磁石58の端部において、複数の電流経路に分割されて流れる。これにより、渦電流経路の長さの総和は、図7(B)に示す単一の電流経路に対して長くなり、渦電流が低減される。
本構造によれば、本来渦電流が集中する部位にスリット580を設けることにより、実質的に永久磁石を分割したときと同様の効果を得ることができる。さらに、永久磁石58は、組み付け作業などにおいては単体の磁石として扱うことができるため、生産性を高めることができる。
特開2000−228838号公報 特開2002−345189号公報 特開2000−245085号公報 特開平11−98729号公報 特開2000−209797号公報 特開平11−4555号公報 特開平8−340651号公報
ここで、上述した2通りの従来型の永久磁石において、渦電流の発生を効果的に抑制するには、分割された渦電流の電流経路の1つ1つを小さくする必要がある。このため、分割型の永久磁石においては、個々の永久磁石片560が十分小さくなるように、分割数を増やす必要がある。一方、スリット型の永久磁石においては、スリット580の総数を増やす必要がある。
しかしながら、分割型の永久磁石56において、分割数が増加すると、永久磁石片560ごとに施された絶縁材が占める体積が大きくなり、見かけの磁気の強さが低下する。このため、単体の永久磁石54に対して、回転電機の出力トルクが低下してしまうという問題が生じる。
また、スリット型の永久磁石58においても同様に、スリット数が増加すると、永久磁石58の全体積に対してスリット580の占める割合が大きくなり、回転電機の出力トルクを低下させることになる。
さらに、従来の分割型およびスリット型の永久磁石は、その生産性において、以下に述べる理由によって、製造コストの低減に歯止めが掛けられていた。
詳細には、図8に示す分割型の永久磁石については、パーツごとに成形した永久磁石片560を、絶縁材562により電気的に絶縁してから一体の永久磁石に復元する必要があり、この絶縁処理に伴なうコストが低コスト化を阻む要因となっていた。特に、先述した渦電流低減の効果は、永久磁石56の分割数が多いほど渦電流に対する電気抵抗が高くなり、より高い効果を得ることができるが、分割数を増やすことによって、絶縁処理に要するコストも増加してしまうことになる。
一方、図9に示すスリット型の永久磁石については、永久磁石を分割・絶縁する作業が不要となることから、分割型の永久磁石56に対して生産性を高めることができるものの、スリット580によって削られた部分の磁石が単なるロスとなるため、材料歩留まりが悪化する結果となっていた。さらに、スリット580の加工は、永久磁石の強度を損ねないための配慮を必要とするため、製造工程が複雑化され、コストの低減に大きな効果を期待することが困難であった。
それゆえ、この発明のある目的は、渦電流を低減し、かつ高出力を達成できる永久磁石式回転電機、それに用いる永久磁石の製造方法およびその製造方法を用いた永久磁石式回転電機の製造方法を提供することである。
この発明の別の目的は、簡易かつ低コストに渦電流を低減可能な永久磁石式回転電機、それに用いる永久磁石の製造方法およびその製造方法を用いた永久磁石式回転電機の製造方法を提供することである。
この発明のある局面によれば、永久磁石式回転電機であって、ステータと、各々が単一の磁極を構成する複数の永久磁石が埋め込まれ、ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備える。各複数の永久磁石は、焼結による収縮率が互いに異なる第1および第2の磁石用粉末と一体的に圧縮成形して成る成形体を焼結した焼結体からなる。焼結体は、収縮率が相対的に低い第2の磁石用粉末の堆積部分に配される間隙部を含む。
好ましくは、第2の磁石用粉末は、成形体の端面の近傍に堆積される。
好ましくは、間隙部は、焼結体において、ロータの回転軸方向、回転方向および半径方向の少なくとも1方向の端面に配される。
好ましくは、焼結体は、一対となって、ロータの回転軸に向かって凸となる略V字形状に配置され、間隙部は、一対の焼結体の各々において、ステータに接近する側の端面に配される。
この発明の別の局面によれば、永久磁石式回転電機であって、ステータと、各々が単一の磁極を構成する複数の永久磁石が埋め込まれ、ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備える。各複数の永久磁石は、磁石用粉末を圧縮成形して成る成形体を焼結した焼結体からなる。焼結体は、端面に配される亀裂を含む。
この発明の別の局面によれば、永久磁石式回転電機のロータに設置され、各々が単一の磁極を構成する永久磁石を製造する方法であって、焼結による収縮率が互いに異なる第1および第2の磁石用粉末を所定の方向に交互に堆積して混合物を形成する工程と、混合物を圧縮成形して成形体を形成する工程と、形成された成形体を焼結する工程とを備える。
好ましくは、混合物を形成する工程は、収縮率が相対的に低い第2の磁石用粉末を所定の方向と垂直な方向の少なくとも一方の端面の近傍に堆積する工程を含む。
好ましくは、所定の方向は、ロータの回転軸方向、回転方向および半径方向のいずれかである。
この発明の別の局面によれば、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の永久磁石製造方法を用いて永久磁石式回転電機を製造する。
この発明によれば、焼結による収縮率が互いに異なる第1および第2の磁石用粉末からなる成形体を焼結することにより、第2の磁石用粉末の堆積部分には焼結後において自動的に間隙部が形成される。その結果、従来の分割型の永久磁石およびスリット型の永久磁石に対して、より簡易な磁石構造によって渦電流を低減でき、永久磁石式回転電機の低コスト化を実現することができる。
さらに、第2の磁石用粉末を、成形体の所定の方向と垂直な方向の少なくとも一方の端面の近傍に堆積することで、磁束密度が比較的高い端面に生起する渦電流の電流経路が分断され、渦電流を低減することができる。
また、この発明によれば、間隙部は、第2の永久磁石用粉末の堆積部分に生じる複数の亀裂によって構成されることから、従来の分割型およびスリット型の永久磁石に対して、ロータに埋め込まれる永久磁石の占積率が高められる。その結果、回転電機の出力トルクが増加され、永久磁石式回転電機の高効率化を図ることができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
図1は、この発明の実施の形態に従う永久磁石式回転電機における永久磁石の製造工程を示す図である。
本実施の形態において、ロータコアの1つの穴に挿入される永久磁石は、単体の永久磁石の端部に複数のスリットを所定の方向に配列して成る、スリット型の磁石構造を基本構造とする。なお、所定の方向は、例えばロータの回転軸方向、回転方向および半径方向のいずれかとする。
詳細には、図1(1)を参照して、最初に、第1の磁石用粉末20および第2の磁石用粉末30の混合物が形成される。混合物は、金型となるダイ100に第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30とを交互に層状に堆積させて形成される。
ここで、この発明によれば、永久磁石は、焼結による収縮率が互いに異なる2種類の磁石用粉末により構成される。通常、磁石用粉末を圧縮成形して成る成形体は、その後の焼結過程において大きく収縮する性質を持つ。なお、焼結による収縮率としては、例えば磁場方向に約20〜30%、その他の方向に約10%程度とされる。上記の2種類の磁石用粉末において、第1の磁石用粉末20は、焼結による収縮率が相対的に低い磁石用粉末が適用される。また、第2の磁石用粉末30は、焼結による収縮率が相対的に高い磁石用粉末が適用される。なお、第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30との収縮率の差は、例えば磁石用粉末の成分配合比を変えることによって実現される。また、第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30とは、収縮率以外の特性(例えば磁気特性など)については略同等の特性を有する。
そして、混合物の形成工程において、収縮率の相対的に高い第2の磁石用粉末30は、図1(1)に示すように、所定の方向と垂直な方向の端面の近傍に堆積される。より具体的には、第1の磁石用粉末20がダイ100の底部に対して一様に堆積されると、次に、第2の磁石用粉末30が第1の磁石用粉末20の上部であって、かつ所定の方向と垂直な方向の両端部分に、局所的に堆積される。続いて、再び第1の磁石用粉末20が第2の磁石用粉末30の上部に一様に堆積される。これを所望の回数繰り返すことによって、図1(2)に示すように、第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30とからなる混合物が形成される。
次に、図1(2)を参照して、混合物は、ダイ100の上方からパンチ110によって垂直方向に加圧される。これにより、略直方体の形状からなる磁石用粉末の成形体が形成される。
そして、磁石用粉末の成形体には、焼結処理が施される。このようにして、図1(3)に示す構造の一体の焼結体11が形成される。さらに、この焼結体11が着磁されることにより、一体の永久磁石が完成する。
図1(3)を参照して、焼結体11には、所定の方向と垂直な方向の端面の各々において、所定の方向に配列された複数の間隙部12が形成される。このとき、複数の間隙部12の各々は、上記(2)の成形体において第2の磁石用粉末30が堆積される位置と対応した位置に形成される。以下に、間隙部12の詳細な構造について示す。
図2は、図1の焼結体11に形成される間隙部12の構造を説明するための図である。なお、図2は、図1(3)の焼結体11のうち、領域RGNで囲まれた部分を拡大して示したものである。
図2を参照して、間隙部12は、第2の磁石用粉末30の堆積部分において、焼結体11の端部から内方に入り込むように生じた亀裂に相当する。この亀裂は、第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30との焼結による収縮率の違いによって生じたものである。すなわち、第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30との接合部分は、焼結時の収縮率に不整合が存在するため、一様に収縮されずに亀裂が生じる。なお、この亀裂は、図2のように、第2の磁石用粉末30の堆積部分の内部に生じる以外に、第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30との界面に生じる場合もある。本実施の形態では、これらの亀裂の発生する箇所を、概して第2の磁石用粉末30の堆積部分と称する。
そして、この亀裂は、第2の磁石用粉末30の堆積部分の各々について生じることから、結果として、焼結体11には、所定の方向と垂直な方向の端面に複数の亀裂が形成されることとなる。これは、焼結体11の所定の方向と垂直な方向の端面を複数に分割することに等しい。
したがって、本実施の形態によれば、従来のスリット型の永久磁石(図9参照)と実質的に等価な磁石構造の永久磁石が形成される。すなわち、間隙部12は、図9のスリット580と同様に、永久磁石の端部を複数に分割して電気的絶縁を確保する機能を有する。そして、この形成された永久磁石を、図示しないロータの内部に埋め込んだ回転電機において、図示しないステータコイルからの磁束が永久磁石を貫くと、磁石内部には、図3に示すような渦電流が生じる。
図3は、本実施の形態に係る永久磁石に生起する渦電流を示す図である。
図3を参照して、図示しないステータコイルからの磁束が、紙面に対して垂直方向に永久磁石10を貫くと、アンペールの法則に従って、永久磁石10の内部には渦電流が生起する。このとき、渦電流は、永久磁石10の内部を、矢印で示す複数の電流経路に沿って流れる。電流経路は、比較的磁束密度が高い、永久磁石10の端部に形成される。
すなわち、渦電流の電流経路は、上述した間隙部12によって電気的に分断され、各々が隣り合う間隙部12の間を流れる複数の経路に分割される。これにより、永久磁石を単体の磁石で構成したときよりも、渦電流に対する電気抵抗が高くなるため、渦電流を低減することができる。渦電流が低減されることによって、渦電流による損失および発熱が抑えられ、減磁および回転電機の損傷を回避することができる。
以上のように、この発明による永久磁石10は、渦電流の電流経路が複数に分割される点において、上述した従来の分割型の磁石(図8参照)およびスリット型の磁石(図9参照)と実質的に同じである。すなわち、この発明および従来のいずれの磁石構造においても、渦電流の低減という同様の効果を得ることができる。
一方、この発明は、かかる効果をより簡易な磁石構造で低コストに実現できるという点において、従来の磁石構造に対してより有利な効果を奏する。
さらに、この発明による磁石構造を備えた回転電機は、その性能において、従来の永久磁石式回転電機に対して、より大きなトルクを出力できるという有利な効果を奏する。
以下に、これらの生産面および性能面における有利な効果について詳述する。
最初に、生産面における第1の効果として、この発明による永久磁石10は、図8に示す分割型の永久磁石56に対して、個々の永久磁石片560に施されていた電気的絶縁のための処理を省略することができる。具体的には、隣接する永久磁石片560の間に設けられる絶縁材562が不要となる。また、永久磁石片560の各々を絶縁材でコーティングするなどの絶縁処理が不要となる。これにより、簡易かつ低コストに永久磁石式回転電機を形成することが可能となる。
これは、この発明による永久磁石10は、第2の磁石用粉末30の堆積部分に形成された間隙部12により、渦電流が集中する永久磁石10の端部の電気的絶縁が十分に確保されることによる。
次に、生産面における第2の効果として、この発明による永久磁石10は、図9に示すスリット型の永久磁石58に対して、見かけ上の構造は類似するものの、スリット580を持たないため、これを加工するための処理を省略することができる。
スリット580は、上述したように、永久磁石58の端部を複数に分割して電気的絶縁を確保する機能を有し、分割数が多いほど、すなわちスリット580の数が多いほど、過電流をより低減することができる。
しかしながら、スリット580の数が増えると、これに応じて、永久磁石58には、スリット部分に相当する磁石のロスが多くなり、材料歩留まりを悪化させることになる。さらに、永久磁石58の強度が低下してしまい、損傷する危険性が生じる。
これに対して、この発明による永久磁石10は、焼結による収縮率の異なる2種類の磁石用粉末20,30からなる成形体を焼結したときに生じる亀裂(間隙部12に相当)がこのスリット580と同等の機能を果たすことから、複雑な加工処理を伴なわず、より簡易かつ低コストに渦電流を低減することができる。
また、この発明によれば、間隙部12の深さ(所定の方向に対して垂直方向の距離に相当)は、図1(1)の混合物の形成工程において、第2の磁石用粉末30の堆積する量を変更することで、容易に調整することができる。間隙部12の深さは、深くすればするほど、渦電流の経路を確実に分断できる一方で、永久磁石10の強度を低下させる要因となることから、その最適化が求められる。この発明によれば、第2の磁石用粉末30を堆積する量の調整という簡易な処理で、この間隙部12の深さを容易に最適化することができる。これは、スリット580の加工処理においてその深さを最適化するスリット型の永久磁石58に対して、製造工程の簡素化およびコストの低減に有効である。
最後に、回転電機の性能面における効果として、ロータコアの1つの穴を占める磁石の占積率が従来の磁石構造に対して高いことから、より大きなトルク出力を得ることができる。
詳細には、図8に示す分割型の永久磁石56においては、上述したように、分割数を増やすに伴なって、永久磁石片560に介在する絶縁材562の占める体積が大きくなり、所望のトルク出力を得ることが困難となる。
また、図9に示すスリット型の永久磁石58においては、スリット580の加工は、通常、所定の幅の刃物を永久磁石58の端面に垂直に挿入させて行なわれることから、スリット580の開口幅が、用いられる刃物の幅によって一義的に決まり、刃物の幅以下の寸法とすることができない。このため、1つの穴を占める永久磁石の割合(占積率)が低くなり、すなわち、永久磁石の磁力が見かけ上弱くなり、トルクを低下させることになる。
これに対して、この発明による永久磁石10によれば、図1(3)の焼結工程によって焼結体11に生じる間隙部12は、第1の磁石用粉末20と第2の磁石用粉末30との接合部分に生じた亀裂であることから、その開口幅は、スリット580に対して限りなく小さくすることができる。
したがって、焼結工程後の永久磁石10は、同じ体積中を占める永久磁石の占積率が、従来の分割型およびスリット型の永久磁石56,58に対して増加する。これにより、この発明による永久磁石式回転電機は、より大きいトルクを出力することができる。
以上のように、この発明による永久磁石は、従来の永久磁石に対して、渦電流を簡易かつ低コストに低減することができるとともに、出力トルクを向上させることができる。
なお、この発明による永久磁石10は、図3に示す構造に限らず、以下に掲げる構造によっても構成することができる。
図4は、この発明の実施の形態による永久磁石の変更例を示す図である。
図4を参照して、本変更例に係る永久磁石は、ロータコア50において、ロータの内側に向かって凸となるV字型に配置した一対の永久磁石10Aから構成される。
これにより、ロータコア50の外周から比較的距離のある磁極中心部(V字型の谷部に相当)は、ステータコイルからの磁界の影響が比較的小さく、発生する渦電流量も小さくなる。
一方、ロータコア50の外周に近い部位(V字型の両端部に相当)では、逆にステータコイルからの磁界の影響が大きく、そのときの永久磁石10Aの内部での磁束密度の変化も大きくなる。
そこで、本変更例では、永久磁石10Aは、最もロータコア50の外周に接近する端部(図中の点線で囲まれた領域RGN2に相当)に、複数の間隙部が配設されることを特徴とする。
図5は、本変更例による永久磁石10Aの構造を示す図である。
図5を参照して、永久磁石10Aは、所定の方向と垂直な方向の端面のうち、ロータコア50の外周に接近する一方端面において、複数の間隙部12Aを有する。なお、間隙部12Aは、図1〜図3にて示した間隙部12と同一の形状からなる。また、間隙部12Aは、図1(1)の混合物の形成工程において、第2の磁石用粉末30を所定の方向と垂直な方向の一方端面の近傍にのみ堆積することによって、容易に形成することができる。
永久磁石10Aにおいて、生起した渦電流は、ロータコア50の外周に接近する端部に集中することになるが、端部に形成された間隙部12Aによって電流経路が複数に分断されるため、渦電流が流れにくくなり、これに伴なう損失および発熱を抑制することができる。
以上のように、この発明の実施の形態によれば、永久磁石は、焼結による収縮率の異なる2種類の磁石用粉末が交互に堆積されて成る成形体を形成することによって、この成形体を焼結したときに形成される間隙部が従来のスリット型の永久磁石におけるスリットと実質的に等価となり、渦電流を低減することが可能となる。
また、この間隙部によって永久磁石の端部の電気的絶縁が確保されるために、従来行なわれていた永久磁石片を覆う絶縁材やスリットの形成が不要となることから、永久磁石の占積率が高められ、回転電機のトルク出力の向上を図ることができる。
さらに、この発明によれば、間隙部は、焼結工程を経ることによって自動的に形成されることから、永久磁石にスリットを加工するための処理や絶縁処理が不要となり、より簡易かつ低コストに渦電流による損失および発熱を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、ロータ内に永久磁石を配置した永久磁石式回転電機に適用することができる。
この発明の実施の形態に従う永久磁石式回転電機における永久磁石の製造工程を示す図である。 図1の焼結体に形成される間隙部の構造を説明するための図である。 図1に示す永久磁石に生起する渦電流を示す図である。 この発明の実施の形態による永久磁石の変更例を示す図である。 本変更例による永久磁石の構造を示す図である。 従来の永久磁石式回転電機の要部構成を示す図である。 図6における永久磁石に生起する渦電流の電流経路を示す図である。 従来の永久磁石式回転電機における永久磁石の第1の構造を示す図である。 従来の永久磁石式回転電機における永久磁石の第2の構造を示す図である。
符号の説明
10,10A,54,56,58 永久磁石、11 焼結体、12,12A 間隙部、20 第1の磁石用粉末、30 第2の磁石用粉末、50 ロータコア、52 穴、60 ステータ、100 ダイ、110 パンチ、560 永久磁石片、562 絶縁材、580 スリット。

Claims (9)

  1. ステータと、
    各々が単一の磁極を構成する複数の永久磁石が埋め込まれ、前記ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備え、
    各前記複数の永久磁石は、焼結による収縮率が互いに異なる第1および第2の磁石用粉末と一体的に圧縮成形して成る成形体を焼結した焼結体からなり、
    前記焼結体は、前記収縮率が相対的に低い前記第2の磁石用粉末の堆積部分に配される間隙部を含む、永久磁石式回転電機。
  2. 前記第2の磁石用粉末は、前記成形体の端面の近傍に堆積される、請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
  3. 前記間隙部は、前記焼結体において、前記ロータの回転軸方向、回転方向および半径方向の少なくとも1方向の端面に配される、請求項2に記載の永久磁石式回転電機。
  4. 前記焼結体は、一対となって、前記ロータの回転軸に向かって凸となる略V字形状に配置され、
    前記間隙部は、一対の前記焼結体の各々において、前記ステータに接近する側の端面に配される、請求項2に記載の永久磁石式回転電機。
  5. ステータと、
    各々が単一の磁極を構成する複数の永久磁石が埋め込まれ、前記ステータに対して回転自在に設けられたロータとを備え、
    各前記複数の永久磁石は、磁石用粉末を圧縮成形して成る成形体を焼結した焼結体からなり、
    前記焼結体は、端面に配される亀裂を含む、永久磁石式回転電機。
  6. 永久磁石式回転電機のロータに設置され、各々が単一の磁極を構成する永久磁石を製造する方法であって、
    焼結による収縮率が互いに異なる第1および第2の磁石用粉末を所定の方向に交互に堆積して混合物を形成する工程と、
    前記混合物を圧縮成形して成形体を形成する工程と、
    形成された前記成形体を焼結する工程とを備える、永久磁石製造方法。
  7. 前記混合物を形成する工程は、前記収縮率が相対的に低い第2の磁石用粉末を前記所定の方向と垂直な方向の少なくとも一方の端面の近傍に堆積する工程を含む、請求項6に記載の永久磁石製造方法。
  8. 前記所定の方向は、前記ロータの回転軸方向、回転方向および半径方向のいずれかである、請求項6または請求項7に記載の永久磁石製造方法。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の永久磁石製造方法を用いて永久磁石式回転電機を製造する、永久磁石式回転電機の製造方法。
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