JP2006238526A - 電力系統の脱調分離方法及び装置 - Google Patents

電力系統の脱調分離方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】系統構成や脱調モードの制約を受けることなく、早期に系統分離を実施することにある。
【解決手段】同期する複数の発電機が送電線により連系してなる電力系統内の予め定められた電気所の母線電圧位相角を系統情報入手部2により時々刻々と測定して電力系統の広域の位相情報を入手し、これらの位相情報から各電気所間の位相角差を位相角差演算部3により算出し、脱調モード判定部4により各位相角差と予め設定したしきい値とをそれぞれ比較し、しきい値を超過する位相角差がある場合には脱調発生と判定し、その後一定時間、前記位相情報の入手、各電気所間の位相角差の算出及び各位相角差としきい値との比較処理を繰返し行った後、しきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出し、この抽出された脱調発電機群の組合せから脱調モードを推定して系統分離点選定部5により最適な系統分離を実施する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、送電線の故障などの外乱により一部の発電機に脱調現象が発生したとき、脱調現象が他の発電機に波及することを防止するため、系統分離を実施する電力系統の脱調分離方法及び装置に関する。
系統分離により脱調現象の拡大を防止するシステムとしては、脱調分離リレーや系統安定化装置がある。
前者の脱調分離リレーは、電力系統内の送電線毎に設置され、監視対象とする送電線に脱調ローカスが入ったかどうかを監視し、脱調ローカスが入った場合には、監視対象の送電線を遮断することにより脱調現象の波及を防止している。
ここで、脱調ローカスが入った状態とは、2台の発電機が送電線を介して結ばれている単純2機系統で説明すると、脱調が進展し発電機間の位相角差が拡大して、180度になり、送電線の中間点で電圧が零となる状態を言う。
一方、後者の系統安定化装置としては、次のようなシステムのものがある(例えば、非特許文献1)。
このシステムは、対象系統に発生する特定の一つの脱調モードを対象とし、対象系統を2台の発電機からなるモデル(2機系統モデル、脱調する発電機を含む分離系統とその影響を受ける健全系統)として考え、それぞれを代表する電気所の母線電圧位相を時々刻々と計測すると共に、両者間の位相角差を算出し、その位相角差が予め設定したしきい値を超過する場合、脱調発生と判定し、予め設定した一ヶ所固定の系統分離を実施して脱調現象の波及を防止する。
電気学会電力技術研究会資料、「基幹系統安定化リレーシステムの開発・実用化」,PE−89−51,P161−170,(1989)
前述した脱調分離リレーにおいては、対象系統において、複数の脱調モードが発生する場合や、脱調現象が複雑で脱調ローカスが入る送電線が多岐にわたる場合などは、複数の送電線にそれぞれ脱調分離リレーを設置する必要がある。更に、対象系統がループ系統であると、脱調モードによっては脱調ローカスが多数の送電線に入り、次々と脱調分離リレーが動作して結果的に電力系統が細分化され、運転継続できない状況になることがある。また、脱調ローカスが入ったことを検出する、つまり、送電線両端の位相角差が180度以上の状態で送電線の遮断を行うため、電力系統全体で見ると脱調はかなり進展した状態になっており、できればこれより早期に系統分離を実施した方が安定化効果は高くなる。
系統安定化装置の場合には、特定の一つの脱調モード(脱調現象)を対象とし、2機系統モデル(脱調する系統と健全な系統)での脱調判定であるため、複数の脱調モードが発生する電力系統には適用できない。
本発明は、上記のような課題を解決するため、電力系統の広域の複数地点の位相角を用いて各地点間の位相角差を求め、この位相角差から脱調発電機群の抽出と発生した脱調モードの推定を行い、その推定結果から、発生した脱調モードに適した系統分離を実施することにより、系統構成や脱調モードの数に制約を受けることなく、且つ早期に系統分離を実施することができる電力系統の脱調分離方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、次のような方法及び装置により電力系統の脱調分離を実施する。
請求項1に対応する発明は、同期する複数の発電機が送電線により連系してなる電力系統の送電線故障などの外乱により一部の発電機が脱調したとき、この脱調現象が他の発電機に波及しないように系統分離を行う電力系統の脱調分離方法において、電力系統内の予め定められた電気所の母線電圧位相角を時々刻々と測定して電力系統の広域の位相情報を入手し、これらの位相情報から各電気所間の位相角差を算出して、各位相角差と予め設定したしきい値とをそれぞれ比較し、しきい値を超過する位相角差がある場合には脱調発生と判定し、その後一定時間、前記位相情報の入手、各電気所間の位相角差の算出及び各位相角差としきい値との比較処理を繰返し行った後、しきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出し、この抽出された脱調発電機群の組合せから脱調モードを推定して最適な系統分離を実施する。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の電力系統の脱調分離方法において、前記脱調発生の判定と脱調発電機群の抽出を行う際に、予め設定した第1のしきい値と各位相角差とを比較し、第1のしきい値を超過する位相角差がある場合には脱調発生と判定し、次に前記第1のしきい値よりも小さく設定した第2のしきい値と各位相角差とを比較して、第1又は第2のしきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出する。
請求項3に対応する発明は、請求項1又は請求項2に対応する発明の電力系統の脱調分離方法において、脱調発生を判定する際に、時々刻々と算出された位相角差を記憶し、この記憶した位相角差を用いて将来時点の位相角差を予測し、その位相角差予測値を用いて脱調発電機群の抽出を行う。
請求項4に対応する本発明は、同期する複数の発電機が送電線により連系してなる電力系統の送電線故障などの外乱により一部の発電機が脱調したとき、この脱調現象が他の発電機に波及しないように系統分離を行う電力系統の脱調分離装置において、電力系統内の予め定められた電気所の母線電圧位相角を時々刻々と測定して電力系統の広域の位相情報を入手する位相情報入手手段と、この位相情報入手手段により入手された各電気所間の位相角差を算出する位相角差演算手段と、この位相角差演算手段により算出された各位相角差と予め設定したしきい値とをそれぞれ比較して、しきい値を超過する位相角差がある場合には脱調発生と判定し、その後一定時間経過すると、それまでにしきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出して、その脱調発電機群の組合せから脱調モードを推定する脱調モード判定手段と、この脱調モード判定手段により推定された脱調モードをもとに系統分離を実施する系統分離手段とを備える。
請求項5に対応する発明は、請求項1に対応する発明の電力系統の脱調分離装置において、前記脱調モード判定手段は、第1のしきい値とこのしきい値より小さな第2のしきい値を有し、第1のしきい値と各位相角差とを比較して第1のしきい値を超過する場合は脱調発生と判定し、次に第2のしきい値と各位相角差とを比較して、第1又は第2のしきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出する。
請求項6に対応する本発明は、請求項1又は請求項2記載の電力系統の脱調分離装置において、前記位相角差演算手段により時々刻々と算出された位相角差を記憶し、この記憶した位相角差を用いて将来時点の位相角差を予測してその予測値を前記脱調モード判定手段に与える位相角差予測手段を設ける。
本発明による電力系統の脱調分離方法及び装置は、複数の脱調モードを対象にでき、また脱調モードに応じた系統分離が行える。また、広域位相情報を用いることにより脱調分離リレーに比べて早期の脱調検出と系統分離が行え、安定化効果の向上が図れる。更に、系統分離点の選定条件に周波数条件や電圧条件を加えることにより、周波数と電圧を考慮した系統分離を行えるので、系統分離後の主系統及び分離系統の安定運転維持能力が向上する。
以下本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す電力系統の脱調分離装置の構成説明図である。
まず、本発明が適用される電力系統の概略構成について述べると、103は広範囲に分散して存在する複数の発電所で、各発電所の発電機101から出力される電力が送電線104により相互に連系された複数の電気所(変電所又は開閉所)102に送電され、さらに各電気所102より負荷105に電力が供給される電力系統100が形成されている。
本実施形態では、このような電力系統100全体を監視する中央監視所に脱調分離装置1を設置し、送電線104の事故によりいずれかの発電機101に脱調現象が発生した場合、その発電機に繋がる送電線を他の健全な送電線から分離するものである。
この脱調分離装置1は、系統情報入手部2、位相角差演算部3、脱調モード判定部4、系統分離点選定部5及び制御出力部6から構成されている。
上記系統情報入手部2は、図示するように電力系統内の予め決められた電気所で検出され、且つ通信系を介して伝送される母線電圧位相を時々刻々と取込んで測定する。
位相角演算部3は、系統情報入手部2で測定された母線電圧位相を用いて各電気所間の位相角差を算出する。
脱調モード判定部4は、位相角差演算部3により算出された各位相角差と予め設定したしきい値とをそれぞれ比較し、しきい値を超えると脱調発生と判定し、判定後も一定時間、系統情報入手部2による電圧位相の測定、位相角差演算部3による位相角差の算出及び前述のしきい値との比較処理を繰返し行った後、しきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出し、その組合せから脱調モードを推定する。
系統分離点選定部5は、脱調モードに応じた最適な系統分離点を決定する。
制御出力部6は、系統分離点の選定結果に基いて電力系統の予定の箇所に設置された系統分離装置に系統分離指令を通信系を介して出力する。
一方、本実施形態の脱調分離装置1を運用する前に、事前設定システム10として安定度特性把握手段11、位相角検出点選定手段12、脱調モード・系統分離点選定手段13より得られる整定値14を脱調モード判定部4及び系統分離点選定部5に与える。
上記安定度特性把握手段11では、対象系統の安定度特性を把握し、対象系統で発生する脱調モードを整理すると共に、本装置が対象にする脱調モードを決定する。
例えば、図2に示すような電力系統を対象とした場合には、まず対象系統の過渡安定度特性を把握するため、故障点・故障様相をパラメータに過渡安定度シミュレーションを繰返し実行して、本系統で発生する脱調パターンを確認する。
図3は脱調パターンを整理した結果の一例を示すもので、図2の電力系統においては脱調パターン(脱調モード)が5パターンあり、脱調モードBと呼ぶケースは、図2の発電機群GAと記載した四角で囲むエリア内の発電機群及び発電機群GBと記載したエリア内の発電機群が一体となって脱調するという意味である。
次に位相角検出点設定手段12では、対象とする全ての脱調モードが検出できるように位相角検出点を選定する。具体的には、各脱調発電機群のエリア内のどこか一箇所の電気所の母線を位相検出点として選出するとともに、脱調しない発電機群のエリア(脱調の影響を受ける健全系統)からも位相角検出点を選出する。
例えば、図3の脱調パターンに基づき、図2に示すように発電機群GA、発電機群GB、…、発電機群GEといったように脱調発電機群が分類される場合、発電機群GAはそのエリア内のA変電所を、発電機群GBはそのエリア内のB発電所を位相角検出点として選定している。脱調しない発電機のエリアの位相角検出点は、健全系統内のいずれの電気所でも良いが、図2ではF発電所とG変電所の2箇所としている。
脱調モード・系統分離点選定13では、下記条件のもと、各脱調モードに応じた系統分離点を選定する。
必要条件:脱調する発電機群が全て分離系統側に含まれる系統分離点とする。
周波数条件:前記必要条件に当てはまる分離点が複数ある場合は、需給アンバランス
が小さくなる(遮断する送電線の潮流合計が最も小さい)分離点とする。
電圧条件:前記必要条件に当てはまる分離点が複数ある場合は、系統分離を実施し
た場合に、送電線や機器の耐電圧を超過する電圧上昇、あるいは問題と
となる電圧低下が発生しない分離点とする。
なお、周波数条件及び電圧条件は、電力系統の運用管理者の必要に応じて考慮し、周波数条件により周波数を考慮した系統分離を、電圧条件により電圧を考慮した系統分離を行うことができる。例えば、図4は系統分離点の選定結果の一例で、前記条件を考慮し、脱調モードAは系統分離点としてL1,L2,L3送電線を選定し、脱調モードBはL2,L3,L4送電線を選定している。
以上の作業を本装置の運用開始前に行い、図3に示すような脱調発電機群と脱調モードの関係、図4に示すような脱調モードと系統分離点の関係を求めて、この関係を本装置に予め設定(整定値14)しておくことにより、本装置では複数の脱調モードに対応し、且つ脱調モードの推定と脱調モードに適した系統分離点の選定が行える。
なお、脱調モードの推定方法及び脱調モードに適した系統分離点の選定方法の詳細については後述する。
次に電力系統の脱調分離装置1を構成する各部の作用について説明する。
まず、系統情報入手部2では、前述のように決定した位相角検出点(電気所)の母線電圧位相15を時々刻々と測定し、伝送系を介して入手する。
位相角演算部3では、各電気所(位相角検出点)間の位相角差を求める。例えば、図2の電力系統では、A電気所(位相角検出点A)の位相角をθA、B電気所(位相角検出点B)の位相角をθBとすると、A,B電気所間の位相角差は次の通り求められる。
θAB=|θA−θB| …… (1)
図2に示す電力系統のように位相角検出点が7電気所(C,D,E,F,G電気所の各位相角をθCDEFGとする)の場合、(1)式と同様に各電気所間の位相角差を求め、図5に示すようなマトリックスを作成する。
脱調モード判定部4では、前述のように算出した位相角差を用いて、脱調発電機群の抽出と脱調モードの推定を行う。
図6は脱調モード判定部4の処理フローを示す図で、この図を参照しながら脱調モード判定部4の作用を説明する。
図6において、脱調検出ステップ(S41)では、(2)式のように各位相角差と脱調判定しきい値θαとを比較して、θαを超過していなければ安定と判定し、超過している場合には脱調有りと判定する。脱調有りと判定した後も一定時間Tsは、図1の系統情報入手部2、位相角差演算部3、脱調モード判定部4の処理を繰返し、他にθαを超過する位相角差がないかどうかを確認する。
θAB<θα ならば、安定と判定
θAB≧θα ならば、脱調有りと判定
……(2)
例えば、図7に示すように位相角差が変化した場合、図8は、θα=180度、Ts=100msとしたときの判定結果の一例で、送電線事故が発生してから0.90秒でθAG,θGAが、0.95秒でθBG,θGBがθαを超過している。この結果より、発電機群GAとGG(G変電所に近い発電機群)、発電機群GBとGGが脱調と判定され、図8の対応箇所に脱調有り(×)が記憶される。その他の位相角差はθαを超過していないので安定(○)が記憶される。
次に脱調グループ判定ステップ(S42)では、脱調有りと判定された位相角差について、差を取った両検出点のうち、どちらの検出点の発電機群が脱調しているのか判断するとともに、発生している脱調モードを推定する。具体的には、脱調有りと判定された位相角差について、差を取った両検出点の位相角の単位時間における変化分Δθ/Δt(=周波数Δf)を求め、これを比較してその値が大きい方の検出点の発電機群が脱調していると判断する。これにより、脱調している発電機群が分かるので、脱調発電機群の組合せと、予め設定した脱調発電機群と脱調モードの関係を用いて脱調モードを推定する。
例えば、図9は脱調グループ判定結果の一例で、脱調検出の結果、θAG,θGA,θBG,θGBが脱調有りと判定されているので、θAG,θGAの両検出点のΔθA/Δt,ΔθG/Δt,θBG,θGBの両検出点のΔθB/Δt,ΔθG/Δtを求めて比較し、θAG,θGAは検出点A(A変電所)の方(ΔθA/Δt=30度)が大きく、θBG,θGBは検出点B(B発電所)の方(ΔθB/Δt=25度)が大きいので、検出点Aが含まれる発電機群GAと検出点Bが含まれる発電機群GBは脱調していると判断される。これにより、脱調している発電機群が分かるので、図3に示す脱調発電機群と脱調モードの関係から、発生している脱調モードは、発電機群GA,GBが脱調する脱調モードBと推定できる。
次に系統分離点選定部5では、前述のように推定した脱調モード、予め設定した脱調モードと脱調モードに適した系統分離点の関係から、系統分離点を選定する。
例えば、発電機群GAとGBの脱調で、脱調モードBと推定した場合、図4に示すような脱調モードと系統分離点の関係から、L2,L3,L4送電線を系統分離点と決定する。
制御出力部6は、系統分離点選定部5で選定した送電線のしゃ断を実施する。
このように第1の実施形態によれば、従来の系統安定化装置に比べ、複数の脱調モードを対象にでき、また脱調モードに応じた系統分離を行うことができる。また、広域位相情報を用いることにより脱調分離リレーに比べて早期の脱調検出と系統分離が行えるので、安定化効果の向上を図ることができる。更に、系統分離点の選定条件に周波数条件や電圧条件を加えることにより、周波数と電圧を考慮した系統分離が行えるので、系統分離後の主系統及び分離系統の安定運転維持能力を向上させることができる。
次に本発明による電力系統の脱調分離装置の第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、第1の実施形態で述べた図1の脱調モード判定部4において、脱調発生を判定する際に、予め設定した第1のしきい値と各位相角差とを比較し、第1のしきい値を超過する場合には脱調発生と判定し、次に予め設定した第1のしきい値よりも小さく設定した第2のしきい値と各位相角差とを比較して、第1又は第2のしきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出する。
なお、事前設定システム10、系統情報入手部2、位相角差演算部3、系統分離点選定部5及び制御出力部6は第1の実施形態と同じなので、ここではその説明を省略する。
図10は、本発明の第2の実施形態における脱調モード判定部4の処理フローを示す図であり、以下この図を参照しながら脱調モード判定部4の作用について述べる。
図10において、脱調検出ステップ(S41)では、第1の実施形態と同じく、各位相角差と第1の脱調判定しきい値θα1とを比較して、しきい値θα1を超過していなければ安定と判定し、図1の系統情報入手部2、位相角差演算部3及び脱調モード判定部4での処理を繰返す。
第1の脱調判定しきい値θα1を超過している場合には脱調有りと判定し、次に脱調有りと判定された以外の位相角差について第2の脱調判定しきい値θα2と比較して、このしきい値θα2を超過している場合には、これも脱調有りと判定する。この場合、θα1>θα2の関係で設定し、両者の値を近い数値とすることで、θα1を超過して脱調と判定された検出点を含む発電機群と、同じ様相で進展脱調している他の発電機群も見つけることができる。
例えば、図7に示すように位相角差が変化した場合、図11(a),(b)は、θα1=180度、θα2=150度としたときの判定結果の一例で、送電線事故が発生してから0.90秒でθAG,θGAがθα1を超過し、この結果、発電機群GAとGG(G変電所に近い発電機群)が脱調と判定され、図11(a)の対応箇所に脱調有り(×)が記憶される。その他の位相角差は、θα1を超過していないので安定(○)が記憶される。
次に、θα2を超過する位相角差があるので、θα1を超過していない位相角差、つまり、θAG,θGA以外の位相角差(図11(b)のハッチング部)についてθα2と比較して、θBG,θGBがθα2を超過し、この結果、発電機群GBとGGも脱調と判定され、図11(b)の対応箇所に脱調有り(×)が記憶される。
脱調グループ判定(S42)では第1の実施形態と同様に脱調有りと判定された位相角差について、差を取った両検出点のうち、どちらの検出点の発電機群が脱調しているか判断するとともに、発生している脱調モードを推定する。これは第1の実施形態と同様なので説明は省略する。
第2の実施形態によれば、最初の脱調有りを検出した時点で脱調モードを推定できるため、第1の実施形態のように遅れて脱調する発電機群の有無を確認するためのタイマTSが不要となるので、系統分離を早期に行うことが可能となり、安定化効果の向上を図ることができる。
次に本発明による電力系統の脱調分離装置の第3の実施形態について図12を参照して説明する。第1の実施形態で述べた図1の電力系統の脱調分離装置と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
第3の実施形態では、図12に示すように位相角差演算部3で時々刻々と算出した位相角差を記憶し、その記憶した位相角差を用いて近い将来時点の位相角差を予測し、これを脱調モード判定部4に与える位相角差予測部7を設ける構成とするものである。
次に位相角差予測部7の作用を図13に示す処理フローを参照しながら説明する。
位相角差予測部7では、図13に示すように位相角差演算部3で算出した各位相角差を現在及び過去に算出したものを記憶する位相角差保存ステップ(S71)によりメモリに記憶しておき、このメモリに記憶した位相角差を用いて予測式作成ステップ(S72)により将来時点の位相角差を予測する予測式を作成し、この予測式を使って位相角差予測ステップS73により将来時点の位相角差を予測する。
脱調モード判定部4では、その位相角差予測値を用いて前述同様に脱調発生の判定と脱調発電機群の抽出を行う。
なお、予測式及びその作成方法は、従来の系統安定化装置で使われている方法を用いても良い。一例として、(3)式のような2次の予測式を考え、係数kを現在及び過去の位相角差データを使い、最小二乗法により求めて、将来時点の位相角差δ(t)(例えば、250ms先の位相角差)を予測する。
予測式の一例:δ(t)=k0+k1・t+k2・t2 …… (3)
ここで、k0,k1,k2は最小二乗法により算出する。
このように第3の実施形態によれば、予測した将来時点の位相角差を使って脱調検出することにより、早期に脱調を検出できるため、結果的に系統分離を早く行うことが可能となり、安定化効果を向上させることができる。
本発明による電力系統の脱調分離装置の第1の実施形態を示す構成図。 同実施形態の脱調分離装置が適用される電力系統と位相検出点の一例を示す図。 図2に示す電力系統において、脱調発電機と脱調モードの関係の一例を示す図。 同実施形態において、脱調モードと系統分離点の関係の一例を示す図。 同実施形態において、位相角差演算部で求める位相角差をマトリックス状に表現した図。 同実施形態における脱調モード判定部の処理フローを示す図。 同実施形態において、位相角差の変化を示す図。 同実施形態において、脱調検出における脱調有り時の判定結果の一例を示す図。 同実施形態において、脱調グループ判定における判定結果の一例を示す図。 本発明による電力系統の脱調分離装置の第2の実施形態を示す構成図。 同実施形態において、脱調検出における脱調有り時の判定結果の一例を示す図。 本発明による電力系統の脱調分離装置の第3の実施形態を示す構成図。 同実施形態における位相角予測部の処理フローを示す図。
符号の説明
1…脱調分離装置、2…系統情報入手部、3…位相角差演算部、4…脱調モード判定部、5…系統分離点選定部、6…制御出力部、7…位相角差予測部、10…事前設定システム、11…安定度特性把握手段、12…位相角検出点選定手段、13…脱調モード・系統分離点選定手段、14…整定値、15…位相角情報、16…系統分離指令

Claims (6)

  1. 同期する複数の発電機が送電線により連系してなる電力系統の送電線故障などの外乱により一部の発電機が脱調したとき、この脱調現象が他の発電機に波及しないように系統分離を行う電力系統の脱調分離方法において、電力系統内の予め定められた電気所の母線電圧位相角を時々刻々と測定して電力系統の広域の位相情報を入手し、これらの位相情報から各電気所間の位相角差を算出して、各位相角差と予め設定したしきい値とをそれぞれ比較し、しきい値を超過する位相角差がある場合には脱調発生と判定し、その後一定時間、前記位相情報の入手、各電気所間の位相角差の算出及び各位相角差としきい値との比較処理を繰返し行った後、しきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出し、この抽出された脱調発電機群の組合せから脱調モードを推定して最適な系統分離を実施することを特徴とする電力系統の脱調分離方法。
  2. 請求項1記載の電力系統の脱調分離方法において、脱調発生の判定と脱調発電機群の抽出を行う際に、予め設定した第1のしきい値と各位相角差とを比較し、第1のしきい値を超過する位相角差がある場合には脱調発生と判定し、次に前記第1のしきい値よりも小さく設定した第2のしきい値と各位相角差とを比較して、第1又は第2のしきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出することを特徴とする電力系統の脱調分離方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の電力系統の脱調分離方法において、脱調発生を判定する際に、時々刻々と算出された位相角差を記憶し、この記憶した位相角差を用いて将来時点の位相角差を予測し、その位相角差予測値を用いて脱調発電機群の抽出を行うことを特徴とする電力系統の脱調分離方法。
  4. 同期する複数の発電機が送電線により連系してなる電力系統の送電線故障などの外乱により一部の発電機が脱調したとき、この脱調現象が他の発電機に波及しないように系統分離を行う電力系統の脱調分離装置において、電力系統内の予め定められた電気所の母線電圧位相角を時々刻々と測定して電力系統の広域の位相情報を入手する位相情報入手手段と、この位相情報入手手段により入手された各電気所間の位相角差を算出する位相角差演算手段と、この位相角差演算手段により算出された各位相角差と予め設定したしきい値とをそれぞれ比較して、しきい値を超過する位相角差がある場合には脱調発生と判定し、その後一定時間経過すると、それまでにしきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出して、その脱調発電機群の組合せから脱調モードを推定する脱調モード判定手段と、この脱調モード判定手段により推定された脱調モードをもとに系統分離を実施する系統分離手段とを備えたことを特徴とする電力系統の脱調分離装置。
  5. 請求項1記載の電力系統の脱調分離装置において、前記脱調モード判定手段は、第1のしきい値とこのしきい値より小さな第2のしきい値を有し、第1のしきい値と各位相角差とを比較して第1のしきい値を超過する場合は脱調発生と判定し、次に第2のしきい値と各位相角差とを比較して、第1又は第2のしきい値を超過した位相角差から脱調発電機群を抽出することを特徴とする電力系統の脱調分離装置。
  6. 請求項1又は請求項2記載の電力系統の脱調分離装置において、前記位相角差演算手段により時々刻々と算出された位相角差を記憶し、この記憶した位相角差を用いて将来時点の位相角差を予測してその予測値を前記脱調モード判定手段に与える位相角差予測手段を設けたことを特徴とする電力系統の脱調分離装置。
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