JP2006233783A - シリンダヘッドの冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 DOHC内燃機関のシリンダヘッド上部の冷却フィンを着脱可能として、狭い空間における該ヘッドと一体成型のフィン配設による成型上およびスペース上の制約の排除をなし、該ヘッド部への放熱面積の十分な冷却フィンの配設を可能とする。
【解決手段】 シリンダヘッド3上部の左右長手方向凹状部34a,34bに点火プラグ装着座部34a3,34b3が設けられ、また該座部34a3,34b3の隣接部には冷却フィンF2取付け用の突出ボス部34a5,34b5が設けられている。冷却フィンF2は連結部により連結された大小2つの冷却フィン本体F21,F22からなり、これら本体F21,F22の板状部の上下面から上下部フィン部が突出形成されている。シリンダヘッド前側中央の水平凹部35から導入された冷却風イが左右連通開口を介して左右凹状部34a,34bを流れ、冷却フィンF2等の作用によりプラグ座部34a3,34b3の冷却がなされる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、空冷式内燃機関に関し、特に自動二輪車用4サイクル空冷式内燃機関のシリンダヘッドの冷却構造に関する。
DOHC方式の空冷式内燃機関におけるシリンダヘッドの冷却のためのフィン構造として、シリンダヘッド側部周壁に設けられた水平方向に突出する複数の横冷却フィンと、該ヘッド上壁の2本のカム軸間に設けられた垂直方向に突出する複数の縦冷却フィン(立設フィン)を備えるものが従来から知られている。そして、通常、これらの冷却フィンは、いずれもシリンダヘッドと鋳造等により一体的に成型される構造である(例えば、特許文献1参照)。
実願昭53−176390号(実開昭55−92022号)のマイクロフィルム(第2頁−第3頁、第3図)
前記特許文献1に記載の、DOHC方式の4サイクル内燃機関におけるシリンダヘッドの冷却構造は、シリンダヘッドの側部周壁から水平方向に突出する複数の横冷却フィンと、該横冷却フィンの前側端から後カムカバーに向けた縦誘導フィンと、シリンダヘッド上壁の2本のカム軸間に設けられた該ヘッド上壁から垂直方向に突出する複数の立設冷却フィンとを備える構造とされ、これらの冷却フィンは、いずれも該シリンダヘッドと一体的に成型されている。
しかし、このようなシリンダヘッドに鋳造等で一体成型される冷却フィンは、シリンダヘッドの側部周壁や上壁に設けられることから冷却フィンを設けるための機関側の形状やスペース上の制約、さらには成型上の制約を受け、十分な冷却効果を達成するための放熱面積を具備する所望の冷却フィンを所望の場所に設けることができない。とりわけ、シリンダヘッドの上壁における2本のカム軸間の狭い空間における該ヘッドと一体的な冷却フィンの形成は、冷却フィンの成型上の問題と、機関側の形状に関連するスペース的な面からの制約により長いフィンを具備する冷却フィンの形成を困難とする。
また、シリンダヘッド上壁の2本のカム軸間には点火プラグ装着のためのプラグ座部が存在し、該プラグ座部の加工上、プラグ座部周辺部における前記ヘッドと一体化された冷却フィンの長いフィン配置は困難であり、このために冷却フィンにおける十分な放熱面積の確保ができない。とりわけ、本発明はDOHC方式採用の内燃機関のシリンダヘッドにおいて、冷却機能確保のための十分な放熱面積を具備する長い冷却フィンの前記シリンダヘッド上壁への配設を可能とする。
本発明は、上述した課題を解決するためのシリンダヘッドの冷却構造の提供に関し、
吸排気弁を2本のカム軸により作動させるDOHC内燃機関であって、前記カム軸および点火プラグを備えるシリンダヘッドと、両カム軸間でかつ点火プラグ周辺に配置される冷却フィンを備えるシリンダヘッドの冷却構造において、前記冷却フィンは、前記シリンダヘッドに該シリンダヘッドと別部材により形成されていることを特徴とする。
また、前記冷却フィンは、板状部と、該板状部から突出する複数のフィン部からなり、該冷却フィンは、その板状部を介してシリンダヘッドに固定されることを特徴とする。
さらに、前記シリンダヘッドの前記カム軸間には、前記冷却フィンを締結により固定するためのボス部が突出形成されていることを特徴とする。
また、前記板状部からシリンダヘッド側にフィン部を突出形成することを特徴とする。
さらに、前記シリンダヘッドに形成されるカム軸駆動機構の近傍に内燃機関前方とカム軸間を連通する連通開口が少なくとも内燃機関前側のカム軸下方に形成され、前記フィン部がカム軸間に冷却風を導くように傾斜して形成されることを特徴とする。
また、内燃機関に設けられる冷却フィンにおいて、該冷却フィンは、内燃機関に形成されたボス部に締結される板状部と、該板状部から内燃機関側に突出して形成されるフィン部を少なくとも備えていることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る発明は、前記シリンダヘッドの冷却構造において、前記冷却フィンは、前記シリンダヘッドに該シリンダヘッドと別部材により形成されているから、該冷却フィンはシリンダヘッドとは別体の構造であり、シリンダヘッドとの一体成型における成型上の制約が排除され、必要な放熱量を十分に確保できる放熱面積を有する冷却フィンの該ヘッドへの配設を可能とする。また、点火プラグ近傍においても冷却フィンの形成が可能であり、カム軸間の空間を最大限に利用した実効性に優れた冷却フィンの形成を可能とする。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記冷却フィンは、板状部と、該板状部から突出する複数のフィン部からなり、該冷却フィンは、その板状部を介してシリンダヘッドに固定されるから、板状部により複数のフィンを保持するので、複数のフィンを形成した場合でも軽量化が可能となり、別体とされた冷却フィンの放熱面積を効率良く増大させることができる。また冷却フィンの該ヘッドへの取付けを容易にする。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記シリンダヘッドの前記カム軸間には、前記冷却フィンを締結により固定するためのボス部が突出形成されているから、冷却フィンのシリンダヘッドへの取付けにおける十分な接触面積が確保され、またボス部の上面である該取付けにおける接触部の機械加工が容易であるから、該面の面粗度を細かくすることが可能であり、これにより接触密度の向上が図られて実接触面積を増大させることができるので、熱伝導性の向上を図ることができる。
さらに、ボス部をシリンダヘッドから突出形成することでシリンダヘッド側接触面の加工が容易となる。また、ボス部を突出形成することで別体式冷却フィンとシリンダヘッドはその取付け状態において、前記ボス部における接触部以外の部分においては互いに離間した構造とされるから、冷却フィン側の板状部も放熱面として利用することが可能となり、冷却性能が増大する。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発明において、前記板状部からシリンダヘッド側にフィン部を突出形成するから、該フィン部とシリンダヘッドが互いに接触関係とされる従来構造の場合には、締結部等の接触面に圧力がかかっている状態では問題ないが、圧力がかかっていない場合は、機関の振動等に起因して打音等の発生が懸念される。しかし、本発明では、冷却フィンとシリンダへッドとの接触面はボス部のみとなるため、機関振動に伴う冷却フィンとシリンダヘッドの打音発生の懸念はなくなり、騒音が低減できるとともに、放熱面を最大限形成できる。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記シリンダヘッドに形成されるカム軸駆動機構の近傍に内燃機関前方とカム軸間を連通する連通開口が少なくとも内燃機関前側のカム軸下方に形成され、前記フィン部がカム軸間に冷却風を導くように傾斜して形成されるから、カム軸下方かつ機関前方から導入される冷却風が効率良くカム軸間に導かれるため冷却性能が向上するとともに、板状部を境に少なくとも2層構造で冷却風を導入することができ、板状部とシリンダヘッド間に流れ込む冷却風は、別体式冷却フィンの全域に行き渡ることになるため、冷却風を有効活用することができる。
本発明の請求項6に係る発明は、前記内燃機関に設けられる冷却フィンにおいて、該冷却フィンは、内燃機関に形成されたボス部に締結される板状部と、該板状部から内燃機関側に突出して形成されるフィン部を少なくとも備えているから、内燃機関の構造部材の製造性に左右されることなく、冷却フィンを形成できる。また、内燃機関側にボス部を形成することで熱伝達率を上げるための機械加工が簡易となり、ボス部を施す位置により積極的に冷却したい部位の冷却が可能となる。さらに、板状部から内燃機関側にフィンを突出形成することで、内燃機関をコンパクト化しつつ放熱面積の確保ができる。
図1ないし図11に基づいて本発明の実施例を説明する。
本発明の実施例の自動二輪車等の車輌に搭載される内燃機関Eは、その側面視が断面図で示されており、該機関Eは空冷式の4サイクル並列4気筒機関であり、頭上弁式のツインカム機構(DOHC)が採用され、車輌への搭載時においてはそのシリンダE0の頭部排気側E2が走行方向を向き、吸気側E1は右上方を向くように配置されており、シリンダE0の上部から吸気管E11が右上方へと延び、この吸気管E11には図示されない気化器やエアクリーナが接続されている。また、排気管E21はシリンダE0の前側から車体下方を通って後方へ延びている。
内燃機関EのシリンダE0は、その下部がクランクケース1の上部に載置固定され、該シリンダE0は直接クランクケース1に固定されるシリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部にその下部が固定されるシリンダヘッド3と、さらに、シリンダヘッド3の上部を覆いかつ該ヘッド3に固定されるシリンダヘッドカバー4からなり、結局これら構造部がボルトにより互いに接合固定され一体化されることで構成されている。
クランクケース1には、図2に図示されるように複数箇所(6箇所)のジャーナル軸受部1aを介してクランク軸10が回転可能に支承されており、また、クランク軸10の4箇所のクランクピン10aにはそれぞれコンロッド10bがその大端部10cを介して取付けられ、これらコンロッド10cの小端部10dにはピストンピン10eを介してそれぞれピストンPが取付けられ、これらピストンPは前記シリンダブロック2に形成されたシリンダ孔2aないし2d内を往復摺動する。これら構造は既によく知られたところである。
また、クランク軸10には、その長手方向の図示における右寄りの位置にドライブギア10fが取付けられ、このギア10fは変速装置のメインシャフト11上で遊嵌されたドリブンギア11aと噛合い、該ドリブンギア11aからクラッチ11bを介して前記メインシャフト11に駆動力を伝達し、該駆動力はメインシャフト11とカウンタシャフト12上の変速ギアGの選択的なギアの噛合いを介してカウンタシャフト12に伝達され、さらにカウンタシャフト12に伝達された駆動力は駆動スプロケット12aにより駆動チェーン13を介して図示されない車輌走行用駆動輪である後輪に伝達される。
クランク軸10には、その長手方向中央部に並列して2つの径の異なるスプロケット10g,10hが設けられ、その大径のスプロケット10gはチェーン14により発電機15を駆動するものであるが(図1参照)、該発電機15には図示されない一方向クラッチを介した同軸関係をもったスタータモータが接続されている。また、小径のスプロケット10hは、後に詳しく説明されるチェーンC1によりカム軸3A,3Bを駆動するためのものであり、さらにその長手方向図示における左方端寄りの位置には、パルサロータ10iが取付けられている。
クランクケース1の上部に載置固定されるシリンダブロック2は、図3に図示されるようにその上面視(平面視)において、車輌の前後方向に対して直交する方向に長い略矩形状の形状をなし、その長手方向に沿って図示されるように4つのシリンダ孔2aないし2dが並列配置され、これらシリンダ孔2aないし2dはシリンダブロック2の上下を貫通し、該シリンダ孔2aないし2d内には上述のピストンPが周知のように、また既述のように往復摺動可能に配置されている。
シリンダブロック2の長手方向中央部20には上述したカム軸3A,3B駆動用のチェーンC1が通過するための空間21が形成され、この空間21は前記ブロック長手方向中央部20の該ブロック2の幅方向やや後方寄りの位置で該ブロック2の上下を貫通しており、上面視においてシリンダブロック2の幅方向に長い矩形状をなしている。したがって、シリンダブロック2の4つのシリンダ孔2aないし2dは、該ブロックの空間21により左右に2つづつ離間して配置されている。
シリンダブロック2の外周面には図1,2等も参照して明らかなように多数の冷却フィンF1が設けられている。冷却フィンF1は、図3に図示される上面視と実質的に平行な面で所定の間隔をもって配設される複数の平面形成部からなり、シリンダブロック2の外周部、すなわちシリンダブロック2の前記長い側面X1,X2および短い側面Y1,Y2からそれぞれ外方へ向って所定長さで突出する複数のフィンF1として形成されている。
シリンダブロック2の上部にはシリンダヘッド3が固定され、シリンダヘッド3は、その上面視である図4とその斜視図である図5の図示において、シリンダヘッドカバーやカム軸3A,3B(その一部のみが点線で図示されている)の配設されない状態が示されており、該上面視において、その外形形状は前記シリンダブロック2と同様、略矩形状をなしており、図4の図示においては下方が車輌の進行方向に対して前側で、上方が後側とされている。
シリンダヘッド3には、図4,5においてはその一部のみが点線で示される既述の2本のカム軸3A,3Bが配設されるが、これらカム軸3A,3Bは、該ヘッド3の前側と後側の長手方向の形成壁内側に沿うようにかつ該ヘッド3における前後左右において対称とされる配設関係を備えて互いに平行して延長し、このための軸受3A1,3B1が図4,5に図示され、該軸受3A1,3B1は、カム軸3A,3Bの延長部である該ヘッド3のそれぞれの前後左右対称とされる複数位置に、より具体的には計8個所の位置に配置されている。
また、シリンダヘッド3の左右長手方向中央部30の後方側に既述のカム軸駆動用チェーンC1のための空間31の開口32が設けられており、該開口32により該ヘッド3において開口32する前記空間31は、既述のシリンダブロック2における前記カム軸駆動用チェーンC1のための空間21とその上下で位置関係が整合され、これにより該チェーンC1はクランク軸10からシリンダヘッド3の上部まで支障なく通過することができるようになされている。そして、該チェーンC1のための空間31の開口32からシリンダヘッド3の前側に向って該ヘッド3の幅方向を実質横断するように後述される前側カム軸駆動用チェーンC2走行のための窪み部33が形成されている。
図4,5には点線で図示される2本のカム軸3A,3Bが互いに所定の間隔を存し平行して延長する前後両カム軸間の左右対称位置には、つまりシリンダヘッド3の長手方向中央部30の前記カム軸駆動用チェーンC1のための空間31の開口32と前記前側カム軸駆動用チェーンC2走行のための所定幅の窪み部33を挟んだ左右両側の対称位置には、該ヘッド3の長手方向で対をなして対称的に延びる凹状部34a,34bが形成されている。
これら凹状部34a,34bは、図示上面視にてシリンダヘッド3の左右端においてそれぞれ凹状部34a,34bが切り放された開放端34a1,34b1とされ、その底部34a2,34b2は実質的に後述される前記中央部30を挟んで左右に2つづつ設けられた燃焼室3a,3bおよび3c,3d(図2参照)の上壁部を形成しており、この上壁部は点火プラグ3eの装着座部34a3,34b3とされている。
シリンダヘッド3の左右長手方向中央部30後方のカム軸駆動用チェーンC1のための空間31の開口32と、該開口32からシリンダヘッド3の前方にかけて延びる窪み部33は、既述のように前側カム軸3Aの駆動用チェーンC2の走行に供される構造部であり、前記開口32には、後側カム軸3B上に隣接して取付けられた2つの大小スプロケットであるクランクーカムスプロケット3B2,カムーカムスプロケット3B3が配設され、また、前記窪み部33には、その前側33aに前側カム軸3A上に取付けられた1つのスプロケット3A3が配設され、その前側33aと空間開口32間に該スプロケット3A3と前記後側カム軸3B上に取付けられたカムーカムスプロケット3B3間に掛け渡された前側カム軸駆動用チェーンC2の走行路が配設されている。
図1も参照して、後側カム軸3Bに取付けられた大きなクランクーカムスプロケット3B2は、該スプロケット3B2とクランク軸10に取付けられたスプロケット10h間に掛け渡されたカム軸駆動チェーンC1により回転駆動され、後側カム軸3Bのクランクーカムスプロケット3B2はクランク軸10のスプロケット10hの丁度2倍の大きさとされるから、この回転駆動は1/2の減速駆動とされる。
また、カムーカムスプロケット3B3は、該スプロケット3B3と前側のカム軸3Aに取付けられたスプロケット3A3間に掛け渡された既述の前側カム軸駆動チェーンC2を介して後側カム軸3Bの回転を前側カム軸3Aに伝達し、この伝達は、同径のスプロケット3A3,3B3間の伝動とされ、前後両カム軸3A,3Bを同速で回転駆動し、後側カム軸3B上のカム3B4により吸気弁3jの開閉作動が、また前側カム軸3A上のカム3A4により排気弁3kの開閉作動がそれぞれなされる(図2参照)。
シリンダヘッド3の長手方向の左右対称位置において該ヘッド3の長手方向に延びる対をなす凹状部34a,34bは、その底部34a2,34b2が既述のように実質的に機関Eの各燃焼室3a,3b、3c,3dの上壁部を形成しており、該上壁部は後述される点火プラグ3e装着のためのプラグ座部34a3,34b3を形成している。本内燃機関Eは4気筒の機関であるから点火プラグ3eの装着座部34a3,34b3は、該ヘッド3の長手方向左右に2個所づつ計4個所設けられ、これら左右2個所とされたプラグ座部34a3間、34b3間と該左右凹状部34a,34bの端部開放端34a1,34b1近傍にはそれぞれ冷却フィンF2が取付けられている。
図6に図示されるシリンダヘッド3の側断面図も参照して、各点火プラグ3eの装着座部34a3,34b3はマウント状にやや盛上がる形状を呈しており、その下部内壁により機関Eの各燃焼室3a,3b、3c,3dが形成され、その上壁部頂部に点火プラグ装着の孔部34a4,34b4を備え、この孔部34a4,34b4を貫通して装着された点火プラグ3e(図2、図10(d)等参照)は、その着火電極部を前記燃焼室3a,3b、3c,3dに臨ませている。
そして、左右凹状部34a,34bのそれぞれにおいて互いに隣接する2つのプラグ座部34a3間、34b3間と、左右凹状部34a,34bのそれぞれの開放端(外方端)寄りプラグ装着座部34a3,34b3外側には、これらプラグ座部34a3,34b3の点火プラグ3e装着孔部34a4,34b4隣接部からさらに上方に高く突出するボス部34a5,34b5が形成され、これらボス部34a5,34b5には、既述の冷却フィンF2(図6における点線表示)を装着するためのネジ孔34a6,34b6がそれぞれ設けられ、また、ボス部34a5,34b5の上面34a51,34b51は冷却フィンF2装着のために比較的精度よく仕上げられ、その面粗度が細かい平坦面とされている。
互いに隣接する2つの点火プラグ装着座部34a3間、34b3間と、左右凹状部のそれぞれの開放端(外方端)寄りプラグ装着座部34a3,34b3外側で高く突出するボス部34a5,34b5の上面34a51,34b51にそれぞれ点線表示状態で装着される冷却フィンF2は、図7にその形状構造が図示されている。
ここで、図7を参照して、冷却フィンF2の形状と構造について少し詳しく説明する。
冷却フィンF2は、連結部F23を介して互いに連結される大小2つの冷却フィン本体F21,F22からなり、通常アルミ合金等により一体的に鋳造により形成されている。
大小の冷却フィン本体F21,F22は、それぞれ該本体F21,F22を、左右凹状部34a,34b内の点火プラグ3e装着座部34a3間、34b3間で高く突出するボス部34a5,34b5に対し、また左右凹状部34a,34bのそれぞれの開放端寄りプラグ装着座部34a3,34b3外側で高く突出するボス部34a5,34b5に対して取付けるための板状部F21a,F22aを備えている。
大小の冷却フィン本体F21,F22のそれぞれの板状部F21a,F22aを介した前記ボス部34a5,34b5への取付けは、該ボス部上面34a51,34b51に対する該板状部F21a,F22a略中央部のボルト孔F21a2,F22a2利用による図示されないボルト締めでなされ、このために該板状部F21a,F22a略中央部は上下面で突出するボス状の肉厚部F21a1,F22a1として形成されている。
さらに、該板状部F21a,F22aは実質的に前記大小の冷却フィン本体F21,F22を互いに前記連結部F23を介して連結するための構造を形成しており、また、板状部F21a,F22aの上面および下面から該板状部F21a,F22aの板面に対して垂直に所定高さで突出する複数のフィン部F21b,F22bを備えている。
大小の冷却フィン本体F21,F22のそれぞれの板状部F21a,F22aの板面の上面および下面から垂直に突出する複数のフィン部F21b,F22bは、大きな冷却フィン本体F21においては、上面と下面からそれぞれ略同枚数(5枚)突出し、また、小さな冷却フィン本体F22においては、上面と下面からそれぞれ略同枚数(4枚)突出しており、これらフィン部F21b,F22bは、前記上面から突出する上部フィン部F21b1,F22b1が下面から突出する下部フィン部F21b2,F22b2よりその突出高さが高く形成され、しかも上面から突出する上部フィン部F21b1,F22b1は互いに同じ高さとされ、下面から突出する下部フィン部F21b2,F22b2は互いに同じ高さとされている。
さらに、これら大小冷却フィン本体F21,F22における複数のフィン部F21b,F22bは、それぞれその長さこそ異にするが、互いに所定の同一の傾斜角αを有して、すなわち、大小の冷却フィン本体F21,F22のそれぞれの板状部F21a,F22aにおける上述の取付用ボルト孔F21a2,F22a2の中心を結ぶ線上Lに対して互いに所定の同一の傾斜角αを有して同一方向に等間隔D1で平行に延長している(図7(a)参照)。
図7の(a)の参照から理解できるように、大きな冷却フィン本体F21の板状部F21a上面から突出する上部フィン部F21b1は、既述のように5枚であり、その中央部のフィン部は該板状部F21aの略中央部のボルト孔用ボス部F21a1との干渉を避けるためにその延長方向における中央部で二分されて形成され、この中央部のフィン部F21bを挟んで両側のフィン部F21b,F21bは長く、最も外側となる2つのフィン部F21b,F21bは短いフィンとされている。
また、上部フィン部F21b1と略同様枚数とされるフィン部からなる下部フィン部F21b2は、点火プラグ3eの装着座部34a3,34b3への取付けからその突出高さが低く抑えられるが、図7の(c)の参照から理解できるように、各フィン部F21b2の突出配列そのものは上部フィン部F21b1と互いに対応関係にある。フィン部F21b2は、前記プラグ座部34a3,34b3への取付け構造から中央部のフィン部F21b2と、このフィン部F21b2を挟む両側のフィン部F21b2は部分的に延長するフィン部として形成され、最も外側となる2つのフィン部F21b2は完全な延長形状を呈している。
そして、これらフィン部F21b2が互いに既述の所定傾斜角αを有して等間隔D1でかつ平行に延長し、これらフィン部F21b間の板状部F21aには該板状部の重量の低減化と冷却風の積極的な流れの変化を促すための複数の大小の連通孔F21a3、より具体的には4つの連通孔F21a3が開口しており(図7の(a)参照)、この大きな冷却フィン本体F21は、全体としてその平面視やや長いひし形に類似した形状を呈している。なお、板状部F21a,F22aの重量低減化は、該板状部F21a,F22aへの連通孔F21a3の開口に換わる該板状部F21a,F22a自体の他の形状変形においても達成できる。
再び図7の(a)を参照して、小さな冷却フィン本体F22の板状部F22a上面から突出する上部フィン部F22b1は、既述のように4枚であり、その中央の2枚のフィン部F22b1は長く形成されるが、その一方は、該板状部F22a取付ボルト孔用ボス部F22a1との干渉を避けるためにその長さが二分されており、外側の二つのフィン部F22b2は短いフィン部とされている。
また、板状部F22a下面から突出する下部フィン部F22b2は、上部フィン部F22b1と略同様の枚数とされ、該フィン部F22b2は、点火プラグ3e装着座部34a3,34b3への取付けに供される構造から、突出高さが低く抑えられが、図7の(c)の参照から理解できるように、各フィン部F22b2の突出配列そのものは上部フィン部F22b1と互いに対応関係にある。フィン部F22b2は、前記プラグ座部34a3,34b3への取付け構造から中央の2つは部分的に延長するフィン部F22b2として形成され、外側の一方フィン部F22b2は略完全な延長形状を呈している。
そして、これらフィン部F22bが互いに既述の所定傾斜角αを有して等間隔D1で平行に延長し、これらフィン部F22b間の板状部F22aには、大きな冷却フィン本体F21の基板F21a同様、該板状部F22aの重量の低減化と冷却風の積極的な流れの変化を促すための複数、具体的には2つの連通孔F22a3が開口しており(図7の(a)参照)、この小さな冷却フィン本体F22は、全体としてその平面視矩形状の類似形状を呈している。
大小の冷却フィン本体F21,F22の板状部F21a,F22bを互いに連結する連結部F23は、互いに間隔を有して対向する2つの細い板状部である腕部F23aからなる。
そして、大小の冷却フィン本体F21,F22とこれらを互いに連結する連結部F23からなる冷却フィンF2の左右凹状部34a,34bにおけるそれぞれの取付けは、連結部F23の2つの細い腕部F23aが図4において点線で示されるように、2つの点火プラグ装着座部34a3,34a3もしくは34b3,34b3のそれぞれの一方である開放端寄り座部のプラグ装着孔部34a4もしくは34b4を両側から抱え込むようにして位置付けられることでなされる。
連結部F23の前記位置付けは、大小2つの冷却フィン本体F21,F22のそれぞれの板状部F21a,F22aの対応突出ボス部34a5,34b5上面34a51,34b51への載置を可能とし、この載置状態において該2つの板状部F21a,F22aのボルト孔F21a2,F22a2にそれぞれ図示されないボルトが挿通されて前記突出ボス部34a5,34b5のネジ孔34a6,34b6(図6参照)にネジ込まれ締付け固定され、該大小の冷却フィン本体F21,F22からなる冷却フィンF2は前記左右の対をなす凹状部34a,34bの所定位置に取付けられる。
なお、この締付け固定用のボルトを、シリンダヘッド3よりも熱伝導性の良いものとすることで、シリンダヘッド3内部からの熱を該ボルトが一次吸収し、冷却フィンF2に導くことができ、この場合には冷却性がさらに向上する。
対をなすそれぞれの凹状部34a,34bにおいて上述の状態で取付けられた冷却フィンF2は、それぞれの凹状部34a,34bにおいて、点火プラグ3eの装着座部34a3間、34b3間に大きな板状部F21aの冷却フィン本体F21を配設せしめ、また、それぞれの凹状部34a,34b開放端34a1,34b1寄りの装着座部34a3、34b3の外側に小さな板状部F22aの冷却フィン本体F22を配設し、該冷却フィンF21,F22の配設における各フィン部F21b,F22bの向きは同一方向とされる。
そして、前記プラグ装着座部34a3間、34b3間と、開放端寄りの装着座部34a3外側、34b3外側の各突出ボス部34a5,34b5上に、その板状部F21a,F22aがそれぞれ載置されることで取付けられた前記大小の冷却フィン本体F21,F22の該板状部F21a,F22a下面から突出する下部フィン部F21b2,F22b2は、いずれも該冷却フィン本体F21,F22の取付け状態において、その下方端が図6に図示されるように、シリンダヘッド3側構造部である前記凹状部34a,34bの底部34a2,34b2を実質形成するプラグ装着座部34a3,34b3上壁部周辺に対して、所定の比較的狭い隙間D2をもって対面するようになされる。
シリンダヘッド3の上面視(図4,5等参照)において左方側の凹状部34aにおける冷却フィンF2は、そのフィン部F21b,F22bが右下がりとなり、右方側の凹状部34bにおける冷却フィンF2は、そのフィン部F21b,F22bが左下がりとなるように配設され、このために前記冷却フィンF2はその互いに線対象構造とされるものが一対用意される。そして、このフィン部F21b,F22bにおける配設構造は、左右の凹状部34a,34bにおいて該凹状部全域に行き渡る円滑な冷却風の流れを形成する。
冷却フィンF2の構造は概ね上述のようなものであるが、このような固定用ボルトにより取付けられる冷却フィンF2の構造に換えて別の態様として、以下の構造のものとすることができる。
すなわち、図8,9に図示されるように、別体構造として形成された冷却フィンF20は、2つの冷却フィン本体F210,F220と連結部F230を、より具体的には複数の冷却フィン部F210b,F220bを互いに連結する板状部F210a,F220a,F230aからなる台座部F20aがシリンダヘッド3の燃焼室の上部壁を形成する左右凹状部34a,34bの底部34a2,34b2に一体に鋳込まれる構造とされるものである。
左右の凹状部34a,34bにおける冷却フィンF20の配設位置関係は、既述の冷却フィンF2の図4等に図示の配設位置と基本的には変わるところでなく、このために該左右凹状部34a,34bのそれぞれの底部34a2,34b2に鋳込まれる冷却フィンF20の前記台座部F20aには、左右それぞれの凹状部34a,34bにおける開放端寄りのプラグ装着孔部34a4,34b4との干渉を避けるための深めの円弧状に切除された逃げ部F20Aが形成されている。この逃げ部F20Aは、実質的に2つの冷却フィン本体F210,F220を互いに連結する細い板状部F230aを形成する。
冷却フィン部F210b,F220bはそれぞれ板状部F210a,F220aの上面からのみ突出しており、これら冷却フィン部F210b,F220bは、その突出長さは既述の冷却フィンF2の冷却フィン部F21b,F22bに比較して相当量長い構造とされている。しかし、互いに連結される板状部F21a,F22aに対する冷却フィン部F210b,F220bの配列状況や、該フィン部F210b,F220bの枚数、さらにはこれらフィン部F210b,F220bの板状部F210a,F220aに対する傾斜角α等については、基本的には既述した冷却フィンF2の冷却フィン部F21b,F22bと略同様もしくは類似した関係とされている。
この冷却フィン台座部F20aのシリンダヘッド3への鋳込み構造は、シリンダヘッド3表面の突出を最小限に抑え、また冷却フィン部F210b,F220bによるシリンダヘッド3の効果的な放熱において有利なものである。なお、より詳しい作用効果については後述される。
シリンダヘッド3の左右長手方向で互いに対称的に延びる2つの凹状部34a,34bは、シリンダヘッド3の上面視である図4からは定かではないが、斜視図である図5において一部が図示されるように、その長手方向中央部30寄り端部の底部が開口34a7,34b7(34a7のみ図示される)されており、該開口34a7,34b7を通して後述されるヘッド3の前側の水平凹部35から取入れた車輌走行時の走行風である冷却風が該ヘッド3の左右の凹状部34a,34bを流れるようになされ、この構造は、該ヘッド3の図4,5に図示される上面視のさらに下側の所定平面で該ヘッド3を切断した図である図10の参照により理解することができる。
図10の参照によると、シリンダヘッド3の長手方向中央部30の前側(排気側)、すなわち、既述の前側カム軸駆動チェーンC2のための窪み部33(図4,5等参照)の長手方向と同軸線上の該ヘッド3前側には、該窪み部33の下側において、該窪み部33の前側33aを越えて内方向に略水平に指向して延び、後側カム軸3Bを駆動するチェーンC1のための開口32前側の壁部近接位置にまで達する水平方向の深さを有する水平凹部35が設けられており、この水平凹部35は、図10(b)に図示されるように、2本のスタッドボルトB間で窪む前記前側カム軸駆動用チェーンC2のための既述の窪み部33の前側33aを形成する頂部壁33bを有している。
水平方向の深さを有する水平凹部35の内方壁35aには、すなわち前記カム軸駆動用チェーンC1のための空間開口32前側の壁部には、図10(c)に図示される該壁部35aの左右両側を突き抜ける開口35bが設けられており、この左右の開口35bは図10(a)に図示のように、シリンダヘッド3の中央部30を挟んで左右に配置される凹状部34a,34bの該中央部30寄りの端部開口34a7,34b7(図5参照)にそれぞれ連通している。
シリンダヘッド3前側中央の前側カム軸3A駆動機構のための窪み部33の下側に設けられた水平方向の深さを有する水平凹部35から取入れられた車輌走行時の走行風である冷却風は、該凹部35の内方壁35aの左右両側壁の開口35b,35bを通して左右凹状部34a,34bの中央部30寄り開口34a7,34b7から該凹状部34a,34b内へと導入されて、該凹状部34a,34bにおける冷却フィンF2による流れの調整と放熱により点火プラグ3e装着座部34a3,34b3のマウント状上壁部の効果的な冷却作用を行うようになされている。なお、冷却風の導入による冷却作用については後に説明される。
シリンダヘッド3の上部は、シリンダヘッドカバー4により覆われ、該カバー4は、図11の斜視図に示されるように、シリンダヘッド3と同様、車輌の前後方向に直交する方向に延びる全体として略矩形状の長い構造を備えており、該カバー4は図11において点線にて示される2本のカム軸3A,3Bをその上方から略完全に覆うが、点火プラグ3eの装着座部34a3,34b3(図11においては図示されない)が設けられる凹状部34a,34b対応部分は該カバー4が切除された該凹状部34a,34bの外部解放部とされている。
シリンダヘッドカバー4の中央部40の、後側カム軸3B上の2つのスプロケット、すなわち、クランクーカムスプロケット3B2,カムーカムスプロケット3B3を実質的に収容する駆動チェーンC1のための空間31の開口32と、前後カム軸3A,3B上のスプロケット3A3,3B3間に掛け渡された前側カム軸駆動用チェーンC2の上部を覆う部分は、シリンダヘッドカバー4の中央部40をその幅方向で横断するシリンダヘッドカバー4とは別構造であるチェーンカバー41により覆われている。
シリンダヘッドカバー4は、より具体的には、その平面視、図11から明らかなように略H字状の外形形状をなし、該カバー4の長手方向中央部40のチェーンカバー41を挟んでその両側から延びる対をなすカバー部分42,43が、丁度前後のカム軸3A,3Bを覆う2つの上方に張出した長手方向に延びる山部を形成して、この山部間が長手方向に延びる谷部とされ、該谷部の下方はシリンダヘッド3の凹状部34a,34bの上述の外部解放部とされている。
ここで、車輌走行時における走行風である冷却風の流れと、該冷却風による冷却作用について簡単に説明する。
車輌の走行時には、シリンダヘッド3の前側中央部の上述した冷却空間である水平凹部35に走行風である冷却風が図示イのように流れ込み(図10等参照)、該水平凹部35の周壁を冷却し、この導入冷却風は、前記水平凹部35の内方壁35aの左右両側開口35b,35bから左右にロ,ハの如く分流して、左右の凹状部34a,34b(図4,5も参照)に流れ込み、この冷却風ロ,ハの流れは、図示中央部30寄りの点火プラグ3e装着座部34a3,34b3の上壁部(図10(d)参照)に沿って該左右凹状部34a,34b内をそれぞれ流れる。
中央部30寄りの点火プラグ3e装着座部34a3,34b3の上壁部を流れた前記冷却風は、大きな冷却フィン本体F21の上下面のフィン部F21bにより流れが調整され、同時に該フィン部F21bを冷却して放熱し、外方寄りの点火プラグ3e装着座部34a3,34b3の上壁部に沿って流れ、小さな冷却フィン本体F22の上下面のフィン部F22bにより再び流れが調整され、同時に該フィン部を冷却して放熱し、その後冷却風は、左右の凹状部34a,34b開放端34a1,34b1からそれぞれ外部へと流れる。外部に流れた冷却風は、さらにシリンダヘッド3やシリンダブロック2の両側外周や後部外周に回り込む流れを形成してシリンダヘッド3やシリンダブロック2を冷却する。
本発明の実施例は、上述の構成であるから、以下のような効果を奏する。
シリンダヘッド3の中央前側の水平凹部35から取入れられた冷却風は、まず該凹部35の周壁を冷却するので、該ヘッド3の排気側の冷却が効果的になされ、また、水平凹部35は比較的深く駆動チェーンC1のための空間31に近接する位置まで達しているので、該空間31に隣接配置されたシリンダブロック2の中間部のシリンダ孔2b,2c(図3参照)の上部相当部近傍を冷却することができる。
さらに、シリンダヘッド3の左右の凹状部34a,34bに流れ込んだ冷却風は、点火プラグ3eの装着座部34a3,34b3やその上部の凹状部34a,34bの周壁部を冷却し、シリンダヘッド3の上部を効果的に冷却する。また、左右の凹状部34a,34bの開放端34a1,34b1から流出した冷却風は、シリンダヘッド3やシリンダブロック2の両側外周や後部外周に沿って流れるので、該ヘッド3や該ブロック2を効果的に冷却する。
シリンダヘッド3の左右の凹状部34a,34bに、該ヘッド3と別体に形成されることで十分な放熱容量を確保した冷却フィンF2の上下フィン部F21b,F22bによる大きな放熱作用で、該凹状部34a,34bの点火プラグ3E装着座部34a3,34b3とその周辺の篭り熱は効果的に放熱される。また、該凹状部34a,34bにおける冷却風は、該冷却風を導くために傾斜した該冷却フィンF2の上下フィン部F21b,F22bによる流れの調整作用で点火プラグ3eの装着座部34a3,34b3上壁部全域に行き渡る2層の冷却風の円滑な流れを形成するので、該座部34a3,34b3の冷却効果がさらに向上する。
冷却フィンF2は、シリンダヘッド3と別体形成されるから、カム軸3A,3B間の狭い空間における該冷却フィンF2の配設に伴う該ヘッド3との一体成型による成型上の問題の排除解消が図られ、またカム軸3A,3B間の狭い空間における冷却フィンF2配設における位置調整が可能とされるからスペース的な面での調整が行ない易くなるので、フィン部F21b,F22bの長さが十分で放熱容量の大きな冷却フィンF2の該カム軸3A,3B間の狭い空間への配設が可能となる。
別体形成された冷却フィンF2は、そのフィン部F21b,F22b間の板状基板F21a,F22aに複数の連通孔F21a3,F22a3が形成されるから、冷却フィンF2の重量の低減が図られる。また、板状部F21a,F22aの上下面間における連通孔F21a3,F22a3を通した流れの形成により、冷却風の流れを積極的に変化させることが可能となり、点火プラグ装着座部34a3,34b3上壁部全域に行き渡る冷却風の流れを形成することができる。
また、別体形成された冷却フィンの上述の別の態様においては、冷却フィンF20の板状部である台座部F20aがシリンダヘッド3の実質的な燃焼室上部壁を形成する左右凹状部34a,34b底部34a2,34b2に一体に鋳込まれるから、冷却フィンF20とシリンダヘッド3の燃焼室上壁部である構造部との接触面の拡大と密着性が図られ、熱の伝達性を大幅に向上させることができ、シリンダヘッド3側の熱量を効率的に冷却フィン部F21b,F22bを通じて放熱することができる。
さらに、冷却フィンF20における前記台座部F20aの鋳込み構造の採用は、左右凹状部34a,34b底部34a2,34b2に冷却フィンF20取付けのためのボスを形成する必要性を排除するので該底部34a2,34b2の構造そのものは簡素化され、シリンダヘッド3の表面の突出を最小限に止めることができ、冷却風の流れは円滑化され、また、冷却フィンF20の板状台座部F20aがシリンダヘッド3に鋳込まれるのでシリンダヘッド3に凹状部を形成しても該ヘッド3の剛性は損なわれることがない。
本発明の内燃機関の部分的に断面とされた側面図である。 本発明の内燃機関の主要構造部を示す縦断面図である。 本発明のシリンダブロックを示す該ブロックの上面視図である。 本発明のシリンダヘッドを示す該ヘッドの拡大上面視図である。 本発明のシリンダヘッドを示す該ヘッドの上面斜視図である。 本発明のシリンダヘッドを示す拡大側断面図である。 本発明の冷却フィンを示す図であり、(a)は、上面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、下面図、(d)は、(a)のB−B断面図である。 本発明の冷却フィンの別の実施態様を示す図であり、(a)は、上面図、(b)は、側断面図、(c)は、下面図である。 図8の冷却フィンの斜視図である。 本発明のシリンダヘッドの主要構造部を示す所定の一平面における断面図であり、(a)は、該断面の平面図、(b)は、(a)のC−C断面図、(c)は、(a)のD−D断面図、(d)は、(a)のE−E断面図である。 本発明のシリンダヘッドカバーを示す斜視図である。
符号の説明
1・・・クランクケース、2・・・シリンダブロック、3・・・シリンダヘッド、3A,3B・・・カム軸、3B2・・・クランクーカムスプロケット、3A3・・・スプロケット、3B3・・・カムーカムスプロケット、31・・・空間、32・・・開口、33・・・窪み部、34a,34b・・・凹状部、34a3,34b3・・・点火プラグ装着座部、34a4,34b4・・・取付け孔、34a5,34b5・・・冷却フィン取付けボス部、34a6,34b6・・・取付けネジ孔、35・・・水平凹部、35b・・・開口、4・・・シリンダヘッドカバー、10・・・クランク軸、C1・・・カム軸駆動用チェーン、C2・・・前側カム軸駆動用チェーン、F1,F2,F20・・・冷却フィン、F21,F22,F210,F220・・・冷却フィン本体、F20a・・・板状台座部、F21a,F22a,F210a,F220a・・・板状部、F21b,F22b,F210b,F220b・・・フィン部、F23,F230・・・連結部。

Claims (6)

  1. 吸排気弁を2本のカム軸により作動させるDOHC内燃機関であって、前記カム軸および点火プラグを備えるシリンダヘッドと、両カム軸間でかつ点火プラグ周辺に配置される冷却フィンを備えるシリンダヘッドの冷却構造において、
    前記冷却フィンは、前記シリンダヘッドに該シリンダヘッドと別部材により形成されていることを特徴とするシリンダヘッドの冷却構造。
  2. 前記冷却フィンは、板状部と、該板状部から突出する複数のフィン部からなり、該冷却フィンは、その板状部を介してシリンダヘッドに固定されることを特徴とする前記請求項1記載のシリンダヘッドの冷却構造。
  3. 前記シリンダヘッドの前記カム軸間には、前記冷却フィンを締結により固定するためのボス部が突出形成されていることを特徴とする前記請求項2記載のシリンダヘッドの冷却構造。
  4. 前記板状部からシリンダヘッド側にフィン部を突出形成することを特徴とする前記請求項3記載のシリンダヘッドの冷却構造。
  5. 前記シリンダヘッドに形成されるカム軸駆動機構の近傍に内燃機関前方とカム軸間を連通する連通開口が少なくとも内燃機関前側のカム軸下方に形成され、前記フィン部がカム軸間に冷却風を導くように傾斜して形成されることを特徴とする前記請求項3または4に記載のシリンダヘッドの冷却構造。
  6. 前記内燃機関に設けられる冷却フィンにおいて、該冷却フィンは、内燃機関に形成されたボス部に締結される板状部と、該板状部から内燃機関側に突出して形成されるフィン部を少なくとも備えていることを特徴とする内燃機関に設けられる冷却フィン。
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