JP2006233352A - 編組体および構造体の補修・補強方法 - Google Patents

編組体および構造体の補修・補強方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、構造体を効率よく安価に補修・補強でき、かつ、補修・補強した後でも構造体本体が容易に視認できる編組体、および、それを用いた構造体の補修・補強を提供せんとするものである。
【解決手段】 本発明の編組体は、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが2つ以上引き揃えられ、それらがm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲であることを特徴とする。
本発明における好ましい構造体の補修・補強方法は、上記編組体を、25℃における粘度が500〜5,000mPa・sの樹脂で含浸、固化することにより、構造体の外面に貼り合わせて構造体を補修・補強することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、優れた引張耐荷重が発現でき、優れた樹脂の含浸性と柔軟性とを兼ね備えるため、構造体を効率よく補修・補強でき、かつ、補修・補強した後の構造体本体の視認性に優れる安価な編組体、および、それを用いた構造体の補修・補強方法に関する。
炭素繊維糸条を用いた織物は、その優れた力学的特性から、航空・宇宙用途をはじめとして、構造体の補修・補強用途を含めて幅広い用途に用いられている。例えば、特許文献1には、二方向性織物や一方向性織物を用いてコンクリート構造物を補修・補強する旨の開示がある。
例えば、一方向性織物を用いて補修・補強を行うと、全ての炭素繊維糸条が織物の長手方向と並行に配列していることから、補修・補強効果(力学特性の発現)には極めて優れるといった長所がある。しかしながら、織物を構造体に樹脂で貼り付けると、補修・補強した後には構造体本体を視認することができなくなり、元の構造体を補修・補強した後に検査できないといった問題があった。
一方、組紐に関しては、特許文献2にはポリプロピレン繊維の紐を芯とした炭素繊維の組紐を用いたロックボルトに関する記載がある。また、特許文献3には炭素繊維を芯として化学繊維で組紐にしたものを用いた構造用材料に関する記載がある。しかしながら、かかる特許文献には、樹脂が含浸した複合材料としてロックボルトや補強筋として用いる記載はあるが、ドライな編組体を用いて、構造体に巻き付けた後に樹脂を含浸して構造体の補修・補強を行うことに関する記載がない。すなわち、樹脂が含浸された複合材料は、強化繊維が樹脂に拘束された状態で固定されているため、強度や弾性率が高い状態、つまり柔軟性が殆どない状態となっている。そのため構造体に巻き付けることは極めて困難であり、仮に巻き付けたとしても細かい凹凸に追従することは不可能であった。一方、樹脂含浸前のドライな状態においては、樹脂による拘束がないため極めて高い柔軟性を示す。かかる態様であれば構造体に容易に巻き付けて追従させることができ、その後に樹脂を含浸すれば、優れた補修・補強効果を発現することができるのである。また、このような用途において重要になる樹脂の含浸性や、ドライな編組体での取扱性に関する記載も一切見られない。更には、補修・補強に必要な編組体における強度発現率の向上に関する記載も見当たらない。
つまり、従来技術によると、構造体を効率よく補修・補強でき(優れた引張耐荷重が発現でき)、かつ、補修・補強した後の構造体本体の視認性に優れる安価な強化材は見出されておらず、これら要求を満たす技術が渇望されていた。
特開平10−102792号公報 特開平06−330700号公報 特開平06−212736号公報
本発明は、構造体を効率よく補修・補強でき、かつ、補修・補強した後の構造体本体の視認性に優れる安価な編組体、および、その編組体を用いる構造体の補修・補強方法を提供する。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の編組体は、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが2つ以上引き揃えられ、それらがm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲であることを特徴とするものである。
また、別の視点からは、本発明の編組体は、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが2つ以上撚り合わされ、それらがm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲であることを特徴とするものである。
更に、別の視点からは、本発明の編組体は、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが3つ以上編組され、それらがm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲であることを特徴とするものである。
本発明における好ましい構造体の補修・補強方法は、上記編組体を、25℃における粘度が500〜5,000mPa・sの樹脂で含浸、固化することにより、構造体の外面に貼り合わせて構造体を補修・補強することを特徴とするものである。
本発明の編組体によれば、優れた引張耐荷重が発現でき、優れた樹脂の含浸性と柔軟性とを兼ね備えるため、優れた補修・補強効果が実現でき、かつ、補修・補強した後でも構造体本体が容易に視認できる構造体の補修・補強を安価に行うことができる。
本発明における好ましい構造体の補修・補強方法によれば、前記編組体および所定粘度の樹脂を用いるため、樹脂の含浸が確実にされ、品質が安定した構造体の補修・補強を行うことができる。
本発明の編組体は、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが2つ以上引き揃えられ、それらがn本を超えるm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲である。
かかる編組体ユニットとは、芯鞘構造を有する本発明の編組体における芯部分を構成しているものに相当する。また、かかる編組体スリーブとは、芯鞘構造を有する本発明の編組体における最外表面に位置する鞘部分を構成しているものに相当する。なお、編組体ユニットにおいては、それ自体が更に芯鞘構造を有していてもよい。その場合は、編組体ユニットは本発明の編組体の芯部分に相当しながらも、本発明の編組体ユニット自体の鞘部分にも相当していることになるが、本発明では編組体ユニットと称する。
本発明の編組体の特徴の一つは、高い引張荷重に耐え得ることが挙げられる。引張耐荷重を効率よく発現するために、本発明の編組体は、編組体における炭素繊維糸条の目付が、100〜500g/mの範囲である。より好ましくは200〜400g/m、更に好ましくは250〜350g/mの範囲である。目付が100g/m未満であると、編組体の柔軟性や樹脂含浸性には優れるが、編組体1本当たりの分担できる荷重レベルが低く、本発明の課題を解決できない。一方、500g/mを超えると、荷重レベルとしては十分であるが、例えば構造体の補修・補強において、マトリックス樹脂を編組体に含浸させる際の樹脂含浸性に劣る。すなわち、編組体の芯まで樹脂を含浸させることが困難となる。
本発明の編組体の他の特徴として、優れた樹脂の含浸性と柔軟性とを兼ね備えることも挙げられる。かかる目付の範囲で柔軟性を発現するために、本発明の編組体は、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成された編組体ユニットが2つ以上引き揃えられ、それらがn本を超えるm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われている構成を有するのである。かかる構成、すなわち、2つ以上の編組体ユニットが編組体スリーブに覆われている構成であると、本発明に必要な上記の炭素繊維糸条の目付においても優れた樹脂の含浸性と柔軟性とを兼ね備えた編組体が得られるのである。
ここで、上記nは4〜24の範囲である。より好ましくはn=6〜20、更に好ましくは8〜16の範囲である。また、上記mは24〜144の範囲である。より好ましくはm=48〜96、更に好ましくは60〜80の範囲である。nおよびmがかかる範囲であると、編組体の引張耐荷重の発現と樹脂の含浸性と柔軟性とのバランスが最も優れ、上述の本発明の効果を最大限に発現させることができるのである。
また、別の視点からは、上記編組体ユニットが引き揃えられるのではなく、2つ以上撚り合わされたり、3つ以上編組されている形態も本発明に含まれる。
編組体ユニットが引き揃えられている場合は、僅かに樹脂含浸性に劣るものの、とりわけ高い引張耐荷重を発現することができる。一方、編組体ユニットが撚り合わされている場合は、僅かに引張耐荷重の発現に劣るものの、より優れた樹脂含浸性を発現することができる。また、かかる編組体ユニットが編組されている場合は、撚り合わされた場合よりも更に引張耐荷重の発現に劣るものの、とりわけ優れた樹脂含浸性を発現することができる。前述の通り、編組体スリーブに覆われる編組体ユニット群の形態は、用途やその狙いにより上記形態の中から適宜選択することができる。
すなわち、本発明の編組体は、上述の通り優れた引張耐荷重、樹脂の含浸性および柔軟性を兼ね備えることにより、例えば構造体の補修・補強において、構造体の形状に沿って容易に追従でき、かつ、優れた引張耐荷重を発現するため、優れた補修・補強効果を実現できるのである。
本発明で用いる炭素繊維糸条は、繊度が800〜3,500tex、フィラメント数が12,000〜48,000本の範囲である。より好ましくは繊度が1,000〜1,800tex、フィラメント数が15,000〜24,000本の範囲である。かかる範囲の炭素繊維糸条であると、安価に炭素繊維糸条を入手できるだけでなく、編組体を製造する場合に、炭素繊維糸条の屈曲の数を少なくでき、高い引張耐荷重を発現できる。また、多くの炭素繊維の単繊維を効率的に編組体化することができ、編組体の生産性にも優れる。換言すると、繊度が800tex未満、または、フィラメント数が12,000本未満であると、編組体にした場合の炭素繊維糸条の屈曲する数が多くなるため、柔軟性には富むが、補強効果が不足して本発明の効果が発現しない。一方、繊度が3,500texを超える、または、フィラメント数が48,000本を超えると、炭素繊維糸条の屈曲の数は少なくできるが、糸条が太くなることにより炭素繊維糸条の屈曲自体が大きくなり、逆に補強効果が低下する。また、得られる編組体の柔軟性にも劣り、例えば構造体に巻き付けて補修・補強を行う場合に、構造体形状への追従性に劣り、効率的に構造体を補修・補強できないのである。
ここで、本発明の編組体が組紐状であると、編組体の形態を左右対称にすることができるため、均一な柔軟性・取扱性を発現できる。また、構造体に巻き付けて用いる場合に構造体の形状にフレキシブルに追従することができ、とりわけ好適である。この場合、上記範囲の炭素繊維糸条が組紐の長手方向に対してα°(−90<α<90であり、0を除く範囲から選ばれる1つ又は2つ以上の角度)にそれぞれ配列されている態様、すなわち2軸の組紐状編組体が例として挙げられる。かかるα°にそれぞれ配列されている態様において、1間飛び、2間飛び、更には3間飛び組織など、必要な柔軟性に応じて組織を選択することができる。
本発明の編組体が、より高く引張耐荷重を効率よく発現するために、前記したように編組体ユニット自体が芯鞘構造を有していてもよい。その具体的態様としては、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニット中に、更にk本(k=2〜16)の炭素繊維糸条が編組体ユニットの長手方向に引き揃えられている構成、換言すると、引き揃えた炭素繊維糸条(編組体ユニットの芯部分に相当、以下同じ。)を編組体ユニット(編組体ユニットの鞘部分に相当、以下同じ。)が覆っている構成は、本発明において好ましい態様といえる。編組体ユニットを構成している炭素繊維糸条は、長手方向に対して角度を有しているが、上述の様に炭素繊維糸条が編組体ユニット中で長手方向に引き揃えられていると、より高い引張耐荷重を発現することができるのである。
また、別の視点からは、n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットに、更にk本(k=2〜16)の炭素繊維糸条が編組体ユニットの長手方向に共に編組されている構成、いわゆる3軸の組紐状編組体の構成も本発明において好ましい態様といえる。上述の様に炭素繊維糸条が編組体ユニットの長手方向に編組体ユニットと共に編組されていると、上述のように引き揃えている態様よりは炭素繊維糸条が屈曲し易いため引張耐荷重の発現効果は若干低下するが、優れた柔軟性および樹脂含浸性を発現することができるのである。
ここで、上記kは2〜16の範囲であることが好ましい。より好ましくはk=4〜12、更に好ましくは6〜8の範囲である。kがかかる範囲であると、編組体の引張耐荷重の発現と柔軟性とのバランスが最も優れ、上述の本発明の効果を最大限に発現させることができるのである。
本発明の編組体が、より高い引張耐荷重を効率よく発現するために、編組体ユニットを構成している炭素繊維糸条の配向角度が、編組体の長手方向に対して5〜15°の範囲で、かつ、編組体スリーブを構成している炭素繊維糸条の配向角度が10〜30°の範囲であることが好ましい。上記構成において、編組体ユニットは引張耐荷重を分担し、編組体スリーブは柔軟性の付与を分担する。すなわち、編組体ユニットにおける炭素繊維糸条の配向角度が5°未満であると、編組体が解れ易く、取扱性に劣る場合がある。一方、15°を超えると、引張耐荷重を十分に分担できない場合がある。編組体スリーブにおける炭素繊維糸条の配向角度が10°未満であると、編組体スリーブが覆っている編組体ユニットをほとんど拘束できず、取扱性に劣るだけでなく、例えば構造体に巻き付ける場合に編組体の断面の径・形状が容易に変化し易く、構造体への接着形態が不安定になりすぎる場合がある。一方、30°を超えると、編組体スリーブが覆っている編組体ユニットを締め付け過ぎるだけでなく、編組体の柔軟性に劣り易く、例えば構造体に巻き付ける場合に追従性に劣り、直接接触する部分が相対的に減少して効率的に補修・補強できない場合がある。
本発明の編組体が、より優れた樹脂の含浸性を発現するためには、嵩密度が0.3〜2g/cmの範囲であるのが好ましい。より好ましくは0.4〜1.7g/cm、更に好ましくは0.5〜1.5g/cmの範囲である。嵩密度が0.3g/cm未満であると、嵩高過ぎて編組体の取扱性、形態安定性に劣る場合がある。一方、2g/cmを超えると、例えば、構造体の補修・補強において、マトリックス樹脂を編組体に含浸し、構造体に接着する際の樹脂含浸性に劣る場合がある。かかる嵩密度は、編組体における炭素繊維糸条の目付(g/mからg/cmに換算した値)を、後述の編組体における断面の円相当面積(cm)で除した値を指す。なお、かかる断面の円相当面積(cm)は、後述の円相当直径(mmからcmに換算した値)を二乗して円周率π/4を乗じた値を用いる。かかる断面の円相当直径は、静置した編組体の任意の位置について、10箇所をノギスで測定した平均値(mm)とする。
上述の通り、本発明の編組体は、優れた引張耐荷重の発現が実現でき、柔軟性にも富むため、構造体の外面に貼り合わせることにより、効率よく安価に構造体を補修・補強できる。また、構造物がコンクリートなどである場合、コンクリートの剥落を防止することもできる。更に、補修・補強した後でも構造体本体が容易に視認できる補修・補強を行うことができる。以下に実施の態様の一例を図面を用いて、補修・補強時に視認性が優れる理由を説明する。
図1は、本発明の編組体により補修・補強された構造体の概略図である。
図2は、本発明の範囲外の織物により補修・補強された構造体の概略図である。
図1では、本発明の編組体1をコンクリート構造体2に巻き付け、樹脂4を介して貼り合わせている。一方、図2では、本発明の編組体ではない織物5をコンクリート構造体2に巻き付け、樹脂4を介して貼り合わせている。
かかる織物5は、編組体1と同じ強度を発現するものを用いており、図1と同量の炭素繊維糸条を用いてコンクリート構造体2を補修・補強している。図2から明かなように、織物を用いた場合は、コンクリート構造体2が殆ど視認できない。これに対して図1では、織物5と同じ強度を発現する編組体1を用いている。かかる編組体1は織物5よりその幅が狭いために織物5と同じピッチで構造体に貼り合わせると、隣接する編組体1の間に効率よく炭素繊維が存在しない隙間を形成することができる。この隙間から、補修・補強した後のコンクリート構造体本体を直接視認できるため、補修・補強後の構造体自体のメンテナンスや検査を容易に行うことができるのである。この点は本発明の大きな特徴ということができ、本発明の編組体は、かかる用途に用いられてこそ、その効果が最大限に発現される。
本発明における好ましい構造体の補修・補強方法は、前記編組体を、25℃における粘度が500〜5,000mPa・sの樹脂で含浸、固化することにより、構造体の外面に貼り合わせて構造体を補修・補強するものである。かかる樹脂のより好ましい樹脂の粘度は800〜3,000mPa・s、更に好ましくは1,000〜2,500mPa・sの範囲である。
かかる樹脂粘度が500mPa・s未満であると、樹脂の粘度が低すぎて、構造体に塗布した場合に樹脂のタレが発生し易く、編組体を構造体に完全に接着できないだけでなく、編組体に含浸すべき樹脂量が不足する場合がある。一方、5,000mPa・sを超えると、樹脂の粘度が高すぎて本発明の編組体の芯まで完全に樹脂を含浸することができない場合がある。
(実施例1)
繊度が800tex、フィラメント数が12,000本である炭素繊維糸条を並行に6本引き揃えた。同じ炭素繊維糸条を24本用いて、長手方向に対して12本が+15°、残る12本が−15°に配列した組紐で前記6本の引き揃えた炭素繊維糸条を覆った組紐ユニットを作製した。かかる組紐ユニットは、炭素繊維糸条30本から構成されたものであり、炭素繊維糸条の目付は27g/mであった。
かかる組紐ユニットを11本お互いに並行に引き揃え、それらを、前記炭素繊維糸条を48本用いて、長手方向に対して24本が+30°、残る24本が−30°に配列した組紐スリーブで覆った本発明の編組体(組紐)を作製した。得られた組紐は、炭素繊維糸条378本から構成されたものであり、炭素繊維糸条の目付は322g/m、嵩密度1.8g/cmであった。
かかる組紐は、少ない糸条本数で炭素繊維糸条の高目付化を実現できた。また、高い引張荷重に耐えることができ、組紐を30cm直径の紙管に巻き取った際に、組紐がスムーズに巻き取れるレベルに柔軟性にも優れるものであった。
(実施例2)
組紐ユニットを引き揃えずに、11本の組紐ユニットを5ターン/mで撚り合わして組紐スリーブで覆った点だけを変更し、あとは実施例1と同様にして本発明の編組体(組紐)を作製した。得られた組紐は、炭素繊維糸条378本から構成されたものであり、炭素繊維糸条の目付は338g/m、嵩密度1.6g/cmであった。
かかる組紐は、実施例1と同様に少ない糸条本数で炭素繊維糸条の高目付化を実現できた。但し、長手方向に配向した炭素繊維が実施例1に較べて若干少なくなっている。また、組紐を30cm直径の紙管に巻き取った際に、組紐がスムーズに巻き取れるレベルに柔軟性にも優れるものであった。但し、実施例1よりは若干柔軟性に劣る感触であった。
(実施例3)
組紐ユニットの全てを引き揃えずに、3本の組紐ユニットだけを引き揃え、それを覆うように8本の組紐ユニットを用いて編組して組紐状にし、更に組紐スリーブで覆った点だけを変更し、あとは実施例1と同様にして本発明の編組体(組紐)を作製した。得られた組紐は、炭素繊維糸条378本から構成されたものであり、炭素繊維糸条の目付は345g/m、嵩密度1.4g/cmであった。
かかる組紐は、実施例1と同様に少ない糸条本数で炭素繊維糸条の高目付化を実現できた。但し、長手方向に配向した炭素繊維が実施例1に較べて僅かに少なくなっている。また、組紐を30cm直径の紙管に巻き取った際に、組紐がスムーズに巻き取れるレベルに柔軟性にも優れるものであった。但し、実施例1、2よりは僅かに柔軟性に劣る感触であった。
(実施例4)
実施例1で作製した組紐に、25℃における粘度が1,800mPa・sの樹脂をローラーおよびヘラを用いてしごきながら含浸し、5日間養生した。組紐を切断して断面観察した結果、樹脂が中心まで含浸していることが確認できた。
(比較例1)
繊度が400tex、フィラメント数が6,000本である炭素繊維糸条を48本用いて、長手方向に対して24本が+25°、残る24本が−25°に配列した組紐ユニットのみで形成した本発明外の編組体(組紐)を作製した。得られた組紐は、炭素繊維糸条48本から構成されたものであり、炭素繊維糸条の目付は20g/mであった。
かかる組紐は、組紐を30cm直径の紙管に巻き取った際に、組紐がスムーズに巻き取れるレベルに柔軟性にも優れるものであったが、絶対的な糸条本数が少なく、高目付化が実現できなかった(十分な引張耐荷重が期待できない)。
(比較例2)
比較例1で作製した組紐を、組紐ユニットとして12本お互いに並行に引き揃え、それらを比較例1と同じ炭素繊維糸条を48本用いて、長手方向に対して24本が+35°、残る24本が−35°に配列した組紐スリーブで覆った本発明外の編組体(組紐)を作製した。得られた組紐は、炭素繊維糸条624本から構成されたものであり、炭素繊維糸条の目付は272g/m、嵩密度2.4g/cmであった。
かかる組紐は、嵩密度が高過ぎるため含浸性に劣るだけでなく、組紐を30cm直径の紙管に巻き取った際に、組紐が巻けないレベルに柔軟性にも劣るものであった。また組紐の配向角度が大きく、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度も小さいため屈曲箇所が多く、高い引張耐荷重が期待できない。
(比較例3)
比較例2で作製した組紐に、25℃における粘度が27,000mPa・sの樹脂を用いて、ローラーおよびヘラでしごきながら含浸し、5日間養生した。組紐を切断して断面観察した結果、樹脂が未含浸の部分が2/3以上あり、含浸不良であることが確認できた。
本発明の編組体によれば、優れた引張耐荷重が発現でき、柔軟性にも富むため、構造体を効率よく補修・補強でき、かつ、補修・補強した後でも構造体本体が容易に視認できる構造体の補修・補強を安価に行うことができる。このような編組体は、柱(例えば橋脚)、梁(例えば橋梁)などの特にコンクリート構造体の補修・補強に用いるのに好適である。
本発明の編組体により補修・補強された構造体の概略図である。 本発明の範囲外の織物により補修・補強された構造体の概略図である。
符号の説明
1:編組体
2:コンクリート構造体
3、6:補修・補強されたコンクリート構造体
4:樹脂
5:織物

Claims (10)

  1. n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが2つ以上引き揃えられ、それらがm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲であることを特徴とする編組体。
  2. n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが2つ以上撚り合わされ、それらがm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲であることを特徴とする編組体。
  3. n本(n=4〜24)の炭素繊維糸条から構成される編組体ユニットが3つ以上編組され、それらがm本(m=30〜144)の炭素繊維糸条から構成される編組体スリーブで覆われており、かつ、編組体における炭素繊維糸条の目付が100〜500g/mの範囲であり、かつ、用いる炭素繊維糸条の繊度が800〜3,500texであり、フィラメント数が1,200〜4,800本の範囲であることを特徴とする編組体。
  4. 編組体ユニット中に、更にk本(k=2〜16)の炭素繊維糸条が編組体ユニットの長手方向に引き揃えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の編組体。
  5. 編組体ユニットに、更にk本(k=2〜16)の炭素繊維糸条が編組体ユニットの長手方向に共に編組されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の編組体。
  6. 編組体の長手方向に対して、編組体ユニットを構成している炭素繊維糸条の配向角度が5〜15°の範囲で、かつ、編組体スリーブを構成している炭素繊維糸条の配向角度が10〜30°の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の編組体。
  7. 編組体が組紐状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の編組体。
  8. 嵩密度が0.3〜2g/cmの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の編組体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の編組体が、外面に補強材を貼り合わせる構造体の補修・補強用であることを特徴とする構造体の補修・補強用編組体。
  10. 請求項9に記載の編組体を、25℃における粘度が500〜5,000mPa・sの樹脂で含浸、固化することにより構造体の外面に貼り合わせて、構造体を補修・補強することを特徴とする構造体の補修・補強方法。
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