JP2006232718A - 防黴芳香剤及びその製造方法並びに防黴芳香方法 - Google Patents

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達男 鈴木
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Abstract

【課題】
人や肌にやさしく、その薬効性も長く維持でき、更に芳香性を有することでリラックスできる効果を有する防黴芳香剤を提供できるようにする。
【解決手段】
植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材と、該基材を担持するステアリン酸ナトリウムとを混合して固結することにより素材を形成し、当該素材を成形具で形成して充填物を形成し、異なる植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材からなる上記充填物の複数種類を一つの揮散用容器に収納した。
【選択図】図1

Description

本発明は、湿気の多い場所例えば浴室等に設置して使用される防黴芳香剤、その製造方法及び防黴芳香方法に関するものである。
浴室の窓やタイルの側壁、冬季の締め切った室内の窓等には結露が発生しやすく、この結露と室温により、黴が発生することが知られている。
そこでこうした黴の発生を防止するものとして、ジンクピリチオンやチアベンダゾール等の防黴成分を含有する薬剤を噴霧により若しくは燻煙・燻蒸し、浴室内面の天井及び壁面に塗布するようにしたものが提案されている(特許文献1)。
特願2002−86770号公報
ところが上記公報に記載された防黴剤は、ジンクピリチオンやチアベンダゾール等の薬剤で防黴するものであり、これらの薬剤は人や肌に有害であることから、噴霧や散布した後、室内空気の入れ替えや洗浄を行なうことが望ましく、その施工に手間がかかる上、室内空気の入れ替えや洗浄を行なうことにより、せっかく施工したものが洗い流されたり、希釈されてしまうので、その薬効の持続性がなくなってしまうという問題もあった。
本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、人や肌にやさしく、その薬効性も長く維持でき、更に芳香性を有することでリラックスできる効果を有する防黴芳香剤を提供できるようにすることを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明にかかる防黴芳香剤は、植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材と、該基材を担持するステアリン酸ナトリウムとを混合して固結することにより素材を形成し、当該素材を成形具で成形し、異なる植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材からなる上記立方体若しくは直方体の複数種類を一つの揮散用容器に収納したことを特徴とするものである。
此処で、成形物の形状は立方体若しくは直方体に形成することが望ましい。
本発明にかかる防黴芳香剤の製造方法は、不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材を植物から抽出若しくは精製し、該基材とこれを担持するステアリン酸ナトリウムとを混合して固結して素材を形成し、異なる植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材を有する充填物の複数種類を一つの揮散用容器に収納するようにしたことを特徴とするものである。
更に、本発明のかかる防黴芳香方法は、植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材のミストを室内に設置された揮散用容器から浮遊させ、該浮遊する基材のミストを室内の内面に付着させることにより、流下する湿気の結露に溶解せず防黴並びに芳香機能を維持するようにしたことを特徴とするものである。
本発明によれば、薬効成分である植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材を蒸散させ、この蒸散ミストを例えば浴室の天井や窓を含む側面部分に付着させ防黴する。
この時、当該基材が不水溶性若しくは難水溶性であることから、結露とともにあるいは水での洗浄にも流れ落ち難いことから、その防黴機能を長く維持することができる。
また、基材は植物から抽出若しくは精製された人や肌に優しいものであることから、この防黴芳香剤を設置するだけで済み、従来のジンクピリチオンやチアベンダゾール等からなる基材のように撒布後の洗浄や空気の入れ替え等の作業を必要とせず、簡単に実施することができる利点がある。
更に、撒布後の洗浄や空気の入れ替え等の作業を必要としないことから、希釈や洗い流しがなく、この点でも防黴機能を長く維持することができる。
加えて、基材が芳香性を有することから、本発明の防黴芳香剤を浴室等に設置すると、入浴により血液の循環がよくなっていることと相俟って、芳香性による森林浴等のリラックス効果も期待できる。
また、一つの揮散容器に収納する基材を立方体若しくは直方体に形成する場合には、簡単に製造ができながらも、基材同士間に大きな空間を形成して、放散性を高めることができる利点もある。
因みに、異なる植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で揮発性を有する基材からなる立方体若しくは直方体の複数種類を一つの揮散用容器に収納するようにしてあるので、芳香性の異なる基材の割合を適宜変更することにより、個々の芳香を損なうことなく、異なる香りの防黴芳香剤を簡単に生産することができる利点もある。
以下本発明にかかる好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明にかかる防黴芳香剤の構成を示す斜視図であって、図中符号1は防黴芳香剤を全体的に示す。
この防黴芳香剤1は、上部に開口部2を有する揮散用容器3と、この揮散用容器3に収納された芳香性と揮発性を有する後述の基材4を含んだ素材5で立方体若しくは直方体に形成された充填物6と、揮散防止用シート7を挟んで揮散用容器3の開口部2に嵌合する蓋8とを備えてなる。
上記揮散用容器3は、透明な合成樹脂で形成され、上端の開口部の周縁には蓋嵌合用の雄螺子9が形成されている。
尚、揮散用容器3を透明な合成樹脂で形成したのは、使用時に内部に収納した充填物6の変化を確認するもので、必ずしも透明な合成樹脂に限られるものではなく半透明であってもよいことは勿論である。
上記揮散防止用シート7は合成樹脂シートで円形に形成されている。
また、蓋8は、合成樹脂により形成され、上面部分に複数の揮散用の透孔10が穿設されており、周縁から垂下された側壁の内周面部分には上記揮散用容器3の開口部2の周縁に形成された雄螺子9に螺合する雌螺子(図示せず)が形成されている。
揮散用容器3に収納される芳香性と揮発性を有する基材4を含んだ素材5からなる立方体若しくは直方体形状の充填物6は、図2および図3に示す工程により形成される。
即ち、図2に示すように成型用容器11に例えば榊等の常緑樹植物から樹液を抽出してこれを精製した基材4とステアリン酸ナトリウム12とを投入して攪拌して固結させる。
植物からの樹液の抽出及び精製の一例としては、植物を蒸気で蒸し、搾液を形成し、この搾液からゴミ等を除去した後、水分を飛ばして形成したり、植物を粉砕して煮立て、その煮汁からゴミや水分を除去したりして、不水溶性若しくは難水溶性で揮発性を有する基材を形成する等の方法がある。
上記のようにして基材4が形成されると、固結用容器11に基材4とステアリン酸ナトリウム12とを入れて混合して冷却し、固結してブロック状の素材5を形成する。
固結してブロック状に形成された素材5を図3に示すように成形具13でサイコロ状の立方体若しくは直方体の充填物6にする。
サイコロ状の立方体若しくは直方体状の充填物6で、基材4の異なる複数種のもの、たとえば香草や香木等、個々の夫々の樹液(基材4)を夫々個別にステアリン酸ナトリウム12と攪拌して固結させたものを開口部2から揮散用容器3に入れ、その開口部2に揮散防止用シート7を介在させて蓋8をすると防黴芳香剤1が出来上がる。
こうして形成された防黴芳香剤1は、揮散防止用シート7を取り除いて図5に示すように浴室14の窓際に設置すると、薬効成分である植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材4が蓋8の透孔10から蒸発してミスト状で浴室14の空間に浮遊する。
この浮遊する基材4のミストは、浴室14の天井や窓、四囲の側面部分に付着する。
浮遊並びに付着する基材4は植物から取り出されたものであり、人や肌に優しく、また、不水溶性若しくは難水溶性であることから、壁面等の結露とともにあるいは水での洗浄にも流れ落ちにくい。また、壁面等に付着した基材4のミストは、基材4は植物から取り出されたものであることから森林浴のようなリラックス効果とともに防黴と芳香機能が長く維持される。
そして、基材4が蒸散してゆくと、揮散用容器3内のサイコロ状の立方体若しくは直方体の充填物6が小さくなってゆくので、揮散用容器3が透明若しくは半透明である場合にはこれを視認することで、その取替え時期を知ることができるが、定期的に取り換えるようにすると、必ずしも揮散用容器3を透明乃至半透明にする必要はない。
また、揮散用容器3に香草や香木の夫々の樹液を個別にステアリン酸ナトリウムと攪拌して固結させたものを一つの揮散用容器に入れるようにしたのは、森では個々のかおり発散し、それらが入り混じることにより、森林の香りが形成されるのと同様の理由に基づくとともに、混合割合をかえるだけで、種々の香りを簡単に創出することができるようにするためである。
また、本発明の防黴芳香剤1を浴室に設置して実験した結果、雰囲気温度が20℃以下では基材4のミストの揮散がほとんどなく、黴の発生しやすい20度を越えると、揮散がはじまるので、無駄な揮散が極めて少なく、耐久性に優れることもわかった。
尚、上記実施の形態では防黴芳香剤1を浴室14に設置するようにしてあるが、こうしたものに限られず、居間や寝室、脱衣場や洗面所、トイレその他の部屋や押入れ等の空間に設置して使用することができるのはいうまでもないことであるまた、充填物の形状はサイコロ状の立方体若しくは直方体に限られず、円筒状や球状にすることもできる。
また、植物としては伽羅や沈香、白檀等の香木、香草としては蓬やラベンダーやハーブ、ローズマリー、パセリ等の香草、グレープフルーツ等の柑橘類、さらにはわさびや大根等の根菜類等を含む。
は本発明にかかる防黴芳香剤の分解斜視図である。 は本発明にかかる防黴芳香剤の製造過程の概略を示す斜視図である。 は本発明にかかる防黴芳香剤の製造過程の概略を示す斜視図である。 は本発明にかかる防黴芳香剤の製造過程の概略を示す斜視図である。 は本発明にかかる防黴芳香剤の使用状態を示す斜視図である。
符号の説明
1・・・防黴芳香剤
2・・・開口部
3・・・揮散容器
4・・・基材
5・・・素材
6・・・充填物
11・・・成形用容器
12・・・ステアリン酸ナトリウム
13・・・成形具
14・・・浴室

Claims (5)

  1. 植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材と、該基材を担持するステアリン酸ナトリウムとを混合して固結することにより素材を形成し、当該素材を成形具で成形し、異なる植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材からなる上記立方体若しくは直方体の複数種類を一つの揮散用容器に収納したことを特徴とする防黴芳香剤。
  2. 充填物の形状を立方体若しくは直方体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の防黴芳香剤。
  3. 防黴芳香剤が浴室に設置されて使用されるものである請求項1または請求項2に記載の防黴芳香剤。
  4. 不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材を植物から抽出若しくは精製し、該基材とこれを担持するステアリン酸ナトリウムとを混合して固結して素材を形成し、異なる植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材を有する充填物の複数種類を一つの揮散用容器に収納するようにしたことを特徴とする防黴芳香剤の製造方法。
  5. 植物から抽出若しくは精製された不水溶性若しくは難水溶性で芳香性と揮発性を有する基材のミストを室内に設置された揮散用容器から浮遊させ、該浮遊する基材のミストを室内の内面に付着させることにより、流下する湿気の結露に溶解せず防黴並びに芳香機能を維持させるようにしたことを特徴とする防黴芳香方法。
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