JP2006230917A - 重心動揺計および重心動揺特性評価方法 - Google Patents

重心動揺計および重心動揺特性評価方法 Download PDF

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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

【課題】重心動揺を総合的且つ簡便に捉えうる4動揺因子を利用して、有疾患者のみならず、変動の少ない健常者を対象に、各個人の重心動揺特性を抽出し、評価する。
【解決手段】被検者が乗るフォースプレートと、フォースプレート上に作用する複数箇所の荷重を計測する荷重計測手段とを備える重心動揺計であって、荷重計測手段により計測された荷重データに基づいて、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーを算出し、更にその単位時間動揺、前後動揺、左右動揺及び高周波数帯パワーについて被検者の性別平均値、標準偏差および信頼性計数も算出する演算手段を備える。そして、これら算出値を出力するとともに、標準偏差による領域区分基準と正規性の検定結果を出力する出力手段(表示手段、印刷手段)を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、重心動揺特性の評価に役立つ重心動揺計と、重心動揺特性の簡便な評価方法に関する。
理想の重心動揺軌跡と実測の重心動揺軌跡とを比較表示したり、重心の前後移動範囲を表示したりしてバランス能力を分析・評価する技術がある(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2002−136632号公報 特開2003−79599号公報
しかし、理想の重心動揺軌跡と実測の重心動揺軌跡との比較表示や、重心の前後移動範囲の表示だけでは、バランス能力の分析・評価としては不十分であった。
即ち、健康を増進し、疾病の発病を予防する一次予防政策の一環として、身体平衡の面からの健康状態の把握、めまい平衡障害を症状とする疾患早期発見を目的とするバランス健診の分野においては、視認性の高い解析結果の実現が要望される。
本発明の課題は、重心動揺を総合的且つ簡便に捉えうる4動揺因子を利用して、有疾患者のみならず、変動の少ない健常者を対象に、各個人の重心動揺特性を抽出し、評価することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図6に示すように、被検者が乗るフォースプレート1と、フォースプレート上に作用する複数箇所の荷重を計測する荷重計測手段2と、荷重計測手段により計測された荷重データに基づいて、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーを算出する演算手段12とを備えることを特徴とする。
このように、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーを求めることで、その4動揺因子を基に被検者の性別平均値、標準偏差および信頼性計数と対比して、有疾患者のみならず、変動の少ない健常者の重心動揺特性の評価が可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重心動揺計であって、例えば図6に示すように、前記演算手段12は、前記単位時間動揺、前後動揺、左右動揺及び高周波数帯パワーについて被検者の性別平均値(Mean)、標準偏差(SD)および信頼性計数(ICC)も算出することを特徴とする。
このように、被検者の性別平均値、標準偏差および信頼性計数を求めることで、その4動揺因子についての性別平均値、標準偏差および信頼性計数を基準にして被検者個人の重心動揺特性を評価できる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の重心動揺計であって、例えば図6に示すように、前記演算手段12により算出された前記単位時間動揺、前後動揺、左右動揺及び高周波数帯パワーの性別平均値(Mean)、標準偏差(SD)および信頼性計数(ICC)を出力する出力手段(表示手段17、印刷手段18)を備えることを特徴とする。
このように、4動揺因子およびその性別平均値、標準偏差および信頼性計数を出力することで、被検者個人の重心動揺特性を視覚的に確認できる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の重心動揺計であって、例えば図6に示すように、前記出力手段(表示手段17、印刷手段18)は、前記標準偏差(SD)による領域区分基準と正規性の検定結果を出力することを特徴とする。
このように、4動揺因子についての標準偏差による領域区分基準と正規性の検定結果を出力することで、被検者個人の重心動揺特性を標準偏差による領域区分を基準にして視覚的に被検者個人がどの領域に属するか確認できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の重心動揺計であって、例えば図6に示すように、前記出力手段(表示手段17、印刷手段18)は、前記領域区分基準をパーセンタイル順位に対応させて出力することを特徴とする。
このように、4動揺因子についての標準偏差による領域区分基準をパーセンタイル順位に対応させて出力することで、被検者個人の重心動揺特性を標準偏差による領域区分を基準にして視覚的に被検者個人がどの領域に属するか直ぐに確認できる。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の重心動揺計であって、前記出力手段は、例えば表2に示すように、前記標準偏差による領域区分基準と正規性の検定結果を図表として出力することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の重心動揺計であって、前記出力手段は、例えば表3、図1に示すように、前記領域区分基準をパーセンタイル順位に対応させた4領域の図表として出力することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の重心動揺計であって、前記出力手段は、例えば表4に示すように、前記4領域に対応する試行間変動度数および比率を図表として出力することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の重心動揺計であって、前記出力手段は、例えば表5、図2、図3に示すように、前記4領域をさらに複数カテゴリに区分した図表として出力することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、例えば表1に示すように、計測された被検者の荷重データに基づいて、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーを算出するとともに、その算出された単位時間動揺、前後動揺、左右動揺及び高周波数帯パワーについて被検者の性別平均値(Mean)、標準偏差(SD)および信頼性計数(ICC)を算出して、その算出された標準偏差(SD)を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする。
このように、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーを求め、更にその4動揺因子を基に被検者の性別平均値、標準偏差および信頼性計数を求めることで、4動揺因子についての性別平均値、標準偏差および信頼性計数を基準にして、有疾患者のみならず、変動の少ない健常者の重心動揺特性を評価できる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の重心動揺特性評価方法であって、例えば表2に示すように、前記標準偏差(SD)による領域区分基準と正規性の検定結果を図表として出力し、その図表の領域を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする。
このように、4動揺因子の標準偏差による領域区分基準と正規性の検定結果を図表として出力することで、被検者個人の重心動揺特性を図表の標準偏差による領域区分を基準にして視覚的に被検者個人がどの領域に属するか確認できる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の重心動揺特性評価方法であって、例えば表3、図1に示すように、前記領域区分基準をパーセンタイル順位に対応させた4領域の図表として出力し、その図表の4領域を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の重心動揺特性評価方法であって、例えば表4に示すように、前記4領域に対応する試行間変動度数および比率を図表として出力し、その図表の変動の有無を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の重心動揺特性評価方法であって、例えば表5、図2、図3に示すように、前記4領域をさらに複数カテゴリに区分した図表として出力し、その図表のカテゴリを基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする。
本発明によれば、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーの4動揺因子についての性別平均値、標準偏差および信頼性計数を基準にして、有疾患者のみならず、変動の少ない健常者の重心動揺特性を評価できるといった利点が得られる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図6は本発明を適用した一実施形態としての重心動揺計の概略を示したブロック構成図で、1はフォースプレート(検査台)、10はコンピュータシステム、12は演算処理装置(演算手段)、17は表示手段(出力手段)、18は印刷手段(出力手段)である。
この実施形態において、重心動揺計に用いるフォースプレート1は、被検者の両足が乗る略四角形状のもので、その四隅部にロードセル(荷重計測手段)2が配置されている。ロードセル2は、フォースプレート1上に作用する垂直方向(Z軸方向)の荷重を測定できる周知のものであり、それぞれの配置位置に加わる荷重情報が連続的に検出されるとともに、その検出した荷重情報がコンピュータシステム10に逐次入力される。即ち、ロードセル2からの荷重情報の検出信号は、コンピュータシステム10の入出力インターフェース11に入力される。
コンピュータシステム10は、周知のように、CPU、RAM、ROM等から構成される演算処理装置12と、キーボードや操作盤等の入力手段15と、ハードディスクドライブやフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ等の補助記憶手段16と、演算処理装置12のデータ解析手段13による解析データ等の出力手段としてのLCDやCRTディスプレイ等の表示手段17と印刷装置18を備えている。
ここで、演算処理装置12は、データ解析手段13としての機能を具備する。即ち、演算処理装置12において、フォースプレート1に被検者が乗った状態で各ロードセル2にて計測された荷重データに基づいてデータ解析手段13により重心位置が求められる。その求められた重心位置は、表示手段17に画像として出力されるとともに、印刷手段18によりプリントして出力される。図中、19は警報手段である。
なお、図6の例では、略四角形状のフォースプレート1としたが、フォースプレートはこれに限定されるものではなく、略三角形状やその他の形状であっても良い。さらに、上面に分布形状計測シート(分布形状計測手段)や圧力分布計測シート(分布圧力計測手段)を貼り付けたフォースプレートを用いても良い。
以上の重心動揺計において、データ解析手段13による解析項目は以下のように多項目ある。
「解析項目」
1.重心動揺軌跡
2.総軌跡長(LNG.)
3.単位軌跡長(LNG/TIME)
4.単位面積軌跡長(LNG/E.AREA)
5.外周面積(ENV.AREA)
6.矩形面積(REC.AREA)
7.実効値面積(RMS.AREA)
8.動揺平均中心変位(DEV OF Mx,My)
9.動揺中心変位(DEV OF Xo,Yo)
10.ロンベルグ率(項目2−7の閉眼値/開眼値)
11.パワースペクトル
12.位置ベクトル
13.速度ベクトル
14.振幅確率密度分布
15.グラビチャート(EVALUATION;健常値との比較評価グラフ)
以上の解析項目に基づいて、演算処理装置12は次の実施例における表1〜表7、図1〜図5を表示手段17及び印刷手段18に出力する。従って、演算処理装置12は図表作成手段としての機能も具備する。図表作成手段はデータ解析手段13が兼ねたり別の独立した手段であっても良い。
「方法」
1.被験者
被験者は、平衡神経系に障害のない健常な青年220名(男子108名:年齢20.1±1.6歳、身長173.3土5.5cm、体重67.O±7.9kg、女子112名:年齢19.6±1.4歳、身長161.0±5.8cm、体重54.3±6.1kg)であった。アルコール実験に参加した被験者は20歳以上の健常な男子10名(年齢:22.4±0.85歳、身長:175.2±6.45cm、体重:69.9±7.94kg)、女子10名(年齢:22.8±1.03歳、身長:160.5±5.72cm、体重:60.1±7.92kg)の計20名であった。
2.実験装置
本研究の測定装置は重心動揺検査システム(アニマ社製:G5500)を用いた。データはサンプリング周波数20Hzでパソコンに記録された。また、血中アルコール濃度測定には、コンブオート社製CA2000を用いた。この測定器は呼気中アルコール濃度から血中アルコール濃度を推定するシステムである。
3.実験手順
測定方法は重心動揺検査基準における検査方法に従った。被験者は閉足の直立姿勢(Ro1m-berg姿勢)をとり、各被験者の視線の高さに合わせた検査台から2m前方の注視点(直径3cmの赤点)を注視した。測定は、被験者の手の位置や視線の位置、および姿勢の安定を確認した後、1分間実施した。1分間の座位姿勢での休息をはさみ、2回測定を実施した。休息中、両足を測定時の位置から外さないように指示した。また、アルコール摂取量は、日本酒3合(約540ml)を基本量としたが、個人の体質と体格などにより体重あたりの相対量で調整した(各被験者の体重あたりO.54〜1.83ml)。アルコール摂取後、血中アルコール濃度測定として、呼気中アルコール濃度を測定した。
4.足圧中心動揺変数
単位時間動揺、前後動揺(縦揺れ)、左右動揺(横揺れ)および高風波数帯パワーの4動揺因子は、中心位置2変数を除く、試行間および日間信頼性の高い動揺距離(4変数)、面積(3変数)、速度(3変数)、振幅分布(4変数)、パワースペクトル(位置5変数、速度5変数)、ベクトル(位置4変数、速度4変数)の6領域を代表する32変数からなる相関行列に因子分析法(主因子法およびプロマックス回転による斜交解)を適用し、解釈された。これら4動揺因子(単位時間動揺、前後動揺(縦揺れ)、左右動揺(横揺れ)および高風波数帯パワーの)は全分散量の約64%を説明し、因子妥当性および信頼性は高い。
5.解析方法
4各因子の信頼性の検討には、分散分析法による誤差の分散と測定値の分散を利用した級内相関係数(ICC)を算出した。また、各因子得点(z得点)を算出し、正規分布に対する適合度の検定を行った。アルコール摂取前後における動揺因子の平均値の差の検定は対応のあるt検定を利用した。平均値の差の大きさを検討するために効果の大きさ(ES:effect size)を算出した。なお、ESは、一般的にO.2以下は差が小さい、O.8以上は差が大きいとされる。
「結果」
1.信頼性および試行間の変動
表1は4動揺因子の性別平均値(z得点)と信頼性係数(ICC)を示している。O.7以上の信頼性係数を高いとしている。また、重心動揺変数の信頼性について、O.7以上を非常に高いとしている。本研究の4動揺因子のICCもいずれもO.7以上であり、非常に高かった(ICC=0.89〜O.95)。
Figure 2006230917
表2は標準偏差(SD)を用い、1SDから3SDまでに相当する因子得点値(Z得点)を示している。平均値を中心に1SDの範囲に全データの約68.3%が含まれる。また、標準正規分布において、標準得点z=-0.675(25%)〜O.675(75%)の範囲に、全体の50%が含まれる。適合度の検定結果、4動揺因子とも正規分布に従うと判定された。
Figure 2006230917
表3はパーセンタイル順位に相当する因子得点値(Z得点)、およびこれらの得点値によって区分される領域(A、B(1)、B(2)、C)を示している。各被験者は前述の4領域のいずれかに属することになる。なお、B(1)とB(2)は標準得点z=-0.675(25%)〜0、675(75%)の範囲に該当する(図1)。
Figure 2006230917
表4は、2試行による各領域問の変動結果を示している。第1因子83.6%、第2因子65.5%、第3因子63.6%、第4因子75.9%に変動が認められなかった。1領域の変動(例えば、A⇒B(1))は、第1因子16.4%(36名)、第2因子30.9%(68名)、第3因子35.O%(77名)、第4因子24.1%(53名)であった。2領域以上の変動は第2因子(8名)と第3因子(3名)にのみ認められた。
Figure 2006230917
図2および表5は各領域をさらに4カテゴリ(全体を16カテゴリ)に区分したものである。つまり、各領域の範囲25%をさらに均等(6.25%)に4区分し、全体を16区分したものである。分類した他領域と隣接するB1やB8は、上述の4領域では1もしくは2カテゴリの変動でも他領域への変動と判定される。そこで、2カテゴリ以内の変動を考慮し、AB、BB、およびBCの境界領域を追加し、7領域を構成した(例えば、カテゴリA3とA4、B1とB2間の変動はAB)。この結果、表4に示した如く、4領域区分で1領域の変動と判定された内、第1因子の80.6%(29/36)、第2因子の26.5%(18/68)、第3因子の58.4%(45/77)、第4因子の67.9%(36/53)が同一領域内と判定された。全体としては、第1因子96.8%(213名)と第4因子9213%(203名)の場合は92%以上が、第2因子73.6%(162名)と第3因子84.1%(185名)の場合でも74%以上が試行間に変動がないと判定された(表4)。
Figure 2006230917
一方、2試行により1領域変動した者の内(表4の1領域の変動)、3カテゴリ以上変動した比率は、第1因子で19.4%(7/36)、第2因子で73.5%(50/68)、第3因子で41.6%(32/77)、第4因子で32.1%(17/53)であった。その可能性としてA1とB4間、B1とB8間、B5とC4間の変動が考えられる。2試行による各因子における各個人の位置は第2因子の3.6%(8/220)、第3因子の1.4%(3/220)を除いて、いずれも上述の変動内に存在すると仮定される。2試行により各個人の位置(領域)を決定するため、便宜的に3〜7カテゴリ(最大1領域)間の変動は、各境界領域(AB、BB、BC)に属すると仮定した場合、第1と第4因子は100%、第2と第3因子も96%以上の所属領域がほとんど決定されることになる(表4)。図3は、これまで説明した領域およびカテゴリを整理したものである。
2.アルコール摂取前後の動揺パターンの変動
本研究の被験者の血中アルコール濃度は0.06〜0.13%であった。上記の血中アルコール濃度は「酔い」から「ほろ酔い」に相当する。よって、摂取量は神経機能を低下させるために十分であったと判断される。
表6は、各動揺因子におけるアルコール摂取前後における領域の決定率、および領域の変動率を示している。いずれの動揺因子の場合も、前述の領域決定法により、摂取前は全員の位置が2試行により決定できた。摂取後は、各因子とも1〜2名決定不可能であった。摂取後、各因子とも、ほとんどの者(65〜75%)は領域を越えて大きく変動した。表7より、平均因子得点は、第4因子を除き、摂取後有意に変化し、ESは1.3〜1.8と大きかった。摂取前後における各因子のICCはO.92〜0.98と0.88〜O.94と高かった。
Figure 2006230917
Figure 2006230917
図4は、前述の手順を経て、安静時に動揺測定を2試行実施し、決定したある個人(X)の動揺パターンである。図5は、ある個人(Y)について摂取前後の領域変動を平行プロフィールに表したものである。
「考察」
足圧中心動揺の評価変数は、7領域36変数により捉えられるとされている。これら36変数をさらに吟味し、32変数からなる相関行列に因子分析法を適用して、単位時間動揺(動揺速度)、前後動揺(縦揺れ)、左右動揺(横揺れ)、および高周波数帯パワーの4動揺因子の信頼性は非常に高く(ICC=0.89〜O.95)、正規分布に従うことが確認された。
重心動揺は、多くの変数を用いて評価することは必ずしも適切とはいえず、簡便且つ総合的で、明確な基準設定が必要である。日常臨床においても、中枢性か、筋性か、骨関節性がたどの判定を簡便的且つ誰もが理解できる容易な評価方法が望まれている。しかし、障害者のスクリーニングはなされているものの、健常者内で各個人を判別する基準はこれまで報告されていない。直立姿勢は迷路系(内耳の前庭・半規管)、視覚、脊髄固有受容器からの入力刺激が中枢神経系により統合・制御され、四肢骨格筋に出力され動的平衡を保つことにより維持される。これら動的平衡から病巣を推測することは困難であるが、従来はいくつかの動揺パターンから検討している。片側の迷路障害では左右動揺が、両側の迷路障害では前後動揺が大きく、また、小脳の前葉障害では約3Hzの前後動揺がみられることが明らかにされている。
本研究では、上述の問題も踏まえ、評価や解釈の簡便化を試みた。いくつかの変数を用い、異常と正常のスクリーニングとして標準偏差(SD)を用い、2SD以上を異常としている。この方法は、健常者と障害者の判別には有効と考えられる。しかし、個人差が小さい健常者のみの評価の場合、4動揺因子のSDでは、平均値±1SD以内にほとんどのデータが密集し(表2)、個人差の評価は難しい。そこで、本研究ではパーセンタイル順位を用い、O〜25%(A)、25〜50%(B(1))、50〜75%(B(2))、75〜100%(C)の4領域に分類した。2試行による各領域内での変動は同じと判定される。同様な観点から、各領域をさらに4カテゴリに区分し、境界領域としてAB、BB、BCの3領域を構成した結果(表4)、第1と第4因子は92%以上が、第2と第3因子も74%以上が試行間変動たしと判定された。測定値の信頼性や判定の一貫性は、評価において極めて重要である。4動揺因子の信頼性は非常に高く、2試行により各因子における個人の位置(領域)がほぼ確定できることから、上述の領域評価は有効と考えられる。
身体は常に動揺しており、且つ心身の状態により大きく変動する。各個人が自己の疲労やストレスのない安静時の動揺パターンを適切に把握することに.より、過労やストレス状態の動揺パターンを確認することが可能となる。本研究の領域判定法により、安静時における2試行の実施により、各個人は自己の動揺パターンがかなりの精度で把握できると考えられる。例えば、第1動揺因子のA、AB、BB、BC、Cを用いて、単位時間動揺がそれぞれ非常に小さい、やや小さい、普通、やや大きい、非常に大きいと評価することができよう。動揺パターンの決定のために、信頼性の点から2試行は最低必要であるが、3試行以上となるとかなりの時間を要し、身体的負担も大きくなる。本研究の結果では、ほとんどみられなかったが(第2因子で3.6%、第3因子で1.4%)、2試行で2領域以上大きく変動した場合には、目を変えて、自覚疲労のない安静時に再度実施し、動揺パターンを確認することが適切であろう。
2試行間により、1領域変動した中でも、3カテゴリ以上変動した者は、若干(表4)存在する。例えば、図2におけるA1からB4へ変動はこれに該当する。この場合、AかB(1)のいずれかに属すると仮定され、仮にAB領域に所属として判定した場合、第1因子は100%、第2因子は92.3%、第3因子は93.6%、第4因子は97.3%となり、同様にBB、BC領域も追加すると各因子ともほとんどの者(96%以上)のパターンが決定される。
アルコールを摂取した場合、摂取時に姿勢制御に関与する筋群の筋放電量が大きくなることや摂取後、定圧中心動揺範囲が拡大することが報告されている。摂取後、神経機能が低下し、中枢神経抑制作用や血管拡張作用が生じることも報告されている。つまり、摂取後、重心動揺は通常時と異なることが明らかにされている。本研究においても、アルコール摂取後、動揺因子に有意な変化が認められ、重心動揺に及ぼすその影響が確認された。
摂取前後における4動揺因子の信頼性は非常に高く、動揺パターンも若干名を除き決定可能であった。アルコールが除去された状態で、再び摂取前の動揺パターンを示すか否かについては、さらたる検討が必要であるが、今回の摂取前後の結果から、動揺評価の一貫性は高いと考えられる。摂取後、決定困難であった者に関して言及すれば、アルコールという外乱刺激により、動揺が安定しなくなった(不安定)と推察される。
図5はある被験者(X)の動揺パターン例を示している。摂取前後で、各因子における位置が大きく変動していることを示している(第1因子はC⇒AB、第2因子はB⇒D、第3因子はAB⇒CD、第4因子はB⇒CDに)。領域がAからB、BからCへと変動することは、動揺の増大を意味する。つまり、図5の被験者の場合には、単位時間動揺は小さくなり、前後動揺(縦揺れ)、左右動揺(横揺れ)、高周波数帯パワーが増大したと解釈される。このような分析から、各個人の過労やストレス状態における動揺パターンが把握できよう。
なお、以上の実施形態及び実施例では、測定装置を所謂パソコン使用のシステムとしたが、例えば図6の重心動揺計において、補助記憶手段16としてメモリICを備える所謂オールインワン仕様の専用機としても良い。
本発明の実施例を示したもので、標準正規分布における4領域区分を示した図である。 4領域、境界領域とカテゴリの関係を示した図である。 領域決定と領域変動を示した図である。 アルコール摂取前後における被検者のパターン変動を示した図である。 アルコール摂取前後における被検者の平行プロフィールの一例を示した図である。 本発明を適用した一実施形態の構成を示すもので、重心動揺計の概略を示したブロック構成図である。
符号の説明
1 フォースプレート
2 荷重計測手段
10 コンピュータシステム
12 演算処理装置(演算手段)
13 データ解析手段
15 入力手段
16 補助記憶手段
17 表示手段(出力手段)
18 印刷手段(出力手段)

Claims (14)

  1. 被検者が乗るフォースプレートと、
    フォースプレート上に作用する複数箇所の荷重を計測する荷重計測手段と、
    荷重計測手段により計測された荷重データに基づいて、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーを算出する演算手段とを備えることを特徴とする重心動揺計。
  2. 前記演算手段は、前記単位時間動揺、前後動揺、左右動揺及び高周波数帯パワーについて被検者の性別平均値、標準偏差および信頼性計数も算出することを特徴とする請求項1に記載の重心動揺計。
  3. 前記演算手段により算出された前記単位時間動揺、前後動揺、左右動揺及び高周波数帯パワーの性別平均値、標準偏差および信頼性計数を出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の重心動揺計。
  4. 前記出力手段は、前記標準偏差による領域区分基準と正規性の検定結果を出力することを特徴とする請求項3に記載の重心動揺計。
  5. 前記出力手段は、前記領域区分基準をパーセンタイル順位に対応させて出力することを特徴とする請求項4に記載の重心動揺計。
  6. 前記出力手段は、前記標準偏差による領域区分基準と正規性の検定結果を図表として出力することを特徴とする請求項4または5に記載の重心動揺計。
  7. 前記出力手段は、前記領域区分基準をパーセンタイル順位に対応させた4領域の図表として出力することを特徴とする請求項5または6に記載の重心動揺計。
  8. 前記出力手段は、前記4領域に対応する試行間変動度数および比率を図表として出力することを特徴とする請求項7に記載の重心動揺計。
  9. 前記出力手段は、前記4領域をさらに複数カテゴリに区分した図表として出力することを特徴とする請求項7または8に記載の重心動揺計。
  10. 計測された被検者の荷重データに基づいて、被検者の重心位置の単位時間動揺、前後動揺、左右動揺および高周波数帯パワーを算出するとともに、その算出された単位時間動揺、前後動揺、左右動揺及び高周波数帯パワーについて被検者の性別平均値、標準偏差および信頼性計数を算出して、その算出された標準偏差を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする重心動揺特性評価方法。
  11. 前記標準偏差による領域区分基準と正規性の検定結果を図表として出力し、その図表の領域を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする請求項10に記載の重心動揺特性評価方法。
  12. 前記領域区分基準をパーセンタイル順位に対応させた4領域の図表として出力し、その図表の4領域を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする請求項11に記載の重心動揺特性評価方法。
  13. 前記4領域に対応する試行間変動度数および比率を図表として出力し、その図表の変動の有無を基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする請求項12に記載の重心動揺特性評価方法。
  14. 前記4領域をさらに複数カテゴリに区分した図表として出力し、その図表のカテゴリを基準に重心動揺特性を評価することを特徴とする請求項12または13に記載の重心動揺特性評価方法。
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