JP2006230402A - 容器詰コーヒー飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロロゲン酸類を高濃度に含有し、風味が良く、かつ長期間保存時の沈殿の発生を抑制した容器詰コーヒー飲料の提供。
【解決手段】(A)モノカフェオイルキナ酸、(B)フェルラキナ酸及び(C)ジカフェオイルキナ酸を含有する飲料であって、
(イ)飲料中に溶解状態で含有する当該成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量が、0.19〜4質量%、
(ロ)水を80質量%以上、
(ハ)褐色色素を食用黄色4号換算で0.005〜0.028質量%
を含有し
(ニ)マグネシウム/ナトリウム質量比率が0.04〜1、
(ホ)キナ酸/褐色色素質量比率が0.5〜30
である加熱殺菌処理を施した容器詰コーヒー飲料。
【選択図】なし

Description

本発明は生理効果上有用とされるクロロゲン酸類を溶解状態において高濃度に含有し、風味が良くかつ長期保存時の沈殿を抑制した容器詰コーヒー飲料に関する。
コーヒー飲料は嗜好性が高く、焙煎豆を挽いたものやコーヒー抽出液を乾燥、造粒加工したいわゆるインスタントコーヒーは広く世界中で愛飲されている。一方、日本特有の文化として、工業的に製造された容器詰コーヒー飲料が特に風味重視の観点から飲みやすく工夫されて販売され、日常の飲み物として親しまれている。
このように食経験の豊富なコーヒー飲料であるが、コーヒーに含まれる有効成分についてもカフェインやクロロゲン酸類などに関して多くの研究がなされている。特にクロロゲン酸類については、例えば抗高血圧作用や自律神経失調による全身倦怠疲労感、易疲労などの不定愁訴症候群改善、血管内皮機能改善作用などが報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
現在、市販飲料として販売されている容器詰コーヒー飲料を見てみるとアメリカンタイプのものからコーヒー特有のコクを志向したものまで、ブラックコーヒー、砂糖、ミルク配合品を含めて多くの銘柄がある。しかしながら、それらに含まれるクロロゲン酸類の配合量は比較的低い。具体的な含有量としては容器詰コーヒー飲料中に0.05〜0.1質量%が含まれる程度に過ぎない。
また最近の日本市場における市販容器詰コーヒー飲料で中核を成す容器容量は190〜300gが主流で、特に190g容量品の需要が伸びてきている状況にある。従って限られた容器容量の中で生理効果を顕著に発現させるに十分な量のクロロゲン酸類を含有させるには飲料を高濃度化する必要性が出てくる。
容器詰コーヒー飲料の保存安定性を高める方法はこれまでにも多数提案されている。例えばコーヒーエキスの製造方法として中塩基性又は弱塩基性アニオン交換樹脂と接触させてギ酸、酢酸、プロピオン酸などの低分子量体を吸着除去する方法、あるいはシリカゲルと接触させて微粒子状混濁物質を除去する方法などがあるが、両者ともに製造上の付帯設備が必要となってしまうと同時に高温下における長期保存後に必要となる香味レベルが明らかに低下してしまうという問題があった(例えば特許文献4、5参照)。
一方、繊維素系粘質を配合する方法やマンナン分解酵素による処理、酸を添加して沈殿成分を除去する方法などがあるが、酵素処理や酸処理では酸味がきついなど明らかに自然な風味が失われてしまうことがわかっている(例えば特許文献6〜8参照)。
特開2002−53464号公報 特開2002−145765号公報 特開2003−261444号公報 特開平4−36148号公報 特開平4−360647号公報 特開平6−205641号公報 特開平7−184546号公報 特願平10−48819号公報
前述の如く、限られた容器容量の中で生理効果を十分に発揮させるに十分な量のクロロゲン酸類を含有させるには、飲料中のクロロゲン酸類量を高くする必要がある。しかしながら、ここで濃いコーヒー抽出液を単に使用し、生理効果上の有効成分であるクロロゲン酸類を通常より高濃度で配合させた場合、長期保存時の沈殿生成速度が顕著に速くなるという課題があることが今回の検討途上で判明した。
一方、従来のコーヒー飲料の安定化手段では、コーヒーの風味を損ねてしまうという問題があった。
そこで逆に、クロロゲン酸類含量の高い生コーヒー豆抽出物(非焙煎植物抽出物)だけでクロロゲン酸類濃度を上げることで、特に濃い抽出液を使用することのない方法を用いた場合、嗜好性上十分満足できないという課題が新たに発生することが今回の検討途上にて判明した。
従って、本発明は、クロロゲン酸類を高濃度に含有し、風味が良く、かつ長期間保存時の沈殿の発生を抑制した容器詰コーヒー飲料を提供することにある。
そこで本発明者はコーヒー構成成分を個別に観察する手法によって、コーヒー抽出液中の各成分量と保存安定性の指標である沈殿生成量との関係について検討したところ、特定の褐色色素の量、キナ酸/褐色色素比率及びマグネシウム/ナトリウム比率を制御することにより、飲料中のクロロゲン酸類濃度が極めて高い容器詰コーヒー飲料においても嗜好性が高くかつ長期保存安定性の良い容器詰コーヒー飲料が得られることを見出した。
本発明は、(A)モノカフェオイルキナ酸、(B)フェルラキナ酸及び(C)ジカフェオイルキナ酸を含有する飲料であって、
(イ)飲料中に溶解状態で含有する当該成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量が、0.19〜4質量%、
(ロ)水を80質量%以上、
(ハ)褐色色素を食用黄色4号換算で0.005〜0.028質量%
を含有し
(ニ)マグネシウム/ナトリウム質量比率が0.04〜1、
(ホ)キナ酸/褐色色素質量比率が0.5〜30
である加熱殺菌処理を施した容器詰コーヒー飲料を提供するものである。
また、本発明は、飲料中の溶解状態の(A)モノカフェオイルキナ酸、(B)フェルラキナ酸及び(C)ジカフェオイルキナ酸の合計含有量が0.19〜4質量%である容器詰コーヒー飲料において、褐色色素を食用黄色4号換算で0.005〜0.028質量%とし、マグネシウム/ナトリウム質量比率を0.04〜1とし、かつキナ酸/褐色色素質量比率を0.5〜30とする容器詰コーヒー飲料の沈殿抑制方法を提供するものである。
本発明の容器詰コーヒー飲料は、各種生理作用を有するクロロゲン酸類を高濃度に含有し、コーヒー本来の良好な風味を有し、かつ長期間保存しても沈殿生成が少なく安定性も良好である。
本発明の容器詰コーヒー飲料には、種々のクロロゲン酸類が溶解状態で含まれるが、当該クロロゲン酸類として次のモノカフェオイルキナ酸成分(A)、フェルラキナ酸成分(B)及びジカフェオイルキナ酸成分(C)の三種を含有する(図1中、矢印のピークがこれに該当する)。成分(A)としては、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。成分(B)としては、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。成分(C)としては、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
溶解状態のクロロゲン酸類とは、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,ジーエルサイエンス(株),孔径0.45μm)にてコーヒー飲料を濾過したときにメンブレンフィルターを通過するクロロゲン酸類を意味する。
本発明において、成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量は生理効果の発現性と安定性の点から0.19質量%〜4質量%である。生理効果を顕著に発現させるためには0.19質量%以上が好ましく、また4質量%を超えるとクロロゲン酸類自身の容器詰飲料中における物理的安定性が損なわれる。当該成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量は、生理効果の観点から0.2〜3.9質量%が好ましく、より好ましくは0.25〜3.5質量%であり、特に0.26〜3質量%、殊更0.3〜2.5質量%が好ましい。物理的安定性を更に高めるためには当該成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量は1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。
本発明におけるマグネシウムとナトリウムの質量比率はマグネシウム/ナトリウム=0.04〜1、より好ましくは0.08〜0.7、更に好ましくは0.12〜0.6、特に好ましくは0.17〜0.5である。マグネシウム/ナトリウム質量比率が0.04未満の場合には、塩味が強くなり風味が損なわれ、マグネシウム/ナトリウム質量比率が1を超える場合、保存安定性が損なわれる。
コーヒー飲料中のマグネシウム/ナトリウム比を前記の比率に調整するにはアスコルビン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のナトリウム塩や塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム等のマグネシウム塩を添加することにより行なうことができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料は水を80質量%以上、正確には80〜99.8質量%含有するが、85〜99質量%含有するのが好ましい。
本発明の容器詰コーヒー飲料における褐色色素は、コーヒー飲料中に溶解状態で存在する褐色色素を意味し、後述する測定法により分子量250,000以上に相当する画分であり、図2において保持時間が14分より短いピークがこれに該当する。
褐色色素は、焙煎コーヒーの特徴として知られるが、その性質や構造に関するデータは少なく、未だ不明に近い状態である。なお、溶解状態で存在する褐色色素とは、メンブレンフィルター(DISMIC−13CP、セルロースアセテート膜、孔径0.45μm、ADVANTEC東洋(株))にてコーヒー飲料を濾過したときにメンブレンフィルターを通過する褐色色素を意味する。
本発明における褐色色素(食用黄色4号(別名タートラジン)換算)の含有量は、風味の点から0.005〜0.028質量%である。含有量が0.005質量%未満では、コーヒー飲料特有の良好な苦味が得られにくく、0.028質量%を超えるとクロロゲン酸類濃度が0.19質量%以上の容器詰コーヒー飲料では、保存の早期に沈殿物質が生成しやすくなる。
本発明におけるキナ酸と褐色色素の質量比率は、好ましくはキナ酸/褐色色素(食用黄色4号換算)=0.5〜30、より好ましくは2〜30、更に好ましくは4〜30、更に好ましくは6〜30、更に好ましくは6〜28、更に好ましくは6〜26、更に好ましくは6〜24、更に好ましく7〜16である。この比率が30を超えるとキナ酸による初期の風味が芳しくなく、また保存後においては褐色色素由来とされる特有の豊かな香味が損なわれる。また、0.5未満の場合苦味が口に残りやすく好ましくない。
キナ酸と褐色色素の質量比率は、例えばキナ酸を別に添加したり吸着剤により除去することにより調整することができる。また、コーヒー抽出物を吸着剤により処理し、キナ酸に対して褐色色素濃度の高い製剤を調製し、これを添加することにより調整することもできる。
なお、キナ酸には、キナ酸の塩は含まれるが、成分(A)、(B)及び(C)のようなアシル体は含まれない。
本発明の3−カフェオイルキナ酸(D)、4−カフェオイルキナ酸(E)の質量比率は、コーヒー飲料の風味の点からE/D=0.6〜1.2が好ましく、より好ましくはE/D=0.65〜1.15、更に好ましくはE/D=0.7〜1.1、特に好ましくはE/D=0.8〜1である。また、3−カフェオイルキナ酸(D)、5−カフェオイルキナ酸(F)の質量比率は、コーヒー飲料の風味の点からF/D=0.6〜3が好ましく、より好ましくはF/D=0.7〜2、更に好ましくはF/D=0.75〜1.8、特に好ましくはF/D=0.8〜1.5である。
本発明における加熱殺菌法は当該殺菌処理はF値(250°F(121℃):日本防菌防黴学会編、防菌防黴ハンドブック、p642(技報堂出版)参照)が20分、更に30分以上、特に40分以上となるようにするのが微生物学的な長期保存安定性向上の観点から好ましい。
本発明の容器詰コーヒー飲料は、常法に従い焙煎コーヒー豆及び/又はその粉砕物から水又は熱水で抽出し、殺菌処理した後、容器詰するか、あるいは容器詰した後殺菌処理することによって得ることもできる。
また、かかる通常の方法だけでなく、当該焙煎コーヒー豆抽出液に、クロロゲン酸類を含有する植物の非焙煎又は低焙煎植物抽出物を混合してクロロゲン酸類含有量を調整することができる。ここで非焙煎又は低焙煎植物抽出物の調製に用いるクロロゲン酸類を含有する植物としては、コーヒー豆、サンザシ、ブドウ、センキュウ、トウキ、オウレン、ウコン、アギ、カンショ、モロヘイヤ等が挙げられるが、コーヒー飲料の風味調整上の容易性の観点からコーヒー豆が好ましい。従って、通常の焙煎コーヒー抽出液に生コーヒー豆抽出物又は低焙煎コーヒー豆抽出物を混合してクロロゲン酸類の組成を調整することもできる。また、単一の焙煎度からなるコーヒー豆を使用してコーヒー抽出液を調製することも、複数の焙煎度からなるコーヒー豆を使用して抽出液を調製することもできる。
本発明で用いるコーヒー豆の種類は、特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ等が挙げられる。豆の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種が挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。焙煎は通常の方法で行えばよく、焙煎の程度は所望する呈味により適宜調整すればよい。具体的には、焙煎を深くすると苦みが強くなり、焙煎が浅いと酸味が強くなる。焙煎豆のL値の上限としては、31以下、より好ましくは28以下、更に好ましくは25以下であることが風味の点から好ましい。また焙煎豆のL値の下限としては好ましくは16以上、より好ましくは18以上、更に好ましくは20以上、特に好ましくは22以上が焙煎豆内に含有されるクロロゲン酸類の残存量が高くて良い。
生コーヒー豆抽出物は生コーヒー豆を必要に応じて粉砕し、エタノール、含水エタノール、メタノール等を用いて室温から100℃で抽出するのが好ましい。生コーヒー豆抽出物の市販品としてはフレーバーホルダーRC−30R等が挙げられる。
本発明で定義するコーヒー飲料とはコーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約に定めるコーヒー入り清涼飲料、コーヒー飲料、コーヒーを全て含めたものを意味する。
本発明で定義するシングルストレングスとは容器詰飲料を開封後、常態として薄めずにそのまま飲めるものをいい、飲用時に薄めて飲むことが前提である濃縮コーヒーは本発明の範疇から明確に除かれる。
また本発明のコーヒー飲料には、所望により、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブドウ糖液、糖アルコール等の糖分、乳成分、抗酸化剤、pH調整剤、乳化剤、香料等を添加することができる。乳成分としては、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、練乳等が挙げられる。
本発明のコーヒー飲料のpHとしては、4〜7、更に5〜7が飲料の安定性の面で好ましい。
抗酸化剤としては、アスコルビン酸又はその塩、エリソルビン酸又はその塩等が挙げられるが、このうちアスコルビン酸又はその塩等が特に好ましい。
乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、微結晶セルロース、レシチン類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が好ましい。
本発明に用いる容器としては、PETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等が挙げられる。
本発明における殺菌処理は、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で行われる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ食品衛生法に定められた条件と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能である。
実施例1〜7及び比較例1〜5
1.コーヒー抽出液の調製方法
ハイカットコーヒーミル(カリタ製、目盛り:3と4の中間)にて、焙煎したコーヒー豆(アラビカ種)2種類をそれぞれ粉砕し、ステンレス製篩(目開き355μm)にて篩分け、篩上に残った粉砕豆を抽出に供した。
ステンレス製ドリップ抽出機を用いて、95℃のお湯にて抽出し、抽出液を得た。この抽出液を20℃まで冷却した後、遠心分離(8,000rpm、30分間、20℃)を行い、沈殿した固形物を除去した。コーヒー抽出液Aのキナ酸含量及び褐色色素含量(食用黄色4号換算)は、それぞれ0.2質量%及び0.0166質量%であった。コーヒー抽出液Bのキナ酸含量及び褐色色素含量(食用黄色4号換算)は、それぞれ0.4質量%及び0.0287質量%であった。また、コーヒー抽出液Aに過酸化水素を2%となるように添加し、室温下72時間攪拌した。本抽出液に対してカタラーゼ処理を行い、過酸化水素を除去した。得られたコーヒー抽出液Cのキナ酸含量および褐色色素含量(食用黄色4号換算)は、それぞれ0.17質量%および0.005質量%であった。
2.コーヒー飲料の調製方法
表1に示す通り各抽出液を混合して、重曹水溶液を添加後、液温87℃まで加温した後、表1の容器に詰めて加熱殺菌を行い、容器詰飲料を製造した。
3.クロロゲン酸類の分析
コーヒー飲料組成物のクロロゲン酸類の分析法は次の通りである。分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)、カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)、ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)、オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)、カラム:イナートシル ODS−2 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm(ジーエルサイエンス(株))。
分析条件は次の通りである。
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、UV−VIS検出器設定波長:325nm、カラムオーブン設定温度:35℃、溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、3(V/V)%アセトニトリル溶液、溶離液B:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、97(V/V)%アセトニトリル溶液。
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0分 100% 0%
20分 87% 13%
25分 87% 13%
27分 85% 15%
45分 85% 15%
55分 80% 20%
60分 0% 100%
70分 0% 100%
75分 100% 0%
100分 100% 0%
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,ジーエルサイエンス(株),孔径0.45μm)にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)(A1)モノカフェオイルキナ酸:15.7、19.2、21.2の計3点(A2)フェルラキナ酸:21.9、26.6、28.1の計3点(A3)ジカフェオイルキナ酸:42.1、43.3、51.8の計3点(図1。図中のAUは、Absorbance Unit)。ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
4.褐色色素の分析
コーヒー飲料組成物の褐色色素の分析法は次の通りである。分析はサイズ排除クロマトグラフィーによって行った。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
UV−VIS検出器:SPD−10A((株)島津製作所)、示差屈折率検出器:RID−10A((株)島津製作所)、カラムオーブン:CTO−10A((株)島津製作所)、ポンプ:LC−10ATvp((株)島津製作所)、オートサンプラー:SIL−10A((株)島津製作所)、システムコントローラー:SCL−10Avp((株)島津製作所)、ガードカラム:TSKguardcolumn PWXL 内径6.0mm×長さ40mm(東ソー(株))、カラム:TSKgel G4000PWXL 内径7.8mm×長さ300mm、粒子径10μm(東ソー(株))。
分析条件は次の通りである。
サンプル注入量:10μL、流量:0.5mL/min、UV−VIS検出器設定波長:420nm(AUX RANGE:2、REC.RANGE:1.00、レスポンス:4、サンプリング周期:100msec)、溶離液:高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、カラムオーブン設定温度:35℃。
測定対象飲料の開缶から試料注入までの時間は、15分以内とした。
開缶後直ちに、試料0.1〜0.3gを精秤後、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))にて10mLにメスアップし、穏やかに転倒攪拌した後、メンブレンフィルター(DISMIC−13CP、セルロースアセテート膜,孔径0.45μm、ADVANTEC東洋(株))にて濾過し、測定に供した。
UV−VIS検出器にて420nmにおける測定を行い、得られたクロマトグラム(図2。図中のAUは、Absorbance Unit)について、分子量250,000以上に相当する溶出画分の面積値から、食用黄色4号(東京化成工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
本発明における食用黄色4号とは、5−ヒドロキシ−1−(4−スルホフェニル)−4−(4−スルホフェニルアゾ)−3−ピラゾールカルボン酸=三ナトリウム塩(C16H9N4Na3O9S2)(分子量534.37)を85.0%以上含むものであり、Food Yellow No.4、タートラジンとして、1964年(昭和39)年7月15日に食品添加物として指定され、FAO/WHO、EU、米国などでも食品添加物として指定されているものである。
(食品安全性セミナー2食品添加物 2001年8月20日 初版第1刷発行163頁、及び、食品衛生小六法 平成8年版 959頁)
標準物質である食用黄色4号の含量は、「食品,添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の第2添加物」にしたがって確認した。
分子量較正曲線の作成は、各プルラン標準品はP−1、P−5、P−10、P−20、P−50、P−100、P−200、P−400、P−800(昭和電工(株))の9点を分子量標準物質として用いた。
5.キナ酸の分析
検体5gを水にて50mLに定容し、高速液体クロマトグラフで測定した。
機種:LC−10AD((株)島津製作所)
検出器:紫外可視分光光度計 SPD−10AVvp((株)島津製作所)
カラム:Shodex RSpak C−811 φ8mm×500mm(昭和電工(株))
カラム温度:60℃
移動相:3mmol/L 過塩素酸
反応液:0.2mmol/L ブロムチモールブルー含有
15mmol/L リン酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相 1.0mL/min、反応液 1.4mL/min
測定波長:445nm
(出典:食品衛生検査指針 食品添加物編 2003年度版)
6.水分の測定
水分の測定は常圧加熱乾燥法にて行った。
乾燥助剤としてケイ砂を入れたガラス秤量皿は、予め恒量値を求めておくW1(g)。
これに試料を採取し秤量するW2(g)。
ウォーターバス上にて予備乾燥を行い、強制循環式温風乾燥機を用いて乾燥する。
シリカゲルデシケーター中にて放冷後、秤量W3(g)し下式に基づき、計算する。
水分(g/100g)=(W2−W3)/(W2−W1) × 100
7.ナトリウムの分析
ナトリウム含量の測定は、原子吸光光度法(塩酸抽出)によって行った。
すなわち試料2〜6gに、定容時に1%塩酸溶液となるように10%塩酸を加え、イオン交換水で定容後、吸光度測定を行った。
原子吸光光度計測定は、波長:589.6nm、フレーム:アセチレン−空気にて行った(出典:栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について(衛新第13号))。
8.マグネシウムの分析
マグネシウム含量の測定は、ICP発光分析法によって行った。
試料5〜6gをビーカーに採取し、電気炉にて灰化(500℃、5〜6時間)した。ついで、20%塩酸を加えホットプレート上にて蒸発乾固し,更に20%塩酸を加え、ホットプレート上にて加温(100℃、30分間)した。濾紙(No.5A)にて濾過後、メスフラスコにて定容し、ICP発光分析装置にて測定(測定波長:285.213nm)した(出典:栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について(衛新第13号))。
9.風味及び保存安定性評価
表1に示した容器詰コーヒー飲料について風味及び保存安定性について評価を行った。ナトリウム量は炭酸水素ナトリウムにより調整した。
風味評価
1:良好、2:やや良好、3:普通、4:やや不快、5:不快
保存安定性(55℃、1週間保存)
1:ほとんど沈殿なし、2:やや沈殿あり、3:沈殿が発生し商品として望ましくない
表1から明らかなように、モノカフェオイルキナ酸、フェルラキナ酸及びジカフェオイルキナ酸を含有するコーヒー飲料において、褐色色素量を0.005〜0.28質量%とし、マグネシウム/ナトリウム質量比率を0.04〜1に調整し、かつキナ酸/褐色色素質量比率を0.5〜30とすると、保存安定性が良好であり、かつ風味の良好なコーヒー飲料となる。
クロロゲン酸類のHPLCチャート(検出波長325nm)を示す図である。 褐色色素のHPLCチャート(検出波長420nm)を示す図である。

Claims (4)

  1. (A)モノカフェオイルキナ酸、(B)フェルラキナ酸及び(C)ジカフェオイルキナ酸を含有する飲料であって、
    (イ)飲料中に溶解状態で含有する当該成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量が、0.19〜4質量%、
    (ロ)水を80質量%以上、
    (ハ)褐色色素を食用黄色4号換算で0.005〜0.028質量%
    を含有し
    (ニ)マグネシウム/ナトリウム質量比率が0.04〜1、
    (ホ)キナ酸/褐色色素質量比率が0.5〜30
    である加熱殺菌処理を施した容器詰コーヒー飲料。
  2. 4−カフェオイルキナ酸/3−カフェオイルキナ酸質量比率が0.6〜1.2であり、かつ5−カフェオイルキナ酸/3−カフェオイルキナ酸質量比率が0.01〜3である請求項1記載の容器詰コーヒー飲料。
  3. シングルストレングスである請求項1又は2記載の容器詰コーヒー飲料。
  4. 飲料中の溶解状態の(A)モノカフェオイルキナ酸、(B)フェルラキナ酸及び(C)ジカフェオイルキナ酸の合計含有量が0.19〜4質量%である容器詰コーヒー飲料において、褐色色素を食用黄色4号換算で0.005〜0.028質量%とし、マグネシウム/ナトリウム質量比率を0.04〜1とし、キナ酸/褐色色素質量比率を0.5〜30とする容器詰コーヒー飲料の沈殿抑制方法。
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