JP2006227630A - 光学補償シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】TN−LCDにおける良好な視野角特性を表示画面全面に亙って均一に付与することができ、耐熱性及び機械的強度に優れた光学補償シートを安価に製造することができる光学補償シートの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に重合性液晶化合物を含む塗布液を塗布した後、塗布層を液晶形成温度に加熱し、次いで該塗布層を該重合性液晶化合物の固体−液晶遷移温度以下に冷却し、該塗布層の温度を該固体−液晶遷移温度以下に維持しながら紫外線を照射して該重合性液晶化合物を重合硬化させることにより光学補償シートを製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学補償シートの製造方法及び光学補償シートに関し、特に表示コントラスト及び表示色の視角特性を改善するために有用な光学補償シートの製造方法に関する。
ブラウン管型画像表示装置であるCRTに対して、薄型、軽量、低消費電力という大きな利点をもつ液晶表示装置は、特に、携帯用のワードプロセッサやパーソナルコンピュータの表示装置として一般的に使用されている。現在普及している液晶表示素子(以下LCDと称す)の多くは、ねじれネマティック液晶を用いている。このような液晶表示素子は、一般に、液晶セルとその両側に設けられた偏光板からなる。このような液晶を用いた表示方式は、その動作モードによって複屈折モードと旋光モードとの二つの方式に大別できる。
複屈折モードを利用する超ねじれ(スーパーツィスティッド)ネマティック液晶表示装置(以下STN−LCDと称す)は、90度を超えるねじれ角及び急峻な電気光学特性を有するスーパーツィスティッドネマティック液晶を用いている。このため、このようなSTN−LCDは、時分割駆動による大容量の表示が可能である。しかしながら、STN−LCDで実用的なコントラストが得られるのは、イエローモード(黄緑/濃紺)及びブルーモード(青/淡黄)であり、白黒モードを得るには位相差板(一軸延伸ポリマーフィルムや補償用液晶セル)を設ける必要があった。
TN−LCDの表示モードである旋光モードでは、高速応答性(数十ミリ秒)及び高いコントラストが得られる。従って、旋光モードは、複屈折モードや他のモードに比べて多くの点で有利である。しかしながら、TN−LCDは、STN−LCDのように位相差板を備えていないので、表示色や表示コントラストが液晶表示装置を見る時の角度によって変化し易い(視野角特性)との問題がある。
上記TN−LCDにおける視野角特性を改善するため(即ち、視野角の拡大のため)、一対の偏光板と液晶セルとの間に位相差板(光学補償シート)を設けるとの提案が、特許文献1及び特許文献2に記載されている。上記公報で提案されている位相差板は、液晶セルに対して垂直方向の位相差はほぼ0であるため真正面からは何ら光学的作用を与えないが、傾けた時に位相差が発現し、この作用によって液晶セルで発生する位相差を補償するものである。
特許文献3、特許文献4及び特許文献5には、負の複屈折を有し、かつ光軸が傾いている光学補償シートが開示されている。即ち、上記シートは、ポリカーボネートやポリエステル等のポリマーを延伸することにより製造され、そしてシートの法線から傾いた主屈折率の方向を持つ。延伸処理により上記シートを製造するには、極めて複雑な延伸処理が必要とされるため、開示されている方法で大面積の光学補償シートを製造することは極めて困難である。
一方、液晶性ポリマーを用いた光学補償シートも知られている。例えば、特許文献6及び特許文献7には、液晶性を有するポリマーを支持フィルム上の配向膜表面に塗布することにより得られる光学補償シートが開示されている。しかしながら、液晶性を有するポリマーは、配向させるために高温で長時間の熟成が必要なため、生産性が極めて低く大量生産に向いていない。また特許文献8には、支持体と液晶性及び正の複屈折を有する重合性棒状化合物からなる光学補償シート(複屈折板)が開示されている。この光学補償シートは、重合性棒状化合物の溶液を支持体に塗布、加熱硬化することにより得られる。しかしながら、この液晶性を有するポリマーは、光学的に正の一軸性であるため、視野角をほとんど拡大することができない。
特許文献9、及び特許文献10には、支持体と負の複屈折を有する重合性液晶化合物からなる光学補償シートが提案されている。この光学補償シートはTN−LCDの視野角を向上することはできる。しかし、この光学補償シートは、耐熱性及び機械的な強度が必ずしも充分でないことから、これらの特性を向上させるために特許文献11及び特許文献12には、負の屈折率を有する重合性液晶化合物(ディスコティック液晶)の側鎖に重合性基を導入したディスコティック液晶化合物を含む塗布液を支持体に塗布し、塗布層をディスコティック液晶化合物のディスコティックネマティック相形成温度に加熱し、次いで、塗布層に紫外線等を照射してディスコティック液晶化合物を架橋(重合硬化)する方法が提案されている。この製造方法により得られる光学補償シートはTN−LCDの視野角を向上し耐熱性及び機械的強度に優れている。
特開平4−229828号公報 特開平4−258923号公報 特開平6−75115号公報 特開平4−169539号公報 特開平4−276076号公報 特開平3−9326号公報 特開平3−291601号公報 特開平5−215921号公報 特開平6−214116号公報 特開平6−265728号公報 特開平8−27284号公報 特開平8−43624号公報
ディスコティック液晶化合物は、その温度が固体−液晶遷移温度以上になるとディスコティックネマティック相を形成する。そして、ディスコティックネマティック相の配向秩序度はディスコティック液晶化合物の温度に従って連続的に変化し、ディスコティック液晶化合物の温度が高いほどディスコティックネマティック相の配向秩序度は低くなることが知られている。
本発明者の検討によると、紫外線を塗布層に照射してディスコティック液晶化合物を重合硬化させる時、塗布層の温度が上昇することが判明した。そして、さらに検討した結果、液晶化合物を重合硬化して得られる光学異方層のレターデーション(液晶化合物の固有複屈折と光学異方層の厚さと配向秩序度との積)は、紫外線を照射してディスコティック液晶化合物を重合硬化させる時の塗布層の温度に大きく依存し、重合硬化を一定以上の温度で行うと、レターデーションの低下が起こりやすいことを見出した。
レターデーションの低下に対しては、光学異方層の厚さを厚くすることで対処でき、これによりTN−LCDにおける視野角特性は確保することができる。しかし、この場合では単位当たりの塗布液の塗布量が増えるためコスト的に不利になる。
従って、本発明の目的は、特にTN−LCDにおける良好な視野角特性を表示画面全面に亙って均一に付与することができる、すなわち光学異方液晶層の配向秩序度を維持しつつ、耐熱性及び機械的強度に優れた光学補償シートを安価に製造することができる光学補償シートの製造方法を提供することにある。
本発明は、支持体上に重合性液晶化合物を含む塗布液を塗布した後、塗布層を液晶形成温度に加熱し、次いで該塗布層を該重合性液晶化合物の固体−液晶遷移温度以下に冷却し、該塗布層の温度を該固体−液晶遷移温度以下に維持しながら紫外線を照射して重合性液晶化合物を重合硬化させる光学補償シートの製造方法にある。
本発明の光学補償シートの製造方法の好ましい態様は、以下の通りである。
1)重合性液晶化合物が架橋性の官能基を有するディスコティック液晶化合物であること。
2)該塗布層を液晶形成温度に加熱した後、該塗布層を1〜1000℃/分の範囲内の冷却速度で冷却し、該固体−液晶遷移温度以下にすること。
3)該塗布層を該固体−液晶遷移温度以下に冷却し、紫外線を照射して該重合性液晶化合物を重合硬化するまでの時間が0.1〜1200秒の範囲内であること。
4)支持体が、配向膜を有する透明シートであって、配向膜面に塗布液を塗布すること。
本発明の光学補償シートの製造方法では、塗布層に紫外線を照射してディスコティック液晶化合物を重合硬化してもディスコティック液晶化合物の温度は固体−液晶遷移温度以下に維持できるので、ディスコティックネマティック相の配向秩序度は変化しない。従って、本発明の光学補償シートの製造方法により得られる光学異方層の単位厚さ当たりの厚さ方向のレターデーションは高く、またその変動も小さい。以上より、本発明の光学補償シートの製造方法により得られる光学補償シートはTN−LCD全面に亙って視野角を向上し、画像のむらも発生しにくい。また、光学異方層の単位厚さ当たりの厚さ方向のレターデーションが高くなるので、光学異方層の厚さを薄くすることができ、光学補償シートを安価に製造することができる。
本発明の光学補償シートの製造方法では、塗布層に紫外線を照射してディスコティック液晶化合物を重合硬化させる際、塗布層の温度は固体−液晶遷移温度以下に維持されるので、ディスコティックネマティック相の配向秩序度は変化しない。従って、本発明の光学補償シートの製造方法により得られた光学異方層のレターデーションは、塗布層の温度を固体−液晶遷移温度以上に維持しながら、塗布層に紫外線を照射してディスコティック液晶化合物を重合硬化させて得られた光学異方層のレターデーションと比べて高くなる。
TN−LCDにおける視野角特性を付与する光学補償シートの光学異方層で特に重要な厚さ方向のレターデーション(Rth)は、下式で表される。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(nx及びnyは支持体の面内の主屈折率を表し、nzは厚み方向の主屈折率を表し、dは光学異方層の厚さを表し、そして上記式の単位はnmである)
そして、本発明の光学補償シートの製造方法により得られる光学異方層は単位厚さ当たりの厚さ方向のレターデーション(Rth/d)が下記の条件を満足する。
0.04<Rth/d
さらに、本発明の光学補償シートの製造方法により得られる光学異方層は、その面内のレターデーションの変動が標準偏差で2%以下である。
本発明の光学補償シートの製造方法を図1に示す。以下、図を参照しながら説明する。
送り出し機1から送り出した配向膜を有するシート7の配向膜面に塗布機2より押し出されたディスコティック液晶化合物を含む塗布液を塗布する。その塗布層を加熱領域3で液晶(ディスコティックネマティック相)形成温度にて加熱処理し、ディスコティック液晶化合物がディスコティックネマティック相を形成する。次いで、塗布層を冷却領域4で塗布層の温度が固体−液晶遷移温度以下になるまで冷却し、塗布層の温度を固体−液晶遷移温度以下に維持しながら、冷却領域に設置された紫外線照射装置5により塗布層に紫外線を照射して、ディスコティック液晶化合物を重合硬化して光学異方層とした後、巻き取り機6で巻き取る。
加熱処理により、ディスコティック液晶化合物はディスコティックネマティック相を形成する。液晶(ディスコティックネマティック相)形成温度はモノドメインのディスコティックネマティック相を形成することができる温度であれば良く、固体−液晶遷移温度付近が好ましい。加熱領域3の温度ばらつきは±10℃の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは±5℃の範囲内である。また加熱時間は、モノドメインのディスコティックネマティック相を安定に形成するために少なくとも1分以上(より好ましくは2分以上)加熱することが好ましい。
冷却領域4の温度ばらつきは±10℃の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは±5℃の範囲内である。また、冷却領域の温度は固体−液晶遷移温度以下であれば良く、25〜50℃の範囲内であることが好ましい。また、塗布層の冷却速度は1〜1000℃/分の範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは50〜150℃/分である。冷却速度が遅すぎるとカラムラー相が発現する。
紫外線照射装置5に用いる紫外線照射ランプは特に制限はなく、水銀ランプ、キセノン、メタルハライド等使用可能である。また、紫外線照射量は化合物の種類や塗布層の温度等によって最適な照射量は異なるが100〜2000mj/m2 の範囲が好ましく、より好ましくは500〜2000mj/m2の範囲である。また、塗布層を固体−液晶遷移温度以下に冷却して、塗布層に紫外線を照射するまでの時間は0.1〜1200秒の範囲内で行うことが好ましい。重合硬化するまでの時間が長すぎるとカラムラー相が発現し、短すぎると塗布層の均一性が低く、得られた光学異方層の面内のレターデーションの変動が大きくなる。
本発明に用いられるディスコティック液晶化合物として、代表的なものは例えば、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.Liq.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されている、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.Chem.Comun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが挙げられ、一般的にこれらの分子を母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその側鎖として放射状に置換された構造であるが、分子自身が負の一軸性を持ちかつ斜め配向膜により基板面に対して斜めに光軸が配向するものであれば、特に制限はない。
また、本発明においては、ディスコティック液晶を配向させた後、紫外線照射によって架橋させ、光学異方層の耐熱性や機械的な強度を向上させている(架橋後は液晶層はディスコティック液晶が固定された液晶性を持たない層である)。そのため、ディスコティック液晶の側鎖には、架橋し得る官能基(好ましくは重合性二重結合)が付与されていなければならない。このような液晶化合物の例はすでに知られており、例えば特開平8−27284号公報に詳しく記載されている。
本発明に用いられる配向膜を有する透明シートの配向膜は液晶層中の液晶分子を液晶の動作モードに適した配列や傾きに制御する役割をもつ。この配向膜を作成する方法には、酸化珪素(SiO)や有機物など蒸着する方法、LB膜を生成する方法、高分子化合物(配向膜形成材料)の薄膜をラビング処理する方法などがある。一般的に生産性やコスト性などから配向膜形成材料の薄膜をラビング処理する方法が用いられている。
配向膜形成材料の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールあるいはポリビニルアルコール誘導体を挙げることができる。
特にポリビニルアルコールあるいはポリビニルアルコール誘導体は、液晶性ディスコティック化合物を均一に配向させる能力に優れている。ポリビニルアルコール誘導体として、例えばアルキル変性ポリビニルアルコールが挙げられる。アルキル変性ポリビニルアルコールのアルキル基は炭素原子数6〜14が好ましく、さらに、−S−、−C(CH3 )(CN)−、または、−C(C25)(CN)−を介してポリビニルアルコールに結合していることが望ましい。アルキル変性ポリビニルアルコールは、末端基にアルキル基を有するものであり、けん化度80%以上、重合度200以上が好ましい。また、上記側鎖にアルキル基を有するポリビニルアルコールは、クラレ(株)製のMP103、MP203、R1130などの市販品を利用することができる。
本発明の光学補償シートの支持体は、透明であれば特に制限はない。可視光の透過率が80%以上であるものが望ましく、特に正面から見たときに光学的等方性を有するものが望ましい。従って、支持体は固有複屈折率の小さい材料から製造することが望ましい。このような材料として、セルローストリアセテートを使用することができる。また、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルホンなどの固有複屈折率の大きい材料であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、さらには縦、横方向に延伸状検討を適宜設定することにより、使用することができる。
(配向膜を有する長尺透明シートの作成)
ゼラチン層(厚さ0.1μm)を塗設したセルローストリアセテート(フジタック、富士写真フィルム(株)製、厚さ:100μm、幅:500mm)の上に長鎖アルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)5重量%水溶液を塗布し、80℃の温風にて乾燥させた後、ラビング処理を行って、配向膜を有するシートを形成した。
(実施例1)
(塗布液の作成)
ディスコティック液晶(下記化合物A)325g、
化合物A:
Figure 2006227630
トリメチルプロパンEO付加トリアセテート(V360、大阪有機化学(株)社)32g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)2g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)7g、2,4ジエチルチオキサントン(カマキュアーDETX−S、日本化薬社製)4g、及び光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・ガイギー社製)11gを620gのメチルエチルケトンに溶解して塗布液を作成した。この塗布液をスライドガラス上に塗布し、加熱しながらその変化を偏光顕微鏡で観察した、その結果、固体−液晶遷移温度は115℃、液晶−等方遷移温度は150℃であった。
(光学補償シートの作成)
配向膜を有するシートの配向膜上に、上記の塗布液をワイヤーバー(#3バー)で塗布し、塗布層の表面温度を125℃±5℃に維持しながら2分間加熱しディスコティックネマティック相を形成した。次いで、50℃の雰囲気中に1秒間静置した後、この状態で高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行い、厚さ1.8μmのディスコティック化合物を含む層(光学異方層)を有する光学補償シートを作成した。
(実施例2)
実施例1と同一の条件で、ディスコティックネマティック相を形成し、次いで、90℃の雰囲気中に20秒間静置した後、この状態で高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行って同じ厚さの光学異方層を有する光学補償シートを作成した。
(比較例1)
実施例1において、メチルエチルケトンの量を524gにした以外は同一の組成で塗布液を作成し、次いで配向膜を有するシートの配向膜上に、この塗布液をワイヤーバー(#3バー)で塗布した以外は、実施例1と同一の条件でディスコティックネマティック相を形成した。次いで、塗布層の温度を125℃±5℃に維持しながら高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行い、厚さ2.0μmの光学異方層を有する光学補償シートを作成した。
(評価)
実施例及び比較例の光学補償シートをそれぞれ50m作成し、以下の評価を行った。
1)紫外線照射する際の塗布層の表面温度を測定した。測定は赤外放射温度計(IT2−50、キーエンス(株)製)を用いて行った。その結果を表1に示す。
2)上記のようにして得られた光学補償シートについて、ラビング軸を含み異相差板面に垂直な面において、あらゆる方向からレターデーション値をエリプソメーター(AEP−100、島津製作所製)で測定し、さらに、測定部分のディスコティック化合物を除去した後の支持体の光学特性を同様に測定した。これらの測定値から、負の一軸屈折率楕円体を仮定して、三軸屈折率nx、ny、nzを求め、前記の単位厚さ当たりの厚さ方向のレターデーション(Rth/d)を求めた。測定は光学補償シート1m毎に幅方向に5点測定した。その平均値及び標準偏差の結果を表1に併せて示す。
3)シャープ(株)社製TFT型液晶カラーテレビ6E−C3の偏光板を剥がし、液晶セルを挟むようにして、前記実施例または比較例で得られた光学補償シートを装着した。次いで、その外側に偏光板が互いに直交するように貼り付け、カラー液晶表示装置を作成した。このカラー液晶表示装置について、白表示、黒表示を行い、上下左右でのコンストラスト比が10:1となる視角を測定した。すなわち、得られたカラー液晶表示装置に矩形波の電圧を印加し正面方向および上/下及び左/右方向へ傾いた方向からのコントラストを、分光計(LCD−5000、大塚電子(株)製)を用いて測定しコンストラストが10となる上/下及び左/右の視野角を求めた。なお、評価は実施例1及び比較例1についてのみ行った。その結果を表2に示す。また、シャープ(株)社製TFT型液晶カラーテレビ6E−C3の偏光板を剥がし、光学補償シートを挟まないで偏光板が互いに直交するように貼り付けたカラー液晶表示装置の評価結果も表2に示す。
表1
───────────────────────────────────────
表面温度(℃) Rth/d 標準偏差
───────────────────────────────────────
実施例1 98±5 0.049 1.3
実施例2 85±5 0.050 1.4
───────────────────────────────────────
比較例1 130±5 0.045 2.5
───────────────────────────────────────
表2
───────────────────────────────────────
上下(度) 左右(度) 備考
───────────────────────────────────────
実施例1 123 115 斜めから見てもむらが発生しない
───────────────────────────────────────
比較例1 130 120 斜めから見たときむらが発生する
───────────────────────────────────────
シートなし 50 70 斜めから見てもむらが発生しない
───────────────────────────────────────
表1において、実施例1、2と比較例1とを比較すると、単位当たりの厚み方向のレターデーション(Rth/d)は実施例1、2の方が大きい。よって光学異方層の厚さが実施例1では1.8μmであるの対して比較例1では2.0μmと約10%厚いにも係わらず、光学異方層の厚さ方向のレターデーション(Rth)は、実施例1では88nm、比較例1では90nmとほぼ等しくなり、視野角特性は同様に良好なものとなった。
本発明の光学補償シートの製造工程の一例を示す図である。
符号の説明
1 送り出し機
2 塗布機
3 加熱領域
4 冷却領域
5 紫外線照射装置
6 巻き取り機
7 配向膜を有するシート
8 加熱器
9 冷却機

Claims (4)

  1. 支持体上に、重合性液晶化合物を含む塗布液を塗布した後、塗布層を液晶形成温度に加熱し、次いで該塗布層を該重合性液晶化合物の固体−液晶遷移温度以下に冷却し、冷却した塗布層の温度を該固体−液晶遷移温度以下に維持しながら紫外線を照射して該重合性液晶化合物を重合硬化させることを特徴とする光学補償シートの製造方法。
  2. 該重合性液晶化合物が架橋性の官能基を有するディスコティック液晶化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学補償シートの製造方法。
  3. 該塗布層を液晶形成温度に加熱した後、該塗布層を1〜1000℃/分の範囲内の冷却速度で冷却し、該固体−液晶遷移温度以下にすることを特徴とする請求項1乃至2のうちいずれかの項に記載の光学補償シートの製造方法。
  4. 該塗布層を該固体−液晶遷移温度以下に冷却した後、紫外線を照射して該重合性液晶化合物を重合硬化するまでの時間が、0.1〜1200秒の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかの項に記載の光学補償シートの製造方法。
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