JP2006227139A - 光ファイバ用保護チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】 光ファイバ素線の挿通に係る作業性を向上させるとともに、低温時の光学的特性を向上させる光ファイバ用保護チューブを提供する。
【解決手段】 光ファイバ用保護チューブ1は、裸光ファイバの外側にUV樹脂などの一次被覆を施してなる光ファイバ素線2を挿通し、これを保護するものであって、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)製の樹脂チューブ3と、この樹脂チューブ3の外側に設けられる、補強繊維4と、樹脂被覆5とを備えて構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光ファイバ素線を保護する光ファイバ用保護チューブに関する。
光ファイバ素線は、裸光ファイバの外側にUV樹脂などの一次被覆を施してなるものであり、この光ファイバ素線の表面に損傷が生じると、機械的特性が低下し信頼性が損なわれてしまうことから、光ファイバ素線の外径よりも大きな内径を有する光ファイバ用保護チューブ(補強コードとも呼ばれる)を用いて、これに光ファイバ素線を挿通し保護することが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2000−19364号公報
ところで、従来の光ファイバ用保護チューブにあっては、この内部に光ファイバ素線を挿通する作業時において、次のような問題点を有している。すなわち、光ファイバ素線を挿通すると、一次被覆の材質と光ファイバ用保護チューブのチューブ材質(例えばナイロンやポリエステルエラストマーなど)との関係から静電気が発生し、光ファイバ素線がチューブ内面に張り付いてしまうという問題点を有している。従来の作業では、帯電防止処理を施しながら光ファイバ素線を挿通しなければならず、作業性が悪く工数が嵩みコストアップが避けられないという問題点を有している。
また、従来の光ファイバ用保護チューブにあっては、チューブ材質の関係からチューブの膨張・収縮が比較的大きくなり、低温時では収縮による光ファイバの損失が増加してしまうという問題点を有している。特に、−30℃以下の低温時になると、光ファイバの損失増加が顕著になることから、寒冷地での使用は不適であるという問題を有している。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、光ファイバ素線の挿通に係る作業性を向上させるとともに、低温時の光学的特性を向上させる光ファイバ用保護チューブを提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の光ファイバ用保護チューブは、光ファイバ素線を挿通する樹脂チューブを備えて前記光ファイバ素線を保護する光ファイバ用保護チューブにおいて、前記樹脂チューブの材質をポリ・エーテル・エーテル・ケトンとすることを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、光ファイバ用保護チューブを構成する樹脂チューブをスーパーエンプラのポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)を用いて成形する。UV樹脂を裸光ファイバに被覆してなる光ファイバ素線をポリ・エーテル・エーテル・ケトン製の樹脂チューブに挿通する際、従来必要であった静電気によるファイバの張り付き対策は不要になる。ポリ・エーテル・エーテル・ケトン製の樹脂チューブは、作業性を向上させ工数削減を見込むことが可能になる。また、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン製の樹脂チューブは、低温時の収縮が小さいため、ファイバの損失増加を小さく抑えることが可能になる。
請求項2記載の本発明の光ファイバ用保護チューブは、請求項1に記載の光ファイバ用保護チューブにおいて、前記樹脂チューブの外側に補強繊維と樹脂被覆とを設けることを特徴としている。
このような特徴を有する本発明によれば、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン製の樹脂チューブと、この樹脂チューブ外側の補強繊維と樹脂被覆とを備えて光ファイバ用保護チューブを構成する。樹脂チューブをこの外側の補強繊維と樹脂被覆とで保護することにより、光ファイバ用保護チューブとしての機械的特性を十分に確保することが可能になる。
請求項1に記載された本発明によれば、光ファイバ素線の挿通に係る作業性と低温時の光学的特性とを従来よりも向上させることができるという効果を奏する。また、請求項2に記載された本発明によれば、光ファイバ用保護チューブのより良い形態を提供することができるという効果を奏する。
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の光ファイバ用保護チューブの一実施の形態を示す構成図である。
図1において、本発明の光ファイバ用保護チューブ1は、裸光ファイバの外側にUV樹脂などの一次被覆を施してなる光ファイバ素線2を挿通し、これを保護するものであって、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)製の樹脂チューブ3と、この樹脂チューブ3の外側に設けられる、例えばポリ・アラミド製の補強繊維4と、例えばポリ塩化ビニル製の樹脂被覆5とを備えて構成されている。
樹脂チューブ3を、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)製としたのは、静電気による光ファイバ素線2の張り付き対策を不要にするためである。また、低温時の収縮による光ファイバ素線2の損失増加を小さく抑えるためである。ここでポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)について補足説明すると、スーパーエンプラに属する材料であることが知られており、耐摩耗性、耐薬品性に優れた材料である。また、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)は、難燃性を有する材料であることから、光ファイバ用保護チューブ1を形成するに当たって好適な材料である。
本発明の光ファイバ用保護チューブ1の試験及びこの試験結果について説明する。試験方法は、光ファイバ用保護チューブ1に光ファイバ素線2を挿通した状態(3mの長さ)の試料を形成し、この試料を試験槽内に入れ、そして、この状態で光ファイバ素線2に光信号を通しつつ−40℃〜75℃の範囲で温度を変化させながら光パワーの変動をモニターする、という試験方法を採用する。
図2は本発明の光ファイバ用保護チューブ1の試験結果を示すグラフである。上記試験において、図2に示されるように、本発明の光ファイバ用保護チューブ1は、−40℃においても安定した光学特性を有する(−40℃で基準値に対して0.1dB以下の増加しか認められない)。
尚、特に図示しないが、樹脂チューブを例えばナイロン製とすると、上記試験の場合では、−30℃を下回るあたりから急激に損失が増加するという結果が得られる。これは、ナイロンのような一般的な樹脂を用いて樹脂チューブを形成すると、低温時の収縮によって内部の光ファイバ素線にたるみが生じてしまうからである(一般的な樹脂のチューブでは、低温時にたるみが一定以上に大きくなり、曲げによる損失増加が認められる)。
以上、図1及び図2を参照しながら説明してきたように、本発明の光ファイバ用保護チューブ1は、ポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)製の樹脂チューブ3を構成に含んでいることから、低温時、特に−40℃程度においても安定した光学特性を有するという効果を奏する。
また、本発明の光ファイバ用保護チューブ1は、樹脂チューブ3をポリ・エーテル・エーテル・ケトン(PEEK)製としていることから、光ファイバ素線2を挿通する際に、静電気によるファイバの張り付き対策を施す必要性がなく、結果、作業性を向上させて工数削減を見込むことができるという効果を奏する。
次に、本発明の光ファイバ用保護チューブ1の有効性が顕著に認められる例を説明する。図3は一例として挙げるファンアウト光コードの平面図である。
図3において、引用符号11は、ファンアウト光コードを示している。ファンアウト光コード11は、光通信網の架空光ケーブルの途中に存在するクロージャからユーザ家屋に光ファイバを引き込むためのコードとして設けられている。引用符号12は光ファイバテープ、13は分岐部、14は光コネクタを示している。分岐部13で光ファイバテープ12から分岐された各光ファイバ素線は、本発明の光ファイバ用保護チューブ1により保護された状態で光コネクタ14に接続されている。
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
本発明の光ファイバ用保護チューブの一実施の形態を示す構成図である。 本発明の光ファイバ用保護チューブの試験結果を示すグラフである。 ファンアウト光コードの平面図である。
符号の説明
1 光ファイバ用保護チューブ
2 光ファイバ素線
3 樹脂チューブ
4 補強繊維
5 樹脂被覆
11 ファンアウト光コード
12 光ファイバテープ
13 分岐部
14 光コネクタ

Claims (2)

  1. 光ファイバ素線を挿通する樹脂チューブを備えて前記光ファイバ素線を保護する光ファイバ用保護チューブにおいて、
    前記樹脂チューブの材質をポリ・エーテル・エーテル・ケトンとする
    ことを特徴とする光ファイバ用保護チューブ。
  2. 請求項1に記載の光ファイバ用保護チューブにおいて、
    前記樹脂チューブの外側に補強繊維と樹脂被覆とを設ける
    ことを特徴とする光ファイバ用保護チューブ。
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