JP2006226742A - 加重分布検知シート及び加重分布の検知表示システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ハンディキャップを持つ人が椅子、ベッド等に座り、又は横臥するときに、ハンディキャップを持つ人と椅子等の間に挿入して加重の分布を検知できる薄くて柔軟な検知シートを提供する。
【解決手段】細長い帯状の導電ゴム5を縦横のマトリクス状に配置し、上下に絶縁性樹脂シート6、7を貼着する。導電ゴム5同士が面接触する交点における電気抵抗値が、その交点に加わる加重に略比例して変化する。導電ゴム5の端部には操作端末に接続するための端子部8を備える。
【選択図】図2
【解決手段】細長い帯状の導電ゴム5を縦横のマトリクス状に配置し、上下に絶縁性樹脂シート6、7を貼着する。導電ゴム5同士が面接触する交点における電気抵抗値が、その交点に加わる加重に略比例して変化する。導電ゴム5の端部には操作端末に接続するための端子部8を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、座姿勢又は横臥姿勢の人体の加重分布を検知するためのシート及びその検知表示システムに関する。
身体の自由が利かない病人や、意思伝達のできない人が車椅子に長時間座る場合、あるいは介護ベッドに長時間横たわった姿勢でいる場合、床ずれの危険がある。床ずれを防止するためのパッドは種々のものが開発されており、例えば椅子に座った姿勢での床ずれを防止しようとする場合は、着座した人間の臀部と椅子の座面の間に、大きな圧力がかかると考えられる箇所を取り囲むようにパッドを挿入する。大きな圧力がかかると考えられる位置は、通常坐骨の位置である。
ところが、坐骨が大きな加重で椅子上面に当たる位置は左右2箇所あり、その左右位置で圧力が均等である場合はむしろ稀であって、多くは左右の位置で加重の掛かり方が異なっている。したがって、床ずれ防止用のパッドを挿入するにしても、適正な位置に挿入するためには、実際に着座した人間の臀部にどのような分布で加重が掛かっているかを知る必要がある。上記の加重分布を知るために、従来は、医師や介護士が、着座者の臀部と椅子の間に手を差し入れて、感覚的にその圧力を把握していた。
一方、自動車のエアバッグの動作を制御するために、自動車のシートに着座した人間の体格を判別する目的で、自動車のシートに感圧センサを備える技術が開発されている(例えば、特許文献1)。この技術では、感圧センサによって検出された座圧から圧力分布を測定し、2つの圧力ピーク間距離に基づいて着座者の体格を判定するようになっている。
また、同様の技術で、より正確に着座者の体格を検出するため、圧力センサからの検出出力の解析方法を改良した技術も開発されている(例えば、特許文献2)。
さらに、体重計ではあるが、家庭に設置して邪魔にならず、収納の便利も考慮して全体を薄いシート状にしたものが開発されている(例えば、特許文献3)。
特開平11−115678号公報
特開2002−5761号公報
特開平11−83608号公報
上述したように、身体の自由が利かない病人や、意思伝達のできない人(以後、ハンディキャップ者という)が着座した状態での、ハンディキャップ者の臀部と椅子との間の加重の分布は、医師などが直接手を挿入して、感覚的に把握するしか方法がなかったのであるが、この方法では、挿入した手の厚みによって圧力分布が変わってしまい、正確な加重の分布を把握することは困難であった。したがって、結局は、医師、介護士などの経験や勘に基づいて適当と思われる位置にパッドを挿入していた。その挿入位置が適正かどうかをハンディキャップ者本人から聞き出そうとしても、本人が応答できない場合も多くあった。
そこで、前述した自動車のシートに圧力センサを備え、着座時の圧力を検出する技術を応用して電気的に加重分布を検知することが考えられるが、上記のようなハンディキャップ者の着座時又は横臥時の加重分布を検出する機器には、特別な薄さと丈夫さが要求されるので、前述の自動車シートの技術をそのまま用いることはできない。つまり、着座したハンディキャップ者の臀部と椅子上面の間に挿入するシート状の検知プローブは、それを挿入することによって加重分布が変わってしまうような厚み(例えば1cm程度)があってはならないし、薄さを追求するあまり丈夫さが損なわれてはならない。また、加重プローブとしての検知シートに部分的に硬いところがあれば、ハンディキャップ者は、敏感にそれを感じて上体を傾けたりして、自然な加重分布が検知できなくなってしまう虞もある。つまり、検知シートは可能な限り薄く均一で柔軟なものである必要がある。
従って、前述した自動車シートの技術を応用するとなると、次の支障がある。つまり、前述の自動車シートの技術では、圧力を検出するスイッチ部分が、隙間を有して上下に配した電極で構成されていることから、どうしてもそのスイッチ部分の厚みが大きくなってしまうという不具合がある。さらに具体的に検討すると、前述の自動車シートの技術は、特許公報に開示された範囲内のものでは、実際には加重分布は検出できないことが分かった。前記特許公報に開示の自動車シートの技術では、多数の圧力センサが、行電極と列電極との交点に互いに接近した(実施例では1cm)状態で配置されるので、特定の交点の電気抵抗値を測定しようとしても、隣接する交点における圧力センサの導通の影響が大きく及び、その特定の圧力センサの抵抗値の変化量が判別できなくなる。つまり、検知シートへの加重はある面積(臀部であれば略30cm四方)でかかるのであるから、その加重面積内の圧力センサは程度の大小はあっても全てが導通する。従って、特定の行電極と列電極に電圧をかけてその間の電気抵抗値を計測したとしても、その電気抵抗値には、その交点の圧力センサの導通と共にその周りの圧力センサの導通による影響も含まれるので、特定した交点の圧力センサの電気抵抗値は正確には計測されない。
上記欠点を解消し、各交点の圧力センサの抵抗値の変化を正確に測定しようとすれば、各圧力センサにそれぞれ直列にダイオードを挿入する必要があるが(特許文献3の技術)、そうすれば、シートの厚みが増し、上述したハンディキャップ者用の加重分布を検知するためのシートとしては適用できないものになってしまう。また、各圧力センサに直列にダイオードを挿入した検知シートでは、大きな加重が掛かった時に故障しやすく、配線が複雑となって製造も難しいという欠点もある。
そこで、本発明は、上記のようなハンディキャップ者が着座する際又は横臥する際に、車椅子、介護ベッド等の対象物上に配置して、ハンディキャップ者に違和感を与えることがほとんどない程度まで薄く製造でき、また、構造が簡単で柔軟性に富み、繰り返し加重が掛かっても故障の恐れが少ない加重分布検知シートと、加重分布の検知表示システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、細長い帯状又は線状の導電ゴムを縦横のマトリクス状に配置して、その上下に絶縁性のシートを貼着し、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとが接触する交点における導電ゴム同士の電気抵抗値が、その交点に加わる加重に略比例して変化するようにしたことを特徴とする加重分布検知シートである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記導電ゴム自身の隣接する交点間の電気抵抗値が、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムの交点における接触による電気抵抗値よりも5倍程度大きな値になるように、前記導電ゴム同士の間隔を設定してあることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記導電ゴム自身の隣接する交点間の電気抵抗値が、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムの交点における接触による電気抵抗値よりも5倍程度大きな値になるように、前記導電ゴム同士の間隔及び導電ゴムの電気抵抗値を設定してあることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記縦配置の導電ゴム又は前記横配置の導電ゴムのいずれかを、その上面又は下面が絶縁面になるように形成し、かつ前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムが、隣接する交点ごとに、その上下位置が交替するように編成配置して、前記交点における導通が縦横共に1交点おきに生じることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記導電ゴムの上面又は下面の絶縁面が、導電ゴムの上面又は下面に貼着した絶縁シートで形成されることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記上面又は下面に絶縁面が形成された導電ゴムの、絶縁面が形成されない下面又は上面に、凹凸を形成し、前記交点において接触する相手の導電ゴムとの導通性を向上させたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記上面又は下面に絶縁面が形成された導電ゴムの、絶縁面が形成されない下面又は上面に、中空部を形成し、前記交点において接触する相手の導電ゴムとの導通性を向上させたことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の発明において、前記細長い帯状又は線状の導電ゴムを縦横のマトリクス状に配置して形成した1組の導電ゴム編成体を、複数組上下に重ねて配置し、それら各編成体同士は互いに絶縁すると共に、各編成体の導電ゴム同士の交点は平面視において重ならない位置としたことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の発明において、前記加重分布検知シートの加重を受ける主部分が、ゴム、樹脂等の柔軟なシート状材料のみで形成されることを特徴とする。
請求項10の発明は、細長い帯状又は線状の導電ゴムを縦横のマトリクス状に配置して、その上下に絶縁性のシートを貼着し、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとが接触する交点における導電ゴム同士の電気抵抗値が、その交点に加わる加重に略比例して変化するようにした加重分布検知シートと、前記各導電ゴムの端部に接続されて、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとが接触する交点に電圧が生じるように、縦配置の導電ゴムの集合と横配置の導電ゴムの集合ごとに、かつ各集合内の導電ゴム1本ずつに順に電圧を印加する電圧印加装置と、前記加重分布検知シートに加重がかかる前に、前記電圧印加装置によって電圧が印加された時の、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとの間に生じる電気抵抗値を、前記交点ごとに記憶する無加重時電気抵抗値記憶手段と、前記加重分布検知シートに加重がかかった後に、前記電圧印加装置によって電圧が印加された時の、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとの間に生じる電気抵抗値を、前記交点ごとに記憶する加重時電気抵抗値記憶手段と、前記無加重時電気抵抗値記憶手段により記憶された前記交点ごとの電気抵抗値と、前記加重時電気抵抗値記憶手段により記憶された前記交点ごとの電気抵抗値との差分を算出して、各交点ごとの差分データとして出力する差分データ出力手段と、前記差分データ出力手段から出力された各交点ごとの差分データを、交点ごとの加重の大きさの相違として画像出力するモニタ装置とから構成されることを特徴とする加重分布の検知表示システムである。
請求項1乃至請求項9の加重分布検知シートは、可及的に薄く製作でき、ハンディキャップ者と車椅子、介護ベッド等の対象物間に挿入して、ハンディキャップ者にほとんど違和感を与えることなく自然な状態での加重分布を検知することができる。また、構造が簡単で柔軟性に富み、繰り返し加重が掛かっても故障の恐れがほとんどない。
請求項10の加重分布の検知表示システムは、ハンディキャップ者と車椅子、介護ベッド等の対象物間に挿入して、ハンディキャップ者にほとんど違和感を与えることがない加重分布検知シートからの電気抵抗値情報に基づいて、加重分布を計算し、その加重分布をモニタ装置によって表示するので、自然な状態でのより適正な加重分布を容易に確認することができる。
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の加重分布の検知表示システムは、図1に外観を示したように、コード1で接続された加重分布検知シート2と、表面に液晶表示パネル3を備え、内部に加重分布を演算するための種々の回路(後に詳述)を備えた操作端末4とから構成される。加重分布検知シート2は後述する構成によって極めて薄く(約3mm以内)作成され、ハンディキャップ者と椅子又はベッド間に、ハンディキャップ者に違和感を与えることなく挿入することができる(図9)。
まず、加重分布検知シート2の構造について図2を参照して説明する。本実施形態の加重分布検知シート2は、細長い帯状の導電ゴム5を縦横のマトリクス状に配置し、その上下に絶縁性の薄い樹脂シート6、7を貼着して、全体の厚さを約3mmに形成したものである。縦横の導電ゴム5の交点で導電ゴム5の表面同士が面接触して導通し、その電気抵抗値が、交点に加わる加重に略比例して変化する。各導電ゴム5の端部にはコード1と電気接続するための金属性端子部8が接続されるが、加重を受ける主部分(シートの大部分)は均一で柔軟なシート状構造となっている。また、本実施形態の加重分布検知シート全体の大きさは30cm四方であり、縦横共に5本ずつの導電ゴム5が配置される(図2はシートの中央部分を示す)。従って、導電ゴム5同士の間隔は縦横共に約5cmである。
導電ゴム5同士の間隔は、導電ゴム5自身の電気抵抗値と共に、次に示す条件を満たすように設定される。つまり、隣接する交点間の電気抵抗値が、導電ゴム5同士の交点における面接触による電気抵抗値よりも5倍程度大きな値となるように設定される。これを、図3を参照してさらに説明する。図3は、図2に示したシート部分の等価回路であり、隣接する交点間の導電ゴム5自身の電気抵抗値は、縦列の導電ゴム5についてaで示し、横行の導電ゴム5についてbで示す。また、各交点における導電ゴム5同士の面接触による電気抵抗値はR1〜R9で示す。今、電気抵抗値aとbについては、導電ゴム5同士の間隔が約5cmでほぼ等しいとすると、a=bである。電気抵抗値R1〜R9についても、加重が掛かっていない時の値はほぼ等しいとする。この条件のもとで、a=5×R1及びb=5×R1となるように、導電ゴム5自身の電気抵抗特性及び交点間の間隔を設定するのである。電気抵抗値a、bが電気抵抗値R1〜R9の約5倍になるように設定する理由については後述する。
次に、図3を参照して、縦横の特定の導電ゴム5に電圧をかけた時に検出される電気抵抗値について説明する。説明の簡略のために、縦横の導電ゴム5が共に3本のものについて考察する。今、中央の交点における電気抵抗値R5を検出するために縦列中央の導電ゴム5の端子D2と横行中央の導電ゴム5の端子F2間に電圧をかけたとする。多数の電流経路が形成されるが、合計の電気抵抗値が比較的小さい3本の経路を取り上げて説明する。つまり、3本の経路とは、図3においてK1、K2及びK3で示した経路であり、それぞれ、経路K1の電気抵抗値:(2a+2b+R5)、経路K2の電気抵抗値:(2a+2b+R2+R1+R4)、経路K3の電気抵抗値:(2a+3b+R2+R3+R6)となる。さらに、3本の経路の並列部分についての電気抵抗値は、次のようになる。経路K1の並列部分電気抵抗値:(a+b+R5)、経路K2の並列部分電気抵抗値:(a+b+R2+R1+R4)、経路K3の並列部分電気抵抗値:(a+2b+R2+R3+R6)。
従って、経路K1の電気抵抗値が最も小さくなるために、複数の並列経路が成立する端子D2と端子F2間においても、経路K1の電気抵抗値が最も支配的影響力を持ち、端子D2と端子F2間に電圧をかければ中央の交点の電気抵抗値の変化を検出できることが分かる。同様に、端子D1と端子F1間に電圧をかければ電気抵抗値R1の変化を検出でき、端子D3と端子F3間に電圧をかければ電気抵抗値R9の変化を検出できる。
電気抵抗値a及びbを電気抵抗値R1〜R9の約5倍に設定する理由について、図3を参照して説明する。つまり、今、端子D1と端子F1間に電圧をかけて電気抵抗値R1の変化を検出しようとする場合、電気抵抗値R1の交点にかかる加重がゼロの時に、合計の抵抗値は(a+b+R1)となり、電気抵抗値R1の交点に充分大きな加重がかかった時の合計抵抗値は(a+b+0)となるとする。また、同様に電気抵抗値R9の変化を検出しようとする場合、端子D3と端子F3間に電圧をかけて、加重ゼロの時、合計の抵抗値(3a+3b+R9)を得、大きな加重がかかった時に合計の抵抗値(3a+3b+0)を得るとする。(充分に大きな加重がかかっても、実際にはR1、R9の値がゼロになることはないが、相当に小さな値になる。)
上述の例で、電流の経路が長い場合(例えば、端子D3と端子F3間)の電気抵抗値の変化割合は、電流経路が短い場合(例えば、端子D1と端子F1間)の電気抵抗値の変化割合よりも小さくなることが分かる。一方、電流(抵抗)の変化量が最も検出しやすい範囲は、電流(抵抗)が元の値に対して10〜20%程度変化する場合である。これを具体的に上述の場合に則してみれば、電流経路が短い場合(端子D1と端子F1間)で変化割合が大きく表れる場合であっても、それが20%以内に収まり、電流経路が長い場合(端子D3と端子F3間)で変化割合が小さくしか表れない場合でも、それが10%以上となるように、電気抵抗値a、b及びR1〜R9を設定する。
実験の結果、電気抵抗値aとbは共に150オーム、電気抵抗値R1〜R9は30オームが適当であることが分かった。なお、電気抵抗値a、bは、導電ゴム5同士の間隔に比例して変化するので、導電ゴム5同士の間隔を大きく設定すれば容易に電気抵抗値a、bを大きくできるが、導電ゴム5同士の間隔を大きくするということは、一定面積の加重検知シート内に設ける導電ゴム5の本数が減る(交点の数が減る)ことになるので、粗い加重分布しか検知できないことになる。他方、導電ゴム5同士の間隔を小さく設定するために、導電ゴム5自身を大きな電気抵抗特性をもったものにする場合は、接触による電気抵抗値R1〜R9の変化量(加重がゼロの時と加重がかかった時の変化)が小さくなってしまう。従って、実際の装置では、導電ゴム5の本数を減らすことなしに、導電ゴム5同士の間隔(交点同士の間隔)を実質的に拡げる構造、及び導電ゴム5の接触による電気抵抗値の変化量を大きくする構造が採用される。これらの構造については後述する。
次に、操作端末4内の、加重分布を検知するための回路について、図4を参照して説明する。全ての交点の電気抵抗値R1〜Rnの変化を検出するためには、横行の導電ゴムの端子L1〜Lnに順に電圧をかけると共に、縦列の導電ゴムの端子C1〜Cnに順に電圧をかけなければならず、操作端末4内には、各導電ゴムの端子へ電圧をかけるタイミングを一定時間で送る走査タイミング発生回路9が設けてある。つまり、この走査タイミング発生回路9により、例えば、1本目の導電ゴム端子L1に電圧がかけられ、その間に縦列の導電ゴム端子C1〜Cnに次々と切替えて電圧がかけられ、これによって加重分布検知シート2の一辺の交点に関する電気抵抗値が計測される。以下、同様に電圧がかけられる導電ゴム5が切替えられて、最終的には全ての交点に関する電気抵抗値が計測されることになる。
また、導電ゴムの端子かける電圧を発生すると共に、走査タイミング発生回路9により計測する交点が切替えられる毎に、その時の電流経路の電気抵抗値を計測する抵抗値計測回路11が設けてあり、この抵抗値計測回路11で計測した電気抵抗値は、デジタル信号に変換された上、マイクロコンピュータで構成される演算表示回路12へと送られる。演算表示回路12は、送られてくる電気抵抗値を記憶すると共に、電気抵抗値を加重の大きさに変換し、変換したデータを液晶表示パネル3のドライバへ送り、液晶表示パネル3にグラフィック表示させる。また、演算表示回路12は、走査タイミング発生回路9と抵抗値計測回路11の動作(開始、停止等)の制御も行う。
走査タイミング発生回路9と抵抗値計測回路11が、演算表示回路12からの測定開始信号により前述の動作を開始すると、演算表示回路12内のメモリ13には加重分布検知シート2の各交点に関する電気抵抗値データが各交点ごとに対応付けて記憶される。そして、実際の加重分布の検知作業時には、ハンディキャップ者が座る前、つまり検知シート2に加重がかかる前に、上記行程を行い、演算表示回路12内のメモリ13に初期値データとして電気抵抗値データを記憶させる。次に、ハンディキャップ者を座らせ、検知シート2に加重がかかった状態で、再び同行程を行う。この時、演算表示回路12は、抵抗値計測回路11から送られる電気抵抗値データを、各交点ごとに、演算表示回路12内のメモリ13に記憶された電気抵抗値データと比較し、その差分を演算して、演算された差分データを加重による変化量、つまり加重の大きさとする。図9に上記行程を模式的に示す。
次に、加重分布検知シート2の種々の変形例について図5乃至図8を参照して説明する。加重分布検知シート2の導電ゴム5同士の間隔(交点同士の間隔)が大きい方が、電気抵抗特性の大きい導電ゴムを用いなくて済むという利点があることは前述のとおりであり、交点の数を極端に減少することなく、導電ゴム同士の間隔を実質的に拡げることができる構造を図5に示す。
細長い帯状の導電ゴム5を縦横のマトリクス状に配置し、その上下に絶縁性の樹脂シート6、7を貼着する基本的構造は図2に示したものと同じであるが、図5に示す変形例としての加重分布検知シート2は、横行の導電ゴム5の表面に絶縁層14を形成すると共に、横行の導電ゴム5と縦列の導電ゴム5を、隣接する交点ごとに、その上下位置が交替するように編成してある。これによって、導電ゴム5同士の交点における電気的接触は、1交点おきに生じ、実質的に導電ゴム5同士の交点間の間隔が広がり、電気抵抗が大きな導電ゴムを用いなくても前述の電気抵抗値a、bを充分に大きな値にできる。図5において、Sで示す交点が電気的接触が形成されない交点である。
また、図5に示した構造において、1交点おきに形成される電気的接触箇所での加重変化による電気抵抗値の変化を大きくするために、導電ゴム表面を図6及び図7に示す形状とすることも可能である。つまり、表面に絶縁層14を形成した横行の導電ゴム5の裏面に、図6に示したような多数の小突起5a又は図7に示したような中空5cを有する膨出部5bを形成する。これによって、加重がかかっていない状態では、小突起5a又は膨出部5bが相対する導電ゴム5面に接触する面積は極めて小さいので電気抵抗値は大きくなり、加重がかかった状態では、小突起5a又は膨出部5bが圧縮変形されて相手側の導電ゴム5面への接触面積が大きくなるので、電気抵抗値は小さくなる。つまり、交点に関する電気抵抗値の変化が、交点にかかる加重の変化をよりよく反映して表れるようになる。
さらに、前述のとおり、電気抵抗値a、bの値を大きくするために、導電ゴム5同士の間隔を大きくすれば、一定面積の加重検知シート2内に設け得る導電ゴム5の本数が減る(交点の数が減る)ことになるので、粗い加重分布しか検知できないことになるが、検知シート2の厚みを多少犠牲にすれば、次の構造のようにして、一定面積当たりの導電ゴム5同士の交点の数を減少しないで済む。つまり、図8に示すように、導電ゴム5を縦横に配置して形成した1組の導電ゴム編成体5A(図2に示した構造)に重ねて、同一構造の別の1組の編成体5Bを配置し、各編成体5A、5Bの導電ゴム5同士の交点は、平面視において重ならない位置とする。各編成体5A、5Bの間には、絶縁性シートを配置する。1組の導電ゴム編成体5A、5Bの構造としては、図5に示した構造のものを用いることもできる。以上のように、加重分布検知シート2の構造は、種々に変形が可能である。
次に、本実施形態の加重分布の検知表示システムを用いた加重分布の検知方法について、図9を参照して説明する。まず、椅子等の座面に加重分布検知シート2を載せ、ハンディキャップ者HDがその上に座らない状態(加重がかからない状態)で、操作端末4を操作して、加重分布を計測する。この無加重時に計測した電気抵抗値のデータは、原理的には全ての交点に関して等しくなるはずであるが、実際には導電ゴム5同士の接触圧力等が異なるので、異なった値となる。この異なった電気抵抗値データがメモリ13内に記憶される。その後、加重分布検知シート2の上にハンディキャップ者HDを座らせ、再び操作端末4を操作して加重分布を計測する。この時には、各交点に異なった加重がかかり、各交点に関する電気抵抗値は、その交点にかかる加重を反映した値となる。そして、その値が各交点ごとにメモリ13内のデータとの差分を演算され、その差分データに基づいて液晶表示パネル3に異なった色表示として表示される。例えば、加重が大きい交点の付近は赤色、加重が小さい交点の付近は青色というように、色の種類で加重の大きさが判別できるように表示される。
液晶表示パネル3の表示から加重の大きな領域が判明するので、医師、介護士等は加重の大きな領域がなくなるように、パッドを配置する。場合によっては、パッドを配置した後、再び加重分布を計測してパッドの配置が適正であるかどうかを確かめてみる。図9には、実際の加重分布Pdが、本実施形態の検知システムで計測された値として表示された画面例d1を示し、さらに、パッドを配置した後の画面例d2を示す。
2 加重分布検知シート
3 液晶表示パネル
4 操作端末
5 導電ゴム
5a 小突起(凹凸)
5b 膨出部
5c 中空
5A 導電ゴム編成体
5B 導電ゴム編成体
6 樹脂シート
7 樹脂シート
9 走査タイミング発生回路
11 抵抗値計測回路
12 演算表示回路
13 メモリ
14 絶縁層(絶縁面)
a 交点間の電気抵抗値
b 交点間の電気抵抗値
R1〜R9 接触による電気抵抗値
3 液晶表示パネル
4 操作端末
5 導電ゴム
5a 小突起(凹凸)
5b 膨出部
5c 中空
5A 導電ゴム編成体
5B 導電ゴム編成体
6 樹脂シート
7 樹脂シート
9 走査タイミング発生回路
11 抵抗値計測回路
12 演算表示回路
13 メモリ
14 絶縁層(絶縁面)
a 交点間の電気抵抗値
b 交点間の電気抵抗値
R1〜R9 接触による電気抵抗値
Claims (10)
- 細長い帯状又は線状の導電ゴムを縦横のマトリクス状に配置して、その上下に絶縁性のシートを貼着し、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとが接触する交点における導電ゴム同士の電気抵抗値が、その交点に加わる加重に略比例して変化するようにしたことを特徴とする加重分布検知シート。
- 前記導電ゴム自身の隣接する交点間の電気抵抗値が、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムの交点における接触による電気抵抗値よりも5倍程度大きな値になるように、前記導電ゴム同士の間隔を設定してあることを特徴とする請求項1に記載の加重分布検知シート。
- 前記導電ゴム自身の隣接する交点間の電気抵抗値が、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムの交点における接触による電気抵抗値よりも5倍程度大きな値になるように、前記導電ゴム同士の間隔及び導電ゴムの電気抵抗値を設定してあることを特徴とする請求項1に記載の加重分布検知シート。
- 前記縦配置の導電ゴム又は前記横配置の導電ゴムのいずれかを、その上面又は下面が絶縁面になるように形成し、かつ前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムが、隣接する交点ごとに、その上下位置が交替するように編成配置して、前記交点における導通が縦横共に1交点おきに生じることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の加重分布検知シート。
- 前記導電ゴムの上面又は下面の絶縁面が、導電ゴムの上面又は下面に貼着した絶縁シートで形成されることを特徴とする請求項4に記載の加重分布検知シート。
- 前記上面又は下面に絶縁面が形成された導電ゴムの、絶縁面が形成されない下面又は上面に、凹凸を形成し、前記交点において接触する相手の導電ゴムとの導通性を向上させたことを特徴とする請求項5に記載の加重分布検知シート。
- 前記上面又は下面に絶縁面が形成された導電ゴムの、絶縁面が形成されない下面又は上面に、中空部を形成し、前記交点において接触する相手の導電ゴムとの導通性を向上させたことを特徴とする請求項5に記載の加重分布検知シート。
- 前記細長い帯状又は線状の導電ゴムを縦横のマトリクス状に配置して形成した1組の導電ゴム編成体を、複数組上下に重ねて配置し、それら各編成体同士は互いに絶縁すると共に、各編成体の導電ゴム同士の交点は平面視において重ならない位置としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の加重分布検知シート。
- 前記加重分布検知シートの加重を受ける主部分が、ゴム、樹脂等の柔軟なシート状材料のみで形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の加重分布検知シート。
- 細長い帯状又は線状の導電ゴムを縦横のマトリクス状に配置して、その上下に絶縁性のシートを貼着し、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとが接触する交点における導電ゴム同士の電気抵抗値が、その交点に加わる加重に略比例して変化するようにした加重分布検知シートと、
前記各導電ゴムの端部に接続されて、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとが接触する交点に電圧が生じるように、縦配置の導電ゴムの集合と横配置の導電ゴムの集合ごとに、かつ各集合内の導電ゴム1本ずつに順に電圧を印加する電圧印加装置と、
前記加重分布検知シートに加重がかかる前に、前記電圧印加装置によって電圧が印加された時の、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとの間に生じる電気抵抗値を、前記交点ごとに記憶する無加重時電気抵抗値記憶手段と、
前記加重分布検知シートに加重がかかった後に、前記電圧印加装置によって電圧が印加された時の、前記縦配置の導電ゴムと前記横配置の導電ゴムとの間に生じる電気抵抗値を、前記交点ごとに記憶する加重時電気抵抗値記憶手段と、
前記無加重時電気抵抗値記憶手段により記憶された前記交点ごとの電気抵抗値と、前記加重時電気抵抗値記憶手段により記憶された前記交点ごとの電気抵抗値との差分を算出して、各交点ごとの差分データとして出力する差分データ出力手段と、
前記差分データ出力手段から出力された各交点ごとの差分データを、交点ごとの加重の大きさの相違として画像出力するモニタ装置とから構成されることを特徴とする加重分布の検知表示システム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005038629A JP2006226742A (ja) | 2005-02-16 | 2005-02-16 | 加重分布検知シート及び加重分布の検知表示システム |
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JP2005038629A JP2006226742A (ja) | 2005-02-16 | 2005-02-16 | 加重分布検知シート及び加重分布の検知表示システム |
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ID=36988260
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008070327A (ja) * | 2006-09-15 | 2008-03-27 | Tokai Rubber Ind Ltd | 変形センサ |
JP2012071098A (ja) * | 2010-08-31 | 2012-04-12 | Tokai Rubber Ind Ltd | シートおよび車椅子 |
JP2014142193A (ja) * | 2013-01-22 | 2014-08-07 | Oga Inc | 荷重分布検出装置 |
-
2005
- 2005-02-16 JP JP2005038629A patent/JP2006226742A/ja active Pending
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