JP2006226265A - 異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 蓄熱システムを搭載した車両におけるエンジンの暖め不良を的確に判別する。
【解決手段】 エンジンECUは、蓄熱タンクからシリンダブロックに供給された冷却水の量を推定するステップ(S106)と、推定された冷却水の量に基づいて、エンジンの油温を推定するステップ(S108)と、推定された油温から、エンジンのフリクションを推定するステップ(S110)と、推定されたフリクションに基づいてスタータの駆動電圧V(1)を決定するステップ(S112)と、スタータによりエンジンをクランキングするステップ(S114)と、エンジン回転数NEを検知するステップ(S116)と、エンジン回転数NEがしきい値NE(0)より小さい場合(S118にてNO)、エンジンの暖め不良が発生したと判定するステップ(S124)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図2
【解決手段】 エンジンECUは、蓄熱タンクからシリンダブロックに供給された冷却水の量を推定するステップ(S106)と、推定された冷却水の量に基づいて、エンジンの油温を推定するステップ(S108)と、推定された油温から、エンジンのフリクションを推定するステップ(S110)と、推定されたフリクションに基づいてスタータの駆動電圧V(1)を決定するステップ(S112)と、スタータによりエンジンをクランキングするステップ(S114)と、エンジン回転数NEを検知するステップ(S116)と、エンジン回転数NEがしきい値NE(0)より小さい場合(S118にてNO)、エンジンの暖め不良が発生したと判定するステップ(S124)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、液媒体を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを搭載した車両における異常診断装置に関し、特に、内燃機関に高温の液媒体を供給して内燃機関の温度を制御する車両における異常を診断する技術に関する。
自動車などに搭載される内燃機関が冷間状態で始動される場合には、吸気ポートや燃焼室等の壁面温度が低くなるため、燃料が霧化し難くなるとともに燃焼室の周縁部において消炎が発生し易くなり、始動性の低下や排気エミッションの悪化などが誘発される。
このような問題に対し、水冷式内燃機関において高温の冷却水を保温貯蔵する蓄熱装置を備え、内燃機関の始動時などに蓄熱装置に貯蔵されている冷却水を内燃機関へ供給することにより内燃機関の温度上昇を図り、以て始動性の向上や暖機の早期化を図る技術が提案されている。
たとえば、特開2002−122061号公報(特許文献1)に開示されたハイブリッド車は、エンジンの冷却水の少なくとも一部を保温状態に保持する蓄熱器と、畜熱器内の冷却水をエンジン内へ移送するポンプと、モータまたは電動スタータの少なくとも一方を含むエンジン始動用駆動部と、車輌運転時に運転者により閉じられるキースイッチと、キースイッチが閉じられることに応答してモータを車輌駆動に待機させると共にエンジンを始動させる動力源管理部とを含む。動力源管理部は、キースイッチが閉じられたとき、畜熱器内の冷却水の温度がエンジン内の冷却水の温度より所定値以上高ければ、先ずポンプを駆動させて畜熱器内の冷却水をエンジン内へ移送し、その後エンジン始動用駆動部を駆動させてエンジンを始動させる。動力源管理部は所定時間が経過したときにもエンジン内の冷却水の温度が推定された所定温度に達しない状態が所定回数生じたときにはエンジン始動用駆動部の作動に先立つポンプの作動を省略する。
このハイブリッド車によると、キースイッチが閉じられたとき畜熱器内の冷却水の温度がエンジン内の冷却水の温度より所定値以上高い場合、即ち畜熱器内に蓄えられた冷却水をエンジン内へ移送することによりエンジンを実質的に予熱することができるような場合には、ポンプが駆動され、畜熱器内の冷却水がエンジン内へ移送される。その後エンジン始動用駆動部が駆動されてエンジンが始動される。これにより、蓄熱器に蓄えられた熱によってエンジンを始動に先立って暖め、エンジンオイルを軟らかくしてエンジンを当初の回転から滑らかにすることができる。また気筒内の燃料を燃え易くしてHCやCOの如き有害未燃成分の排出を低減することができる。また、所定時間が経過したときにもエンジン内の冷却水の温度が前記の推定された所定温度に達しない状態が所定回数生じたときにはエンジン始動用駆動部の作動に先立つポンプの作動が省略される。これにより、ポンプを含む蓄熱系に作動不良が生じたとき、かかるエンジン予熱部が反って車輌性能を阻害することとなるのを防止することができる。
特開2002−122061号公報
特開2003−184553号公報においては、所定時間内にエンジン内の冷却水の温度が所定温度に達するか否かに基づいて蓄熱系(蓄熱システム)に作動不良が生じたか否かを判別している。しかしながら、エンジンの冷却水温のみからでは、蓄熱システムの異常を判別できない場合が生じ得る。すなわち、多くの車両において、エンジンの冷却水温を検知する温度センサは、シリンダヘッドの冷却水出口付近に設けられる。このような温度センサが設けられたエンジンにおいて、たとえば、蓄熱器内の高温の冷却水をシリンダブロックのみに供給可能なようにした場合、エンジンの冷却水温のみからでは、蓄熱システムに異常が生じたか否かを判別できない。
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、液媒体を用いて内燃機関(エンジン)を暖める蓄熱システムの異常を的確に診断することができる異常診断装置を提供することである。
第1の発明に係る異常診断装置は、内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、貯蔵手段内の液媒体を、貯蔵手段および内燃機関の間で循環させるための循環手段とが搭載された車両において異常が発生したか否かを診断する。この診断装置は、内燃機関を始動する回転電機と、貯蔵手段内の液媒体が内燃機関に供給された後に、内燃機関を始動するように回転電機を制御するための手段と、内燃機関の回転数を検知するための手段と、回転電機による始動時における内燃機関の回転数に基づいて、循環手段が異常であるか否かを診断するための診断手段とを含む。
第1の発明によると、たとえば貯蔵手段内の高温の液媒体が内燃機関に供給されることにより、内燃機関の温度が上昇し、内燃機関の潤滑油の温度が上昇する。そのため、潤滑油の粘度が低下し、内燃機関の始動時におけるフリクションが低下する。このような場合において、回転電機により内燃機関を始動する際の回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、潤滑油の粘度が高いために、すなわち、内燃機関の温度が低いために、内燃機関のフリクションが所望の状態まで低下していないといえる。したがって、回転電機による始動時における内燃機関の回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、循環手段が異常であると診断される。これにより、エンジンの冷却水を検知する温度センサの位置に関わらず、循環手段が異常であるか否かを診断することができる。そのため、液媒体を用いて内燃機関を暖める蓄熱システムの異常を的確に診断することができる異常診断装置を提供することができる。
第2の発明に係る異常診断装置においては、第1の発明の構成に加え、診断手段は、回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、循環手段が異常であると診断するための手段を含む。
第2の発明によると、内燃機関の始動時における回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、内燃機関が適切に暖められていない状態であるといえる。このような場合に、循環手段が異常であると診断される。これにより、蓄熱システムの異常を的確に診断することができる。
第3の発明に係る異常診断装置は、内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、貯蔵手段内の液媒体を、貯蔵手段および内燃機関の間で循環させるための循環手段とが搭載された車両において異常が発生したか否かを診断する。この診断装置は、内燃機関を始動する回転電機と、貯蔵手段内の液媒体が内燃機関に供給された後に、内燃機関を始動するように回転電機を制御するための手段と、内燃機関の回転数を検知するための手段と、回転電機による始動時における内燃機関の回転数に基づいて、回転電機のトルクを変更するための変更手段と、トルクに基づいて、循環手段が異常であるか否かを診断するための診断手段とを含む。
第3の発明によると、たとえば貯蔵手段内の高温の液媒体が内燃機関に供給されることにより、内燃機関の温度が上昇し、内燃機関の潤滑油の温度が上昇する。そのため、潤滑油の粘度が低下し、内燃機関の始動時におけるフリクションが低下する。このような場合において、回転電機により内燃機関を始動する際の回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、潤滑油の粘度が高いために、すなわち、内燃機関の温度が低いために、内燃機関のフリクションが所望の状態まで低下していないといえる。この場合、内燃機関の始動が遅延し得る。そのため、内燃機関の回転数を上昇させるために回転電機のトルクが高くされる。このように制御された場合において、内燃機関の始動時における回転電機のトルクが予め定められたトルクよりも高い場合、循環手段が異常であると診断される。これにより、エンジンの冷却水を検知する温度センサの位置に関わらず、循環手段が異常であるか否かを診断することができる。そのため、液媒体を用いて内燃機関を暖める蓄熱システムの異常を的確に診断することができる異常診断装置を提供することができる。
第4の発明に係る異常診断装置においては、第3の発明の構成に加え、変更手段は、回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、回転電機のトルクを高くするための手段を含む。
第4の発明によると、回転電機による始動時において内燃機関の回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、内燃機関の始動が遅延するおそれがある。そのため、回転電機による始動時において内燃機関の回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、回転電機のトルクが高くされる。これにより、内燃機関の回転数を上昇させることができる。そのため、内燃機関を速やかに始動することができる。
第5の発明に係る異常診断装置においては、第3または4の発明の構成に加え、診断手段は、内燃機関の始動時におけるトルクが予め定められたトルクよりも高い場合、循環手段が異常であると診断するための手段を含む。
第5の発明によると、内燃機関の始動時におけるトルクが予め定められたトルクよりも高い場合、貯蔵手段内の液媒体により内燃機関の温度が上昇し、フリクションが低減される分を見込んで定められたトルクよりも高いトルクが必要であったといえる。このような場合、見込みどおりに内燃機関の温度が上昇していないといえる。したがって、内燃機関の始動時におけるトルクが予め定められトルクよりも高い場合、循環手段が異常であると診断される。これにより、蓄熱システムの異常を的確に診断することができる。
第6の発明に係る異常診断装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加え、貯蔵手段には、内燃機関よりも高温の液媒体が貯蔵される。診断装置は、高温の液媒体を内燃機関に供給することにより、内燃機関を暖機するように、循環手段を制御するための手段をさらに含む。
第6の発明によると、貯蔵手段内の高温の液媒体により内燃機関を暖めることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る異常診断装置の診断対象である蓄熱システムの制御ブロック図を示す。
図1に示す蓄熱システムは、内燃機関(エンジン)を搭載した車両に適用される。なお、この車両は、エンジンのみを搭載した車両であってもよいし、エンジンとバッテリにより駆動されるモータとを搭載したハイブリッド車両のいずれであってもよい。
このエンジンは、運転者がイグニッションスイッチをスタート位置にすることによりスタータ700によりクランキングされて始動される。また、このようなエンジンの始動については、アイドリングストップにおけるエンジンの一時的な停止後の再始動も同じように行なわれる。アイドリングストップシステムは、交差点等において赤信号で車両が停車するとエンジンを自動的に停止させて、再び走行を始めようと運転者が操作するとエンジンを再始動させる。たとえば、アクセル開度が0であって、シフト操作後1秒以上経過しており、車速が0であって、エンジン回転数が1000rpm以下であって、車両が登坂路や降坂路に停止しておらず、エンジン冷却水温が予め定められた範囲内にあると、アイドリングストップが許可されてエンジンが一時的に停止する。その後、アイドリングスト
ップ条件が成立しなくなるとエンジンが再始動される。
ップ条件が成立しなくなるとエンジンが再始動される。
図1に示すように、この蓄熱システムは、シリンダヘッド(以下、ヘッドと記載する。)100およびシリンダブロック110に設けられた冷却水流路を流れる冷却水の一部を蓄熱タンク310に保温して貯蔵しておいて、その冷却水を必要に応じて蓄熱タンク310からヘッド100やシリンダブロック110に供給する。ヘッド100およびシリンダブロック110とラジエータ400またはラジエータバイパス通路410との間において、機械式ウォータポンプ200により冷却水が循環される。ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410のいずれを通るかについては、流量制御弁430により制御される。なお、機械式ウォータポンプ200には、ベルトを介して、エンジンのクランクシャフトから駆動力が伝達される。そのため、機械式ウォータポンプ200は、エンジンのフリクションとなる。
蓄熱タンク310からヘッド100およびシリンダブロック110への冷却水の供給は電動式ウォータポンプ300により行なわれる。電動式ウォータポンプ300を駆動することにより、蓄熱タンク310内の冷却水(温水であったり冷水であったりする)が三方弁610を介してヘッド100、シリンダブロック110、ヒータコア500等に供給される。三方弁610は、全閉状態、全開状態(ポートA、ポートBおよびポートCを連通状態)、ポートAとポートBとを連通状態、ポートAとポートCとを連通状態、ポートBとポートCとを連通状態の5通りの状態を実現することができる。
また、この蓄熱システムの温度センサとして、ヘッド100の冷却水出口側に設けられたエンジン冷却水温度センサ120と、蓄熱タンク310の出口側に設けられた蓄熱タンク出口温度センサ320と、ラジエータ400の出口に設けられたラジエータ出口水温センサ420とが設けられる。これらの温度センサからの信号は、エンジンECU(Electronic Control Unit)1000に入力される。
さらに、エンジンECU1000には、エンジンのクランクシャフトと一体的に回転するタイミングロータの外周に対向するように設けられたクランクポジションセンサ1010から、エンジン回転数NEを表す信号が入力される。
また、エンジンECU1000は、電動式ウォータポンプ300、三方弁610、流量制御弁430を制御する。流量制御弁430は、制御デューティを変更することにより、ラジエータ400に流通する冷却水の流量およびラジエータバイパス通路410を流通する冷却水の流量を制御することができる。このとき、流量制御弁430は、ラジエータ400のみに、ラジエータバイパス通路410のみに、ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410に、冷却水を流すことができる。流量制御弁430は、エンジンECU1000から全開指令信号を受信すると、冷却水の全量をラジエータ400に流すように、流量を制御する。また、流量制御弁430は、エンジンECU1000から全閉指令信号を受信すると、冷却水の全量をラジエータバイパス通路410に流すように、流量を制御する。さらに、流量制御弁430は、エンジンECU1000から指令信号を受信して、冷却水の一部をラジエータ400に流して、残りの冷却水をラジエータバイパス通路410に流すように流量を制御することもできる。
また、エンジンECU1000は、電動式ウォータポンプ300を駆動するモータの制御デューティを変更することにより、モータの回転数を制御して、電動式ウォータポンプ300の吐出量を制御することができる。また、この制御は、電動式ウォータポンプ300のモータの電圧を可変とすることにより行なってもよい。また、電動式ウォータポンプ300のモータの通電時間を変更することにより、電動式ウォータポンプ300の駆動時間を制御して、電動式ウォータポンプ300から吐出される総冷却水量を制御するようにしてもよい。
さらに、エンジンECU1000は、スタータ700の駆動電圧を調整するコンバータ702を制御して、スタータ700の駆動電圧を変更することにより、スタータ700のトルクを変更する。なお、スタータ700のトルクを変更する方法は、これに限らない。
図2を参照して、図1のエンジンECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、エンジンECU1000は、エンジン始動要求を検知したか否かを判断する。たとえば、運転者によりイグニッションスイッチがエンジンスタート位置まで操作されることにより始動要求が検知されたり、アイドリングストップ中にアイドリングストップ条件が満足されなくなって再始動要求が検知されたりする。以下、このようなアイドリングストップからの再始動を含めて始動という。エンジンの始動要求を検知すると(S100にてYES)、処理はS102へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS100へ戻されてエンジンの始動要求を検知するまで待つ。
S102にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温度センサ120から送信された信号に基づいて、エンジン冷却水温THW(1)を検知するとともに、蓄熱タンク出口温度センサ320から送信された信号に基づいて、蓄熱タンク水温THW(2)を検知する。
S104にて、エンジンECU1000は、蓄熱タンク310内の冷却水がシリンダブロック110に供給されているか否かを判別する。蓄熱タンク310内の冷却水をシリンダブロック110に供給するか否かは、エンジンECU1000自体が、たとえばメモリ(図示せず)に記憶されたマップに基づいて判別する。したがって、蓄熱タンク310内の冷却水がシリンダブロック110に供給されているか否かは、エンジンECU1000の内部で判別される。蓄熱タンク310内の冷却水がシリンダブロック110に供給されている場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S104にてNO)、処理はS108に移される。
S106にて、エンジンECU1000は、蓄熱タンク310からシリンダブロック110に供給された冷却水の量を推定する。蓄熱タンク310からシリンダブロック110に供給された冷却水の量は、たとえば、電動式ウォータポンプ300の駆動時間や三方弁610における各ポートの開度に基づいて推定すればよい。
S108にて、エンジンECU1000は、シリンダブロック110内の油温(エンジンオイルの温度)を推定する。蓄熱タンク310からシリンダブロック110に冷却水が供給されている場合(S104にてYES)、油温は、冷却水からシリンダブロック110に伝達された熱量に基づいて推定される。シリンダブロック110に伝達された熱量は、シリンダブロック110に供給された冷却水の量および蓄熱タンク水温THW(2)に基づいて推定される。蓄熱タンク水温THW(2)からエンジン冷却水温THW(1)を減算して得られる温度差を、シリンダブロック110内の冷却水の量にシリンダブロック110の熱容量を加えた値とシリンダブロック110に供給された冷却水の量との比を表す係数で除算して、蓄熱タンク310内の冷却水からシリンダブロック110へ伝達される熱量が推定される。この熱量と油温の上昇量との関係を予め実験等で計測して、計測結果をマップとしてメモリに記憶し、このマップから導かれる油温の上昇量を、エンジン冷却水温THW(1)から推定される油温に加算して、最終的な油温を推定する。
一方、蓄熱タンク310からシリンダブロック110に冷却水が供給されていない場合(S104にてNO)、油温は、エンジン冷却水温THW(1)に基づいて推定される。たとえば、エンジン冷却水温THW(1)と油温との関係を予め実験等で計測して、計測結果をマップとしてメモリに記憶し、このマップから油温が推定される。なお、ヘッド100に伝達される熱量および油温の推定方法は、これらに限らない。
S110にて、エンジンECU1000は、推定された油温に基づいて、エンジンのフリクションを推定する。たとえば油温とフリクションとの関係を予め実験等で計測して、計測結果をマップとしてメモリに記憶し、このマップに基づいて、フリクションが推定される。なお、フリクションを推定する方法は、これに限らない。
S112にて、エンジンECU1000は、推定されたフリクションに基づいて、スタータ700の駆動電圧V(1)を決定する。スタータ700の駆動電圧は、たとえばメモリに記憶されたマップに従って決定される。フリクションが小さい場合、すなわち油温が高い場合は、低い場合に比べて、スタータ700の駆動電圧は低い電圧に設定される。これにより、油温が高い場合は、低い場合に比べて、スタータ700のトルクが低くされる。なお、油温が高すぎる場合は、潤滑油の粘度が、潤滑に必要な粘度よりも低くなり、逆にフリクションが高くなる場合がある。そのため、油温が予め定められた油温よりも高い場合は、スタータ700の駆動電圧を高くして、トルクを高くしてもよい。
S114にて、エンジンECU1000は、スタータ700を駆動して、エンジンのクランキングを開始する。S116にて、エンジンECU1000は、クランクポジションセンサ1010から送信された信号に基づいて、エンジン回転数NEを検知する。
S118にて、エンジンECU1000は、エンジン回転数NEが、予め定められたしきい値NE(0)以上であるか否かを判別する。ここで、しきい値NE(0)は、スタータ700の駆動電圧V(1)と対応して設定される回転数である。エンジン回転数NEが、しきい値NE(0)以上である場合(S118にてYES)、処理はS120に移される。もしそうでないと(S118にてNO)、処理はS122に移される。
S120にて、エンジンECU1000は、点火プラグにより燃焼室内の混合気を点火して、エンジンを始動する。S122にて、エンジンECU1000は、スタータ700の駆動電圧を高くする。
S124にて、エンジンECU1000は、蓄熱システムにおいて、暖め不良が発生したと判定する。ここで、暖め不良とは、電動式ウォータポンプ300や三方弁610など、蓄熱システムを構成する機器に異常が生じたため、エンジンの温度が予想する温度まで上昇しなかった状態をいう。エンジンの暖め不良が発生したという履歴は、エンジンECU1000のメモリに記憶される。その後、処理はS118に戻される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る蓄熱システムの異常診断装置の動作について説明する。
エンジンの停止中に、運転者がイグニッションスイッチをエンジンスタート位置に操作したり、アイドリングストップ条件が成立しなくなると、エンジン始動要求が検知される(S100)。エンジン始動要求が検知されると(S100にてYES)、エンジン冷却水温THW(1)が検知され、蓄熱タンク水温THW(2)が検知される(S102)。
エンジン始動時においては、エンジンの始動性を向上したり、排気エミッション性能を向上したりするために、蓄熱タンク310の内の高温の冷却水が、ヘッド100やシリンダブロック110に供給される場合がある。
蓄熱タンク310の内の冷却水によりヘッド100やシリンダブロック110の温度が変化し得る。特にシリンダブロック110の温度が変化すると、油温が変化する。油温を精度よく推定するため、蓄熱タンク310内の冷却水がシリンダブロック110に供給されている場合(S104にてYES)、蓄熱タンク310からシリンダブロック110に供給された冷却水の量を推定される(S106)。推定された冷却水の量および蓄熱タンク水温THW(2)に基づいて、蓄熱タンク310内の冷却水からシリンダブロック110へ伝達される熱量が推定され、この熱量から油温が推定される(S108)。一方、蓄熱タンク310からシリンダブロック110に冷却水が供給されていない場合、油温は、エンジン冷却水温THW(1)に基づいて推定される(S108)。これにより、蓄熱タンク310からの冷却水の供給状態に応じて精度よく油温を推定することができる。
さらに、推定された油温から、エンジンのフリクションが推定され(S110)、推定されたフリクションにおいてエンジンをクランキングして始動することができるトルクになるように、スタータ700の駆動電圧V(1)が決定される(S112)。したがって、フリクションが低いほど、すなわち油温が高いほど、スタータ700の駆動電圧が低くされ、トルクが低くされる。これにより、油温が高い状態においてスタータ700の消費電力を抑制し、究極的には燃費を向上することができる。
決定された駆動電圧でスタータ700が駆動され、エンジンがクランキングされる(S114)。エンジンがクランキングされると、エンジン回転数NEが検知される(S116)。
クランキングによりエンジン回転数NEが上昇し、エンジン回転数NEがしきい値NE(0)以上になると(S118にてYES)、点火プラグによりシリンダ内の混合気が点火され、エンジンが始動される(S120)。
一方、推定されたフリクションが、実際のフリクションよりも小さく推定され、スタータ700の駆動電圧が不十分であると、エンジンを始動させるために必要な回転数までエンジン回転数NEが上昇せず、エンジンを始動させることができない。そのため、エンジン回転数NEがしきい値NE(0)より小さい場合(S118にてNO)、スタータ700の駆動電圧が高くされ(S122)、スタータ700のトルクが高くされる。これにより、エンジンのクランキングを確実に行なって、エンジンを始動することができる。
また、この場合は、蓄熱システムになんらかの異常が発生したため、エンジンの温度が予測通りに上昇していない状態であるといえる。この場合、異常が発生した機器の修理などを行なう必要がある。そのため、エンジンの暖め不良が発生したと判定され(S124)、その履歴がメモリに記憶される。
エンジンの暖め不良が発生したと判定されると、たとえば車両のインストルメントパネルに設けられたインジケータランプの点灯などにより、暖め不良が発生した旨が乗員に報知される。これにより、乗員は、修理などの適切な処置を行なうことができる。
以上のように、本実施の形態に係る蓄熱システムのエンジンECUによれば、エンジン始動時におけるエンジン回転数NEが、スタータの駆動電圧V(1)と対応して設定されるしきい値NE(0)よりも小さい場合、エンジンの温度が予想通りに上昇していない場合であるといえる。この場合、エンジンの暖め不良が発生していると判定される。これにより、蓄熱システムの異常を的確に診断することができる。
なお、エンジン回転数NEの代わりにスタータ700の駆動電圧に基づいて、エンジンの暖め不良が発生したか否かを判定してもよい。このとき、フリクションに基づいて決定されたスタータ700の駆動電圧V(1)とエンジン始動時におけるスタータ700の駆動電圧V(2)との偏差(V(2)−V(1))が、予め定められた偏差ΔVよりも大きい場合、すなわち、エンジン始動時のスタータのトルクが、V(1)+ΔVと対応したトルクよりも高い場合、エンジンの暖め不良が発生したと判定してもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 シリンダヘッド、110 シリンダブロック、120 エンジン冷却水温度センサ、200 機械式ウォータポンプ、300 電動式ウォータポンプ、310 蓄熱タンク、320 蓄熱タンク出口温度センサ、400 ラジエータ、410 ラジエータバイパス通路、420 ラジエータ出口水温センサ、430 流量制御弁、500 ヒータコア、610 三方弁、700 スタータ、1000 エンジンECU、1010 クランクポジションセンサ。
Claims (6)
- 内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、前記貯蔵手段内の液媒体を、前記貯蔵手段および前記内燃機関の間で循環させるための循環手段とが搭載された車両における異常診断装置であって、
前記内燃機関を始動する回転電機と、
前記貯蔵手段内の液媒体が前記内燃機関に供給された後に、前記内燃機関を始動するように前記回転電機を制御するための手段と、
前記内燃機関の回転数を検知するための手段と、
前記回転電機による始動時における前記内燃機関の回転数に基づいて、前記循環手段が異常であるか否かを診断するための診断手段とを含む、異常診断装置。 - 前記診断手段は、前記回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、前記循環手段が異常であると診断するための手段を含む、請求項1に記載の異常診断装置。
- 内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、前記貯蔵手段内の液媒体を、前記貯蔵手段および前記内燃機関の間で循環させるための循環手段とが搭載された車両における異常診断装置であって、
前記内燃機関を始動する回転電機と、
前記貯蔵手段内の液媒体が前記内燃機関に供給された後に、前記内燃機関を始動するように前記回転電機を制御するための手段と、
前記内燃機関の回転数を検知するための手段と、
前記回転電機による始動時における前記内燃機関の回転数に基づいて、前記回転電機のトルクを変更するための変更手段と、
前記トルクに基づいて、前記循環手段が異常であるか否かを診断するための診断手段とを含む、異常診断装置。 - 前記変更手段は、前記回転数が予め定められた回転数よりも低い場合、前記回転電機のトルクを高くするための手段を含む、請求項3に記載の異常診断装置。
- 前記診断手段は、前記内燃機関の始動時におけるトルクが予め定められたトルクよりも高い場合、前記循環手段が異常であると診断するための手段を含む、請求項3または4に記載の異常診断装置。
- 前記貯蔵手段には、前記内燃機関よりも高温の液媒体が貯蔵され、
前記異常診断装置は、前記高温の液媒体を前記内燃機関に供給することにより、前記内燃機関を暖機するように、前記循環手段を制御するための手段をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の異常診断装置。
Priority Applications (1)
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JP2005044475A JP2006226265A (ja) | 2005-02-21 | 2005-02-21 | 異常診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005044475A JP2006226265A (ja) | 2005-02-21 | 2005-02-21 | 異常診断装置 |
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Family Applications (1)
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2005
- 2005-02-21 JP JP2005044475A patent/JP2006226265A/ja not_active Withdrawn
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