JP2006224453A - 金属被覆ゴム粒子成形体およびその製法、ならびにそれに用いる金属被覆ゴム粒子 - Google Patents

金属被覆ゴム粒子成形体およびその製法、ならびにそれに用いる金属被覆ゴム粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性に優れるとともに、割れが生じにくく流体不透過性に優れた、金属被覆ゴム粒子成形体を提供する。
【解決手段】表面が少なくとも一つの金属膜2,3で被覆された金属被覆ゴム粒子同士が加熱加圧成形されてなる金属被覆ゴム粒子成形体であって、上記金属被覆ゴム粒子の最外膜3が、低融点金属の被覆膜からなり、かつ、上記金属被覆ゴム粒子の少なくとも最外膜3同士が溶融接合により連続的な金属膜4を形成して構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガスや燃料等の流体に対する不透過性(流体不透過性)および柔軟性に優れた、金属被覆ゴム粒子成形体およびその製法、ならびにそれに用いる金属被覆ゴム粒子に関するものである。
従来より、燃料輸送用ホースや冷媒輸送用ホース等の成形体においては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)とポリ塩化ビニル(PVC)とのブレンド材料を用いたゴムホースが用いられている。また、ゴムよりも流体不透過性(流体バリア性)に優れた樹脂材を用い、ゴムと樹脂材との積層構造にした多層ホースも提案されている。
しかしながら、近年、環境への配慮から、燃料輸送用ホースや冷媒輸送用ホース等における輸送流体に対する不透過性が重視されるようになり、上記ゴムホースや、ゴムと樹脂材との多層ホースでは、このような不透過性の要求に充分に対応することができなかった。
そこで、金属箔による流体不透過層を、ホース層構造の一部に設けた多層ホースが提案されている。例えば、内面金属層(金属箔)と、その外側を覆うゴムまたは樹脂からなる弾性層と、さらにその外側を覆う補強層とからなる二酸化炭素冷媒用ホースが提案されている(特許文献1参照)。
特開2001−182872号公報
ところで、自動車用の燃料輸送ホースや冷媒輸送用ホース等の成形体は、ホース径方向への変位を伴う厳しい繰り返し振動を受けるため、屈曲耐久性が要求される。しかしながら、上記特許文献1に記載のホースは、流体不透過層として金属箔を用いているため、上記の繰り返し振動によって金属箔に割れが発生し、ガスや燃料等の流体に対する不透過性(流体不透過性)が劣るという難点がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、柔軟性に優れるとともに、割れが生じにくく流体不透過性に優れた、金属被覆ゴム粒子成形体およびその製法、ならびにそれに用いる金属被覆ゴム粒子の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、表面が少なくとも一つの金属膜で被覆された金属被覆ゴム粒子同士が加熱加圧成形されてなる金属被覆ゴム粒子成形体であって、上記金属被覆ゴム粒子の最外膜が、低融点金属の被覆膜からなり、かつ、上記金属被覆ゴム粒子の少なくとも最外膜同士が溶融接合により連続的な金属膜を形成してなる金属被覆ゴム粒子成形体を第1の要旨とする。また、本発明は、上記金属被覆ゴム粒子成形体の製法であって、最外膜が低融点金属膜の被覆膜からなる金属被覆ゴム粒子を作製する工程と、上記低融点金属の融点近傍の温度で上記金属被覆ゴム粒子同士を加熱加圧成形することにより,金属被覆ゴム粒子の少なくとも最外膜同士を溶融接合させて連続的な金属膜を形成する工程とを備えた金属被覆ゴム粒子成形体の製法を第2の要旨とする。さらに、本発明は、上記金属被覆ゴム粒子成形体に用いる金属被覆ゴム粒子であって、表面が少なくとも一つの金属膜で被覆され、かつ、その最外膜が低融点金属の被覆膜からなる金属被覆ゴム粒子を第3の要旨とする。
この発明者は、柔軟性に優れるとともに、割れが生じにくく流体不透過性に優れた材料を得るべく、鋭意研究を重ねた。そして、表面が金属膜で被覆された金属被覆ゴム粒子を加熱加圧成形してなる成形体であって、ゴム粒子の金属膜同士が連続的な金属膜を形成している金属被覆ゴム粒子成形体について、先に特許出願した(特願2003−423049)。この特願2003−423049に係る発明は、多数の金属被覆ゴム粒子を用意し、これらを成形用金型内で加熱加圧成形し、加熱加圧時の熱と圧力とにより、ゴム粒子の表面の金属膜同士を相互に拡散して界面で接合(拡散接合)させ、連続的な金属膜を形成することを特徴とするものである。そのため、加熱成形温度を比較的高温(通常、200℃よりも高温)に設定する必要があった。この発明者は、特願2003−423049の内容について、さらに改良を図るため研究を続けた結果、金属被覆ゴム粒子同士の加熱成形温度をあまり高くすると、金属被覆ゴム粒子同士の拡散接合性は向上するが、ゴム自体の耐久性や、柔軟性について改善の余地があることを突き止めた。そこで、この発明者は、金属被覆ゴム粒子の金属膜同士の接合手法について、拡散接合に代わる、新しい接合方法について実験を続けた結果、金属被覆ゴム粒子の最外膜を、低融点金属(融点200℃以下)の被覆膜で構成すると、低融点金属の融点近傍の温度で、金属被覆ゴム粒子同士の加熱成形を行うことができるようになり、上記金属被覆ゴム粒子の最外膜同士が溶融して接合(溶融接合)するようになることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明によると、金属被覆ゴム粒子同士の加熱成形温度を、拡散接合による場合に比べて、より低温にできるため、ゴム自体の耐久性を損なうことなく、充分な柔軟性を備えるとともに、曲げ等の際に金属膜に割れが生じず、ガスや燃料等の流体に対する充分な不透過性(流体不透過性)も優れている。
このように、本発明の金属被覆ゴム粒子成形体は、コア材としてゴム粒子を用いており、ゴム本来の柔軟性を備えており、また加熱成形時の熱により、ゴム粒子の表面の金属膜同士が溶融して接合(溶融接合)し、連続的な薄い金属膜を形成しているため、曲げ等の際に金属膜に割れが生じず、ガスや燃料等の流体に対する不透過性(流体不透過性)に優れている。また、本発明によると、ゴム粒子の最外膜が低融点金属の被覆膜で構成されているため、金属被覆ゴム粒子同士の加熱加圧成形を、低融点金属の融点近傍の温度で行うことができるようになる。そのため、ゴム粒子の熱劣化が少なくなり、引張強さ、伸び低下を抑制することができ、ゴム自体の耐久性を損なうこともない。また、低融点金属の被覆膜は、柔らかいため、金属被覆ゴム粒子成形体の柔軟性がさらに良好となる。なお、本発明によると、金属被覆ゴム粒子同士の加熱加圧成形を、より低い温度で行うことができるため、省エネの観点からも有利となる。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の金属被覆ゴム粒子成形体は、表面が少なくとも一つの金属膜で被覆された金属被覆ゴム粒子同士が加熱加圧成形されてなる金属被覆ゴム粒子成形体であって、上記金属被覆ゴム粒子の最外膜が、低融点金属の被覆膜からなり、かつ、上記金属被覆ゴム粒子の少なくとも最外膜同士が溶融接合により連続的な金属膜を形成してなることを最大の特徴とする。
本発明において、溶融接合とは、金属被覆ゴム粒子の最外膜(金属膜)が完全に溶融した完全溶融の状態(液相)で接合している場合と、金属被覆ゴム粒子の最外膜(金属膜)の一部のみが溶融した部分溶融の状態(固相+液相)で接合している場合の双方を意味する。
上記金属被覆ゴム粒子としては、表面が少なくとも一つの金属膜で被覆され、その金属膜の最外膜が、低融点金属の被覆膜により構成されているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、図1に示すように、ゴム粒子1の外周面が金属膜2で被覆され、さらにその外周面が、低融点金属からなる金属膜3(最外膜)で被覆されたものがあげられる。
上記金属膜3(最外膜)を形成する低融点金属としては、融点が200℃以下の金属が好ましく、特に好ましくは融点が160℃以下の金属である。すなわち、融点が200℃を超えると、加熱加圧成形温度を高くする必要があるため、ゴム自体が劣化したり、柔軟性が悪くなるおそれがあるからである。
本発明において、融点とは、熱重量示差熱分析(TG−DTA)装置にて測定した値を意味する。
上記低融点金属としては、例えば、インジウム(融点157℃),リチウム(融点180℃),カリウム(融点63℃)等の融点200℃以下の金属単体、またはこれら融点200℃以下の金属同士の合金、もしくは上記融点200℃以下の金属と,錫(融点232℃),鉛(融点328℃),ビスマス(融点271℃),亜鉛(融点420℃)等の融点200℃を超える金属との合金、あるいは融点200℃を超える金属同士の合金等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記低融点金属としては、具体的には、錫−亜鉛系合金(亜鉛含有量9重量%)(融点198℃)、錫−ビスマス系合金(ビスマス含有量58重量%)(融点139℃)、錫−鉛系合金(鉛含有量37重量%)(融点183℃)、錫−インジウム系合金(インジウム含有量40重量%)(融点120℃)等があげられる。これら低融点金属のなかでも、金属膜としての柔軟性に優れる点で、インジムウムの金属単体が好適に用いられる。
また、上記ゴム粒子1の外周面に直接被覆される金属膜2を形成する金属としては、特に限定はないが、上記金属膜3(最外膜)を形成する低融点金属よりも、融点が高い金属を用いることが好ましく、例えば、銅(融点1083℃)、ニッケル(融点1450℃)、銀(融点962℃)、金(融点1064℃)、亜鉛(融点420℃)、錫(融点232℃)、鉄(融点1540℃)、コバルト(融点1490℃)、タングステン(融点3400℃)、白金(融点1770℃)、パラジウム(融点1550℃)もしくはこれらの合金等があげられる。
上記のように、金属被覆ゴム粒子の金属膜3(最外膜)を低融点金属を用いて構成するとともに、その金属膜3の内周側の金属膜2(最内膜)を、上記低融点金属よりも融点が高い金属を用いて構成すると、低融点金属が溶融した時に、ゴム粒子内部への滲入を防ぎ溶融金属によるゴムの劣化を防止できるという効果が得られる。
つぎに、上記金属被覆ゴム粒子に用いるゴム粒子1としては、特に限定はなく、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM),スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR),ブチルゴム(IIR),アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR),フッ素ゴム,アクリルゴム等の合成ゴム、もしくは天然ゴム(NR)を、ひじき状,粒状等の形状に粉砕したものが用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記ゴム粒子としては、コストや資源再利用の観点から、廃タイヤ等のリサイクルゴム材から得られたものを使用することが好ましい。なお、加硫ゴムに限定されるものではなく、未加硫ゴムであっても差し支えない。
上記ゴム粒子1の平均粒径は、0.01〜10mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは1〜2mmの範囲内である。すなわち、ゴム粒子1の平均粒径が0.01mm未満であると、無電解めっきや電気めっき等の湿式めっき処理時に、ゴム粒子1がめっき液中に浮いてしまい、めっきによる金属膜の被覆が困難となる傾向がみられ、逆に10mmを超えると、成形時のゴム粒子1間の空隙が大きくなり、接合状態が悪化する傾向がみられるからである。ここで、ゴム粒子1の平均粒径とは、ゴム粒子1がひじき状の場合はその平均太さを意味し、ゴム粒子1が楕円形状の場合は平均長径を意味する。また、ゴム粒子1がひじき状の場合は、平均長さは3〜5mmの範囲内が好ましい。
つぎに、前記図1に示した金属被覆ゴム粒子は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、ゴム粒子1を多数用意し、脱脂処理,表面調整処理,プレディップ処理,触媒処理,アクセレータ(促進剤)処理等の前処理を必要に応じて行った後、ゴム粒子1に対して無電解めっき等を行い、ゴム粒子1の外周面に金属膜2を被覆する。つぎに、この金属膜2が被覆されたゴム粒子1に対して、電気めっき等を行い、金属膜2の外周面に低融点金属からなる金属膜3(最外膜)を被覆する。その後、必要に応じて防錆処理、乾燥処理等を行うことにより、前記図1に示したように、ゴム粒子1の外周面が金属膜2で被覆され、さらにその外周面が、低融点金属からなる金属膜3(最外膜)で被覆されてなる金属被覆ゴム粒子を作製することができる。なお、各工程はビーカー内でスターラーにより常時撹拌して行うことが好ましく、また、必要に応じて、各工程間には水洗処理を行うことが好ましい。
上記ゴム粒子1に対する金属膜2および金属膜3(最外膜)の被覆方法としては、特に限定はなく、無電解めっき,電気めっき等の湿式めっきや、物理気相成長法(Physical Vapor Deposition :PVD)等の乾式めっき等があげられる。
上記無電解めっきの方法としては、例えば、化学ニッケルめっき等があげられ、また、上記電気めっきの方法としては、連続処理が可能である点で、バレルめっきが好ましい。
また、上記物理気相成長法(PVD)としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等があげられる。
本発明に用いる金属被覆ゴム粒子の金属膜2,3の構成は、前記図1に示したような2層構造に限定されるものではなく、例えば、ゴム粒子1の表面に直接、低融点金属の被覆膜が形成されてなる単層構造であってもよく、また、ゴム粒子1の表面に、2層以上の金属膜を介して、低融点金属の被覆膜(最外膜)が被覆されてなる3層以上の多層構造であっても差し支えない。すなわち、本発明においては、ゴム粒子1の最外膜(単層構造の場合は、その金属膜)が、上記低融点金属の被覆膜により構成されていれば、金属膜の積層数は特に限定はない。
なお、上記ゴム粒子1は非導電性であるため、直接、電気めっきによって被覆膜を形成することはできないが、蒸着,スパッタリング等であれば、ゴム粒子1の表面に直接、低融点金属の被覆膜を形成することも可能である。
上記金属被覆ゴム粒子において、上記金属膜の各膜(各層)の厚みは、特に限定はなく、通常、0.01〜50μmの範囲内であり、好ましくは2〜3μmの範囲内である。すなわち、金属膜2の厚みが0.01μm未満であると金属膜2同士の接合状態が弱くなる傾向がみられ、逆に50μmを超えると、生産性がやや悪くなる傾向がみられるからである。
つぎに、本発明の金属被覆ゴム粒子成形体について説明する。本発明の金属被覆ゴム粒子成形体は、例えば、図2に示すように、ゴム粒子1の外周面が金属膜2で被覆され、さらにその外周面が、低融点金属からなる金属膜3(図1参照)で被覆されてなる金属被覆ゴム粒子の、最外膜である金属膜3(図1参照)同士が溶融接合により連続的な金属膜4を形成して構成されている。
上記図2に示す本発明の金属被覆ゴム粒子成形体は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、前記と同様の方法により作製した金属被覆ゴム粒子を多数用意し、ホットプレス等により加熱加圧成形を行う。この加熱加圧成形時の熱により、ゴム粒子1の最外膜(低融点金属の被覆膜)が溶融して、金属膜(最外膜)3同士が溶融接合する結果、ゴム粒子1の少なくとも金属膜3同士が連続的な金属膜4を形成してなる金属被覆ゴム粒子成形体(図2参照)を得ることができる。
上記金属被覆ゴム粒子の加熱加圧成形法としては、上記ホットプレスに限定されるものではなく、例えば、押し型シート成形、インジェクション成形、押出成形等があげられる。このような加熱加圧成形法により、シート状やフィルム状等の必要な製品形状へ加工することが可能である。
上記加熱加圧成形時の温度は、上記低融点金属の融点近傍の温度が好ましく、具体的には、150〜200℃の範囲内が好ましく、特に好ましくは160℃前後である。
また、上記加熱加圧成形時の条件は、圧力は、通常、20〜30MPaの範囲内であり、加熱時間は、通常、30〜60分間の範囲内である。
なお、上記加熱加圧成形法の際には、金属被覆ゴム粒子とともに、バインダーを混ぜて成形することも可能である。
上記バインダーとしては、特に限定はなく、例えば、ウレタン系,エポキシ系バインダー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらバインダーの種類を選択することにより、ガスバリア性、屈曲性等の要求レベルに応じた成形体とすることができる。
本発明の金属被覆ゴム粒子成形体の形状は、特に限定はなく、例えば、シート状やフィルム状等があげられる。この金属被覆ゴム粒子成形体の厚みは、1〜50mmの範囲内が好ましく、特に好ましくは2〜20mmの範囲内である。すなわち、金属被覆ゴム粒子成形体の厚みが1mm未満であると、金属膜同士の接合状態が弱くなる傾向がみられ、逆に50mmを超えると、柔軟性が劣る傾向がみられるからである。
なお、上記金属被覆ゴム粒子成形体に用いる金属被覆ゴム粒子としては、前記図1に示したように、ゴム粒子1の外周面全部が金属膜2により被覆されたものに限定されるものではなく、ゴム粒子1の外周面が部分的に金属膜2により被覆され、金属膜2に被覆されていない部分はゴム粒子1の表面が露出したものであっても差し支えない。このような部分被覆ゴム粒子を用いた場合は、例えば、図3に示すように、加熱加圧成形時の熱により、ゴム粒子1の金属膜(最外膜)3(図1参照)同士が溶融接合して、連続的な金属膜4を形成するとともに、金属膜2により被覆されていない部分については、未加硫状態または加硫度が低い状態のゴム粒子1同士が直接結合して、より強固な金属被覆ゴム粒子成形体を構成するようになる。この場合、加熱加圧成形時の熱により、ゴム粒子1表面の金属膜(最外膜)3(図1参照)同士の連続化(溶融接合)と、ゴム粒子の加硫とを一時に行うことが可能となる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例〕
(金属被覆ゴム粒子の作製)
EPDMゴムチップ(平均粒径2mm)を多数用意し、つぎの(a)〜(i)の処理を順次行い、EPDMゴムチップの表面にニッケル膜が形成され、さらにその外周面にインジウム膜(最外膜)が形成されてなる金属被覆ゴム粒子を作製した。なお、下記の(a)〜(f)および(h)の処理は、ビーカー内でスターラーにより常時撹拌して行い、また、必要に応じて、各工程間には水洗処理を行った。
(a)脱脂処理
上記ゴムチップに、触媒を吸着させるための前処理として、つぎの脱脂処理を行った。すなわち、奥野製薬社製のエースクリーンA−220(40g/l)を用いて、45℃で15分間、脱脂処理を行った。
(b)表面調整処理
Shipley社製のコンディショナー3320(100ml/l)を用いて、45℃で15分間、表面調整処理を行った。
(c)プレディップ処理
Shipley社製のキャタプレップ404(180g/l)を用いて、室温で3分間、プレディップ処理を行った。
(d)触媒処理
Shipley社製のキャタプレップ404(180g/l)、およびShipley社製のキャタポジット44(10ml/l)を用いて、45℃で15分間、触媒処理を行い、パラジウムと錫の化合物を吸着させた。
(e)アクセレータ(促進剤)処理
硫酸50ml/lを用いて、40℃で15分間、アクセレータ(促進剤)処理を行い、錫触媒を除去した。
(f)化学ニッケルめっき(無電解めっき)処理
アルカリ性浴(Shipley社製、ニポジット65)を用いて、35℃で30分間、化学ニッケルめっき(無電解めっき)処理を行い、厚み1μmのニッケル膜を形成した。
(g)電気インジウムめっき処理
バレルめっき装置(山本鍍金試験器社製、ミニバレル)を用いて、3A/cm2 ×45分間の条件で、メタンスルホン酸インジウム浴中で電気インジウムめっき処理を行い、厚み1μmのインジウム膜を形成した。
(h)防錆処理
ベンゾトリアゾール1g/lを用いて、室温で2分間、防錆処理を行った。
(i)乾燥処理
恒温槽(タバイ社製、パーフェクト・オーブン)を用いて、60℃で2時間、乾燥処理を行った。
(金属被覆ゴム粒子成形体の作製)
上記のようにして作製した金属被覆ゴム粒子を多数用意し、160℃×30分、22.54MPa(230kgf/cm2 )の条件で、ホットプレス成形機(関西ロール社製、精密プレス)によりプレス成形を行い、厚み2mmのシート状の成形体を作製した。
〔比較例1〕
(金属被覆ゴム粒子の作製)
上記(g)の電気インジウムめっき処理に代えて、下記(g′)の電気銅めっき処理を行う以外は、実施例に準じて、金属被覆ゴム粒子を作製した。すなわち、上記EPDMゴムチップ(平均粒径2mm)の表面にニッケル膜(厚み1μm)が形成され、さらにその外周面に銅膜(厚み1μm)が形成されてなる金属被覆ゴム粒子を作製した。
(g′)電気銅めっき処理
バレルめっき装置(山本鍍金試験器社製、ミニバレル)を用いて、6A/cm2 ×15分間の条件で、硫酸銅(めっき液)中で電気銅めっき処理を行い、厚み1μmの銅膜を形成した。
(金属被覆ゴム粒子成形体の作製)
上記のようにして作製した金属被覆ゴム粒子を多数用意し、200℃×30分、22.54MPa(230kgf/cm2 )の条件で、ホットプレス成形機(関西ロール社製、精密プレス)によりプレス成形を行い、厚み2mmのシート状の成形体を作製した。
〔比較例2〕
実施例に用いる金属被覆ゴム粒子に代えて、表面に金属膜を被覆していないEPDMゴムチップ(平均粒径2mm)を準備した。そして、このEPDMゴムチップを用いる以外は、比較例1と同様にして、厚み2mmのシート状の成形体を作製した。
このようにして得られた実施例および比較例の成形体を用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を下記の表1に併せて示した。
〔ガス透過率〕
上記実施例および比較例の各成形体を所定の形状(直径60mm、厚み2mm)に打ち抜き、ASTM D−1434−75M法に基づいた差圧式ガス透過測定装置を用いて、50℃雰囲気で水素ガスのガス透過率(cm3 ・cm/cm2 ・sec・cmHg)を求めた。
〔引張強さ(TB)、伸び(EB)〕
上記各成形体をJIS 5号ダンベルで打ち抜き、JIS K 6251に準じて、引張強さ(TB)および伸び(EB)を測定した。
〔押曲げ時の最大荷重(柔軟性の評価)〕
上記各成形体を用いて試験片を作製し、JIS Z 2248に記載の金属材料曲げ試験方法の「押曲げ法」に準じて、押曲げ時の最大荷重を測定した。すなわち、図4に示すように、試験片11(幅50mm、長さ100mm、厚みt=2mm)を2個の支え12に載せ、その中央部に押金具13を当て、徐々に荷重を加えて、試験片11をUの字まで押曲げた時の最大荷重を、島津製作所社製の精密万能試験機(オートグラフ)を用いて測定した。図において、14は軸(半径r=5mm)を示し、支え12と支え12との間の距離(L)=60mmとした。
Figure 2006224453
上記結果から、実施例品は、比較例1品とガス透過率は同等の性能を備えるが、引張強さおよび伸びが良好で、ゴム自体の耐久性が損なわれておらず、押曲げ時の最大荷重も小さく、柔軟性も良好であった。これは、実施例品は、EPDMゴムチップの最外膜が、インジウム(低融点金属)の被覆膜からなり、金属被覆ゴム粒子同士の加熱成形温度を160℃まで下げることができたため、ゴム粒子の熱劣化が殆ど生じなかったことに起因すると思われる。
これに対して、比較例1品は、実施例品に比べて、引張強さおよび伸びがやや悪く、押曲げ時の最大荷重も大きく、柔軟性についても改善の余地がみられた。これは、比較例1品は、EPDMゴムチップの最外膜が、融点が高い銅膜からなり、金属被覆ゴム粒子同士の加熱成形を200℃で行っているため、ゴム粒子の熱劣化が生じたことに起因すると思われる。なお、表面に金属膜を被覆していない比較例2のEPDMゴムチップは、押曲げ時の最大荷重が小さく柔軟性は優れているが、ガス透過性が著しく劣っていた。
本発明の金属被覆ゴム粒子成形体は、例えば、冷媒用低透過ホース、アキュムレータ、ダイヤフラム、電磁波シールドシート、導電性フィルム等に使用することができる。
本発明の金属被覆ゴム粒子成形体に用いる金属被覆ゴム粒子の一例を示す模式図である。 本発明の金属被覆ゴム粒子成形体の一例を示す模式図である。 本発明の金属被覆ゴム粒子成形体の他の例を部分的に示した模式図である。 押曲げ時の最大荷重の測定方法を示す模式図である。
符号の説明
1 ゴム粒子
2 金属膜
3 最外膜
4 連続的な金属膜

Claims (3)

  1. 表面が少なくとも一つの金属膜で被覆された金属被覆ゴム粒子同士が加熱加圧成形されてなる金属被覆ゴム粒子成形体であって、上記金属被覆ゴム粒子の最外膜が、低融点金属の被覆膜からなり、かつ、上記金属被覆ゴム粒子の少なくとも最外膜同士が溶融接合により連続的な金属膜を形成してなることを特徴とする金属被覆ゴム粒子成形体。
  2. 請求項1記載の金属被覆ゴム粒子成形体の製法であって、最外膜が低融点金属膜の被覆膜からなる金属被覆ゴム粒子を作製する工程と、上記低融点金属の融点近傍の温度で上記金属被覆ゴム粒子同士を加熱加圧成形することにより,金属被覆ゴム粒子の少なくとも最外膜同士を溶融接合させて連続的な金属膜を形成する工程とを備えたことを特徴とする金属被覆ゴム粒子成形体の製法。
  3. 請求項1記載の金属被覆ゴム粒子成形体に用いる金属被覆ゴム粒子であって、表面が少なくとも一つの金属膜で被覆され、かつ、その最外膜が低融点金属の被覆膜からなることを特徴とする金属被覆ゴム粒子。
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