JP2006224118A - 鋳造品の強度解析方法およびそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造品の強度解析を効果的に行う。
【解決手段】CTスキャナ10において取り込んだ鋳造品の断層像について、三次元モデル化部20において三次元モデル化する。そして、鋳巣選択部30において、三次元モデル化部20で得られた三次元モデルから、強度に影響の少ない鋳巣についてのデータを削除し、データ化部40においてこれをデータ化し、このデータについて強度解析部50が強度解析する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳巣を含む鋳造品についての強度解析を行うための技術に関する。
鋳造品に現れる欠陥の中には、鋳巣のような製品の内部に現れる欠陥がある。このような鋳巣による欠陥は、鋳造品の強度等の性能に悪影響を及ぼす可能性があるので、ないにこしたことはない。しかし、現実問題として鋳巣を皆無にすることは極めて困難なので、製品形状や鋳造の仕方を調整するなどにより、性能に影響が少ない部分(例えば後の機械加工工程で除去する部分など)に鋳巣を集中させるというアプローチがとられている。
この場合、生産に向けた設計の段階で、形状や鋳造条件を様々に変えながら試作と検査を繰り返し、最適な条件を探索することになる。
ここで鋳造品中の鋳巣の検査には、古くは製品自体の破壊が必要であった。このような破壊検査は、手間と時間を要する上、精度もあまり高くなく、また破壊検査に用いたワークについては、その後、強度試験等のワーク全体についての試験を行うことができなくなるため、不便な場合があった。このため、最近では、例えば特許文献1に開示されるように、X線CT(コンピュータ断層)により鋳造品内部の断面を画像化し、これより鋳造品の三次元モデルを形成してこれを表示することが提案されている。この鋳造品の三次元モデルの表示によって、鋳巣の三次元的な位置や大きさを画像の上で認識できる。
特開2004−34144号公報
しかし、上記特許文献1の手法では、鋳造品質と鋳造品の強度の関係が不明確である。特に、上述のようにして得たX線CTから作成した三次元モデルは、その構造が非常に複雑であり、通常の強度解析ツールなどでは、強度解析を実行することができない。
本発明は、X線CTなどによって得た三次元モデルから強度解析を行うことを目的とする。
本発明は、コンピュータを用いた鋳造品の強度解析方法であって、コンピュータに、検査対象である鋳造品を実測して得た複数の断層映像に基づき形成された、内部の鋳巣についての形状を含む鋳造品の三次元形状モデルを取り入れる取り入れ工程と、取り入れた三次元形状モデルにおける鋳巣のうち、鋳造品の表面から距離が所定距離以下であって、その大きさが所定以上のものを選択する選択工程と、選択された鋳巣について位置、形状をデータ化して鋳巣データを得るデータ工程と、鋳巣データを取り入れて鋳造品についての強度解析を行う強度解析工程と、を実行させることを特徴とする。
また、前記選択工程において選択した鋳巣に対し、その形状の異方性から、強度に対する寄与が所定以上のものを選択する形状選択工程をさらに有し、前記データ化工程は、形状選択工程で選択された鋳巣についてデータ化することが好適である。
また、本発明は、鋳造品の強度解析プログラムであって、コンピュータに、検査対象である鋳造品を実測して得た複数の断層映像に基づき形成された、内部の鋳巣についての形状を含む鋳造品の三次元形状モデルを取り入れる取り入れ工程と、取り入れた三次元形状モデルにおける鋳巣のうち、鋳造品の表面から距離が所定距離以下であって、その大きさが所定以上のものを選択する選択工程と、選択された鋳巣について位置、形状をデータ化して鋳巣データを得るデータ工程と、鋳巣データを取り入れて鋳造品についての強度解析を行う強度解析工程と、を実行させることを特徴とする。
本発明によれば、X線CTなどによって得た鋳造品の内部鋳巣データに基づいて、鋳造品の強度解析を行うことができる。従って、試作品についての評価を短期間で効果的に行うことができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る鋳造品の強度解析システムの概略構成を示す図である。
X線CTスキャナ10は、鋳造品をX線にて走査することでCT断層画像を撮影する。
三次元モデル化部20は、上記特許文献1に記載されたものと同様であり、CTスキャナ10から入力される断層画像群から、鋳造品の内部欠陥である鋳巣を含む三次元モデルを演算算出する。ここで、三次元形状モデルとしては、鋳造品の表面をポリゴン(多角形面要素)で表したポリゴンサーフェイスモデル等が採用される。このような断層画像群からポリゴンモデルを作成するアルゴリズムとしては、例えばマーチング・キューブ法などの従来公知のものを利用することができる。
空気と鋳物金属(例えばアルミニウムや鋳鉄など)では、X線の吸収率が大きく異なるため、CT断層画像では両者の画素値(CT値)に大きい差が出る。したがってCT断層画像群からマーチング・キューブ法等の手法でポリゴンモデルを作成すると、鋳造金属部分と空気との境界面がポリゴンデータ化され、このようにして形成されるポリゴンモデルでは、鋳造品と外部との境界面だけでなく、鋳造品内部の鋳巣等の内部欠陥による空洞部分(鋳巣)の内面も表現される。
さらに、得られた三次元形状モデルから、鋳造品内の内部欠陥に該当する部分を識別する。ここでは、ポリゴンサーフェイスモデルから、鋳造品の外部(外気)との境界面(外表面と呼ぶ)に該当するポリゴン群を抽出し、残ったポリゴン群を内部欠陥の鋳巣との境界面と認識する。
なお、三次元モデル化部20において得られた三次元モデルをレンダリングして表示画像を形成し、モニタ等の表示することも好適である。
三次元モデル化部20おいて得られた鋳巣の境界面データを含む三次元モデルは、鋳巣選択部30に供給される。この鋳巣選択部30は、図2に示すように、鋳巣の中で、鋳造品の強度に影響が大きいもののみを選択する。
すなわち、図3(A)に示すように、得られた鋳巣について、鋳造品の表面からの距離が所定以内のもののみを選択する(S11)。これは、鋳巣界面の位置データからその最も表面側の部分の位置が表面から所定のしきい値以内にあるか否かによって判定することによって行われる。
次に、図3(B)に示すように、選択した鋳巣について、そのサイズが所定値以上のもののみを選択する(S12)。これは、鋳巣のデータからその最大長を判定し、その最大長が所定のしきい値以上か否かを判定することによって行われる。
次に、図3(C)に示すように、選択した鋳巣について、形状を考慮した選択を行う(S13)。すなわち、強度への影響は、鋳巣の形状によって異なる。例えば、同一のサイズでも、球形状のものは強度への影響が小さい。そこで、形状により強度への影響の小さなものを除外する。例えば、鋳巣が球形にどのくらい近いかという類似度を演算し、この類似度により、サイズを変換して、変化されたサイズが所定値以下のものを除外したり、鋳巣の形状について、一定の力を掛けた場合の最大応力が所定以上になるかによって判定するとよい。
なお、このS11、S12、S13は、いずれを先に行ってもよいが、演算量を考慮すると、この順序が効率的である。
このようにして、S11〜S13の処理により、鋳造品の強度への影響が少ないと考えられる鋳巣を除外した場合には、これが図1におけるデータ化部40に供給される。このデータ化部40は、供給されたデータに基づき、残った鋳巣を含む三次元モデルを作成する。これは、上述のポリゴンデータから不要な鋳巣の部分のデータを削除することによって行われる。このため、得られたデータは、ポリゴンモデルであるが、必要によって、次工程で利用する強度解析ツールに適したデータ形式に変換する。
このデータ化部40におけるデータ化処理については、例えば3Dポリゴンモデルを利用することができるが、名部情報を持ち合わせたボリュームデータを利用することもできる。従って、データ化部40においては、ポリゴンデータまたはボリュームデータへのデータ形式への変換が行われる。
特に、上述の処理により、不要な鋳巣を除去しているため、三次元モデルは、その形状が比較的簡単になっており、各種強度解析ツールによって処理可能なデータになっている。
そして、データ化部40の出力は、強度解析部50に供給され、ここで強度解析プログラムを実行することによって、対象となる鋳造品についての強度解析が行われ、解析結果が得られる。この強度解析は、鋳造品について、考えられる各種方向において、最大の力が印加されたときに、破壊されないか等の観点で、行われる。そこで、その解析結果は、基本的に強度が十分かどうかという結論であるが、その他に各方向の力に対する各種大きさの力に対する応力分布などを得ることも好適である。
ここで、強度解析ツールとしては、(i)加振方向の定義、(ii)力の印加量の定義、(iii)振動数の定義、(iv)振動モードの定義、の4種類のパラメータを主として、解析できるツールが利用される。なお、金属の状態の評価ツールとして「赤外線を利用した金属疲労破壊過程の可視化」技術があり、この技術とリンクさせてシミュレーションの精度を向上することが好ましい。このため、加振器を利用した実験で扱えるパラメータを持ち合わせた強度評価用ツールが必要になる。赤外線を利用した金属疲労の状態と、シミュレーションの結果の整合性がとれることで、破壊試験を行わずに、鋳巣の分布・形状からの強度保証が行えることが確認できる。
得られた、解析結果は、ディスプレイ、プリンタ、データ出力インターフェースなどからなる出力部60から出力される。
なお、このような三次元モデル化部20、鋳巣選択部30、データ化部40、強度解析部50は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用のコンピュータシステムに、上述のような処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現することができる。
図4には、鋳造品開発の全体工程が示されている。まず、製品の仕様に基づき、各種設定を行い、鋳造品を試作する(S21)。試作品ができたら、これについてX線CTスキャンし、多数の断層像を得る(S22)。得られた断層像から三次元モデル化(鋳巣選択を含む)を行う(S23)。そして、得られた三次元モデルについて、強度解析を行う(S24)。
上述のように、本実施形態によれば、X線CTスキャンによる計測データに基づいて、コンピュータが強度解析まで行うことができる。そこで、試作についての評価を早くすることができ、解析結果から補正が必要と判定された(NG)場合には、試作をやり直すが、それまでの期間を早くすることができる。従って、本実施形態によれば、破壊検査を行わなくてよいため試作品を他の検討にも利用できることと合わせ、試作品の評価までの期間を大幅に短縮でき、トータルとして開発コストを大きく削減することができる。
システムの全体構成を示す図である。 鋳巣選択の処理を示すフローチャートである。 鋳巣選択の内容を模式的に示す図である。 製品開発の全体を示すフローチャートである。
符号の説明
10 X線CTスキャナ、20 三次元モデル化部、30 鋳巣選択部、40 データ化部、50 強度解析部。

Claims (4)

  1. コンピュータを用いた鋳造品の強度解析方法であって、
    コンピュータに、
    検査対象である鋳造品を実測して得た複数の断層映像に基づき形成された、内部の鋳巣についての形状を含む鋳造品の三次元形状モデルを取り入れる取り入れ工程と、
    取り入れた三次元形状モデルにおける鋳巣のうち、鋳造品の表面から距離が所定距離以下であって、その大きさが所定以上のものを選択する選択工程と、
    選択された鋳巣について位置、形状をデータ化して鋳巣データを得るデータ工程と、
    鋳巣データを取り入れて鋳造品についての強度解析を行う強度解析工程と、
    を実行させる鋳造品の強度解析方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    前記選択工程において選択した鋳巣に対し、その形状の異方性から、強度に対する寄与が所定以上のものを選択する形状選択工程をさらに有し、
    前記データ化工程は、形状選択工程で選択された鋳巣についてデータ化する鋳造品の強度解析方法。
  3. 鋳造品の強度解析プログラムであって、
    コンピュータに、
    検査対象である鋳造品を実測して得た複数の断層映像に基づき形成された、内部の鋳巣についての形状を含む鋳造品の三次元形状モデルを取り入れる取り入れ工程と、
    取り入れた三次元形状モデルにおける鋳巣のうち、鋳造品の表面から距離が所定距離以下であって、その大きさが所定以上のものを選択する選択工程と、
    選択された鋳巣について位置、形状をデータ化して鋳巣データを得るデータ工程と、
    鋳巣データを取り入れて鋳造品についての強度解析を行う強度解析工程と、
    を実行させる鋳造品の強度解析プログラム。
  4. 請求項1に記載のプログラムにおいて、
    前記選択工程において選択した鋳巣に対し、その形状の異方性から、強度に対する寄与が所定以上のものを選択する形状選択工程をさらに有し、
    前記データ化工程は、形状選択工程で選択された鋳巣についてデータ化する鋳造品の強度解析プログラム。
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