JP2006223601A - テニスラケット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ヘッド部、スロート部、シャフト部、グリップ部を一体成形するラケットフレームの少なくともプレーヤの把持部である前記グリップ部が小径管部とされ、その外周面に弾性材層が被覆され、前記弾性材層は、その外表面に、周方向に連続する環状凸部からなる山部と環状凹部とからなる谷部とが、軸線方向に交互に連続している凹凸連続部を設けられた形状とされている。
【選択図】 図1
Description
例えば、特開2004−81298号(特許文献1)では、図10に示すラケットフレーム1では、ヘッド部やスロート部と一体成形するグリップ部1aを小径管状とし且つ該クリップ部自体の表面形状をグリップ長手方向に波形形状としている。この波形形状としたグリップ部1aの外周に、弾性材層1bを被覆し、その周囲に硬質シェル1cを配した3層構造とされている。
前記ラケットフレーム1は、弾性材層1bを厚肉化し、弾性変形量が増すことで衝撃吸収性を高めるうえ、グリップ1aの表面を波形形状としているため、弾性材層1bの位置ズレやグリップ基部1aの捩れを防止でき、コントロール性も高めることができる。しかしながら、プリプレグを積層して成形するラケットフレーム本体の小径化したグリップの表面に波形状を形成することは、実際上において非常に困難であり、精度よく波形状を成形することはできない。また、最外層に硬質シェル1cを配したこのラケットフレーム1は、握り易さが考慮されておらず、フィーリングは向上されていないと認められる。
このラケットフレーム2は、打球時の衝撃吸収と、プレー中の滑り止めを図るものである。
しかしながら、グリップ2の段差2cに手が接触したときには違和感や衝撃が大きくなるうえ、衝撃吸収体2bが螺旋状に巻かれているため、両手打ちの場合は片方の手の指が螺旋方向と合わず、握り難くなる問題がある。
しかしながら、現実のプレーにおいては、ラケットフレームを短く持つ、あるいは長く持つ、ラケットフレームを寝かせて持つ(打球面に対して手の平を傾斜させてグリップを握る)、あるいは立てて持つ(打球面に対して手の平を平行にしてグリップを握る)等、様々な微調整があるうえ、プレースタイルや球種によってもグリップ位置は大きく変わってくるため、前記溝3a〜3gにプレーヤーが違和感や握り難さを感じる場合も生じる。
前記弾性材層は、その外表面に、周方向に連続する環状凸部からなる山部と環状凹部とからなる谷部とが、軸線方向に交互に連続している凹凸連続部を設けられた形状とされていることを特徴とするテニスラケットを提供している。
このように、握り易く、滑り難く、密着感の高いグリップのラケットフレームは、打球時にグリップの回転が抑えられ、パワーをラケットに効率よく伝えることができ、小さな衝撃で強い打球を打つことが可能となるため、打球時のフィーリングも向上する。
さらに、打撃時に弾性材層の弾性変形により衝撃を効果的に吸収でき、高い衝撃吸収性を備え、グリップを把持したプレーヤーの手に伝わる衝撃を効果的に低減できる。
このように、ヘッド部、スロート部と一体成形するグリップ部の表面は、前記従来例のように長さ方向に凹凸を設けた波形状とはせず、平滑面とすると、ラケットフレーム自体を容易に成形できる。この平滑面としたグリップ部の表面に凹凸を設けた弾性材層を金型で射出成型すると、容易に弾性を有する凹凸部をグリップ表面に設けることができる。
より好ましくは、0.50mm以上0.75mm以下である。
前記下限は好ましくは170mm以上、特に180mm以上が好ましく、上限は230mm以下、特に、220mm以下が好ましい。
また、前記凹凸連続部を弾性材で形成しているため、握ったときにソフトな密着感が得られ、安定感も高まる。
従って、打球時に効率よく力が伝わり、打球が強くなるうえ、打球時の衝撃も吸収され、フィーリングが良好となる。
テニスラケット10は、ヘッド部11、スロート部13、シャフト部14、グリップ部15とを連続して形成するラケットフレーム本体100を備え、ヘッド部11とシャフト部14とを連続するスロート部13を二股状とし、該スロート部13の両側枠の間にヨーク部12を設け、該ヨーク部12とヘッド部11とで打球面Fを囲む前記ガット張架部Gを形成している。
前記ラケットフレーム本体100の一部を構成する小径筒部からなるグリップ部15を、以下、グリップ基層15と称す。該グリップ基層15の長さL1を、本実施形態では200mmとし、幅W1を25mmとしている。
該グリップ基層15に弾性材層21を被覆した状態で、該弾性材層21の表面とシャフト部14の表面とは段差なく連続させている。
エンドキャップ17をグリップ端末19のグリップ基層にピン打ちして装着固定し、該エンドキャップ17の末端17aから弾性材層21の外周面にグリップレザー18を螺旋状に巻き付け、所定の長さでカットして端部をテープにて固定している。グリップレザー18は、ポリスチレンからなる基材の表面にポリウレタンを被覆してなり、厚みは、ポリスチレン層を1.4mm、ポリウレタン層を0.4mmとしている。
本実施形態では、グリップ基層16の端末から設ける凹凸連続部22は他の実施形態よりも短くしているが、通常の場合、両手打ちのときでも前記領域を超えて握られることは殆どないため、様々なプレースタイルに対して、握り易さと滑り難さを提供できる。
以下の表1に示すとおり、弾性材層の有無、凹凸連続部の形成位置、波長(山部のピッチ)、振幅(山部頂点と谷部頂点との高さ寸法差)、弾性材層の厚みを異ならせた実施例1〜3、比較例1〜3を作製し、振動減衰率を測定し、握り易さに関する評価テストも行った。
前記第一実施形態と同一構成とした。即ち、グリップ基層15の外周に発泡ウレタン樹脂からなる単層の弾性材層21を形成し、その表面の、グリップエンド側末端19から20mmの位置から200mmの位置までの領域に凹凸連続部22を形成した。該凹凸連続部22は、グリップ長手方向の断面における表面形状を正弦波形状とし、山部23と谷部24をそれぞれグリップ周方向に連続させて形成した。この表面波形の波長は30mmに、振幅は0.5mmに統一した。また、弾性材層21の厚みは、山部23の頂点23aで3mm、谷部24の頂点24aで2mmとした。
凹凸連続部22の表面波形の振幅を0.2mmとし、弾性材層21の厚みを、谷部24の頂点24aで2.6mmとしたが、その他は実施例1と同一構成とした。
(実施例3)
凹凸連続部22の表面波形の波長を5mmとしたが、その他は実施例1と同一構成とした。
(実施例4)
凹凸連続部22を、グリップエンド側末端19から50mmの位置から100mmの位置までの領域にのみ形成したが、その他の構成は実施例1と同一とした。
(実施例5)
凹凸連続部22を、グリップエンド側末端19から20mmの位置から150mmの位置までの領域に形成したが、その他の構成は実施例1と同一とした。
グリップ基部15の形状を図7に示す形状とし、弾性材層を設けることなくグリップ基層15の外周に直接にグリップレザー18を巻きつけた。
(比較例2)
グリップ基層15の外周に発泡ウレタン樹脂からなる単層の弾性材層21を形成したが、外周は各面とも平坦とし、凹凸連続部を形成しなかった。弾性材層21の厚みは均一に3mmとした。
(比較例3)
グリップ基層15の外周に発泡ウレタン樹脂からなる単層の弾性材層21を形成し、その表面の、グリップエンド側末端19から20mmの位置から200mmの位置までの領域に、図8に示すように、螺旋状の凹凸連続部22を形成した。即ち、山部23と谷部24がそれぞれ螺旋方向に連続するように凹凸を形成した。該凹凸連続部22のグリップ長手方向の断面における表面形状は正弦波形状とし、波長を30mm、振幅を0.5mmとした。また、弾性材層21の厚みは、山部23の頂点23aで3mm、谷部24の頂点24aで2mmとした。
各実施例および比較例のテニスラケット10を図9(A)に示すようにヘッド部11の上端を紐51で吊り上げ、グリップ20の中心に加速度ピックアップ53を固定した。この状態で、図9(B)に示すように、ヨーク部12の中心をインパクトハンマー55で加振した。インパクトハンマー55に取り付けられたフォースピックアップ計で計測した入力振動(F)と加速度ピックアップ計53で計測した応答振動(α)をアンプ56A、56Bを介して周波数解析装置57(ヒューレットパッカード社製、ダイナミックシングルアナライザーHP3562A)に入力して解析した。解析で得た周波数領域での伝達関数を求め、テニスラケットの振動数を得た。振動減衰比(ζ)は下式より求めた。各実施例および比較例のテニスラケットについて測定した平均値を上記表1に示す。
To=Tn×√2
上級者50名が、各ラケットフレームのグリップ20を握り、両手打ちおよび片手打ちで打撃したときのフィーリングを5点法(点が多いほど良い評価)で評価した。その採点結果の平均値を表1に示した。
また、弾性材層21に凹凸連続部22を形成し、かつ山部23と谷部24をグリップ周方向に連続させた実施例1〜5は、弾性材層21に凹凸連続部22を形成しなかった比較例2よりも握り易さの評価が高く、また、山部23と谷部24を螺旋状に連続させた比較例3に比しても評価が高かった。これは、実施例1〜5は、凹凸連続部22があることにより、指とグリップとの接触面積が増えるとともに、指の引っ掛かりができ、安定感が高く滑りにくいグリップとなったことと、螺旋状凹凸でないため、左右のいずれの手にも違和感なくフィットしたことに因ると認められる。
11 ヘッド部
15 グリップ部(グリップ基層)
20 グリップ
21 弾性材層
22 凹凸連続部
23 山部
24 谷部
100 ラケットフレーム本体
Claims (7)
- ヘッド部、スロート部、シャフト部、グリップ部を一体成形するラケットフレームの少なくともプレーヤの把持部となる前記グリップ部が小径管部とされ、その外周面に弾性材層が被覆され、
前記弾性材層は、その外表面に、周方向に連続する環状凸部からなる山部と環状凹部とからなる谷部とが、軸線方向に交互に連続している凹凸連続部を設けられた形状とされていることを特徴とするテニスラケット。 - 前記グリップ部の小径管部は、表面が長さ方向に平滑面とされ、該平滑面の外周に前記弾性材層が被覆され、かつ、
前記凹凸連続部の表面に、グリップレザーが前記凹凸連続部を現出させる状態で装着されている請求項1に記載のテニスラケット。 - 前記弾性材層は、前記山部の肉厚が1.5mm〜7.0mm、谷部の肉厚が1.0mm〜5.0mmとされ、前記山部の頂点と谷部の頂点の高さ方向距離が、0.25mm〜1.00mmとされている請求項1または請求項2に記載のテニスラケット。
- 前記凹凸連続部のグリップ長手方向の断面形状において、前記山部、谷部、山部と谷部の境界部の表面は滑らかな曲線で連続されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテニスラケット。
- 前記凹凸連続部のグリップ長手方向の断面における表面形状が正弦波形状とされている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のテニスラケット。
- 前記凹凸連続部において、前記山部のピッチが20mm以上40mm以下の範囲とされている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のテニスラケット。
- 前記小径管は、左右スロート部の集合位置からグリップ端まで設けられると共に、断面八角形状とされ、該小径筒部に被覆される前記弾性材層は、全ての辺で前記周方向に連続させた山部と谷部とが長さ方向に交互に連続する凹凸連続部が設けられ、かつ、該弾性材層の表面と前記スロート部の集合位置の表面とは段差を有しない連続面とされている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のテニスラケット。
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