JP2006219678A - 光学材料用硬化性組成物、光学用材料および光学用材料の製造方法 - Google Patents

光学材料用硬化性組成物、光学用材料および光学用材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 内部応力を抑制して耐ハンダクラック性を高め、かつ、表面実装時に樹脂が着色等の劣化を起こさない光学材料用組成物、それを用いた光学用材料、および光学材料を用いた発光ダイオードを提供することである。
【解決手段】 (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、及び、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる光学材料用硬化性組成物であり、本組成物をパッケージ中で硬化させた時の内部応力を、[内部応力(MPa)]=([最終硬化温度(℃)]−[硬化物のTg(℃)])×([硬化物のTg以上での線膨張係数]−[パッケージのTg以上での線膨張係数])×[硬化物のTgにおける引張貯蔵弾性率(MPa)]で表した時、[内部応力(MPa)]の値が15MPa以下であることを特徴とする光学材料用硬化性組成物とすること。
【選択図】 なし

Description

本発明は光学材料用硬化性組成物、光学用材料、光学用材料の製造方法および光学材料を用いた発光ダイオードに関するものであり、更に詳しくは、発光ダイオードのモールド部材に好適な光学材料用硬化性組成物、光学用材料、光学用材料の製造方法および光学材料を用いた発光ダイオードに関する。
半導体デバイスはチップを保護するために、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の封止樹脂によりパッケージ処理が行われている。処理されたパッケージは表面実装方式によりプリント配線基板等に装着されることが多いが、これは従来のピン挿入実装方式と異なり、ハンダ付けをして実装する際にパッケージ全体が200〜280℃の高温下にさらされる。この時、封止樹脂の内部応力が樹脂強度を越えると、クラックが発生するといわれている。一般に、内部応力は封止樹脂のガラス転移温度(Tg)より低い温度で発生するが、Tg以上でも揮発性成分の存在等の要因があれば生じる。(株)高分子刊行会発行「入門エポキシ樹脂」(1988)の177頁には一次元弾性モデルで内部応力の算出式が説明されているが、この式より、硬化温度からTgまで冷却された時の内部応力(残留応力)を数式化すると、[内部応力(MPa)]=([最終硬化温度(℃)]−[Tg(℃)])×([封止樹脂のTg以上での線膨張係数]−[パッケージのTg以上での線膨張係数])×[封止樹脂のTgにおける引張弾性率(MPa)]・・・・・(数式1)と表される。現行のエポキシ樹脂のなかには内部応力の発生を抑制し、耐ハンダクラック性を高めたものも存在するが、実装時の熱によって劣化し、黄変等の着色を起こすことが多く、光学材料としては改良の余地があった。また、シリコーン樹脂は揮発性成分が存在するという問題があった。発光ダイオードを構成する発光素子のモールド部材(被覆材、モールド剤又は封止剤ともいう。)に現行のエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂を用いた場合においても同様の問題があり、改良が必要であった。一方、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する脂肪族系有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、ヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物が知られている(特許文献1)。この硬化性組成物を硬化させてなる硬化物は光学用材料として好適に使用することが出来る。しかしながら、本発明の課題である耐ハンダクラック性の改善については何ら示唆するところはなかった。
WO01−81475
本発明の目的は、内部応力を抑制して耐ハンダクラック性を高め、かつ、表面実装時に樹脂が着色等の劣化を起こさない光学材料用組成物、それを用いた光学用材料、光学用材料の製造方法および光学材料を用いた発光ダイオードを提供することである。
このような課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、及び、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる光学材料用硬化性組成物であり、本組成物をパッケージ中で硬化させた時の内部応力を、[内部応力(MPa)]=([最終硬化温度(℃)]−[硬化物のTg(℃)])×([硬化物のTg以上での線膨張係数]−[パッケージのTg以上での線膨張係数])×[硬化物のTgにおける引張貯蔵弾性率(MPa)]で表した時、[内部応力(MPa)]の値が15MPa以下であることを特徴とする光学材料用硬化性組成物とすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、及び、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる光学材料用硬化性組成物であり、本組成物をパッケージ中で硬化させた時の内部応力を、[内部応力(MPa)]=([最終硬化温度(℃)]−[硬化物のTg(℃)])×([硬化物のTg以上での線膨張係数]−[パッケージのTg以上での線膨張係数])×[硬化物のTgにおける引張貯蔵弾性率(MPa)]で表した時、[内部応力(MPa)]の値が15MPa以下であることを特徴とする光学材料用硬化性組成物(請求項1)であり、
(A)成分及び/又は(B)成分がエーテル構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学材料用硬化性組成物(請求項2)であり、
光学材料の用途が発光ダイオードのモールド部材である請求項1または2に記載の光学材料用硬化性組成物(請求項3)であり、
請求項1または2に記載の光学材料用硬化性組成物をあらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、SiH基の一部または全部を反応させることによって硬化させて得られることを特徴とする光学用材料(請求項4)であり、
請求項1または2に記載の光学材料用硬化性組成物をあらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、SiH基の一部または全部を反応させることによって硬化させることを特徴とする、光学用材料の製造方法(請求項5)である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における(A)成分について説明する。
(A)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物であれば特に限定されない。上記有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマー等の、シロキサン単位(Si−O−Si)を含む化合物以外のものが好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。シロキサン単位を含む化合物の場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(A)成分は、単独で用いても良いし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
(A)成分の化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系の化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等が挙げられる。
有機単量体系化合物としては特に限定されないが、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;鎖状、環状等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物;脂肪族アルコール系;これらの混合物等が挙げられる。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(I)
Figure 2006219678
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。上記一般式(I)で示される基のうち、原料の入手の容易さから、
Figure 2006219678
で示される基が特に好ましい。
さらに、(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
Figure 2006219678
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。2つのRは同じであってもよいし異なっていてもよい。)このうち、原料の入手の容易さから、下記式で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
Figure 2006219678
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していてもよい。上記2価以上の置換基としては特に限定されないが、炭素数0〜10の置換基が好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない置換基がより好ましい。上記2価以上の置換基の例としては、
Figure 2006219678
Figure 2006219678
が挙げられる。また、例示した2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
(A)成分の骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 2006219678
が挙げられる。
(A)成分の有機化合物としては、骨格部分と炭素−炭素二重結合を有する基とに分けて表現しがたい低分子量化合物も用いることができる。上記低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
(A)成分の具体的な例としては、上述のほか、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、それらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 2006219678
Figure 2006219678
、エポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
(A)成分としては、内部応力を低下させるという観点から、エーテル構造を有する化合物が好ましい。エーテル構造を有する(A)成分としては、前記した有機重合体骨格や有機単量体骨格にアルケニルオキシ基(アルケニル部分は一般式(I)または一般式(II)と同じもの)、アリルオキシ基等が共有結合した化合物等が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ビニルオキシ末端水添ポリブタジエン、エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、水添ビスフェノールAのジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、アリルオキシ末端水添ポリブタジエン、エチレングリコールジアリルエーテル、1,3−プロパンジオールジアリルエーテル、1,4−ブタンジオールジアリルエーテル、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビスフェノールAのジビニルエーテル、ビスフェノールAのジアリルエーテル、2−アリルオキシエタノール、1−アリルオキシ−2,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル等である。
上記エーテル構造を有する(A)成分を用いると、硬化物内の緻密性が低下する。内部応力はこの緻密性の低下部分によって吸収されると考えられる。このことから本発明では、エーテル構造を有する(A)成分は、[硬化性組成物中のエーテル構造を有する(A)成分の炭素−炭素二重結合のモル数/硬化性組成物中の(B)成分のSiH基のモル数]の値の下限が0.01以上となる量が好ましく、0.02以上となる量がより好ましい。上限は30以下となる量が好ましく、20以下となる量がより好ましい。上記値が0.01より小さい場合は内部応力の低下に対する効果が不十分になる傾向にあり、30より大きい場合は硬化物から未反応のエーテル構造を有する(A)成分がブリードしてくる傾向にある。
複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるという観点からは、(A)成分中における芳香環の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
(A)成分としては、他の成分との均一な混合及び良好な作業性を得るためには、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましい。(A)成分は、線状でも枝分かれ状でもよい。
(A)成分の分子量は、下限として50以上が好ましく、54以上がより好ましく、68以上がさらに好ましい。上限としては100,000以下が好ましく、70,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましい。分子量が50より低いものは揮発性が大であり、分子量が100,000を越えるものでは一般に原料が高粘度となり作業性に劣るとともに、炭素−炭素二重結合とSiH基との反応による架橋の効果が発現し難い。
次に本発明における(B)成分について説明する。
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されない。例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましい。なかでも、(A)成分との相溶性が良いという観点から、下記一般式(III)
Figure 2006219678
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンがより好ましい。なお、一般式(III)で表される化合物中の置換基Rは、C、H及びO以外の元素を含まない置換基が好ましく、炭化水素基がより好ましい。
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンと、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物(以降(D)成分と称する)との反応物も好ましい。(D)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機化合物であって、前記(A)成分と同じものも使用できる。
(D)成分の好ましい具体例として、トリアリルイソシアヌレート、ノボラックフェノールのアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル、2、2’−ジアリルビスフェノールA、ジアリルフタレート、フタル酸のビス(2−アリルオキシエチル)エステル、スチレン、α−メチルスチレン、アリル末端ポリプロピレンオキシド及びポリエチレンオキシド等が挙げられる。(D)成分の有機化合物は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
(B)成分は単独で用いてもよいし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
(B)成分としては、内部応力を低下させるという観点から、エーテル構造を有する化合物が好ましい。エーテル構造を有する(B)成分としては、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンを骨格とし、その骨格部分と炭素原子1個以上を介してエーテル結合を有するものが挙げられる。具体的には、(D)成分としてトリアリルイソシアヌレート、アリルエーテル、水添ビスフェノールAジアリルエーテル、アリル末端ポリエチレンオキシド、ビスフェノールAジアリルエーテル等を用いた反応物が挙げられる。
上記エーテル構造を有する(B)成分を用いると、エーテル構造を有する(A)成分の使用時と同様に、硬化物内の緻密性が低下し、内部応力がこの緻密性の低下部分によって吸収されると考えられる。このことから本発明では、全(B)成分中に占めるエーテル構造を有する(B)成分の量が下限として0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。上限として100重量%以下が好ましい。エーテル構造を有する(B)成分の量が0.01重量%より少ない場合は内部応力の低下に対する効果が不十分になる傾向にある。
硬化性組成物中の(A)成分と(B)成分の比率は、[硬化性組成物中の(A)成分の炭素−炭素二重結合のモル数/硬化性組成物中の(B)成分のSiH基のモル数]の値が下限として0.5以上となる比率が好ましく、0.75以上となる比率がより好ましい。上限として30以下が好ましく、20以下がより好ましい。上記値が0.5より小さい場合は炭素−炭素二重結合とSiH基との反応による架橋の効果が不十分になる傾向にあり、30より大きい場合は硬化物から未反応の(A)成分がブリードしてくる傾向にある。
上記(D)成分と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンとの反応は、本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒を用いて実施することが出来る。触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。上記触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記触媒の添加量は特に限定されないが、十分な反応性を有し、かつコストを比較的低く抑えるために、好ましい添加量の下限は、SiH基1モルに対して10−8モル以上、より好ましくは10−6モル以上であり、好ましい添加量の上限はSiH基1モルに対して10−1モル以下、より好ましくは10−2モル以下である。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量は、用いる[(D)+(1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサン)]成分1gに対し、下限0mL、上限10mLの範囲で用いるのが好ましく、下限0.5mL、上限5mLの範囲で用いるのがさらに好ましく、下限1mL、上限3mLの範囲で用いるのが特に好ましい。
(D)成分と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンとのモル比((D)成分/1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサン)は収率の点から下限5、上限100であることが好ましく、下限7、上限50であることがより好ましく、下限8、上限20であることが特に好ましい。
次に本発明における(C)成分について説明する。
(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
白金化合物以外のヒドロシリル化触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。上記ヒドロシリル化触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため、好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。なおヒドロシリル化触媒は、(B)成分の合成時に使用して残存している量で十分な硬化性を示す場合は必ずしも別途添加する必要はないが、硬化性を調整するために上記の範囲で新たに添加することもできる。
本発明の硬化性組成物には、保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を配合することができる。硬化遅延剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、2−ヒドロキシ−2−フェニル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレエート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等のトリオルガノホスフィン類、ジオルガノホスフィン類、オルガノホスホン類、トリオルガノホスファイト類等が例示される。硫黄含有化合物としては、単体硫黄、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
上記硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレエート、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
上記硬化遅延剤を用いる場合の添加量は特に限定されず、種々設定できるが、ヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
次に、本発明における内部応力の算出法について説明する。
硬化性組成物をパッケージに注入し、加熱して硬化させた後、冷却すると、封止された樹脂は収縮しようとする。しかしながら、パッケージの壁面で接着されているため自由に収縮することができず、内部応力(残留応力)が発生する。樹脂のミクロブラウン運動が凍結されるTgまで冷却されたとすると温度変化は、[最終硬化温度(℃)]−[硬化物のTg(℃)]である。したがって、この間に内部応力に関わる樹脂の変形量は、([最終硬化温度(℃)]−[硬化物のTg(℃)])×([硬化物のTg以上での線膨張係数]−[パッケージのTg以上での線膨張係数])である。収縮による引張状態での応力は、変形量と引張弾性率の積であるので、[内部応力(MPa)]=([最終硬化温度(℃)]−[硬化物のTg(℃)])×([硬化物のTg以上での線膨張係数]−[パッケージのTg以上での線膨張係数])×[硬化物のTgにおける引張貯蔵弾性率(MPa)]・・・・・(数式1)と表される。硬化性組成物が異なれば樹脂のTg、線膨張係数、引張弾性率は異なるが、数式1における内部応力が小さくなるものであれば、耐ハンダクラック性は向上する。本発明では、耐ハンダクラック性の観点から、数式1における内部応力が15MPa以下であることが好ましく、10MPa以下であることが特に好ましい。
上記Tgは以下のようにして調べられる。3mmx5mmx30mmの角柱状試験片を用いて引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温速度5℃/分の条件にて測定した動的粘弾性測定(アイティー計測制御社製DVA−200使用)のtanδのピーク温度をTgとする。
上記線膨張係数は以下のようにして調べられる。3mmx5mmx5mmの角柱状試験片を用いて膨張モード、昇温速度10℃/分の条件にて測定したものである。測定装置は例えば、島津製作所製熱機械分析装置TMA−50を用いることができる。
上記引張貯蔵弾性率は以下のようにして調べられる。動的粘弾性測定(アイティー計測制御社製DVA−200使用)を用いて、3mmx5mmx30mmの角柱状試験片により引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温速度5℃/分の条件にて測定する。
本発明の硬化性組成物には、特性を改質する目的で、種々の樹脂を配合してもよい。上記樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂等が例示されるがこれらに限定されるものではない。
本発明の硬化性組成物をそのままフィルム等に成形することも可能であるが、該組成物を有機溶剤に溶解してワニスとすることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量は、用いる反応性(B)成分1gに対し、下限0mL、上限10mLの範囲で用いるのが好ましく、下限0.5mL、上限5mLの範囲で用いるのがさらに好ましく、下限1mL、上限3mLの範囲で用いるのが特に好ましい。使用量が少ないと、低粘度化等の、溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
本発明の組成物には、その他、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明の硬化性組成物には必要に応じて無機フィラーを配合してもよい。無機フィラーを添加すると、組成物の流動性の防止、材料の高強度化に効果がある。無機フィラーとしては光学特性を低下させない、微粒子状のものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカや疎水性超微粉シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。
フィラーを添加する方法としては、例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の硬化性組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法も挙げることができる。
本発明の硬化性組成物には、特性を改質する目的で、種々の熱硬化性樹脂を配合してもよい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、透明性が高く接着性等の実用特性に優れるという観点から、透明エポキシ樹脂が好ましい。
透明エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂をヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
本発明の硬化性組成物には、種々の発光ダイオード特性改善のための添加剤を配合してもよい。添加剤としては例えば、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体等の蛍光体や、特定の波長を吸収するブルーイング剤等の着色剤、光を拡散させるための酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、石英ガラス等の酸化ケイ素、タルク、炭酸カルシウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の各種無機あるいは有機拡散材、ガラス、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物等の熱伝導性フィラー等を挙げることができる。
発光ダイオード特性改善のための添加剤は均一に含有させても良いし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。この様なフィラー含有樹脂部は発光面前面のモールド部材用の樹脂を型に流した後、引き続いて、フィラーを含有させた樹脂を流し発光面後方のモールド部材として形成させることができる。また、モールド部材形成後リード端子を表裏両面からテープを張り付けることによって覆い、この状態でフィラー含有樹脂を溜めたタンク内に発光ダイオードのモールド部材の下半分を浸漬した後、引き上げて乾燥させフィラー含有樹脂部を形成させても良い。
本発明で言う光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中に通過させる用途に用いる材料一般を示す。
より具体的には、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム等の液晶用フィルム等の液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)のモールド部材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、また発光ダイオード表示装置に使用される発光素子のモールド部材、発光ダイオードのモールド部材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、モールド部材、接着剤等である。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、モールド部材、接着剤等である。光センシング機器のレンズ用材料、モールド部材、接着剤、フィルム等である。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子のモールド部材、接着剤等である。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、モールド部材、接着剤等である。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、発光素子のモールド部材、接着剤等である。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子のモールド部材、接着剤等である。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料である。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。また、航空機の構造材の靭性付与材、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートである。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子のモールド部材、接着剤等である。
(A)成分、(B)成分、(C)成分の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(A)成分に(C)成分を混合したものと、(B)成分を混合する方法が好ましい。(A)成分、(B)成分の混合物に(C)成分を混合する方法だと反応の制御が困難である。(B)成分に(C)成分を混合したものに(A)成分を混合する方法をとる場合は、(C)成分の存在下(B)成分が環境中の水分と反応性を有するため、貯蔵中等に変質することもある。
組成物を反応させて硬化させる場合において、(A)、(B)、(C)各成分の必要量を一度に混合して反応させてもよいが、一部を混合して反応させた後残量を混合してさらに反応させる方法や、混合した後反応条件の制御や置換基の反応性の差を利用することにより組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行いさらに硬化させる方法をとることもできる。これらの方法によれば成形時の粘度調整が容易となる。
硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
硬化温度としては特に限定されず、種々設定できるが、好ましい温度の下限は25℃、より好ましくは50℃、さらに好ましくは100℃であり、好ましい温度の上限は300℃、より好ましくは250℃、さらに好ましくは200℃である。硬化温度が低いと十分に反応させるための硬化時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。
硬化は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点で好ましい。
硬化時間も種々設定できるが、高温短時間で反応させるより、比較的低温長時間で反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点で好ましい。
硬化時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。場合によって発生する揮発分を除きやすいという観点から減圧状態で反応させることが好ましい。
硬化させて得られる光学用材料の形状も用途に応じて種々とりうるので特に限定されないが、例えばフィルム状、シート状、チューブ状、ロッド状、塗膜状、バルク状等の形状とすることができる。
成形する方法も従来の熱硬化性樹脂の成形方法をはじめとして種々の方法をとることができる。例えば、キャスト法、プレス法、注型法、トランスファー成形法、コーティング法、RIM法等の成形方法を適用することができる。成形型は研磨ガラス、硬質ステンレス研磨板、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリメチルメタクリレート板等を適用することができる。また、成形型との離型性を向上させるためポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等を適用することができる。
成形時に必要に応じ各種処理を施すこともできる。例えば、成形時に発生するボイドの抑制のために組成物あるいは一部反応させた組成物を遠心、減圧等により脱泡する処理、プレス時に一旦圧力を開放する処理等を適用することもできる。
本発明の光学用材料を用いて発光ダイオードを製造することができる。この場合、発光ダイオードは本発明の硬化性組成物によって発光素子を被覆することによって製造することができる。
上記発光素子としては特に限定されず、発光ダイオードに用いられ得る発光素子を用いることができる。例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法といった各種方法によって、必要に応じてGaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に半導体材料を積層して作製したものが挙げられる。
上記基板としては特に限定されないが、例えば、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点からは、サファイアが好ましい。
積層される上記半導体材料としては特に限定されないが、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(InGaAlN)が好ましい。上記半導体材料は付活剤等を含んでいてもよい。
上記発光素子の構造としては特に限定されないが、例えば、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ構造等が挙げられる。また、単一あるいは多重量子井戸構造とすることもできる。
上記発光素子はパッシベーション層を設けていてもよいし、設けなくてもよい。
上記発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。
発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては特に限定されないが、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等が良いものが好ましく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤー等が挙げられる。銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂に充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線或いは金線が好ましい。
本発明においては、垂直方向の光度が1cd以上を示す発光素子が好ましい。垂直方向の光度が2cd以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がより顕著であり、3cd以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がさらに顕著である。
上記発光素子の発光出力としては特に限定されず、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がより顕著であり、20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果がさらに顕著である。
上記発光素子の発光波長は紫外域から赤外域まで特に限定されないが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に本発明の効果が特に顕著である。上記発光素子は一種類を用いて単色発光させてもよいし、複数を用いて単色又は多色発光させてもよい。
本発明の発光ダイオードに用いられるリード端子としては特に限定されないが、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましい。リード端子の電気抵抗としては特に限定されないが、300μΩ・cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ・cm以下である。上記リード端子の材料としては特に限定されないが、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅、これらに銀、ニッケル等をメッキしたもの等が挙げられる。上記リード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
(蛍光体)
本発明の硬化物には、蛍光体を配合しても良い。これにより、発光素子から放出される光を吸収し、波長変換を行い、発光素子の色調と異なる色調を有する発光ダイオードを提供することができるからである。
発光ダイオードに使用される蛍光体は、主に、青色に発光する蛍光体、緑色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体の少なくともいずれか1以上の蛍光体を使用することができる。これらの蛍光体は、本発明に係る硬化物中に投入し、ほぼ均一になるまで混合する。この混合物を、発光素子の周辺部に載置する。この蛍光体は、発光素子から放出される光を吸収し、波長変換を行い、発光素子の光と異なる波長の光を放出する。これにより、発光素子から放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部と、が混合して、白色を含む多色系の発光ダイオードを作製することができる。
上述のような青色に発光する蛍光体、緑色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体には、種々の蛍光体がある。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、SrAl:Eu、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:Ce,Tb、SrAl1225:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga:Euなどがある。
青色に発光する蛍光体として、例えば、Sr(POCl:Eu、(SrCaBa)(POCl:Eu、(BaCa)(POCl:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Cl:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(POCl:Eu,Mnなどがある。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがある(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、Ln12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Rは、ランタノイド系である。)、(Y1−xGa(Al1−yGa12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<R<0.5である。)を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、Y:Eu、GdS:Euなどがある。
但し、緑色、青色、黄色、赤色等に発光する蛍光体は、上記の蛍光体に限定されず、種々の蛍光体を使用することができる。
本発明の発光ダイオードは、本発明の光学材料用組成物によって上記発光素子を被覆することによって製造することができる。上記被覆とは、上記発光素子を直接封止するものに限らず、間接的に被覆する場合も含む。具体的には、上記発光素子を本発明の光学材料用組成物で直接、従来用いられる種々の方法で封止してもよいし、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂やガラスで発光素子を封止した後に、その上あるいは周囲を本発明の光学材料用組成物で被覆してもよい。また、上記発光素子を本発明の光学材料用組成物で封止した後、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等でモールディング(封止ともいう)してもよい。これらの方法によって、屈折率や比重の差を利用してレンズ効果等の種々の効果を持たせることも可能である。
封止の方法としても各種方法を適用することができる。例えば、底部に発光素子を配置させたカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に液状の組成物をディスペンサーその他の方法にて注入して加熱等により硬化させてもよいし、固体状あるいは高粘度液状の組成物を加熱する等して流動させ同様にパッケージ凹部等に注入してさらに加熱する等して硬化させてもよい。上記パッケージは種々の材料を用いて作製することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド樹脂等を挙げることができる。また、モールド型枠中に組成物をあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後硬化させる方法も適用することができるし、発光素子を挿入した型枠中にディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形等により組成物による封止層を成形、硬化させてもよい。単に液状または流動状態とした組成物を発光素子状に滴下あるいはコーティングして硬化させてもよい。発光素子上に孔版印刷、スクリーン印刷、あるいはマスクを介して塗布すること等により硬化性樹脂を成形させて硬化させることもできる。あらかじめ板状、あるいはレンズ形状等に部分硬化あるいは硬化させた組成物を発光素子上に固定する方法によってもよい。さらには、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド剤として用いることもできるし、発光素子上のパッシベーション膜として用いることもできる。また、パッケージ基板として用いることもできる。
被覆部分の形状も特に限定されず種々の形状をとることができる。例えば、レンズ形状、板状、薄膜状、特開平6−244458記載の形状等が挙げられる。これらの形状は組成物を成形硬化させることによって形成してもよいし、組成物を硬化した後に後加工により形成してもよい。
本発明の発光ダイオードは、種々のタイプとすることができ、例えば、ランプタイプ、SMDタイプ、チップタイプ等いずれのタイプでもよい。SMDタイプ、チップタイプのパッケージ基板としては、種々のものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、BTレジン、セラミック等が挙げられる。
本発明の発光ダイオードには種々の方式が適用できる。例えば、発光素子背面に光を反射あるいは集光する層を設ける方式、封止樹脂の黄変に対応して補色着色部を底部に形成させる方式、主発光ピークより短波長の光を吸収する薄膜を発光素子上に設ける方式、発光素子を軟質あるいは液状のモールド部材で封止した後周囲を硬質材料でモールディングする方式、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す蛍光体を含む材料で発光素子を封止した後周囲をモールディングする方式、蛍光体を含む材料をあらかじめ成形してから発光素子とともにモールドする方式、特開平6−244458に記載のとおりモールド部材を特殊形状として発光効率を高める方式、輝度むらを低減させるためにパッケージを2段状の凹部とする方式、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方式、発光素子表面に主発光波長より短い波長の光を吸収する薄膜を形成する方式、発光素子をはんだバンプ等を用いたフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取出す方式等を挙げることができる。
本発明の発光ダイオードは従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、バックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
本発明の組成物から製造した材料は内部応力を抑制して耐ハンダクラック性を高め、かつ、表面実装時に樹脂が着色等の劣化を起こさないことから、工業的に極めて有用である。
また、本発明は、極めて高い耐湿性、耐熱性、熱衝撃性を持つ光学材料用組成物及びそれを用いた発光ダイオードを提供することができる。
以下に、本発明の実施例を示すが本発明は以下によって限定されるものではない。
(合成例1)2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパンによる1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン変性体(1)の合成
冷却管、攪拌機、温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに信越化学工業製1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン400gを入れ、トルエン120gを加えて溶解した後、70℃に昇温し、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.025gを加えた。別途、2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパン103gをトルエン60gに溶かした溶液を用意し、これを4つ口フラスコ中の溶液に10分かけて滴下した後、攪拌しながら2時間反応させた。反応後、25℃まで放冷した後、ベンゾチアゾール8mgをトルエン0.2gに溶かした溶液を加えて攪拌した。その後、反応液を1Lのナスフラスコに移し、減圧下、60℃で揮発分を留去することによって、250gの変性体(1)を得た。変性体(1)のヒドロシリル基含有量はプロトンNMR分析の結果、7.51mmol/gであった。アリル残基は検出されなかった。なお、ヒドロシリル基含有量及びアリル基残存量は、1,2−ジブロモエタンを内部標準とし、この標準物質のプロトンの化学シフト(3.65ppm)面積とヒドロシリル基のプロトンの化学シフト(4.7ppm)面積またはアリル基のプロトンの化学シフト(4.5ppm)面積を比較することによって決定した。
(合成例2)トリアリルイソシアヌレートによる1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン変性体(2)の合成
冷却管、攪拌機、温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに信越化学工業製1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン288gを入れ、トルエン360gを加えて溶解した後、110℃に保った。別途、トリアリルイソシアヌレート40gをトルエン40gに溶かし、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.3gを加えた溶液を用意し、これを4つ口フラスコ中の溶液に10分かけて滴下した後、攪拌しながら6時間反応させた。反応後、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.6gを加えて溶解した後、25℃まで放冷した。その後、反応液を1Lのナスフラスコに移し、減圧下、60℃で揮発分を留去することによって、130gの変性体(2)を得た。変性体(2)のヒドロシリル基含有量はプロトンNMR分析の結果、8.04mmol/gであった。また、同分析の結果、アリル基残存量は0.10mmol/gであった。
(実施例1)
2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパン11.075g、ダイソー製トリメチロールプロパンジアリルエーテル(商品名:ネオアリルT−20)1.971g及び白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.51mgを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例1で調製した変性体(1)11.954gをB液とした。その後、A液とB液を混合、攪拌、脱泡した。次に、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに、この混合液を流し込み、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、120℃で1時間、さらに150℃で1時間、空気中で加熱を行い、透明な硬化物を得た。また、別途、0.4mm□のチップ2個が装着されたパッケージに上記混合液を流し込み、上記と同一条件下で加熱を行い、封止されたパッケージを作製した。以上の操作により作製した硬化物は、次のように分析、評価を行った。まず、ガラスセルから作製した硬化物のTgと引張貯蔵弾性率をアイティー計測制御製動的粘弾性測定装置DVA−200により、昇温速度5℃/minで測定した。Tgは53℃、この温度における引張貯蔵弾性率は460MPaであった。次に、ガラスセルから作製した硬化物と封止前のパッケージのTg以上での線膨張係数を島津製作所製熱機械分析装置TMA−50により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定した。硬化物の線膨張係数は220×10−6/K、パッケージの線膨張係数は50×10−6/Kであった。これらの測定結果から、本明細書中で説明した数式1を用いて内部応力を算出すると、7.6MPaであった。また、封止されたパッケージは、250℃のハンダ浴に10秒間浸した後、すぐに23℃の純水中に3秒間浸け、耐ハンダクラック性を評価した。封止樹脂を観察した結果、クラック、着色は見られなかった。
(実施例2)
2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパン9.942g、2−アリルオキシエタノール1.411g、酢酸アリル1.383g及び白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.52mgを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例1で調製した変性体(1)12.264gをB液とした。その後、A液とB液を混合、攪拌、脱泡した。次に、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに、この混合液を流し込み、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、120℃で1時間、さらに150℃で1時間、空気中で加熱を行い、透明な硬化物を得た。また、別途、0.4mm□のチップ2個が装着されたパッケージに上記混合液を流し込み、上記と同一条件下で加熱を行い、封止されたパッケージを作製した。以上の操作により作製した硬化物は、次のように分析、評価を行った。まず、ガラスセルから作製した硬化物のTgと引張貯蔵弾性率をアイティー計測制御製動的粘弾性測定装置DVA−200により、昇温速度5℃/minで測定した。Tgは37℃、この温度における引張貯蔵弾性率は230MPaであった。次に、ガラスセルから作製した硬化物のTg以上での線膨張係数を島津製作所製熱機械分析装置TMA−50により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定した。硬化物の線膨張係数は230×10−6/Kであった。これらの測定結果と前記パッケージの線膨張係数から、本明細書中で説明した数式1を用いて内部応力を算出すると、4.7MPaであった。また、封止されたパッケージは、250℃のハンダ浴に10秒間浸した後、すぐに23℃の純水中に3秒間浸け、耐ハンダクラック性を評価した。封止樹脂を観察した結果、クラック、着色は見られなかった。
(実施例3)
2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパン9.440g、2−アリルオキシエタノール1.340g、3−シクロヘキサンプロピオン酸アリル2.575g及び白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.57mgを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例1で調製した変性体(1)11.645gをB液とした。その後、A液とB液を混合、攪拌、脱泡した。次に、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに、この混合液を流し込み、45℃で10時間、続いて55℃で2時間、80℃で1時間、さらに120℃で1時間、空気中で加熱を行い、透明な硬化物を得た。また、別途、0.4mm□のチップ2個が装着されたパッケージに上記混合液を流し込み、上記と同一条件下で加熱を行い、封止されたパッケージを作製した。以上の操作により作製した硬化物は、次のように分析、評価を行った。まず、ガラスセルから作製した硬化物のTgと引張貯蔵弾性率をアイティー計測制御製動的粘弾性測定装置DVA−200により、昇温速度5℃/minで測定した。Tgは23℃、この温度における引張貯蔵弾性率は390MPaであった。次に、ガラスセルから作製した硬化物のTg以上での線膨張係数を島津製作所製熱機械分析装置TMA−50により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定した。硬化物の線膨張係数は230×10−6/Kであった。これらの測定結果と前記パッケージの線膨張係数から、本明細書中で説明した数式1を用いて内部応力を算出すると、6.8MPaであった。また、封止されたパッケージは、250℃のハンダ浴に10秒間浸した後、すぐに23℃の純水中に3秒間浸け、耐ハンダクラック性を評価した。封止樹脂を観察した結果、クラック、着色は見られなかった。
(実施例4)
2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパン6.780g、2−アリルオキシエタノール3.992g、トリアリルイソシアヌレート1.218g及び白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)5.00mgを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例1で調製した変性体(1)13.011gと1−エチニル−1−シクロヘキサノール12.50mgを混合し、攪拌、脱泡したものをB液とした。その後、A液とB液を混合、攪拌、脱泡した。次に、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに、この混合液を流し込み、45℃で6時間、続いて55℃で3時間、65℃で1時間、80℃で30分間、100℃で30分間、さらに120℃で1時間、空気中で加熱を行い、透明な硬化物を得た。また、別途、0.4mm□のチップ2個が装着されたパッケージに上記混合液を流し込み、上記と同一条件下で加熱を行い、封止されたパッケージを作製した。以上の操作により作製した硬化物は、次のように分析、評価を行った。まず、ガラスセルから作製した硬化物のTgと引張貯蔵弾性率をアイティー計測制御製動的粘弾性測定装置DVA−200により、昇温速度5℃/minで測定した。Tgは33℃、この温度における引張貯蔵弾性率は290MPaであった。次に、ガラスセルから作製した硬化物のTg以上での線膨張係数を島津製作所製熱機械分析装置TMA−50により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定した。硬化物の線膨張係数は230×10−6/Kであった。これらの測定結果と前記パッケージの線膨張係数から、本明細書中で説明した数式1を用いて内部応力を算出すると、4.5MPaであった。また、封止されたパッケージは、250℃のハンダ浴に10秒間浸した後、すぐに23℃の純水中に3秒間浸け、耐ハンダクラック性を評価した。封止樹脂を観察した結果、クラック、着色は見られなかった。
(比較例1)
トリアリルイソシアヌレート9.937gと白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)75.00mgを混合し、攪拌、脱泡したものをA液とした。また、合成例2で調製した変性体(2)15.063gと1−エチニル−1−シクロヘキサノール75.00mgを混合し、攪拌、脱泡したものをB液とした。その後、A液とB液を混合、攪拌、脱泡した。次に、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作製したセルに、この混合液を流し込み、60℃で6時間、続いて70℃で1時間、80℃で1時間、さらに120℃で1時間、空気中で加熱を行い、透明な硬化物を得た。また、別途、0.4mm□のチップ2個が装着されたパッケージに上記混合液を流し込み、上記と同一条件下で加熱を行い、封止されたパッケージを作製した。以上の操作により作製した硬化物は、次のように分析、評価を行った。まず、ガラスセルから作製した硬化物のTgと引張貯蔵弾性率をアイティー計測制御製動的粘弾性測定装置DVA−200により、昇温速度5℃/minで測定した。Tgは84℃、この温度における引張貯蔵弾性率は1170MPaであった。次に、ガラスセルから作製した硬化物のTg以上での線膨張係数を島津製作所製熱機械分析装置TMA−50により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定した。硬化物の線膨張係数は520×10−6/Kであった。これらの測定結果と前記パッケージの線膨張係数から、本明細書中で説明した数式1を用いて内部応力を算出すると19.8MPaであり、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4の各内部応力と比較すると高い値を示した。また、封止されたパッケージを250℃のハンダ浴に10秒間浸した後、すぐに23℃の純水中に3秒間浸けた結果、封止樹脂にクラックが発生した。
(参考例1)
実施例4と同様に調製したA液とB液の混合溶液を45℃で6時間、続いて55℃で3時間、65℃で1時間、80℃で30分間、100℃で30分間、さらに120℃で1時間加熱して硬化させた。この硬化物を適当な形状に切断し、キャンタイプ用の金属キャップに設けた光透過用窓の部分に固定する。一方で、MOCVD(有機金属気相成長)法によりサファイア基板上に形成した、SiとZnがドープされたInGaN活性層をn型とp型のAlGaNクラッド層で挟んだダブルへテロ構造の発光素子を用意する。続いて、この発光素子をキャンタイプ用の金属のステムに載置した後、p電極、n電極をそれぞれのリードにAu線でワイヤーボンディングする。これを上記のキャンタイプ用の金属キャップで気密封止する。この様にしてキャンタイプの発光ダイオードを作製することができる。
(参考例2)
洗浄したサファイア基板上にMOCVD(有機金属気相成長)法により、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、Siドープのn型電極が形成されn型コンタクト層となるGaN層、アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、次に発光層を構成するバリア層となるGaN層、井戸層を構成するInGaN層、バリア層となるGaN層(量子井戸構造)、発光層上にMgがドープされたp型クラッド層としてAlGaN層、Mgがドープされたp型コンタクト層であるGaN層を順次積層させる。エッチングによりサファイア基板上の窒化物半導体に同一面側で、pn各コンタクト層表面を露出させる。各コンタクト層上に、スパッタリング法を用いてAlを蒸着し、正負各電極をそれぞれ形成させる。出来上がった半導体ウエハーをスクライブラインを引いた後、外力により分割させ発光素子である発光素子を形成させる。
表面に銀でメッキされた鉄入り銅から構成されるマウントリードのカップ底面上に、ダイボンド樹脂としてエポキシ樹脂組成物を利用して上記発光素子をダイボンドする。これを170℃で75分加熱しエポキシ樹脂組成物を硬化させ発光素子を固定する。次に、発光素子の正負各電極と、マウントリード及びインナーリードとをAu線によりワイヤーボンディングさせ電気的導通を取る。
実施例4で用いた硬化性組成物を砲弾型の型枠であるキャスティングケース内に注入させる。上記の発光素子がカップ内に配置されたマウントリード及びインナーリードの一部をキャスティングケース内に挿入し80℃、1時間の初期硬化を行う。キャスティングケースから発光ダイオードを抜き出し、窒素雰囲気下において100℃、1時間、続いて120℃、1時間で硬化を行う。これにより砲弾型等のランプタイプの発光ダイオードを作製することができる。
(参考例3)
発光素子を作製した後、エッチングにより一対の銅箔パターンをガラスエポキシ樹脂上に形成させることによって、リード電極を持った基板を形成する。発光素子をエポキシ樹脂を用いてガラスエポキシ樹脂上にダイボンドする。発光素子の各電極と、各リード電極とをそれぞれAu線でワイヤボンディングし電気的導通を取る。基板上にマスク兼側壁として貫通孔があいたガラスエポキシ樹脂をエポキシ樹脂により固定配置させる。この状態で真空装置内に配置させると共に発光素子が配置されたガラスエポキシ樹脂基板上に硬化性組成物をディスペンスし、貫通孔を利用したキャビティ内に実施例4で用いた硬化性組成物を充填する。この状態で、80℃、1時間、続いて100℃、1時間、さらに120℃、1時間硬化させる。各発光ダイオードチップごとに分割させることでチップタイプ発光ダイオードを作製することができる。
(参考例4)
発光素子を作製した後、インサート成形によりPPS樹脂を用いてチップタイプ発光ダイオードのパッケージを形成させる。パッケージ内は、発光素子が配される開口部を備え、銀メッキした銅板を外部電極として配置させる。パッケージ内部で発光素子をエポキシ樹脂を用いてダイボンドして固定する。導電性ワイヤーであるAu線を発光素子の各電極とパッケージに設けられた各外部電極とにそれぞれワイヤーボンディングし電気的に接続させる。パッケージ開口部内にモールド部材として実施例4で用いた硬化性組成物を充填する。この状態で、80℃、1時間、続いて100℃、1時間、さらに120℃、1時間硬化させる。この様にして、チップタイプ発光ダイオードを作製することができる。
(参考例5)
本参考例では、一対の外部電極が上面に形成されたガラスエポキシ樹脂基板と該ガラスエポキシ樹脂基板上に設けられるモールド部材との接触面を100%とし、外部電極とモールド部材との接触面を75%と特定されてなる発光ダイオードを形成する。
本参考例の発光ダイオードは、モールド部材の接触面全体において外部電極との接触面の割合を50%以上90%以下と特定すると共に、前記モールド部材に、吸湿率の低い本願発明の熱硬化性組成物を用いることにより、樹脂基板とモールド部材底面との界面の密着性が強化され、厳しい使用環境下においても高い信頼性を維持することが可能な発光ダイオードが得られる。
近年、表面実装型発光ダイオードの使用が広まり、電気機器の小型化、高密度化が実現されている。このような表面実装型発光ダイオードは、クリームはんだが印刷された回路基板上に搭載され、これらを一括して赤外線加熱炉であるリフロー装置を通過することにより、前記クリームはんだを溶融し実装固着させる。また、現在、環境問題から、使用するはんだは鉛が含有されていないことが好ましいとされており、このような鉛を有しないはんだの融点は非常に高く、発光ダイオードに要求される耐熱温度はさらに高まっている。
特に、発光ダイオードの場合、外部電極の表面には、載置される発光素子からの光を良好に外部へ取り出すため、光反射率の高い貴金属膜が形成されている。このような貴金属は、表面に酸化膜が形成されないため、樹脂成分との密着力が低いと考えられる。外部電極が上面に形成された樹脂基板と該樹脂基板上に設けられたモールド部材との接触面を100%とした場合において、前記外部電極と前記モールド部材との接触面が50%以上である場合、パッケージ開口部底面とモールド部材底面との密着性は乏しく、発光ダイオードに致命的機能を与える程の剥離が生じる傾向にある。
そこで、外部電極との接触性能を向上させることを目的とし、分子内に多数の水酸基を有する化学構造もしくは硬化後に水酸基を生成する化学構造を備えたエポキシ樹脂を用いることが考えられるが、エポキシ樹脂からなるモールド部材を具備する発光ダイオードを、温度環境の厳しい条件下においてリフローはんだ実装すると、モールド部材と外部電極との界面剥離が多発する傾向にある。
モールド部材の吸湿性が高い場合、外気と接しているモールド部材表面から吸湿された水分が内部の外部電極と接しているモールド部材底面まで拡散され、モールド部材と外部電極との界面に水分が介在すると考えられる。このため、外部電極とモールド部材との界面における密着性が良好な発光ダイオードであっても、前記界面に水分が介在する場合、高温にさらされることにより前記界面に存在する水分が水蒸気爆発を起こし、前記界面に剥離が生じると考えられる。これを抑制するためには、保管条件が厳しくならざるを得ない。
一方、モールド部材とパッケージとの剥離度合いは、上述の如くモールド部材と外部電極との接触面に依存するといえる。そこで、前記開口部底面において露出される外部電極の面積を可能な限り削減することで、モールド部材とパッケージとの密着性を高めることが考えられている。
しかしながら、外部電極の面積を極端に減少すると、放熱性が低下するため、出力の高い発光素子を信頼性高く載置することが困難となる。また、モールド部材との接触面において、外部電極よりも光反射率の小さい樹脂部の占有面積が大きくなると、モールド部材内部に配される発光素子の光取り出し効率が低下してしまう。また、外部電極の面積が小さくなると複数の発光素子を載置し導通を取ることは難しく、発光装置の多機能化が不可能になる。
本願発明では、耐熱性、接着性良好、及び低い吸湿性を同時に満たす硬化性組成物の硬化物であるモールド部材を用いることにより、多機能化を損なわず高い信頼性を維持することが可能な発光ダイオードを提供することを可能とする。
(参考例6)
本参考例で用いられるパッケージが、底面と側壁とからなる開口部を備え、前記底面の面積を100%とした場合において、底面にて露出される外部電極の占有面積が75%である以外は、参考例5と同様にして発光ダイオードを形成すると、同様の効果が得られる。
本参考例の発光ダイオードは、モールド部材の接触面全体において外部電極との接触面の割合を50%以上90%以下と特定すると共に、前記モールド部材を、吸湿率の低い本願発明の熱硬化性組成物を用いることにより、樹脂パッケージとモールド部材底面との界面の密着性が強化され、厳しい使用環境下においても高い信頼性を維持することが可能な発光ダイオードが得られる。
(参考例7)
パッケージ開口部の底面において、正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出しており、さらに各外部電極においてパッケージの成形樹脂が露出されてなる少なくとも一対の樹脂露出部が設けられている以外は、参考例6と同様にして発光ダイオードを形成する。このようなパッケージは、上記樹脂露出部を設けない場合と比較して、前記開口部を封止するモールド部材とパッケージとの接合強度を強くすることが出来る。また、その一対の露出部は、各外部電極の対向する一端面に垂直な中心線の軸に対して左右対称に設けられていることが好ましく。これにより発光装置の指向特性を左右対称とすることが出来る。また、この樹脂露出部は、外部電極に切り込み等を形成してその切り込み等の内部に成形樹脂が形成されてなるものであり、これにより、外部電極と成形樹脂とを強固に固定でき、これらの剥離も防止することが出来る。
(参考例8)
本参考例では熱硬化性部材中に高融点結晶が含有されてなる半結晶性ポリマー樹脂基板上にエッチングにより一対の銅箔パターンを形成させることによって、リード電極を持った基板を形成する以外は、参考例5と同様にして発光ダイオードを形成すると、さらに信頼性の高い発光ダイオードが得られる。
なお、本明細書において、半結晶性ポリマー樹脂とは、結晶化度が10wt%〜60wt%であるポリマー樹脂のことをいう。本参考例で用いる半結晶性ポリマー樹脂は、熱硬化性樹脂中に融点が280℃であり結晶化度が25wt%である芳香族ポリフタルアミド樹脂であり、ガラス転移温度は100℃である。このように、ガラス転移温度の低い樹脂からなるパッケージは、等方性材料であると共に吸湿率が低いため、熱応力によるモールド部材との剥離を抑制することが出来る。また、半結晶性ポリマー樹脂中に、目的に応じて種々の添加剤を含有することができる。例えば、反射性向上材料となる酸化チタン、機械的強度の向上剤となるガラス繊維、離型剤となるパラフィンワックス、難燃剤となる臭化剤を、好適に含有させることができる。
また、本参考例に限らず、少なくともモールド部材が設けられる表面を、従来から用いられている種々の洗浄方法にて洗浄した後にモールド部材を設けると、より各部材間の密着性を向上させることができる。
また、半結晶性ポリマー樹脂は、液晶ポリマーよりも本願発明の硬化性組成物との接触角が小さく(接触角69.3)表面エネルギーが大きく、濡れ性が良好である。このため、半結晶性ポリマーからなるパッケージと本願発明の硬化性組成物からなるモールド部材との密着性は良好となる。例えば、モールド樹脂を充填し硬化工程における冷却時にパッケージとモールド樹脂との界面に剥離が発生する場合があるが、半結晶性ポリマーである芳香族ポリアミドでは結晶性ポリマーと比較して界面剥離は極めて少ない。
なお、モールド部材が接して設けられる樹脂基板もしくはパッケージとなる材料とモールド部材との接触角を測定するためには、共和界面化学(株)接触角計CA−X150型(液体試料は純水である)を用いることができる。
(参考例9)
実施例1に記載の方法で硬化物を作製する。
参考例9の発光ダイオードは、青色系に発光する発光素子と、該発光素子が配置される底面と側壁とからなる開口部を有するパッケージと、該開口部を封止するモールド部材と、を備える。このモールド部材には、実施例1に記載の方法で作製された硬化物と、(Y0.8Gd0.2Al12:CeのYAG系蛍光体と、を用いる。この実施例1の硬化物と、YAG系蛍光体とを均一に混合した後、この混合物を、発光素子を配置するパッケージの開口部内に注入する。この混合物を注入した後、熱風乾燥機中で60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間加熱し硬化する。これにより白色系に発光する発光ダイオードを作製することができる。
参考例9の発光ダイオードは、青色系に発光する発光素子と、緑色から黄色に発光するYAG系蛍光体とを組み合わせて使用している。このYAG系蛍光体は、本発明に係る樹脂中に均一に混合している。YAG系蛍光体は、発光素子からの青色光により励起され、緑色から黄色に発光する。この発光素子からの青色光と、YAG系蛍光体からの緑色から黄色の光とが混合し、白色系に発光する。
参考例9の発光ダイオードは、樹脂の耐熱性、熱衝撃性が極めて優れている。このことから、熱衝撃性試験による封止樹脂の耐クラック性に優れているため、発光ダイオードの不灯などの致命的な故障を防ぐことができる。発光ダイオードの駆動試験、高温、高温高湿の保管試験において、該発光ダイオードの樹脂部分は、黄変が非常に起こりにくい。樹脂の黄変が起こりにくいことから、本発明の発光ダイオードは、光出力の低下を防止することができる。
また、表面実装型のプラスチック・パッケージは、以下の問題を有している。表面実装型のプラスチック・パッケージを吸湿させた後、リフローを行うことにより、そのリフロー時に水蒸気爆発が起きる。この水蒸気爆発により、発光素子とパッケージとの界面に、剥離が生じる。この剥離により、発光素子とパッケージとの界面に隙間が生じる。通常、発光素子とパッケージとの界面に隙間がない状態では、発光素子を通電させたとき、発光素子から発生する熱がパッケージを介して放熱される。そのため、発光素子の劣化は、ほとんど生じない。これに対し、剥離により発光素子とパッケージとの界面に隙間が生じた場合では、発光素子を通電させたとき、発光素子から発生する熱がパッケージに十分伝達されない。そのため、発光素子から発生した熱が外部に放出されにくくなる。これによって、発光素子の劣化が促進される。また、剥離によって生じた隙間に水分や不純物が侵入し、発光素子を腐食させる。また、パッケージ・クラックがパッケージ表面まで達したり、パッケージが膨れて変形したりすると、外観不良となり、商品価値が失われる。
このことから、色調の変化が起こりにくい発光ダイオードを提供することができる。
(参考例10)
パッケージの開口部内の外部電極上に、発光素子の半導体層を該半導体積層方面に挟んで設けられる一対の電極を具備する発光素子を導電部材を介して載置する以外は、参考例6と同様にして発光ダイオードを形成すると、参考例6と同様の効果が得られる。
外部電極と該外部電極上に載置された上記発光素子との界面の剥離は、該素子を覆うモールド部材の熱膨張に起因する。本参考例の如く、外部電極と該外部電極上に載置される発光素子との界面にて導通が取られている場合、前記界面の剥離は不灯につながる。しかしながら本参考例では、本発明の硬化性組成物とパッケージとを組み合わせることにより、モールド部材の熱膨張を抑制し、内部に配された発光素子と外部電極との剥離を防止することができる。
(参考例11)
前記パッケージの開口部内に露出された外部電極上に、前記発光素子と共に保護素子としてツェナーダイオードを載置した後、モールド部材を形成する以外は、参考例6と同様にして発光ダイオードを形成する。本参考例で用いられるパッケージは、開口部底面において露出される外部電極の面積は75%であり、外部電極上に複数個の素子を載置することが十分可能であると共に、本発明の硬化性組成物にて前記開口部内にモールド部材を形成することにより、前記外部電極と各素子との界面の密着性を維持することができる。これにより、発光素子と共に保護素子を載置することにより、さらに発光装置の信頼性を高めることができる。このようにして得られた発光ダイオードに、上記前処理および吸湿実験を行うと、参考例5と同様の効果が得られる。このように、本発明の発光ダイオードは、本参考例のように複数個の素子を載置しても各構成部材間に剥離が生じることなく高い信頼性を得ることができる。
(参考例12)
パッケージの開口部内に露出された外部電極上に、発光素子として前記発光素子の構成を有する青色発光LED、緑色発光LED、およびGaAs系半導体層を挟んで一対の電極が設けられてなる赤色発光LEDを載置する以外は、参考例5と同様にして発光ダイオードを形成すると、参考例5と同様の効果が得られる。このように、複数個の発光素子を有する発光ダイオードにおいて、特にそれぞれの発光色が補色関係にある場合、少なくとも1つの発光素子の導通が切れてしまうと、発光ダイオードの発光面にて観測される発光色が大きく変化してしまう。しかしながら、本参考例では、吸湿性が少なくかつ接着性に優れた硬化性組成物からなるモールド部材と、モールド部材との密着性を高めることが可能なパッケージを組み合わせることにより、前記GaAs系発光素子の底面側に設けられた電極と前記外部電極との導通接合界面の剥離を防止することができ、光学特性および信頼性に優れた発光ダイオードが得られる。
本発明の組成物から製造した材料は内部応力を抑制して耐ハンダクラック性を高め、かつ、表面実装時に樹脂が着色等の劣化を起こさないことから、工業的に極めて有用である。
また、本発明は、極めて高い耐湿性、耐熱性、熱衝撃性を持つ光学材料用組成物及びそれを用いた発光ダイオードを提供することができる。

Claims (5)

  1. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、及び、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分としてなる光学材料用硬化性組成物であり、
    本組成物をパッケージ中で硬化させた時の内部応力を、
    [内部応力(MPa)]=([最終硬化温度(℃)]−[硬化物のTg(℃)])×([硬化物のTg以上での線膨張係数]−[パッケージのTg以上での線膨張係数])×[硬化物のTgにおける引張貯蔵弾性率(MPa)]で表した時、
    [内部応力(MPa)]の値が15MPa以下
    であることを特徴とする光学材料用硬化性組成物。
  2. (A)成分及び/又は(B)成分がエーテル構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学材料用硬化性組成物。
  3. 光学材料の用途が発光ダイオードのモールド部材である請求項1または2に記載の光学材料用硬化性組成物。
  4. 請求項1または2に記載の光学材料用硬化性組成物をあらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、SiH基の一部または全部を反応させることによって硬化させて得られることを特徴とする光学用材料。
  5. 請求項1または2に記載の光学材料用硬化性組成物をあらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、SiH基の一部または全部を反応させることによって硬化させることを特徴とする、光学用材料の製造方法。
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