JP2006219473A - 手術部位感染の抑制方法およびそれに使用するカラム - Google Patents

手術部位感染の抑制方法およびそれに使用するカラム Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、外科的手術、特に消化器系の外科的手術に極めて高率に発生していた手術部位感染(SSI)を抑制する方法と、そのためのカラムを提供することである。
【解決手段】 本発明によれば、(a)手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬の投与工程と(b)外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者から血液を採取して該血液中の好中球を含む白血球を除去した後、該白血球除去血液を被手術者に返血する工程を含む手術部位感染の抑制方法;及び消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に手術部位感染を抑制するために使用する、好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラムが提供される。
【選択図】 なし

Description

本発明は消化器系臓器の外科手術後における手術部位感染を抑制する方法に関する。また、本発明は消化器系臓器の外科手術を受けた被手術者の血液処理方法、及びそれに使用するカラム、更には該血液処理方法と組み合わせて使用される、手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬に関する。
外科的手術を実施した場合に、手術部位の感染による術後合併症の発症が問題とされている。術後感染は、手術部位感染(SSI: surgical site infection)と肺炎や尿路感染などの術野外感染(remote infection)とに分けられる。手術部位感染とは手術操作の直接及ぶ部位に発生する感染を意味し、術野外感染とは手術操作が直接及ばない部位の感染を意味する。さらにSSIは、切開創(incisional)SSIと、臓器/体腔(organ/space)SSIとに分けられる。切開創SSIには皮膚および皮下組織に限局する表層切開創(superficial incisional)とさらに深い軟部組織に感染の及ぶ深部切開創(deep incisional)とがある。一方、臓器/体腔SSIとは、切開創以外の手術操作の及んだ全ての臓器・部位の感染を指す(非特許文献1)。
これらの感染の起炎菌をみると、手術部位感染は術野の汚染菌で投与抗菌薬に耐性の細菌で発症し、術野外感染はしばしば緑膿菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの院内耐性菌によって発症することが多いと一般に言われている。術後感染症、特に手術部位感染症を予防するためには、一般的に抗生物質などの化学療法薬を予防的に投与するが、この場合に重要なポイントは、術後感染予防においては、術中汚染の可能性のある菌、すなわち術野の常在菌・汚染菌または切除断端の分離菌にターゲットを絞ることである。常在菌叢は臓器により大きな違いがある。上部消化管では胃酸の影響を受けて菌数は一般に少なく105個/g程度であるが、下部消化管では細菌数が多く1011〜1012個/gにも達する。また菌種にも大きな違いがあり、上部消化管や呼吸器ではグラム陽性球菌が、腸内ではグラム陰性菌やバクテロイデスやビフィズス菌など嫌気性菌が優勢菌種である(非特許文献2)。従って、例えば下部消化管の手術等では、第二世代以降のセフェムなど幅広い抗菌スペクトルを持つ薬剤やカルバペネム系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬が使用される。
消化器系手術におけるSSIは切開創SSIとして、その発生頻度が極めて高いものである。炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)は消化器系手術の対象疾患であるが、この中には潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative Colitis)、クローン病(CD:Crohn's disease)のほか、感染性大腸炎、薬剤起因性大腸炎、虚血性大腸炎、放射線性大腸炎、腸結核、腸梅毒などが含まれる。この中でも潰瘍性大腸炎とクローン病は年々増加傾向にあり、その頻度の点から他のものと区別されている。
潰瘍性大腸炎は原因不明の大腸の炎症であり、主に大腸、すなわち直腸から盲腸までの間にのみ発生するびまん性非特異的炎症疾患であり、連続性の病変を特徴とする疾患である。炎症の発生部位は粘膜および粘膜下層に局限しており、また緩解と増悪を繰り返し、完全治癒が得られない特徴がある。
現在では、潰瘍性大腸炎について、その炎症の増幅機構の解明、その知見に基づいた治療方法、治療薬の開発が積極的に行われており、例えば、セルソーバを用いた白血球除去療法(LCAP)、アダカラムを用いた顆粒球除去療法(GCAP)、あるいは血液成分採取装置を用いた遠心分離による白血球除去療法の有効性が証明され保険適用の治療方法として認められている。さらには、抗CD4抗体や抗TNF−α抗体等の臨床開発試験が進行中である。しかしながら、実際の臨床の場における潰瘍性大腸炎の治療については、古くから用いられているサルファ剤であるスルファサラジン(商品名:サラゾピリン)や、リンデロン坐薬、あるいはステロイド剤の投与が中心に行われており、これらの薬物投与による治療と栄養管理や精神面の管理等を組み合わせた治療を行い、なお無効な場合には外科的療法(外科的手術)を加える治療が主体である。
ところで、前記したように、消化器系の手術は、術後合併症の発症が多いことが問題とされている。例えば、本発明者の所属する医療機関においては、過去3年10ヶ月におけるSSIの発生状況を検討したところ、胃癌手術においては約20%、大腸癌手術では約30%、直腸癌手術では約33%程度のSSIの発生状況であるのに対し、潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患では、SSIは約60%の高頻度で発生している。
これは大量のステロイド投与に伴う免疫抑制状態や、疾患の病態に伴う全身性炎症反応症候群(SIRS: systemic inflammatory response syndrome)の異常が関与していると考えられている。事実、ステロイドの投与量と術後合併症の発生率を検討してみると、ステロイド投与量として、総投与量が7,000mg以上の場合には65%の高率で合併症が発生しているのに対し、7,000mg以下の投与量では28%程度の発生率しかみせていない。また、潰瘍性大腸炎手術症例において、総ステロイド投与量とSSIの発生率を対比してみると、SSIの発生は、ステロイドが総投与量として15,000mg程度を超える場合には高度に認められるが、8,000mg未満である場合にはその発生がかなり低い。
横山隆他: 手術部位感染(surgical site infection)の防止 救急・集中治療 vol.14 no.6 2002(6):637-644 炭山嘉伸、有馬陽一: 手術に対する抗菌薬の予防的投与 救急・集中治療 vol.14 no.6 2002(6):645-650
本発明は、消化器系臓器の外科手術後におけるSSIを抑制する方法、消化器系臓器の外科手術を受けた被手術者の血液処理方法、及びそれに使用するカラム、更には該血液処理方法と組み合わせて使用される、手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬の提供を解決すべき課題とした。
先に本発明者らは、種々の炎症性サイトカインとの関係に着目しその検討を行なったところ、周術期における炎症性サイトカインのなかでも、IL−6の血中値は潰瘍性大腸炎の手術後において、異常に高いものであることが判明した(Fukunaga T, Kidokoro A, Fukunaga M et al.,:Kinetics of cytokines and PMN-E in thoracoscopic esophagectomy. Surg Endosc., 2001 Dec;15(12):1484-7;及びKikuchi K, Kurokawa H, Matsumoto F, et al.,:Responses of cytokines, acute phase proteins, and polymorphonuclear cell elastase to surgical stress in the patients with esophageal cancer. Rinsho Byori., 1996 Jun;44(6):579-84)。したがって、手術にあたってこの炎症性サイトカイン(IL−6)の産生細胞であるリンパ球を含む白血球を除去すること、すなわち周術期白血球除去療法(周術期ELAD:extracorporeal leukocyte apheresis device)で、過剰な炎症反応を抑えれば、結果的に術後のSIRSを抑えることができることを報告してきた(Medical Tribune vol.36 no.7 2003/02/13:18-19;及びMiki C, Araki T, Yoshiyama S et al., :Pouch related complication -strategies for surgical treatment and a novel concept for prevention. 日本大腸肛門病会誌 第57回総会抄録号vol.55 no.9(2002年9月)。
かかる考え方に従って、これまで消化器系臓器の外科手術、特に潰瘍性大腸炎の外科手術前に、LCAPおよびGCAPを併用し、炎症性サイトカインを除去した後に潰瘍性大腸炎の手術を施行し、その結果、潰瘍性大腸炎の術後に高率でみられる術後合併症の発生を抑えることに成功してきた。周術期ELADの有無による術後炎症反応の比較として、体温変化/心拍数の変化を図1および図2に示した。上記の通り、周術期ELADによる潰瘍性大腸炎手術は潰瘍性大腸炎における術後合併症の発生をある程度抑えてきたものの、いまだ満足するものではなかった。
本発明者らは、上記従前のELADプロトコールを見直すべく、IBDの周術期における炎症性サイトカインおよび顆粒球エラスターゼの変動に着目した。すなわち、白血球除去療法(ELAD)の有無と、SSIの発生率との関係を比較するために、白血球除去療法をした場合としなかった場合での炎症性サイトカインおよび顆粒球エラスターゼの変動を検討した結果、除去療法を行なった患者においては、SSIの発生の有無に拘わらず、血中顆粒球エラスターゼ値は有意に低下していたが、除去療法を行なわなかった患者においては、SSI発生患者では血中顆粒球エラスターゼ値が極めて高いものであることが判明した。
この事実は、術後合併症の発生の有無は、手術前の血中顆粒球エラスターゼ値には関係がなく、むしろ術後における血中顆粒球エラスターゼ値を抑えたほうがSSIの抑制につながり、その結果、術後合併症を抑制できることを示していることに他ならない。すなわち、これまで行なわれてきた手術前に白血球の除去を行なうことより、生体の手術侵襲反応が最大となる術後中あるいは手術後に、白血球除去療法(ELAD)を行なえば、過激な炎症反応をより効果的に抑制させ、術後の全身炎症反応を抑えることができることとなる。更に、本発明に用いる白血球除去方法としては体外循環式のフィルター法ばかりでなく、遠心分離法であっても、場合によってはバッチ式であってもよいことになる。更に、本発明の白血球除去方法を化学療法薬と組み合わせれば、両者の相乗効果で治療効果が増し、化学療法薬の投薬量が減るはずである。
また、本発明者らは従前のELADプロトコールを別の側面から再検討した。本発明者等は、消化器系臓器の外科手術対象患者としてUC患者を選択し、UC患者の末梢血好中球に着目した。健常人とUC患者の末梢血好中球を分離して刺激剤を添加しない状態(spontaneous)のサイトカイン産生とLipopolysaccharide(LPS)刺激時のサイトカイン産生を調べると、健常人とUC患者では刺激剤を添加しない状態のサイトカイン産生、特にインターロイキン6(IL−6)産生に差はないが、UC患者では健常人と比較して、LPS刺激時のサイトカイン産生、特にIL−6あるいは腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)産生が高いことが判明した。具体的には、培養開始後6時間以降、UC患者好中球のIL−6やTNF−αの産生量は健常人好中球のそれを上回り、24時間後、UC患者好中球のこれらサイトカインの産生量は健常人のそれより有意に高かった。更に、LPSを認識するToll様受容体4(TLR4)のmRNAの発現をUC患者と健常人の好中球で比較すると、UC患者の方が有意に高かった。このことから本発明者等は、UC患者の好中球は、既にグラム陰性菌等の細菌によってプライミングされているとの仮説を立てた。
このような好中球の特徴は敗血症時における好中球と類似している。敗血症時における好中球では貪食能が低下し、あるいは貪食後の細胞死がnecrosisに傾いているので、感染防御機能が低下していると考えられている(Marsik C, Mayr F, Cardona F et al., Endotoxaemia modulates Toll-like receptors on leucocytes in humans. British Journal of Haematology, 2003 121:653-656;Hayashi F, Means T.K, Luster A.D et al., Toll-like receptors stimulate human neutrophil function. Blood 2003 102(7):2660-2669;及びAyala A, Chung C-S, Lomas J.L et al., Animal model -Shock-induced neutrophil mediated priming for acute lung injury in mice- American Journal of Pathology 2002:161(6)2283-2294)。通常、微生物を貪食した好中球はapoptosisを起こし、apoptosisを起こした好中球は顆粒球エラスターゼをはじめとする細胞内の様々なメディエーターを放出することなくマクロファージに貪食、除去され炎症は消退するが、necrosisを起こした好中球はメディエーターを放出するとともにマクロファージに除去されず肉芽を形成し炎症は遷延する(Matsuda T, Saito H, Fukatsu K et al., Differences in neutrophil death among β-lactam antibiotics after in vitro killing of bacteria. SHOCK 2002 18(1):69-74)。
消化器系臓器の外科手術の対象となるような患者では、敗血症時における好中球のように好中球の感染防御機能が低下しており、それによってSSIが発症しやすくなっているとすると、何らかの手段によって好中球の感染防御機能を正常に戻すことができればSSIを抑制できるはずである。好中球の感染防御機能を正常に戻す手段としては、体外循環式白血球除去フィルターや遠心分離法、あるいはバッチ式による白血球除去や顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などの医薬品を用いる方法がある。
以上の結果から、(1)消化器系臓器の手術対象となるような患者では敗血症時に見られるような好中球が増加して、好中球の感染防御機能が低下しており、(2)該好中球を白血球除去療法で末梢血から除去すると骨髄から新たな好中球が動員されてサイトカイン産生能などの好中球機能が正常化して、(3)好中球の感染防御機能が回復しSSIを抑制する、と推定された。
このようなSSI抑制の作用機序を踏まえて、本発明者は従前のELADプロトコールを改善するに当たって、特に白血球除去を行うタイミングに注目した。実施例6に記載した通り、好中球数、IL−6、IL−1raは手術中から増加して手術後2時間で最高値に達することが判明した。手術の侵襲によって好中球が増加し、サイトカインの産生が亢進していることが考えられた。これらの結果を総合的に判断すると、SSIをコントロールするために白血球および、これらから産生されるサイトカインを抑制するために、手術後2時間以内にLCAPを開始することが好ましいと考えられた。更に、実施例7に記載したLPS暴露後のサイトカイン産生量の検討結果からもこれを支持する結果が得られた。LPS暴露後のサイトカイン産生量は3時間値と6時間値では差がなく、培養開始後6時間から24時間の間で上昇することを示しており、このことから少なくとも手術後のELADは6時間以内に施行することが望ましいと考えられた。
すなわち、SSI発症を最も効果的に抑制するためには、術直後から好中球の感染防御機能を回復させることが最も有効と考えて本発明を完成するに至った。その治療成績の向上には驚くべきものがある。実施例に記載したように、従前のELADプロトコールではSSI発症率は約33%であり、ELAD無しの治療成績(SSI発症率 約52%)と比較して十分満足できるものとは言えなかった。しかし、本発明の方法によって治療成績は著しく改善し、驚くべきことにSSI発症は全く起こらなかった(吉山繁幸、三木誓雄、小池勇樹 他: 潰瘍性大腸炎術後mobidity改善のための周術期白血球除去療法に関するprospective trial. 日本消化器外科学会雑誌 第59回日本消化器外科学会定期学術総会 vol.37 no.7 2004)。
上記の通り、本発明によれば、生体の手術侵襲反応が最大となる手術中あるいは手術後に患者の末梢血から白血球を除去することにより、より効果的に外科的手術、特に消化器系手術の手術後におけるSSIを抑制することが可能になった。また、本発明によれば、該方法と組み合わせて用いるSSIの治療または予防のための化学療法薬も提供される。
即ち、本発明によれば、以下の(1)〜(44)が提供される。
(1) 消化器系臓器の外科手術に伴う手術部位感染の抑制方法であって、
(a)手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬の投与工程;及び
(b)外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者から血液を採取して該血液中の好中球を含む白血球を除去した後、該白血球除去血液を被手術者に返血する工程;
を含む手術部位感染の抑制方法。
(2) 好中球を含む白血球の除去数が、被手術者の体重1kg当たり6×107個以上1×109個以下である、(1)に記載の手術部位感染の抑制方法。
(3) 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、(1)または(2)に記載の手術部位感染の抑制方法。
(4) 被手術者が炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、(1)〜(3)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(5) 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、(1)〜(4)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(6) 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、(1)〜(5)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(7) 遠心分離機を用いて赤血球と白血球の比重の違いを利用して好中球を含む白血球を除去する方法、または白血球に対して親和性を有する担体を用いて好中球を含む白血球を除去する方法の何れかを用いて好中球を含む白血球を除去する、(1)〜(6)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(8) 白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、(7)に記載の手術部位感染の抑制方法。
(9) 前記工程(b)における血液流量が20mL/分から100mL/分である、(1)〜(8)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(10) 前記工程(b)において被手術者から採取される血液量が0.9Lから3Lである、(1)〜(9)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(11) 前記工程(b)において抗凝固剤としてメシル酸ナファモスタットを使用する、(1)〜(10)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(12) 消化器系臓器の外科手術で、手術中から手術後24時間以内に被手術者の血液から好中球を含む白血球を除去する、被手術者の血液処理方法。
(13) 好中球を含む白血球の除去数が、被手術者の体重1kg当たり6×107個以上1×109個以下である、(12)に記載の被手術者の血液処理方法。
(14) 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、(12)または(13)に記載の被手術者の血液処理方法。
(15)被手術者が炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、(12)〜(14)の何れかに記載の被手術者の血液処理方法。
(16) 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、(12)〜(15)の何れかに記載の被手術者の血液処理方法。
(17) 遠心分離機を用いて赤血球と白血球の比重の違いを利用して好中球を含む白血球を除去する方法、または白血球に対して親和性を有する担体を用いて好中球を含む白血球を除去する方法の何れかを用いて好中球を含む白血球を除去する、(12)〜(16)の何れかに記載の被手術者の血液処理方法。
(18) 白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、(17)に記載の被手術者の血液処理方法。
(19) (12)に記載の血液処理方法と組み合わせて使用される、手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬。
(20) 化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、(19)に記載の手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬。
(21) 消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に手術部位感染を抑制するために使用する、好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラム。
(22) 好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、(21)に記載のカラム。
(23) 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、(21)または(22)に記載のカラム。
(24) 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患あるいは消化器系臓器の癌に罹患した患者である、(21)〜(23)の何れかに記載のカラム。
(25) 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、(21)〜(24)の何れかに記載のカラム。
(26) 消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者の血液中の顆粒球エラスターゼ値を低下させ、それにより手術部位感染を抑制するために使用する、好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラム。
(27) 好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、(26)に記載のカラム。
(28) 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、(26)または(27)に記載のカラム。
(29) 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、(26)〜(28)の何れかに記載のカラム。
(30) 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、(26)〜(29)の何れかに記載のカラム。
(31) 消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者の血液を好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体と接触処理させることにより、血液中の顆粒球エラスターゼ値を低下させることを特徴とする手術部位感染の抑制方法。
(32) 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、(31)に記載の手術部位感染の抑制方法。
(33) 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、(31)または(32)に記載の手術部位感染の抑制方法。
(34) 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、(31)〜(33)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(35) 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬と併用される、(31)〜(34)の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
(36) 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、(35)に記載の手術部位感染の抑制方法。
(37) 消化器系臓器の外科手術後の手術部位感染を抑制するため、手術中から手術後24時間以内に被手術患者の血液を、好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体と接触処理させ、血液中の顆粒球エラスターゼ値を低下させることを特徴とする血液処理方法。
(38) 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される(37)に記載の血液処理方法。
(39) 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、(37)または(38)に記載の血液処理方法。
(40) 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、(37)〜(39)の何れかに記載の血液処理方法。
(41) 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬と併用される、(37)〜(40)の何れかに記載の血液処理方法。
(42) 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、(41)に記載の血液処理方法。
(43) (31)から(34)の何れかに記載の手術部位感染を抑制する方法または(37)から(40)の何れかに記載の血液処理方法と組み合わせて使用されることを特徴とする、手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬。
(44) 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、(43)に記載の化学療法薬。
本発明の手術部位感染の抑制方法および血液処理方法により、これまで消化器系臓器の外科手術、特に炎症性腸疾患、なかでも潰瘍性大腸炎の手術後に極めて高率に発生していたSSIを効果的に抑制することができ、また、術後におけるSIRSからの早期離脱が可能であり、これにより術後合併症を効果的に予防することができる。また、本発明の血液処理方法を化学療法薬と併用すると、両者の相乗効果で著しく治療または予防効果が向上し、化学療法薬の投与量を低くでき、また投与期間も短くできるので、副作用の発生を抑えられ、また薬剤耐性菌の出現も抑えることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、外科的手術中あるいは手術後に、被手術者の末梢血から白血球を除去し、それにより消化器系臓器の外科手術に伴う手術部位感染を抑制する方法に関するものである。
本発明で言う消化器系臓器は特に限定されないが、例えば、食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢などが挙げられる。本発明の方法の対象である被手術者としては、例えば、炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者などを挙げることができる。ここで言う消化器系臓器の癌とは、食道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝癌、膵癌、胆嚢癌、胆道癌などを挙げることができる。
白血球には好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球の5種類があり、前記好中球・好酸球・好塩基球の3者を合わせて顆粒球という。本発明で言う「好中球を含む白血球」とは、少なくとも好中球を含む顆粒球、単球、リンパ球からなる白血球を意味し、好中球が含まれていればよく、好中球以外の顆粒球、単球、リンパ球は含まれていてもいなくてもよい。血液中における白血球の数と各分画の比率は、小児と老人で若干分画異なるものの、性差は認められず、ほぼ一定である。例えば、成人において、血液中の白血球数は約6700個/μlであり、その分画の平均比率は、好中球55.3%、好酸球3.5%、好塩基球0.5%、単球5.0%、リンパ球36.6%である。また、顆粒球は、白血球のなかで最も多く、その内部にはエラスターゼが多量に存在する。顆粒球エラスターゼは、顆粒球が食細胞や炎症の刺激あるいは損傷を受けたり、細菌や異物タンパク質が体内へ侵入したりすると、その刺激により放出され、組織の破壊(炎症反応)を起こすと考えられている。顆粒球エラスターゼは中性のセリンプロテアーゼで、基質特異性が低く、エラスチン、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン等ほとんどすべての生体構成蛋白を容易に分解し得る。また、顆粒球エラスターゼは分子量29500で、血漿中及び体組織中ではα1−プラスミンインヒビター、α2−マクログロブリン等のインヒビターと直ちに結合して不活性化される。血漿中のエラスターゼ濃度は、通常、顆粒球中濃度の数百分の1程度である。さらに、顆粒球エラスターゼは、膵臓由来のエラスターゼとは異なるもので、その抗体も膵臓由来エラスターゼと全く交差反応しない。顆粒球エラスターゼの活性測定は、血液から血漿を分離後、この血漿中のエラスターゼ活性をラテックス凝集比濁法(三菱化学ビーシーエル)または顆粒球エラスターゼEIA(三和化学研究所)等の方法によって行えばよい。本発明の一例においては、消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者の血液を好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体と接触処理させることにより、血液中の顆粒球エラスターゼ値を低下させることによって、手術部位感染を抑制することができる。
末梢血から白血球を除去する方法としては、遠心分離機を用いて赤血球と白血球の比重の違いを利用して分離する方法、並びに白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラムを用いて白血球を除去する方法の2種類がある。本発明においては上記した方法の何れも使用することができる。
遠心分離法では、供血者から全血を採取して遠心分離器内に収集し、高密度、中間密度及び低密度の各成分に分離するいわゆる「ドロー」ステップに始まり、所要血液成分を分取した後、使い捨てシステム内に残った血液成分を供血者に戻すいわゆる「リターン」ステップで終わる。現在では間歇血流方式が主流であり、アフェレーシス中に供血者と装置の間で行われる流体のやりとりは、単一の、例えば採血針のような経路を通して行われる。これまで遠心分離法は種々の手法により改良されてきており、その中には遠心分離器外に分取した低密度成分を遠心分離器に短期間再循環させるいわゆる「ドウェル」ステップや、低密度成分をサージ流量、即ち時間と共に増大する流量で遠心分離器内に再循環させ、中間密度成分から血小板等を優先的に流出させるいわゆる「サージ」ステップ等がある。現在一般には、遠心分離法はこれらの工程を組み合わせて構成される1サイクルを数サイクル繰り返し、所定の血液成分を採取するように行われている。またドローステップにも改良が加えられており、ドローステップ中に遠心分離器内を通過する血漿流速や遠心回転数を供血者に応じて選択し、1サイクル当たりの全血処理量を個々の供血者に最適となるよう制御することが提案されている。1サイクルに要する時間は平均して15分程度であり、これが複数回繰り返される。体外循環式遠心分離法で用いることができる具体的な装置としては、例えば血液成分採血装置のヘモネティクスコンポーネントコレクションシステムCCS(Component Collection System, Haemonetics Co., Braintree, MA US)などがある。このシステムでは、抗凝固剤としてはクエン酸デキストロース(ACD, Acid Citrate Dextrose)液などを用い、Blood accessは肘静脈などに1本留置し、このルートより脱血・返血を行うことができる。またこのような体外循環式遠心分離機が使用できない場合は、バッチ式遠心分離法を用いることも考えられる。すなわち、患者血液を一端取り出し、遠心分離によって白血球の成分を分離除去したのち、この白血球を除いた血液を再度患者に返血することによっても達成できる。
白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラムを用いて白血球を除去することもできるが、ここで使用する白血球に親和性を有する担体としては、これまで白血球除去療法に使用されてきた種々の担体をあげることができ、例えば、セルロース、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル等の高分子材料等を例示することができる。そのなかでも、ポリエステル不織布や、セルロース系ビーズなどが好適に使用される。ここで、「白血球に対し親和性を有する」とは、白血球全体に対し同じ親和性を有していてもよく、白血球サブクラスである顆粒球、単球、リンパ球等に対しそれぞれ異なる親和性を有していてもよいが、少なくとも好中球に対して親和性を有することを意味している。また、「白血球に対し親和性を有する」とは白血球を吸着し得ることを意味する。
担体の白血球除去能を向上させるため、あるいは顆粒球などの白血球サブクラスへの選択的吸着性を付与するため、あるいは血小板などの他の血液成分の付着を防ぐために、担体をコーティング、放射線グラフト等の方法で表面処理を施したり、抗体等のリガンドを固定したりしてもよい。
これらの担体の形状としては、繊維(不織布状、織布状)、多孔質体、粒子(粒状やビーズ状)、フィルム、平膜、中空糸などの形態であってもよく、本発明においては、血液との接触は、好ましくはこれらの担体を充填したカラムを経由することにより行なうことが好ましい。すなわち、血液流入口と、白血球に対する親和性を有する不織布またはビーズ等の担体からなる白血球除去部と、血液流出口からなる除去カラムとして形態を有するものが、好ましく使用される。
このようなカラムとしては、具体的には、すでに種々の白血球除去療法に臨床的に使用されているカラムを挙げることができ、例えば、旭化成メディカル(株)から「セルソーバ(商標)」の販売名で市販されている白血球除去カラム、その他、日本抗体研(株)から「アダカラム(登録商標)」の販売名で市販されている顆粒球除去カラム等を挙げることができる。
消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に手術部位感染を抑制するために使用する、白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラム自体も本発明の範囲内に含まれるものとする。
本発明にあっては、かかるカラムを使用し、例えば、潰瘍性大腸炎手術を行なった被手術患者の血液を体外循環させることにより、末梢血白血球を除去してSSI発症を予防することが可能となる。白血球に対して親和性を有する担体は、体外循環式でなくバッチ式で用いてもよい。すなわち、患者血液を一旦取り出し、白血球に対して親和性を有する担体によって白血球の成分を分離除去したのち、この白血球を除いた血液を再度患者に返血することによっても達成できる。
比較的少量の血液を処理する輸血用製剤の分野においては、製剤からの白血球の除去を目的として、不織布を平板上に積層した輸血用白血球除去器が開発され広く実用化されてきた。これら輸血用白血球除去器は、血液の微小凝集物を除去する目的でメインフィルターの上流側にプレフィルターを用いている。これらプレフィルターは、フィルターの入口側から出口側に向かって平均繊維直径を逐次的或いは連続的に小さくすると同時に、フィルターの空孔率を粗から密にすることで目詰まりを防止してライフタイムを長くし、落差による処理時間を短縮する試みがなされている。この用途のフィルターも本発明の用途には使用可能である。このような輸血フィルターとしては、例えば旭化成メディカル(株)の「セパセル(登録商標)」、テルモ(株)の「イムガード(登録商標)III」、ポール(株)の「ピュアセル(商標)」などがある。
体外循環システムとしては、血液浄化療法等に使用されている通常の体外循環システムが採用できる。具体的には、少なくとも採血針、カテーテル等の血液採取手段、血液ポンプ等の血液送液手段、白血球除去カラム、血液採取手段と同じものが例示できる血液返血手段とから構成され、これらがこの順序で被処理血液を流通させるためチューブ等により液密に接続されている。この体外循環システムにおいては、薬剤、あるいは血液の抗凝固を目的に抗凝固剤等を血液に添加する手段を備えていてもよい。体外循環システムにおいて用いることができる抗凝固剤としては、メシル酸ナファモスタットなどを挙げることができる。また、血液の流量や、圧力等を測定する手段を備えていてもよい。
血液の循環処理の条件は、対象者、対象者の疾患の状況等により一概に限定できず種々異なる。一般的に、血液流量20〜100mL/分の条件で、30分〜2時間程度血液循環することによって実施することができる。対象者から採取される血液量としては、好ましくは0.9Lから3Lとすることができる。なお、処理条件は、用いる担体の量や、吸着特性によって種々変更することができる。患者血液の脱血は、静脈あるいは動脈のどちらからも行うことができる。
白血球除去は、生体の手術侵襲反応が最大となる外科手術中あるいは手術後に開始する。本発明において外科手術中とは患部を切開している状態を意味し、より好ましくは手術の後半であり、更に好ましくは主たる外科処置が終了して切開部の皮膚を縫合する前である。また本発明において手術後とは、切開部の皮膚縫合が終了して患者に対する外科的侵襲が終了した後を意味し、本発明の実施は手術後72時間以内、好ましくは手術後48時間以内、さらに好ましくは手術後24時間以内である。更に、UC患者好中球のIL−6やTNF−αの産生量はLPS暴露後6時間以降に上昇することから、手術後の白血球除去療法は6時間以内に施行することがより好ましい。更に、手術後のUC患者の好中球数やサイトカイン量の測定から、最も好ましくは手術後2時間以内である。白血球除去の回数は1回でよいが、複数回に分けて実施することも可能である。
下記の実施例2で示すように、LCAP処理群では血液流量50mL/分×30分で合計1500mLの血液を処理して充分な臨床効果が認められた。この時の白血球除去数は約5×109個であり、体重1kg当たりに換算すれば約1×108個であった。更に、実施例4の動物モデル実験から、体重1kg当たり少なくとも6×107個の白血球を除去すればSSI発症を抑制できる。SSI発症抑制の効果は主として好中球除去による好中球の感染防御機能の回復に起因するから、体重1kg当たり少なくとも6×107個の好中球を除去できれば十分臨床効果があるはずであり、これは臨床的には血液流量30mL/分×30分、合計900mLの血液をGCAP処理することに相当する(実施例3)。この処理により、全体としては3×109個の顆粒球が除去される。また、白血球除去の方法は遠心分離法であっても白血球除去フィルターであってもよい(実施例4)。
従って、本発明の効果を得るために必要な白血球除去数は3×109個以上、より好ましくは5×109個以上であり、体重1kg当たりに換算すれば6×107個以上、より好ましくは1×108個以上である。一方、白血球除去数の最大量としては、特に制限は無いが、実質的には、末梢血中に存在している白血球の総量を越えて除去することは、副作用等の発生も予想されるので実用的ではない。即ち、体重1kg当たりおおよそ1×109個以上の白血球を除去することは実用的ではない。
本発明では、このような白血球除去を、感染症防止の目的で一般的に用いられている化学療法薬と組み合わせて用いることでSSIを抑制することができる。本発明による手術部位感染を抑制する方法または血液処理方法と組み合わせて使用されることを特徴とする、手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬も本発明の範囲内に含まれる。
一般に、化学療法とは病原寄生体(細菌、ウィルス、真菌など)によって起こる疾患に対して、その病原寄生体を殺滅しあるいは発育を阻止する化学物質を与えて治療することをいい、その化学療法に用いる薬剤を化学療法薬という。本発明では、化学療法薬には、種々の微生物の産生代謝物で他の細菌や微生物の発育を抑制するペニシリンなどの抗生物質が含まれる。このような化学療法薬の例としては、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、ニューキノロン系抗菌剤などがある。前述のように下部消化管の手術等では、第二世代以降のセフェムなど幅広い抗菌スペクトルを持つ薬剤やカルバペネム系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬が使用される。第二世代のセフェム系抗生物質としては、例えば塩酸セフォチアム(CTM)、セフメタゾールナトリウム(CMZ)、セフスロジンナトリウム(CFS)などがあり、また第三世代のセフェム系抗生物質としては、例えばセフォタキシムナトリウム(CTX)、セフチゾキシムナトリウム(CZX)、セフォペラゾンナトリウム(CPZ)、塩酸セフメノキシム(CMX)、ラタモキセフナトリウム(LMOX)などがある。更に第三世代以降のセフェム系抗生物質としては、例えばセフミノクルナトリウム(CMNX)、セルトリアキソン(CTRX)、セフブペラゾンナトリウム(CBPZ)、セフピミゾールナトリウム(CPIZ)、セフゾナムナトリウム(CZON)、セフタジシム(CAZ)、セフォペラゾン/スルバクタム(CPZ/SBT)などがある。また、カルバペネム系抗菌薬としては、例えばイミペナム/シラスタチンナトリウム(IPM/CS)、メロペネム三水和物(MEPM)がある。更に、ニューキノロン系抗菌薬としては、例えばエンロフロキサシン(ERFX)、オフロキサシン(OFLX)、シプロフロキサシン(CPFX)などがある。
化学療法薬の投与開始時期に関しては、術野が最も汚染されるときに血中濃度が高いこと、すなわち消化管が開放される時に最も術野が汚染されるので、その1時間前から点滴静注することが理想的である。また手術が血中半減期の2倍(約3時間)を超えるような長時間に及ぶ場合には、術中に追加再投与する。しかし、場合によっては手術後に化学療法薬を投与してもよい。
本発明で化学療法薬の投与工程と白血球除去の工程は、どちらを先に行ってもよいし、あるいは両工程を同時に行ってもよい。化学療法薬の投与は1回または数回に分けて実施してもよいし、白血球除去の工程も1回または数回に分けて行ってもよい。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
2000年12月から2004年5月までに、本発明者の所属する病院にて手術を受けた潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)患者75名を対象に、検討を行なった。
非ELAD(白血球除去療法)群:54例
ELDA(白血球除去療法)群:21例(その療法は、以下のとおり)
(1)術前白血球除去療法(LCAP)群:4例
(2)術前顆粒球除去療法(GCAP)群:8例
(3)手術直後白血球除去療法群「本発明方法」:9例
[その内訳は、手術直後顆粒球除去療法(GCAP)群:7例/手術直後白血球除去療法(LCAP)群:2例]
本発明の方法における血液処理の詳細は、GCAP処理群では、血液流量30mL/分×1時間でトータル1800mLの血液を処理し、カラムに流入する血液中の顆粒球の35〜70%と、単球の35〜69%が除去されるのに対し、LCAP処理群では、血液流量50mL/分×1時間でトータル3000mLの血液を処理し、還流血液中の顆粒球および単球の99%、リンパ球の60〜79%、血小板の約50%が除去された。
なお、本来の内科的治療では、GCAP処理よりLCAP処理の方が強力な治療であり、その成績もLCAP処理の方が若干優れている。しかしながら、本発明においては、術直後GCAP処理でもその臨床効果は十分であり、LCAP処理に関しては、術直後に血小板を吸着するリスク、およびこれだけの収率は必要ないと考えると、血液循環処理は30分程度で充分であると考えられた。
これらの患者について、周術期の発熱・心拍数・白血球・CRPについて検討を行なった。また、患者により周術期に末梢血を採取し、ELISA法によりIL−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)、IL−6および血清IL−6レセプター(sIL−6R)を測定し、周術期の変動についても検討した。
結果:
ELAD群、非ELAD群の間に年齢・性別・術前ステロイド総投与量・手術時間・出血量に差はなかった。発熱・心拍数・CRPにおいてELAD群は、非ELAD群に比較して、術後3日目以降で有意に低く、SIRSから早期に脱離していた。
術後の合併症の発生率は、ELAD群で有意に低く、手術部位感染(SSI)の発生率も減少していた。
IL−1ra、IL−6およびsIL−6Rの変動に差は認めなかった。
また、プロトコール間の差をみてみると、術前LCAP群、術前GCAP群に比べ、本発明の術直後ELAD群においては、術直後のIL−6は有意に高値であったが、発熱・心拍数・CRPはより低い傾向にあった。
これらの結果を、それぞれ図3から図7にまとめて示した。
図3は、周術期の顆粒球エラスターゼの変動を示した図であり、特にELAD(白血球除去療法)群の21例における(1)術前白血球除去療法(LCAP)群、(2)術前顆粒球除去療法(GCAP)群および(3)手術直後にELAD群:9例[顆粒球除去療法(GCAP)群:7例/白血球除去療法(LCAP)群:2例]の比較を示した図である。なお、図中「POD」との表記は「日目」を意味する。したがって「1POD」とは「術後1日目」を意味する。以下の図において同じ。
図中に示した結果からも判明するように、術前LCAP施行群ならびにGCAP施行群に比較して、本発明の手術直後に顆粒球除去療法(GCAP)施行群においては、術後の顆粒球エラスターゼの上昇が有意に抑制されているのが判明する。
図4に、同様ELDA群の21例における術前LCAP施行群、術前GCAP施行群および本発明の術直後GCAP施行群における血中IL−6値の変動を示した。本発明の術直後GCAP施行群においては、術直後のIL−6値が高値であったが、第1日以降に差は認められなかった。
図5に、非ELAD群(54例)と、本発明の術直後GCAP施行群/LCAP施行群(合計9例)における、術後炎症反応の目安となる周術期体温推移を示した。図中から判明するように、本発明の術直後GCAP施行群/LCAP施行群(合計9例)では発熱が抑制され、術後炎症が抑えられていることが判明する。
図6に、非ELAD群(54例)と、本発明の術直後GCAP施行群/LCAP施行群(合計9例)における、術後炎症反応の目安となる周術期心拍数推移を示した。図中から判明するように、本発明の術直後GCAP施行群/LCAP施行群では、心拍数の低下が認められ、術後炎症が抑えられていることが判明する。
なお、周術期IL−6値と手術部位感染(SSI)の関連を検討したが、両者間には有意な関連性を認めなかった。図7に、IAA(回腸肛門吻合)術後の血中IL−6値と手術部位感染(SSI)の関係を示した。図中の結果からも判明するように、手術部位感染のあった群となかった群において、サイトカインの変動に差はみられなかった。
以上の事実から判断すると、実際白血球除去療法(ELAD)によって周術期のサイトカインには差は認められないことから、顆粒球エラスターゼに着目し、術後の顆粒球エラスターゼの上昇を抑制するため、生体の手術侵襲反応が最大となる手術中あるいは手術後に白血球除去療法(ELAD)を行なう本発明の特異性が理解できる。
以上の結果を総合的に判断し、本発明の方法(9症例)と、従前の白血球除去療法(12症例)および白血球除去療法(ELAD)を行なわない場合(54症例)の手術後部位感染(SSI)の有無を、表1にまとめた(かっこ内は比率を示す)。
Figure 2006219473
以上に示した臨床結果から、本発明の方法を使用することにより、潰瘍性大腸炎手術後の全身炎症反応からの早期離脱が可能であり、術後合併症が有意に抑制されていることが判明した。
[実施例2]
2004年8月から2004年9月までに、本発明者の所属する病院にて手術を受けた潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)患者5名を対象に、以下の検討を行なった。潰瘍性大腸炎の患者5症例を全身麻酔下で大腸摘出手術を実施した。この5症例中の3症例については、大腸全摘出、J型回腸嚢肛門吻合および回腸人工肛門造設を実施する手術であり、その他の2症例は、これに類似する手術であった。手術後期における開腹部の吻合期において、下記のLCAPを実施した。即ち、患者の腕動脈より採血し、抗凝固剤として約0.1mg/mlのメシル酸ナファモスタットを含む生理食塩水を血液流量の約12%量を添加しながら、50ml/分の血液流量でセルソーバに通した後、患者腕静脈へ返血した。処理血液量はおよそ1.5リットルであり処理時間はおよそ30分であった。本処理により、患者一人当たり平均7.5×109個の白血球が除去され、顆粒球としては平均5.4×109個が除去された。体重1kg当たりに換算すると、白血球数にして平均1.5×108個、顆粒球数にして平均1.1×108個が除去された計算になる。また、抗生物質として4症例においてはセフメタゾールナトリウム(CMZ)(商品名:セフメタゾン)各1gを、手術直前、手術一日後の午前および午後、2日後の午前および午後、3日後午前に静脈内投与した。他の1症例においては、セフメタゾンの代わりに塩酸セフォチアム(CTM)(商品名:パンスポリン)を用いた。本処置により、5症例の患者は全例において術後30日間にわたりSSIの発症が認められなかった。
[実施例3]
UC患者における大腸摘出手術において、下記のGCAPを実施する。即ち、手術後期における開腹部の吻合期において、患者の腕動脈より採血し、抗凝固剤としてヘパリンを投与しながら約30ml/分の血液流量でアダカラムに通した後、患者腕静脈へ返血する。処理血液量はおよそ0.9リットル、処理時間はおよそ30分である。また、術中および術後3日目までは、抗生物質を投与する。SSIの発症は、本実施例で示すGCAPを施さない例に比べ有意に抑制される。
[実施例4]
A〜F群の各群5羽の家兔(体重2.5kg〜3kg)に対し、ペントバルビタールによる全身麻酔下に腹部を5cm開腹した後、大腸部を約3cm削除して再吻合する開腹術を施す。術後半における閉腹時に、耳静脈より体重1kgあたり10mlの血液を採血し、直ちに1ml当たり10Uとなるようにヘパリンを添加する。該血液をA群およびB群においては、ポリエチレンテレフタレート不織布で作成した白血球除去フィルター(直径4cmの不織布を4枚重ねたもの)で処理して、血液中の白血球成分を除去する。本処理により、処理血液中の約90%の白血球が除去される。家兔の白血球数は、1ml当たりおよそ9×106個であるので、体重1kg当たりおよそ8×107個の白血球が除去される計算になる。
C群およびD群においては、採血後にヘパリンを添加した10mlの血液を遠心チューブに入れ、スイング型の遠心機で400G、10分間の遠心分離処理を施す。処理後、徐々に回転数を下げてから、処理済みの遠心管内の、赤血球層と血漿層の中間に出来るバフィーコート(白血球画分)を、マイクロピペットを用いて吸出することで白血球成分を除去する。本処理により、処理血液中のおよそ70%の白血球が除去される。従って、体重1kg当たり6×107個の白血球が除去される計算になる。
各群の処理済み血液を、採血した家兔に静脈より戻す。E群およびF群については、採血したヘパリン加の血液を10分放置した後、そのまま採血した家兔に戻す。上記手技の終了後、抗生物質(ペニシリン)を10KU/kgの容量で術日、術1日後および術2日後に皮下投与し、術後1週間まで経過観察を行う。また、A群、C群、およびE群においては、閉腹前に手術開腹部位に、体重1kgあたり1×1010個の大腸菌(E.coli, ATCC25922)を塗布する。手術後、各家兔を籠に戻し、手術部位および全身症状を1週間観察する。1週間経過するとE群においては死亡例が多数見られ、生存例においても手術部位より排膿が観察される。A群、C群においては、死亡例はすくなく、生存例のうち数例で排膿が観察される。一方、陰性コントロール群であるB群、D群、F群においては、死亡例や排膿が観察される例数はほとんどない。
[実施例5]
2005年3月に、本発明者の所属する病院にて手術を受けた潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)患者4名を対象に、以下の検討を行なった。潰瘍性大腸炎の患者4症例を全身麻酔下で大腸摘出手術を実施した。この4症例中の3症例については、大腸全摘出、J型回腸嚢肛門吻合および回腸人工肛門造設を実施する手術であり、その他の1症例は、これに類似する手術であった。手術後から手術後2時間以内に、下記のLCAPを開始した。ここで手術後とは、切開部の皮膚縫合が終了して患者に対する外科的侵襲が終了した後を意味する。LCAPは、患者の腕静脈より採血し、抗凝固剤として約0.1mg/mlのメシル酸ナファモスタットを含む生理食塩水を血液流量の約12%量を添加しながら、50ml/分の血液流量でセルソーバに通した後、患者腕静脈へ返血した。処理血液量と処理時間は4症例中3症例についてはおよそ3リットルと60分であり、その他の1症例はおよそ1.5リットルと30分であった。また、抗生物質として全例でセフメタゾールナトリウム(CMZ)(商品名:セフメタゾン)各1gを、手術直前、手術開始3時間後、手術日夜、手術一日後の午前および午後、2日後の午前および午後、3日後午前および午後に静脈内投与した。SSI評価は、CDC(Centers for Disease Control and Prevention)「手術部位感染防止ガイドライン1999」(Alicia J, Teresa C, Michele L et al,. Guideline for Prevention of Surgical Site Infection, 1999. Infection Control and Hospital Epidemiology 1999;20(4):247-278)のSSIの定義に従って行った。本処置により、4症例の患者は全例において術後30日間にわたりSSIの発症が認められなかった。
[実施例6]
白血球除去療法(LCAP)の最適な施行時期を探るために、手術後の白血球数の変動を調べた。2004年12月〜2005年2月に、本発明者の所属する病院にて大腸摘出手術を受けた潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)患者3名と直腸癌患者2名を対象に、検討を行なった。表2に症例の疾患名、年齢、性別、手術時間、麻酔時間、出血量、輸血量を示す。表2のRKとは直腸癌(rectal cancer)、UCとは潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)を示す。手術時間の平均は3時間48分であった。表2で示した5症例について、図8に示したタイミング(手術前(麻酔導入前)、最初の採血から2、4、6、8.10、12時間後、手術一日後)に採血を行い、白血球数、白血球分画、血中サイトカイン濃度の測定を行った。白血球数と白血球分画は自動血球分析装置を使用して測定を行なった。血中サイトカインはELISA法によりIL−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)、IL−6を測定した。その結果、手術中から白血球数は増加し、白血球数の有意な増加は麻酔導入後2時間以内に起こり、手術終了後2時間で最高値に達することが判明した。また、好中球数は手術開始から24時間後まで手術前より有意に高値を維持しており、白血球数の増加は白血球のうちほぼ好中球数の増加に影響されていることが判明した。血中サイトカインのIL−6は麻酔導入後4時間で最高値に達し、IL−1raは麻酔導入後4時間で手術前より有意に高値を示し、手術後2時間で最高値に達することが判明した。
これらの結果を、それぞれ図9から図14に示した。
図9は手術前(麻酔導入前)、最初の採血から2、4、6、8.10、12時間後、手術一日後の白血球数の変動を示した図であり、白血球数は手術中から増加して麻酔導入後6時間から10時間で最高値に達している。手術時間の平均が3時間48分であることから、白血球数は手術後2時間から6時間で最高値に達している。
図10は手術前の白血球数を100としたときの変化率を示した図であり、白血球数の変化率の有意な増加は手術開始2時間以内に起こり、手術終了後2時間から6時間でピークに達し、24時間後まで有意に増加している。
図11は好中球数の変動を示した図であり、好中球数は手術中から増加して麻酔導入後6時間から10時間で最高値に達している。手術時間の平均が3時間48分であることから、好中球数は手術後2時間から6時間で最高値に達している。
図12は手術前の好中球数を100としたときの変化率を示した図であり、好中球数の変化率の有意な増加は手術開始2時間以内に起こり、手術終了後2時間から6時間で最高値に達し、24時間後まで有意に増加している。
図13は血中IL−6の変動を示した図であり、IL−6は麻酔導入後4時間で最高値に達している。
図14は血中IL−1raの変動を示した図であり、IL−1raは麻酔導入後4時間で手術前より有意に高値を示し、麻酔導入後6時間で最高値に達している。手術時間の平均が3時間48分であることから、IL−1raは手術後2時間で最高値に達している。
以上の結果より、好中球数、IL−6、IL−1raは手術中から増加して手術後2時間で最高値に達することが判明した。手術の侵襲によって好中球が増加し、サイトカインの産生が亢進していることが考えられる。これらの結果を総合的に判断すると、SSIをコントロールするために白血球および、これらから産生されるサイトカインを抑制するために、手術後2時間以内にLCAPを開始することが好ましいといえる。
Figure 2006219473
[実施例7]
手術前のUC患者8人と健常人15人より末梢血を採取し、それぞれの末梢血から単球と好中球をフィコールを用いた標準的な方法で分離した。分離した単球を24穴プレートに5×105/wellづつ播種して、コントロール(サイトカインなし)、IL−1β(10ng)、LPS(100ng)添加の培地中で37℃ 3時間、6時間、24時間、48時間培養した。その培養上精中のサイトカインをELISA法にて測定した。また、分離した好中球を24穴プレートに5x105/wellづつ播種して、コントロール(サイトカインなし)、IL−1β(10ng)、LPS(100ng)添加の培地中で37℃ 3時間、6時間、24時間、48時間培養した。その培養上精中のサイトカインをELISA法にて測定した。また、培養前の好中球の一部からmRNAを抽出し、サイトカイン、PMN−E(顆粒球エラスターゼ)、TLR4等のmRNA発現レベルをPCR法にて半定量した。
図15に、好中球の培養上精中のサイトカイン産生量及び顆粒球エラスターゼ量をELISAで測定した結果を示した。単球については、UC患者群、健常人群でサイトカイン産生量に差を認めなかったので、図示していない。図15でUC,COとはUC患者のコントロール群を示し、CO,COとは健常人のコントロール群を示す。UC患者群のLPS刺激24時間の好中球は、コントロールと比較してIL−6、IL−8、TNF−αの産生量が顕著に増加している。一方、健常人好中球のサイトカイン産生について見ると、LPS刺激によってもIL−6産生は増加しなかった。また、図16には、LPS刺激下で24時間培養した好中球の培養上精中のサイトカイン産生量の測定結果を示しているが、IL−6及びTNF−αなどの炎症性サイトカインの産生量は、UC患者群では健常人群より有意に高かった。以上の結果から、UC患者の好中球はグラム陰性菌によりプライミングされているものと推定された。次に、LPSの受容体であるTLR4のmRNA発現量を末梢血好中球で調べてみると、UC患者群では健常人群より有意に高く、UC患者群においてLPSに対する感受性が高い理由の1つは、LPS受容体の発現量が多いためであることが示唆された(図17)。
上記の結果は、LPS暴露後のサイトカイン産生量は3時間値と6時間値では差がなく、培養開始後6時間から24時間の間で上昇することを示しており、このことから少なくとも手術後のELADは6時間以内に施行することが望ましいと考えられた。
図1は、従前の周術期ELAD療法の有無による術後炎症反応の比較として、体温変化を示した図である。 図2は、従前の周術期ELAD療法の有無による術後炎症反応の比較として、心拍数の変化を示した図である。 図3は、周術期の顆粒球エラスターゼの変動を示した図であり、ELAD療法群として、術前LCAP施行群および術前GCAP施行群と、術直後GCAP施行群/LCAP施行群(本発明方法)の比較を示した図である。 図4は、ELAD療法における、術前LCAP施行群および術前GCAP施行群と、術直後GCAP施行群/LCAP施行群(本発明方法)における、血中IL−6値の変動を示した図である。 図5は、非ELAD群と、術直後GCAP施行群/LCAP施行群(本発明方法)における、術後炎症反応の目安となる周術期体温推移を示した図である。 図6は、非ELAD群と、術直後GCAP施行群/LCAP施行群(本発明方法)における、術後炎症反応の目安となる周術期心拍数推移を示した図である。 図7は、非ELAD群における回腸嚢肛門吻合(IAA)術後の血中IL−6値と手術部位感染(SSI)の関係を示した図である。 図8は、血算測定のための採血時期を示した模式図である。 図9は、手術における総白血球数の変動をまとめた図である。 図10は、手術における総白血球数の変化率をまとめた図である。 図11は、手術における好中球数の変動をまとめた図である。 図12は、手術における好中球数の変化率をまとめた図である。 図13は、手術における血中IL−6の変動をまとめた図である。 図14は、手術における血中IL−1raの変動をまとめた図である。 図15は、末梢血好中球を培養して、培養上精のサイトカイン産生量を経時的に測定した図である。 図16は、末梢血好中球を培養して、24時間後の培養上精のサイトカイン産生量を比較した図である。 図17は、末梢血好中球におけるTLR4とIL−8のmRNA発現量を比較した図である。

Claims (44)

  1. 消化器系臓器の外科手術に伴う手術部位感染の抑制方法であって、
    (a)手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬の投与工程;及び
    (b)外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者から血液を採取して該血液中の好中球を含む白血球を除去した後、該白血球除去血液を被手術者に返血する工程;
    を含む手術部位感染の抑制方法。
  2. 好中球を含む白血球の除去数が、被手術者の体重1kg当たり6×107個以上1×109個以下である、請求項1に記載の手術部位感染の抑制方法。
  3. 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、請求項1または2に記載の手術部位感染の抑制方法。
  4. 被手術者が炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、請求項1〜3の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  5. 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、請求項1〜4の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  6. 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、請求項1〜5の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  7. 遠心分離機を用いて赤血球と白血球の比重の違いを利用して好中球を含む白血球を除去する方法、または白血球に対して親和性を有する担体を用いて好中球を含む白血球を除去する方法の何れかを用いて好中球を含む白血球を除去する、請求項1〜6の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  8. 白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、請求項7に記載の手術部位感染の抑制方法。
  9. 前記工程(b)における血液流量が20mL/分から100mL/分である、請求項1〜8の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  10. 前記工程(b)において被手術者から採取される血液量が0.9Lから3Lである、請求項1〜9の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  11. 前記工程(b)において抗凝固剤としてメシル酸ナファモスタットを使用する、請求項1〜10の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  12. 消化器系臓器の外科手術で、手術中から手術後24時間以内に被手術者の血液から好中球を含む白血球を除去する、被手術者の血液処理方法。
  13. 好中球を含む白血球の除去数が、被手術者の体重1kg当たり6×107個以上1×109個以下である、請求項12に記載の被手術者の血液処理方法。
  14. 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、請求項12または13に記載の被手術者の血液処理方法。
  15. 被手術者が炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、請求項12〜14の何れかに記載の被手術者の血液処理方法。
  16. 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、請求項12〜15の何れかに記載の被手術者の血液処理方法。
  17. 遠心分離機を用いて赤血球と白血球の比重の違いを利用して好中球を含む白血球を除去する方法、または白血球に対して親和性を有する担体を用いて好中球を含む白血球を除去する方法の何れかを用いて好中球を含む白血球を除去する、請求項12〜16の何れかに記載の被手術者の血液処理方法。
  18. 白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、請求項17に記載の被手術者の血液処理方法。
  19. 請求項12に記載の血液処理方法と組み合わせて使用される、手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬。
  20. 化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、請求項19に記載の手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬。
  21. 消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に手術部位感染を抑制するために使用する、好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラム。
  22. 好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、請求項21に記載のカラム。
  23. 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、請求項21または22に記載のカラム。
  24. 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患あるいは消化器系臓器の癌に罹患した患者である、請求項21〜23の何れかに記載のカラム。
  25. 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、請求項21〜24の何れかに記載のカラム。
  26. 消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者の血液中の顆粒球エラスターゼ値を低下させ、それにより手術部位感染を抑制するために使用する、好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体を充填した血液循環用カラム。
  27. 好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体が、酢酸セルロースを含むセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホンまたはポリアクリロニトリルから選択される、請求項26に記載のカラム。
  28. 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、請求項26または27に記載のカラム。
  29. 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、請求項26〜28の何れかに記載のカラム。
  30. 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、請求項26〜29の何れかに記載のカラム。
  31. 消化器系臓器の外科手術中から手術後24時間以内に、被手術者の血液を好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体と接触処理させることにより、血液中の顆粒球エラスターゼ値を低下させることを特徴とする手術部位感染の抑制方法。
  32. 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、請求項31に記載の手術部位感染の抑制方法。
  33. 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、請求項31または32に記載の手術部位感染の抑制方法。
  34. 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、請求項31〜33の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  35. 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬と併用される、請求項31〜34の何れかに記載の手術部位感染の抑制方法。
  36. 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、請求項35に記載の手術部位感染の抑制方法。
  37. 消化器系臓器の外科手術後の手術部位感染を抑制するため、手術中から手術後24時間以内に被手術患者の血液を、好中球を含む白血球に対して親和性を有する担体と接触処理させ、血液中の顆粒球エラスターゼ値を低下させることを特徴とする血液処理方法。
  38. 消化器系臓器が食道、胃、小腸、大腸、直腸、結腸、虫垂、肝臓、膵臓または胆嚢から選択される、請求項37に記載の血液処理方法。
  39. 被手術者が潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患または消化器系臓器の癌に罹患した患者である、請求項37または38に記載の血液処理方法。
  40. 好中球を含む白血球の除去が、外科手術中から手術後2時間以内に実施される、請求項37〜39の何れかに記載の血液処理方法。
  41. 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬と併用される、請求項37〜40の何れかに記載の血液処理方法。
  42. 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、請求項41に記載の血液処理方法。
  43. 請求項31から請求項34の何れかに記載の手術部位感染を抑制する方法または請求項37から請求項40の何れかに記載の血液処理方法と組み合わせて使用されることを特徴とする、手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬。
  44. 手術部位感染症の治療および/または予防のための化学療法薬が、ペニシリン系抗生物質、セフェム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、ホスホマイシン系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、またはニューキノロン系抗菌剤から選択される、請求項43に記載の化学療法薬。
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