JP2006218235A - 内視鏡用挿入補助具 - Google Patents

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Abstract

【課題】内視鏡の挿入部に推進力を与えることができかつ内視鏡の抜去及び再挿入操作を容易におこなうことができ、さらに内視鏡の洗浄を不要にして内視鏡を効率的に運用できかつ使用上の軽便性を備えた内視鏡用挿入補助具を提供する。
【解決手段】内視鏡2の操作部12の先端側と操作部の先端側から延出される細長状の挿入部11とを被覆する挿入部カバー部材10と、挿入部カバー部材の外周側に配置され外周面上に螺旋形状部24bを有して形成されており挿入部カバー部材と挿入部とを体腔内の深部へと導入する推進力を発生させる螺旋管24とを備えた導入管20と、螺旋管を回転駆動させる回転装置40とを具備し、挿入部カバー部材は螺旋管を着脱自在に配設する着脱手段22aを有して構成される。
【選択図】図2

Description

この発明は、内視鏡用挿入補助具、詳しくは内視鏡の挿入部を体腔内に挿入するのに際して、挿入のための推進力を挿入部に付与する内視鏡用挿入補助具に関するものである。
近年、細長で可撓性を有する挿入部を備えた内視鏡は、医療分野において検査や処置をおこなうのに利用されている。このような内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入させることによって、被検体を切開することなく体腔内臓器等の観察をおこなうことができるだけでなく、必要に応じて挿入部に設けられる処置具挿通用チャンネルを介して処置具を体腔内に導入し、これによって各種治療や処置をおこなうことができるようになっている。
従来の一般的な内視鏡においては、挿入部の先端側に湾曲部が設けられている。この湾曲部は、これを構成する湾曲駒に連結された操作ワイヤを挿入部の軸方向に進退移動させることによって、例えば上下方向あるいは左右方向等に湾曲動作させることができるようになっている。この操作ワイヤは、操作部に設けられる操作部材、例えば湾曲ノブなどを使用者が回動操作することによって進退移動するようになっている。
内視鏡を用いて内視鏡検査をおこなう場合には、複雑に入り組んだ体腔内に対して挿入部を挿入しなければならない。例えば、管腔が360°のループを描いて配置されているような大腸の深部に対して挿入部を挿入させる際には、使用者は湾曲ノブを操作して湾曲部を湾曲動作させると共に、挿入部を捻り操作するなどの手元操作をおこないながら、挿入部の先端部を観察目的部位に向けて導入していくという作業をおこなうことになる。
しかしながら、患者に苦痛を与えることなくスムーズに短時間で、複雑に入り組んだ大腸の深部にまで挿入部を導入する操作技術は相当の熟練を要するものである。言い換えれば、経験の浅い使用者では、挿入部を体腔内の深部にまで導入させる際に、挿入方向を見失うなどによって検査時間が不必要に長くなったり、体腔内に導入中の挿入部によって腸の走行状態を大きく変化させてしまう等の問題があった。
このために、内視鏡の挿入部の挿入性を向上させることを目的として、従来より各種の提案がなされている。
例えば、特開平10−113396号公報には、生体管の深部まで容易にかつ低侵襲で医療機器を誘導し得る医療機器の推進装置が示されている。この推進装置では、回転部材に、この回転部材の軸方向に対して斜めのリブが設けてある。このため、回転部材を回転動作させることにより、回転部材の回転力がリブによって推進力に変換され、推進装置に連結されている医療機器が前記推進力によって深部方向に向かって移動される。これにより、低侵襲で、患者に身体的負担をかけることなく、医療機器を体腔内へと挿入することができるというものである。
一方、医療用内視鏡の場合には、検査終了後に、その検査に使用した内視鏡を確実に消毒滅菌することが感染症等を防止するために必要不可欠となっている。このために、検査後には内視鏡の洗浄及び消毒作業が必ずおこなわれているが、このような洗浄及び消毒作業は、医療従事者にとって手間と時間のかかる煩わしい作業となっている。
そこで、内視鏡の挿入部の外表面をディスポーザブルタイプ(使い捨てタイプ)のカバーシースで覆った状態で使用し、検査終了後には、このカバーシースを廃棄することで、内視鏡自体の洗滌等の工程を省略し得るようにしたものがある。
特開平10−113396号公報
ところが、従来のディスポーザブルタイプ(使い捨てタイプ)のカバーシースを用いた内視鏡を使用して病変部の切除術(ポリペクトミー)をおこなう場合において、複数箇所の切除処置をおこなうには、切除処置のたびに内視鏡の挿入部を体腔内から抜去し、再度内視鏡挿入部を体腔内へと挿入するといった作業を繰り返すことになる。この場合において、内視鏡の挿入操作を繰り返すのは非常に煩雑な作業であり、また時間的な制約もあることから、一度の処置によって常に確実な検査結果を得ることが困難な場合も考えられる。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、内視鏡の挿入部を体腔内に導入する際には、内視鏡の挿入部に対して推進力を与えることができ、かつ切除処置をおこなったときには内視鏡の抜去及び再挿入操作を容易におこなうことができ、さらに検査終了後には、内視鏡の洗浄を不要にする構成を実現することによって、内視鏡の効率的な運用をおこなうことができ、かつ使用上の軽便性を備えた内視鏡用挿入補助具を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明による内視鏡用挿入補助具は、内視鏡の操作部の先端側と前記操作部の先端側から延出される細長状の挿入部とを被覆する挿入部カバー部材と、前記挿入部カバー部材の外周側に配置され外周面上に螺旋形状部を有して形成されており前記挿入部カバー部材と前記挿入部とを体腔内の深部へと導入する推進力を発生させる螺旋管と、を備えた導入管と、前記螺旋管を回転駆動させる回転装置とを具備し、前記挿入部カバー部材は、前記螺旋管を着脱自在に配設する着脱手段を有してなることを特徴とする。
本発明によれば、内視鏡の挿入部を体腔内に導入する際には、内視鏡の挿入部に対して推進力を与えることができ、かつ切除処置をおこなったときには内視鏡の抜去及び再挿入操作を容易におこなうことができ、さらに検査終了後には、内視鏡の洗浄を不要にする構成を実現することによって、内視鏡の効率的な運用をおこなうことができ、かつ使用上の軽便性を備えた内視鏡用挿入補助具を提供することができる。
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態を示す図である。このうち、図1は、本実施形態の内視鏡用挿入補助具を適用する内視鏡システムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。図2は、図1の内視鏡システムにおいて適用される内視鏡用挿入補助具のうち導入管の一部を断面で示す部分断面図である。図3は、図2のII−II線に沿う縦断面図である。図4は、図1の内視鏡システムにおいて適用される内視鏡用挿入補助具のうち回転装置の回転機構部の詳細構成を説明する断面図である。
図1に示すように、本実施形態の内視鏡用挿入補助具を適用する内視鏡システム1は、各種外部装置を含む内視鏡2と、本実施形態の内視鏡用挿入補助具3などによって主に構成されている。
内視鏡2は、挿入部11(図1では図示せず。図2参照)と、この挿入部11の基端側に設けられる操作部12と、この操作部12の側部から延出するユニバーサルコード13とを備えて構成されている。
内視鏡2は、外部装置としての各種装置、すなわち光源装置4とビデオプロセッサ5とモニタ6とにユニバーサルコード13を介して接続されている。このうち、光源装置4は内視鏡2に照明光を供給する装置である。ビデオプロセッサ5は各種制御をおこなう制御回路や信号処理回路等を有しており、内視鏡2に設けられる撮像素子(図示せず)を駆動させる駆動信号を供給すると共に、同撮像素子にて光電変換され出力される電気信号を受けてこれを映像信号に生成しモニタ6へと出力する役目をしている。モニタ6は、ビデオプロセッサ5から出力される映像信号を受けて自己の画面上に内視鏡観察画像を表示する表示装置である。
一方、本実施形態の内視鏡用挿入補助具3は、導入管20と、回転装置40とによって主に構成されている。このうち、回転装置40は、一端部が検査室等の本内視鏡システム1を用いる室内の天井等の固定物に対して取り付けられるアーム部41と、このアーム部41の他端部に取り付けられる回転機構部42とで主に構成されている。
アーム部41は、複数の例えば長さの異なるアーム部材41aと、隣り合うアーム部材41a同士を回動自在に連結する関節部41bとで構成されている。アーム部41をこのような構成とすることによって、僅かな力量で回転機構部42の位置を任意の位置へと移動させることができるようになっている。
導入管20は、図2及び図3に示すように観察窓部材であるカバーガラス21とカバー部材である弾性カバーチューブ22とからなる挿入部カバー部材である挿入部カバー10と、この挿入部カバー10に連設される基端構成部材23と、挿入部カバー10の外周側に配設され本導入管20に推進力を発生させる螺旋管24とを備えて構成されている。
弾性カバーチューブ22は、細長いチューブ形状からなり、摩擦抵抗の小さな部材、例えばテフロン(登録商標)樹脂などにより形成されている。この弾性カバーチューブ22の先端部近傍の外周面上には、図2に示すように係止バルーン22aが配設されている。また、弾性カバーチューブ22には、図2及び図3に示すように流体管路23bが軸方向に貫通して形成されている。さらに、同弾性カバーチューブ22には、図3に示すように処置具挿通用チャンネルまたは吸引用チャンネルとしての貫通孔23cが軸方向に複数貫通して形成されている。これら複数の貫通孔23cは、基端構成部材23の所定の部位に形成される複数のチャンネル開口部(特に図示せず)に対してそれぞれが連通している。そして、貫通孔23cを処置具挿通用チャンネルとして使う場合には、前記チャンネル開口部には、例えば生検針や生検鉗子等の処置具を挿入すると、同処置具は処置具チャンネルとしての貫通孔23cに挿通されて弾性カバーチューブ22の先端の開口から外部へと露出させ、所定の処置をおこなうことができるようになっている。
また、貫通孔23cを吸引用チャンネルとして使う場合には、チャンネル開口部には、管路接続部材の一端を配設し、この管路接続部材の他端を、例えば所定の吸引装置(図示せず)から延出される吸引管路(図示せず)に連結させるように構成される。
前記流体管路23bは、弾性カバーチューブ22の先端部近傍に配置される係止バルーン22aに一端側が連通している。また、流体管路23bの他端側には、基端構成部材23の外周に突設するように口金部23fが設けられている。この口金部23fには、流体送出吸入用チューブ25の一端が連結されている。そして、この流体送出吸入用チューブ25の他端側には、流体送出吸入用ポンプ26が連設されている。この流体送出吸入用ポンプ26は、挿入部カバー10の基端部近傍、もしくは操作部12の所定の部位に設けられる操作スイッチ等の操作手段によって駆動制御をおこなうことができるようになっている。
したがって、この流体送出吸入用ポンプ26を任意に駆動させることにより、所定の流体、例えば空気もしくは液体などの流体を流体管路23bを介して係止バルーン22aに対して圧送もしくは吸引することで、同係止バルーン22aを任意に伸縮させることができるようになっている。
また、弾性カバーチューブ22の先端側の前面には、カバーガラス21が接着等の手段により当該弾性カバーチューブ22と一体に配設されている。このカバーガラス21は、光学特性を有する透明な樹脂部材、例えばポリカーボネートなどによって形成されている。そして、同カバーガラス21の内側面には、弾性カバーチューブ22の内部に内視鏡2の挿入部11が挿通された時、この挿入部11の一部を構成する先端部15の前面が当接するようになっている。この状態において、カバーガラス21は、弾性カバーチューブ22の前面の開口を水密的に閉塞すると共に、内視鏡2の観察窓としての役目をしている。
螺旋管24は、例えばステンレス製などからなり、所定の径寸法の金属素線を螺旋状に巻回して所定の可撓性を有するように形成されている。したがって、螺旋管24の外表面には金属素線の表面によって螺旋形状部24b(図2参照)が形成される。この螺旋管24は、弾性カバーチューブ22の外面側を覆うように回動自在に配置されている。
そして、係止バルーン22aが膨張した状態となった時には、この螺旋管24の前端部24aが係止バルーン22aの側の対向部22aaに当接し、これに係止されることで螺旋管24が弾性カバーチューブ22の前方に抜け落ちないようになっている。そのために、係止バルーン22aの膨張状態における頂部の位置は、螺旋管24の螺旋形状部24bにおける最外周面の位置よりも外周側に突出した位置となるように設定されているのが好ましい。
また、螺旋管24が弾性カバーチューブ22の外面を覆う位置に配置された状態では、螺旋管24の後端部24cは基端構成部材23の前面部23eに当接し、これに係止されることで螺旋管24の後方への移動が規制されるようになっている。したがって、これにより係止バルーン22aが膨張状態にあるときには、螺旋管24は前端側では係止バルーン22aの対向部22aaにより、後端側では基端構成部材23の前面部23eにより、前端部24a及び後端部24cのそれぞれが係止されることで、螺旋管24が弾性カバーチューブ22の外面側を覆う状態を常に維持するようになっている。
なお、前後方向に若干の余裕を持つように螺旋管24の長さ寸法は、弾性カバーチューブ22の挿入部カバー10の長さ(正確には係止バルーン22の当接面から23の前面までの長さ)寸法よりも若干短くなるように設定されている。
その一方で、係止バルーン22aが縮んだ状態となった時には、弾性カバーチューブ22は、螺旋管24に対して挿抜自在となっている。これにより、係止バルーン22aは、伸縮することで弾性カバーチューブ22に対して螺旋管24を着脱自在とする着脱手段の役目をしている。
一方、挿入部カバー10の基端構成部材23は、前記弾性カバーチューブ22よりも太径の管状部材であって摺動性の良好な樹脂部材、例えばボリアセタール等によって形成されている。この基端構成部材23の内部には、操作部12の先端側の一部(折れ止め部12aの一部)が挿入は位置されるように透孔23aが穿設されている。
基端構成部材23の透孔23aの後端側の内周面には、内側に突出するように形成される複数の係止用凸部23dが突設されている。この係止用凸部23dは、内視鏡2の挿入部11が弾性カバーチューブ22の内部に挿通され、かつ操作部12の先端側の一部が基端構成部材23の内部に配置されたときに、同操作部12の折れ止め部12aに形成される周溝12bが嵌合することで、本導入管20に対して内視鏡2を固定保持するようになっている。
また、基端構成部材23の前端面23eには、弾性カバーチューブ22の基端部22bの一部が嵌合するようになっている。これにより、同弾性カバーチューブ22は、基端構成部材23と一体となるように形成されている。
なお、螺旋管24は一条の構成に限定されるものではなく、例えば2条や4条等の多条に巻いて形成したものを用いてもよい。また、同螺旋管24を形成するのに際しては、金属素線を螺旋状に巻く際に、同金属素線間の密着度を変化させたり、螺旋の角度を種々設定することで、その推進力や進行速度等を調整することができるようになる。
他方、回転装置40の回転機構部42は、図4に示すように筐体である回転部本体43と、モータ44と、回転力伝達部材45と、案内管保持部46とを有して構成されている。
このうち、モータ44は、螺旋管24を長手方向に対して軸廻り(以下、軸廻りと略記する)の所定の方向に回転させる駆動力を発生する部材である。このモータ44は、回転部本体43に対して、例えば側壁等の固定部に固設されている。
モータ44のモータ軸44aには、前記回転力伝達部材45が一体的に固定されている。この回転力伝達部材45は、弾性を有する樹脂部材によって形成されている。
また、案内管保持部46は、モータ軸44aに固定される前記回転力伝達部材45に対向する位置に配置されている。この案内管保持部46は、回転部本体43の内部において、例えば底面部に固設されている。そして、同案内管保持部46において、回転力伝達部材45に対向する部位における平面部46aには、螺旋管24または基端構成部材23の外形形状に断面が略一致する略半円形状の凹溝部が形成されている(図示せず)。
そして、回転力伝達部材45と案内管保持部46の凹部との間において、図4に示すように導入管20の螺旋管24が挟持される形態で配設されるようになっている。
したがって、図2に示す状態、すなわち内視鏡2の挿入部11が弾性カバーチューブ22の内部に挿通され、係止用凸部23dと周溝12bとが嵌合した状態の導入管20において、この導入管20の螺旋管24を、図4に示すように回転力伝達部材45と案内管保持部46との間に配置させた状態とする。この状態で、モータ44を駆動させると、モータ軸44aに固設される回転力伝達部材45が回転し、その回転駆動力は回転力伝達部材45を介して螺旋管24へと伝達される。
これにより、螺旋管24は回転しながら当該導入管20の軸方向に移動しようとする。このとき、係止バルーン22aが膨張した状態にあるときには、導入管20の一端(前端部24a)が係止バルーン22aに当接する位置で、他端(後端部24c)は基端構成部材23の前面部23eに当接する位置で、それぞれ位置規制がなされる。これにより、螺旋管24と弾性カバーチューブ22とは一体となっている。したがって、螺旋管24が移動するのに伴って弾性カバーチューブ22は、螺旋管24の移動方向と同方向に移動するようになっている。
同時に、弾性カバーチューブ22と内視鏡2とは、係止用凸部23dと周溝12bとの嵌合によって一体となっている。したがって、内視鏡2は、螺旋管24及び弾性カバーチューブ22からなる導入管20の移動方向と同方向に移動するようになっている。
一方、係止バルーン22aが縮んだ状態にあるときには、螺旋管24は、係止バルーン22aによる係止が解除された状態にあるので、螺旋管24に対して弾性カバーチューブ22は挿脱可能となっている。したがって、螺旋管24を体腔内の任意の場所に置いた状態で、弾性カバーチューブ22及び内視鏡2を体腔内から抜去することができ、また再度螺旋管24を介して体腔内へと容易に挿入することができる。
このように構成された上記一実施形態の内視鏡用挿入補助具3を適用する内視鏡システム1において、内視鏡用挿入補助具3の導入管20に被覆された内視鏡2を被検者の大腸へと挿入し処置を施す際の手順を以下に説明する。
図5は、内視鏡の挿入部が挿通配置された導入管を肛門から挿入した状態を示す図である。図6は、内視鏡の挿入部が挿通配置された導入管の先端部本体を盲腸部近傍まで挿入した状態を示す図である。
まず、術者は、導入管20の弾性カバーチューブ22の係止バルーン22aを予め膨張させた状態とし、螺旋管24から弾性カバーチューブ22が抜け落ちない状態にしておく。また、導入管20の螺旋管24の基端側を、回転装置40の回転機構部42において、回転力伝達部材45と案内管保持部46との間に配置させた状態としておく。
このように設定した内視鏡システム1において、術者は、導入管20の先端側を保持してベッド7(図1参照)上に横たわる患者8の肛門から導入管20の先端部を大腸内に挿入する。すると、導入管20に設けられている螺旋管24の外表面の螺旋形状部24bが体腔内の腸壁(図示せず)に接触する。このとき、螺旋形状部24bと腸壁との接触状態は雄ねじと雌ねじとの関係になる。また、モニタ6の画面上にはカバーガラス21を通して内視鏡2の撮像素子により撮像される内視鏡画像が表示される。
螺旋形状部24bと腸壁とが接触した状態において、回転機構部42のモータ44を所定の操作によって回転駆動させる。すると、モータ44のモータ軸44aを介して回転力伝達部材45が回転する。これにより、この回転力伝達部材45と案内管保持部46との間に配置されている螺旋管24へと回転駆動力が伝達される。したがって、これにより、図5に示す矢印Rのように螺旋管24が軸廻り方向への回転を開始する。
このとき、回転する螺旋管24の螺旋形状部24bと腸壁との接触部分には、雄ねじが雌ねじに対して移動するような関係、すなわち、螺旋管24を前進させる推進力が発生する。ここで、弾性カバーチューブ22の係止バルーン22aは膨張した状態にあるので、螺旋管24は弾性カバーチューブ22から抜け落ちることなく、同弾性カバーチューブ22の係止バルーン22aに当接しこれを押しつつ前進する。このようにして、螺旋管24及び弾性カバーチューブ22からなる導入管20は、この推進力によって大腸内の深部に向かって進行する。ここで、導入管20の基端構成部材23には、係止用凸部23dに対して周溝12bが嵌合していることにより内視鏡2が一体となっている。したがって、導入管20が移動するのに伴って内視鏡2も同方向へ移動し、被検者の体腔内の深部に向かって導入されていく。この状態にある時に、術者が導入管20を押し進めるような手元操作をおこなえば、挿入部11を挿通した導入管20は、僅かな力量にて体腔内深部に向けて導入されることになる。
つまり、内部に内視鏡2の挿入部11が挿通配置されている導入管20は、図5に示す肛門71から挿入された後、螺旋管24の回転駆動によって生じる推進力と、術者の手元操作及び湾曲操作等によって、直腸72からS字状結腸部73へと向かって進んでいく。そして、導入管20は、回転した状態のままS字状結腸部73を通過た後、このS字状結腸部73と可動性に乏しい下行結腸部74との境界である屈曲部を経て下行結腸部74に至り、次いで下行結腸部74と可動性に富む横行結腸部75との境界である脾湾曲76を経て横行結腸75を通過した後、さらに横行結腸75と上行結腸78との境界である肝湾曲77を通過して、図8に示すように目的部位である盲腸部79の近傍へと到達する。
術者は、モニタ6の画面に表示されている内視鏡画像から導入管20の先端部分が盲腸部79の近傍にまで到達したと判断したところでモータ44の駆動を停止させる。
次いで、術者は、挿入部11の引き戻し操作をおこないながら大腸内の内視鏡検査を実行する。この内視鏡検査は、内視鏡2の撮像素子によって得られた画像データに基づいてモニタ6の画面上に表示される内視鏡画像の観察による体腔内の検査である。
そして、この内視鏡検査の実行中に、例えば病変部等を発見した場合には、その病変部近傍の組織のサンプルを採取する等の処置がおこなわれる。
このような処置をおこなう場合には、まず前記チャンネル開口部に所定の処置具を挿入した後、処置具挿通用チャンネルである貫通孔23cを挿通させ、その処置具の先端部を弾性カバーチューブ22より前方へと突出させた状態とする。この状態で、モニタ画面上の内視鏡観察画像を観察しながら、術者は所定の処置具を操作して組織の一部の切除をおこなう等の処置を実行する。そして、採取した組織は、処置具を挿通した状態の弾性カバーチューブ22を螺旋管24から抜去することで回収することができる。
ここで、弾性カバーチューブ22を螺旋管24から抜去するためには、予め係止バルーン22aを縮んだ状態としておく。そのためには、流体送出吸入用ポンプ26を駆動させて、係止バルーン22a内の流体を流体管路23bを介して吸引する。
こうして係止バルーン22aを縮んだ状態とした後において、術者は、螺旋管24を体腔内に留置した状態で、処置具を含む弾性カバーチューブ22を抜去する。これにより、処置具によって採取した体腔内の組織を体腔外に取り出すことができる。続いて、処置をおこなうには、体腔内に留置された状態の螺旋管24に対して少なくとも内視鏡2の挿入部11を一体に配設した弾性カバーチューブ22を同螺旋管24に挿通するのみでよい。このとき、螺旋管24は、弾性カバーチューブ22及び内視鏡2を体腔内の所定の部位まで挿入するガイド部材の役目をすることになる。複数回の処置をおこなうには、このような一連の操作がおこなわれる。
そして、検査終了後には、内視鏡2の挿入部11を導入管20から抜去して、同導入管20を廃棄する。その一方で、上述のように使用された内視鏡2は、汚染されていない状態を維持している。したがって、続けて異なる患者や続けておこなう二度目の検査をおこなうのに際しては、使用前の洗浄消毒済みの新たな導入管20を用いる。この導入管20に対して内視鏡2の挿入部11を挿入配置する。つまり、内視鏡2の洗浄や消毒をおこなうことなく、次の検査を即時におこなうことができる。
このように、螺旋管及びカバー部材の端部がそれぞれ先端部本体及び基端部本体に一体的に固定して構成された導入管においては、基端部本体に設けた係止凸部を内視鏡の操作部に設けられている周溝に遊嵌配置させた状態にして、回転機構部に設けられているモータによって回転される回転力伝達部材の回転力を螺旋管に伝達することによって、導入管を回転させて、深部に向けて導入するための推進力を得ることができる。そして、この推進力によって導入管が移動されたとき、係止凸部が周溝の先端側壁に当接することによって、導入管に発生した推進力を内視鏡に伝達することができる。このことによって、内視鏡の挿入部は、導入管を構成する螺旋管で発生された推進力によって深部に向けて導入される。
また、導入管に設けられている螺旋管の内周面側に配置されているカバー部材の端部を、先端部本体及び基端部本体に水密に密着配置させて挿入部カバーを構成したことによって、導入管に設けられた挿入部カバー内に内視鏡の挿入部を挿通配置させることによって、検査中において、挿入部が体壁等に直接接触することを確実に防止することができる。したがって、検査終了後、洗浄・消毒することなく、導入管から抜去した内視鏡を、新たな導入管と組み合わせて再使用することによって、医療従事者は、検査終了毎に内視鏡2及び導入管20を洗浄したり消毒する等の作業の煩わしさから解消される。
なお、本実施形態においては、導入管20によって覆われた内視鏡2の挿入部11が挿入される管腔を大腸としているが、前記挿入部11が挿入される管腔は大腸に限定されるものではなく、口腔から食道、胃及び小腸まで等の管腔等であってもよい。
また、本実施形態において、導入管20の回転方向は、一方向(前進させる方向)のみとしてもよいし、正逆回転を一定周期、若しくは任意の切替えによっておこなうようにしてもよい。
正逆の回転を組み合わせることによって、導入管20は体腔内で前進と後退とを繰り返すことになる。この場合において、導入管20の前進時には、上述したように例えば正方向に回転する螺旋管24の推進力は、前端部24aから係止バルーン22aの対向部22aaへと伝達される。これによって導入管20は螺旋管24の推進力により前進する。
一方、導入管20の後退時には、上述の前進時とは逆方向に回転する螺旋管24の推進力が後端部24cから基端構成部材23の前面部23eへと伝達される。これによって導入管20は螺旋管24の推進力により後退する。
これによって、導入管20は、前進時において、その先端が例えば腸壁の小さな凹み等に引っかかったような場合にも、周期的な後退動作がなされることにより、その引っかかりが解除されることになる。そして、再度の前進時には、腸の位置と導入管20の位置とが微妙に位置ずれすることにより、同じ部分において再度引っかかるようなことがなく、スムーズに導入管20が前進することになる。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、導入管20の弾性カバーチューブ22の係止バルーン22aを伸縮自在に構成し、係止バルーン22aを膨張させた状態とすることで螺旋管24から弾性カバーチューブ22が抜け落ちないようにして内視鏡2を体腔内へと挿入する補助具の役目をする。また、導入管20と内視鏡2とを体腔内へと挿入した後は、係止バルーン22aを縮めた状態とすることで内視鏡2及び弾性カバーチューブ22と螺旋管24とが着脱自在となるので、螺旋管24は内視鏡2及び弾性カバーチューブ22の再挿入時の案内手段とすることができる。したがって、内視鏡2の複数回の挿抜を容易におこなうことができ、切除組織の回収や用途に応じた内視鏡2の入れ替え作業が容易となる。
そして、本実施形態の内視鏡用挿入補助具3は、ディスポーザブルタイプ(使い捨てタイプ)とすることで、検査処置終了後(使用後)の内視鏡2や導入管20等の洗浄作業や消毒作業を省略することができる。つまり、内視鏡2は別の内視鏡用挿入補助具3を用いれば、続けて次の検査処置を実行できるので、より効率的な運用をおこなうことができる。
本発明の一実施形態の内視鏡用挿入補助具を適用する内視鏡システムの全体構成を概略的に示すシステム構成図。 図1の内視鏡システムにおいて適用される内視鏡用挿入補助具のうち導入管の一部を断面で示す部分断面図。 図2のII−II線に沿う縦断面図。 図1の内視鏡システムにおいて適用される内視鏡用挿入補助具のうち回転装置の回転機構部の詳細構成を説明する断面図。 図1の内視鏡システムにおいて、導入管に被覆された内視鏡を被検者の大腸へと挿入し処置を施す際の手順を示す図であって、挿入部を挿通配置した導入管を肛門から挿入した状態を示す図。 図5の状態の後、挿入部を挿通配置した導入管の先端部本体を盲腸部近傍まで挿入した状態を示す図。
符号の説明
1……内視鏡システム
2……内視鏡
3……内視鏡用挿入補助具
4……光源装置
5……ビデオプロセッサ
6……モニタ
7……ベッド
10……挿入部カバー
11……挿入部
12……操作部
13……ユニバーサルコード
15……先端部
20……導入管
21……カバーガラス
22……弾性カバーチューブ
22a……係止バルーン
23……基端構成部材
23a……透孔
23b……流体管路
23c……貫通孔
23d……係止用凸部
23e……前面部
23f……口金部
24……螺旋管
24b……螺旋形状部
25……流体送出吸入用チューブ
26……流体送出吸入用ポンプ
40……回転装置
41……アーム部
41a……アーム部材
41b……関節部
42……回転機構部
43……回転部本体
44……モータ
45……回転力伝達部材
46……案内管保持部
代理人弁理士伊藤進

Claims (3)

  1. 内視鏡の操作部の先端側と前記操作部の先端側から延出される細長状の挿入部とを被覆する挿入部カバー部材と、前記挿入部カバー部材の外周側に配置され外周面上に螺旋形状部を有して形成されており前記挿入部カバー部材と前記挿入部とを体腔内の深部へと導入する推進力を発生させる螺旋管と、を備えた導入管と、
    前記螺旋管を回転駆動させる回転装置と、
    を具備し、
    前記挿入部カバー部材は、前記螺旋管を着脱自在に配設する着脱手段を有してなることを特徴とする内視鏡用挿入補助具。
  2. 前記着脱手段は、前記挿入部カバー部材の先端部近傍に伸縮自在に配設される係止バルーンを少なくとも含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用挿入補助具。
  3. 前記挿入部カバー部材の基端部近傍には、前記係止バルーンを伸縮させるための操作手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用挿入補助具。
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