JP2006215409A - 電子回路教材 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価かつ簡単に構成することができ、初学者にとっても容易に電子回路を構成することができて学習の進行がスムーズに行え、一般教室においても電子回路についての実験学習を行い易くすることができるとともに、教本の流れに沿った体系的な学習をより体感的に行うことができ、実験学習による成果の向上を図ることができる電子回路教材を提供する。
【解決手段】シート部材11上に描かれた電子回路図Aの導線の位置に箔導体12を貼付したシート状回路パターン10と、電子回路図Aに示される各図記号に対応する電子部品22を有し該電子部品22を支持する部品実装基板21の底面に電子部品22の各端子と導電的に接続される底導電体を配設した電子部品構造体20とを備え、電子回路図Aの図記号上に、該図記号により示される電子部品22を有する電子部品構造体20を載置することにより、電子部品22と箔導体12とが導電的に接続される構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子回路・電気回路についての教授及び学習に用いられる電子回路教材の技術に関する。
一般に、学校教育の現場などにおいては、電子回路・電気回路について学習する場合、基本図書や専門図書などの教本が用いられ、教室で席について話を聴くといういわゆる座学の形態がとられる。そして、このような座学に加え、実際に電子部品などを用いて実験を行う実験学習が慣行されている。特に最近では、小学生や中学生などの間で問題となっている理科離れなどの実態に鑑み、教育現場などで多くの実験を採り入れようとする試みがなされているが、こうした実験学習を行うためには、理科室や実験室などの実験を行うための教室へ移動する必要があると思われており、通常の座学に対して特別な学習方法であると感じられている傾向がある。
しかし、電子回路・電気回路についての学習を行う上で実験学習を行うことは、教本の写真やデータ等からは感じにくい具体的なイメージを直接に感じることができる体感的な学習を実現したり、学習意欲を向上させたりする上で有意義なことであり、特に、小学生や中学生などの初学者にとっては、後の応用的な学習に使える基礎的な知識や概念を理論として身に付けるために重要なことである。
このような実態に鑑み、電子回路・電気回路の教材に関し、特許文献1や特許文献2に示されているようなものがある。特許文献1においては、発信回路や増幅回路などのような機能回路の製作に際し用いられる電子部品を、安価かつ扱いやすい形態で提供すべく考案された教材についての技術が開示されており、この教材は初学者のことや実験の作業性のこと等が考慮されている。また、特許文献2においては、ハンダ付けを必要としない多孔差込みソケット型のソルダーレスのブレッドボードを実験の教材として用いる際に、補助的に使用するための機材についての技術が開示されており、電子回路の学習を、若年者・初心者にも安全、簡単、経済的に楽しめることをその目的としている。
特開2001−42763号公報 実用新案登録第2595810号公報
確かに、前記の特許文献に示されている電子回路についての教材などは、コスト的に安価であり、簡単な構成で初学者にも向いていると考えられる。また、このような利点は、学校教育の現場などにおいて行われる一斉教育での指導のし易さという観点からも有用であると考えられる。しかし、前述したような教材などにおいては、次のような点で改善の余地がある。
すなわち、特許文献1に示されているものについては、機能回路の作成に際し、学習者(ユーザ)は電子部品同士を接続する配線をハンダ付けする必要があり、この点、特に初学者にとっては安全面での考慮が必要となる。また、ハンダ付けする必要があることから、実験学習を行うための作業が大掛かりとなってしまうので、座学に対して実験的な色がより濃くなってしまい、一般の教室で行うことは難しい。
また、特許文献2に示されているものについては、ハンダごてを必要としない点では安全性や作業の簡易性の面で好ましく、また、初学者などのように現物部品についての知識が少ない者でも所望の電子回路を完成させることができる等の効果を得ることができるのであるが、本文献に示されているものは、ブレッドボードの使用が前提となっているため、その分コスト的に高価となる点である。このように教材が高価なものとなると、学校教育などにおける一斉教育の場において学習者全員に教材を配付することへの妨げとなることが考えられ、学習者が各自で実際に実験にともなう作業を行うことができない場合が生じ、この場合、実験学習による十分な成果を得ることが難しくなる。
また、本文献に示されている機材を用いて電子回路を作成する際には、電子部品の端子をテンプレートに設けられる孔を介してブレッドボードに差し込むという細かい作業をともなうため、特に若年者などにとっては円滑な学習を行う上で不具合が生じることも考えられる。
また、前記の両特許文献に示されている教材などが用いられて作成される電子回路においては、電子部品同士を接続する配線が回路表面に露出していないという点がある。すなわち、電子回路が完成された状態では、電子部品同士を接続する配線について、印刷表示などはされているものの、実際の配線は基板の裏面側やブレッドボードの内部に配されることとなり、初学者などにとっては、電子部品同士が実際に配線によって接続されているという実感を十分に得ることが難しい。
また、各電子部品にかかる電圧や端子間電圧等がどのように変化するか等を測定する場合には、基板やブレッドボードの裏側のリード線にテスターのテスター棒の先端を当接させる必要があり、実験するには面倒な操作が必要であった。
そこで、本発明の目的は、安価かつ簡単な構成であり、初学者にとっても容易に電子回路を構成することができて学習の進行がスムーズに行え、一般教室においても電子回路についての実験学習を行い易くすることができるとともに、教本の流れに沿った体系的な学習をより体感的に行うことができ、実験学習による成果の向上を図ることができる電子回路教材を提供する点にある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、電子回路を構成する電子部品を用いた電子回路教材であって、シート部材上に描かれた電子回路図に示される導線の図記号に対応する位置に箔導体を貼付したシート状回路パターンと、前記電子回路図に示される各図記号に対応する電子部品を有し該電子部品を支持する部品実装基板の底面に該電子部品の各端子と導電的に接続される底導電体を配設した電子部品構造体と、を備え、前記電子回路図における電子部品の図記号上に、該図記号により示される電子部品を有する前記電子部品構造体を載置することにより、該電子部品と前記箔導体とが導電的に接続されるものである。
請求項2においては、前記部品実装基板に、前記電子部品の各端子と前記底導電体との導電的な接続を確保する形状を有する磁石を、該磁石の磁力が前記部品実装基板の底面から働くように設けるとともに、該磁石に対して磁気吸引力を有する磁性部材を、前記シート状回路パターンの下方に配置するものである。
請求項3においては、前記箔導体を平角線とするとともに、該平角線をテープ部材により前記シート部材に貼付したものである。
請求項4においては、前記シート部材に、前記電子回路図に関する記載を施したものである。
請求項5においては、前記電子回路図と同一の電子回路図が描かれるとともに該電子回路図に関する記載が施された補助シートを用いるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、電子回路教材について、安価かつ簡単に構成することができ、初学者にとっても容易に電子回路を構成することができて学習の進行がスムーズに行え、一般教室においても電子回路についての実験学習を行い易くすることができるとともに、教本の流れに沿った体系的な学習をより体感的に行うことができ、実験学習による成果の向上を図ることができる。
また、具体的な実験として、電子部品にかかる電圧や電子部品間の電圧やグランドレベルに対する電圧等を測定する場合、テスター等のプローブを箔導体に当てるだけで測定することができるので、これらの測定が簡単に行え、印加電圧の変更や抵抗を変化させたときの出力変化等も容易に測定することができる。
また、従来から一般的に電子回路・電気回路の教本において理解を容易にするために示されている回路図を、そのイメージのまま実際の電子回路として容易に構成することができるので、教本に示されている回路図と実際に構成される電子回路との対応関係が明確となり、従来からのブレッドボード等を用いた電子回路についての実験と比較しても、高い学習効果を得ることが期待できる。
請求項2においては、電子部品構造体のシート状回路パターンに対する載置安定性を向上することができるとともに、電子部品構造体のシート状回路パターンに対する接触が確実となることから底導電体の箔導体に対する導電接続性の向上を図ることができる。
請求項3においては、安価で容易に入手できるものにより手作業でシート状回路パターンを構成することができるので、該シート状回路パターンをより簡単かつ安価に構成することができる。また、箔導体としての平角線を容易に取り外すことができるので、回路(配線)変更も容易に行うことができ、廃棄する際やリサイクルする際に容易に分別することもできる。
請求項4においては、学習を促がすことができるとともに、指導者が電子回路における電圧測定箇所などを指示する場合の便宜が図れ、この指示内容について初学者などでも間違えることなく容易に把握することができる。これにより、学校教育などにおける一斉教育の場においても、本発明に係る電子回路教材を用いた実験学習における学習の進行をよりスムーズに行うことができる。
請求項5においては、学習を促がすことができるとともに、指導者が電子回路における電圧測定箇所などを指示する場合の便宜が図れ、この指示内容について初学者などでも間違えることなく容易に把握することができる。これにより、学校教育などにおける一斉教育の場においても、本発明に係る電子回路教材を用いた実験学習における学習の進行をよりスムーズに行うことができる。また、学習者がシート部材に記入することによって該シート部材を汚したり破ったりすることがなくなるので、シート状回路パターンを長期に亘って使用することが可能となる。
次に、発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る電子回路教材は、電子回路を構成する電子部品を用いた電子回路教材であって、図1及び図2に示すような、シート部材11上に描かれた電子回路図Aに示される導線(配線)の図記号に対応する位置に箔導体(帯状配線)12を貼付したシート状回路パターン10と、図3に示すような、前記電子回路図Aに示される各図記号に対応する電子部品22を有し、該電子部品22を支持する部品実装基板21の底面21cに該電子部品22の各端子22x・22yと導電的に接続される底導電体25x・25yを配設した電子部品構造体20とを備えている。
本実施形態においては、前記電子回路図Aの一例として、図2に示すように、トランジスタの基本増幅機能及びスイッチとしての動作を理解させるための電子回路を示しており、電子回路図Aにおける電子部品の各図記号について、Eは電源、SWはスイッチ、Rb・Rcは抵抗、Trはトランジスタ、VRは小型半固定抵抗、LEDは発光素子(発光ダイオード)をそれぞれ示している。
このような電子回路図Aが描かれるシート部材11上において、電子回路図Aにおける前述したような各電子部品の図記号同士を結ぶ導線の図記号に対応する位置に箔導体12が貼付される。つまり、シート部材11上の電子回路図Aにおいて、各電子部品の図記号上では箔導体12間に適宜間隔S(図3参照)が設けられた状態で、各電子部品の図記号同士を結ぶ導線の図記号に沿って箔導体12が貼付される。このようにして、本発明に係るシート状回路パターン10が構成される。シート状回路パターン10を構成するシート部材11としては、厚紙などの紙製やプラスチックシート等の樹脂製のような絶縁素材のものが用いられる。また、箔導体12としては、帯状の銅箔などの金属箔導体が用いられる。
ここで、シート部材11上に貼付される基礎的部品としては、箔導体12そのものであることは言うまでもないが、この箔導体12に対し、必要に応じ、絶縁材としてまたは強度向上の観点からラミネート加工を施してもよい。この場合、図6に示すように、箔導体12に対して、適宜部分的にあるいは後述するように電子部品構造体20の底導電体25x・25yなどと接続される部分以外の全体的にラミネート処理部12aを設け、このようにラミネート加工を予め施した部品としての箔導体12をシート部材11上に貼付する。これにより、シート部材11上に貼付される箔導体12を保護することができるとともに、箔導体12の反りを防止することができ、電子部品構造体20に対する良好な導電接続性を維持することが可能となる。
そして、このように構成されるシート状回路パターン10上に、シート部材11上に描かれている電子回路図Aの各図記号に対応する電子部品22を有する電子部品構造体20を配置することにより、該電子回路図Aに表されている電子回路を実際に構成することができる。すなわち、電子回路図Aにおける電子部品の図記号上に、該図記号により示される電子部品22を有する電子部品構造体20を載置することにより、該電子部品22と前記箔導体12とが導電的に接続されるのである。
次に、電子部品構造体20の構成について図3〜図5を用いて説明する。電子部品構造体20は、前述の如く、電子回路図Aの電子部品の図記号に対応する電子部品22を有しており、この電子部品22を部品実装基板21により支持する。つまり、この電子部品構造体20に備えられる電子部品22は、電子回路図Aにおいて図記号により示される電子部品のいずれかであり、電子回路図Aにおいては、前述したような各種電子部品のいずれかが該当することとなる。なお、図3〜図5においては、電子部品構造体20の有する電子部品22が2端子部品である場合を示しているが、電子部品22が、後述する3端子部品の場合などのように3端子以上の場合であってもよい。
具体的な構成としては、部品実装基板21は、プラスチックや木材などのような絶縁素材により構成される略円盤状(図8参照)または略矩形板状(図11参照)の部材であり、その上面側に電子部品22の端子22x・22yがそれぞれ差し込まれる取付穴21dが形成されている。つまり、この部品実装基板21の取付穴21dに電子部品22の端子22x・22yがそれぞれ差し込まれることにより、電子部品構造体20が有する電子部品22が部品実装基板21に取り付けられ支持される。なお、この取付穴21dを等間隔に多数設けること等により、部品実装基板21を各種の電子部品22に対してユニバーサル基板として構成することもできる。
そして、電子部品22を支持する部品実装基板21の底面21cには、電子部品22と導電的に接続される底導電体25x・25yが配設される。この底導電体25x・25yは、前記底面21cに金属箔導体が貼付されること等により設けられ、部品実装基板21の上面21aに配設される上導電体23x・23yと、部品実装基板21内を上下方向に貫通する中導電体24x・24yとを介して電子部品22の端子22x・22yに対してそれぞれ導電的に接続される。
上導電体23x・23yは、部品実装基板21の上面21aに金属箔導体が貼付されること等により電子部品22の端子22x・22yと導電的に接続した状態で設けられる。また、中導電体24x・24yは、部品実装基板21の略中央部に形成される導通孔21b・21b内に設けられ、該導通孔21bの形状に合わせた柱状の導体などにより構成され、前記上導電体23x・23y及び底導電体25x・25yに対してそれぞれ導電的に接続される。ここで、電子部品22の一方の端子22x側に接続される上導電体23x・中導電体24x・底導電体25xと、他方の端子22y側に接続される上導電体23y・中導電体24y・底導電体25yとは、互いに導電的に非接続状態となるように配設される。つまり、電子部品22の各端子22x・22y間は、導電的に非接続状態が保たれる。
このような構成の電子部品構造体20においては、部品実装基板21の取付穴21dに電子部品22の端子22x・22yがそれぞれ差し込まれることにより該電子部品22が支持されるとともに、部品実装基板21の底面21cに電子部品22と導電的に接続される底導電体25x・25yが配設されるべく、上導電体23x・23y及び中導電体24x・24yが配設される。
なお、部品実装基板21の底面21cに配設される底導電体25x・25yは、電子部品22の端子22x・22y間を導電的に非接続状態に保つとともに、各端子22x・22yとそれぞれ導電的に接続されていればよく、各導電体の構成や配置などは本実施形態に限定されるものではない。例えば、上導電体23x・23y、中導電体24x・24y及び底導電体25x・25yを各端子22x・22yごとに一体の導線としてもよい。この場合、中導電体24x・24yの部分を絶縁部材で被装することにより、前記導通孔21bを一つとすることができる。また、導通孔21bを設けることなく、中導電体24x・24yを上導電体23x・23yとともに部品実装基板21の外表面を伝わせて配設する構成としてもよい。また、電子部品22の各端子22x・22yが差し込まれる取付穴21dを、部品実装基板21の底面21cまで貫通させるとともに、各端子22x・22yを底面21cまで延設し、該端子22x・22yを直接に底導電体25x・25yと導電的に接続させる構成とすることもできる。この場合、上導電体23x・23y及び中導電体24x・24yは設ける必要がない。ただし、いずれの構成においても、電子部品構造体20のシート状回路パターン10に対する載置安定性及び底導電体25x・25yの箔導体12に対する導電接続性を考慮すると、底導電体25x・25yについては箔状の導電体とすることが好ましい。さらに、部品実装基板21に鉛や鉄などにより構成される重りを具備させることにより、電子部品構造体20に働く重力が増し、前記載置安定性を向上することができるとともに、電子部品構造体20のシート状回路パターン10に対する接触が確実となることから底導電体25x・25yの箔導体12に対する導電接続性の向上を図ることができる。
このような構成を有する電子部品構造体20が、図1に示すように、前記シート状回路パターン10の電子回路図A上に載置されることにより、電子部品構造体20の電子部品22とシート状回路パターン10上に貼付されている箔導体12とが導電的に接続される。すなわち、前述の如く、電子回路図Aにおける各電子部品の図記号上において箔導体12間に設けられている間隔Sの上に、該図記号により示される電子部品22を有する電子部品構造体20が載置されることにより、電子部品22の一方の端子22xは、上導電体23x、中導電体24x及び底導電体25xを介して一側の箔導体12に導電的に接続され、他方の端子22yは、上導電体23y、中導電体24y及び底導電体25yを介して他側の箔導体12に導電的に接続されることとなる。そして、電子回路図Aに示されている電子部品の各図記号の上に、該図記号により示される電子部品22をそれぞれ載置することにより、電子回路図Aに示されている電子回路が構成される。
ここで、電子部品構造体20を電子回路図Aの図記号に従って載置するに際し、電子部品構造体20が有する電子部品22が、電子回路図Aに示されるどの図記号に対応するのかの識別を容易とするため、部品実装基板21の上面21aには、その電子部品構造体20が有する電子部品22の図記号を示した部品表記ラベル26が貼付される。つまり、例えば、電子部品構造体20が有する電子部品22が抵抗の場合は、部品表記ラベル26には抵抗の図記号が示される(図12(a)参照)。これにより、電子回路図Aに示される電子部品の図記号に対応する電子部品22を有する電子部品構造体20を容易に識別できるので、電子回路についての初学者によっても容易に電子回路を構成することができ、学習の進行をスムーズに行うことができる。また、電子部品の図記号と該図記号に対応する実際の電子部品22との対応関係が明確になることから、電子部品の図記号から実際の電子部品22をイメージし易くなり、実験学習を行うことによる成果の向上が図れる。
また、従来から一般的に電子回路・電気回路の教本において理解を容易にするために示されている回路図を、そのイメージのまま実際の電子回路として容易に構成することができるので、教本に示されている回路図と実際に構成される電子回路との対応関係が明確となり、従来からのブレッドボード等を用いた電子回路についての実験と比較しても、高い学習効果を得ることが期待できる。
このように、本発明に係る電子回路教材は、シート状回路パターン10及び電子部品構造体20によって安価かつ簡単に構成することができる。これにより、学校教育などにおける一斉教育の場において、学習者全員に配るに際し適したものとなり、学習者が各自で実験にともなう作業を行うことができるので実験学習による成果の向上が図れる。
また、電子部品構造体20をシート状回路パターン10上に載置するという簡単な操作により電子回路を構成することができるので、初学者にとっても容易に電子回路を構成することができて学習の進行がスムーズに行える。また、このように簡単な操作により電子回路を構成することができることから、実験学習を行うに際しハンダ付け等の大掛かりな作業を行う必要がないので、若年者などでも安全に実験を行うことができるとともに、一般教室においても電子回路についての実験学習を手軽に行うことができる。さらに、電子回路作成に際し、電子部品22の特性(例えば電子部品22が抵抗の場合はその抵抗値など)により、電子部品構造体20を取り替えたり、電子回路の構成を変更するため増減させたりする作業が容易となるので、電子回路について様々な測定を行うことができて学習者の試行錯誤を促がすことができ、電子回路についての理解を深めることができる。このような点からも実験学習による成果の向上が図れる。
また、シート状回路パターン10においては、電子部品同士(電子部品構造体20同士)を接続する導線としての箔導体12がシート部材11の表面に露出していることから、電子部品同士が実際に導線によって接続され、この箔導体12を電気が流れているという実感を学習者が十分に得ることができ、特に初学者にとっては、電子回路についての実験学習をより体感的に行うことができる。
なお、本発明に係るシート状回路パターン10及び電子部品構造体20により構成される電子回路、即ち電子回路図Aに示される電子回路は、図示のものに限定されるものではない。つまり、異なる電子回路図Aが描かれたシート状回路パターン10を複数用いるとともに、これらシート状回路パターン10の電子回路図Aに示される電子部品の図記号に対応する電子部品22を有する電子部品構造体20を用いることにより、様々なパターンの電子回路を構成することが可能となる。このことから、本発明に係る電子回路教材は、小・中学生などの初学者が行う基礎的な学習から大学生などが行うより専門的な学習まで広範囲に亘る電子回路の学習に利用することができる。
また、シート状回路パターン10は、紙製などのシート部材11が用いられて構成されるので、電子回路の学習に用いられる教本に付属的に用いることができ、教本に示される学習内容の流れに沿った体系的な学習を行うことができる。すなわち、シート状回路パターン10を構成するシート部材11に、該シート部材11に描かれる電子回路図Aとともに、該電子回路図Aに関係する文章や法則や式や図表などを記載することにより、シート状回路パターン10自体を付属的な教本の如く利用することができる。この場合、例えば、図1、図2に示すように、シート部材11にファイル穴13を設けて複数のシート状回路パターン10を学習内容の単元ごとにファイリングすること等により、シート状回路パターン10を教本のような態様で用いることができる。
また、本発明に係る電子回路教材を用いた具体的な実験として、電子部品22にかかる電圧や電子部品22間の電圧やグランドレベルに対する電圧等を測定する場合、テスター等のプローブを箔導体12に当てるだけで測定することができるので、これらの測定が簡単に行え、印加電圧の変更や抵抗を変化させたときの出力変化等も容易に測定することができる。
以上のように構成される電子回路教材は、電子部品構造体20のシート状回路パターン10への載置安定性及び底導電体25x・25yの箔導体12に対する導電接続性の向上を図るため、次のような構成とすることができる。以下、本発明に係る電子回路教材のより好ましい構成について図7〜図11を用いて説明する。なお、既に説明した部材と共通する部材やその部分については同様の符号を用いてその説明を省略する。
まず、電子部品構造体20が有する電子部品22が2端子部品(例えば抵抗、発光素子など)の場合について、図7及び図8を用いて説明する。この場合においては、電子部品構造体20において、略円盤状に構成される部品実装基板21に、電子部品22の各端子22x・22yと底導電体25x・25yとの導電的な接続を確保する形状を有する磁石30を、該磁石30の磁力が部品実装基板21の底面21cから働くように設けるとともに、該磁石30に対して磁気吸引力を有する磁性部材31を、シート状回路パターン10の下方に配置する。
具体的には、図7に示すように、電子部品構造体20を構成する部品実装基板21を、電子部品22の端子22x・22yがそれぞれ差し込まれる取付穴21dを有する取付板部21eと、該部品実装基板21の底面21cを構成する底板部21fとから構成し、これら取付板部21eと底板部21fとの間に、その平面視形状を部品実装基板21と合わせた板状の磁石30を介装することにより、部品実装基板21に磁石30を内設する。ただし、部品実装基板21に対して磁石30を内設するための構成は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、部品実装基板21内に空洞を設け、この空間内に磁石30を収納するような構成であってもよい。
このようにして部品実装基板21に内設される磁石30は、その略中央部に孔部30aを有する略円環状に形成されることにより、電子部品22の各端子22x・22yと底導電体25x・25yとの導電的な接続を確保する形状を有している。これにより、磁石30はその孔部30aにおいて、部品実装基板21内における中導電体24x・24yの上下方向の貫通を確保している。つまり、部品実装基板21を構成する取付板部21e及び底板部21fにはそれぞれ導通孔21bが形成され、これら導通孔21b内及び磁石30の孔部30a内を中導電体24x・24yが上下方向に貫通することとなる。ただし、電子部品22の各端子22x・22yと底導電体25x・25yとの導電的な接続を確保するための磁石30形状については本実施形態に限定されるものではなく、例えば、孔部30aの代わりに、部品実装基板21に形成される導通孔21bと略同径となる孔部を各導通孔21bに対応させて設けてもよい。また、前述の如く、中導電体24x・24yを部品実装基板21の外表面を伝わせて配設する構成とする場合は、磁石30について孔部30aを有しない形状とすることもできる。
そして、このように磁石30が内設される電子部品構造体20に対し、シート状回路パターン10の下方に、磁石30に対して磁気吸引力を有する磁性部材31を配置する。この磁性部材31としては、鉄板やマグネットシート等が用いられる。また、シート状回路パターン10の下方に配置される磁性部材31は、該磁性部材31上にシート部材11を貼付すること等によりシート状回路パターン10と一体的に設けたり、磁性部材31をシート状回路パターン10を載置する台座や下敷きとして用いること等により別体として設けたりすることにより、シート状回路パターン10の下方に配置される。
これにより、電子部品構造体20には、その自重による重力に加え、磁石30及び磁性部材31間の磁気吸引力が働くので、電子部品構造体20のシート状回路パターン10に対する載置安定性を向上することができるとともに、電子部品構造体20のシート状回路パターン10に対する接触が確実となることから底導電体25x・25yの箔導体12に対する導電接続性の向上を図ることができる。
すなわち、磁石30及び磁性部材31は、これらの間の磁気吸引力が、電子部品構造体20のシート状回路パターン10に対する所望の吸引力を構成するように設けられ構成される。この所望の吸引力としては、電子部品構造体20の取り替え作業などがスムーズに行える程度であり、かつ、シート状回路パターン10が振動されること等により電子部品構造体20が容易に動かない程度のものとなる。
また、電子部品構造体20が有する電子部品22が3端子部品(例えばトランジスタ・FET・サイリスタ等)の場合は、図9〜図11に示す如くとなる。なお、既に説明した部材と共通する部材やその部分については同様の符号を用いてその説明を省略する。図9〜図11においては、電子部品構造体20を構成する部品実装基板21及び該部品実装基板21に内設される磁石30が、それぞれ略矩形板状に構成された場合を示しており、端子22x・22yに加え電子部品22が有する端子22zに対して、上導電体23z、中導電体24z及び底導電体25zが配設されている。
このように電子部品22が3端子部品の場合も、前述した2端子部品の場合と同様に、一の端子22x側に接続される上導電体23x・中導電体24x・底導電体25xと、他の二つのうちの一方の端子22y側に接続される上導電体23y・中導電体24y・底導電体25yと、残りの端子22z側に接続される上導電体23z・中導電体24z・底導電体25zとが、互いに導電的に非接続状態となるように配設され、電子部品22の各端子22x・22y・22z相互間は、導電的に非接続状態が保たれる。つまり、これら各導電体の構成や配置などは、前述した2端子部品の場合と同様に、底導電体25x・25y・25zが、電子部品22の端子22x・22y・22z相互間を導電的に非接続状態に保つとともに、各端子22x・22y・22zとそれぞれ導電的に接続されていれば本実施形態に限定されるものではない。なお、図9〜図11においては、磁石30はその略中央部に孔部30aを有する代わりに、例えば、孔部30aの代わりに、部品実装基板21の取付板部21e及び底板部21fそれぞれに形成される導通孔21bと略同径となる孔部を各導通孔21bに対応させて設けること等により、各中導電体24x・24y・24zをそれぞれの位置において上下方向に貫通させる構成としている。
そして、このように電子部品22として3端子部品を有する電子部品構造体20が、シート状回路パターン10の電子回路図A上に載置されることにより、電子部品構造体20の電子部品22とシート状回路パターン10上に貼付されている箔導体12とが導電的に接続される。すなわち、図11に示すように、電子回路図Aにおける電子部品の図記号上において、3方向からの箔導体12相互間に設けられている間隔Sの上に、該図記号により示される電子部品22を有する電子部品構造体20が載置されることにより、電子部品22の一の端子22xは、上導電体23x、中導電体24x及び底導電体25xを介して一の箔導体12に導電的に接続され、他の二つのうちの一方の端子22yは、上導電体23y、中導電体24y及び底導電体25yを介して他の二つのうちの一方の箔導体12に導電的に接続され、残りの端子22zは、上導電体23z、中導電体24z及び底導電体25zを介して残りの箔導体12に導電的に接続されることとなる。
さらに、4端子以上を有するオペアンプやIC(集積回路)等の電子部品についても前述の如く適用可能であり、この場合、電子部品の各端子から側方へ平行に前記上導電体と前記底導電体を延出することにより、導電的に非接続状態が保たれるように構成することができる。
以上のように構成される2端子部品または3端子部品を有する電子部品構造体20において、前述の如く部品実装基板21の上面21aに貼付される部品表記ラベル26は、図12に示すようなものとなる。すなわち、図8等に示すように、平面視で略円形状となる部品実装基板21を有し、電子部品22として例えば抵抗を有する電子部品構造体20に対しては、図12(a)に示すような、抵抗の図記号が記された部品表記ラベルが用いられ、図11等に示すように、平面視で略矩形状となる部品実装基板21を有し、電子部品22として例えばトランジスタを有する電子部品構造体20に対しては、同図(b)に示すような、トランジスタの図記号が記された部品表記ラベルが用いられる。また、4端子以上を有する電子部品の場合の部品表記ラベルについて、その電子部品がICの場合は図記号や論理演算記号等が用いられる。
また、シート状回路パターン10における電子回路図Aの電子部品の図記号上において、箔導体12間に設けられている間隔Sの間を短絡する際には、図13に示すような短絡用構造体40が用いられる。図13(a)は側面図であり、同図(b)は平面図である。これらの図に示すように、短絡用構造体40は、基板41の底面41cに一体の底導電体45が設けられるとともに、前述のような電子部品構造体20と同様、該基板41に磁石43を内設可能に構成される。すなわち、基板41を上板部41eと底板部41fとから構成するとともに、これら上板部41eと底板部41fとの間に、その平面視形状を基板41と合わせた板状の磁石43を介装することにより、基板41に磁石43を内設している。そして、基板41の上面41aには、図13(b)に示すような短絡状態を示す図記号が記された表記ラベル46が貼付される。このような構成を有する短絡用構造体40が、箔導体12間に設けられている間隔Sの上に載置されることにより、箔導体12同士が底導電体45により導電的に接続され、その部分が短絡されることとなる。
続いて、シート状回路パターン10のより好ましい構成について説明する。前述の如く、厚紙などが用いられるシート部材11上に箔導体12が貼付されることにより構成されるシート状回路パターン10において、箔導体12を平角線とするとともに、この平角線をテープ部材14(図1)によりシート部材11に貼付する。すなわち、箔導体12として、断面形状が略長方形となる帯状の平角線(リボン線)を用い、これをシート部材11上に描かれている電子回路図Aに示される導線の図記号に対応する位置に貼付する。そして、この箔導体12を貼付する際、テープ部材14を箔導体12の表面側からシート部材11とともに貼り付けることにより、箔導体12をシート部材11に貼付する。このため、テープ部材14は、その幅が箔導体12の幅よりも大きいものが用いられる。
前記テープ部材14としては、メンディングテープやセロハンテープ等の粘着テープを用いることができるが、前述の如く、本発明の電子回路教材は、箔導体12をシート部材11の表面に露出させることで、より体感的な実験学習が行える点をその効果の一つとしているため、透明度が高く、さらに変色・変形しにくいメンディングテープを用いることが好ましい。このようなテープ部材14を、箔導体12に沿って部分的に、または箔導体12の前記底導電体25x・25y(・25z)との接触部分以外の全体に亘って貼り付けることにより、箔導体12をシート部材11上に貼付し保持する。
このようにシート状回路パターン10を構成することにより、安価で容易に入手できるものにより手作業でシート状回路パターン10を構成することができるので、該シート状回路パターン10をより簡単かつ安価に構成することができる。また、このような構成の場合、本発明に係る電子回路教材を使用する学習者に、自己の使用するシート状回路パターン10を各自作成させることもできる。また、箔導体12としての平角線を容易に取り外すことができるので、回路(配線)変更も容易に行うことができ、廃棄する際やリサイクルする際に容易に分別することができる。
ところで、昨今においては、携帯電話などに見られるように電子部品も微細化・小型化されてきており、従来のリード線などが用いられる電子部品から、表面実装部品(基板などに表面実装される電子部品)へと変わってきている。本発明に係る電子部品構造体は、このような表面実装部品としての電子部品を有する構成とすることもできる。
具体的には、図14及び図15に示すように、電子部品として表面実装部品52を有する電子部品構造体50においては、プリント基板としての部品実装基板51上に表面実装部品52が表面実装される。この場合、部品実装基板51上には、上導電体53・53・・・としてペースト状のハンダ(接続端子)が塗布されており、この上導電体53・53・・・上に表面実装部品52が専用の射出機で装着された後、加熱されることによりハンダが溶融して表面実装部品52が接着される。すなわち、部品実装基板51の上面51aに塗布される上導電体53は、該部品実装基板51上における略中央部に接着される表面実装部品52の各端子(足)に対応してそれぞれ導電的に接続されるように部品実装基板51の中央部に集中的に配されるとともに、該中央部からその幅を広げながら略放射状に広がった後、並列的に配される。
そして、部品実装基板51の底面51cには、前記上導電体53・53・・・それぞれに対して導電的に接続される底導電体55・55・・・が、金属箔導体が貼付されること等により上導電体53・53・・・の並列部分に対応して並列に配設される。ここで、上導電体53・53・・・と底導電体55・55・・・との接続構成としては、各導電体53・55同士が平面視で重なる位置において、部品実装基板51を上下方向に貫通する導電体を配設することにより接続する構成としたり、上導電体53・53・・・を延設して部品実装基板51を貫通させるか或いは外表面を伝わせることにより接続する構成としたりすることが考えられる。
このように構成される部品実装基板51を有する電子部品構造体50に対し、シート状回路パターン10においては、部品実装基板51の底導電体55・55・・・に対応するように箔導体12・12・・・が配される。つまり、箔導体12・12・・・は、部品実装基板51の底面51cにおいて並列に配設される底導電体55・55・・・間の間隔と略同一間隔を隔てて配された状態で貼付される。ただし、箔導体12・12・・・の数は、電子部品構造体50が有する表面実装部品52の端子の数に対応できる数となる。
また、このように構成される部品実装基板51を有する電子部品構造体50において、前述したように、シート状回路パターン10の下方に配置される磁性部材31に対応する磁石を設ける際は、部品実装基板51上に、該部品実装基板51とその平面視外形を略同じとする略枠型の磁石58が用いられる。すなわち、部品実装基板51上に接着される表面実装基板52に接触しない位置であって該部品実装基板51上の外縁部に磁石58を設置固定させるべく、略枠型の形状を有する磁石58を用いる。
そして、部品実装基板51上に設けられる磁石58上には、電子部品構造体50が有する表面実装部品52の識別を行うための、該表面実装部品52についての論理演算記号や回路図(IC部品図)などが示されている部品表記板57が取り付けられる。なお、図示においては、部品表記板57に示される回路図などは省略している。
このように、電子部品として表面実装部品52を有する電子部品構造体50について、図14及び図15においては、電子部品構造体50は全体として略矩形板状となるように構成されているが、略円盤状などに構成してもよく、その外形は限定されるものではない。
また、部品実装基板51について、底導電体55・55・・・と導電的に接続されるICソケットを用い、これを部品実装基板51の上面51aに配置して、電子部品を交換可能に構成することもできる。
このように、本発明に係る電子回路教材は、電子部品構造体に表面実装部品を有する構成とすることもできるので、顕微鏡で確認しなければならないような微細な電子部品についての機能や動作について、座学レベルにおいて学習者に実体験させることができる。
また、シート状回路パターン10を構成するシート部材11には、電子回路図Aに関する記載を施すこともできる。この電子回路図Aに関する記載としては、例えば、電子回路を学習する上での基本法則であるオームの法則やキルヒホッフの法則などを表す式や、電子回路図Aに示される電子部品が有する特性を示す図表や、シート状回路パターン10及び電子部品構造体20により構成された電子回路における電圧や電流などの測定箇所を表示する記号などが考えられる。また、こうした式や図表に記入ができる空欄を設け、学習者により実際の測定結果などを記入させることもできる。
具体的に、本実施形態における電子回路図Aの場合について説明する。電子回路図Aは、前述の如く、トランジスタの基本増幅機能及びスイッチとしての動作を理解させるための電子回路(エミッタ接地形)を示している。この電子回路図Aにおいては、図2に示すように、図記号により示される電子部品の両端の電圧や電源電圧などを示す記号として、Vrb(抵抗Rbの両端の電圧)、Vrc(抵抗Rcの両端の電圧)、VLED(発光素子LEDの両端の電圧)、Vbe(トランジスタTrのベース・エミッタ電圧)、Vce(トランジスタTrのコレクタ・エミッタ電圧)、Vcc(電源電圧)が、それぞれ電子回路図A上での位置が示されるとともに記載されている。これらの記号により示される各部の電圧は、すべて直流電圧として測定が可能である。つまり、箔導体12はシート部材11上で露出しているために、各電子部品間やグランドレベルに対する電圧等を、テスターやオシロスコープ等のテスター棒やプローブ等を押し当てることにより容易に測定することができるのである。ここで、図示のように、前記各部の電圧を示す記号の近傍に、実際の測定値を記入させるための空欄15をそれぞれ設けてもよい。また、これら電圧の関係を示す式16等を記載してもよい。
また、図示は省略するが、小型半固定抵抗VRの抵抗値を変化させることにともなう、ベース電流I(=Vrb/R)の変化及びコレクタ電流I(=Vrc/R)の変化を測定し、これらからエミッタ接地形のトランジスタ増幅回路における電流増幅率(I/I)を求めるに際し、小型半固定抵抗VRの抵抗値に対応するベース電流I、コレクタ電流I、電流増幅率(I/I)の測定値を学習者により記入させていく空欄を有する表などをシート部材11上に記載することもできる。なお、前記R、Rは、抵抗Rb、Rcにおける抵抗値をそれぞれ示している。
このように、シート状回路パターン10のシート部材11に電子回路図Aに関する記載を施すことにより、学習を促がすことができるとともに、指導者が電子回路における電圧測定箇所などを指示する場合の便宜が図れ、この指示内容について初学者などでも間違えることなく容易に把握することができる。これにより、学校教育などにおける一斉教育の場においても、本発明に係る電子回路教材を用いた実験学習における学習の進行をよりスムーズに行うことができる。
また、前述のように、電子回路図Aが描かれるとともに該電子回路図Aに関する記載が施されるシート部材11と同様のシート部材を、シート状回路パターン10とは別に用意する構成としてもよい。すなわち、電子回路図Aと同一の電子回路図が描かれるとともに該電子回路図Aに関する記載が施された補助シートを用いるのである。そして、前述の如く学習内容の流れに沿った複数のシート状回路パターン10を用いる場合には、各シート状回路パターン10に応じた補助シートが用いられることとなる。
このような補助シートを用いることにより、学習者がシート部材11に記入することによって該シート部材11を汚したり破ったりすることがなくなるので、前述したような、学習を促がしたり指導者による指示の便宜が図れたりする効果が得られるとともに、シート状回路パターン10を長期に亘って使用することが可能となる。
さらに、出力側にブザーや面状スピーカ等の機器類を接続することにより、増幅されたことが音により容易に理解させることができ、音と電圧との関係を容易に理解させることもできる。また、出力側にはブザー等の代わりにモータやソレノイド等のアクチュエータを接続することにより動作させることも可能である。
このように、本発明に係る電子回路教材を用いることにより、電子回路についての様々な測定を行うことができるとともに、電子回路における電圧・電流などの値と該電子回路に接続される機器類の動作との関係性などを容易に理解させることができる。
本発明に係る電子回路教材を示す斜視図。 シート状回路パターン上の電子回路図を示す図。 電子部品構造体及びシート状回路パターンを示す側面断面図。 電子部品構造体を示す平面図。 同じく底面図。 ラミネート加工を施した箔導体を示す断面図。 電子部品構造体及びシート状回路パターンの別構成を示す側面断面図。 2端子部品を有する電子部品構造体を示す斜視図。 3端子部品を有する電子部品構造体を示す平面図。 同じく底面図。 同じく斜視図。 部品表記ラベルを示す図。 短絡用構造体を示す図。 表面実装部品を有する電子部品構造体及びシート状回路パターンを示す側面断面図。 同じく分解斜視図。
符号の説明
10 シート状回路パターン
11 シート部材
12 箔導体
14 テープ部材
15 空欄
16 式
20 電子部品構造体
21 部品実装基板
21c 底面
22 電子部品
22x・22y・22z 端子
25x・25y・25z 底導電体
30 磁石
31 磁性部材
50 電子部品構造体
51 部品実装基板
51c 底面
52 表面実装部品
55 底導電体
58 磁石
A 電子回路図

Claims (5)

  1. 電子回路を構成する電子部品を用いた電子回路教材であって、
    シート部材上に描かれた電子回路図に示される導線の図記号に対応する位置に箔導体を貼付したシート状回路パターンと、前記電子回路図に示される各図記号に対応する電子部品を有し該電子部品を支持する部品実装基板の底面に該電子部品の各端子と導電的に接続される底導電体を配設した電子部品構造体と、を備え、
    前記電子回路図における電子部品の図記号上に、該図記号により示される電子部品を有する前記電子部品構造体を載置することにより、該電子部品と前記箔導体とが導電的に接続されることを特徴とする電子回路教材。
  2. 前記部品実装基板に、前記電子部品の各端子と前記底導電体との導電的な接続を確保する形状を有する磁石を、該磁石の磁力が前記部品実装基板の底面から働くように設けるとともに、該磁石に対して磁気吸引力を有する磁性部材を、前記シート状回路パターンの下方に配置することを特徴とする請求項1記載の電子回路教材。
  3. 前記箔導体を平角線とするとともに、該平角線をテープ部材により前記シート部材に貼付したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子回路教材。
  4. 前記シート部材に、前記電子回路図に関する記載を施したことを特徴とする請求項1または請求項3記載の電子回路教材。
  5. 前記電子回路図と同一の電子回路図が描かれるとともに該電子回路図に関する記載が施された補助シートを用いることを特徴とする請求項1または請求項3または請求項4記載の電子回路教材。
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