JP2006214465A - 能動振動制御装置及び能動振動制御方法 - Google Patents

能動振動制御装置及び能動振動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目障りな騒音を除去しつつ、乗員に対して十分な警告音を伝達する能動振動制御装置及び能動振動制御方法を提供する。
【解決手段】車両の車体に伝わる振動又は騒音に対して、車体上に配置されたアクチュエータが生成する制御振動を重ね合わせることにより、車体に伝わる振動又は騒音を相殺する能動振動制御装置であって、路面から伝わる振動又は音によって車両の乗員に一定の情報を知らせるために路面上に配置された凹凸部からなる道路情報システムの存在を検出する検出部43と、道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアクチュエータを制御する信号処理部42とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は能動振動制御装置及び能動振動制御方法に関し、特に、車両の車体に伝わる振動又は音に制御振動を干渉させることにより、振動又は音を相殺する能動振動制御技術に関する。
従来より、車両の車室や航空機の客室などの騒音低減に適した、複数の騒音源から伝達される騒音に対して制御音を発生させて両者を干渉させることにより騒音を低減させる能動型騒音制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、複数の騒音源から伝達される騒音の中で最も支配的なものを選択して制御音との干渉によりこれを低減させることにより、全体として効率良く且つ実効のある騒音制御を行うことを目的としている。
特開平3−203497号公報
ところで、車両の走行によりタイヤ・ホイールを介して車室に伝達する振動或いは音の中には、“騒音(ノイズ)”でないものも含まれる。例えば、路面上に意図的に形成された凹凸部の上をタイヤが転がる時に車室内に伝わる信号であって、乗員に対して危険を警告するものがある。このような信号は、目障りでうるさいものではなく、車内に伝達されることで安全のために役立つ信号であり、低減又は除去されるべきではない。
しかし、特許文献1の装置は、この車内に意図的に伝達される信号を、最も支配的な騒音として選択して低減してしまう。これにより、乗員に対して十分な警告を発することが困難となる場合がある。
上記問題点を解決するため、本発明は、車両の車体に伝わる振動又は騒音に対して、車体上に配置されたアクチュエータが生成する制御振動を重ね合わせることにより、車体に伝わる振動又は騒音を相殺する能動振動制御装置であって、路面から伝わる振動又は音によって車両の乗員に一定の情報を知らせるために路面上に配置された凹凸部からなる道路情報システムの存在を検出する検出手段と、道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアクチュエータを制御する制御手段とを備えることを要旨とする。
本発明によれば、道路情報システムの存在を検出して当該道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアクチュエータを制御することにより、道路情報システムによる振動又は音を相殺することなく、その他の振動又は騒音を相殺することができる。よって、目障りな騒音を除去しつつ、乗員に対して十分な警告音を伝達する能動振動制御装置及び能動振動制御方法を提供することが出来る。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一あるいは類似の部分には同一あるいは類似な符号を付している。
[全体構成]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係わる能動振動制御装置は、車両の車体5に伝わる振動又は音に対して、車体上に配置されたアクチュエータ3が生成する制御振動を重ね合わせることにより、車体5に伝わる振動又は音を相殺するアダプティブフィルタコントローラ4aと、車体5に伝達する振動又は音を測定するセンサ(1、2)と、車体5のフロアパネル6上に配置されたアクチュエータ3とを備える。
アダプティブフィルタコントローラ4は、アクチュエータ3を制御するアダプティブフィルタ7と、アダプティブフィルタ7のパラメータを更新するアダプティブロー8とを備え、センサ(1、2)が測定する振動又は音に基づいてアクチュエータ3を制御することにより車体5に伝わる振動又は音を相殺する。アダプティブフィルタコントローラ4の例として、AVC(active vibration control) コントローラやANC(active noise control) コントローラが挙げられる。
車体5に伝達する振動又は音を測定するセンサ(1、2)には、路面11からタイヤ10a、10b及びホイールを介して車体5に伝わる振動を測定する加速度センサ1と、車体5から車室内に伝達する音を測定するマイクロフォン2とが含まれる。
アクチュエータ3は、所定の電圧を印加されることにより自らが歪み、フロアパネル6にその歪みを伝達する。連続的にフロアパネル6に歪みを伝達することにより制御振動が形成される。アクチュエータ3として、結晶に電界を加えると電界に比例した歪みが生じるピエゾ効果(圧電効果)を利用したピエゾ電気アクチュエータ(piezo-electric actuator)を使用することができる。
このように、能動振動制御装置は、センサ(1、2)が車体5に伝達する振動又は音を測定し、センサ(1、2)が測定した振動又は音に基づいて、アクチュエータ3を歪ませて車体に制御振動を生成する。車体5の外部から車内に伝わる振動や音に対して制御振動を干渉させることにより、振動や音を相殺して低減する。
なお、振動や騒音を低減するコントローラには、アダプティブフィルタを使用したフィードフォワードコントローラや、HやHなどのフィードバックコントロールやその他のコントローラが実際にはある。しかしここでは、アダプティブフィルタを使用したフィードフォワードコントローラを例に取り、説明を続ける。しかし、本実施形態の能動振動制御装置は、その他のコントローラについても適用可能である。
振動や騒音を低減するコントローラには様々なものがあるが、アダプティブフィルタコントローラ4はその中で最も良く使用されているコントローラの一つである。アダプティブフィルタコントローラ4は、オンラインでアダプティブフィルタ7のパラメータを更新することにより所定の目的を達成する。ここでの所定の目的は、車体5に伝わる振動又は騒音を相殺することである。パラメータの更新はアダプティブロー8に従って行われる。
図2に示すように、能動振動制御装置によって制御されるシステム9全体は、例えば転送関数形式(transfer function form)のモデルG(z)により表され、モデルG(z)は更に2つの部分に分けることが出来る。
第1の部分は、外乱源Xから車体5又はフロアパネル6上のアクチュエータ3までの振動の散乱に相当し、例えば転送関数形式のモデルF(z)により特徴付けられる。このモデルF(z)は、タイヤ10a、10bを介して車体5又はフロアパネル6上のアクチュエータ3まで伝達する外乱による振動を表す。
第2の部分は、アクチュエータ3からマイクロフォン2又は車室内の音響レベルを測定する測定点まで伝達する音波に相当し、例えば転送関数形式のモデルC(z)により特徴付けられる。第2の部分は、アクチュエータ3での音響生成からマイクロフォン2による車内の騒音レベルの測定までの間を表現している。
実際の振動モデルを正確に測定或いは評価することは一般的に難しい。外乱源xの数及び配置を正確に知ることが困難だからである。しかし、音響モデルC(z)21を正確に決定することは可能である。アクチュエータ3の数及び配置を正確に知ることが出来、振動及び音量を測定する加速度センサ1又はマイクロフォン2の配置も正確に知ることが出来るからである。
アダプティブフィルタコントローラ4aの主な利点は、システム9の振動モデルを測定する必要が無いことである。モデルF(z)7は、外乱源の信号x(n)と音響レベルに応じた信号e(n)からオンラインで評価される。
図2に示すように、制御ループはF(z)A(z)C(z)のループによって特徴付けられる。ここで、F(z)はアダプティブフィルタの転送関数を示し、モデルF(z)から転送関数A(z)のアクチュエータ3へ信号yが転送される。アクチュエータ3による振動は、アクチュエータ3から乗員の耳までの音響モデルC(z)により表される。音響レベルは転送関数S(z)のマイクロフォン2により測定される。
システムを簡素化するために、アクチュエータ3とセンサ(1、2)の力学系、例えば、転送関数A(z)及びS(z)は無視することが出来る。ただし、厳密には騒音制御において考慮に入れることが望ましい。
また、表記を簡単にするために、総ての転送関数は、(1)式に示すようなFIR(finite impulse response)モデルにより表すことが出来る。
音を表す制御ループF(z)A(z)C(z)の出力ycは、実際のシステム9の出力gに加算され(u=g+yc)、所定の周波数帯において零となるように計算される。
実際には、アダプティブフィルタF(z)のパラメータfφは、出力ycが出力gに干渉して互いに打ち消すように調整される。車室内の音量に相当する信号e(n)は、例えばマイクロフォン2により測定される信号である。或いは、車室内の音量に相当する車体5に配置された加速度センサ(Gセンサ)により測定される信号であっても構わない。
アダプティブフィルタF(z)は、一般的に(2)式に示すようなFIRフィルタによって表される。アダプティブフィルタF(z)のパラメータfφの数をφmとする。変数φは0〜(φm−1)まで変化する。
ここで、z-iはZ変換の変数であり、(3)式により表される。(3)式において、h(n)はサンプル信号である。
よって、アダプティブフィルタF(z)の出力y(n)は(4)式により表される。
図2の音量を示す信号e(n)は(5)式により表される。
マイクロフォン2のモデルS(z)は、FIRフィルタのみならずIIRフィルタによっても表すことができる。モデルS(z)は、σm個のパラメータを有するFIRフィルタで表される。パラメータfφを計算するアダプティブロー8により最小化される基準値Jは(6)式により定義される。
パラメータγe及びγyはユーザにより固定される。(7)式に示す基準値Jの微分値が零になった時に基準値Jは最小値へ到達する。
ここで信号r(n-i)は(8)式により定義される。
アダプティブロー8は、(9)式に従って、アダプティブフィルタF(z)のパラメータfφを(n)から(n+1)へ更新する。ここでnは更新回数を示し、Kはユーザにより固定される。
(9)式は、更に(10)式へ書き換えることができる。
(10)式においてパラメータΛ及びΓは、それぞれユーザにより設定され、2Kγe及び2Kγyにそれぞれ等しく、1よりも小さい。パラメータΛは、アダプティブフィルタF(z)の最適値への収束速度を固定するパラメータであり、パラメータΓは、収束安全性を固定するパラメータである。
一般的に、アダプティブフィルタF(z)のパラメータfφの初期値セットfφ(0)は、単純化及び一般化のために総て零に設定される。単純化とは、初期値セットfφ(0)を貯蓄するための特別なメモリや、初期値セットfφ(0)を計算及び評価する手段を省略することを意味する。一般化とは、車両の状態は車両の種類により異なることを意味し、パラメータfφは、車室内の騒音レベルの最小値に相当するJ(最適値)に対応する最適値へ向かって収束する。
図2に示すように、能動振動制御装置は、アダプティブフィルタコントローラ4aのほかに、更に、アクチュエータ3が生成する制御振動と干渉させて振動又は騒音を相殺するアダプティブフィルタコントローラ4aの動作を制限する非相殺モジュール41を備える。非相殺モジュール41は、マイクロフォン2から転送される信号e(z)が入力されて信号e’(z)をアダプティブロー8へ転送する。
非相殺モジュール41は、道路情報システムの存在を検出する検出部(検出手段)43と、道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアクチュエータ3を制御する信号処理部(制御手段)42とを備える。ここで、「道路情報システム」とは、路面から伝わる振動又は音によって車両の乗員に一定の情報を知らせるために路面上に配置された凹凸部を示す。なお、道路情報システムについては、図7を参照して詳細に説明する。
非相殺モジュール41が道路情報システムの存在を検出して当該道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアクチュエータ3を制御することにより、アダプティブフィルタコントローラ4aは、車両の車体5に伝わる振動又は騒音に対しては制御振動を重ね合わせてこれを相殺するが、道路情報システムによる振動及び音にたいしては行わない。
図3に示すように、図1のアクチュエータ3が固定されている車体5のフロアパネル6は、3つの主要な部分に分けることができる。具体的には、フロアパネル6は、乗員が座るシートの下に位置する平板状のキャビンフロア15と、燃料タンクが固定されるタンクパネル16と、スペアタイヤ及びトランクの下が位置するスペアタイヤパネル17とを備える。キャビンフロア15は、エンジンルームとタンクパネル16の間に位置している。スペアタイヤパネル17は、タンクパネル16と車体5の後端の間に位置している。
図4に示すように、図3のフロアパネル6の上には、車両の進行方向に向かって縦方向に伸びる縦メンバ18a〜18dと、横方向に伸びる横メンバ19a〜19dとが配置されている。フロアパネル6は車体を軽量化するべく薄い平板状に形成されているため、フロアパネル6だけでは十分な剛性が得られない。フロアパネル6よりも剛性が高い棒状の縦メンバ18a〜18d及び横メンバ19a〜19dをフロアパネル6上に固定して、フロアパネル6の剛性を高めている。縦メンバ18a〜18d及び横メンバ19a〜19dの厚みはフロアパネル6よりも厚く形成されている。縦メンバ18a〜18d及び横メンバ19a〜19dは、フロアパネル6の一方の面(表面又は裏面)側のみに固定されていても、両方の面(表裏面)に固定されていても構わない。なお、図4には示されていないが、アクチュエータ3は、フロアパネル6のうち特にメンバ18、19上に配置されていることが望ましく、更には縦メンバ18a〜18d上に配置されていることが望ましい。
図5に示すように、図2の検出部43は、車両の速度V及び道路情報システムを構成する凸部の距離Lから車両情報システムによる振動又は音の周波数nf0を計算する処理と、マイクロフォン2から転送された信号e(z)のスペクトル計算を行う処理と、道路情報システムの存在を検出する検出アルゴリズムを実行する処理と、道路情報システムの存在を検出した場合に検出フラグを1に、検出しなかった場合には検出フラグを0に設定する処理とを実行する。
図6に示すように、図2の信号処理部42は、検出フラグが1である場合に信号e(z)から信号e’(z)を計算する第1の処理と、検出フラグが0である場合に信号e’(z)として信号e(z)をそのまま転送する第2の処理を実行する。具体的に、第1の処理では、先ず信号e(z)をフーリエ変換し、フーリエ変換した信号e(z)を修正し(例えば、周波数nf0におけるピークを除去)、最後に修正した信号e(z)を逆フーリエ変換してこれを信号e’(z)とする信号処理アルゴリズムを実行する。この信号処理アルゴリズムにより、信号e(z)は、その中から周波数nf0におけるピークがバイパスされた信号e’(z)へ変換される。このように、信号処理部42ではセレクタ44は、検出フラグが1である場合には信号処理アルゴリズムを経て周波数nf0におけるピークがバイパスされた信号e’(z)を選択し、検出フラグが0である場合には信号e(z)をそのまま信号e’(z)として選択し、当該信号e’(z)をアダプティブフィルタコントローラ4aへ転送する。
[道路情報システム]
次に、図7及び図8を参照して道路情報システムについて説明する。車両が走行するとき、通常4つのタイヤ及びホイールからなるタイヤ/ホイールシステムは、道路の表面(路面)が完全な平坦でなければ路面に追従することにより振動する。タイヤ/ホイールシステムの振動は、ホイールから車体5に伝達して車体5も振動することになる。車体5に伝達した振動は、車室内において音として乗員に認識される。一般的に、これらの音は、乗員にとって不快な“騒音”として聞き取られる。AVC又はANC等のアダプティブフィルタコントローラ4aは、これらの騒音を除去或いは軽減する。
しかしながら、路面の凹凸からタイヤ/ホイールシステムを介して車室内に伝わる振動又は音の総てが乗員にとって不快な振動又は騒音ではなく、全く逆の状況もあり得る。例えば、路面に意図的に凹凸状の起伏が形成され、タイヤがこの起伏の上を転がることにより車室内に伝達される振動又は音であって、乗員に対して一定の危険を知られる、或いは警告するための有益な情報となり得る振動又は音がある。具体的には、以下に示す道路情報システムにより生成される音がこれにあたる。
図7及び図8に示すように、道路情報システムの一例として、車道34を覆うように形成されたバンド31a、31b、・・・がある。バンド31は、進行方向に対して垂直方向に伸ばされた線であり、路面に対して所定の間隔をおいて凸部を形成している。バンド31は、通常、危険なカーブの直前、急な下り斜面の直前、及び有料道路の料金所の手前に配置され、運転者に対して危険を知らせて車速度を下げるように警告することを目的とする。
また、道路情報システムの他の例として、車線を示す白線上に配置されたストリップ(凸部)35a、35b、35c、・・・がある。ストリップ35は、車道34を仕切る車道仕切線32a、32bの上に所定の間隔を置いて配置され、運転者に対して車両が車線36から外れる危険を警告することを目的とする。車道34が片側1車線の左側通行である場合、進行方向に向かって左側(外側)にストリップ35を備えた車道仕切線32a、32bが配置され、右側(内側)にストリップ35を備えていない中央線33が配置される。また、ストリップ35は高速道路上にしばしば配置されている。
このような大きなバンド31及びストリップ35は、運転者により容易に認識可能な周期的な振動又は音を生成する。振動又は音が周期的である理由は、大きなバンド31及びストリップ35が路面上に一定の間隔(距離L)をおいて規則的に配置されているからである。一定の距離Lと車速度Vから振動の周期f0を知ることが出来る。
大きなバンド31及びストリップ35による振動そして音は、明らかに、自発的に生成されたものであり、これらの振動及び音は、AVC又はANC等のコントロールシステムで削除又は軽減するべきではない。
以上説明したように、道路上に形成されたバンド31及びストリップ35により具現化された、道路状況や危険を車両の運転者に対して知らせる或いは警告するための規則的な振動を生成するものを「道路状況システム」として定義する。
[非相殺モジュールの目的]
次に、非相殺モジュール41の目的について説明する。上述したように、道路情報システムによる振動又は音は削除又は軽減すべきではない。したがって、非相殺モジュール41は、通常のAVC/ANCコントローラ4aにより行われる能動振動除去を、道路情報システムによる振動又は音に対して行わないようにすることを目的とする。そこで、実施の形態に係わる能動振動制御装置は、アダプティブフィルタコントローラ4aに対して非相殺モジュール41を付加させている。具体的に、マイクロフォン2により供給される信号e(z)を直接アダプティブフィルタコントローラ4aへ転送するのではなく、非相殺モジュール41で処理された信号e’(z)をアダプティブフィルタコントローラ4aへ転送している。非相殺モジュール41は主に以下の第1及び第2の役割を果たしている。
第1の役割は、路面から伝わる振動又は音によって車両の乗員に一定の情報を知らせるために路面上に配置された凹凸部からなる道路情報システムの存在を検出することである。第1の役割は、図2の検出部43により実行される。
第2の役割は、道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアダプティブフィルタコントローラ4a(アクチュエータ3)を制御することである。第2の役割は、図2の信号処理部42により実行される。
[道路情報システムの検出]
上記の第1の役割は、2つの技術を用いて実行される。第1の技術は、道路情報システムによって生成される振動又は音の大きさ(Sound Pressure level:SPL)についてのものであり、第2の技術は、当該振動又は音の周波数についてのものである。
なお、本発明の実施の形態において、「振動」及び「音」を明確に区別する必要はなく、まとめて「音」として解釈することができる。なぜなら、車両の走行によりタイヤ/ホイールシステムは振動するが、この振動は車室内では音として認識されるため、振動除去と音(騒音)除去は同様に扱うことが出来る。以後、振動及び音を総じて「音」と表し、振動又は音の大きさ(SPL)を「音量」と表す。
[音量による道路情報システムの検出]
先ず、道路情報システムによって生成される音量による検出技術(第1の技術)について説明する。バンド31又はストリップ35などの道路情報システムにより生成される音は、一般的にその他の騒音に比べて大きい。よって、例えば音量について適当な閾値を設けることにより、容易に道路情報システムの存在を検出することが出来る。
例えば、図9に示すように、時速20km及び時速50kmで走行している小型車を運転する運転手の右耳の位置で聞き取れる音の音量(SPL)を、周波数ごとに記録し、計算する。例えば、閾値Tdを60dBAに固定した場合、60dBAよりも大きい如何なる信号も検出される。このように、音量の閾値Tdを用いた検出技術は容易に導入可能だが、共通した2つの問題点を避けることが出来ない。その問題点とは、検出不能問題及び誤警報問題である。
「検出不能問題」とは、検出すべき信号を検出することが出来ないという問題である。つまり、道路情報システムにより生成された音であるのに、これを検出できないということである。一方、「誤警報問題」とは、検出すべきでない信号を検出してしまうという問題である。つまり、道路情報システム以外の要因で生成された騒音を、道路情報システムによる音として検出してしまうことである。これらの問題点、出来るだけ避けなければならないが、これらの問題点は、一方の問題点を改善すれば、他方の問題点が悪化してしまうという関係にある。例えば、閾値Tdを高くすることにより誤警報問題は軽減されるが、検出不能問題は増大してしまう。更に、車速度の増加に従って、車室内に伝わる音量も大きくなる。
誤警報問題を改善するためには、閾値Tdを通常の音量スペクトルの最大値よりも大きく設定しなければならないが、この通常の音量スペクトルの最大値は正確な評価が困難である。ここで、「通常の音量スペクトル」とは、道路情報システムによる音を含まない騒音のみからなる音量スペクトルを示し、「音量スペクトル」とは、センサ(1、2)により測定された音量(SPL)を音の周波数ごとに示すプロファイルを示す。
また、仮に閾値Tdが通常の音量スペクトルの最大値よりも少しだけ大きい値に設定されたとしても、検出不能問題は、依然として発生してしまう。例えば、図10に示すように、閾値Tdが通常の音量スペクトル(実線)の最大値よりも少しだけ大きい値(59dB)に設定された場合、道路情報システムによるピークを備える音量スペクトル(点線)におけるケース#1のピークは閾値Tdより大きいため検出されるが、ケース#2のピークは閾値Tdより小さいため検出されない。ケース#2のピークが道路情報システムによる音である場合、これを検出することができず、その他の騒音として能動振動制御の対象となってしまう。つまり、検出不能問題である。
閾値Tdによる信号検出技術が有する問題点をまとめると、以下のようになる。
1.閾値Tdは、通常の音量スペクトル中の最大値よりも大きい値に設定しなければいけない。
2.閾値Tdは、車速度Vに応じて更新しなければならない。なぜなら、通常の音量スペクトルは車速に応じて変化するからである。
3.閾値Tdよりも大きな音量のピークを発見しても、このピークが実際に道路情報システムにより生成されたものか否かの確証はない。これは「誤警報問題」又は「誤検出問題」に相当する。
4.たとえ閾値Tdを注意深く厳密に設定したとしても、道路情報システムにより生成された音を検出できない場合がある。これは「検出不能問題」に相当する。
したがって、上述した閾値Tdによる信号検出技術は、「誤警報問題」及び「検出不能問題」のリスクを徹底的に軽減する更に洗練された技術で置き換えなければいけない。
[周波数による道路情報システムの検出]
次に、道路情報システムによって生成される音の周波数による検出技術(第2の技術)について説明する。検出音の音量による検出以外の技術で、道路情報システムにより生成された音を検出することができる。この技術は、道路情報システムによる音の周波数特性を利用する。
道路情報システムによる音の周波数は知ることができる。道路情報システムにより生成された音のピークが当該周波数に従って検出される場合、そのピークの信頼性は、図10に示したような全周波数帯に共通する閾値Tdに基づいた検出技術に比べて高いものとなる。ここで、以下の問題が発生する。
A.どのようにして道路情報システムによる音の周波数を知るか。
B.どのようにしてその周波数でのピーク検出の可否を判定するか。
先ず、道路情報システムによる音の周波数を知る方法について説明する。前述したバンド31及びストリップ35に代表される道路情報システムは、車道の進行方向に向かって規則的に配列されている。バンド31及びストリップ35は、その上を転がるタイヤ/ホイールシステムに規則的な振動を形成し、これにより車室内に規則的な音を形成する。ただし、車速度Vは一定であるとする。
図11に示すように、一般的に、ストリップ35a〜35dは総て等しい距離Lをおいて配列されており、この距離Lは予め定められた周知の値である。距離Lが道路の種類によって異なる場合、距離Lは車両に搭載されたナビゲーションシステムから得られる。なお、ここでは、ストリップ35a〜35dについて説明するが、バンド31を含むその他の道路情報システムについても同様である。
道路情報システムにより生成される音の基本的な周波数f0は、(11)式に示すように、車両の進行方向に隣接する2つのストリップ35間の距離Lを車両が走行するのに必要な時間Tの逆数で表される。
経過時間Tは(12)式に示すように距離Lと車速度Vで明確に表すことが出来る。
したがって、基本的な周波数f0は、(13)式に示すようになる。即ち、周波数f0は車両の車速Vを道路情報システムを構成する凸部(ストリップ35)間の距離Lで割算したものである。
距離Lは予め定められた周知の値であり、車速度Vも常時測定することが出来るため、基本的な周波数f0も常時計算することが出来る。
タイヤがバンド又はストリップ35にぶつかって音を生成している時間は非常に短いため、道路情報システムによる音は、ディラックパルス(Dirac pulse)として近似することが出来る。ストリップ35による音を経過時間ごとにプロットすると、図12に示すように、その音量スペクトルはピーク時の音量がAである櫛状(ディラックカウム:Dirac comb)のプロファイルになる。時間T、2T、3T、・・・におけるピークは、タイヤがストリップ35の上を転がる時に生成される音である。このストリップによる音s(t)は、(14)式により表すことが出来る。
ここで、Zは自然数を表し、ディラック関数は(15)式により表される。
図12に示すように、経過時間ごとの音量スペクトル(ディラックカウム)をフーリエ変換した音量スペクトルS(f)も、同様にして、ディラックカウムを形成している。フーリエ変換した信号S(f)は、(16)式により表すことが出来る。このように、フーリエ変換した信号S(f)は、横軸を周波数とし、縦軸を音量とする音量スペクトル、つまり周波数ごとの音量を表す音量スペクトルを表す。周波数ごとの音量スペクトルは、ピーク時の音量がA’である。
なお、基本的な周波数f0をn倍(nは自然数)した周波数nf0は、基本的な周波数f0のハーモニクスを示す。
上述した基本的な周波数f0が判明すれば、道路情報システムを検出することができる。具体的には、複数の周波数nf0において局所的なピークが現れた場合、道路情報システムを検出して、当該周波数nf0におけるAVC/ANCによる信号の除去又は軽減を行わない。
周波数nf0は周波数f0から算出することが可能であるため、局所的なピークひいては道路情報システムの存在を判定するための局所的な閾値のみが必要となる。ここで、「局所的な閾値」とは、周波数nf0を含む一定の周波数帯における音量の閾値を示し、図10に示したような全周波数帯に共通する閾値Tdとは異なるものであり、当該閾値Tdにより効果的である。なぜなら、センサ(1、2)により測定される音量はその周波数によって大きく異なるからである。音量の検出は、有限個の自然数nからなる周波数nf0において実施してもよいし、1個の自然数nからなる周波数nf0において実施しても構わない。即ち、nは複数の自然数からなることが望ましいが、1個の自然数であっても構わない。nの数が増加することにより、道路情報システムの検出精度が向上する。このように、信号の検出は、全周波数帯において実施する必要はなく、周波数nf0を含む一定の周波数帯(ローカルウィンドウ)で行えばよい。
図13に示すように、車室内に伝達する音の測定及び比較は、局所的な周波数帯(ローカルウィンドウWi)で行うことが出来る。周波数ni0におけるピークの音量が周波数ni0を含む一定の周波数帯(ローカルウィンドウWi)における音の閾値Siよりも大きいか否かを判断して、大きい場合に限り道路情報システムが存在すると判断する。ローカルウィンドウWiは、周波数ni0を中心としたウィンドウ長λiの周波数帯である。また、閾値Siは、ローカルウィンドウWiにおける音の最大値よりもδSiだけ大きな値である。
1.ウィンドウ長λiは、総てのローカルウィンドウWiについて同じであるか、又は中心の周波数ni0に基づいて設定される。例えば、ウィンドウ長λiを10Hzに設定することができる。この場合、ローカルウィンドウWiは、周波数ni0を中心とした±5Hzの領域を形成する。
2.閾値Siは、ローカルウィンドウWiにしたがって決定されるため、局所的な閾値Siを成す。局所的な閾値Siを決定する方法は以下に示すように様々なものがある。
2−1.局所的な閾値Siとして、ローカルウィンドウWiにおける音量スペクトルの最大値を選択することができる。この際、中心の周波数数ni0でのピークの音量は含まれない。つまり、周波数数ni0のピークを除いたローカルウィンドウWiにおける音量の最大値を閾値Siとする方法がある。
2−2.局所的な閾値Siとして、ローカルウィンドウWiにおける音量スペクトルの平均値を選択することができる。この際、中心の周波数数ni0でのピークの音量は含まれない。つまり、周波数数ni0のピークを除いたローカルウィンドウWiにおける音量の平均値を閾値Siとする方法がある。
2−3.局所的な閾値Siとして、ローカルウィンドウWiにおける音量スペクトルの最大値よりも大きな値を選択することができる。この際、中心の周波数数ni0でのピークの音量は含まれない。つまり、図13に示したように、周波数数ni0のピークを除いたローカルウィンドウWiにおける音量の最大値よりも大きな値を閾値Siとする方法がある。図13では、閾値Siを(17)式に従って設定している。ここで、δSiは零よりも大きな値であり、σはローカルウィンドウWiにおける音量スペクトルの値を示す。
[能動信号除去の回避]
図2の信号処理部42により実行される非相殺モジュール41の第2の役割は、道路情報システムによって生成される音を相殺しないようにアダプティブフィルタコントローラ4a(アクチュエータ3)を制御することである。つまり、音量スペクトル中に道路情報システムによる音を示すピークが周波数数ni0において検出された場合に、アダプティブフィルタコントローラ4aがこのピークをそのまま残しつつも他の“騒音”を除去するように、信号e(z)を信号e’(z)へ変更してAVC/ANCコントローラ4aへ転送する。逆に、検出部43が音量スペクトル中に道路情報システムによる音を検出しなかった場合、マイクロフォン2から転送された信号e(z)をそのままAVC/ANCコントローラ4aへ転送する。
ここでは、検出部43が音量スペクトル中に道路情報システムによる音を検出した場合の信号処理部42の処理動作について説明する。信号処理部42の処理動作には、フィードバックコントローラやフィードフォワードコントローラなどのコントローラ4aの種類によって様々な処理手順が可能である。しかし、コントローラの種類によらず最も簡単な方法は、図2に示したように、測定された信号e(z)を信号e’(z)へ直接変更する方法である。
1.信号e(z)からバンドパスフィルタを用いて周波数ni0に位置するピークを除去して、これを信号e’(z)とする。ピーク除去の方法は、図6を参照して説明したとおりである。アダプティブフィルタコントローラ4aは、周波数ni0に位置するピークを除去した信号e’(z)により表される“騒音”を相殺するようにアクチュエータ3を整除するため、結果的に、アクチュエータ3の制御振動によって道路情報システムによる音は相殺することなく、車室内の乗員の耳まで伝達される。
2.信号e’(z)への変更はフーリエ変換を用いて行われる。先ず、経過時間ごとの音量スペクトルを示す信号e(z)を、周波数ごとの音量スペクトルへフーリエ変換する。そして、周波数ni0に位置するピークを除去して、当該ピークを除いたローカルウィンドウWiにおける音量スペクトルの平均値で置き換える。最後に、周波数ごとの音量スペクトルを、経過時間ごとの音量スペクトルへフーリエ変換の逆の変換を行い、これを信号e’(z)とする。
[処理アルゴリズム]
次に、上述した能動信号制御装置の処理動作について、図14乃至図16を参照して、説明する。
(イ)図14に示すように、S1段階において、信号e(z)を取得する。具体的には、マイクロフォン2を用いて車室内の音を測定する。測定された音は、経過時間ごとの音量スペクトルとして非相殺モジュール41へ転送される。
(ロ)S2段階において、検出部43により道路情報システムの検出アルゴリズムを実行する。検出アルゴリズムの詳細は図15を参照して詳細に説明する。道路情報システムが検出された場合(S3段階においてYES)、検出部43は検出フラグを1に設定してS5段階に進み、道路情報システムが検出されない場合(S3段階においてNO)、検出部43は検出フラグを0に設定してS4段階に進む。
(ハ)S4段階において、信号処理部42のセレクタ44は、信号e(z)をそのまま信号e’(z)としてアダプティブフィルタコントローラ4aへ転送する。一方、S5段階において、信号処理部42は、信号e(z)に対して信号処理アルゴリズムを実行して信号e’(z)へ変換し、これをアダプティブフィルタコントローラ4aへ転送する。
(ニ)S6段階において、アダプティブロー8は(10)式に従って信号e’(z)についてのアダプティブフィルタ7のパラメータfiを計算する。S7段階において、アダプティブフィルタ7は、外乱源からの信号xを取得する。
(ホ)S8段階において、アダプティブフィルタ7は、パラメータfiに基づいてアクチュエータ3の動作を制御して、外乱源xによる振動又は音に対して制御振動を干渉させる。そして干渉後の信号yを計算する。
次に、図15を参照して、図14の検出アルゴリズム(S2)の詳細な手順を説明する。
(A)先ず、S31段階において車速度Vを取得する。S32段階において、道路情報システムによる音の基本的な周波数f0を(13)式に従って計算する。
(B)S33段階において、検出部43は信号e(z)の音量スペクトルを計算する。S34段階において、検出部43は、周波数ni0を中心とするウィンドウ長λのローカルウィンドウ(一定の周波数帯)Wiにおける閾値Siを計算する。
(C)S35段階において周波数ni0におけるピークの音量が閾値Siより大きいか否かを判断する。大きい場合(S35段階においてYES)S36に進み、検出フラグを1に設定し、小さい場合(S35段階においてNO)S37に進み、検出フラグを0に設定する。
次に、図16を参照して、図14の信号処理アルゴリズム(S5)の詳細な手順を説明する。S51段階において、信号e(z)をフーリエ変換したFT(e)を計算する。S52段階において、FT(e)から周波数ni0におけるピークを除去する。その後、S53段階において、FT(e)を逆フーリエ変換してe’(z)を計算する。
[実施の形態における効果]
以上説明したように、本発明の実施の形態に係わる能動振動制御装置は、車両の車体5に伝わる振動又は騒音に対して、車体5上に配置されたアクチュエータ3が生成する制御振動を重ね合わせることにより、車体5に伝わる振動又は騒音を相殺するものであって、路面11から伝わる振動又は音によって車両の乗員に一定の情報を知らせるために路面11上に配置された凹凸部からなる道路情報システムの存在を検出する検出部43と、道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアクチュエータ3を制御する信号処理部42とを備える。
道路情報システムの存在を検出して当該道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないようにアクチュエータ3を制御することにより、道路情報システムによる振動又は音を相殺することなく、その他の振動又は騒音を相殺することができる。よって、目障りな騒音を除去しつつ、乗員に対して十分な警告を発することができる。特に、道路情報システムの存在を運転者に明確に認識させることにより、十分な視界が確保できない夜間の走行安全性が向上し、運転者の覚醒に役立つ<請求項1及び15の効果>。
検出部43は、道路情報システムによって生成される振動又は音に特有の周波数f0のn倍(nは自然数)の周波数nf0における振動又は音が周波数nf0を含む一定の周波数帯における振動又は音の閾値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合に限り道路情報システムが存在すると判断する。これにより、いわゆる検出不能問題や誤警報問題を回避することが出来る<請求項2及び16の効果>。
信号処理部42は、一定の周波数帯における振動又は音のうち、道路情報システムによって生成される振動又は音を除いた部分を相殺するようにアクチュエータ3を制御する。これにより、道路情報システムによって生成される振動又は音を車室内に伝達しつつ、且つその他の騒音を軽減又は削除することができる<請求項3及び17の効果>。
周波数f0は車両の車速Vを道路情報システムを構成する凸部間の距離Lで割算したものであり、距離Lは車両に搭載されたナビゲーションシステムから得られる。これにより、周波数f0を記憶した記憶装置を予め車両に搭載する必要はなく、ナビゲーションシステムから得られる情報を用いて基本的な周波数f0は取得することが出来る<請求項4の効果>。
閾値Siが一定の周波数帯における振動又は音の最大値である場合、検出不能問題を回避して道路情報システムの存在を確実に検出することが出来る<請求項5の効果>。
閾値Siが一定の周波数帯における振動又は音の最大値よりも大きな値である場合、誤検出問題を回避して信頼性のある検出を行うことができる<請求項6の効果>。
上記した周波数f0のn倍におけるnは1個の自然数からなり、道路情報システムによる振動又は音は、制御振動を重ね合わせた後に、周波数nf0の1個の正弦波を形成する。これにより、検出アルゴリズム及び信号処理アルゴリズムが簡素化されるため、装置の処理負担が軽減され、処理速度が向上する<請求項7の効果>。
上記した周波数f0のn倍におけるnは有限個の自然数からなり、道路情報システムによる振動又は音は、制御振動を重ね合わせた後に、周波数nf0のn個の正弦波を重ね合わせた波形を形成する。これにより、道路情報システムの検出精度が向上する<請求項8の効果>。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、以下のような変形例が考えられる。
信号処理部42は、検出部43により検出された道路情報システムによる振動又は音を大きくするようにアクチュエータ3を制御しても構わない。これにより、道路情報システムの存在を乗員により確実に認識させることが出来る。<請求項9の効果>。
信号処理部42は、検出部43により検出された道路情報システムによる振動又は音を制御振動により相殺する代わりに、視認可能なメッセージを乗員に対して表示しても構わない。これにより、メッセージを視認した乗員に道路情報システムの存在を認識させることが出来る<請求項10の効果>。
信号処理部42は、検出部43により検出された道路情報システムによる振動又は音を制御振動により相殺する代わりに、理解可能な音声メッセージを乗員に対して送信しても構わない。これにより、音声メッセージを聞いた乗員に道路情報システムの存在を認識させることが出来る<請求項11の効果>。
車体5に伝わる振動又は音を測定するセンサ1が、車体の進行方向に向かって右側及び左側に少なくとも1つづつ配置され、検出部43は、センサ1のそれぞれ測定値に基づいて道路情報システムが右側に存在するか或いは左側に存在するかを判断するようにしても構わない。これにより、車両の進行方向に対して左右の何れの方向に道路情報システムが存在するかを検出することが出来る<請求項12の効果>。
更に、検出部43が車体5の両側に道路情報システムが存在すると判断した場合、信号処理部42は、当該道路情報システムによる振動又は音を制御振動により相殺するようにアクチュエータ3を制御しても構わない。これにより、車体5の両側に道路情報システムが存在する場合は、道路情報システムにより生成される音を軽減或いは削除することが出来る<請求項13の効果>。
更に、検出部43が車体5の右側又は左側のいずれか一方に道路情報システムが存在すると判断した場合、信号処理部42は、当該道路情報システムによる振動又は音を大きくするようにアクチュエータ3を制御しても構わない。これにより、道路情報システムの存在を乗員により確実に認識させることが出来る。<請求項14の効果>。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
本発明は、能動振動制御装置及び能動振動制御方法において、有益な振動又は音をその他の騒音から識別し、当該有益な振動又は音を残しつつ、その他の騒音を除去する技術に利用することができる。
本発明の実施の形態に係わる能動振動制御装置の一例として車両に搭載されたアダプティブフィルタコントローラを示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係わる能動振動制御装置の全体構成を示すブロック図である。 図1の能動振動制御装置が搭載される車両を示す断面図及び車両のフロアパネル部分を示す平面図である。 図3のフロアパネル上に配置されたメンバを示す平面図である。 図2の検出部の詳細な構成を示すブロック図である。 図2の信号処理部の詳細な構成を示すブロック図である。 道路情報システムの定義を示すための道路を示す斜視図である。 図7の道路の一部分を拡大して道路情報システムを構成する凹凸部を示す斜視図である。 時速20km及び時速50kmで走行している小型車を運転する運転手の右耳の位置で聞き取れる音の音量(SPL)を周波数ごとに記録し、計算したグラフである。 図9の時速50kmの通常のスペクトル(実線)及びピークを備えるスペクトル(点線)に対して59dBの閾値を設定した場合のグラフである。 道路情報システムとしてのストリップの配列を示す道路の断面図である。 図11に示すストリップにより発生する音の時間依存性及び周波数依存性を示すグラフである。 局所的な周波数帯での道路情報システムの検出方法を説明するためのグラフである。 本発明の実施の形態に係わる能動信号制御装置の処理動作全体を示すフローチャートである。 図14の検出アルゴリズム(S2)の詳細な手順を示すフローチャートである。 図14の信号処理アルゴリズム(S5)の詳細な手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…加速度センサ
2…マイクロフォン
3…アクチュエータ
4a…アダプティブフィルタコントローラ
5…車体
6…フロアパネル
7…アダプティブフィルタ
8…アダプティブロー
9…システム
10a、10b…タイヤ
11…路面
15…キャビンフロア
16…タンクパネル
17…スペアタイヤパネル
18a〜18d…縦メンバ
19a〜19d…横メンバ
31a、31b…バンド
32a、32b…車道仕切線
33…中央線
34…車道
35a〜35d…ストリップ
36…車線
41…非相殺モジュール
42…信号処理部
43…検出部
44…セレクタ
Si…閾値
Td…閾値
V…車速度
Wi…ローカルウィンドウ
X…外乱源

Claims (17)

  1. 車両の車体に伝わる振動又は騒音に対して、車体上に配置されたアクチュエータが生成する制御振動を重ね合わせることにより、前記車体に伝わる振動又は騒音を相殺する能動振動制御装置において、
    路面から伝わる振動又は音によって前記車両の乗員に一定の情報を知らせるために前記路面上に配置された凹凸部からなる道路情報システムの存在を検出する検出手段と、
    前記道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないように前記アクチュエータを制御する制御手段
    とを備えることを特徴とする能動振動制御装置。
  2. 前記検出手段は、前記道路情報システムによって生成される振動又は音に特有の周波数f0のn倍(nは自然数)の周波数nf0における振動又は音が前記周波数nf0を含む一定の周波数帯における振動又は音の閾値よりも大きいか否かを判断して、大きい場合に限り前記道路情報システムが存在すると判断することを特徴とする請求項1記載の能動振動制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記一定の周波数帯における振動又は音のうち、前記道路情報システムによって生成される振動又は音を除いた部分を相殺するように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項2記載の能動振動制御装置。
  4. 前記周波数f0は前記車両の車速を前記道路情報システムを構成する凸部間の距離で割算したものであり、前記距離は前記車両に搭載されたナビゲーションシステムから得られることを特徴とする請求項2記載の能動振動制御装置。
  5. 前記閾値は、前記一定の周波数帯における振動又は音の最大値であることを特徴とする請求項2記載の能動振動制御装置。
  6. 前記閾値は、前記一定の周波数帯における振動又は音の最大値よりも大きな値であることを特徴とする請求項2記載の能動振動制御装置。
  7. 前記nは1個の自然数からなり、前記道路情報システムによる振動又は音は、前記制御振動を重ね合わせた後に、周波数nf0の1個の正弦波を形成することを特徴とする請求項2記載の能動振動制御装置。
  8. 前記nは有限個の自然数からなり、前記道路情報システムによる振動又は音は、前記制御振動を重ね合わせた後に、周波数nf0のn個の正弦波を重ね合わせた波形を形成することを特徴とする請求項2記載の能動振動制御装置。
  9. 前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記道路情報システムによる振動又は音を大きくするように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項2記載の能動振動制御装置。
  10. 前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記道路情報システムによる振動又は音を前記制御振動により相殺する代わりに、視認可能なメッセージを乗員に対して表示することを特徴とする請求項1記載の能動振動制御装置。
  11. 前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記道路情報システムによる振動又は音を前記制御振動により相殺する代わりに、理解可能な音声メッセージを乗員に対して送信することを特徴とする請求項1記載の能動振動制御装置。
  12. 前記車体に伝わる振動又は音を測定するセンサが、車体の進行方向に向かって右側及び左側に少なくとも1つづつ配置され、前記検出手段は、前記センサのそれぞれ測定値に基づいて前記道路情報システムが右側に存在するか或いは左側に存在するかを判断することを特徴とする請求項1記載の能動振動制御装置。
  13. 前記検出手段が車体の両側に前記道路情報システムが存在すると判断した場合、前記制御手段は、当該道路情報システムによる振動又は音を前記制御振動により相殺するように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項12記載の能動振動制御装置。
  14. 前記検出手段が車体の右側又は左側のいずれか一方に前記道路情報システムが存在すると判断した場合、前記制御手段は、当該道路情報システムによる振動又は音を大きくするように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項12記載の能動振動制御装置。
  15. 車両の車体に伝わる振動又は騒音に対して、車体上に配置されたアクチュエータが生成する制御振動を重ね合わせることにより、前記車体に伝わる振動又は騒音を相殺する能動振動制御方法において、
    路面から伝わる振動又は音によって前記車両の乗員に一定の情報を知らせるために前記路面上に配置された凹凸部からなる道路情報システムの存在を検出し、
    前記道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないように前記アクチュエータを制御する
    ことを特徴とする能動振動制御方法。
  16. 前記道路情報システムの存在を検出することは、
    前記前記道路情報システムによって生成される振動又は音に特有の周波数f0のn倍(nは自然数)の周波数nf0における振動又は音が前記一定の周波数帯における振動又は音の閾値よりも大きいか否かを判断し、
    大きい場合に限り前記道路情報システムが存在すると判断する
    ことであることを特徴とする請求項15記載の能動振動制御方法。
  17. 前記道路情報システムによって生成される振動又は音は相殺しないように前記アクチュエータを制御することは、
    前記一定の周波数帯における振動又は音のうち、前記道路情報システムによって生成される振動又は音を除いた部分を相殺するように前記アクチュエータを制御することであることを特徴とする請求項16記載の能動振動制御方法。
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