JP2006213688A - Nk活性増強剤 - Google Patents

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康 奥村
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Abstract

【課題】 生体内のNK活性を増強することができる、新規なNK活性増強剤を提供すること。
【解決手段】 生体のNK活性増強剤は、納豆菌の液体培養物の液状成分を有効成分として含有する。
【効果】 本発明によれば、優れたNK活性増強効果を発揮する新規なNK活性増強剤が提供された。本発明のNK活性増強剤は、NK活性を強力に増強するので、とりわけ、NK活性が欠損しているヒトや、高齢者、ストレスを受けているヒトなどのように、NK活性が特異的に低下ないしは消失しているヒトの免疫力増強、ひいては、感染症や癌の発症の予防に有効である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、生体中のNK活性を増強する、NK活性増強剤に関する。
NK細胞は抗原感作なしに、ある種の腫瘍細胞や感染細胞を傷害し、免疫学的生体防御機構の第一線で働く重要な細胞である(非特許文献1)。疫学的調査でも、NK細胞活性の低い人が、高い人に比べて癌の罹患率が高いことが示されており(非特許文献2)、NK細胞の発癌予防における重要性が示唆されている。また、T細胞やB細胞の活性が正常であるがNK細胞機能が遺伝的に欠損している人では、頻繁に重篤な感染を起こすことや(非特許文献3)、高齢者ではNK細胞活性の低い群が、NK活性の高い群に比べ感染症により死に至る確率が高いことが示されており(非特許文献4)、NK細胞が感染防御においても重要であることが示されている。
NK細胞活性は老化、生活習慣、およびストレスなどにより影響を受けることが知られている(非特許文献5)。老化によるNK細胞活性への影響は必ずしも一定ではなく個人差が認められるが、老化により細胞当たりのNK細胞活性は減弱し、それを補うようにNK細胞の比率が増加すると報告されている(非特許文献6)。喫煙と運動不足はNK活性を有意に抑制すると報告されている(非特許文献7)。また、精神的なストレスもNK活性を減弱させると考えられており(非特許文献8)、ストレスを取り除くとされるユーモラスなビデオの鑑賞がNK活性を増強させることが報告されており(非特許文献9)、精神状態とNK細胞活性の密接な関係が示唆されている。従って、精神的、肉体的な生活習慣の改善が、NK細胞活性を増強させ、癌や感染症を予防し健康増進に結びつくと考えられる(非特許文献5)。
食習慣が免疫機能にも影響すると考えられ、チーズやヨーグルトなどは、古くから健康増進作用があると信じられており、現在では、有用なバクテリアはプロバイオティクスとして認知され、これらの免疫機能に及ぼす影響が調べられている。Lactobacillus rhamnosusやBifidobacterium lactisの摂取は人のNK細胞活性を増強すると報告されており(非特許文献10〜13)、またLactobacillus casei strain Shirota (LcS)は、3-methylcholanthrene (MCA)により誘導される癌の増殖を抑制し(非特許文献14)、また人の飲用試験では膀胱癌の再発を有意に抑制すると報告されている(非特許文献15)。また同時に、LcSを含む発酵乳酸飲料の飲用がNK細胞活性を増強させることも報告されている(非特許文献16、17)。これらの結果は、LcSを含む発酵乳酸飲料の飲用がNK細胞活性を増強させ、それによる免疫学的抗腫瘍サーベイランスの強化が、発癌および癌の増殖を抑制している可能性を示唆するものと考えられる。
一方、納豆は古くから日本の代表的発酵食品として食されており、その中に含まれるナットウキナーゼは血栓の溶解作用や血圧の低下作用などがあり、納豆は健康増進に有効な食品であると広く考えられている。大豆を発酵させ納豆とする有用な微生物が納豆菌であり、この中からロシアのフィラートフ氏の理論に基づき、赤澤一三医学博士が高温、低温、紫外線、X線に耐性の株を選択した結果得られたのが、Bacillus subtilis AK株(FERM P-18291)である。この菌および菌の代謝産物は、プロバイオティクスと考えられ、Bacillus substilis AK株の培養液から抽出、滅菌濾過して作製したものを本明細書においてExtract of Metabolic Products from Bacillus subtilis AK (EMBSAK)と呼ぶ。なお、EMBSAKは、株式会社エンザミン研究所から「エンザミン原液(ENM)」(商品名)として市販されている。
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上記の通り、NK活性は、抗原感作なしに腫瘍細胞や感染細胞、ウイルス等を傷害する点で、T細胞やB細胞等による抗原系の免疫よりも早期に働き、癌等の腫瘍細胞の増殖や、ウイルスや細菌等による感染症の発症を防ぐ上で中心的な役割を果たしている。一方、上記の通り、老化、生活習慣、ストレス等により、NK活性が減少又はほぼ消失することが知られている。また、遺伝的にNK活性が欠損しているヒトもいる。このようにNK細胞機能が欠損しているヒトや、高齢者、ストレスを受けているヒトなどのように、NK活性が特異的に低下ないしは消失しているヒトの場合、抗原系の免疫機序を増強しても、より早期に機能するNK細胞の活性が不足していては腫瘍細胞の増殖や感染症の発症を十分に予防することはできない。
従って、本発明の目的は、生体内のNK活性を増強することができる、新規なNK活性増強剤を提供することである。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、納豆菌の液体培養物の液状成分が、優れたNK活性増強効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、納豆菌の液体培養物の液状成分を有効成分として含有する、生体のNK活性増強剤を提供する。
本発明によれば、優れたNK活性増強効果を発揮する新規なNK活性増強剤が提供された。本発明のNK活性増強剤は、NK活性を強力に増強するので、とりわけ、NK活性が欠損しているヒトや、高齢者、ストレスを受けているヒトなどのように、NK活性が特異的に低下ないしは消失しているヒトの免疫力増強、ひいては、感染症や癌の発症の予防に有効である。
上記の通り、本発明のNK活性増強剤は、納豆菌の培養物の液状成分を有効成分として含有するものである。納豆菌としては、特に限定されないが、通常の納豆菌を高温、低温、紫外線及び/又はX線等に曝露することにより、納豆菌を、菌体の生命の維持が困難な条件下におき、その中で生き残った株であることが好ましい。このような納豆菌の例として、上記の通り、Bacillus subtilis AK株がある。本発明においては、Bacillus subtilis AK株を好ましく用いることができる。Bacillus subtilis AK株は、1977年に上記した赤澤医学博士により発見された公知の納豆菌である。
納豆菌の液体培養は、水中に、資化可能な炭水化物源及び窒素源を含む液体培地に納豆菌を植菌し、培養することにより行うことができる。炭水化物源としては、デンプンの加水分解物等が好ましく、窒素源としては酵母エキス等が好ましい。培養の条件としては、(1)pH4.5〜6.5、温度28℃〜32℃、培養期間2ヶ月〜4ヶ月、又は(2)pH4.0〜6.0、温度13〜17℃、培養期間4ヶ月〜8ヶ月が好ましく、また、上記(1)の培養条件で培養後、さらに上記(2)の培養条件で培養することも好ましい。また、納豆菌の他に乳酸菌を共培養することも好ましい。より好ましくは、特許文献1に記載されている通り、コーンスターチを含む澱粉をアミラーゼで加水分解した糖化物を培地用基材とし、これに野菜汁および窒素源としてイースト又は酵母エキスを添加して発酵用培地を調整し、この培地に納豆菌および乳酸菌を含む発酵菌を接種し、発酵および熟成させることが好ましい。より具体的には、好ましい培養方法の一例として、次の方法を例示することができる。すなわち、まず、イエローコーンスターチ2.3kg、大豆ペプトン0.5kg、米糠汁0.5kg、塩化カルシウム80g、食塩150gに精製水50kgを加え、加熱して溶解した。次いでこれを冷却し、アミラーゼ40gを加えて充分に糖化させる。糖化終了後、グラニュー糖1.5kg、グルコース(ブドウ糖)1.5kg、酵母エキス450g、水飴1.5kg、リン酸ナトリウム80g、野菜の圧搾汁(キャベツ、ニンジン、セロリ、パセリの合計)5kg、および精製水を加えて全量を150kgにする。そして、水酸化ナトリウムを添加してpHを7.3〜7.8の範囲内に調整し、これを培養缶に入れて120℃で20分間高圧滅菌した。これを冷却した後、Bacillus subtilis AK株を接種し、温度30±2℃の恒温室でpH4.5〜6.5で60日間発酵させ、次いで温度15±2℃の恒温室でpH4.0〜6.0の条件下で180日間熟成させて培養液を透明化させる。
上記のようにして得られた液体培養物を滅菌ろ過することにより、菌体等の固形分を除去したものが、本発明で用いる「液状成分」であり、この液状成分の中にNK活性を向上させる成分又は成分の組合せが含まれている。従って、液状成分を乾燥又は凍結乾燥して固体(粉末状等)にしたものや、液状成分の濃縮物や希釈物も本発明において当然用いることができる。また、液状成分を水系媒体(水や、エタノールのように水と任意の割合で混じり合う有機溶媒、それらの混合物)で抽出したものも用いることができる。従って、本発明において「液状成分」という語は、液体培養物をろ過して得られた液状成分(以下、「原液」ということがある)の他に、該原液の乾燥物、凍結乾燥物、濃縮物、希釈物及び水系媒体抽出物をも包含する意味で用いている。なお、液状成分は、オートクレーブ等により加熱滅菌してから用いることが安全のため好ましい。
なお、上記した具体的な液体培養方法によりBacillus subtilis AK株を培養し、珪藻土フィルターで滅菌ろ過した原液、その濃縮物及びその乾燥粉末は、本明細書でいうExtract of Metabolic Products from Bacillus subtilis AK (EMBSAK)であり、本発明では、このEMBSAKを好ましく用いることができる。なお、EMBSAKのNK活性増強作用は全く知られていない。
上記した液状成分は、そのまま投与することもできるが、これにアミノ酸類及び/又はビタミン類をさらに添加するのが好ましい。添加するアミノ酸の好ましい例としては、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-メチオニン、L-バリン、L-リジン、L-フェニルアラニン、L-スレオニン、L-アスパラギン酸及びその塩、並びにL-グルタミン酸及びその塩等を挙げることができる。また、添加するビタミン類の好ましい例としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、D-パントテン酸及びその塩、メチルヘスペリジン並びにビタミンEを挙げることができる。これらの添加量は、特に限定されないが、原液の乾燥粉末に対して、通常、アミノ酸類が合計で0〜1000倍、好ましくは40倍〜160倍、ビタミン類が合計で0〜500倍、好ましくは10倍〜50倍程度である。上記したアミノ酸類及びビタミン類は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて配合することができ、最も好ましくは、上記した各アミノ酸類及びビタミン類を全て配合する。
本発明のNK活性は、上記液状成分又は液状成分にアミノ酸類及び/又はビタミン類を添加したもの自体であってもよいが、製剤分野において経口投与に用いられている一般的な賦形剤、担体、希釈剤その他の添加物を添加してもよい。
本発明のNK活性増強剤の投与経路は、経口投与が好ましい。投与量は、投与対象となるヒトの症状、体重、年齢等により適宜選択され、何ら限定されるものではないが、通常、原液の乾燥物量として、成人1日当り1mg〜40mg、好ましくは4mg〜20mg程度である。また、投与期間は、患者の状態を見ながら適宜選択できるが、通常、数日で効果が現れる。なお、後述のように、本発明のNK活性増強剤は、予防的に健常人に投与することも好ましいので、投与期間の上限は何ら限定されるものではなく、症状が消失した後も予防的に投与してもよい。
本発明のNK活性増強剤は、ヒトやその他の哺乳動物に投与することにより、そのNK活性を増強することができる。従って、NK活性が欠損しているヒトや、高齢者、ストレスを受けているヒトなどのように、NK活性が特異的に低下ないしは消失しているヒトの免疫力増強、ひいては、感染症や癌の発症の予防に有効である。また、NK活性は、健常人であってもストレス等により低下することが知られているので、健常人に対して、NK活性の低下を来たさないように予防的に投与することもできる。
材料と方法
製剤
EMBSAKの5倍濃縮液(以下、「EMBSAK5L」)(株式会社エンザミン研究所から市販されている「エンザミンエキス(5L)」(商品名、具体的に上記した方法によりBacillus subtilis AK株を培養し、滅菌ろ過して得られた液状成分の5倍濃縮物)を含む、以下の組成を有する経口投与用製剤(以下、便宜的にこの製剤を「SARABAGAN」と呼ぶことがある)を調製した。SARABAGANをハードカプセルに500mg封入したもの(以下、便宜的に「SARABAGAN500」ということがある)及びソフトカプセルに220mg封入したもの(以下、便宜的に「SARABAGAN220」ということがある)を経口投与に用いた。
EMBSAK5L 75.0 mg
アミノ酸類*1 60.0 mg
ビタミン類*2 20.0 mg
粉末酵母エキス 5.0 mg
蜜蝋 25.0 mg
サンフラワー油 315.0 mg
合計 500 mg
*1: L-イソロイシン、L-ロイシン、L-メチオニン、L-バリン、L-リジン、L-フェニルアラニン、L-スレオニン、L-アスパラギン酸Na及びL-グルタミン酸Na
*2: ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、D-パントテン酸Ca、メチルヘスペリジン及びビタミンE
なお、この組成では、アミノ酸類の含量がEMBSAKの乾燥物の約80倍、ビタミン類の含量が約27倍である(EMBSAKの原液中の乾燥物残渣量を0.2wt%として算出)。
ラット
日本SLCより購入した、Wistarラット雌24週齢を使用した。ラットは実験期間中、順天堂大学医学部動物施設にて飼育し、その動物実験規約に基づき実験を行った。
ヒト
健康な28才から39才(31.6±4.5才)の6人のボランティア(男4人、女2人)を募り、今回の飲用試験の目的および概要を説明しインフォームドコンセントを得て、飲用試験を行った。飲用試験はHelsinki Declaration のガィダンスに従い、また順天堂大学医学部の倫理委員会の承認の下におこなった。飲用試験期間を通して、被験者の健康状態を血液検査等により調べたが、期間を通して異常所見は見られなかった。
ラットを用いたNK細胞活性試験
日本SLC(Shizuoka、Japan)より24週齢のメスWistarラットを購入し、本実験に用いた。 EMBSAK5Lを投与前と、3日間2m1/日を経口投与した後、3日間は自由採取を併用し、最終投与日の翌日を投与後として尾静脈より末梢血を採取した。単核球を比重円心分離法により通法に従いリンパ球を分離後、NK細胞感受性のYAC−1細胞をターゲットとして用いた4時間クロム遊離試験により、そのNK細胞活性を調べた(非特許文献18)。
ヒトボランティアを用いたNK細胞活性および末梢血中のNK細胞の比率の測定
SARABAGAN500の飲用前と、SARABAGAN 500 3個の1日3回(1日9錠4500 mg) 7日間の飲用後に、それぞれ昼食前に末梢血を採取した。比重遠心分離法により、通法に従い末梢血リンパ球を分離し、NK細胞感受性のK562をターゲット細胞として用い、51Crを用いた4時間のクロム遊離試験にて通法に従い、NK細胞活性を測定した(非特許文献17)。同時にCy-Chromeラベル抗ヒトCD3抗体、FITCラベル抗ヒトCD16抗体、およびPEラベル抗ヒトCD56抗体(BD Pharmingen、San Diego、CA)を用いて、末梢血リンパ球を染色し、フローサイトメトリー(FacsCaliber、BD Bioscience、San Jose、 CA)を用いて解析し、CD3-CD16+CD56+の細胞分画をNK細胞として、末梢血中リンパ球におけるNK細胞の割合を測定した(非特許文献17)。
1ヶ月の間隔をあけた後、SARABAGAN220 2錠の1日3回(1日6錠1320 mg)の飲用試験を同様に行い、さらに1ヶ月の間隔をあけた後、SARABAGAN220 4錠の1日3回(1日12錠2640 mg)の飲用試験を行い、同様にNK細胞活性およびNK細胞の末梢血中での比率の変化を調べた。
血清学的検査
飲用試験期間を通して、肝機能と腎機能を確認するため、血清学的検査を行った。
統計学的判定
各実験群において、その値をt検定により解析し、p<0.05を有意差ありと判定した。
結果
EMBSAK5L経口投与によるラットNK細胞活性の増強
EMBSAK5Lを投与前と経口投与後のラット末梢血のNK活性を図1に示す。ラット6匹中3匹(Ratl-3)で有意なNK活性の上昇が認められたが、残る3匹のラット(Rat4-6)では、有意なNK活性の上昇が見られなかった。従って、個体差は、あるもののEMBSAK5Lの経口投与によりラット末梢血中のNK細胞活性が増強されることが示された。
ヒトボランティアを用いたNK細胞活性の解析
SARABAGAN500 3個の1日3回(1日9錠4500 mg) 7日間の飲用により、75% (4人中3人)で有意なNK活性の増強が見られた(図2、表1)。また、4人全員でNK細胞の末梢血リンパ球に占める割合が増加したものの、この増加には有意な差が認められなかった。以上の結果から、SARABAGAN500 3個の1日3回(1日9錠4500 mg) 7日間の飲用で、末梢血中のNK細胞活性を増強しうることが示された。プラセボーとして用いたコーンスターチカプセルの飲用ではNK細胞活性、NK細胞の比率共に、有意な変化は見られなかった(データ示さず)。
Figure 2006213688
ヒトボランティアを用いた製剤A飲用量の変化によるNK細胞活性の変化の解析
これまで我々が行ってきた多くの飲用試験により、飲用試験終了から3週間から4週間で、飲用試薬のNK細胞に与える影響が観察されなくなり、未飲用時と同様の飲用試薬に対する反応性を示すことが、明らかにされている(非特許文献17)。そこで、SARABAGANの適正摂取量を明らかにするため、上述の試験終了後4週間以上たった後に、SARABAGAN220カプセルを1日2錠3回(1日6錠1320mg)の飲用試験を同様に行い、さらにその後4週間の間隔をあけ、SARABAGAN220を1日4錠3回(1日12錠2640mg)の飲用試験を行って、NK細胞活性と、NK細胞の末梢血中における比率を調べた。
その結果、1日6錠1320mg7日間の飲用により40% (5人中2人)に、1日12錠2640mg7日間の飲用により80% (5人中4人)にNK細胞活性の増強が見られた(図3、表2)。1日12錠2640mg7日間の飲用によりNK細胞活性が増強しなかった被験者は、第1回試験の4500 mg の飲用試験においてNK細胞活性が増強しなかった被験者と同一の被験者4であった。今回の2回の飲用試験では、NK細胞の末梢血での比率の有意な変化は認められず、NK細胞活性の増強に伴ったNK細胞の末梢血での比率の有意な増加も観察されなかった。プラセボーとして用いたコーンスターチカプセルの飲用ではNK細胞活性、NK細胞の比率共に、有意な変化は見られなかった(データ示さず)。
Figure 2006213688
以上のように、本発明のNK活性増強剤を投与することにより、ほとんどの被検者においてNK活性の増強効果が見られ、本発明のNK活性増強剤の効果が確認された。
EMBSAK5Lの経口投与によるラットNK細胞活性の変化を示す図である。ラット6匹から、EMBSAK5Lを投与前(黒線)と、3日間2ml/日を経口投与した後、3日間自由採取を併用した最終投与日の翌日(赤線)に、尾静脈より末梢血を採取し、図中に示したエフェクター:ターゲット比で、NK細胞活性を調べた。ラット1−3においてEMBSAK5L飲用後に有意なNK活性の増強が認められた。 本発明のSARABAGANの経口摂取によるヒト末梢血のNK細胞活性と末梢血中のNK細胞の比率の変化を示す図である。ヒトボランティア4人から、SARABAGANの飲用前(白抜き)と、SARABAGAN500 3個の1日3回(1日9錠4500 mg) 7日間の飲用後(黒塗り)に末梢血を採取し、図中に示したエフェクター:ターゲット比で、NK細胞活性を測定した。同時にCD3-CD16+CD56+の細胞分画をNK細胞として得られた、末梢血中におけるNK細胞の割合を示した。被験者1から3において、SARABAGAN飲用後に有意なNK活性の増強が認められた。 本発明のSARABAGANの経口摂取によるヒト末梢血のNK細胞活性と末梢血中のNK細胞の比率の変化を示す図である。ヒトボランティア5人から、SARABAGANの飲用前(□)と、SARABAGAN220 2錠の1日3回(1日6錠1320 mg)7日間の飲用試験後(○)、SARABAGAN220 4錠の1日3回(1日12錠2640 mg)7日間の飲用試験後(△)に末梢血を採取し、図中に示したエフェクター:ターゲット比で、NK細胞活性を測定した。製剤A飲用前のNK細胞活性の値は、2回の飲用試験間で有意な差は認められず、その平均値を示した。同時にCD3-CD16+CD56+の細胞分画をNK細胞として得られた、末梢血中におけるNK細胞の割合を示した。被験者3と4において1日6錠1320mg 7日間の飲用後に、被験者1から4において1日12錠2640mg7日間の飲用後に、有意なNK活性の増強が認められた。

Claims (3)

  1. 納豆菌の液体培養物の液状成分を有効成分として含有する、生体のNK活性増強剤。
  2. 前記納豆菌がBacillus subtilis AK株である請求項1記載のNK活性増強剤。
  3. アミノ酸類及び/又はビタミン類をさらに含む請求項1又は2記載のNK活性増強剤。

JP2005031102A 2005-02-07 2005-02-07 Nk活性増強剤 Pending JP2006213688A (ja)

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