しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来のパチンコ機では、上述した透過性の樹脂(例えば、アクリルやポリカーボネイトなど)で成形された透明板への釘の植設は、例えば以下の手順で行っている。つまり、植設する釘の直径よりも小さい直径の道孔を予め透明板の所定箇所に順次にあけておき(道孔形成工程)、その道孔に釘を打ち付ける(釘打ち工程)という手順で行っている。例えば、道孔中心からずれて釘が打ち付けられることがあり、この場合には曲がって釘が打ち付けられることがある。ところで、遊技盤の廃棄・分解作業時には、遊技盤の釘を抜いて分別廃棄するのであるが、上記打ち込み位置ずれで曲がった釘は抜き難く、釘抜き作業効率が低下し、その結果、遊技盤の廃棄・分解作業の効率が低下するという問題がある。
また、上記の透明板に釘を植設した構成下の遊技盤では、その遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が透明板上の釘に当って跳ねたりするのであるが、その跳ね方(透明板の釘からの遊技球の跳ね方)が強く、当該透明板の釘に衝突した遊技球が強く跳ね過ぎて勢いよく跳び過ぎて落ち着かず、技球の転動態様について面白味に欠けるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、遊技盤の前面側に透明板を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤を備えた遊技機において、
前記遊技盤は、
遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘が前面側に打ち付け固定可能な板状部材と、
前記板状部材の前面側で当該板状部材の遊技領域を少なくとも覆うようにしてこの板状部材に重ね合わされる、光透過性の薄板部材と、
を備えたものであり、
前記板状部材は、その密度が前記薄板部材の密度よりも低いものであり、
前記薄板部材の前面視状態での所定箇所には、前記釘の直径よりも大きな開口径の開口部を備え、
前記釘は、前記板状部材の前面側に前記薄板部材が重ね合わされた状態で、前記薄板部材の前記開口部を介して前記板状部材に打ち付けられている
ことを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤は、遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘が前面側に打ち付け固定可能な板状部材の前面側に、当該板状部材の遊技領域を少なくとも覆うようにして光透過性の薄板部材が板状部材に重ね合わされたものであり、板状部材は、その密度が薄板部材の密度よりも低いものとしており、さらに、薄板部材の前面視状態での所定箇所には、釘の直径よりも大きな開口径の開口部を備えており、釘は、板状部材の前面側にこの薄板部材が重ね合わされた状態で、薄板部材の開口部を介して板状部材に打ち付けられている。
したがって、釘は薄板部材の開口部(釘の直径よりも大きな開口径の開口部)を介して板状部材に打ち付けられているので、釘が薄板部材に打ち付けられることがなく、薄板部材に曲がった状態で釘が打ち付けられることがない。よって、遊技盤の廃棄・分解作業時に遊技盤の釘を抜いて分別廃棄する際において、薄板部材に曲がった状態で打ち付けられた釘が抜き難いという問題が生じないので、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技盤の廃棄・分解作業の効率を向上させることができる。
また、釘は薄板部材ではなく板状部材に打ち付けられている、つまり、釘の打ち込み固定可能で、かつ、薄板部材よりも密度の低い板状部材に釘が打ち付けられているので、従来例のような薄板部材に釘が打ち付けられている遊技盤の場合と比べて、遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が、板状部材に打ち付けられた釘に当って跳ねる、その跳ね方が強くなることを低減でき、釘に衝突した遊技球の跳ねを適度に落ち着かせることができ、遊技球の転動態様について面白味を確保できる。
その結果、遊技盤の前面側に光透過性の薄板部材(例えば透明板)を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することができる。
なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
(1) 遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤を備えた遊技機において、
前記遊技盤は、
遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘が前面側に打ち付け固定可能な板状部材と、
前記板状部材の前面側で当該板状部材の遊技領域を少なくとも覆うようにしてこの板状部材に重ね合わされる、光透過性の薄板部材と、
を備えたものであり、
前記板状部材は、その密度が前記薄板部材の密度よりも低いものであり、
前記釘は、前記板状部材の前面側に前記薄板部材が重ね合わされた状態で、前記薄板部材の方から当該薄板部材を貫通して前記板状部材に打ち付けられており、この打ち付け状態の当該釘は、前記薄板部材および前記板状部材に接触しており、
前記薄板部材は、その厚みを前記釘の前記板状部材に対する打ち入り長さよりも小さくしている
ことを特徴とする遊技機。
前記(1)に記載の発明によれば、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤は、遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘が前面側に打ち付け固定可能な板状部材の前面側に、当該板状部材の遊技領域を少なくとも覆うようにして光透過性の薄板部材が板状部材に重ね合わされたものであり、板状部材は、その密度が薄板部材の密度よりも低いものとしており、さらに、釘は、板状部材の前面側にこの薄板部材が重ね合わされた状態で、薄板部材の方から当該薄板部材を貫通して板状部材に打ち付けられており、この打ち付け状態の当該釘は、薄板部材および板状部材に接触している。薄板部材は、その厚みを釘の板状部材に対する打ち入り長さよりも小さくしている。
したがって、薄板部材の厚みは、釘の板状部材に対する打ち入り長さよりも小さくしているので、釘の薄板部材に対する接触表面積はその同一の釘の板状部材に対する接触表面積よりも小さくすることができ、釘を支える比率を薄板部材よりも板状部材の方を大きくすることができ、薄板部材の道孔(釘の直径よりも小さい直径の道孔)中心からずれて釘が打ち付けられたとしてもその曲がり打ち付けが低減できる。よって、遊技盤の廃棄・分解作業時に遊技盤の釘を抜いて分別廃棄する際において、薄板部材に曲がった状態で打ち付けられた釘が抜き難いという問題を低減することができるので、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技盤の廃棄・分解作業の効率を向上させることができる。
また、釘は薄板部材よりも板状部材の方に重みをおいて打ち付けられている、つまり、釘の打ち込み固定可能で、かつ、薄板部材よりも密度の低い板状部材に重みをおいて釘が打ち付けられているので、従来例のような薄板部材に釘が打ち付けられている遊技盤の場合と比べて、遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が、板状部材に打ち付けられた釘に当って跳ねる、その跳ね方が強くなることを低減でき、釘に衝突した遊技球の跳ねを適度に落ち着かせることができ、遊技球の転動態様について面白味を確保できる。
その結果、遊技盤の前面側に光透過性の薄板部材(例えば透明板)を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することができる。
(2) 遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤を備えた遊技機において、
前記遊技盤は、
遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘が前面側に打ち付け固定可能な板状部材と、
前記板状部材の前面側で当該板状部材の遊技領域を少なくとも覆うようにしてこの板状部材に重ね合わされる、光透過性の薄板部材と、
を備えたものであり、
前記板状部材は、その密度が前記薄板部材の密度よりも低いものであり、
前記釘は、前記板状部材の前面側に前記薄板部材が重ね合わされた状態で、前記薄板部材の方から当該薄板部材を貫通して前記板状部材に打ち付けられており、この打ち付け状態の当該釘は、前記薄板部材および前記板状部材に接触しており、
前記釘の打ち付け状態での当該釘の前記薄板部材に対する接触表面積の方がその同一の釘の前記板状部材に対する接触表面積よりも小さくなるようにしている
ことを特徴とする遊技機。
前記(2)に記載の発明によれば、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤は、遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘が前面側に打ち付け固定可能な板状部材の前面側に、当該板状部材の遊技領域を少なくとも覆うようにして光透過性の薄板部材が板状部材に重ね合わされたものであり、板状部材は、その密度が薄板部材の密度よりも低いものとしており、さらに、釘は、板状部材の前面側にこの薄板部材が重ね合わされた状態で、薄板部材の方から当該薄板部材を貫通して板状部材に打ち付けられており、この打ち付け状態の当該釘は、薄板部材および板状部材に接触している。釘の打ち付け状態での当該釘の薄板部材に対する接触表面積の方がその同一の釘の板状部材に対する接触表面積よりも小さくなるようにしている。
したがって、釘の薄板部材に対する接触表面積はその同一の釘の板状部材に対する接触表面積よりも小さくなるようにしているので、釘を支える比率を薄板部材よりも板状部材の方を大きくすることができ、薄板部材の道孔(釘の直径よりも小さい直径の道孔)中心からずれて釘が打ち付けられたとしてもその曲がり打ち付けが低減できる。よって、遊技盤の廃棄・分解作業時に遊技盤の釘を抜いて分別廃棄する際において、薄板部材に曲がった状態で打ち付けられた釘が抜き難いという問題を低減することができるので、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技盤の廃棄・分解作業の効率を向上させることができる。
また、釘は薄板部材よりも板状部材の方に重みをおいて打ち付けられている、つまり、釘の打ち込み固定可能で、かつ、薄板部材よりも密度の低い板状部材に重みをおいて釘が打ち付けられているので、従来例のような薄板部材に釘が打ち付けられている遊技盤の場合と比べて、遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が、板状部材に打ち付けられた釘に当って跳ねる、その跳ね方が強くなることを低減でき、釘に衝突した遊技球の跳ねを適度に落ち着かせることができ、遊技球の転動態様について面白味を確保できる。
その結果、遊技盤の前面側に光透過性の薄板部材(例えば透明板)を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することができる。
(3) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)または(2)に記載の遊技機において、
前記釘は、その釘先にネジ部を備えており、
前記釘は、そのネジ部が前記板状部材の内部に入れられた状態で植設されることを特徴とする遊技機。
前記(3)に記載の発明によれば、釘は、その釘先にネジ部を備えている。釘は、そのネジ部が板状部材の内部に入れられた状態で植設されている。したがって、このように釘先にネジ部を有している釘の場合は、釘先にネジ部を有していない釘の場合と比べて、釘を板状部材により強固に打ち付けることができる。また、釘が薄板部材および板状部材に接触し、かつ、当該釘の薄板部材への打ち入り長さと当該釘の板状部材への打ち入り長さとを同一にしている場合でも、釘先のネジ部のネジ山とその谷構造により、釘の板状部材の接触面積が大きくすることができ、釘を支える比率を薄板部材よりも板状部材の方を大きくすることができる。
(4) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(3)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記薄板部材の裏面側、前記板状部材の前面側または前記薄板部材と前記板状部材との間に、遊技機を表すための表示または遊技領域を装飾するための表示を有する装飾表示部を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(4)に記載の発明によれば、遊技機を表すための表示または遊技領域を装飾するための表示を有する装飾表示部が、薄板部材の裏面側、板状部材の前面側または薄板部材と板状部材との間に備えられている。したがって、遊技球は薄板部材の前面側を流下し、それとは反対側の薄板部材の裏面側に装飾表示部が位置することになり、薄板部材の裏面側に設けられた装飾表示部に遊技球が接触等したりすることがなく、装飾表示部を保護することができる。
(5) 前記(4)に記載の遊技機において、
前記装飾表示部は、前記薄板部材の前面側から視認可能に当該薄板部材の裏面側に直接に描画されたものであることを特徴とする遊技機。
前記(5)に記載の発明によれば、装飾表示部は、薄板部材の前面側から視認可能に当該薄板部材の裏面側に直接に描画されたものとしており、薄板部材と装飾表示部とが密着しているので、以下の点で優れている。すなわち、薄板部材の裏面側に単に装飾表示部を合わせるというだけでは、薄板部材の裏面側から装飾表示部の少なくとも一部が離間したままで薄板部材の裏面側に装飾表示部が設けられることがあり、この場合には、遊技盤を正面視して見ると、当該離間部分の表示がぼける(装飾表示部の離間部分と密着部分とで薄板部材への光入射率に差が生じる)という問題があるが、本発明によればこのような問題を解消できる。つまり、薄板部材と装飾表示部とが密着しており、薄板部材の裏面側で装飾表示部が離間する部分が全くないので、前述したような離間部分の表示のぼけが生じない。
(6) 前記(4)に記載の遊技機において、
前記装飾表示部は、前記薄板部材および前記板状部材とは別体であり、前記薄板部材の前面側から視認可能に当該薄板部材の裏面側に貼り付けられるものであることを特徴とする遊技機。
前記(6)に記載の発明によれば、装飾表示部は、薄板部材および板状部材とは別体であり、薄板部材の前面側から視認可能に当該薄板部材の裏面側に貼り付けられるものとしており、薄板部材と装飾表示部とが密着しているので、以下の点で優れている。すなわち、薄板部材の裏面側に単に装飾表示部を合わせるというだけでは、薄板部材の裏面側から装飾表示部の少なくとも一部が離間したままで薄板部材の裏面側に装飾表示部が設けられることがあり、この場合には、遊技盤を正面視して見ると、当該離間部分の表示がぼける(装飾表示部の離間部分と密着部分とで薄板部材への光入射率に差が生じる)という問題があるが、本発明によればこのような問題を解消できる。つまり、薄板部材と装飾表示部とが密着しており、薄板部材の裏面側で装飾表示部が離間する部分が全くないので、前述したような離間部分の表示のぼけが生じない。
(7) 請求項1に記載の遊技機において、
前記釘と前記開口部との間に、当該釘と開口部との間を埋めるための弾性部材を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(7)に記載の発明によれば、釘と開口部との間に、当該釘と開口部との間を埋めるための弾性部材を備えているので、釘と開口部との間の隙間に塵や屑等が入ることを防止できる。しかも、弾性部材による釘の固定力は、釘が薄板部材に打ち付けられている場合と比べて、ほとんど小さいことから、釘の固定力は依然として板状部材によるものであり、前述した請求項1のように、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することができる。
(8) 前記(7)に記載の遊技機において、
前記弾性部材は、前記釘の胴の所定箇所でその胴周りに設けられていることを特徴とする遊技機。
前記(8)に記載の発明によれば、弾性部材は、釘の胴の所定箇所でその胴周りに設けられているので、この弾性部材付きの釘を薄板部材の開口部を通して板状部材に打ち付けるだけで、釘を板状部材に打ち付けることができるし、当該釘の胴周りに設けられた弾性部材が薄板部材の開口部に位置させることができ、この弾性部材で釘と開口部との間の隙間を埋めることができ、釘と開口部との間の隙間に塵や屑等が入ることを防止できる。しかも、弾性部材による釘の固定力は、釘が薄板部材に打ち付けられている場合と比べて、ほとんど小さいことから、釘の固定力は依然として板状部材によるものであり、前述した請求項1のように、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することができる。
(9) 前記(4)に記載の遊技機において、
前記薄板部材は、側端面より入れた光で面発光させるための導光板であり、
光源と、
前記光源からの光を前記導光板の側端面から入射させるように前記光源を支持する支持部材と
を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(9)に記載の発明によれば、薄板部材は、側端面より入れた光で面発光させるための導光板である。支持部材は、光源からの光を導光板の側端面から入射させるように光源を支持する。したがって、薄板部材が面発光するという独創的で斬新な遊技盤を実現することができ、遊技の興趣性を向上させることができる。
(10) 前記(9)に記載の遊技機において、
前記光源は、複数色の発光が可能な複数色発光光源であることを特徴とする遊技機。
前記(10)に記載の発明によれば、光源は、複数色の発光が可能な複数色発光光源であるとしている。したがって、薄板部材が複数色で面発光するという独創的で斬新な遊技盤を実現することができ、遊技の興趣性をさらに向上させることができる。
(11) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(10)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記薄板部材は、透過性樹脂で構成された透明あるいは半透明の薄板状の部材であることを特徴とする遊技機。
前記(11)に記載の発明によれば、薄板部材は、透過性樹脂で構成された透明あるいは半透明の薄板状の部材であるので、透過性樹脂を用いることで透明あるいは半透明の薄板状の部材を好適に製造することができる。
(12) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(11)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記板状部材は、ベニヤ板であることを特徴とする遊技機。
前記(12)に記載の発明によれば、板状部材はベニヤ板であるので、遊技盤の廃棄・分解作業時に遊技盤の釘を抜いて分別廃棄する際において、薄板部材に曲がった状態で打ち付けられた釘が抜き難いという問題が生じない、あるいは低減できるので、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技盤の廃棄・分解作業の効率を向上させることができる。
また、釘を薄板部材ではなく板状部材たるベニヤ板に打ち付けている場合、つまり、釘の打ち込み固定可能で、かつ、薄板部材よりも密度の低いベニヤ板に釘が打ち付けられている場合では、従来例のような薄板部材に釘が打ち付けられている遊技盤の場合と比べて、遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が、ベニヤ板に打ち付けられた釘に当って跳ねる、その跳ね方が強くなることを低減でき、釘に衝突した遊技球の跳ねを適度に落ち着かせることができ、遊技球の転動態様について面白味を確保できる。
また、釘を薄板部材よりも板状部材たるベニヤ板の方に重みをおいて打ち付けている場合、つまり、釘の打ち込み固定可能で、かつ、薄板部材よりも密度の低いベニヤ板に重みをおいて釘が打ち付けられている場合では、従来例のような薄板部材に釘が打ち付けられている遊技盤の場合と比べて、遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が、ベニヤ板に打ち付けられた釘に当って跳ねる、その跳ね方が強くなることを低減でき、釘に衝突した遊技球の跳ねを適度に落ち着かせることができ、遊技球の転動態様について面白味を確保できる。
その結果、遊技盤の前面側に光透過性の薄板部材(例えば透明板)を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することができる。
(13) 請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(12)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
前記(13)に記載の遊技機によれば、遊技盤の前面側に光透過性の薄板部材(例えば透明板)を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができるパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
(14)請求項1に記載の遊技機、または、前記(1)から(12)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機。
前記(14)に記載の遊技機によれば、遊技盤の前面側に光透過性の薄板部材(例えば透明板)を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる、パチンコ機とスロットマシンとを融合させたものを提供できる。なお、この融合させたものの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する識別情報変動表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技用媒体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
この発明に係る遊技機によれば、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤は、遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘が前面側に打ち付け固定可能な板状部材と、前記板状部材の前面側で当該板状部材の遊技領域を少なくとも覆うようにしてこの板状部材に重ね合わされる、光透過性の薄板部材と、を備えたものであり、前記板状部材は、その密度が前記薄板部材の密度よりも低いものであり、前記薄板部材の前面視状態での所定箇所には、前記釘の直径よりも大きな開口径の開口部を備え、前記釘は、前記板状部材の前面側に前記薄板部材が重ね合わされた状態で、前記薄板部材の前記開口部を介して前記板状部材に打ち付けられているので、釘は薄板部材の開口部(釘の直径よりも大きな開口径の開口部)を介して板状部材に打ち付けられているので、釘が薄板部材に打ち付けられることがなく、薄板部材に曲がった状態で釘が打ち付けられることがない。よって、遊技盤の廃棄・分解作業時に遊技盤の釘を抜いて分別廃棄する際において、薄板部材に曲がった状態で打ち付けられた釘が抜き難いという問題が生じないので、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技盤の廃棄・分解作業の効率を向上させることができる。また、釘は薄板部材ではなく板状部材に打ち付けられている、つまり、釘の打ち込み固定可能で、かつ、薄板部材よりも密度の低い板状部材に釘が打ち付けられているので、従来例のような薄板部材に釘が打ち付けられている遊技盤の場合と比べて、遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が、板状部材に打ち付けられた釘に当って跳ねる、その跳ね方が強くなることを低減でき、釘に衝突した遊技球の跳ねを適度に落ち着かせることができ、遊技球の転動態様について面白味を確保できる。その結果、遊技盤の前面側に光透過性の薄板部材(例えば透明板)を有する遊技機において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができる遊技機を提供することができる。
実施例1のパチンコ機を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。
内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。
内枠12の構成を図3も用いて詳細に説明する。図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している)。
内枠12は、大別すると、図2に示すように、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20(図3参照)と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30(図4参照)とを備えている。
下皿ユニット13は、図2に示すように、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、図1に示すように、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に貯留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して下方向外部に抜くことができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18とセットハンドルと発射モータなどで構成されている。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。
また、前面枠セット14は、図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のもの)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。また、窓穴21には、2枚のガラス137(図2参照)が前後に所定間隔を隔てて取着されている(二重ガラス構造)。
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通孔にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ(図示省略)、カウントスイッチ(図示省略)、作動口スイッチ224(図5参照)等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33への入賞をトリガとして、識別情報としての第1図柄(例えば特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置42と、第2の始動口34の通過をトリガとして、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置41とを備えている。
第2図柄表示装置41は、第2図柄用の表示部43と保留ランプ44とを有し、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えば表示部43による表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。なお、表示部43は、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成の他、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であっても良い。保留ランプ44も同様に、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。なお、上述した第2図柄表示装置41が本発明における普通識別情報変動表示手段に相当する。
第1図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第1図柄表示装置42には、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして第1図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば9.5インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第1図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。なお、上述した第1図柄表示装置42が本発明における識別情報変動表示手段に相当し、上述した表示制御装置45が本発明における表示制御手段に相当する。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、第1の始動口33に対し遊技球が入賞すると第1図柄表示装置42で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなった場合に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32の大入賞口32aが所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口32aが所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、第1図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51及び外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
内レール51及び外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
なお、可変表示装置ユニット35の両側に位置する第2の始動口34は、該第2の始動口34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の第1の始動口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。さらには、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、風車37、第2の始動口34、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、可変表示装置ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに風車37、第2の始動口34、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されており、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置38から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置38の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになる。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置した。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果がある。
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている。前面枠セット14を内枠12から開放した状態(図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
図3に示すように、樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
また、図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。
前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED(発光ダイオード)等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ(図示省略)が設けられ、可変入賞装置32には、カウントスイッチ(図示省略)が設けられている。カウントスイッチは、入賞球をカウントするスイッチである。また、第1の始動口33に対応する位置には作動口スイッチ224が設けられ、第2の始動口34に対応する位置にはゲートスイッチ(図示省略)が設けられている。なお、上述した作動口スイッチ224が本発明における入賞検出手段に相当する。
入賞口スイッチ(図示省略)及びゲートスイッチ(図示省略)は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板(図示省略)に接続され、さらにこの盤面中継基板(図示省略)が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。また、カウントスイッチ(図示省略)は大入賞口中継基板(図示省略)に接続され、さらにこの大入賞口中継基板(図示省略)がやはり主基板に接続されている。これに対し、作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口32aを開放するための大入賞口ソレノイドが設けられ、第1の始動口33には、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図5を用いて説明する。図5は、本パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。本パチンコ機10は、主制御装置261と、払出制御装置311と、発射制御装置312と、表示制御装置45と、電源装置313などを備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。
主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備している。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)又は表示制御装置45からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備している。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置45及び音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ(図示省略)の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ(図示省略)が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチを押しながら電源を投入することとしている。
パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号S1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路643、払出制御装置311、表示制御装置45や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
また、払出制御装置311は、払出モータにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ(図示省略)による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータが駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、第1図柄表示装置42における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置41における第2図柄の変動表示とを制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力には主制御装置261の出力が接続され、入力ポート527の出力には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して一方の出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力には第2図柄表示装置41(表示部43)や、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置である第1図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261から送信される表示コマンドに基づいて第1図柄表示装置42及び第2図柄表示装置41の表示を制御する。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM524は、第1図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第1図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ(図示省略)に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆部するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMl端子へ停電信号S1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541で交流5ボルトの電圧を監視し、この電圧が5ボルト未満になった時間が例えば20ミリ秒を超えた場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号S1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号S1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、電源部541で監視している交流5ボルトが5ボルト未満となった時間が20ミリ秒を越えた後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ(図示省略)のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチの状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチが押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号S2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチが押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,613のデータがクリアされる。
ところで、第1図柄表示装置(液晶表示装置)42には、図6に示すように、上・中・下の3つの図柄列U,M,Dが設定されており、図柄列U,M,D毎に左図柄、中図柄、右図柄の3個ずつの図柄(第1図柄:例えば特別図柄)が横方向に変動表示される。本実施の形態では、一連の図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した、海中生物などの絵柄からなる主図柄SZと、貝型形状の絵図柄からなる副図柄FZとにより構成されており、数字の昇順に主図柄SZが表示されると共に各主図柄SZの間に副図柄FZが配されて一連の図柄列U,M,Dが構成されている。そして、周期性を持って主図柄SZと副図柄FZが右から左へと変動表示されるようになっている。
かかる場合、上図柄列Uおよび中図柄列Mにおいて、上記一連の図柄が昇順(すなわち、主図柄SZの番号が増える順)に表示され、下図柄列Dにおいて、上記一連の図柄が降順(すなわち、主図柄SZの番号が減る順)に表示される。そして、第1の始動口33への入賞に基づいて一連の図柄列U,M,Dの変動表示が開始され、そして、上図柄列U→下図柄列D→中図柄列Mの順に変動表示が停止し、その停止時に第1図柄表示襲置42上の5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかで主図柄SZが大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄SZの組合せ)で揃えば大当たりとして特定遊技動画(特別遊技動画)が表示されるようになっている。
なおここで、主制御装置261で行われる大当り抽選などの機能について説明する。主制御装置261は、大当り状態の発生を抽選する抽選部(図示省略)を備えている。つまり、主制御装置261は、抽選部(図示省略)で当選すると、第1図柄表示装置42での第1図柄の変動表示結果が予め設定した特定の図柄の組合せ(大当り図柄)となる表示演出を指示し、大当り表示後に大当り状態を発生させる機能を有するものである。要するに、主制御装置261は、例えば「0〜676」までの値をとり得る大当たり乱数カウンタC1(特別遊技状態となるか否かを決定するための第1乱数群)の値(第1乱数)に基づいて特別遊技状態を発生させているのである。
具体的には、主制御装置261のCPU501は、大当たり乱数カウンタC1を発生させる図示省略の第1乱数発生部(第1乱数群発生機能)を有している。また、主制御装置261は、第1の始動口33に遊技球が入賞する毎に、RAM503の保留球格納エリアのうちの大当たり乱数カウンタC1の値を記憶するエリア(図示省略の第1乱数記憶部)を備えている。さらに、主制御装置261のCPU501は、この保留球格納エリア(図示省略の第1乱数記憶部)に記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が当り値であるか否かを判定する図示省略の第1判定部(判定機能)も有している。
つまり、第1の始動口33に設けられた作動口スイッチ224での遊技球の入賞検出のタイミングで、第1乱数発生部(図示省略)での大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)がRAM503の保留球格納エリア(図示省略の第1乱数記憶部)に記憶されるようになっている。また、低確率時においては、第1判定部(図示省略)は、第1乱数記憶部(図示省略)に記憶された大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)が2個の値「337,673」であれば大当りと判定し、そうでなければ外れと判定する。また、高確率時(確率変動時とも言う)においては、第1判定部(図示省略)は、第1乱数記憶部(図示省略)に記憶された大当り乱数カウンタC1の値(第1乱数)が10個の値「67,131,199,289,337,401,463,523,601,661」であれば大当りと判定し、そうでなければ外れと判定する。上述の第1乱数発生部(図示省略),第1判定部(図示省略)は、CPU501に所定のプログラムを実行させることで実現されている。
そして、CPU501で大当たり乱数カウンタC1の値が当り値であると判定した場合には、主制御装置261から可変入賞装置32に特別遊技状態とするための信号が出力される。可変入賞装置32は、主制御装置261からの当該指示に基づいて、遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動するという大当たり動作を実行するようになっている。
次に、本実施例のパチンコ機10のさらなる特徴部分の構成について、図7,図8を用いて説明する。図7は実施例1の遊技盤30の要部の構成を示す分解斜視図である。図8(a)〜(c)は実施例1の遊技盤30の製造工程を示す図である。
実施例1の遊技盤30は、図4に示すように、遊技者の遊技球発射ハンドル18(図1参照)の操作によって遊技球が打ち込まれる、正面視で略円形の遊技領域を備えている。また、実施例1の遊技盤30は、図7に示すように、その前面側から順に透明樹脂板400とセルシート410とベニヤ板420とを備えている。
なお、透明樹脂板400の前面側、つまり、透明樹脂板400におけるセルシート410と当接する面とは反対側の面には、図4に示すように、センターフレーム47などの遊技部品や釘などが配設されている。また、ベニヤ板420の後面側(裏面側)、つまり、ベニヤ板420におけるセルシート410と当接する面とは反対側の面には、図示は省略するが、各種入賞口(一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33)に入賞した遊技球を集めて排出するための集合板や、第1図柄表示装置42などが取り付けられている。
ベニヤ板420は、図8に示すように、遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘430が前面側に打ち付け固定可能なものである。このベニヤ板420は、その厚みを例えば15mm(ミリ)としている。なお、ベニヤ板420の厚みを15mm(ミリ)以外としてもよい。
透明樹脂板400は、図7に示すように、ベニヤ板420の前面側で当該ベニヤ板420の遊技領域を覆うようにしてこのベニヤ板420に重ね合わされる、透過性樹脂(例えば、アクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂など)で構成された光透過性の薄板状の部材としている。この透明樹脂板400は、その厚みを例えば5mm(ミリ)としている。なお、透明樹脂板400の厚みを5mm以外としてもよい。
セルシート410は、図7に示すように、透明樹脂板400とベニヤ板420との間に設けられるものであり、その前面側(表示面側)に、パチンコ機10を表すための表示としてのパチンコ機10の機種名を表示する表示部分と、遊技領域を装飾するために当該機種の特徴(あるいは個性)で装飾表示する表示部分とが描画(印刷)されたものである。セルシート410は、透明樹脂板400とベニヤ板420とは別体であり、透明樹脂板400の前面側から前述の描画面が視認可能となるように当該透明樹脂板400の裏面側に貼り付けられるものである。つまり、セルシート410の前面側には、その全面にわたって透明の接着剤層を有しており、透明樹脂板400の裏面側にセルシート410の前面側を密着させて貼り付けることができるようになっている。このセルシート410は、その厚みを例えば1mm(ミリ)としている。なお、セルシート410の前面側に替えて透明樹脂板400の裏面側に透明の接着剤層を有するようにしてもよい。また、セルシート410の厚みが1mm以下のものを採用するようにしてもよい。
ベニヤ板420は、その密度が透明樹脂板400の密度よりも低いものである。例えば、透明樹脂板400をポリカーボネイト樹脂で形成した場合には、この透明樹脂板400(ポリカーボネイト樹脂板)の比重は、「1.2」となっている。これに対して、ベニヤ板420の比重は、「0.63〜0.80」となっている。
なお、図7に示すように、透明樹脂板400とセルシート410とベニヤ板420とは、それらを正面視した状態での外周形状が同一形状となっているが、セルシート410等は、遊技領域以上の大きさで、かつ、ベニヤ板420の正面視での外周形状よりも小さい形状であってもよい。
図7,図8に示すように、透明樹脂板400の前面視状態での所定箇所には、図8に示す釘430の直径よりも大きな開口径の開口部402が備えられている。透明樹脂板400の開口部402は、釘430の胴の直径よりも大きな開口径であればよいが、この実施例1の開口部402は、例えば、釘430の胴よりも1mm(ミリ)大きい円形形状の開口としたものを採用している。なお、開口部402として、例えば、釘430の胴よりも1mm〜0.1mm大きい円形形状の開口としたものを採用してもよい。
なお、図7では、透明樹脂板400の全ての開口部402に符号を付すと却って見難くなるため、透明樹脂板400の一部の開口部402についてのみ符号を付すに留めている。
図8(c)に示すように、釘430は、ベニヤ板420の前面側に透明樹脂板400が重ね合わされた状態で、透明樹脂板400の開口部402を介して当該開口部402に非接触でベニヤ板420に打ち付けられている。
また、図7に示すように、透明樹脂板400は、その左上と右下の2箇所に、ベニヤ板420の嵌合孔422に嵌入される嵌合ピン404(突起部)が設けられており、ベニヤ板420は、その左上と右下の2箇所に、透明樹脂板400の嵌合ピン404(突起部)が嵌入される嵌合孔422が設けられており、透明樹脂板400の嵌合ピン404をベニヤ板420の嵌合孔422に嵌入させることで、ベニヤ板420と透明樹脂板400とを適正に重ね合わることができるようになっている。さらに、セルシート410の左上と右下の2箇所にも、透明樹脂板400の嵌合ピン404(突起部)が嵌入される嵌合孔412が設けられており、透明樹脂板400の嵌合ピン404をセルシート410の嵌合孔412に嵌入させることで、セルシート410と透明樹脂板400とを適正に重ね合わることができ、前述の接着剤層により貼り付けることができるようになっている。
なお、上述したベニヤ板420が本発明における板状部材に相当し、上述した透明樹脂板400が本発明における薄板部材に相当し、上述したセルシート410が本発明における装飾表示部に相当する。
ここで、実施例1の遊技盤30の要部の製造工程について図7,図8を用いて説明する。
図7,図8(a)に示すように、セルシート410の嵌合孔412に透明樹脂板400の嵌合ピン404を嵌入させることでセルシート410と透明樹脂板400とを適正に重ね合わせて、セルシート410の接着剤層により透明樹脂板400にセルシート410を貼り付ける。
続いて、セルシート410を貼り付けた透明樹脂板400の嵌合ピン404をベニヤ板420の嵌合孔422に嵌入させるようにして、セルシート410を貼り付けた透明樹脂板400をベニヤ板420に重ね合わせる。なお、セルシート410を貼り付けた透明樹脂板400とベニヤ板420とは、ビス止めで締結固定されている。また、ビス止め締結固定以外で両者を固定するようにしてもよい。例えば、セルシート410を貼り付けた透明樹脂板400とベニヤ板420とをネジ止めで締結してもよいし、透明樹脂板400とベニヤ板420とを接着剤で接着固定してもよい。
このように透明樹脂板400が重ね合わされて固定されたベニヤ板420を、その裏面側が図示省略の釘打ち機の載置台(テーブル)に当接するようにして所定位置に載置される。具体的には、釘打ち機の載置台面に間隔を空けて例えば2本配置されている、ベニヤ板420の位置決め用のボス(突起ピン)を、このボスに対応するベニヤ板420の2箇所の位置合わせ孔に嵌入させるようにして、透明樹脂板400を重ね合わせ固定したベニヤ板420が釘打ち機の載置台に載置される。
釘打ち機は、ベニヤ板420のどの箇所に釘430を打ち付けていくのかを予めデータとして持っており、ベニヤ板420の所定箇所に釘430を順次に打ち付けていくことができるようになっている。つまり、ベニヤ板420での釘430を打ち付ける箇所には、透明樹脂板400の開口部402が対応して設けられており、図8(b)に示すように、透明樹脂板400の開口部402内の方に釘打ち機による釘430が進入し、図8(c)に示すように、透明樹脂板400の開口部402に非接触でベニヤ板420に打ち付けられる。つまり、釘430は、図8(c)に示すように、透明樹脂板400の開口部402に非接触でベニヤ板420に打ち付けられているため、ベニヤ板420でのみ固定(支持)されている。なお、この実施例1では、釘430の胴が開口部402に非接触としているが、仮に釘430の胴が開口部402に接触していたとしても、分別廃棄する際における釘430抜きがし難くなるという問題は生じない。
上述したように、本実施例1のパチンコ機10によれば、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤30は、遊技領域を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための釘430が前面側に打ち付け固定可能なベニヤ板420と、このベニヤ板420の前面側で当該ベニヤ板420の遊技領域を覆うようにしてこのベニヤ板420に重ね合わされる、光透過性の透明樹脂板400と、を備えたものであり、ベニヤ板420は、その密度が透明樹脂板400の密度よりも低いものであり、透明樹脂板400の前面視状態での所定箇所には、釘430の直径よりも大きな開口径の開口部402を備え、釘430は、ベニヤ板420の前面側に透明樹脂板400が重ね合わされた状態で、透明樹脂板400の開口部402を介してベニヤ板420に打ち付けられているので、釘430は透明樹脂板400の開口部402(釘430の直径よりも大きな開口径の開口)を介してベニヤ板420に打ち付けられているので、釘430が透明樹脂板400に打ち付けられることがなく、透明樹脂板400に曲がった状態で釘430が打ち付けられることがない。よって、遊技盤30の廃棄・分解作業時に遊技盤の釘430を抜いて分別廃棄する際において、透明樹脂板400に曲がった状態で打ち付けられた釘430が抜き難いという問題が生じないので、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技盤30の廃棄・分解作業の効率を向上させることができる。
また、釘430は透明樹脂板400ではなくベニヤ板420に打ち付けられている、つまり、釘430の打ち込み固定可能で、かつ、透明樹脂板400よりも密度の低いベニヤ板420に釘430が打ち付けられているので、従来例のような透明樹脂板400に釘430が打ち付けられている遊技盤の場合と比べて、遊技領域に打ち込まれてきた遊技球が、ベニヤ板420に打ち付けられた釘430に当って跳ねる、その跳ね方が強くなることを低減でき、釘430に衝突した遊技球の跳ねを適度に落ち着かせることができ、遊技球の転動態様について面白味を確保できる。
また、従来例のような透明樹脂板400にのみ釘430が打ち付け固定されている遊技盤の場合には、透明樹脂板400の釘430からの遊技球の跳ね方のバラツキが少なく、意外性の少ない転動態様となってしまい、遊技球の転動態様に面白味が欠けるという問題がある。これに対して、実施例1の遊技盤30では、前述したように釘430が透明樹脂板400ではなくベニヤ板420に打ち付けられているので、ベニヤ板420の釘430からの遊技球の跳ね方に適度のバラツキを生じさせることができ、つまり、透明樹脂板400の釘430の場合と比べてバラツキを多くすることができ、意外性ある転動態様を実現することができ、遊技球の転動態様に面白味を向上させることができる。
その結果、遊技盤の前面側に光透過性の透明樹脂板400(例えば透明板)を有するパチンコ機(遊技機)において、釘抜き作業効率を向上させることができ、遊技球の転動態様の面白味を向上させることができるパチンコ機(遊技機)を提供することができる。
また、透明樹脂板400とベニヤ板420との間に、遊技機を表すための表示としてのパチンコ機10の機種名を表示する表示部分と、遊技領域を装飾するために当該機種の特徴(あるいは個性)で装飾表示する表示部分とが描画(印刷)されたものであるセルシート410を備えているので、遊技球は透明樹脂板400の前面側を流下し、それとは反対側の透明樹脂板400の裏面側にセルシート410が位置することになり、透明樹脂板400の裏面側に設けられたセルシート410に遊技球が接触等したりすることがなく、セルシート410を保護することができる。
また、セルシート410は、透明樹脂板400およびベニヤ板420とは別体であり、透明樹脂板400の前面側から視認可能に当該透明樹脂板400の裏面側に貼り付けられるので、透明樹脂板400とセルシート410とが密着しているので、以下の点で優れている。すなわち、透明樹脂板400の裏面側に単にセルシート410を合わせるというだけでは、透明樹脂板400の裏面側からセルシート410の少なくとも一部が離間したままで透明樹脂板400の裏面側にセルシート410が設けられることがあり、この場合には、遊技盤30を正面視して見ると、当該離間部分の表示がぼける(セルシート410の離間部分と密着部分とで透明樹脂板400への光入射率に差が生じる)という問題があるが、本実施例によればこのような問題を解消できる。つまり、透明樹脂板400とセルシート410とが密着しており、透明樹脂板400の裏面側でセルシート410が離間する部分が全くないので、前述したような離間部分の表示のぼけが生じない。
また、透明樹脂板400は、透過性樹脂で構成された透明の薄板状の部材であるので、透過性樹脂を用いることで透明の薄板状の部材を好適に製造することができる。