JP2006210544A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006210544A
JP2006210544A JP2005019126A JP2005019126A JP2006210544A JP 2006210544 A JP2006210544 A JP 2006210544A JP 2005019126 A JP2005019126 A JP 2005019126A JP 2005019126 A JP2005019126 A JP 2005019126A JP 2006210544 A JP2006210544 A JP 2006210544A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
silicon
impurity
layer
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005019126A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Kondo
将夫 近藤
Isao Miyashita
功 宮下
Tadashi Kuramoto
忠 倉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Renesas Technology Corp
Original Assignee
Renesas Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Renesas Technology Corp filed Critical Renesas Technology Corp
Priority to JP2005019126A priority Critical patent/JP2006210544A/ja
Publication of JP2006210544A publication Critical patent/JP2006210544A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Bipolar Transistors (AREA)

Abstract

【課題】 スペクトル拡散方式やマルチキャリア方式といった広帯域デジタル変調方式のように線形増幅が必要とされる電力増幅器にSiGe HBTを使用した場合、SiGe HBTによる増幅歪みを抑制して消費電力を低減できる技術を提供する。
【解決手段】 デジタル携帯電話機の電力増幅器に用いられるSiGe HBTにおいて、シリコン−ゲルマニウム層のホウ素(B)を導入してベース領域を形成する。また、シリコン−ゲルマニウム層上にシリコンキャップ層を形成し、このシリコンキャップ層にリン(P)あるいは砒素(As)を導入してエミッタ領域を形成する。そして、ベース領域とエミッタ領域との接合領域近傍において、p型不純物とn型不純物のそれぞれの濃度を5×1017/cm以下にする。
【選択図】 図9

Description

本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、シリコン層とシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタに適用して有効な技術に関するものである。
シリコン層とゲルマニウム層とを用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタ(以下、SiGe HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)という)における真性領域の不純物濃度プロファイル(不純物の深さ方向の濃度分布)は、例えば、IEEE Trans.Electoron Devices Vol.42、No3、1995、p.455−468(非特許文献1)に記載されている。これを模式的に図26に示す。図26において、シリコンにゲルマニウムが導入されている領域がベース領域となっており、このベース領域にはp型不純物であるホウ素(B)が導入されている。一方、ベース領域より浅い領域には、n型不純物である砒素(As)が導入されてエミッタ領域が形成されている。従来技術では、不純物であるホウ素の拡散によりベース領域の幅が広くなって遮断周波数fもしくは最大発振周波数fmaxが低下することを防止するため、エミッタ領域とベース領域との距離をある程度以下にしている。すなわち、エミッタ領域の広がりが、ベース領域のエミッタ領域側に広がった部分を一部補償して、ベース領域幅の拡張を抑制するように設計されている。図26に示すように、通常、ベース領域に導入されているホウ素(p型不純物)のピーク濃度は約5×1018/cmであるが、エミッタ領域とベース領域との接合部分における不純物濃度は、ピーク濃度と同等か、少なくてもピーク濃度の1/2〜1/3程度となっている。
また、SiGe HBTにおいて、エミッタ領域とベース領域との接合部分の不純物濃度を低くし、かつベース領域が形成されているシリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部に炭素を添加する技術が、IEDM2003、p.125−128(非特許文献2)に記載されている。このSiGe HBTの真性領域の不純物濃度プロファイル(不純物の深さ方向の濃度分布)を模式的に図27に示す。図27に示すように、ベース領域のエミッタ領域に隣接する領域に、相対的に低不純物濃度の厚いシリコン−ゲルマニウム層を設け、この相対的に低不純物濃度のシリコン−ゲルマニウム層と相対的に高不純物濃度のシリコン−ゲルマニウム層に均一に炭素を添加している。相対的に低不純物濃度で厚いシリコン−ゲルマニウム層をエミッタ領域とベース領域の間に設け、かつこの低不純物濃度で厚いシリコン−ゲルマニウム層に炭素を添加することにより、ベース領域とエミッタ領域からの不純物の拡散を抑制し、ベース−エミッタ間容量(以下、CjEという)を小さくなるようにしている。
日本特開2002−158232号公報(特許文献1)には、SiGeC層を利用することにより低駆動電圧化を図るとともに、エミッタ・ベ−ス間の再結合電流を抑制して電流増倍率などの特性の高いヘテロ接合バイポーラトランジスタを得ることができる技術が記載されている。具体的には、シリコン基板に、コレクタ埋め込み層と、炭素含有率の高いSiGeC層からなる第1ベース領域と、炭素含有率の低いSiGeC層またはSiGe層からなる第2ベース領域と、エミッタ領域を含むSiキャップ層とを積層している。ここで、第2ベース領域の少なくともエミッタ領域側端部においては、炭素含有率を0.8%未満とする。これにより、エミッタ・ベース接合部の空乏層において、炭素による再結合中心の形成を抑制することができるので、低電圧駆動性を維持しつつ、再結合電流の低減による電流増倍率などの電気的特性を改善できるとしている。
「IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES」、MARCH 1995、VOL42、No3、p.455−468 「IEDM2003」、p.125−128 特開2002−158232号公報
CDMA(Code Division Multiple Access)方式あるいはWCDMA(Wide-band Code Division Multiple Access)方式などのスペクトル拡散方式を使用した携帯電話機やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリア方式を使用した無線LAN装置に搭載される線形電力増幅器にSiGe HBTを用いた場合、化合物HBTを用いた場合と比較して増幅歪みが大きくなるという問題点がある。増幅歪みが大きいと、主信号スペクトルに隣接する側帯域への電力の漏洩が大きくなり、主信号と側帯域信号との電力の比(側帯域信号電力を主信号電力で割った値)を示す隣接チャネル漏洩電力比(ACPR:Adjacent channel power leakage ratio)が大きくなる。
電力増幅器の消費電力は、主に電力付加効率と隣接チャネル漏洩電力に依存する。しかし、電力増幅器の消費電力を決める主要因である電力付加効率と隣接チャネル漏洩電力とはトレードオフの関係にある。すなわち、隣接チャネル漏洩電力を低減するためには、バイアス条件や整合条件を電力付加効率が下がる方向に変化させる必要がある。また、電力付加効率とともに消費電力を決める主要因であるアイドル電流(待機電流)を小さくするとACPRは増大する。したがって、ACPRを一定の規格値以下にしようとすると、アイドル電流をより大きくする必要がある。このように、SiGe HBTでは、増幅歪みが大きいことに起因して、電力増幅器の消費電力が化合物HBTを使用する場合に比べて大きくなるという問題点がある。
本発明の目的は、スペクトル拡散方式やマルチキャリア方式といった広帯域デジタル変調方式のように線形増幅が必要とされる電力増幅器にSiGe HBTを使用した場合、SiGe HBTによる増幅歪みを抑制して消費電力を低減できる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明による半導体装置は、スペクトル拡散方式またはマルチキャリア方式による無線通信装置に使用される電力増幅器に含まれ、シリコン層およびシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタを備える半導体装置であって、前記へテロ接合バイポーラトランジスタは、(a)第1導電型の第1不純物を導入したエミッタ領域と、(b)前記第1不純物とは異なる第2導電型の第2不純物を導入したベース領域と、(c)ポリシリコン膜を含み前記エミッタ領域に接続するエミッタ電極と、(d)ポリシリコン膜を含み前記ベース領域に接続するベース電極とを有し、前記エミッタ領域と前記ベース領域との接合境界において前記第1不純物の濃度および前記第2不純物の濃度がそれぞれ5×1017/cm以下であることを特徴とするものである。
また、本発明による半導体装置の製造方法は、スペクトル拡散方式またはマルチキャリア方式による無線通信装置に使用される電力増幅器に含まれ、シリコン層およびシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタを備える半導体装置の製造方法であって、(a)半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、(b)前記第1絶縁膜上に第2導電型の第2不純物を導入した第1ポリシリコン膜を形成する工程と、(c)前記第1ポリシリコン膜をパターニングする工程と、(d)パターニングした前記第1ポリシリコン膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、(e)前記第1ポリシリコン膜および前記第2絶縁膜を貫通する開口部を形成する工程と、(f)前記開口部から露出した前記第1絶縁膜を除去する工程と、(g)前記開口部内に第2導電型の第3不純物を導入した前記シリコン−ゲルマニウム層を形成することによりベース領域を形成する工程と、(h)前記開口部内の前記シリコン−ゲルマニウム層上に前記シリコン層を形成する工程と、(i)前記シリコン層上に第2導電型とは異なる第1導電型の第1不純物を導入した第2ポリシリコン膜を形成する工程と、(j)前記第2ポリシリコン膜に導入した前記第1不純物の一部を前記シリコン層に拡散させることによりエミッタ領域を形成する工程とを備え、前記ベース領域と前記エミッタ領域との接合境界において前記第1不純物および前記第3不純物の濃度をそれぞれ5×1017/cm以下にすることを特徴とするものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
SiGe HBTのベース領域とエミッタ領域との間に低不純物濃度の層を形成し、ベース領域とエミッタ領域のpn接合境界において、p型不純物およびn型不純物の濃度をそれぞれ、5×1017/cm以下にするように構成したので、ベース−エミッタ間容量CjEを小さくすることができる。このため、電力利得の出力電力依存性が小さくなり、増幅歪みを抑制できる。そして、増幅歪みが抑制されるためACPRを低減でき、アイドル電流を小さくすることができる。したがって、消費電力を低減することができる。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
スペクトル拡散方式とは、拡散符号系列に基づき、搬送波をデジタル変調したり搬送周波数を不連続量だけ偏移させることにより、情報を広い周波数帯域に拡散させる通信方式である。CDMA方式はそのうちの代表的な一群の方式の総称で、WCDMA方式はさらにそのCDMA方式の中の代表的な一群の方式の総称である。これらの方式では、単一の広帯域のチャネルを用いて情報を伝送する。マルチキャリア方式とは、広い帯域中の複数のチャネルでパラレルに情報を伝送する通信方式の総称で、OFDM方式はそのうちの代表的な方式である。これらスペクトル拡散方式、マルチキャリア方式を総称して、広帯域デジタル変調方式とも称されている。電力増幅器において増幅歪みがある場合、チャネルのスペクトル波形が変形する。これらの方式では、スペクトル波形中に伝送情報が織り込まれているので、それが変形することによって、復調データに誤りが生じやすくなる。そのため、増幅歪みに対する規格が厳しくなっており、歪みを低減できる本発明の適用が有効となる。
図1は、例えばWCDMA方式を使用したデジタル携帯電話機における信号送受信部のブロック図を示したものである。図1において、携帯電話機における信号送受信部は、デジタル信号処理部1、IF(Intermediate Frequency)部2、変調信号源3、ミキサ4、電力増幅器5、アンテナスイッチ6、アンテナ7、低雑音増幅器8を有している。
デジタル信号処理部1は、音声信号などのアナログ信号をデジタル処理してベースバンド信号を生成できるようになっており、IF部2は、デジタル信号処理部1で生成されたベースバンド信号を中間周波数の信号に変換することができるようになっている。
変調信号源3は、周波数が安定な水晶発振器などの基準発振器を使用して変調信号を得るようにした回路であり、ミキサ4は、周波数を変換する周波数変換器である。
電力増幅器5は、微弱な入力信号と相似な大電力の信号を電源から供給される電力で新たに生成して出力する回路である。
アンテナスイッチ6は、デジタル携帯電話機に入力される入力信号とデジタル携帯電話機から出力される出力信号とを分離するためのものである。
アンテナ7は、電波を送受信するためのものであり、低雑音増幅器8は、アンテナ7で受信した信号を増幅するためのものである。
デジタル携帯電話機は、上記のように構成されており、以下に、その動作について簡単に説明する。まず、信号を送信する場合について説明する。デジタル信号処理部1で音声信号などのアナログ信号をデジタル処理することにより生成されたベースバンド信号は、IF部2において、中間周波数の信号に変換される。続いて、この中間周波数の信号は、変調信号源3およびミキサ4によって、無線周波数(RF(Radio Frequency)周波数)の信号に変換される。無線周波数に変換された信号は、電力増幅器5に入力される。電力増幅器5に入力した無線周波数の信号は、電力増幅器5で増幅された後、アンテナスイッチ6を介してアンテナ7より送信される。
次に、信号を受信する場合について説明する。アンテナ7により受信された無線周波数の信号は、低雑音増幅器8で増幅される。続いて、低雑音増幅器8で増幅された信号は、変調信号源3およびミキサ4によって、中間周波数の信号に変換された後、IF部2に入力される。IF部2では、中間周波数の信号の検波が行なわれ、ベースバンド信号が抽出される。その後、このベースバンド信号は、デジタル信号処理部1で処理され、音声信号が出力される。
上述したように、デジタル携帯電話機から信号を送信する際、電力増幅器5によって信号は増幅される。この電力増幅器5に入力する信号と電力増幅器5から出力する信号のスペクトルを図2および図3に示す。
図2は、電力増幅器5に入力する信号のスペクトルを模式的に示したものである。図2に示すように、電力増幅器5に入力する信号のスペクトルは、1.95GHzを中心とした帯域5MHzの信号となっている。
一方、図3は、電力増幅器5から出力する信号のスペクトルを模式的に示したものである。図3に示すように、電力増幅器5から出力する信号のスペクトルは、入力する信号と同じ帯域の主信号とその主信号の外側±5MHzの帯域に電力を有する側帯域信号とを有するようになっている。
主信号と側帯域信号との電力比(側帯域信号電力を主信号電力で割った値)は、隣接チャネル漏洩電力比(ACPR)と呼ばれている。この側帯域への電力の漏洩は、電力増幅器5の増幅歪みによって生じ、増幅歪みが大きいほどACPRは大きくなる。ACPRが一定以上になると、復調したデータにエラーが生じる確率が高くなるので、ACPRの値を一定以下にすることが必要になっている。なお、WCDMA方式以外の変調方式を使用した携帯電話機や無線機器の場合も、電力増幅器への入力信号スペクトルと電力増幅器からの出力信号スペクトルとの関係は、WCDMA方式の場合と原理的に同じである。
次に、電力増幅器5を構成する回路の一例を図4に示す。図4に示すように、初段目の増幅段であるSiGe HBT10aのベース電極には、整合回路11aが電気的に接続されており、整合回路11aには、伝送線路12aが電気的に接続されている。そして、伝送線路12aには、コンデンサ13aを介して入力端子14が電気的に接続されている。SiGe HBT10aのコレクタ電極には、伝送線路12bが電気的に接続されている。伝送線路12bは、高電位側の電源端子15aと電気的に接続されているとともに、コンデンサ13bを介して接地電位(GND)と電気的に接続されている。また、SiGe HBT10aのコレクタ電極は、整合回路11bを介して2段目の増幅段であるSiGe HBT10bのベース電極と電気的に接続されている。SiGe HBT10bのコレクタ電極には、伝送線路12cを介して高電位側の電源端子15bと電気的に接続されているとともに、伝送線路12cは、コンデンサ13cを介して接地電位(GND)と電気的に接続されている。さらに、SiGe HBT10bには、伝送線路12dおよびコンデンサ13eを介して出力端子16と電気的に接続されているとともに、伝送線路12dの途中に配置されたコンデンサ13dを介して接地電位(GND)と電気的に接続されている。なお、伝送線路12a〜12dは、インピーダンス整合用のインダクタとしての機能を有している。また、コンデンサ13a〜13eは、インピーダンス整合用のコンデンサとしての機能を有しており、例えばチップ部品から構成されている。
次に、図5は、SiGe HBTが形成されたICチップ20をモジュール基板21に搭載したRFパワーモジュールPM(電力増幅器5)の一例を示した断面図である。図5に示すように、ICチップ20は、モジュール基板21の主面に形成されたチップ搭載用の電極22と接合されている。この電極22は、複数のサーマルビア23内の導体を通じてモジュール基板21の裏面にある電極24Gと電気的かつ熱的に接合されている。電極24Gには、基準電位(例えば接地電位で0V程度)が供給される。すなわち、モジュール基板21の裏面にある電極24Gに供給された基準電位は、サーマルビア23および電極22を通じてICチップ20に供給されるようになっている。また、逆にICチップ20の動作時に発生した熱は、ICチップ20の裏面から電極22およびサーマルビア23を通じてモジュール基板21の裏面にある電極24Gに伝わり放散される。また、モジュール基板21の裏面外周部には電極24Sが形成されている。この電極24Sは、信号用の電極を示している。さらにモジュール基板21の主面には、ICチップ20の他にコンデンサなどの受動部品25が搭載されている。なお、モジュール基板21は、複数枚の絶縁体板を積層して一体化した多層配線構造を有している。この絶縁体板は、例えばミリ波域まで誘電損失の少ないアルミナ(酸化アルミニウム、Al、比誘電率9〜9.7)などのようなセラミックからなるが、これに限定されるものではなく、例えばガラスエポキシ樹脂などを使用してもよい。
次に、SiGe HBTの構成について説明する。図6はSiGe HBTを示した平面図であり、図7は図6のA−A線で切断した断面図を示している。
図6に示すように、分離領域35で囲まれた活性領域には、例えば4つのSiGe HBTが形成されている。個々のSiGe HBTはエミッタ電極42、ベース電極43およびコレクタ電極44を有している。
図7に示すように、p型不純物を導入した半導体基板(シリコン基板)30の主面上には、n型不純物を導入したn型不純物埋め込み層31が形成されている。このn型不純物埋め込み層31上にはn型シリコン層32が形成されており、n型シリコン層32のうちコレクタ領域にはn型シリコン層33が形成されている。
型シリコン層32およびn型シリコン層33上には、分離領域34が形成されており、さらに一部の分離領域34から半導体基板30に達するように分離領域35が形成されている。これら分離領域34、35は、例えば酸化シリコン膜から形成されている。
分離領域34上には、酸化シリコン膜とエッチング選択比がとれる絶縁膜36が形成されている。この絶縁膜36は、例えば窒化シリコン膜から形成されている。
分離領域34で分離されたn型シリコン層32の表面には、シリコン層/シリコン−ゲルマニウム層/シリコン層を積層した選択エピタキシャル層39が形成されている。この選択エピタキシャル層39内のシリコン−ゲルマニウム層にはp型不純物が導入されてベース領域(半導体領域)が形成されている。そして、シリコン−ゲルマニウム層上に形成されるシリコン層(シリコンキャップ層という)には、n型不純物が導入されてエミッタ領域(半導体領域)が形成されている。
絶縁膜36の一部上には、p型ポリシリコン膜37が形成されており、このp型ポリシリコン膜37は選択エピタキシャル層39のベース領域に接続している。すなわち、p型ポリシリコン膜37はベース引出し電極としての機能を有している。
次に、絶縁膜36の一部上およびp型ポリシリコン膜37上には、酸化シリコン膜38が形成されている一方、選択エピタキシャル層39上にはn型ポリシリコン膜40が形成されている。そして、半導体基板30の主面上に酸化シリコン膜41が形成され、この酸化シリコン膜41を貫通するように金属電極42〜44が形成されている。金属電極42は、酸化シリコン膜41を貫通してn型ポリシリコン膜40に接続されており、エミッタ電極として機能する。金属電極43は、酸化シリコン膜41および酸化シリコン膜38を貫通してp型ポリシリコン膜37に接続されており、ベース電極として機能する。一方、金属電極44は、酸化シリコン膜41、酸化シリコン膜38および絶縁膜36を貫通してn型シリコン層33に接続されており、コレクタ電極として機能する。
このように、電力増幅器に使用されるSiGe HBTは、p型ポリシリコン膜37からなるベース引出し電極と、別層のn型ポリシリコン膜40を含むエミッタ電極を有している。すなわち、電力増幅器に使用されるSiGe HBTは、2層ポリシリコン型(2層多結晶シリコン型)と呼ばれる構造が採用されている。この構造では、エミッタ領域とベース領域が自己整合的に形成することができるので、活性領域を小さくできる。すなわち、ベース−コレクタ間容量(Cjc)を小さくするのに有利な構造をしている。つまり、2層ポリシリコン型構造は、フィードバック容量となるCjcを小さくして、電力付加効率を向上することができるので、電力増幅器に採用されている。
2層ポリシリコン型構造のSiGe HBTでは、選択エピタキシャル層39を以下のようにして形成している。すなわち、エピタキシャル成長法を使用することにより、シリコン−ゲルマニウム層を形成するとともにp型不純物(例えばホウ素)を導入してベース領域を形成する。そして、シリコン−ゲルマニウム層上に不純物を導入しないノンドープあるいは低不純物濃度のシリコンキャップ層を形成した後、さらに、シリコンキャップ層上にn型ポリシリコン膜40を形成する。続いて、熱処理を施すことにより、n型ポリシリコン膜40に導入されているリンや砒素などのn型不純物をシリコンキャップ層に熱拡散させてエミッタ領域を形成する。このようにして、ベース領域とエミッタ領域とを形成することができるが、エミッタ領域を形成する際、熱処理を施している。この熱処理によって、ベース領域に導入されているp型不純物が拡散して広がる現象が必然的に生じる。p型不純物の拡散でベース領域が広くなると、遮断周波数fもしくは最大発振周波数fmaxが低下するので、これを防止するため、非特許文献1に記載された技術ではエミッタ領域とベース領域との距離をある程度以下にしている(非特許文献1参照)。すなわち、エミッタ領域の広がりが、ベース領域のエミッタ領域側に広がった部分を一部補償して、ベース領域の幅の拡張を抑制するようにしている。この様子を図26に示す。図26は選択エピタキシャル層(真性領域)39の深さ方向における不純物濃度分布を示したものである。図26において、ホウ素(B)が導入されているp型領域がベース領域であり、砒素(As)が導入されているn型領域がエミッタ領域である。ベース領域に導入されているホウ素のピーク濃度は約5×1018/cmであり、エミッタ領域とベース領域の接合部分におけるホウ素あるいは砒素の濃度は、ホウ素のピーク濃度と同等か、少なくともピーク濃度の1/2〜1/3程度となっている。
選択エピタキシャル層39の深さ方向における不純物濃度分布を図26に示すようにしたSiGe HBT(非特許文献1に記載されたSiGe HBT)を、CDMA方式やWCDMA方式の携帯電話機の電力増幅器に使用した場合、化合物HBTを使用した電力増幅器と比較して増幅歪みが大きいことが判明した。増幅歪みが大きいことによって、主信号に隣接する側帯域への電力の漏洩が大きくなり、ACPRが大きくなる。ここで、電力付加効率とともに消費電力を決める主要因であるアイドル(待機)電流を小さくするとACPRは増大する。したがって、ACPRを一定の規格値以下にしようとすると、アイドル電流を大きくする必要がある。このため、上述したSiGe HBTでは、化合物HBTと比較して消費電力が大きくなっていた。このように、非特許文献1に記載されたSiGe HBTでは増幅歪みが大きいことによりACPRが大きくなるため、アイドル電流を増加する必要があり、結果として携帯電話機の消費電力が大きくなっていた。
非特許文献1に記載されたSiGe HBTを電力増幅器に使用した場合、化合物HBTに比べて増幅歪みが大きくなる理由はこれまで明らかではなかった。今回、本発明者らは実験によりこの理由を明らかにした。すなわち、非特許文献1に記載されたSiGe HBTでは、化合物HBTと比べて単位面積当りのエミッタ−ベース間容量CjEが数倍大きいことが原因であることが判明した。以下に、その機構について説明する。
CjEが大きいと、動作電流が小さい場合に遮断周波数fおよび最大発振周波数fmaxが低くなる。一方、動作電流が大きい場合の遮断周波数fおよび最大発振周波数fmaxはCjEには大きく依存しない。このため、CjEが大きいことにより、遮断周波数fおよび最大発振周波数fmaxの動作電流依存性が大きくなる。遮断周波数fおよび最大発振周波数fmaxは電力利得と正の相関があるので、CjEが大きいことにより、電力利得の動作電流依存性が大きくなる。通常、電力増幅器の動作は、電力付加効率を高くするため、アイドル電流の小さいAB級となるように調整されているが、この場合、出力電力が大きくなると平均の動作電流が増加する。その結果、CjEが大きいことにより、電力利得の出力電力依存性が大きくなる。実際、非特許文献1に記載されたSiGe HBTを用いた電力増幅器の場合、図8に示すように化合物HBTと比べて電力利得の出力電力依存性が大きいことがわかる。図8において、横軸は出力電力(dBm)を示しており、縦軸は電力利得(dB)を示している。化合物HBTでは、出力電力が約16(dBm)から約29(dBm)に変化する間に、電力利得は約9.7(dB)から約10.2(dB)の間を変化している。一方、非特許文献1に記載されたSiGe HBTでは、出力電力が約16(dBm)から約29(dBm)に変化する間に、電力利得は約6.9(dB)から約8.5(dB)の間を変化している。したがって、非特許文献1に記載されたSiGe HBTは、化合物HBTに比べて電力利得の出力電圧依存性が大きいことがわかる。
ここで、非特許文献2に記載された技術がある。この技術において、選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布を図27に示す。図27に示すように、ゲルマニウムを導入したシリコン−ゲルマニウム層にホウ素を導入してベース領域を形成している。また、表面近傍にリン(P)あるいは砒素(As)を導入してエミッタ領域が形成されている。そして、ベース領域のエミッタ領域側に低不純物濃度の厚いシリコン−ゲルマニウム層を設け、この低不純物濃度のシリコン−ゲルマニウム層を含むシリコン−ゲルマニウム層全体に均一に炭素(C)を添加している。低不純物濃度の厚いシリコン−ゲルマニウム層をエミッタ領域とベース領域との間に設け、かつシリコン−ゲルマニウム層全体に均一に炭素を添加することにより、エミッタ領域およびベース領域からの不純物の拡散を抑制し、CjEが小さくなるようにしている。
しかし、非特許文献2に記載された技術では、エミッタ領域とベース領域との間に再結合による電流が多く流れる。このため、ベース電流のn値が大きくなり、低電流での電流増幅率が小さくなる。その結果、低出力電力において、ベース電流が流れることによる電力の損失が大きくなり、電力付加効率が低下する問題が判明した。エミッタ領域とベース領域との間の空乏層領域に炭素が添加されることにより、再結合準位が発生し、それによって再結合電流が増加することが明らかになっている(例えば、特許文献1参照)。非特許文献2に記載された技術では、エミッタ領域とベース領域との間に低不純物濃度のシリコン−ゲルマニウム層が挿入されているため、エミッタ領域とベース領域との間での空乏層がより広くなっている。このため、炭素を添加することにより空乏層中に発生する再結合準位がより多くなり、電力付加効率が低下する問題が顕著になっていると考えられる。
また、電力増幅器の消費電力低減のためには、動作電流の大きい領域での遮断周波数fTおよび最大発振周波数fmaxの向上により電力付加効率の最大値を改善することが最優先と考えられていた。エミッタ領域とベース領域との間に低不純物濃度で厚いシリコン−ゲルマニウム層を設けることは、電子の走行時間が長くなることから、動作電流の大きい領域での電力付加効率を向上させる目的には不利であった。このような理由から、非特許文献2に記載されたSiGe HBTは電力増幅器に使用されていなかった。
そこで、以下に述べる手段によりエミッタ領域の面積を変化させずにCjEを大幅に低減したSiGe HBTを作成し、電力増幅特性を評価した結果、電力利得の出力電力依存性が小さくなり、それに伴って隣接チャネル漏洩電力比ACPRが大幅に減少することが判明した。その手段を以下に説明する。
本実施の形態1におけるSiGe HBTの構成は図6および図7に示したとおりであり、選択エピタキシャル層(真性領域)39の深さ方向の不純物濃度分布に特徴がある。図9は、本実施の形態1のSiGe HBTにおいて、選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布を示したものである。図9において、横軸は選択エピタキシャル層39の表面からの深さ(nm)を示したものである。また、縦軸のうち左側のものはホウ素(B)、リン(P)あるいは砒素(As)の不純物濃度(/cm)を示しており、右側のものはゲルマニウムの濃度を示している。図9に示すように、深さ60nmから深さ100nmにわたって厚さ40nmのシリコン−ゲルマニウム層が形成されている。このシリコン−ゲルマニウム層のエミッタ側の端部(深さ約60nm付近)には、厚さ10nmのベース領域が形成されている。すなわち、シリコン−ゲルマニウム層のエミッタ側の端部近傍にホウ素(B)が導入されてベース領域が形成されている。また、シリコン−ゲルマニウム層の上部にはシリコンキャップ層が形成されており、このシリコンキャップ層の厚さは約60nmとなっている。さらに、シリコンキャップ層上にはn型ポリシリコン膜40(図9では図示せず)が形成されており、このn型ポリシリコン膜40からリン(P)または砒素(As)がシリコンキャップ層に拡散され、エミッタ領域が形成されている。エミッタ領域とベース領域の境界でn型不純物濃度とp型不純物濃度が一致する部分(接合位置)において、n型不純物濃度およびp型不純物濃度が約1×1017/cmとなっている。このように接合位置におけるそれぞれの不純物濃度を約5×1017/cm、好ましくは約1×1017/cm以下とすることにより、エミッタ領域とベース領域との間の容量CjEを低減することができる。具体的に、接合位置における不純物濃度を約1×1017/cmとすることにより、接合位置における不純物濃度が約3×1018/cmの場合に比べてCjEを約1/3に低減できる。このため、アイドル電流を1/4に低減でき、その結果、携帯電話機の平均消費電力を約15%低減することができる。
図10は、電力増幅器の出力段に用いられるSiGe HBTにおいて、エミッタ領域とベース領域との接合境界での不純物濃度(n型不純物またはp型不純物のうちの片方)と単位面積当りのCjEの関係を示したグラフである。横軸は接合境界における不純物濃度(/cm)を示しており、縦軸はエミッタ領域とベース領域との間の容量CjE(fF/μm)を示している。不純物濃度とCjEとの関係は、エミッタ領域を形成するための熱処理を共通とし、ベース領域が形成されているシリコン−ゲルマニウム層上のシリコンキャップ層の膜厚を変化させた場合の結果である。
不純物濃度が3×1018/cmの従来例では、CjEは10fF/μmであるのに対し、不純物濃度が5×1017/cmの場合、CjEは約2/3の7fF/μmである。さらに、不純物濃度が1×1017/cmの場合、CjEは約1/3の3.5fF/μmとなる。このように接合境界の不純物濃度を小さくすることにより、CjEを小さくできることがわかる。
図11は、WCDMA方式の携帯電話機に搭載される電力増幅器において、低出力でのACPRとCjEとの関係を示したグラフである。条件は、低出力の一例として出力電力Pout=10dBmとし、アイドル電流を40mAで一定とした。横軸はエミッタ領域とベース領域との間の容量CjE(fF/μm)を示しており、縦軸はACPR(−dBc)を示している。この−dBcはわかり易くいうと主信号に対して側帯域信号が何分の1になったかを示すものである。
図11に示すように、従来例を示すCjEが10fF/μmの場合、ACPRは規格上限である−40dBcを上回っているのに対し、CjEが約2/3の7fF/μmの場合、−43.3dBcとなっている。したがって、CjEが7fF/μmでは、規格上限である−40dBcを下回っており、温度に依存する特性変動や製造ばらつきに対して余裕を見込んでも実用可能な値となる。さらに、CjEが約1/3の3.5fF/μmでは、ACPRは−48dBcと減少する。このようにCjEを小さくすることにより、ACPRを低減できることがわかる。
次に、図12は、CjEが3.5fF/μmの場合におけるACPRとアイドル電流との関係を示したグラフである。条件は、低出力の一例として出力電力Pout=10dBmとしている。横軸はアイドル電流(mA)を示しており、縦軸はACPR(−dBc)を示している。図12に示すように、アイドル電流を低減するにつれてACPRは増加するが、アイドル電流を10mAまで低減してもACPRは規格上限の−40dBcを下回っていることがわかる。
図13は、WCDMA方式の携帯電話機に搭載される電力増幅器の必要最大出力である27.5dBm以下において、ACPRが規格上限である−40dBcを満たす最小アイドル電流とCjEとの関係を示したグラフである。横軸はエミッタ領域とベース領域との間の容量CjE(fF/μm)を示しており、縦軸はアイドル電流(mA)を示している。図13に示すように、CjEが10fF/μmの場合(従来例の場合)、アイドル電流は45mAとなる。一方、CjEが約2/3の7fF/μmの場合、アイドル電流は25mAとなり、さらに、CjEが約1/3の3.5fF/μmの場合、アイドル電流は10mAとなる。このことから、CjEが約1/3になることにより、アイドル電流は約1/4に低減できることがわかる。その結果、従来例の場合と比較して携帯電話機の平均消費電力を約15%低減することができる。
上述したように、本実施の形態1におけるSiGe HBTによれば、エミッタ領域とベース領域との接合境界における不純物濃度を5×1017/cm以下にしているので、CjEを低減することができる。そして、CjEの増加によるACPRの増加とは逆の機構により、CjEを低減することで、ACPRを減少することができる。すなわち、CjEが小さいと、遮断周波数fおよび最大発振周波数fmaxの動作電流依存性が小さくなる。この結果、電力増幅器における電力利得の動作電流依存性、さらには電力利得の出力電力依存性が小さくなる。電力利得の出力電力依存性が小さくなると、増幅歪みが小さくなるので、ACPRが小さくなる。
図14は、電力利得と出力電力との関係を示したグラフである。図14には、CjEが10fF/μmの場合(従来例の場合)、7fF/μmの場合および3.5fF/μmの場合の電力利得と出力電力との関係を示す。横軸は出力電力(dBm)を示しており、縦軸は電力利得(dB)を示している。図14に示すように、CjEが小さくなるほど、曲線がなだらかになり、出力電力依存性が小さくなっていることがわかる。すなわち、曲線がなだらかになるということは、出力電圧が変化しても電力利得はあまり変化しなくなることを意味しており、電力利得の出力電圧依存性が小さくなっていることがわかる。
本実施の形態1によればACPRを低減できるが、特に低出力から中出力でのACPRを低減できる点が有用である。低出力から中出力のACPRはアイドル電流を小さくすると増加し、アイドル電流の下限を決めている。したがって、本実施の形態1によって低出力から中出力でのACPRを低減できることは、アイドル電流を低減できることを意味する。
図15は、WCDMA方式あるいはCDMA方式の携帯電話機における出力出現確率と出力電力との関係を示している。さらに、図15は電力付加効率と出力電力との関係も示している。実線が出力出現確率と出力電力との関係を示したものであり、破線が電力付加効率と出力電力との関係を示している。図15において、横軸は出力電力(dBm)を示しており、縦軸は電力付加効率(%)および出力出現確率(%×10)を示している。図15を見てわかるように、出力出現確率(発生頻度)が最も高いのは、−10dBm〜10dBmの低出力および中出力である。この領域において、電力付加効率は10%以下で、携帯電話機の消費電力は主にアイドル電流により決まる。本実施の形態1によれば、アイドル電流を従来のSiGe HBTに比べて2/3〜1/4に低減できるので、中出力以下の領域での消費電力は、アイドル電流の低減の度合にほぼ比例して低減できる。この低減効果と図15の出力出現確率の両方を考慮すると、従来に比べて携帯電話機の平均消費電力を約10%〜15%低減できる。
なお、本実施の形態1ではエミッタ領域とベース領域との間の接合境界近傍に低不純物濃度の領域が形成されている。この場合、動作電流が大きいと遮断周波数fおよび最大発振周波数fmaxが低下し電力付加効率の最大値が低下する懸念がある。しかし、実際にはその影響は大きくなく、むしろ低出力から中出力でのACPRの減少によるアイドル電流の低減効果がそれを上回っている。すなわち、本実施の形態1によれば、総合の消費電力を低減できる効果が得られる。
次に、本実施の形態1におけるSiGe HBTの製造方法について図面を参照しながら説明する。
まず、図16に示すように、p型不純物を導入した半導体基板30にn型不純物を導入したn型不純物埋め込み層31を形成する。続いて、エピタキシャル成長法を使用して、n型不純物埋め込み層31上にn型シリコン層32を形成する。そして、n型シリコン層32のうちコレクタ形成領域にn型シリコン層33を形成する。n型シリコン層33は、例えばフォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して形成することができる。
次に、LOCOS(local oxidation of silicon)法およびSTI(shallow trench isolation)を使用して分離領域34および分離領域35を形成する。その後、半導体基板30の主面上に絶縁膜(第1絶縁膜)36を形成する。絶縁膜36は、例えば窒化シリコン膜よりなり、例えばCVD(chemical vapor deposition)法を使用して形成することができる。
続いて、絶縁膜36上に例えばホウ素(B)などのp型不純物(第2導電型の第2不純物)を導入したp型ポリシリコン膜37を形成する。p型ポリシリコン膜37は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してp型ポリシリコン膜37をパターニングする。パターニングは図17に示すように行なわれる。
次に、絶縁膜36およびp型ポリシリコン膜37上に酸化シリコン膜(第2絶縁膜)38を形成する。酸化シリコン膜38は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、図18に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して酸化シリコン膜38およびp型ポリシリコン膜37を貫通する開口部を形成する。
続いて、側面が露出したp型ポリシリコン膜37上に酸化シリコン膜38aを形成した後、開口部から露出する絶縁膜36をエッチング技術により除去する。このとき、絶縁膜36は窒化シリコン膜から形成されており、酸化シリコン膜とのエッチング選択比がとれた状態でエッチングが行なわれるので、開口部から露出する絶縁膜36だけを除去することができる。
次に、図19に示すように、絶縁膜36を除去した開口部にエピタキシャル成長法を使用してシリコン層/シリコン−ゲルマニウム層/シリコン層からなる選択エピタキシャル層39を形成する。この選択エピタキシャル層39内のシリコン−ゲルマニウム層を形成する際には、ホウ素(B)などのp型不純物(第2導電型の第3不純物)を導入して半導体領域であるベース領域を形成する。
続いて、酸化シリコン膜38および選択エピタキシャル層39上にリン(P)や砒素(As)などのn型不純物(第1導電型の第1不純物)を導入したn型ポリシリコン膜40を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してn型ポリシリコン膜40をパターニングする。パターニングは図19に示すように行なわれる。
次に、半導体基板30に対して熱処理を施すことによりn型ポリシリコン膜40に導入されているn型不純物を選択エピタキシャル層39内に拡散させる。すなわち、ベース領域が形成されているシリコン−ゲルマニウム層上に形成されているシリコン層(シリコンキャップ層)内にn型不純物を拡散してエミッタ領域を形成する。エミッタ領域を形成する工程およびベース領域を形成する工程をうまく調整することにより、図9に示す不純物濃度分布を有する選択エピタキシャル層(真性領域)39を形成することができる。つまり、エミッタ領域とベース領域との接合境界におけるp型不純物濃度あるいはn型不純物濃度を5×1017/cm以下にすることができる。
続いて、半導体基板30の主面上に、例えばCVD法を使用して酸化シリコン膜41を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して開口部を形成する。そして、開口部を埋め込むように金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより金属電極42〜44を形成する。金属電極42はn型ポリシリコン膜40に接続されており、エミッタ電極として機能する。また、金属電極43は、p型ポリシリコン膜37に接続されており、ベース電極として機能する。さらに、金属電極44は、n型シリコン層33に接続されており、コレクタ電極として機能する。このようにして、図7に示すような本実施の形態1のSiGe HBTを形成することができる。
なお、本実施の形態1では、エミッタ領域とベース領域との間の接合領域はシリコン層に形成されているが、接合領域がシリコン−ゲルマニウム層にあってもよく、その場合でも本実施の形態1と同様な効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態2)
本実施の形態2におけるSiGe HBTは前記実施の形態1におけるSiGe HBTのベース領域にさらに炭素を導入した構成をしている。以下、このSiGe HBTについて説明する。
本実施の形態2におけるSiGe HBTも前記実施の形態1と同様に電力増幅器に使用される。そして、この電力増幅器は前記実施の形態1と同様にWCDMA方式の携帯電話機の信号送受信部に使用される。また、電力増幅器の回路図も図4に示した回路図と同様である。さらに、本実施の形態2におけるSiGe HBTの構造も図7に示した構造と同じである。異なる点は、図7に示す選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布である。
図20は、選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布を示した図である。横軸は選択エピタキシャル層39の表面からの深さ(nm)を示している。縦軸のうち左側の軸は不純物濃度、すなわちホウ素(B)、リン(P)あるいは砒素(As)の濃度(/cm)を示しており、縦軸のうち右側の軸は炭素の導入量(添加量)を示している。炭素の導入量は、シリコン原子数に対する炭素原子の割合を%で表している。
図20に示すように、選択エピタキシャル層39には、深さ40(nm)から深さ80(nm)にわたって厚さ40nmのシリコン−ゲルマニウム層が形成されており、このシリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部にベース領域が形成されている。すなわち、シリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部に約10nmにわたってホウ素(B)が導入されており、この領域がベース領域となっている。また、シリコン−ゲルマニウム層内には、炭素が濃度0.2%で均一に添加されている。
シリコン−ゲルマニウム層上に形成されたシリコンキャップ層は厚さが40nmで、このシリコンキャップ層上に形成されたn型ポリシリコン膜40からリン(P)あるいは砒素(As)が拡散されてエミッタ領域が形成されている。
本実施の形態2では、ベース領域中にホウ素(B)とともに炭素(C)が導入されている。この炭素はホウ素の拡散を抑制する効果があるので、エミッタ領域を形成する際の熱処理によるホウ素の拡散を抑制することができる。すなわち、前記実施の形態1の場合に比べてホウ素の拡散を抑制することができるので、ベース領域の幅を狭くできる。したがって、遮断周波数fや最大発振周波数fmaxを前記実施の形態1に比べて大きくできるので、電力付加効率を向上させることができる。また、エミッタ領域とベース領域との接合境界において、n型不純物およびp型不純物の濃度がそれぞれ1×1017/cm以下となる領域の厚さを約10nmと前記実施の形態1よりも大きくできるので、CjEをさらに小さくすることができる。このため、アイドル電流を低減でき、その結果、従来に比べて携帯電話機の平均消費電力を約17%低減できる。
本実施の形態2におけるSiGe HBTの製造方法は前記実施の形態1と基本的に同じであるが、さらに炭素を導入する工程が追加される。この炭素を導入する工程は、例えばエピタキシャル成長法でシリコン−ゲルマニウム層を形成する際に炭素を添加することで実現できる。
なお、本実施の形態2では、エミッタ領域とベース領域との間の接合領域はシリコン層に形成されているが、接合領域がシリコン−ゲルマニウム層にあってもよく、その場合でも本実施の形態2と同様な効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態3)
本実施の形態3におけるSiGe HBTは前記実施の形態2におけるSiGe HBTのシリコンキャップ層の一部にも炭素を導入した構成をしている。以下、このSiGe HBTについて説明する。
本実施の形態3におけるSiGe HBTも前記実施の形態1と同様に電力増幅器に使用される。そして、この電力増幅器は前記実施の形態1と同様にWCDMA方式の携帯電話機の信号送受信部に使用される。また、電力増幅器の回路図も図4に示した回路図と同様である。さらに、本実施の形態3におけるSiGe HBTの構造も図7に示した構造と同じである。異なる点は、図7に示す選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布である。
図21は、選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布を示した図である。横軸は選択エピタキシャル層39の表面からの深さ(nm)を示している。縦軸のうち左側の軸は不純物濃度、すなわちホウ素(B)、リン(P)あるいは砒素(As)の濃度(/cm)を示しており、縦軸のうち右側の軸は炭素の導入量(添加量)を示している。炭素の導入量は、シリコン原子数に対する炭素原子の割合を%で表している。
図21に示すように、選択エピタキシャル層39には、深さ40(nm)から深さ80(nm)にわたって厚さ40nmのシリコン−ゲルマニウム層が形成されており、このシリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部にベース領域が形成されている。すなわち、シリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部に約10nmにわたってホウ素(B)が導入されており、この領域がベース領域となっている。また、シリコン−ゲルマニウム層内には、炭素が濃度0.2%で均一に添加されている。
シリコン−ゲルマニウム層上に形成されたシリコンキャップ層は厚さが40nmで、シリコン−ゲルマニウム層の境界から深さ20nmまでの領域にも炭素が0.08%で均一に導入されている。さらに、このシリコンキャップ層上に形成されたn型ポリシリコン膜40からリン(P)あるいは砒素(As)が拡散されてエミッタ領域が形成されている。
本実施の形態3では、シリコン−ゲルマニウム層に炭素が導入されている。この炭素は、ホウ素(B)の拡散を抑制する効果があるので、ベース領域の幅を前記実施の形態1に比べて狭くすることができる。また、シリコンキャップ層内のエミッタ領域とベース領域との接合境界近傍にも炭素が導入されているので、エミッタ領域を形成しているリン(P)あるいは砒素(As)の拡散を前記実施の形態1および前記実施の形態2に比べて抑制することができる。このため、エミッタ領域とベース領域との接合境界において、n型不純物およびp型不純物の濃度がそれぞれ1×1017/cm以下となる領域の厚さを約15nmと前記実施の形態1および前記実施の形態2よりも大きくできるので、CjEをさらに小さくすることができる。これにより、アイドル電流を低減でき、その結果、従来に比べて携帯電話機の平均消費電力を約20%低減できる。
本実施の形態3におけるSiGe HBTの製造方法は前記実施の形態2と基本的に同じであるが、さらにシリコンキャップ層に炭素を導入する工程が追加される。この炭素を導入する工程は、例えばエピタキシャル成長法でシリコンキャップ層を形成する際に炭素を添加することで実現できる。
本実施の形態3におけるSiGe HBTの電圧−電流特性(ガンメルプロット)を図22に示す。横軸はベース領域とエミッタ領域との間に印加される電圧VBEを示しており、縦軸はベース電流Iおよびコレクタ電流Iを示している。図22には、本実施の形態3のSiGe HBTと比較するため、シリコンキャップ層の一部に導入される炭素の濃度を0.08%ではなく、シリコン−ゲルマニウム層に導入される炭素の濃度と同じ0.2%にしたSiGe HBTの電圧−電流特性も記載している。実線で表示している曲線が本実施の形態3におけるSiGe HBTの電圧−電流特性であり、破線で表示している曲線が比較例におけるSiGe HBTの電圧−電流特性である。
図22に示すように、比較例においてベース電流のn値は約1.3であるのに対し、本実施の形態3では約1.15となっている。ここで、ベース電流のn値が低いほど、ベース電流に占める再結合電流が低くなるので、本実施の形態3では比較例に比べて再結合電流の割合を低減することができる。すなわち、本実施の形態3では、シリコンキャップ層にも炭素を導入することで、エミッタ領域およびベース領域に導入されている不純物の拡散を抑制する一方、シリコンキャップ層に導入した炭素の平均濃度(0・08%)をシリコン−ゲルマニウム層に導入した炭素の最大濃度(0.2%)よりも低くすることにより、再結合電流の発生を抑制している。具体的に、コレクタ電流Iがアイドル電流とほぼ同じ30mAの場合の電流増幅率は、比較例の場合は約25であったのに対し、本実施の形態3では約80まで増加した。この電流増幅率の増加に起因したベース電流Iの低減により、携帯電話機の平均消費電力を低減することができた。
なお、本実施の形態3では、エミッタ領域とベース領域との間の接合領域はシリコン層に形成されているが、接合領域がシリコン−ゲルマニウム層にあってもよく、その場合でも本実施の形態3と同様な効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態4)
本実施の形態4におけるSiGe HBTは前記実施の形態3におけるSiGe HBTの構成を備えるほかに、シリコンキャップ層の表面近傍にホウ素(第2導電型の第4不純物)を導入した構成をしている。以下、このSiGe HBTについて説明する。
本実施の形態4におけるSiGe HBTも前記実施の形態1と同様に電力増幅器に使用される。そして、この電力増幅器は前記実施の形態1と同様にWCDMA方式の携帯電話機の信号送受信部に使用される。また、電力増幅器の回路図も図4に示した回路図と同様である。さらに、本実施の形態4におけるSiGe HBTの構造も図7に示した構造と同じである。異なる点は、図7に示す選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布である。
図23は、選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布を示した図である。横軸は選択エピタキシャル層39の表面からの深さ(nm)を示している。縦軸のうち左側の軸は不純物濃度、すなわちホウ素(B)、リン(P)あるいは砒素(As)の濃度(/cm)を示しており、縦軸のうち右側の軸は炭素の導入量(添加量)を示している。炭素の導入量は、シリコン原子数に対する炭素原子の割合を%で表している。
図23に示すように、選択エピタキシャル層39には、深さ40(nm)から深さ80(nm)にわたって厚さ40nmのシリコン−ゲルマニウム層が形成されており、このシリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部にベース領域が形成されている。すなわち、シリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部に約10nmにわたってホウ素(B)が導入されており、この領域がベース領域となっている。また、シリコン−ゲルマニウム層内には、炭素が濃度0.2%で均一に添加されている。
シリコン−ゲルマニウム層上に形成されたシリコンキャップ層は厚さが40nmで、シリコン−ゲルマニウム層との境界から深さ20nmまでの領域にも炭素が0.08%で均一に導入されている。さらに、シリコンキャップ層の表面から深さ20nmまでの領域には、濃度が2×1018/cmのホウ素(B)が導入されている。この濃度は、2×1018/cmに限定されるものではなく、5×1017/cm以上であればよい。また、このシリコンキャップ層上に形成されたn型ポリシリコン膜40からリン(P)あるいは砒素(As)が拡散されてエミッタ領域が形成されている。
本実施の形態4によれば、前記実施の形態3と同様の効果を有するとともに、ベース電流のリーク電流(再結合電流)成分を小さくすることができ、従来に比べて携帯電話機の平均消費電力を約23%低減することができる。これは、シリコンキャップ層の表面近傍(表面から所定の深さまで)にホウ素(B)が導入されていることにより、エミッタ領域周辺のエミッタ−ベース接合の空乏層幅が狭くしているためである。すなわち、空乏層を狭くすることにより、空乏層内での再結合によるリーク電流の発生を低減できるのである。
本実施の形態4におけるSiGe HBTの製造方法は前記実施の形態3と基本的に同じであるが、さらにシリコンキャップ層の表面近傍にホウ素を導入する工程が追加される。このホウ素を導入する工程は、例えばエピタキシャル成長法でシリコンキャップ層を形成する際にホウ素を添加することで実現できる。
なお、本実施の形態4では、エミッタ領域とベース領域との間の接合領域はシリコン層に形成されているが、接合領域がシリコン−ゲルマニウム層にあってもよく、その場合でも本実施の形態4と同様な効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態5)
本実施の形態5におけるSiGe HBTは前記実施の形態2におけるSiGe HBTの構成を備えるほかに、シリコンキャップ層の表面近傍にホウ素(B)と炭素(C)を導入した構成をしている。以下、このSiGe HBTについて説明する。
本実施の形態5におけるSiGe HBTも前記実施の形態1と同様に電力増幅器に使用される。そして、この電力増幅器は前記実施の形態1と同様にWCDMA方式の携帯電話機の信号送受信部に使用される。また、電力増幅器の回路図も図4に示した回路図と同様である。さらに、本実施の形態5におけるSiGe HBTの構造も図7に示した構造と同じである。異なる点は、図7に示す選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布である。
図24は、選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布を示した図である。横軸は選択エピタキシャル層39の表面からの深さ(nm)を示している。縦軸のうち左側の軸は不純物濃度、すなわちホウ素(B)、リン(P)あるいは砒素(As)の濃度(/cm)を示しており、縦軸のうち右側の軸は炭素の導入量(添加量)を示している。炭素の導入量は、シリコン原子数に対する炭素原子の割合を%で表している。
図24に示すように、選択エピタキシャル層39には、深さ40(nm)から深さ80(nm)にわたって厚さ40nmのシリコン−ゲルマニウム層が形成されており、このシリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部にベース領域が形成されている。すなわち、シリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部に約10nmにわたってホウ素(B)が導入されており、この領域がベース領域となっている。また、シリコン−ゲルマニウム層内には、炭素が濃度0.2%で均一に添加されている。
シリコンキャップ層の表面から深さ20nmまでの領域には、濃度5×1017/cm以上(例えば、2×1018/cm)のホウ素(B)と濃度0.15%の炭素(C)が導入されている。シリコンキャップ層の表面近傍に炭素が導入されているのは、表面近傍に導入されているホウ素(B)の拡散を抑制するためである。また、表面近傍にホウ素(B)が導入されているのは、ベース領域とエミッタ領域の間に形成される空乏層の幅を狭くするためである。また、このシリコンキャップ層上に形成されたn型ポリシリコン膜40からリン(P)あるいは砒素(As)が拡散されてエミッタ領域が形成されている。
本実施の形態5によれば、シリコンキャップ層の表面近傍に炭素を添加しているため、前記実施の形態2に比べてベース電流のリーク電流成分が増加する。しかし、シリコンキャップ層の表面近傍にホウ素(B)を導入しているので、エミッタ領域周辺での空乏層の広がりを抑制でき、ベース電流のリーク電流成分を大幅に減少できる。ここで、前者の効果に比べて後者の効果の方が勝っているので、全体としてはベース電流のリーク電流成分を低減することができる。
また、シリコンキャップ層の表面近傍に導入された炭素により、同じ領域に導入されたホウ素(B)やエミッタ領域に導入されているリン(P)あるいは砒素(As)の拡散を抑制することができるので、前記実施の形態2に比べてCjEが低減できる。これらの結果、本実施の形態5によれば、従来と比べて携帯電話機の平均消費電力を約20%低減することができる。
本実施の形態5におけるSiGe HBTの製造方法は前記実施の形態2と基本的に同じであるが、さらにシリコンキャップ層の表面近傍にホウ素と炭素を導入する工程が追加される。このホウ素および炭素を導入する工程は、例えばエピタキシャル成長法でシリコンキャップ層を形成する際にホウ素および炭素を添加することで実現できる。
なお、本実施の形態5では、エミッタ領域とベース領域との間の接合領域はシリコン層に形成されているが、接合領域がシリコン−ゲルマニウム層にあってもよく、その場合でも本実施の形態5と同様な効果が得られることは言うまでもない。
(実施の形態6)
本実施の形態6におけるSiGe HBTは前記実施の形態4におけるSiGe HBTの構成を備えるほかに、シリコンキャップ層の表面近傍に炭素(C)を導入した構成をしている。以下、このSiGe HBTについて説明する。
本実施の形態6におけるSiGe HBTも前記実施の形態1と同様に電力増幅器に使用される。そして、この電力増幅器は前記実施の形態1と同様にWCDMA方式の携帯電話機の信号送受信部に使用される。また、電力増幅器の回路図も図4に示した回路図と同様である。さらに、本実施の形態6におけるSiGe HBTの構造も図7に示した構造と同じである。異なる点は、図7に示す選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布である。
図25は、選択エピタキシャル層39の深さ方向の不純物濃度分布を示した図である。横軸は選択エピタキシャル層39の表面からの深さ(nm)を示している。縦軸のうち左側の軸は不純物濃度、すなわちホウ素(B)、リン(P)あるいは砒素(As)の濃度(/cm)を示しており、縦軸のうち右側の軸は炭素の導入量(添加量)を示している。炭素の導入量は、シリコン原子数に対する炭素原子の割合を%で表している。
図25に示すように、選択エピタキシャル層39には、深さ40(nm)から深さ80(nm)にわたって厚さ40nmのシリコン−ゲルマニウム層が形成されており、このシリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部にベース領域が形成されている。すなわち、シリコン−ゲルマニウム層のエミッタ領域側の端部に約10nmにわたってホウ素(B)が導入されており、この領域がベース領域となっている。また、シリコン−ゲルマニウム層内には、炭素が濃度0.2%で均一に添加されている。
シリコン−ゲルマニウム層上に形成されたシリコンキャップ層は厚さが40nmで、シリコン−ゲルマニウム層との境界から深さ20nmまでの領域にも炭素が0.08%で均一に導入されている。さらに、シリコンキャップ層の表面から深さ20nmまでの領域には、濃度が5×1017/cm以上(例えば2×1018/cm)のホウ素(B)および濃度0.15%の炭素が導入されている。また、このシリコンキャップ層上に形成されたn型ポリシリコン膜40からリン(P)あるいは砒素(As)が拡散されてエミッタ領域が形成されている。
シリコンキャップ層の表面近傍に導入されているホウ素(B)は、エミッタ領域とベース領域の接合境界に生じる空乏層の幅を狭くする機能を有する。そして、シリコンキャップ層の表面近傍に導入されている炭素は、同じ領域に形成されているホウ素(B)およびエミッタ領域に導入されているリン(P)や砒素(As)の拡散を抑制する機能を有している。
また、シリコンキャップ層とシリコン−ゲルマニウム層との境界から深さ20nmまでの領域に導入された炭素の平均濃度(0.08%)は、シリコン−ゲルマニウム層内に導入された炭素の最大濃度(0.2%)やシリコンキャップ層の表面近傍に導入された炭素の最大濃度(0.15%)に比べて低くなっている。これは、接合境界近傍におけるリーク電流(再結合電流)を低減するためである。
本実施の形態6によれば、シリコンキャップ層の表面近傍に炭素を導入しているので、電流増幅率は若干低下する。しかし、シリコンキャップ層の表面近傍に導入されたホウ素(B)の拡散が抑制できるので、CjEを低減できる。この結果、従来に比べて携帯電話機の平均消費電力を約25%低減することができる。
本実施の形態6におけるSiGe HBTの製造方法は前記実施の形態4と基本的に同じであるが、さらにシリコンキャップ層の表面近傍に炭素を導入する工程が追加される。この炭素を導入する工程は、例えばエピタキシャル成長法でシリコンキャップ層を形成する際に炭素を添加することで実現できる。
なお、本実施の形態6では、エミッタ領域とベース領域との間の接合領域はシリコン層に形成されているが、接合領域がシリコン−ゲルマニウム層にあってもよく、その場合でも本実施の形態6と同様な効果が得られることは言うまでもない。
前記実施の形態2〜6では、シリコン中に炭素を導入しているが、シリコン中に導入された炭素は、ベース領域のホウ素(B)やエミッタ領域のリン(P)や砒素(As)の拡散を抑制する効果がある。したがって、SiGe HBTのベース領域、エミッタ領域あるいはエミッタ−ベース接合のそれぞれの近傍に炭素を導入すると、ベース領域あるいはエミッタ領域からの不純物の拡散を抑制することができる。これにより、CjEを減少することができ、ACPRを低減できる。また、ベース領域の幅を薄くすることが可能となり、より高い遮断周波数fと最大発振周波数fmaxを実現できる。その結果、アイドル電流を低減できるとともに、高い電力利得を得ることができる。また、電力付加効率も高くすることができる。
エミッタ領域とベース領域との間のリーク電流は空乏層が広いほど大きい。前記実施の形態4〜6のSiGe HBTでは、シリコンキャップ層の表面近傍にホウ素(B)を導入している。これにより、エミッタ領域周辺において空乏層が必要以上に広がることを抑制できる。その結果、エミッタ領域とベース領域との間のリーク電流を低減できる。また、前記実施の形態5、6のようにシリコンキャップ層の表面近傍に炭素を同時に導入することにより、ホウ素(B)の拡散を抑制できるので、シリコンキャップ層の表面近傍に導入されたホウ素(B)によるCjEの増加を抑制できる。
ベース領域とエミッタ領域との接合境界にある低不純物濃度領域での再結合準位は、その領域に添加される炭素に起因して形成される。このため、低不純物濃度領域における炭素の濃度をゼロにするか、ゼロでないにしてもホウ素(B)が高濃度に導入されたベース領域やシリコンキャップ層の表面近傍の炭素濃度よりも低くすることにより、低不純物濃度領域の再結合準位密度を低くすることができる。すなわち、低不純物濃度領域におけるベース電流のn値を1に近づけることができる。このn値を実用上問題のない約1.2以下にするためには、低不純物濃度の領域における炭素濃度を0.1%以下にすることが望ましい。実験では、炭素濃度を0.1%以下にすることにより、再結合準位によるベース電流の増加やn値の増大は無視できるレベルになることが明らかになった。また、低不純物濃度領域の炭素濃度が少なくても0.03%以上あれば、ベース領域やエミッタ領域からの不純物の拡散を強く抑制できることが判明した。したがって、低不純物濃度領域の炭素濃度が0.03%以上あれば、ベース領域とエミッタ領域の接合領域における不純物濃度の増大を防ぐことができることが判明した。これらの結果から低不純物濃度領域の炭素濃度を0.03%以上0.1%以下にすることにより、CjEの低減効果を保ったままリーク電流による電力損失を防ぐことができるので、携帯電話機の平均消費電力を低減できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
前記実施の形態では、CDMA方式やWCDMA方式などのスペクトル拡散方式を使用した携帯電話機を例にして説明したが、これに限らず、マルチキャリア方式を使用した無線LAN用電力増幅器にも適用することができる。
スペクトル拡散方式やマルチキャリア方式といった広帯域デジタル変調方式の電力増幅器では、特定の帯域において大容量のデータを伝送する。このため、増幅歪みによって隣接する周波数信号の影響を受けて復調データに誤りが生じやすい。したがって、増幅歪みに対する規格が厳しくなっており、増幅歪みを低減できる前記実施の形態のSiGe HBTが有用である。
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
携帯電話機における信号送受信部のブロック図である。 電力増幅器に入力する信号のスペクトルを模式的に示した図である。 電力増幅器から出力する信号のスペクトルを模式的に示した図である。 電力増幅器を構成する回路の一例を示した図である。 電力増幅器の一例を示した断面図である。 本発明の実施の形態1におけるSiGe HBTを示した平面図である。 図6のA−A線で切断した断面図である。 出力電力と電力利得との関係を示したグラフである。 実施の形態1において選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。 不純物濃度とCjEとの関係を示したグラフである。 CjEとACPRとの関係を示したグラフである。 アイドル電流とACPRとの関係を示したグラフである。 CjEと最小アイドル電流との関係を示したグラフである。 出力電力と電力利得との関係を示したグラフである。 出力電力と電力付加効率との関係および出力電力と出力出現確率との関係を示した図である。 実施の形態1におけるSiGe HBTの製造工程を示した断面図である。 図16に続くSiGe HBTの製造工程を示した断面図である。 図17に続くSiGe HBTの製造工程を示した断面図である。 図18に続くSiGe HBTの製造工程を示した断面図である。 実施の形態2において選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。 実施の形態3において選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。 ベース−エミッタ間電圧とコレクタ電流およびベース−エミッタ間電圧とベース電流との関係を示したグラフである 実施の形態4において選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。 実施の形態5において選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。 実施の形態6において選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。 本発明者らが検討した選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。 本発明者らが検討した選択エピタキシャル層の不純物濃度分布を示した図である。
符号の説明
1 デジタル信号処理部
2 IF部
3 変調信号源
4 ミキサ
5 電力増幅器
6 アンテナスイッチ
7 アンテナ
8 低雑音増幅器
10a SiGe HBT
10b SiGe HBT
11a 整合回路
11b 整合回路
12a〜12d 伝送線路
13a〜13e コンデンサ
14 入力端子
15a 電源端子
15b 電源端子
16 出力端子
20 ICチップ
21 モジュール基板
22 電極
23 サーマルビア
24G 電極
24S 電極
25 受動部品
30 半導体基板
31 n型不純物埋め込み層
32 n型シリコン層
33 n型シリコン層
34 分離領域
35 分離領域
36 絶縁膜
37 p型ポリシリコン膜
38 酸化シリコン膜
38a 酸化シリコン膜
39 選択エピタキシャル層
40 n型ポリシリコン膜
41 酸化シリコン膜
42 電極
43 電極
44 電極
PM RFパワーモジュール

Claims (25)

  1. スペクトル拡散方式またはマルチキャリア方式による無線通信装置に使用される電力増幅器に含まれ、シリコン層およびシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタを備える半導体装置であって、
    前記へテロ接合バイポーラトランジスタは、
    (a)第1導電型の第1不純物を導入したエミッタ領域と、
    (b)前記第1不純物とは異なる第2導電型の第2不純物を導入したベース領域と、
    (c)ポリシリコン膜を含み前記エミッタ領域に接続するエミッタ電極と、
    (d)ポリシリコン膜を含み前記ベース領域に接続するベース電極とを有し、
    前記エミッタ領域と前記ベース領域との接合境界において前記第1不純物の濃度および前記第2不純物の濃度がそれぞれ5×1017/cm以下であることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記ベース領域は前記シリコン−ゲルマニウム層に形成され、前記シリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部に炭素が添加されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記ベース領域が形成された前記シリコン−ゲルマニウム層上に前記エミッタ領域が形成された前記シリコン層を有し、前記シリコン層の少なくとも一部に炭素が添加されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  4. 前記ベース領域が形成された前記シリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部と、前記シリコン−ゲルマニウム層上に形成され、前記エミッタ領域が形成された前記シリコン層の少なくとも一部とに炭素が添加されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  5. 前記エミッタ領域が形成された前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に第2導電型の第3不純物が添加されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
  6. 前記エミッタ領域が形成された前記シリコン層の表面から所定の深さまで炭素と第2導電型の第3不純物が添加されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記第2不純物および前記第3不純物はホウ素であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の半導体装置。
  8. シリコン層およびシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタを含む半導体装置であって、
    前記へテロ接合バイポーラトランジスタは、
    (a)第1導電型の第1不純物を導入したエミッタ領域と、
    (b)前記第1不純物とは異なる第2導電型の第2不純物を導入したベース領域と、
    (c)ポリシリコン膜を含み前記エミッタ領域に接続するエミッタ電極と、
    (d)ポリシリコン膜を含み前記ベース領域に接続するベース電極とを有し、
    前記エミッタ領域と前記ベース領域との接合境界において前記第1不純物の濃度および前記第2不純物の濃度がそれぞれ5×1017/cm以下であり、
    前記ベース領域が形成された前記シリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部と、前記シリコン−ゲルマニウム層上に形成され、前記エミッタ領域が形成された前記シリコン層のうち前記ベース領域と前記エミッタ領域の間の領域とに炭素が添加されており、前記ベース領域と前記エミッタ領域との間に添加されている炭素の平均濃度が、前記ベース領域に添加されている炭素の最大濃度よりも低くなっていることを特徴とする半導体装置。
  9. 前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に5×1017/cm以上の第2導電型の第3不純物が添加されていることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
  10. 前記第2不純物および前記第3不純物はボロンであることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
  11. 前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に炭素が添加され、その最大濃度が前記ベース領域と前記エミッタ領域との間に添加されている炭素の平均濃度よりも高くなっていることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
  12. 前記ベース領域と前記エミッタ領域との間に添加されている炭素の平均濃度が0.03%以上0.1%以下であることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の半導体装置。
  13. シリコン層およびシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタを含む半導体装置であって、
    前記へテロ接合バイポーラトランジスタは、
    (a)第1導電型の第1不純物を導入したエミッタ領域と、
    (b)前記第1不純物とは異なる第2導電型の第2不純物を導入したベース領域と、
    (c)ポリシリコン膜を含み前記エミッタ領域に接続するエミッタ電極と、
    (d)ポリシリコン膜を含み前記ベース領域に接続するベース電極とを有し、
    前記エミッタ領域と前記ベース領域との接合境界において前記第1不純物の濃度および前記第2不純物の濃度がそれぞれ5×1017/cm以下であり、
    前記ベース領域が形成された前記シリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部と、前記シリコン−ゲルマニウム層上に形成され、前記エミッタ領域が形成された前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域とに炭素が添加され、さらに、前記シリコン層の表面から所定の深さの領域に5×1017/cm以上の第2導電型の第3不純物が添加されていることを特徴とする半導体装置。
  14. 前記第2不純物および前記第3不純物はホウ素であることを特徴とする請求項13記載の半導体装置。
  15. スペクトル拡散方式またはマルチキャリア方式による無線通信装置に使用される電力増幅器に含まれ、シリコン層およびシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタを備える半導体装置の製造方法であって、
    (a)半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
    (b)前記第1絶縁膜上に第2導電型の第2不純物を導入した第1ポリシリコン膜を形成する工程と、
    (c)前記第1ポリシリコン膜をパターニングする工程と、
    (d)パターニングした前記第1ポリシリコン膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
    (e)前記第1ポリシリコン膜および前記第2絶縁膜を貫通する開口部を形成する工程と、
    (f)前記開口部から露出した前記第1絶縁膜を除去する工程と、
    (g)前記開口部内に第2導電型の第3不純物を導入した前記シリコン−ゲルマニウム層を形成することによりベース領域を形成する工程と、
    (h)前記開口部内の前記シリコン−ゲルマニウム層上に前記シリコン層を形成する工程と、
    (i)前記シリコン層上に第2導電型とは異なる第1導電型の第1不純物を導入した第2ポリシリコン膜を形成する工程と、
    (j)前記第2ポリシリコン膜に導入した前記第1不純物の一部を前記シリコン層に拡散させることによりエミッタ領域を形成する工程とを備え、
    前記ベース領域と前記エミッタ領域との接合境界において前記第1不純物および前記第3不純物の濃度をそれぞれ5×1017/cm以下にすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  16. さらに、前記シリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部に炭素を添加する工程を備えることを特徴とする請求項15記載の半導体装置の製造方法。
  17. さらに、前記シリコン層の少なくとも一部に炭素を添加する工程を備えることを特徴とする請求項15記載の半導体装置の製造方法。
  18. さらに、前記シリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部と、前記シリコン層の少なくとも一部とに炭素を添加する工程を備えることを特徴とする請求項15記載の半導体装置の製造方法。
  19. さらに、前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に第2導電型の第4不純物を導入する工程を備えることを特徴とする請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  20. さらに、前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に炭素と第2導電型の第4不純物を導入する工程を備えることを特徴とする請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  21. シリコン層およびシリコン−ゲルマニウム層を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタを備える半導体装置の製造方法であって、
    (a)半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
    (b)前記第1絶縁膜上に第2導電型の第2不純物を導入した第1ポリシリコン膜を形成する工程と、
    (c)前記第1ポリシリコン膜をパターニングする工程と、
    (d)パターニングした前記第1ポリシリコン膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
    (e)前記第1ポリシリコン膜および前記第2絶縁膜を貫通する開口部を形成する工程と、
    (f)前記開口部から露出した前記第1絶縁膜を除去する工程と、
    (g)前記開口部内に第2導電型の第3不純物を導入したシリコン−ゲルマニウム層を形成することによりベース領域を形成する工程と、
    (h)前記シリコン−ゲルマニウム層の少なくとも一部に炭素を導入する工程と、
    (i)前記開口部内の前記シリコン−ゲルマニウム層上に前記シリコン層を形成する工程と、
    (j)前記シリコン層の少なくとも一部に炭素を導入する工程と、
    (k)前記シリコン層上に第2導電型と異なる第1導電型の第1不純物を導入した第2ポリシリコン膜を形成する工程と、
    (l)前記第2ポリシリコン膜に導入した前記第1不純物の一部を前記シリコン層に拡散させることによりエミッタ領域を形成する工程とを備え、
    前記ベース領域と前記エミッタ領域との接合境界において前記第1不純物および前記第3不純物の濃度をそれぞれ5×1017/cm以下にし、さらに、前記シリコン層に導入した炭素の平均濃度を前記シリコン−ゲルマニウム層に導入した炭素の最大濃度よりも低くすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  22. さらに、前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に第2導電型で5×1017/cm以上の第4不純物を導入する工程を備えることを特徴とする請求項21記載の半導体装置の製造方法。
  23. 前記(j)工程は、前記ベース領域と前記エミッタ領域の間の領域に炭素を導入する工程であり、さらに、前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に炭素を導入する工程を備え、
    前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に導入される炭素の最大濃度を前記ベース領域と前記エミッタ領域の間の領域に導入される炭素の平均濃度よりも高くすることを特徴とする請求項22記載の半導体装置の製造方法。
  24. 前記ベース領域とエミッタ領域の間の領域に導入される炭素の濃度を0.03%以上0.1%以下にすることを特徴とする請求項23記載の半導体装置の製造方法。
  25. 前記(j)工程は、前記シリコン層の表面から所定の深さまでの領域に炭素を導入する工程であることを特徴とする請求項22記載の半導体装置の製造方法。
JP2005019126A 2005-01-27 2005-01-27 半導体装置およびその製造方法 Pending JP2006210544A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005019126A JP2006210544A (ja) 2005-01-27 2005-01-27 半導体装置およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005019126A JP2006210544A (ja) 2005-01-27 2005-01-27 半導体装置およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006210544A true JP2006210544A (ja) 2006-08-10

Family

ID=36967062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005019126A Pending JP2006210544A (ja) 2005-01-27 2005-01-27 半導体装置およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006210544A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5175482B2 (ja) 半導体装置
US6251738B1 (en) Process for forming a silicon-germanium base of heterojunction bipolar transistor
JP4056226B2 (ja) 半導体装置
US7868425B2 (en) Semiconductor device and manufacturing method of the same
US10158010B2 (en) Methods of forming a bipolar transistor having a collector with a doping spike
JP2010171433A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JPH06181216A (ja) 分離型上部コレクタを有するバイポーラモノリシック高パワーrfトランジスタ
JP2006210790A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP2010283329A (ja) バイポーラトランジスタ及びその製造方法
US6573539B2 (en) Heterojunction bipolar transistor with silicon-germanium base
US8759880B2 (en) Ultra-high voltage SIGE HBT device and manufacturing method of the same
CA2373752A1 (en) Improved rf power transistor
CN103137676B (zh) 一种锗硅异质结双极晶体管及其制造方法
Berntgen et al. SiGe technology bears fruits
JP2006210544A (ja) 半導体装置およびその製造方法
US20090079031A1 (en) Method and device with improved base access resistance for npn bipolar transistor
EP1021835B1 (en) Method of manufacturing a bipolar power transistor
US20040115878A1 (en) Method for manufacturing a silicon germanium based device with crystal defect prevention
JP2006228784A (ja) 化合物半導体エピタキシャルウェハ
JP2004128344A (ja) 半導体装置
CN103050520B (zh) 一种SiGe HBT器件及其制造方法
Oka et al. High-performance InGaP power HBT technologies for wireless applications
KR20000062604A (ko) 바이폴라 트랜지스터를 포함하는 반도체장치
CN111106164A (zh) 一种NPN型横向SOI AlGaN/Si HBT器件结构及其制备方法
CN103050518A (zh) 锗硅异质结双极型晶体管及其制造方法