JP2006210245A - 電池モジュールの冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構成で、冷却効率の向上が十分に図られる電池モジュールの冷却装置を提供する。
【解決手段】 組電池10の冷却装置は、それぞれが正極端子21および負極端子26を有し、互いに組み合わされる複数の電池セル20と、複数の電池セル20間に渡って延び、各電池セル20の正極端子21および負極端子26に接続されるヒートパイプ50と、ヒートパイプ50に設けられ、隣り合う正極端子21および負極端子26の間を絶縁する樹脂製ナット73とを備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、一般的には、電池モジュールの冷却装置に関し、より特定的には、ハイブリッド自動車に搭載される電池モジュールの冷却装置に関する。
従来の電池モジュールの冷却装置に関して、たとえば、特開2003−331816号公報には、電極リードの熱を電極リードから効率良く拡散させるとともに、電気的および機械的な接続強度を向上させることを目的としたシート状リチウムイオン2次電池が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示されたシート状リチウムイオン2次電池では、電池セル間を電気的に接続するバスバーから、バスバーに接続される正極リードおよび負極リードに渡る範囲が、樹脂の充填剤によって覆われている。
また、特開2003−163036号公報には、電池容器内の温度上昇を抑制することを目的とした集合電池が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された集合電池は、複数の電池が積層されて構成されている。各電池の端子部には、複数の電池間に渡って延在する金属製の放熱部材が固定されている。放熱部材には、フィン部が設けられている。
また、特開2002−373638号公報には、大電流に対応しつつバスバーの軽量化を達成し、かつ、バスバーと電極との接続を容易にすることを目的とした電池が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示された電池では、複数の電池セル間を電気的に接続するバスバーに、開口が形成されている。その開口には、冷却風が流通する。
特開2003−331816号公報 特開2003−163036号公報 特開2002−373638号公報
上述の特許文献2および3にそれぞれ開示された集合電池および電池では、電池を効率良く冷却するために、フィン部やバスバーの開口に冷却風を供給している。このため、冷却風をまず、電池の設置位置まで導き、さらに、電池の冷却によって温度上昇した冷却風を、電池の設置位置から排出するダクトを設けなければならない。しかしながら、電池の設置位置によっては、ダクトが長大になるため、電池の冷却構造が複雑になるおそれが生じる。また、ダクトの経路を確保するために、電池の設置位置に関して自由度が低下するおそれが生じる。また、冷却風の流れに澱みが発生した場合には、温度上昇した冷却風が電池の周りに留まるため、電池を効率良く冷却することができない。
また、上述の特許文献1に開示されたシート状リチウムイオン2次電池では、バスバーの総断面積と電極リードの総断面積との比を、所定の範囲に設定することで、電極リードからバスバーに熱を効率良く伝えている。しかし、このような方法では、複数の電池を組み合わせた電池モジュールにおいて、冷却効率を十分に向上させることができない。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、簡易な構成で、冷却効率の向上が十分に図られる電池モジュールの冷却装置を提供することである。
この発明に従った電池モジュールの冷却装置は、それぞれが電極部を有し、互いに組み合わされる複数の電池セルと、複数の電池セル間に渡って延び、各電池セルの電極部に接続されるヒートパイプ(heat pipe)と、ヒートパイプに設けられ、隣り合う電極部の間を絶縁する絶縁部材とを備える。
このように構成された電池モジュールの冷却装置によれば、電池モジュールで発生した熱が、電極部からヒートパイプに封入された熱媒体に吸収されることによって、熱媒体が蒸発する。蒸発した熱媒体は、ヒートパイプ内を移動し、移動した先で熱を放出して液体となる。液体となった熱媒体は、毛細管作用により元の位置に戻り、再び電極部から熱を吸収する。本発明では、ヒートパイプは、複数の電池セル間に渡って延びて形成されているため、電池セルごとにヒートパイプを設ける必要がない。また、ヒートパイプを用いることによって、電池モジュールで発生した熱を、電極部から、電池モジュールから離れた位置まで移動させることができる。このため、ヒートパイプ内の熱媒体と熱交換を行なう冷却媒体を、電池モジュールまで導く必要がない。これらの理由から、冷却装置を、簡易かつ低コストな構成に仕上げることができる。また、ヒートパイプ内の熱媒体からの熱の放出は、電池モジュールから離れた位置で行なわれるため、放出された熱が、電池モジュールの周囲に留まることを防止できる。このため、電池モジュールの冷却効率を十分に向上させることができる。
また好ましくは、ヒートパイプは、複数の電池セルに隣り合って設けられ、電極部に接続される吸熱部と、複数の電池セルから離れて設けられた放熱部と、吸熱部と放熱部との間で延びる断熱部とを有する。このように構成された電池モジュールの冷却装置によれば、ヒートパイプには、吸熱部と放熱部との間で熱輸送が可能な断熱部が設けられている。このため、放熱部を、放熱を行なうのに最適な位置に配置することができる。
また好ましくは、放熱部は、自然空冷されている。このように構成された電池モジュールの冷却装置によれば、ヒートパイプを用いることによって、放熱部を適当な位置に設置できるため、自然空冷を行い易くなる。自然空冷により、強制空冷の場合と比較して、冷却装置を簡易に構成することができる。
また好ましくは、断熱部は、放熱部から吸熱部に向けて鉛直下方向に延びている。このように構成された電池モジュールの冷却装置によれば、放熱部で液体となった熱媒体が、放熱部から吸熱部に向けて移動する際、熱媒体に重力が作用する。このため、熱媒体が、放熱部と吸熱部との間で循環しやすくなる。これにより、電池モジュールの冷却効率をさらに向上させることができる。
また、電極部は、電池セルの外装体の外側に露出する外部端子を含む。好ましくは、ヒートパイプは、外部端子に接続されている。このように構成された電池モジュールの冷却装置によれば、ヒートパイプは、電池セルの外装体の外側で外部端子に接続されるため、ヒートパイプと電極部との接続を容易に行なうことができる。このため、冷却装置を簡易に構成することができる。
以上説明したように、この発明に従えば、簡易な構成で、冷却効率の向上が十分に図られる電池モジュールの冷却装置を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における組電池の冷却装置を示す斜視図である。図中には、リチウムイオン2次電池からなる組電池が示されている。この組電池は、ハイブリッド自動車に搭載され、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関とともに、ハイブリッド自動車の動力源となる。
図1を参照して、組電池10の冷却装置は、一方向に配列された複数の電池セル20と、複数の電池セル20に接続されたヒートパイプ50と、複数の電池セル20とヒートパイプ50との間に配置された樹脂製ナット73とを備える。複数の電池セル20は、互いに組み合わされることによって、組電池10を構成している。
図2は、図1中のII−II線上に沿ったヒートパイプの断面図である。図1および図2を参照して、ヒートパイプ50は、毛細管構造としての溝形状が形成された内壁55を有する。内壁55に囲まれた位置には、真空状態で封止された内部空間56が規定されている。内部空間56には、水やフレオン、アンモニアなどの図示しない熱媒体が少量、封入されている。ヒートパイプ50は、金属から形成されており、たとえば、銅、アルミニウムまたはステンレス鋼などから形成されている。
ヒートパイプ50は、組電池10の直上に位置決めされ、複数の電池セル20の間に渡って延びる吸熱部52と、組電池10から離れて位置する放熱部51と、吸熱部52と放熱部51との間に設けられた断熱部53とを備える。内部空間56は、吸熱部52、断熱部53および放熱部51の間に渡って延びている。放熱部51は、吸熱部52よりも鉛直上側に位置して設けられている。断熱部53は、放熱部51から吸熱部52に向けて鉛直下方向に延びている。
吸熱部52には、組電池10の直上で、複数の電池セル20の間に渡って略水平方向に延在する平板部61が設けられている。吸熱部52は、平板部61を形成する金属ブロックに一体に形成されている。放熱部51には、間隔を隔てて配列された複数の金属板からなるフィン部54が設けられている。フィン部54は、放熱部51の端部51mに当接するように設けられている。放熱部51は、フィン部54を構成する金属板の表面に沿って延びるように形成されていても良い。
図3は、図1中の電池セルを示す斜視図である。図3を参照して、電池セル20は、巻回型の電極体13と、電極体13の両端にそれぞれ接続された正極端子21および負極端子26と、電極体13を覆うように設けられたラミネート外装体12とを備える。
図4は、図3中の電極体の分解組立図である。図4を参照して、電極体13は、正極シート32と、セパレータ31を介して正極シート32と重ね合わされた負極シート37とから構成されている。正極シート32は、略矩形形状を有するアルミニウム箔から形成されている。正極シート32の両面には、正極活物質を含有するペースト33が塗布されている。正極活物質としては、LiMn24、LiCoO2、LiNiO3等、リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質の1種もしくは2種以上を特に限定することなく使用できる。正極シート32の長手方向に沿った一方の周縁には、ペースト33が塗布されていないペースト未塗布部34が、帯状に延びて形成されている。
負極シート37は、正極シート32と同一形状を有する銅箔から形成されている。負極シート37の両面には、負極活物質を含有するペースト38が塗布されている。負極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイトカーボン等、リチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質の1種もしくは2種以上を特に限定することなく使用できる。負極シート37の長手方向に沿った一方の周縁には、ペースト38が塗布されていないペースト未塗布部39が、帯状に延びて形成されている。
セパレータ31は、短手方向の長さが正極シート32および負極シート37よりも小さく形成された略矩形形状を有する。セパレータ31としては、たとえば、多孔質のポリプロピレン樹脂シートを使用することができる。
正極シート32、負極シート37および2枚のセパレータ31が、正極シート32、セパレータ31、負極シート37、セパレータ31の順に重ね合わされている。このとき、正極シート32にペースト33が塗布された領域と、負極シート37にペースト38が塗布された領域とが、セパレータ31を介して向い合う。また、正極シート32のペースト未塗布部34が、セパレータ31の長手方向に延びる一方の端辺から露出し、負極シート37のペースト未塗布部39が、セパレータ31の長手方向に延びる他方の端辺から露出する。
図5は、図3中の電池セルの分解組立図である。図4および図5を参照して、電極体13は、正極シート32、負極シート37および2枚のセパレータ31からなる積層体が、中心軸101を中心に巻回されることによって形成されている。積層体は、中心軸101に直交する平面で切断した場合の断面形状が、長円となるように巻回されている。中心軸101に沿った方向に隔てた電極体13の両端には、正極端子21に接続される正極集電部41と、負極端子26に接続される負極集電部42とが形成されている。正極集電部41は、正極シート32のペースト未塗布部34が、中心軸101を中心とした半径方向に多層に重なって形成されている。負極集電部42は、負極シート37のペースト未塗布部39が、中心軸101を中心とした半径方向に多層に重なって形成されている。電極体13には、リチウム塩を有機溶媒に溶かした有機電解質が含浸させられている。
正極端子21および負極端子26は、金属から形成されている。正極端子21は、たとえばアルミニウムから形成されており、負極端子26は、たとえば銅から形成されている。正極端子21は、一方端21mおよび他方端21nを有し、一方端21mから他方端21nに向けて棒状に延びている。負極端子26は、一方端26mおよび他方端26nを有し、一方端26mから他方端26nに向けて、正極端子21と平行に延びている。
正極端子21は、取付け面22が形成された外周面21aを有する。負極端子26は、取付け面27が形成された外周面26aを有する。取付け面22および27は、一方端21mおよび26mよりも他方端21nおよび26nに近い側に位置して、互いに向い合って平行に延在している。取付け面22および27には、複数のスリット24および29が所定の深さで形成されている。正極端子21は、一方端21mと取付け面22との間に位置して接続部23を有する。負極端子26は、一方端26mと取付け面27との間に位置して接続部28を有する。接続部23および28には、外周面26aの周方向に巻回する雄ねじが形成されている。
スリット24に正極集電部41が全体的に差し込まれることによって、正極端子21と、電極体13の正極シート32とが電気的に接続されている。スリット29に負極集電部42が全体的に差し込まれることによって、負極端子26と、電極体13の負極シート37とが電気的に接続されている。このような接続方法により、正極集電部41および負極集電部42は、中心軸101を中心とした半径方向の全体に渡って、それぞれ、正極端子21および負極端子26と接触している。
図3を参照して、ラミネート外装体12は、たとえば、アルミニウム等の金属からなる基材にポリエチレンテレフタラート樹脂(PET:poly ethylene terephthalate)等の樹脂材料が被膜されて形成されている。ラミネート外装体12は、電極体13を覆う中央部12rと、中央部12rの両側に位置し、それぞれ、外周面21aおよび26aの一部を覆う両端部12pおよび12qとから構成されている。ラミネート外装体12は、中央部12r、両端部12pおよび両端部12qが一体となって形成されている。接続部23および28は、両端部12pおよび12qから露出している。ラミネート外装体12の厚みは、たとえば、1mm以下である。ラミネート外装体12は、一般的な熱溶着工程によって設けられる。
このように、電極体13とともに正極端子21および負極端子26をラミネート外装体12で覆うことにより、電極体13に含浸させた電解質がラミネート外装体12の外側に漏れることを確実に防止できる。
なお、本実施の形態では、電極体13を覆うためにラミネート外装体12を用いたが、ラミネート外装体12に替えて、金属製のケース体を用いても良い。この場合、ケース体には、正極端子21と負極端子26との間を絶縁するための絶縁構造が設けられる。
図6は、図1中の組電池の冷却装置を示す平面図である。図中では、ヒートパイプ50の吸熱部52が簡略に描かれている。図1および図6を参照して、複数の電池セル20は、互いに隣り合う電池セル20mの正極端子21と電池セル20nの負極端子26とが向い合い、電池セル20mの負極端子26と電池セル20nの正極端子21とが向い合うように、一方向に配列されている。バスバー71により、電池セル20の正極端子21は、一方の側に隣り合う電池セル20の負極端子26に電気的に接続されており、電池セル20の負極端子26は、他方の側に隣り合う電池セル20の正極端子21に電気的に接続されている。このような構成により、複数の電池セル20が直列に接続されている。
組電池10に正極端子21および負極端子26が設けられた側から見て、吸熱部52は、各電池セル20の正極端子21と負極端子26との間の中心位置を通るように、一方向に延びて形成されている。吸熱部52は、一方向に並んで配列された複数の電池セル20の一方端から他方端に渡って延びて形成されている。
図7は、図1中の2点鎖線VIIで囲まれた範囲を示す側面図である。図中では、内部構造を明確に表わすため、一部が断面形状で示されている。図1および図7を参照して、バスバー71の両端には、それぞれ、正極端子21の接続部23と、負極端子26の接続部28とが挿入される貫通孔71hが形成されている。バスバー71が嵌め合わされた接続部23および28に、ナット72が締め込まれることによって、バスバー71が、接続部23および28に固定されている。
平板部61は、組電池10が位置する側に面して延在する表面61aを有する。平板部61には、表面61aから突出し、外周面に雄ねじが形成された突出部66が設けられている。突出部66は、組電池10の正極端子21および負極端子26に対応した位置に設けられている。突出部66と、接続部23および28とには、樹脂製ナット73が締め込まれている。樹脂製ナット73により、突出部66と、接続部23および28とが、互いに離間した状態で接続されている。このような構成により、互いに隣り合う正極端子21および負極端子26が、平板部61を介して導通することを防止している。また、樹脂製ナット73は、ラミネート外装体12から露出した接続部23および28に接続されているため、これらの間の接続を容易に行なうことができる。
樹脂製ナット73は、高熱伝導性の樹脂から形成されており、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂、アクリル樹脂またはウレタン樹脂などから形成されている。
図8は、図1中の組電池が搭載されたハイブリッド自動車を示す模式図である。図1および図8を参照して、ハイブリッド自動車80の車両後方には、トランクルーム81が形成されている。トランクルーム81のリヤフロア82の下側には、組電池10を収容する電池収容部87が形成されている。ヒートパイプ50は、吸熱部52が、リヤフロア82の下側の電池収容部87に位置決めされ、断熱部53が、電池収容部87からトランクルーム81内に向かって延び、放熱部51が、トランクルーム81内に位置決めされるように設けられている。
ハイブリッド自動車80には、さらに、走行風ダクト83が設けられている。走行風ダクト83は、車両前方のフロントグリル86の直後で開口する走行風導入口83pと、ヒートパイプ50のフィン部54に向けて開口する走行風吹き出し口83qとを有する。ハイブリッド自動車80が走行すると、走行風が、走行風導入口83pから取り込まれ、走行風ダクト83を通って、走行風吹き出し口83qからフィン部54に向けて吹き出される。
続いて、組電池10が冷却される工程について説明を行なう。電極体13で熱が発生すると、その熱は、まず、電極体13から正極端子21および負極端子26に伝わる。本実施の形態では、電極体13と正極端子21および負極端子26とは、熱伝導性に優れた金属から形成されており、互いに直接、接続されている。また、正極集電部41および負極集電部42は、中心軸101を中心とした半径方向の全体に渡って、それぞれ、正極端子21および負極端子26と接触している。このため、熱を、電極体13から正極端子21および負極端子26へ効率良く伝え、ラミネート外装体12内の温度が大きく上昇することを防止できる。
正極端子21および負極端子26に伝わった熱は、樹脂製ナット73を介してヒートパイプ50の平板部61に伝わる。この際、樹脂製ナット73は、熱伝導性に優れた樹脂から形成されているため、正極端子21および負極端子26から平板部61へ効率良く熱を伝えることができる。
平板部61に伝わった熱は、吸熱部52の内部空間56に封入された熱媒体に吸収される。これにより、熱媒体は、蒸発し、吸熱部52から、断熱部53を通って放熱部51まで移動する。放熱部51に達した熱媒体は、フィン部54に吹き付けられる走行風と熱交換を行なうことで、熱を放出する。熱媒体は、放熱部51で液体に戻り、内壁55に形成された溝形状による毛細管作用によって、放熱部51から吸熱部52に移動する。吸熱部52に移動した熱媒体は、再び平板部61の熱を吸収し、放熱部51へ向かう。フィン部54に吹き付けられた走行風は、図示しないダクトから車両外に排出される。また、走行風は、暖房用の暖気として、室内に導かれても良い。
本実施の形態では、断熱部53は、放熱部51から吸熱部52に向けて鉛直下方向に延びているため、放熱部51から吸熱部52に向かう熱媒体に重力が作用する。このため、放熱部51から吸熱部52に向かう熱媒体の移動が、スムーズになる。これにより、熱媒体による熱輸送を、吸熱部52と放熱部51との間で効率良く行なうことができる。
また、組電池10は、トランクルーム81の床下の電池収容部87に収容されている。このため、組電池10を収容するスペースは、限られており、冷却風を流すための隙間を組電池10の周りに確保することが難しい場合がある。しかし本実施の形態では、ヒートパイプ50によって、組電池10で発生した熱を、比較的スペースに余裕のあるトランクルーム81まで導くことができる。このため、組電池10の周りに冷却風を流すためのスペースを確保する必要がなく、高い自由度で組電池10の設置位置を決定することができる。
また、ダクトの配置する際の制約が小さいため、走行風を冷却風として利用することも容易に行なうことができる。本実施の形態では、走行風を冷却風として利用することで、電池冷却用の電動ファンを設ける必要がない。このため、組電池10の冷却装置を低コストかつコンパクトに構成することができる。
ハイブリッド自動車80には、動力源として、組電池10とガソリンエンジン等の内燃機関との両方が搭載されている。このため、組電池10を搭載するスペースを、余裕を持って確保できないのが一般的である。本実施の形態では、ハイブリッド自動車80のこのような特有の事情から、上述の効果を特に有効に得ることができる。
また、冷却風を導入して組電池10を冷却した場合には、冷却風流れの上流側と下流側との間で冷却効率に差が生じるおそれがある。しかしながら、ヒートパイプ50を用いた場合、吸熱部52と放熱部51との間の温度差は、たとえば、2℃から3℃ほどしかなく、吸熱部52内では、ほとんど温度差が生じない。このため、組電池10を構成する複数の電池セル20をより均等に冷却することができる。
この発明の実施の形態1における電池モジュールとしての組電池10の冷却装置は、それぞれが電極部としての正極端子21および負極端子26を有し、互いに組み合わされる複数の電池セル20と、複数の電池セル20間に渡って延び、各電池セル20の正極端子21および負極端子26に接続されるヒートパイプ50と、ヒートパイプ50に設けられ、隣り合う正極端子21および負極端子26の間を絶縁する絶縁部材としての樹脂製ナット73とを備える。
正極端子21および負極端子26は、電池セル20の外装体としてのラミネート外装体12の外側に露出する外部端子としての接続部23および28を含む。ヒートパイプ50は、接続部23および28に接続されている。
組電池10は、内燃機関の出力と、組電池10の電力とを動力源とするハイブリッド自動車80に搭載されている。組電池10は、組電池10の電力を動力源とする車両としてのハイブリッド自動車80に搭載されている。
このように構成された、この発明の実施の形態1における組電池10の冷却装置によれば、ヒートパイプ50は、複数の電池セル20の間に渡って形成されているため、電池セル20ごとにヒートパイプを設ける必要がない。このため、冷却装置を、簡易かつ低コストな構成にできる。また、ヒートパイプ50を用いることによって、組電池10で発生した熱を、組電池10から離れて位置するトランクルーム81に放出することができる。このため、熱が、組電池10の周りに留まることを防止でき、組電池10の冷却効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、フィン部54に吹き付ける冷却風として走行風を利用したが、これに限定されず、たとえば、エアコンから車両室内に導入された冷却風を、フィン部54に吹き付けても良い。また、組電池10が搭載される位置は、リヤフロア82の下側に限定されず、たとえば、座席下のスペースであっても良い。ヒートパイプ50内の熱媒体の循環効率を確保するために、組電池10と放熱部51との間は、離れすぎないことが好ましい。たとえば、組電池10が、後部座席よりも後方に設けられている場合には、放熱部51も後部座席よりも後方に設けられていることが好ましい。
また、本実施の形態では、組電池10がリチウムイオン2次電池である場合について説明したが、組電池10は、これ以外の2次電池、たとえばニッケル水素2次電池であっても良い。この場合、ニッケル水素2次電池を構成する電極体は、たとえば、互いに向い合うように配置された櫛の歯状の正極シートおよび負極シートが、セパレータを介して交互に噛み合うように形成される。
(実施の形態2)
図9は、この発明の実施の形態2における組電池の冷却装置を示す平面図である。図9は、実施の形態1における図6に対応する図である。本実施の形態における組電池の冷却装置は、実施の形態1における組電池10の冷却装置と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
図9を参照して、本実施の形態では、吸熱部52が、組電池10の直上でジグザグ状に延びて形成されている。吸熱部52は、正極端子21および負極端子26の直上を通るように延びている。
このように構成された、この発明の実施の形態2における組電池の冷却装置によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。また、平板部61で最も温度が高くなる正極端子21および負極端子26に接続された位置を通るように、吸熱部52が形成されているため、組電池10の冷却効率をさらに向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態1における組電池の冷却装置を示す斜視図である。 図1中のII−II線上に沿ったヒートパイプの断面図である。 図1中の電池セルを示す斜視図である。 図3中の電極体の分解組立図である。 図3中の電池セルの分解組立図である。 図1中の組電池の冷却装置を示す平面図である。 図1中の2点鎖線VIIで囲まれた範囲を示す側面図である。 図1中の組電池が搭載されたハイブリッド自動車を示す模式図である。 この発明の実施の形態2における組電池の冷却装置を示す平面図である。
符号の説明
10 組電池、12 ラミネート外装体、20 電池セル、21 正極端子、23,28 接続部、26 負極端子、50 ヒートパイプ、51 放熱部、52 吸熱部、53 断熱部、73 樹脂製ナット。

Claims (5)

  1. それぞれが電極部を有し、互いに組み合わされる複数の電池セルと、
    前記複数の電池セル間に渡って延び、各電池セルの前記電極部に接続されるヒートパイプと、
    前記ヒートパイプに設けられ、隣り合う前記電極部の間を絶縁する絶縁部材とを備える、電池モジュールの冷却装置。
  2. 前記ヒートパイプは、前記複数の電池セルに隣り合って設けられ、前記電極部に接続される吸熱部と、前記複数の電池セルから離れて設けられた放熱部と、前記吸熱部と前記放熱部との間で延びる断熱部とを有する、請求項1に記載の電池モジュールの冷却装置。
  3. 前記放熱部は、自然空冷されている、請求項2に記載の電池モジュールの冷却装置。
  4. 前記断熱部は、前記放熱部から前記吸熱部に向けて鉛直下方向に延びている、請求項2または3に記載の電池モジュールの冷却装置。
  5. 前記電極部は、前記電池セルの外装体の外側に露出する外部端子を含み、
    前記ヒートパイプは、前記外部端子に接続されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の電池モジュールの冷却装置。
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