JP2006208392A - 測位航法用擬似距離推定回路、移動体測位装置及び移動体測位方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の移動体測位装置は、測位衛星からの複数の擬似距離と、また測位航法部と慣性航法部とカルマンフィルタと、により移動体の航法位置を求める測位装置において、測位衛星と移動体間のドップラ観測値と、航法暦とカルマンフィルタ出力とにより測位衛星と移動体間の相対速度の計算をしてドップラ推定値を求め、複数の擬似距離から選択擬似距離を出力する衛星情報選択部13と、測位衛星から得る搬送波位相情報と選択擬似距離とカルマンフィルタの出力とで演算出力する擬似距離推定部14とを備えて、測位航法部15は、擬似距離推定値を入力として、測位航法速度と測位航法位置を出力し、カルマンフィルタ16は、擬似距離推定値と、測位航法部の出力と慣性航法部の出力とで状態推定値を求める。
【選択図】図1
Description
また、測位衛星からの測位信号を基に測位信号の伝播時間差により移動体の位置を測位航法計算するGPS(Global Positioning System)航法と呼ばれる航法があった。
また、複合航法として、INS航法とGPS航法とから得られるそれぞれの位置情報を入力し、入力の時間的な差分をもとに補正用の誤差推定値や状態推定値を演算して出力するカルマンフィルタを用いて、この出力をINS航法に入力する構成も知られている。この帰還量に基づいて、INS航法演算部は、他の航法の位置情報や速度情報が入力されるので、他の位置情報の影響を受ける。そしてその場合、一般的には、この複合航法の出力を移動体の移動した位置として用いている。
また、GPS航法による場合は、GPS航法で得られる位置情報に種々の誤差要因を含んでいるため、GPS航法による出力位置の精度も正確ではない。
また、INS航法の出力位置を、カルマンフィルタを介して補正するためにGPS航法を複合して用いる複合航法があるが、GPS航法で得られる位置情報も種々の誤差要因を含んでいるので、GPS航法で得られる位置情報で補正しても、その精度も必ずしも正確ではない。
広域補正情報で誤差補正された測位衛星と移動体間のドップラ観測値を入力すると共に、上記航法暦とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とにより測位衛星と移動体間の相対速度の計算をして測位衛星と移動体間のドップラ推定値を求め、このドップラ推定値と、誤差補正された上記ドップラ観測値とを比較し、比較結果に基づいて、上記複数の擬似距離から所定の擬似距離を選択して、選択擬似距離として出力する衛星情報選択部と、
上記測位衛星から受信した信号によって得られる搬送波位相情報を入力し、入力したこの搬送波位相情報と衛星情報選択部が出力する上記選択擬似距離とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とを演算して擬似距離推定値を求め、求めたこの擬似距離推定値を出力する擬似距離推定部とを備えて、
上記測位航法部は、擬似距離推定部が出力する上記擬似距離推定値を入力として、測位航法速度と測位航法位置を求めてこれらの測位航法速度と測位航法位置を出力し、
上記カルマンフィルタは、擬似距離推定部が出力する上記擬似距離推定値と、測位航法部が出力する上記測位航法速度と上記測位航法位置と、慣性航法部が出力する上記慣性航法速度と上記慣性航法位置とを入力として、状態推定値を演算して求めるようにした。
この実施の形態における移動体測位装置全体の概略構成図を図1に示す。移動体測位装置は、移動体に搭載されるものである。なお、図1以降の図において、黒丸は、結線結合点を示している。白丸は、加算器を示している。線は、信号(信号線)を示している。線先の矢印は、その線が示す信号の出力先を示している。加算器に入力される信号にマイナス記号(−)がある場合は、その信号値を減算することを示している。また図2は、SF(スケールファクタ)・速度推定部24と加速度推定部25の詳細構成を示す図である。
こうしてDGPS部、衛星情報選択部、擬似距離推定部を組合わせることによって、GPS航法部に対して正しい擬似距離のみが選択されて入力される。この擬似距離推定値14aを入力とし、この入力を用いて位置計算して衛星測位航法による位置(GPS航法位置)や関連速度からなるINS航法状態量15aを出力するGPS航法部(衛星測位航法部)15がある。
SF・速度推定部24は、移動体の速度が推定可能かどうかの条件に基づいて、GPS航法部15からの出力であるGPS航法状態量(位置、速度)15aの座標変換値とINS航法部26からの出力であるINS航法状態量(位置、速度)26aの座標変換値とで得られる量から、より品質のよい出力を選択してスケールファクタを補正する。
カルマンフィルタ16は、擬似距離推定値14aを用いた密結合と、GPS航法部15とINS航法部26からのそれぞれの出力であるGPS航法状態量とINS航法状態量とを入力とする疎結合とを併用しており、航法状態量の差や各種センサの誤差を実時間で推定出力する際に、より詳しい情報を入力し、従ってより正しい誤差を推定して出力する。
なお図1では、GPS航法部15が出力する航法状態量15aの一部であるGPS航法位置と、INS航法部26が出力する航法状態量26aの一部であるINS航法位置とは、後段で適宜利用されるが、本実施の形態における構成と動作には関係しないので、ここでは説明を省略する。
車速検出部23は、移動体の速度(車速)相当を検出する要素である。これはディジタル信号であってもよく、アナログ信号であってもよい。例えばタイヤが一回転するたびにパルス発生させ、この発生パルスを送信する。従って単位時間当たりの車速パルスを数えれば、車の現在速度相当が判る。もっと云えば、車速パルスはタイヤが回転するたびにそれを検出しているなら、それをタイヤ周囲長に相当する換算係数で乗算すれば、時間当たりのパルス数なので、速度が判る。このときF/R部22からの前方向進行か、後方向進行かの信号により、進行方向を判別する。SF・速度推定部24は、車速パルスをSF計算回路51に入力する。ところでこの単位時間当たりの車速パルス数から速度への換算係数であるスケールファクタは、後に述べるように変動する。従って変動に追従して更新し、この更新したスケールファクタで速度を推定しなければならない。これに対応して、スケールファクタが更新可能かどうかを判定する推定可否判定回路52がある。この条件については、動作説明の部分で記述する。
IMU部21から得られるIMU進行方向加速度21aをこの傾斜補正量41aで加速度補正をして、進行方向加速度21bとし、進行方向加速度21bを加速度推定部25に入力する。
なお図4は、本実施の形態における移動体測位装置と入力の関係も示していて、この場合は自動車である移動体に搭載したGPS受信機により、GPS衛星から擬似距離、ドップラ偏位等の情報を受信し、GPS航法部でGPS航法距離を得る。なおこの際、GPS衛星と移動体との間の上層に、図示していない電離層や対流圏があって、それらの変動が擬似距離の誤差要因になる。そして車に搭載したIMU部により加速度を検出し、また車速検出器により車速パルスを検出して、これらからINS航法部で進行方向に移動した位置を得る。
先ず静止アライメントを行うためには、静止状態での値を測定しなければならない。しかし最初に静止時にアライメントを行ってバイアス値を得ても、その後に車が受ける加速度変化や、センサの特性変化によって、その値が変化する。従って正しいと考えられる静止アライメントを時々刻々行って、進行方向加速度信号をバイアス値で補正しなければ、正しい進行方向加速度とはならない。本実施の形態では、走行中の僅かな安定期間を検出して、この僅かな期間に静止アライメントを行い、加速度信号に含まれるバイアス値を検出または測定して、その検出したバイアス値で進行方法加速度を補正する。
先ず、静止条件を判定する静止判定回路42を設けて、この判定回路が複数の静止であると判定できる情報の一致により静止と判定した時のみ、静止アライメント検出回路43が加速度信号に含まれるバイアス値を検出する。そして、次に更新するまでそのバイアス値を保持する。こうして加速度推定部25は、IMU部21から得られる進行方向加速度を傾斜検出器41が補正値41aとして出力する補正量で補正した進行方向加速度21bを入力とし、上記静止アライメント検出回路43が保持するバイアス値で補正して、更に後で述べる移動アライメントによる補正量でも補正して、推定加速度25aとして出力する。
さて図2、図3において、SF・速度推定部24内の推定可否判定回路52は、図3のS201で、GPS航法状態量15aとINS航法状態量26aとの座標変換回路54,55により座標系を移動体の座標系に変換した距離相当の値と、検出車速度推定値24aとを監視し、移動体が一定速度以上で走行中であり、かつ加速度入力が少ないかまたは速度変動が少ない安定走行をしていて、情報品質が良くて距離計算が可能、という条件をみたした場合、スケールファクタ(SF)の推定が可能と判断する。スケールファクタは、上記で述べたように車速パルス数から距離に換算する際に使用する換算係数であるが、この値は例えば移動体が受ける加速度変動等、移動体である車の挙動で変動している。従って上記の安定走行条件を満足するときに変動が少ないとして、係数の更新を行う。
このSF計算回路51はS203で、INS航法状態量の変換値か、GPS航法状態量の変換値か、を設定されたカルマンフィルタ53と閉ループを構成して、スケールファクタ(SF)の更新値を計算する。その後、このSFの更新値を保持して、車速検出部23で得られた単位時間当たりの車速パルスの数に基づいてそれを保持している係数で係数倍し、S204で移動体速度推定値24aを加速度推定部25、推定可否判定回路52、内部カルマンフィルタ53に向けて出力する。
このSFの変動に追従して安定なSFの値を更新することは、移動体の位置計算精度向上に大いに寄与する。
図5は静止アライメント検出回路43の詳細を示す構成図である。静止判定回路42がその入力信号を調べて、上記で述べた静止状態と判定すると、更新の起動がかかる。更にS212aで、IMU進行方向加速度21bを標準偏差計算回路62で標準偏差を求めて、遅延回路63,64によるそれらの時系列信号により計算可否判定回路65でアライメント計算が可能な状態を検出する。
こうして静止アライメントが計算可能と判定すると、静止アライメント計算回路66が補正後のIMU進行方向加速度21bから低域フィルタを用いてバイアス値43aを測定する。つまりS212bで、静止アライメント検出回路43の出力から補正量としてのバイアス値が得られる。
この例では、静止アライメントを行う条件として、車速パルスがほとんど出ていない、航法状態量が変化していない、アライメントが計算可能、の上記3つの条件の組合わせを説明した。しかし、SFの更新時もそうであるが、更新条件を満足するかどうかを監視する入力としては、種々のバリエーションがあり、他の適切な監視入力を採用してもよい。
このように静止アライメントが計算可能時に、絶えず静止アライメント検出回路43によるバイアスの検出と進行方向加速度の補正を更新し、更新した値が保持される。そして移動体の移動に伴う各種の車の状態変動に追従して、適切に静止アライメントによる補正が行われる。
移動アライメント検出回路46は、まず検出車速度推定値24aをサンプル/ホールド回路71でサンプルホールドする。そしてそのサンプルホールド値と、IMU側からの進行方向加速度21bを更に静止アライメントを行って得たバイアス値で補正した加速度を積分した積分器44との差分を、遅延回路72を用いて微分して、加速度誤差推定回路73を用いて加速度誤差推定値73aとして出力する。また検出車速度推定値24aを積分器47で積分した移動距離と積分器45による距離との差分を、サンプル/ホールド回路74と遅延回路75とを用い、速度誤差推定回路76で推定して、速度誤差推定値76aを得る。
即ち図7の加速度誤差推定回路73と、速度誤差推定回路76が行う推定演算は、例えば過去の4点から最新の点まで、それらのサンプルの二乗平均値を求める。例えば速度誤差推定回路76が行う演算は、図8でいえば横軸で1ないし5で示す5点のサンプル値を得て、点1から点5までを順次線でつないだ折れ線ではなくて、一次回帰線である一直線の太線で近似していることである。この加速度推定部25で得られる検出車速度推定値とIMU側からの加速度による距離積算値との差を時系列で5点、サンプルしている。そしてこの5点を一次回帰線で近似したものを、時間を変えて順に図8(a)ないし(d)に示す。図8(a)ないし(d)の一直線の傾斜が加速度推定部25の出力である速度推定値であり、図2でいえば、速度誤差推定回路76からの出力76aと積分器44との差である。加速度誤差推定回路73による演算も、上記の速度誤差推定回路76と同様な演算を行う。
INS航法部26は、速度推定値25bが入力として加わることもあるが、加速度推定部25からの二つの距離推定値45a、47aと、同じく加速度推定部25の加速度出力をカルマンフィルタ16の誤差推定値で補正した加速度と、を入力とする。勿論、進行方向加速度以外の角加速度も、IMU部21から、カルマンフィルタの出力である誤差推定値16bで帰還補正をした後、INS航法部26に入力して、航法演算に用いられる。
INS航法部としては、一般的な構成であるので、その動作詳細を述べることは省く。ただ、入力として、より正しいと考えられる加速度推定値と、距離推定値とを用いてINS航法位置情報を得る。
GPSは、よく知られているように全地球上を覆域とする衛星を利用した測位システムであり、この目的のための衛星群がGPS衛星と呼ばれる。しかしその位置が必ずしも天頂真上近くにあるとは限らないので、準天頂衛星と呼ばれる3つの衛星からなる衛星群を利用することもできる。
準天頂衛星に関して説明する。準天頂衛星は、赤道面から約45度の傾斜角になるように地球の自転に合わせて1日に1周回している。なお、赤道面からの傾斜角は、設計により任意に設定してよい。また、一例として昇交点赤経(赤道面との交点)において120度ずつ離れるように3機が配置されている。地表面上に投影される準天頂衛星軌道の軌跡は、地上を固定して考えた場合に、準天頂衛星は「8の字」または「涙滴型」を描くように周回している。3機の準天頂衛星は、軌道面を異にするが8時間ごとに交代(会合)することにより、切れ目なく日本上空に位置している。また、地域を日本で考えた場合、仰角が70度以上の準天頂衛星が常に存在することになる。切れ目なく日本上空に位置しているため、仰角が70度以上の準天頂衛星が常に存在し、受信者が地上で準天頂衛星から電波を受ける際、ビルの谷間でも電波を遮られることが少ない。
GPS受信部11は、詳細データとして上に述べた擬似距離と、ドップラ偏位、搬送波位相の信号を観測量12aとして出す。また品質情報も出す。
また、従来のDGPSは、あらかじめ位置の確定している基準局における誤差量を求めるが、誤差量は、電離層遅延、対流圏遅延、衛星軌道誤差の和となる。しかし、電離層遅延、対流圏遅延、衛星軌道誤差等は、基線長に依存して値が大きくなり、基準点からの距離が大きくなると、即ち移動体が基準点から離れれば離れるほど、測位精度が劣化するなどの問題があった。
本実施の形態においては、DGPS部12が上記の複数の基準点情報としての広域補正情報を得て、上記の演算でe3+Δeを求める。即ちこの演算で得た誤差による木目細かい擬似距離の補正を行って、更に精度の高い距離情報としての、補正後擬似距離12aを得る。そして移動体は順に目的地に向かって移動するので、その移動経路に沿って図9(a)の、例えばR1,R3,R4と順々に、近似平面を選択して行くことで、常に精度の高い補正後擬似距離12aが求められる。
なお、DGPS部では、後に説明するドップラ偏位も、通常のGPS部出力による値よりも木目細かい誤差補正がされ、従ってより正しい値が出力される。
衛星から到来する電波の搬送波周波数が、発信源である衛星の運動と受信側の運動によって変化する、いわゆるドップラ偏位は両者の移動速度の伝搬方向成分から算出可能である。衛星の運動によるドップラ量は、直接信号とマルチパス信号の両者に共通であり、これをVseとする。受信側の移動体の移動速度を図中のVrとすると、直接信号とマルチパス信号に発生するドップラ量は、図示されているように、それぞれVreとVre’になる。図のケースでは受信側の移動速度によるドップラ量は、絶対値だけでなく符号も異なっている事がわかる。
航法暦11aによって測位衛星の座標と移動速度を計算することが可能である。また一般的な測位衛星は遠方にあるため、測位装置の概略位置と概略速度がわかれば、ドップラ量を予測することが可能である。従って、このドップラ予測量と、実際に受信された信号のドップラ量を比較することで、マルチパスの影響を推定することが可能になる。
また図12はその選択機能と動作を示すフロー図である。図12及び図1において、DGPS部12の出力である観測量12aは、補正後擬似距離と広域補正情報で補正されたドップラ観測値を含んでいる。
ここで衛星情報選択とは、マルチパスで受信されていると判定される擬似距離を、誤りを含むデータとして演算対象データから削除し、直接信号による擬似距離の情報を選択することである。この目的のためにGPS信号のドップラ量を推定し、実際の観測値と比較して、マルチパスかどうかを判定する。例えば観測値が推定値と大きく異なる場合は、マルチパスによる観測値であると判定できる。そしてこの判定結果を用いて、マルチパスであると判定された測位衛星からの信号は廃棄し、直接信号である正しい信号のみを選択して後段に出力する。
航法暦11aからは衛星速度計算回路82により求めた衛星の速度と、カルマンフィルタからの状態推定値16aのうち速度を示す値とを比較して測位衛星と移動体間の相対速度差から仮のドップラ量が得られる。これを内積回路85で視線ベクタ成分のドップラ推定値81aが得られる。つまり進行方向に換算してのドップラ値が得られる。
マルチパスであることの判定基準は、視線ベクタ成分の絶対値差が大きいことである。この差が所定値以上であればマルチパス判定回路86は廃棄の選択制御信号86aを出し、それに基づいて選択回路91はS311で、マルチパスであるとしてその擬似距離は廃棄する。
こうしてS306において、衛星情報選択部13からは、正しいと考えられる擬似距離及び関連情報のみが次段の擬似距離推定部14に選択擬似距離13aとして出力される。即ちDGPS部12による広域補正情報により補正したドップラ観測値により、マルチパス判定が正しく行える。
上記の選択が正しく行われるためには、DGPS部12からの補正されたドップラ値を用いることが必須である。つまり単にGPS部出力のドップラ値では不正確な値しか得られないが、DGPS部12を経由して広域補正情報により補正された補正後擬似距離12aに含まれるドップラ観測値を用いることで正しい選択ができる。
擬似距離の観測量にはGPS受信機の時計誤差の影響が含まれる。図13(a)において、GPS航法部15での演算結果から得られる時計誤差推定値15bにより擬似距離換算回路101が時計誤差分を距離値に換算し、この値で前段からの選択擬似距離13aを補正して、S401で、受信機時計誤差を除去する。
擬似距離平滑計算の動作を図13(b)に示す詳細構成図に基づいて説明する。GPS部11から出力され、DGPS部12で誤差補正されて出力される搬送波位相12bの観測量を、遅延回路121と減算器で差分をとって搬送波位相の変動分を得て、適応計算回路122への入力とする。適応計算回路122はS402で、この搬送波位相の変動分と、先に述べた時計誤差換算による補正を受けた選択擬似距離と、カルマンフィルタ出力の状態推定値16aとで時間系列の重み付けして適応計算し、乗算回路123の乗数Kを制御する。
一方S403では、搬送波位相の変動分と遅延回路124とを加算して擬似距離予測値を得る。S404で、この擬似距離予測値と先に補正して得ている擬似距離との差分を、適応計算回路122の出力指示であるK倍して乗算回路123が出力し、先の擬似距離予測値と加算して、擬似距離平滑計算回路102の出力である擬似距離平滑値102aとする。
即ち品質の優れた搬送波位相観測量を用いて擬似距離観測量に含まれる雑音を除去する。二つをそれぞれ重み付けして加算して、移動体の挙動や擬似距離の変化に応じて平滑定数Kを時系列で適応変化させて、雑音除去特性を高めている。
擬似距離推定部14はS406で、最終的にこの補正値111aで補正した擬似距離推定値14aを出力し、GPS航法部15への入力とする。
なお、この場合も搬送波位相と擬似距離は、GPS部11からの値を用いたのでは誤った擬似距離推定値となることもある。DGPS部12を経由して誤差補正された値を用いて、はじめて正しい擬似距離推定値14aが得られる。
カルマンフィルタ16の入力として、疎結合ではINS航法部26からのINS航法位置とGPS航法部15からのGPS航法位置が用いられるが、本実施の形態では、更に擬似距離推定部14からのドップラ値も含む擬似距離推定値14aも用いられる密結合としている。
カルマンフィルタ16の帰還出力は状態推定値16cとしてINS航法部26への入力と、誤差推定値16bによる加速度補正とに用いられ、またGPS系に対しては状態推定値16aとして擬似距離推定部14と衛星情報選択部13に出力される。
またGPS系に対しては、複数の電子基準点による広域補正情報を含んだDGPS部で擬似距離誤差を補正し、マルチパスの影響を除き、搬送波位相や時計誤差推定や過去サンプルの二乗平均計算による値推定と残存誤差除去により入力情報の質を高め、更にそれ自体、擬似距離推定部からの擬似距離推定値を併用して推定精度を高めたカルマンフィルタと一体となった擬似距離推定を行い、航法計算の精度を高めている。
また、上記の各構成要素を、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現してもかまわない。
Claims (4)
- 測位衛星からの情報を受信して測位衛星から移動体への複数の擬似距離と測位衛星の航法暦を求めて、また状態推定値を出力するカルマンフィルタを用いて移動体の航法位置を計算する測位装置に用いられる測位航法用擬似距離推定回路において、
広域補正情報で誤差補正された測位衛星と移動体間のドップラ観測値を入力すると共に、上記航法暦とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とにより測位衛星と移動体間の相対速度の計算をして測位衛星と移動体間のドップラ推定値を求め、該ドップラ推定値と、誤差補正された上記ドップラ観測値とを比較し、比較結果に基づいて、上記複数の擬似距離から所定の擬似距離を選択して、選択擬似距離として出力する衛星情報選択部と、
上記測位衛星から受信した信号によって得られる搬送波位相情報を入力し、入力した該搬送波位相情報と衛星情報選択部が出力する上記選択擬似距離とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とを演算して擬似距離推定値を求め、求めた該擬似距離推定値を出力する擬似距離推定部、とを備えたことを特徴とする測位航法用擬似距離推定回路。 - 測位衛星からの情報を受信して測位衛星から移動体への複数の擬似距離と測位衛星の航法暦を求めて、また測位航法により測位航法速度と測位航法位置を出力する測位航法部と、慣性航法により慣性航法速度と慣性航法位置を出力する慣性航法部と、状態推定値を出力するカルマンフィルタと、により移動体の航法位置を求める測位装置において、
広域補正情報で誤差補正された測位衛星と移動体間のドップラ観測値を入力すると共に、上記航法暦とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とにより測位衛星と移動体間の相対速度の計算をして測位衛星と移動体間のドップラ推定値を求め、該ドップラ推定値と、誤差補正された上記ドップラ観測値とを比較し、比較結果に基づいて、上記複数の擬似距離から所定の擬似距離を選択して、選択擬似距離として出力する衛星情報選択部と、
上記測位衛星から受信した信号によって得られる搬送波位相情報を入力し、入力した該搬送波位相情報と衛星情報選択部が出力する上記選択擬似距離とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とを演算して擬似距離推定値を求め、求めた該擬似距離推定値を出力する擬似距離推定部とを備えて、
上記測位航法部は、擬似距離推定部が出力する上記擬似距離推定値を入力として、測位航法速度と測位航法位置を求めて該測位航法速度と測位航法位置を出力し、
上記カルマンフィルタは、擬似距離推定部が出力する上記擬似距離推定値と、測位航法部が出力する上記測位航法速度と上記測位航法位置と、慣性航法部が出力する上記慣性航法速度と上記慣性航法位置とを入力として、上記状態推定値を演算して求めるようにしたことを特徴とする移動体測位装置。 - 測位衛星からの情報を受信して測位衛星から移動体への複数の擬似距離と測位衛星の航法暦を求めて、また測位航法により測位航法速度と測位航法位置を出力する測位航法部と、慣性航法により慣性航法速度と慣性航法位置を出力する慣性航法部と、状態推定値を出力するカルマンフィルタと、により移動体の航法位置を求める測位装置において、
広域補正情報で誤差補正された測位衛星と移動体間のドップラ観測値を入力すると共に、上記航法暦とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とにより測位衛星と移動体間の相対速度の計算をして測位衛星と移動体間のドップラ推定値を求め、該ドップラ推定値と、誤差補正された上記ドップラ観測値とを比較し、比較結果に基づいて、上記複数の擬似距離から所定の擬似距離を選択して、選択擬似距離として出力する衛星情報選択部と、
上記測位衛星から受信した信号によって得られる搬送波位相情報を入力し、入力した該搬送波位相情報と衛星情報選択部が出力する上記選択擬似距離とカルマンフィルタが出力する上記状態推定値とを演算して擬似距離推定値を求め、求めた該擬似距離推定値を出力する擬似距離推定部と、
移動体の移動に伴い得られる移動体速度検出信号を入力すると共に、上記移動体速度検出信号から移動体速度に換算する係数をスケールファクタとし、複数の所定条件を満たす場合に、測位航法部の出力である上記測位航法速度と上記測位航法位置とからなる情報と、慣性航法部の出力である上記慣性航法速度と上記慣性航法位置とからなる情報との少なくともいずれかの情報を選択し、該選択した情報に基づいて上記スケールファクタを更新し、該スケールファクタを用いて上記移動体速度検出信号から移動体速度推定値を計算して出力するスケールファクタ・速度推定部と、
移動体の進行方向加速度信号を入力すると共に、移動体の静止を検出する複数の信号により移動体の静止を判定して、該静止判定時に上記進行方向加速度信号に含まれるバイアス値を測定して、該測定したバイアス値を用いて上記進行方向加速度信号を補正し、かつ該補正後の進行方向加速度信号と上記スケールファクタ・速度推定部が出力する上記移動体速度推定値とを用いて、移動体の推定加速度と距離推定値とを計算して出力する加速度推定部と、を備え、
上記カルマンフィルタは、擬似距離推定部が出力する上記擬似距離推定値と、測位航法部が出力する上記測位航法速度と上記測位航法位置と、慣性航法部が出力する上記慣性航法速度と上記慣性航法位置とを入力として、状態推定値を演算して求めるようにし、
上記慣性航法部は、加速度推定部が出力する上記推定加速度と上記距離推定値と、カルマンフィルタが出力する上記状態推定値とを入力として、移動体の慣性航法速度と慣性航法位置を演算で求め、求めた該慣性航法速度と慣性航法位置を出力するようにしたことを特徴とする移動体測位装置。 - 測位衛星からの情報を受信して測位衛星から移動体への複数の擬似距離と測位衛星の航法暦を求めるステップと、また測位航法により測位航法速度と測位航法位置を出力する測位航法演算ステップと、慣性航法により慣性航法速度と慣性航法位置を出力する慣性航法演算ステップと、状態推定値を出力するカルマンフィルタ演算ステップと、により移動体の航法位置を求める測位方法において、
広域補正情報で誤差補正された測位衛星と移動体間のドップラ観測値を入力するステップと、
上記航法暦とカルマンフィルタ演算ステップが出力する上記状態推定値とにより測位衛星と移動体間の相対速度の計算をして測位衛星と移動体間のドップラ推定値を求め、該ドップラ推定値と、誤差補正された上記ドップラ観測値とを比較し、比較結果に基づいて、上記複数の擬似距離から所定の擬似距離を選択して、選択擬似距離として出力する衛星情報選択ステップと、
上記測位衛星から受信した信号によって得られる搬送波位相情報を入力するステップと、
該搬送波位相情報と衛星情報選択ステップが出力する上記選択擬似距離とカルマンフィルタ演算ステップが出力する上記状態推定値とを演算して擬似距離推定値を求め、求めた該擬似距離推定値を出力する擬似距離推定ステップとを備えて、
上記測位航法演算ステップは、擬似距離推定ステップが出力する上記擬似距離推定値を入力し、測位航法速度と測位航法位置を演算して求めて、該測位航法速度と測位航法位置を出力するステップとし、
上記カルマンフィルタ演算ステップは、擬似距離推定ステップが出力する上記擬似距離推定値と、測位航法演算ステップが出力する上記測位航法速度と上記測位航法位置と、慣性航法演算ステップが出力する上記慣性航法速度と上記慣性航法位置とを入力として、位置状態量を演算で求めるステップとしたことを特徴とする移動体測位方法。
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