JP2006208123A - スート測定素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内燃機関から排出されるガスに含まれるスートを測定するための測定素子において、コストを低減し、かつ高温で使用したときの破損や剥離などの問題点を防止できるような構造を提供する。
【解決手段】 内燃機関から排出されるガスに含まれるスートを測定する。セラミックスからなる本体4および本体4に固定された圧電材料製の振動励起手段2を備える振動子1Aを使用し、測定素子1Aに付着するスートによる測定素子1Aの振動状態の変化に基づいてスートを検出する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出されるガス中に含まれるスートを測定する装置に関するものである。
例えばディーゼル機関から排出される粒子状物質(PM)は、有機溶媒に可溶性の物質(Soluble organic
fraction:SOF)と有機溶媒に不溶性の物質(dry soot:スート)とに分離できる。スートは、結晶構造を持つ球状粒子が鎖状に凝集したものであり、排出されると黒色となる。SOFは、スート生成過程における準安定中間生成物である凝集炭化水素液滴および潤滑油が排出されたものである。SOFおよびスートの排出特性は、負荷や回転速度等の運転条件によって著しく異なる。
排気ガス中のPMは、フィルタ重量法によって、次のように定義されている。エンジン排ガスを希釈トンネルを用いて空気で52℃以下まで希釈、冷却し、0.3μmの標準粒子を95%以上捕集できる炭化フッ素被膜ガラス繊維フィルタやメンブランフィルタなどによってフィルタ上に捕集された固形または液状の粒子の総和をPMという。そして、捕集後、気温25℃、湿度60%の雰囲気中に8時間以上放置した後の重量をPMの重量とする。
最近、ディーゼルパーティキュレート規制の法制化が検討されており、車両においてディーゼル機関からの排出スートをリアルタイムで測定するセンサーが要望される。しかし、運行中の車両において連続的にスート量を監視し続けるのに適したセンサーは未だ知られていない。基本的には、ディーゼルパーティキュレートフィルターについたすすの量を推定する。また、すすの瞬間発生量を知ることができれば、ディーゼルパーティキュレートフィルターの故障検知やエンジン燃焼制御に使用することも可能となる。
スートセンサには、電気抵抗式、電荷式、加速度、光式、マイクロ波式など、さまざまな検知方式が検討されているが、選択性、コスト、および耐久性に問題を抱えている。抵抗式とは、電極間についたすすによって、電極間の抵抗変化で検知する。すすがついた量と抵抗変化が比例しないため、すす量の推定の精度が悪い。電荷式とは、高電圧を電極に与えておき、飛んできたすすに電荷を与えると、対向する電極にすすが飛んで、対向電極側に電荷が移動することを利用する。電荷を与えるために高電圧が必要でこのための電圧源のコストが高い。
一方、QCMなどに代表される振動型の質量検知方法も提案されている(特許文献1、2)。
米国特許2003/0123059 A1 米国特許6786075 B2
しかし、特許文献記載のような方法では、圧電性材料からなる振動子が高温の排気ガスに対して継続的に曝露されるので、振動子を形成する圧電性材料には高い耐熱性が必要である。しかし、高い耐熱性を有する圧電性材料は、例えばランガサイトがあるが、種類が少ないために設計が難しく、また高コストである。更に、圧電性振動子を支持するための支持部材も高温で使用する必要があるため、固定方法、電気的接続方法が限られる。更に支持部材の材質は、振動子を形成する耐熱性の圧電製材料に近い熱膨張を持った材料を選択する必要がある。しかし、耐熱性圧電性材料の選択が限定される結果、これと近い熱膨張係数を有する支持部材材質の選択も難しい。
本発明の課題は、内燃機関から排出されるガスに含まれるスートを測定するための測定素子において、コストを低減し、かつ高温で使用したときの破損や剥離などの問題点を防止できるような構造を提供することである。
本発明は、内燃機関から排出されるガスに含まれるスートを測定するための測定素子であって、セラミックスからなる本体およびこの本体に固定された圧電材料製の振動励起手段を使用し、素子に付着するスートによる素子の振動状態の変化に基づいてスートを検出することを特徴とする。
本発明によれば、セラミックスからなる本体に、圧電材料製の振動励起手段を別途設けて測定素子を形成し、スートの測定に供した。振動励起手段は耐熱性の圧電性材料によって形成するが、振動励起手段は本体に比べて小さいので、コストを低減できる。これと共に、測定素子の本体部分の材質として、アルミナ、ジルコニアなどの高温で安定なセラミックス材料を使用することができる。こうした材料は低コストであり、種類が多く、選択の幅が広い。従って、耐熱性の圧電性材料の種類が限られていても、これと熱膨張の近いセラミックスを選択できる。更に、圧電材料は振動励振(駆動)部分にしか使用しないので、本体との間で熱膨張に差があっても、振動励起手段における変位は小さく、充分な熱サイクル強度を発現することが可能であり、振動励起手段の本体からの剥離を防止することが可能である。
好適な実施形態においては、振動励起手段または本体の振動状態の変化に基づいてスートを検出する。この振動状態の変化は数値化可能であれば特に限定されない。好適な実施形態においては、振動周波数を測定し、その変化に基づいてスートを検出する。
あるいは、振動のQ値を測定し、Q値の変化に基づいてスート量を検出する。測定素子に付着するすすは、粉体であるため、振動体に対してその運動が遅れやすく、すすが付着していくと振動のQ値が低下する。Q値の低下に伴って定電圧駆動を行っている場合には、駆動電流が低下していくため、電流値を測定することによって、すす量が推定できる。
好適な実施形態においては、振動励起手段によって本体を励振し、この本体の振動状態の変化に基づいてスートを検出する。この場合には、振動励起手段を本体の表面に接合する必要がある。この接合方法は特に限定されず、熱処理や摩擦、超音波などを利用した直接接合であってよく、あるいは白金、銀−パラジウム合金、ろう材などの金属材料を介して接合することができる。このように金属接合層を設けた場合には、直接接合に比べて、応力緩和層ができるため、熱サイクルに対して十分な強度を発揮できる。
好適な実施形態においては、スートの付着部分と振動励起手段とが離間されている。即ち、スート付着部分は必然的に高温であるので、振動励起手段をこの高温部分から離間させることにより、振動励起手段の温度を低下させることができる。この結果、振動励起手段と本体とに加わる熱サイクルに起因する振動励起手段の本体からの剥離を効果的に防止できる。
この場合、スートの付着部分の温度と振動励起手段の温度との温度差は、200℃以上とすることが好ましく、300℃以上とすることが更に好ましい。また、振動励起手段における温度は、200℃以下とすることが好ましく、100℃以下とすることが更に好ましい。
好適な実施形態においては、スートの付着部分と振動励起手段との間に断熱材が設けられている。これによって、スート付着部分が高温になったときにも振動励起手段を相対的に低温に維持することができ、振動励起手段の剥離や破損を抑制できる。こうした断熱材としては、ボロンナイトライド、窒化珪素、タルク、ムライト、コージェライトなどのアルミノ珪酸塩のセラミックス材料、あるいはそれらセラミック材料とガラス材料を組み合わせたものを例示できる。
振動の種類は特に限定されず、振動励起手段の厚み振動であってよく、振動アームの伸縮振動であってよく、振動アームの屈曲振動であってよい。
好適な実施形態においては、本体がセラミックス多層基板からなる。これはセラミックスグリーンシートを複数層設けて一体焼成することによって得られる。このようなセラミックスシートは、量産技術が既に確立されており、従って低コストで量産が可能である。また、多層基盤の内部に、スルーホール導体、薄層電極を自由に設計し、配置することができるので、振動励起手段に対する電力供給のための電極の設計が容易である。
本体を形成するセラミックスの種類は特に限定されないが、排気ガスに対して長期間曝露されても腐食や変形しない耐熱性を有するものが好ましい。例えば、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、コージェライトなどのアルミノ珪酸塩、あるいはそれらに添加物を加えたものなどを例示できる。
振動励起手段を形成する圧電性材料は特に限定されない。振動励起手段が高温の排気ガスに曝露される場合には、耐熱性を有することが必要であり、このような耐熱性圧電材料としては、ランガサイト、リチウムナイオベート、リチウムタンタレート、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、チタン酸鉛などを例示できる。また、振動励起手段をスート付着部分から離間して低温とした場合には、高度の耐熱性は不要であるので、前記した耐熱性圧電材料の他、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、水晶などを例示できる。
好適な実施形態においては、本体の内部あるいは表面に発熱体を設けることができる。この発熱体の用途は限定されない。一例では、発熱体の温度を充分な高温、例えば800℃まで加熱可能とすることにより、ディーゼルパーティキュレートフィルター再生時に測定素子上に付着したスートを焼き飛ばすことが可能となる。
また、発熱体によって、振動子の温度を一定に保持することができる。アルミナ、ジルコニア等で本体を形成した場合には、温度変化によって振動周波数が変化しやすい。しかし、一定温度に保持することにより、周波数はすす量に応じた変化しか生じなくなる。温度は、すすが酸化しない領域であればよいが、対象とする排気ガス温度より高い方が好ましい。素子の設定温度よりも排気ガス温度が高いと、素子が排気ガスと接触したときに素子の温度が排気ガスよりも高温へと上昇してしまうので、素子の温度は設定温度には保持されない。
好適な実施形態においては、通気孔が排気ガスの流れる方向にあいていないキャップを使用する。キャップなしで本測定素子を使用した場合、振動子に付着するすすの量はかなり多い。すす量が多いと、振動子のQ値が低下しインピーダンスが増大し、駆動電流が増加して消費電力が増大する。これに対して、キャップの通気孔を風下側に設けた場合であっても、十分な量のすすが付着し、測定可能である。
本発明において、内燃機関は特に限定されないが、ディーゼル機関が特に好ましい。また、陰極や陽極の材質は特に限定されないが、タングステン、モリブデン、チタン、マンガン、クロム、ジルコニア、ニッケル、鉄、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む電極を例示できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を更に詳細に説明する。
図1〜図4は、振動励起手段の厚み方向振動を利用し、振動励起手段上に付着したスートを検出するものである。図1(a)は、スート測定素子1の平面図であり、図1(b)は、スート測定素子1の正面図であり、図1(c)は、スート測定素子1の側面図である。
本例では、平板形状の本体4の周縁部に貫通孔3が形成されている。貫通孔3を上側からふさぐように、平板形状の振動励起手段2が固定されている。振動励起手段2は、図示しない電極に対して交流電圧を印加することにより、矢印Aのように厚み方向へと振動させることができる。この振動励起手段2上にスートが付着すると、厚み振動Aの周波数が低下し、あるいはQ値が低下する。本例では、本体4は振動励起手段2を支持しているが、本体4それ自体はほとんど振動しない。
スート測定素子1における電極等の具体的構成は特に限定されない。例えば、図2は、図1の装置と同様の原理で動作するスート測定素子1Aを示す平面図であり、図3は、スート測定素子1Aの断面図である。
本例では、平板4はセラミック多層基板であり、セラミックシート4a、4b、4c、4d、4eからなる。シート4bと4cとの間には、加熱手段であるシート状発熱体14が挟まれている。平板4のエッジには、シート状発熱体14用の端子12が形成されており、端子12に、温度制御用の電力が供給される。平板状本体4の表面には、電極用端子9、10が形成されており、端子9、10は互いに反対の極性となる。端子10は、本体4表面のリード8を通して、振動励起手段2の下側の電極6に電気的に接続されている。また、端子9は、スルーホール導体およびシート内のリード7を通して、振動励起手段2の上側の電極5に対して電気的に接続されている。
電極5と6との間に振動励起手段2を挟んでいるので、電極5と6とが逆極性となるように交流電圧を印加すると、振動励起手段2が矢印Aのように厚み方向へと振動する。この状態でスート11が電極5表面に付着すると、振動励起手段2の振動状態が変化する。
図4は、図2、図3のスート測定素子1Aの典型的な寸法例を示す斜視図である。図4に示す各符号は、図2、図3において既に説明した。このような細長い形状の測定素子1Aは、例えば図12の装置内に設置し、固定するのに適している。
図5〜図7は、振動アームの伸縮振動を利用し、振動アーム上に付着したスートを検出するものである。図5は、スート測定素子1Bの平面図である。本例では、本体15の周縁に複数個、例えば3個の細長い振動アーム16A、16B、16Cが形成されている。各振動アームは、排気ガスに接触可能となっており、従ってスート11が付着可能である。各振動アームの付け根部分に、それぞれ振動励起手段2A、2B、2Cを形成する。
各振動励起手段2Aは、図示しない電極によって矢印D、Eのように伸縮可能となっている。従って、両端側の振動励起手段と中央の振動励起手段とを矢印D、Eのように逆相で励振することによって、各振動アーム16A、16Cを矢印Bのように振動させ、中央の振動アーム16Bを矢印Cのようにこれと逆相で振動させることができる。スート11が振動アーム表面に付着すると、この振動の周波数やQ値が変化するので、この変化からスートの付着やその量を算出する。
図6は、図5のものと同様のスート測定素子1Cを概略的に示す平面図であり、図7はその概略断面図である。図5、図6の装置1Cは、図4の装置1Bと同様の動作をするものであるが、振動励起手段を励振させるための機構を例示してある。
本例では、平板15、そのアーム16A、16B、16Cはセラミック多層基板からなる。このセラミックシート15bと15cとの間には、加熱手段であるシート状発熱体14が挟まれている。平板15のエッジには、シート状発熱体14用の端子12が形成されており、端子12に、温度制御用の電力が供給される。
平板状本体15の表面には、電極用端子9A、9B、10A、10B、10Cが形成されており、端子9A、9Bと、端子10A、10B、10Cとは互いに反対の極性となる。端子10Aは、本体表面のリード8Aを通して、振動励起手段2Aの下側の電極6Aに電気的に接続されている。端子10Cは、本体表面のリード8Cを通して、振動励起手段2Cの下側の電極6Cに電気的に接続されている。端子10Bは、スルーホール導体およびシート内のリード8Bを通して、振動励起手段2Bの上側の電極6Bに対して電気的に接続されている。
端子9Aは、スルーホール導体およびシート内のリード7A、7Cを通して、振動励起手段2A、2Cの上側の電極5A、5Cに対して電気的に接続されている。端子9Bは、本体表面のリード7Bを通して、振動励起手段2Bの下側の電極5Bに電気的に接続されている。
電極5A、5B、5Cと電極6A、6B、6Cとの間に振動励起手段2A、2B、2Cを挟んでいるので、各対向電極が逆極性となるように交流電圧を印加すると、振動励起手段2A、2B、2Cが矢印D、Eのように伸縮振動し、これに応じて各アーム16A、16B、16Cが矢印B、Cのように伸縮振動する。この状態でスート11が各アーム表面に付着すると、各アームの振動状態が変化する。
図8〜図11は、振動アームの伸縮振動を利用し、振動アーム上に付着したスートを検出するものである。図8は、スート測定素子1Dの平面図である。本例では、平板形状の本体25の周縁に複数対、例えば一対の細長い振動アーム26A、26Bが形成されている。各振動アームは、排気ガスに接触可能となっており、従ってスート11が付着可能である。
振動アーム26Aの付け根部分に振動励起手段2A、2Bを形成し、振動アーム26Bの付け根部分に振動励起手段2C、2Dを形成する。各振動励起手段は、図示しない電極によって矢印G、Hのように伸縮可能となっている。各アームにおいて、一対の振動励起手段を矢印G、Hのように逆相で励振することによって、各振動アーム26A、26Bを矢印F(点線)のように屈曲振動させることができる。この際、アーム26Aとアーム26とが同じ周波数、逆相で共振するようにする。スート11が振動アーム表面に付着すると、この屈曲振動の周波数やQ値が変化するので、この変化からスートの付着やその量を算出する。
図9は、図8のものと同様のスート測定素子1Cを概略的に示す平面図であり、図10はその概略断面図である。図9、図10の装置1Eは、図8の装置1Dと同様の動作をするものであるが、振動励起手段を励振させるための機構を例示してある。
本例では、平板25、そのアーム26A、26Bはセラミック多層基板からなる。このセラミックシート25bと25cとの間には、加熱手段であるシート状発熱体14が挟まれている。平板25のエッジには、シート状発熱体14用の端子12が形成されており、端子12に、温度制御用の電力が供給される。
平板状本体25の表面には、電極用端子9A、9B、9C、10A、10B、10C、10Dが形成されており、端子9A、9B、9Cと、端子10A、10B、10C、10Dとは、互いに反対の極性となる。端子10Aは、本体表面のリード8Aを通して、振動励起手段2Aの下側の電極6Aに電気的に接続されている。端子10Bは、スルーホール導体およびシート内のリード8Bを通して、振動励起手段2Bの上側の電極6Bに対して電気的に接続されている。端子10Cは、スルーホール導体およびシート内のリード8Cを通して、振動励起手段2Cの上側の電極6Cに対して電気的に接続されている。端子10Dは、本体表面のリード8Dを通して、振動励起手段2Dの下側の電極6Dに電気的に接続されている。
端子9Aは、スルーホール導体およびシート内のリード7A、7Dを通して、振動励起手段2A、2Dの上側の電極5A、5Dに対して電気的に接続されている。端子9B、9Cは、本体表面のリード7B、7Cを通して、振動励起手段2B、2Cの下側の電極5B、5Cに電気的に接続されている。
電極5A、5B、5C、5Dと電極6A、6B、6C、6Dとの間に振動励起手段2A、2B、2C、2Dを挟んでいるので、各対向電極が逆極性となるように交流電圧を印加すると、振動励起手段2A、2B、2C、2Dが矢印G、Hのように伸縮振動し、これに応じて各アーム26A、26Bが矢印Fのように屈曲振動する。この状態でスート11が各アーム表面に付着すると、各アームの振動状態が変化する。
図11は、図8〜図10のスート測定素子1D、1Eの典型的な寸法例を示す斜視図である。図11に示す各符号は、図8〜図10において既に説明した。このような細長い形状の測定素子1Eは、例えば図12の装置内に設置し、固定するのに適している。
図12、図13に示すように、モジュール101は、導入された被測定ガス(排気ガス)を測定する本発明の測定素子1(1A〜1D)と、該測定素子の先端部を取り囲むように配置された保護カバー14と、測定素子1の先端部を除く全部を取り囲むように配置され、かつ、外部への電気的導通を図るように構成されたセンサ組立体16を有して構成されている。
測定素子1は、金属製のハウジング70と該ハウジング70に溶接固定された円筒形の内筒72の中空部に配置された複数のセラミックサポータ74a〜74cとこれらセラミックサポータ74a〜74c間にそれぞれ充填されたタルク等のセラミック粉体76によって固定され、該セラミック粉体76によって気密封止されている。
素子1と外部との導通をとるために、リード線78と接続する雌コンタクト80、2分割のセラミックハウジング82、固定金具84、押圧ばね86及びカシメリング88からなる差込み部材90を素子1の電極端子部92に挿入し、カシメリング88の外周をかしめることにより、押圧ばね86に変位を与え、雌コンタクト80を所定の圧力で電極端子部92に押圧するように構成している。
なお、センサ組立体16の構造等については、実公平6−37325号公報、実公平6−37326号公報及び実開平2−146362号公報に詳細に説明されている。
保護カバー14は、金属製あるいは合成樹脂製の内側保護カバー110と外側保護カバー112により構成される。内側保護カバー110の先端には、被測定ガスを導入するための開口部114が設けられており、この開口部114は、所定の長さを有する角状パイプの形状を呈している。開口部114の後方には、ほぼ直角に近い段差部116を介して開口部114よりも幅広で所定の高さを有する拡開部118が一体に形成され、この拡開部118の後方には、テーパ状の段差部120を介して円筒状のカバー部122が一体に形成されている。このカバー部122の外径は、ハウジング70の前方中空部の内径とほぼ同じとされ、該カバー部122の後端部は、外方に折り曲げられて、センサ組立体16のセラミックサポータ74aの前面とこれに対向するハウジング70における中空部の段差面によって挟持されている。
測定素子1の先端面の投影寸法は、開口部の開口寸法よりも大きく、拡開部118の内壁面で区画形成される空間の投影寸法とほぼ同じか、僅かに小とされている。
外側保護カバー112は、前方が密閉され、後方が開口とされた円筒状のキャップ形状に形成され、その内径は、センサ組立体16のハウジング70における前方の小径部124の外径とほぼ同じか、わずかに小とされている。そして、この外側保護カバー112をハウジング70の小径部124にはめ込んでスポット溶接等で固定することにより、内部の内側保護カバー全体を被覆するかたちとなる。また、この外側保護カバー112には、その側面に複数のガス導入孔126が例えば等ピッチで形成されている。
このように、測定素子1の先端部を被覆するように内側保護カバー110を取り付け、更に、内側保護カバー110を被覆するように外側保護カバー112を取り付けることによって、素子1と内側保護カバー110間に一つの空間(以下、内側保護カバー空間130と記す)が形成され、内側保護カバー110と外側保護カバー112間に一つの空間(以下、外側保護カバー空間132と記す)が形成される。
ここで、前記内側保護カバー110の開口部114(角状パイプ)の内側寸法(即ち、開口の寸法)は、素子1のガス導入口の寸法よりも大きく設定してあり、該開口部114でのガス拡散抵抗は、測定素子1のガス導入口でのガス拡散抵抗に比べ、十分に低く設定されている。
開口部114の寸法は、例えば幅dが約3mm、高さhが約0.8mm、長さが約1.5mmLとなっている。即ち、前記開口部114は、3mm×0.8mmのスリット(開口)114aが1.5mmの長さで形成された連通路134(図12、図13参照)を有するかたちとなっているため、凝縮水が侵入しにくく、また、仮に侵入する場合があったとしても、水滴の大きさは極めて小さなものとなるため、凝縮水が素子1の先端に当たっても、その熱衝撃は非常に小さいものとなり、測定素子1の先端にクラックが発生するということがない。
開口部114に続く拡開部118は、前記開口部114に対する位置決め、及び内側保護カバー空間130と外側保護カバー空間132を隔離するためのもので、測定素子1の先端部が拡開部118の内壁面に挿入されることにより、測定素子1のガス導入口と内側保護カバー110の開口部114との位置が合うことになる。
更に、測定素子1が段差部116に突き当てられることにより、内側保護カバー空間130と外側保護カバー空間132とが完全に隔離され、これにより、開口部114から測定素子1に向かって拡散流入される被測定ガスが内側保護カバー空間130に入り込むことがないため、測定素子1において応答性よく所定ガス成分の濃度を測定することができる。
なお、連通路134のガス拡散抵抗D1と内側保護カバー空間130から連通路134へのガス拡散抵抗D2の比D1/D2としては1/5以下に設定することが望ましい。また、素子1の先端が段差部116に当接しなくても、開口部114のガス拡散抵抗(連通路134のガス拡散抵抗D1)を素子1と開口部114のクリアランスのガス拡散抵抗(内側保護カバー空間130から連通路134へのガス拡散抵抗D2)の1/5以下にすれば、内側保護カバー空間130内へのガスの拡散による応答の遅れは大きく改善される。
ちなみに、開口部114が内側保護カバー空間130に連通していると、内側保護カバー空間130の体積が大きいため、拡散流入した被測定ガスが前記内側保護カバー空間130に入り込む。このため、素子1に入り込む被測定ガスが少なくなり、応答性が遅くなる。
内側保護カバー110の側面には、被測定ガスを導入するための穴がないことから、素子1に被測定ガスが直接当たることがなくなり、素子1は被測定ガスによって冷やされることがない。
更に、内側保護カバー110は円筒形状となっているため、内側保護カバー110の側面と板状の素子1の大面(大きな面積を有する面で、この例ではセンサ素子12の上面や下面が相当する。)との距離が長くなる。これにより、内側保護カバー110が被測定ガス等によって冷やされても、素子1の前記大面との距離が長いため、熱放射、あるいは熱対流による素子1の熱損失が少なくなる。即ち、素子1は冷やされにくい構造となっている。
このように、測定素子1のうち、内側保護カバー110の側面に対向する面(素子1の大面側)には被測定ガスを導入するためのガス導入口を設けず、ガス導入口を測定素子1の端面側にし、内側保護カバー110の開口部114を測定素子1のガス導入口に直接連通させる構成としているため、測定素子1が冷やされにくく、凝縮水の装置1への付着確率も著しく小さくなる。
なお、開口部114に排気ガス中に含まれるオイル燃焼物やカーボンの付着が起こり、開口部114のガス拡散抵抗が増大しても、開口部114のガス拡散抵抗はセンサ素子12のガス拡散抵抗に比して、十分低く設定してあるため、感度の低下や応答性の低下を最小限に抑えることができる。なお、102はグローメットであり、98は外筒である。
(実施例1)
図2〜4を参照しつつ説明した測定素子1Aを作製した。ただし、電極5、6は白金膜によって形成し、セラミック基板4はジルコニア製とし、シート状抵抗体14は白金抵抗体とした。図4において、寸法aを5mmとし、寸法bを100mmとし、厚みを1.5mmとした。圧電振動励起手段2は、厚さ0.1mm,縦横1.5mmのランガサイト膜片とした。ランガサイト膜片2は、白金電極に対して1200℃1時間の熱処理によって接着した。この測定素子を、図12、図13に示すモジュール101内に設置した。
スートの測定は、排気管内へハウジング70を介して挿入し、スートを含んだ排気中に暴露することによって行った。この結果、暴露10時間で振動子のインピーダンスが約0.7MHz低下し、スートの付着が観測できた。スート加熱処理は、700℃において行い、共振周波数が元の周波数に回復した。これを100回繰り返し行ったが、特に破損は認められなかった。
(実施例2)
図5〜7を参照しつつ説明した測定素子1Cを作製した。ただし、電極は白金膜によって形成し、セラミック基板はジルコニア製とし、シート状抵抗体は白金抵抗体とした。本体15(アームを含む)の全長を100mmとし、本体15の幅を5mmとし、厚みを1.5mmとした。アーム16A、16B、16Cの長さは5mmとし、幅を2mmとした。圧電振動励起手段2A、2B、2Cは、厚さ0.1mm,幅0.3mm、長さ1.2mmのランガサイト膜片とした。ランガサイト膜片は、白金電極に対して1200℃1時間の熱処理によって接着した。この測定素子を、図12、図13に示すモジュール内に設置した。
スートの測定は、排気管内へハウジング70を介して挿入し、スートを含んだ排気中に暴露することによって行った。この結果、暴露10時間で共振周波数が約5kHz低下し、スートの付着が観測できた。スート加熱処理は、700℃において行い、共振周波数が元の周波数に回復した。これを100回繰り返し行ったが、特に破損は認められなかった。
(実施例2)
図8〜図11を参照しつつ説明した測定素子1Dを作製した。ただし、電極は白金膜によって形成し、セラミック基板はジルコニア製とし、シート状抵抗体は白金抵抗体とした。本体15およびアームの全長を100mmとし、本体15の幅を5mmとし、厚みを1.5mmとした。アーム16A、16B、16Cの長さは5mmとし、幅を2mmとした。圧電振動励起手段2A、2B、2Cは、厚さ0.1mm,幅0.3mm、長さ1.2mmのランガサイト膜片とした。ランガサイト膜片は、白金電極に対して1200℃1時間の熱処理によって接着した。この測定素子を、図12、図13に示すモジュール内に設置した。
スートの測定は、排気管内へハウジング70を介して挿入し、スートを含んだ排気中に暴露することによって行った。この結果、暴露10時間でインピーダンスが約0.5キロオーム低下し、スートの付着が観測できた。スート加熱処理は、700℃において行い、インピーダンスが元の90キロオームに回復した。これを100回繰り返し行ったが、特に破損は認められなかった。
(a)は、スート測定素子1の平面図であり、(b)は、スート測定素子1の正面図であり、(c)は、スート測定素子1の側面図である。 図1の装置と同様の原理で動作するスート測定素子1Aを示す平面図である。 スート測定素子1Aの断面図である。 図2、図3のスート測定素子1Aの典型的な寸法例を示す斜視図である。 スート測定素子1Bの平面図である。 図5のものと同様のスート測定素子1Cを概略的に示す平面図である。 スート測定素子1Cの概略断面図である。 スート測定素子1Dの平面図である。 図8のものと同様のスート測定素子1Eを概略的に示す平面図である。 スート測定素子1Eの概略断面図である。 図8〜図10のスート測定素子1Eの典型的な寸法例を示す斜視図である。 測定素子を収容するのに適したモジュール101を示す概略断面図である。 図12のモジュール101の横断面図である。
符号の説明
1、1A、1B、1C、1D スート測定素子 2、2A、2B、2C、2D 振動励起手段 3 貫通孔 4 セラミックスからなる本体 5、5A、5B、5C、5D、6,、6A、6B、6C、6D 電極 7、7A、7B、7C゛7D、8、8A、8B、8C、8D リード 9、9A、9B、9C、9D、10、10A、10B、10C、10D 端子 11 スート 12 シート状発熱体用の端子 14 シート状発熱体 A 厚み振動 B、C アームの伸縮振動 D、E、G、H 振動励起手段の伸縮振動 F アームの屈曲振動

Claims (10)

  1. 内燃機関から排出されるガスに含まれるスートを測定するための測定素子であって、
    セラミックスからなる本体およびこの本体に固定された圧電材料製の振動励起手段を備えており、前記測定素子に付着するスートによる前記測定素子の振動状態の変化に基づいて前記スートを検出することを特徴とする、スート測定素子。
  2. 前記振動励起手段の振動状態の変化に基づいて前記スートを検出することを特徴とする、請求項1記載のスート測定素子。
  3. 前記振動励起手段によって前記本体を励振し、この本体の振動状態の変化に基づいて前記スートを検出することを特徴とする、請求項1記載のスート測定素子。
  4. 前記振動の周波数の変化に基づいて前記スートを検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載のスート測定素子。
  5. 前記振動のQ値の変化に基づいて前記スートを検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載のスート測定素子。
  6. 前記スートの付着部分と前記振動励起手段とが離間されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載のスート測定素子。
  7. 前記スートの付着部分と前記振動励起手段との間に断熱材が設けられていることを特徴とする、請求項6記載のスート測定素子。
  8. 前記振動が前記振動励起手段の厚み振動であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載のスート測定素子。
  9. 前記本体が振動アームを備えており、前記振動が、前記振動アームの伸縮振動であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載のスート測定素子。
  10. 前記本体が振動アームを備えており、前記振動が、前記振動アームの屈曲振動であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載のスート測定素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008139294A (ja) * 2006-11-08 2008-06-19 Honda Motor Co Ltd 検知装置及び方法
JP2009133772A (ja) * 2007-11-30 2009-06-18 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 検出センサ、振動子
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