JP2006206553A - (1s,2s)−または(1r,2r)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体とその製造方法 - Google Patents

(1s,2s)−または(1r,2r)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不斉誘起効果を有することが新たに見出されたシス体のホスホラン−2−カルボン酸誘導体について、その有用物質としての高効率で選択的な製造方法と、これにより得られる不斉配位子もしくは不斉配位子を反応誘導する化合物を提供する。
【解決手段】1−アリールホスホランボラン錯体にアルキルリチウムを作用させた後、二酸化炭素を反応させて1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を製造するに際し、反応系への二酸化炭素ガスの導入速度によってシス体とトランス体の生成比を制御し、シス体を優先的に生成させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬、農薬、香料、その他各種のファインケミカルズの不斉合成のための不斉配位子もしくはその反応誘導用として有用な、(1S,2S)−または(1R,2R)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体とその製造方法に関するものである。
遷移金属錯体を用いる不斉合成反応では、配位子として光学活性ホスフィンが有効であるとされ、これまでにBlNAPに代表される多くの光学活性ジホスフィン類が開発されている(非特許文献1)。一方、含窒素化合物を配位子とした不斉金属触媒を用いる触媒的不斉合成反応の例も多く、中でもプロリンより誘導される光学活性ジアミン−金属錯体は、向山アルドール反応、アルキル化反応、還元反応などにおいて高い選択性を実現している(非特許文献2〜4)。
そして、本発明者らはプロリンに代わる不斉源として、たとえば次式のようにプロリンの窒素原子をリン原子に置き換えたホスホラン−2−カルボン酸を開発し、その合成及び不斉配位子への応用を提案している(特許文献1)。なお、この場合リン原子上に置換基が入ることにより、2位のカルボキシル基との間の立体関係により、シス、トランスの異性体が生じる。
Figure 2006206553
また、本発明者らによるこれらの検討の過程で、光学活性な様々なホスホラン−2−カルボン酸誘導体も開発してきた。その1つは、合成したホスホラン−2−カルボン酸誘導体混合物から再結晶法により主生成物であるラセミ体のトランス体のホスホラン−2−カルボン酸誘導体を取り出し、続いて光学活性アミンを用いた分別結晶法により光学的に純粋なトランス体のホスホラン−2−カルボン酸を得る方法である(非特許文献5)。もう一つは、(−)−スパルテインを不斉配位子として用いる不斉反応によるものである(非特許文献6)。ただ、これらはいずれもトランス体のホスホラン−2−カルボン酸誘導体を得るための手法にとどまっていた。
一方、Zhangらはリン原子上を硫黄で保護したホスホランを用いて合成したP−プロリン誘導体を合成し、これを用いた不斉反応を展開しているが、これらもトランス体を使用している(非特許文献7)。
このような状況の中で最近、本発明者はトランス体のホスホラン−2−カルボン酸誘導体合成時に副生成物として得られるシス体のホスホラン−2−カルボン酸誘導体にも不斉誘起効果があることを見出している。
本発明は、上記のとおりの背景から、本発明者により不斉誘起効果を有することが新たに見出されたシス体のホスホラン−2−カルボン酸誘導体について、その有用物質としての高効率で選択的な製造方法と、これにより得られる不斉配位子もしくは不斉配位子を反応誘導する化合物を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下の特徴を有している。
第1:次式
Figure 2006206553
(式中のR1は置換基を有していてもよいアリール基を示す。)
で表わされる1−アリールホスホラン・ボラン錯体にアルキルリチウムを作用させた後、二酸化炭素を反応させて1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を製造するに際し、反応系への二酸化炭素ガスの導入速度によってシス体とトランス体の生成比を制御し、シス体を優先的に生成させることを特徴とする1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の製造方法。
第2:上記第1の方法において、1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の再結晶によりジアステレオマー分離し、ラセミ体のシス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を得ることを特徴とする1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の製造方法。
第3:上記第2の方法において、ラセミ体のシス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を光学活性なアミンとの塩に変換した後に分別結晶して、(1S,2S)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体と(1R,2R)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体とを得ることを特徴とする1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の製造方法。
第4:不斉配位子もしくは不斉配位子誘導反応用の、アリール基が置換基を有していてもよい、(1S,2S)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体。
第5:上記第4のボラン錯体である、次式
Figure 2006206553
で表わされる(1S,2S)−シス−1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体。
第6:不斉配位子もしくは不斉配位子誘導反応用の、アリール基が置換基を有していてもよい、(1R,2R)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体。
第7:上記第6のボラン錯体である、次式
Figure 2006206553
で表わされる(1R,2R)−シス−1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体。
上記のとおりの本発明によれば、不斉誘起効果を有することが新たに見出されたシス体のホスホラン−2−カルボン酸誘導体について、その有用物質としての高効率で選択的な製造方法と、これにより得られる不斉配位子もしくは不斉配位子を反応誘導する化合物が提供される。
Catalytic Asymmetric Synthesis, 2nd. ed; Ojima, I., Ed: Weinheim, 2000. Kobayashi, S.; Horibe, M. Chem. Eur. J. 3, 1472(1997). Minowa, N.; Mukaiyama, T. Bull. Chem. Soc. Jon., 60, 3697(1987). Falorni, M., Giacomelli, G.; Marchetti, M.; Culeddu, N.; Lardicci, L. Tetrahedron: Asymmetry 2, 287(1991). Sun, K. Manabe, W. W.-L. Lam, N. Shiraishi, J. Kobayashi, M. Shiro, H. Utsumi, S. Kobayashi, Chem. Eur. J., 11, 361-368 (2005). Kobayashi, S.; Shiraishi, N.; Lam, W. W.-L.; Manabe, K. Tetrahedron Lett. 2000, 42, 7303. Tang, W.; Zhang, X. Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 1612. Tang, W.; Wang, W.; Zhang, X. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 943. 特開2002−69086
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
本発明の1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の製造方法においては、前記のとおりの式
Figure 2006206553
で表わされる1−アリールホスホラン・ボラン錯体を原料物質として用いる。このものは、前記のとおり、本発明者らによって見出されたホスホラン−カルボン酸とその誘導体として公知(非特許文献5、特許文献1)のものである。
この1−アリールホスホラン・ボラン錯体においては、前記符号R1は、各種の置換基を有していてもよいアリール基である。フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジヒドロナフチル基、メトキシフェニル基等々の各種であってよい。
そして、本発明の製造法では、次のプロセスを特徴としている。
A)前記の1−アリールホスホラン・ボラン錯体にアルキルリチウムを作用させた後、二酸化炭素(CO2)を反応させて1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体に変換する際に、反応系、すなわち反応液中へのCO2ガスの導入速度によってシス体とトランス体の生成比を制御し、シス体を優先的に生成させる。
B)1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の再結晶によりジアステレオマー分離し、ラセミ体のシス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を得る。
C)ラセミ体のシス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を光学活性なアミンとの塩に変換した後に分別結晶して、(1S,2S)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体と(1R,2R)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を得る。
プロセスA)については、本発明がCO2を用いてトランス体を生成、回収することをすでに公表している(非特許文献5、特許文献1)が、シス体を優先的に生成させるための手段については、これまで本発明者においても予期できないことであった。本発明では、シス体の生成比を増大させることは、反応系に導入するCO2ガスの導入速度を大きくすることによって可能になるとの新しい知見に基づいている。反応液の容量、そして原料としての1−アリールホスホラン・ボラン錯体の種類と存在量にもよるが、たとえば、生成するカルボン酸ボラン錯体の収率が70%以上において、シス体の生成割合が50%を超える場合には、トランス体の生成割合が50%を超える場合に比べて、CO2の導入速度は4倍以上、さらには5倍以上であることが考慮される。
反応は、たとえば公知方法と同様に、s−BuLi、ジピペリジノエタン添加のエーテル溶媒中で行うことができる。
プロセスB)C)については、これまで公知の方法に従って、適宜な条件のもとに実施することが可能である。すなわち、たとえば、シス体が優先的に得られた、1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体からは、クロロホルムからの再結晶によりジアステレオマーの分離ができ、ラセミ体のシス−1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体が得られる。このものは光学活性なアミンとの塩に変換することで分別結晶でき、光学的に純粋な(1S,2S)−シス−1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体と(1R,2R)−シス−1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体が得られる。
本発明において得られた(1S,2S)−または(1R,2R)−のシス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体は、そのものが触媒的不斉反応の不斉配位子として有用なだけでなく、このものより、たとえば後述の参考例にも示したように、各種の不斉配位子を反応により誘導することにも有用である。
そこで以下に実施例によりさらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
以下の説明において、特に記載のない化合物は市販品を必要に応じて精製して使用した。
反応は全てアルゴン雰囲気下で実施した。
<参考例1>
1−フェニルホスホラン・ボラン錯体(1)の合成
次の反応式
Figure 2006206553
に従って合成を行った。
マグネシウム(24g:0.99モル)の入ったTHF(400ml)溶液に、氷冷下で1,4−ジブロモブタン(48ml:0.4モル)のTHF(100ml)溶液を1時間かけて滴下した。室温で4時間攪拌後、氷冷下にてジクロロフェニルホスフィン(55ml:0.4モル)のTHF(100ml)溶液を1.5時間かけて滴下し、その後室温で15時間攪拌した。
別に用意した反応容器に三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(101ml:0.8mol)の2−メトキシエトキシエーテル(DGM)(100ml)溶液を入れ、氷浴下、アルゴンガスを通しながら水素化ホウ素ナトリウム(15.13g:0.4mol)のDGM(400ml)溶液を滴下し、発生するジボランを氷浴下のグリニャール反応溶液へと送り込んだ。水素化ホウ素ナトリウムの滴下後、ジボラン発生装置を80oCに加熱し、アルゴンガスを通しながらジボランをグリニャール反応溶液へと送り込んだ。
ジボラン発生装置を外し、グリニャール反応溶液を室温で1時間撹拌した後、氷浴下にて1N 塩酸(150ml)を滴下した。その後酢酸エチルで抽出を行い、有機相を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別した。
減圧濃縮により得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1−5/1)にて精製し、さらに減圧蒸留(沸点140oC/1mmHg)することにより1を(28.9g、収率40%)を油状物として得た。
<実施例1>
1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体(2)(ジアステレオマー、エナンチオマー混合物)の合成
次の反応式
Figure 2006206553
に従って合成を行った。
1,2−ジピペリジノエタン(64.7ml:300mmol)のエーテル(500ml)溶液に、−78℃でs−ブチルリチウム(300ml:300mmol、1.0M ヘキサン−シクロヘキサン溶液)を滴下し、1時間攪拌した。上記参考例1において合成したボラン錯体:1(34.7ml:200mmol)のエーテル(100ml)溶液を滴下し1.5時間攪拌した後、メカニカルスターターで良く攪拌しながら(150〜600回転/分)炭酸ガスを一定の速度で加え、−78oCで2時間撹拌後、冷却装置を外し、炭酸ガスを加えながら反応溶液が室温になるまで1時間撹拌した。
反応混合物をグラスフィルターで濾過した後、得られた固体を塩化メチレンに溶かし、撹拌しながら1N塩酸水溶液を水相のpHが3になるまで加えた。その後有機相と水相を分離し、有機相を1N塩酸水溶液、飽和食塩水、水で順次洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧濃縮することで2を(38,2g、収率86%、trans/cis=30/70)異性体の混合物として得た。以下の表1に反応条件と収率およびジアステレオマー比を示す。
そして、得られたジアステレオマー混合物をクロロホルムより再結晶して、純粋なシス−2を得た(収率:約60%)。
Figure 2006206553
<実施例2>
(1)シンコニジンを用いたcis体の光学分割
次の反応式
Figure 2006206553
に従って反応を行った。
cis体である(1R*,2R*)−2(500mg:2.25mmol)をクロロホルム(10ml)に溶かし、シンコニジン(662mg、2.25mmol)を加え、室温で撹拌した。シンコニジンが溶解したのを確認後、エーテル(20ml)を加え室温で撹拌し、(1R*,2R*)−2のアンモニウム塩を析出させた。濾別して得られた固体を再度クロロホルム(10 ml)に溶かし、エーテル(20ml)により析出させる操作を合計で10回行った。
最終的に得られた固体をクロロホルムで抽出し、有機相を1N塩酸水溶液で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を濃縮し(1S,2S)−2(305 mg、 収率26%、100%ee)を白色の固形物として得た。分離された化合物2の光学純度は、対応するメチルエステルへと誘導した後、キラルカラムによるHPLCから求めた。
(2)(R)−(+)−フェネチルアミンを用いたcis体の光学分割
次の反応式
Figure 2006206553
に従って反応を行った。
cis体である(1R*,2R*)−2(2.25mmol)をメタノール(10ml)に溶かし、(R)−(+)−フェネチルアミン(286μl:2.25mmol)を加え室温で撹拌し、エーテル(20ml)を加えて(1R*,2R*)−2のアンモニウム塩を析出させた。濾別して得られた固体を再度メタノール(10ml)に溶かし、エーテル(20ml)により析出させる操作を合計で4回行った。
最終的に得られた固体をクロロホルムで抽出し、有機相を1N塩酸水溶液で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を濃縮し(1R*,2R*)−2(40mg、収率8%、100%ee)を白色の固形物として得た。分離された化合物2の光学純度は、同様に対応するメチルエステルへと誘導した後、キラルカラムによるHPLCから求めた。
<参考例2>
次の反応式
Figure 2006206553
に従って、文献公知(非特許文献5、特許文献1)の方法により合成した(1R,2R)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸−ボラン錯体:2(222.1mg,1.0mmol)及び1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(199.8mg,1.5mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液に、氷冷下で1−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDC)(287.6mg,1.5mmol)を少しずつ加え、氷冷下4時間攪拌した。水と塩化メチレンを加えて反応を停止し、有機相と水相を分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、cis体である(1R,2S)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸アミド−ボラン錯体の合成を行った。(1R,2R)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸アミド−ボラン錯体(258.4mg,収率77%)、(1R,2S)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸アミド−ボラン錯体(8.0mg,収率2%)
次いで、(1R,2R)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸アミド誘導体−ボラン錯体(160.8mg,0.48mmol)のTHF(5mL)溶液にボランのTHF溶液(1.0M,4.7mL,4.7mmol)を滴下し、その後40℃にて14時間攪拌した。室温まで放冷した後水と塩化メチレンを加えて反応を停止し、有機相と水相を分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、(1R,2R)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸アミン誘導体−ボラン錯体を得た。
得られたこの(1R,2R)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸アミン誘導体−ボラン錯体(221.7mg,0.66mmol)をジエチルアミン(1.2mL)に溶解し、45℃にて2時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、(1R,2R)−1−シス−フェニルホスホラン−2−カルボン酸アミン誘導体:3を収率42%(3ステップ)で得た。
<参考例3>
次の反応式
Figure 2006206553
に従って、マロン酸ジエチルのパラジウム触媒を用いての不斉アリル化反応を行った。不斉配位子としては、参考例2で得られた化合物:3を3mol%の割合で用いた。その結果、光学活性なアリル化反応生成物を、93%収率、94%eeで得た。

Claims (7)

  1. 次式
    Figure 2006206553
    (式中のR1は置換基を有していてもよいアリール基を示す。)
    で表わされる1−アリールホスホラン・ボラン錯体に二酸化炭素を反応させて1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を製造するに際し、反応系への二酸化炭素ガスの導入速度によってシス体とトランス体の生成比を制御し、シス体を優先的に生成させることを特徴とする1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の製造方法。
  2. 請求項1の方法において、1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の再結晶によりジアステレオマー分離し、ラセミ体のシス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を得ることを特徴とする1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の製造方法。
  3. 請求項2の方法において、ラセミ体のシス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体を光学活性なアミンとの塩に変換した後に分別結晶して、(1S,2S)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体と(1R,2R)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体とを得ることを特徴とする1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体の製造方法。
  4. 不斉配位子もしくは不斉配位子誘導反応用の、アリール基が置換基を有していてもよい、(1S,2S)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体。
  5. 請求項4のボラン錯体である、次式
    Figure 2006206553
    で表わされる(1S,2S)−シス−1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体。
  6. 不斉配位子もしくは不斉配位子誘導反応用の、アリール基が置換基を有していてもよい、(1R,2R)−シス−1−アリールホスホラン−2−カルボン酸・ボラン錯体。
  7. 請求項6のボラン錯体である、次式
    Figure 2006206553
    で表わされる(1R,2R)−シス−1−フェニルホスホラン2−カルボン酸・ボラン錯体。

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