JP2006201579A - 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 密着性および良好な面状を両立した光学補償シート、該光学補償シートを用いた偏光板および該偏光板を配置した液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 透明支持体上に、配向膜、及び液晶性化合物を含む光学異方性層がこの順に積層された光学補償シートであって、前記透明支持体が、下記式(I)かつ(II)をみたすことを特徴とする光学補償シート、該光学補償シートを用いた偏光板および該偏光板を配置した液晶表示装置。(I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25、(II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、密着性および良好な面状を両立した光学補償シートに関する。さらに本発明は、該光学補償シートを用いた偏光板および該偏光板を配置した液晶表示装置にも関する。
液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光板および光学補償シート(位相差板)からなり、主として透過型液晶表示装置及び反射型液晶表示装置に大別される。
透過型液晶表示装置では、二枚の偏光板を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏光板との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光板の順に配置する。
液晶セルは、通常、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性部分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いにより様々な表示モードが提案されており、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)等、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)等が提案されている。
偏光板は、一般的に、偏光膜と透明保護膜とからなっている。該偏光膜は、一般的に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料の水溶液を含浸させ、さらにこのフィルムを一軸延伸することにより得られる。該偏光板はこの偏光膜の両側に二枚の透明保護膜を貼りつけた構成を有する。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、透明支持体上に液晶性分子(特にディスコティック液晶性分子)から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。光学異方性層は、液晶性分子を配向させ、その配向状態を固定化することにより形成する。一般に、重合性基を有する液晶性分子を用いて、重合反応によって配向状態を固定化する。液晶性分子は、大きな複屈折を有する。そして、液晶性分子には、多様な配向形態がある。液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記の表示モードの違いに応じて決定する。光学補償シートに液晶性分子、特にディスコティック液晶性分子を用いると液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。
ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。
最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになっており、偏光膜の保護フィルムや光学補償シートの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性であるとは、すなわち光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が小さいことである。とりわけ、斜め方向からの表示良化のためには、正面方向のレターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)を小さくする必要がある。具体的には光学透明フィルムの光学特性を評価した際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのReが変化しないことが要求される。このような光学的に等方的なフィルムを光学補償シートの支持体として用いることによって、ムラを低減することができ、また光学補償層そのものの光学性能を引き出すことができる。
透明支持体上に液晶性分子の配向を固定化した光学異方性層を設けた光学補償シートを製造する場合、透明支持体と光学異方性層の間に配向膜を設ける。この場合、透明支持体(通常は、セルロースアシレートフィルム)と配向膜との間の密着性が必要になる。また、配向膜の配向はラビング、電界印加、磁場印加、或は光照射等の処理により行われるが、配向膜上の微小なチリ等の付着が配向の均一性を損なってしまう。特に、ラビング処理では膜表面を擦るために静電気発生への対策が必要となる。こうしたことから、通常、配向膜は水溶性樹脂硬化膜が適用され、特にポリビニルアルコール系等の水酸基含有の樹脂と硬化剤からなる硬化膜が用いられる。
通常、透明支持体として用いられるセルロースアシレートフィルムは疎水性であるため、水溶性樹脂硬化膜とは親和性が悪く、これを解消するために、接着層としてゼラチン等の下塗り層を設ける(例えば、特許文献1参照)、或は透明支持体(特に、セルロースアセテートフィルム)表面をアルカリ鹸化処理して、支持体表面に密着性を付与して配向膜を設ける(例えば、特許文献2参照)等の方法が開示されている。しかし、ゼラチン下塗り層を設ける場合には、支持体の膜厚を薄膜化すると下塗り層に含まれる塗布溶媒等の影響で均一な塗布が出来なくなる等の問題がある。
上記の様に塗設された水溶性樹脂硬化膜からなる配向膜は、迅速な硬化反応、製膜後の耐湿度依存性等が重要となる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂と2官能性アルデヒド化合物と共に酸化合物を併用した塗布液を塗布し硬化する方法(特許文献3参照)、変性ポリビニルアルコール及び硬化剤に酸を添加して酸性条件の塗布液を塗布し硬化する方法(特許文献4、段落番号[0148]参照)等が提案されている。
特開平11−248940号公報 特開2002−302561号公報 特開平10−218938号公報 特開2000−155216号公報
しかし、これらの技術を用いた場合、光学補償シートに光学的な欠陥(例えば、面状ムラ等)が発生しやすく、特に長尺フィルムを製造すると実用に供しえる性能のものを得る得率が著しく低下するという課題があり、未だ充分とはいえない。
特に、近年、前記のような種々の液晶表示装置に対応できる光学補償シートとして、光学特性に優れ且つシート膜厚が薄膜のものが強く望まれている。
従って、本発明の目的は、密着性及び良好な面状を両立した光学補償シートを提供することである。
さらに本発明の他の目的は、該光学補償シートを偏光膜の片側に配置した偏光板、そしてその偏光板を備えた表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。
本発明によれば、下記構成の光学補償シート、該光学補償シートを用いた偏光板及び該偏光板を配置した液晶表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1)透明支持体上に、配向膜、及び液晶性化合物を含む光学異方性層がこの順に積層された光学補償シートであって、前記透明支持体が、下記式(I)かつ(II)をみたすことを特徴とする光学補償シート。
(I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
2)前記配向膜が水溶性ポリマーを主成分とすることを特徴とする上記1)記載の光学補償シート。
3)透明支持体が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする上記1)または2)記載の光学補償シート。
4)前記透明支持体が、Re(λ)およびRth(λ)を低下させ、かつオクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物の少なくとも1種を、透明支持体のポリマー成分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の光学補償シート。
5)前記セルロースアシレートフィルムが、アシル置換度2.85〜3.00のセルロースアシレートであることを特徴とする上記3)または4)に記載の光学補償シート。
6)前記セルロースアシレートフィルムが、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物の少なくとも1種を、セルロースアシレートに対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする上記3)〜5)のいずれかに記載の光学補償シート。
7)前記セルロースアシレートフィルムの膜厚が10〜120μmであることを特徴とする上記3)〜6)のいずれかに記載の光学補償シート。
8)前記配向膜が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールまたはこれらの混合物を主成分として含有する配向膜形成用組成物を塗布、乾燥してなる硬化膜であることを特徴とする上記1)〜7)のいずれかに記載の光学補償シート。
9)前記配向膜が、ポリイミド前駆体を主成分として含有する配向膜形成用組成物を塗布、乾燥してなる硬化膜であることを特徴とする上記8)に記載の光学補償シート。
10)透明保護膜、偏光膜および上記1)〜9)のいずれかに記載の光学補償シートがこの順に積層されていることを特徴とする偏光板。
11)前記透明保護膜が、その空気側表面に反射防止膜を設けてなることを特徴とする上記10)に記載の偏光板。
12)液晶セルと前記液晶セルの両側に配置された一対の偏光板とを有する液晶表示装置において、前記偏光板の少なくとも一方が、上記10)または11)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
13)前記液晶表示装置が、TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする上記12)に記載の液晶表示装置。
本発明の光学補償シートでは、光学的異方性の小さい透明支持体を用いることによって面状ムラ等の光学的欠陥を軽減ないし解消することができた。また、当該透明支持体、好ましくは水溶性ポリマーからなる配向膜、及び液晶性化合物を含む光学異方性層がこの順に積層された層構成を形成することにより、面状が良好な光学補償シートを安定して得ることができた。即ち、本発明の光学補償シートは密着性及び良好な面状を両立した光学補償シートである。これらは、例えば透明支持体としてセルロースアシレートフィルムを用いた場合、そこに含まれる疎水性化合物が親水性の配向膜の存在により光学異方性層へ抽出されにくく、液晶性化合物の配向が阻害されにくいことにより膜表面全体にムラの無い配向状態が形成されることと、透明支持体の光学異方性が低いことによりムラが目立たなくなることが主要因の1つと推定される。
また、本発明によれば、上記光学補償シートを偏光膜の片側に配置した偏光板が提供されると共に、この偏光板を備えた表示品位の高い液晶表示装置が提供される。
以下、本発明の液晶表示装置について詳しく説明する。
まず、光学補償シート及びその製造方法について説明する。本発明の光学補償シートは、前記した通り、好適には予め密着性を付与処理した透明支持体、配向膜、及び光学異方性層(「光学的異方性層」とも言う。)がこの順に積層された層構成を有する。
[透明支持体]
本発明における透明支持体は、上記式(I)およびおよび(II)をみたすセルロースアシレートフィルム(以下、本発明のセルロースアシレートフィルムということがある)からなるものが好ましい。以下、セルロースアシレートフィルムについて詳述する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載されているが、本発明は、該記載に制限されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明のセルロースアシレートについて記載する。本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学的異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらにのぞましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下である。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%の含水率が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートの合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明のセルロースアシレートには、種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程(セルロースアシレート溶液の作製工程)における何れでも良いが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加し調製する工程を行ってもよい。
これらの添加剤の添加量を調整することにより、本発明の要件である、
(I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
(II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
を満たすことができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光学的異方性、とくにフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(III)、(IV)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(III)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(IV)0.01≦A≦30
[式中、Rth(A)はRthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm)、Rth(0)はRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)、Aはセルロースアシレートの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。]
上記式(III)、(IV)は
(III)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(IV)0.05≦A≦25
であることがよりのぞましく、
(III)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0
(IV)0.1≦A≦20
であることがさらにのぞましい。
[セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物の構造的特徴]
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。本発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、ReおよびRthがゼロに近くなるようにした。このためには光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(logP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学的異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0ないし7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし6であり、特に好ましい範囲は1.5ないし5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。なお本明細書に記載のlogPの値は、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により求めたものである。
[光学的異方性を低下させる化合物の物性]
光学的異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学的異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学的異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学的異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学的異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートに対し0.01ないし30質量%であることが好ましく、1ないし25質量%であることがより好ましく、5ないし20質量%であることが特に好ましい。
光学的異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学的異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ作製工程の最後に行ってもよい。
光学的異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%である。当該化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物の具体例としては、下記一般式(13)、(18)、(19)のいずれかで表される化合物が挙げられるが、本発明はこれら化合物に限定されない。
Figure 2006201579
[一般式(13)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。ただしR1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上である。]
Figure 2006201579
[一般式(18)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。]
Figure 2006201579
[一般式(19)において、R4、R5およびR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。]
一般式(13)の化合物について説明する。
上記一般式(13)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R1、R2およびR3の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。R1、R2およびR3は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1ないし25のものが好ましく、6ないし25のものがより好ましく、6ないし20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6ないし30のものが好ましく、6ないし24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。一般式(13)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
以下に、一般式(18)または一般式(19)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。なお、一般式(18)または一般式(19)で表される化合物において、アルキル基およびアリール基の具体例は一般式(13)と同じである。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
式中、Priはイソプロピル基を表す。
Figure 2006201579
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Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
[波長分散調整剤]
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物(以下波長分散調整剤ともいう)について説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムのRthの波長分散を良化させるためには、下記式(iv)で表されるRthの波長分散ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を、下記式(iv)、(v)をみたす範囲で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(iii)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)|
(iv)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(vi)0.01≦B≦30
[式中、ΔRth(B)はRthの波長分散を低下させる化合物をB%含有したフィルムのΔRth(nm)、ΔRth(0)はRthの波長分散を低下させる化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)、Bはセルロースアシレートの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。]
上記式(v)、(vi)は
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(vi)0.05≦B≦25
であることがよりのぞましく、
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(vi)0.1≦B≦20
であることがさらにのぞましい。
上記の波長分散調整剤は、中でも、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|の双方を低下させる化合物が好ましく、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%使用するのがよい。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるために、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れていることが要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることがのぞましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.01ないし30質量%であることが好ましく、0.1ないし20質量%であることがより好ましく、0.2ないし10質量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ作製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。以下、好ましい化合物を例示する。
ベンゾトリアゾール系化合物としては一般式(101)で示されるものが本発明の波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(101) Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環、Q2は芳香族環を表す。)
1は含窒素芳香族へテロ環をあらわし、好ましくは5ないし7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)、更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
一般式(101−A)
Figure 2006201579
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
一般式(101−B)
Figure 2006201579
(式中、R1、R3、R6およびR7は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
以下に一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに本発明のセルロースアシレートフィルムを作製した場合、保留性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(102)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(102)
Figure 2006201579
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。)
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(102)として好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
一般式(102−A)
Figure 2006201579
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
一般式(102−B)
Figure 2006201579
(式中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。)
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n-ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)であらわされる化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基を含む化合物としては一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(103)
Figure 2006201579
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。)
1およびQ2であらわされる芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)、更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2であらわされる芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2で表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103-A)で表される化合物である

一般式(103-A)
Figure 2006201579
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3、およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103-B)で表される化合物である。
一般式(103-B)
Figure 2006201579
(式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。)
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(-C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103-C)で表される化合物である。
一般式(103-C)
Figure 2006201579
(式中、R3およびR8は一般式(103-A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
21として好ましくはR3およびR8が両方水素の場合には、炭素数2〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert-オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
21として好ましくはR3およびR8が水素以外の場合には、一般式(103-C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
一般式(103)で表される化合物はJounal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレート溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤微粒子の添加量は1m3あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、前述のように、用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収剤としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れの時期でも良いが、ドープ作製工程の最後に添加剤を添加しするのがよい。更にまた、各添加剤の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらにのぞましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学的異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下がのぞましく、2000以下がよりのぞましく、1000以下がさらにのぞましい。これら化合物の総量が5質量%未満であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45質量%を越えると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する( フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の公開特許公報に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−60807、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752号の各公報などに記載されている。これらの公報によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明のセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来のセルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
[高湿度処理後のフィルムの光学性能変化]
[セルロースアシレートフィルム物性評価]
本発明のセルロースアシレートフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RHに240時間処理したフィルムのRe(400)、Re(700)、Rth(400)およびRth(700)の変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのRe(400)、Re(700)、Rth(400)およびRth(700)の変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
本発明のセルロースアシレートフィルムにのぞましく用いることができる、Rthを低下させる化合物と、ΔRthを低下させる化合物は、80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量が30%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは25%以下以下であり、20%以下であることがさらにのぞましい。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、高速液体クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出した。
揮散量(%)= {(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃である。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
[フィルムのヘイズ]
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることがのぞましい。よりのぞましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらにのぞましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションRe(λ)および膜厚方向のレターデーションRth(λ)はともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth(400)値と25℃80%RHにおけるRth(400)値の差ΔRth(400)(=Rth(400)10%RH−Rth(400)80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。ΔRth(700)についても同様の範囲が好ましい。25℃10%RHにおけるRe(400)値と25℃80%RHにおけるRe(400)値の差ΔRe(400)(=Re(400)10%RH−Re(400)80%RH)が0〜10nmであることが好ましい。より好ましくは0〜5nmであり、さらに好ましくは0〜2nmである。ΔRe(700)についても同様の範囲が好ましい。
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe、Rthの湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに液晶性化合物層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
[フィルムの寸度変化]
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
[フィルムの弾性率]
(弾性率)
本発明のセルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2(1.96〜4.90GPa)であることが好ましい。より好ましくは240〜470kgf/mm2(2.35〜4.61GPa)であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2(2.65〜4.31GPa)である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
[フィルムの光弾性係数]
(光弾性係数)
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne(5×10-13N/m2)以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne(3×10-13N/m2)以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne(2×10-13N/m2)以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
[延伸前後における正面レターデーション変化、遅相軸の検出]
帯状のフィルムから試料、長手方向100mm×幅方向100mmを切り出し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で長手方向(MD方向)と平行または巾方向(TD方向)と平行に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーションReは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。偏光膜直近に配置されるセルロースアシレートフィルムは、延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がさらに好ましい。
[遅相軸を有する方向]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光膜の保護フィルムに用いる場合、偏光膜が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD方向近傍にあることがのぞましい。遅相軸が偏光膜と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
[固有複屈折が正であるセルロースアシレートフィルム]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムがMD方向に遅相軸を有している場合にMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向と平行な搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
[固有複屈折が負であるセルロースアシレートフィルム]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなる場合もある。このことは固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と同一の方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムがMD方向に遅相軸を有している場合にMD方向の搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはTD方向にテンター延伸を用いて正面レターデーションReを小さくすることが考えられる。
[本発明のセルロースアシレートフィルムの評価方法]
本発明のセルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
(正面レターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所)で可視光(615nm)の透過率を測定した。
[フィルム表面の性状]
本発明セルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
[セルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつき]
本発明のセルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことがのぞましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
[フィルムの保留性]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
[フィルムの力学特性]
(カール)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理などを長尺で行う際に、本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(引裂き強度)
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)において、本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。又、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
[フィルムの残留溶剤量]
本発明のセルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。残留溶剤量を1.5質量%以下とすることでカールを抑制できる。1.0質量%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量を少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torr(0.133〜2660Pa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。上記のような条件においてプラズマ励起されるプラズマ励起性気体としては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることがのぞましい。よりのぞましくは50°以下であり、45°以下であることがさらにのぞましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
(耐光性)
本発明のセルロースアシレートフィルムの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下であることがのぞましい。よりのぞましくは18以下であり、15以下であることがさらにのぞましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所製)を用いた。測定の仕方は、フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めた。その後、フィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)製)にて、150W/m2、60℃50%RH条件にてキセノン光を240時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めた。これらから、色差ΔE*ab=((L0*-L1*)2+(a0*-a1*)2+(b0*-b1*)20.5を求めた。
[透明支持体の密着性付与の方法]
本発明の透明支持体は、配向膜を塗布方式で設ける場合には、該透明支持体表面に密着性を付与し、配向膜用塗布液が均一に塗工されるように表面処理を施すことが好ましい。
表面処理の方法としては、配向膜の下塗り層を設ける方法が挙げられる。特開平7−333433号公報記載の下塗り層、或いは疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法、第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容が挙げられる。
他の表面処理として、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745号公報の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアセテートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
[アルカリ鹸化処理]
アルカリ鹸化処理は、アルカリ溶液を透明支持体に浸漬、噴射若しくは塗布することで行う。好ましくは、後述の塗布で鹸化処理することが好ましい。
[アルカリ溶液]
アルカリ溶液はpH11以上のアルカリ溶液が好ましい。より好ましくはpH12〜14である。
アルカリ溶液に用いられるアルカリ剤の例として、水酸化ナトリウム、同カリウム、同リチウム等の無機アルカリ剤、また、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルブチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて併用することもでき、一部を例えばハロゲン化したような塩の形で添加してもよい。
これらのアルカリ剤の中でも、水酸化ナトリウム或は水酸化カリウムが、これらの量を調整することにより広いpH領域でのpH調整が可能となるため好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、使用するアルカリ剤の種類、反応温度および反応時間に応じて決定されるが、アルカリ剤の含有量は、アルカリ溶液中の0.1〜5mol/kgが好ましく、0.5〜3mol/kgがより好ましい。
本発明のアルカリ溶液の溶媒は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶液からなることが好ましい。有機溶媒としては、水と混和可能な有機溶媒であればいずれも用いることができるが、沸点120℃以下、より好ましくは100℃以下のものが好ましい。
その中でも好ましい有機溶媒は、無機性/有機性値(I/O値)が0.5以上、且つ溶解度パラメーターが16〜40[mJ/m31/2の範囲のものが好ましい。より好ましくはI/O値が0.6〜10、且つ溶解度パラメーターが18〜31[mJ/m31/2である。I/O値や溶解度パラメーターがこの範囲であると、アルカリ鹸化速度が適度であり、鹸化度の全面均一性も十分であり、ヘイズも生じない。
また、有機溶媒、とりわけ上記有機性と溶解性の各範囲の有機溶媒を後述する界面活性剤、相溶化剤等と組み合わせて用いると高い鹸化速度が維持されて、かつ全面に亘る鹸化度の均一性が向上する。
好ましい特性値を有する有機溶媒は、例えば、有機合成化学協会編、「新版溶剤ポケットブック」((株)オーム社、1994年刊)等に記載のものが挙げられている。(また、有機溶媒の無機性/有機性値(I/O値)については、例えば、田中善生著有機概念図)三共出版社1983年刊、1〜31頁に解説されている)。
具体的には、一価脂肪族アルコール類(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等)、脂環式アルカノール(例、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、メトキシシクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール等)、フェニルアルカノール(例、べンジルアルコール、フェニルエタノール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、メトキシベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等)、複素環式アルカノール類(フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等)、グリコール化合物のモノエーテル類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、メトキシメトキシエタノール、ブチルセルソルブ、ヘキシルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3ジメチルイミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル類(例、テトラヒドロフラン、ピラン、ジオキサン、トリオキサン、ジメチルセルソルブ、ジエチルセルソルブ、ジプロピルセルソルブ、メチルエチルセルソルブ、ジメチルカルビトール、ジメチルカルビトール、メチルエチルカルビトール等)等が挙げられる。用いる有機溶媒は、単独若しくは2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒を単独使用或いは2種以上を混合する場合の少なくとも一種の有機溶媒は、水への溶解性が大きなものが好ましい。有機溶媒の水の溶解度は、50質量%以上が好ましく、水と自由に混合するものがより好ましい。これによりアルカリ剤、鹸化処理で副生する脂肪酸の塩、空気中の二酸化炭素を吸収して生じた炭酸の塩等への溶解性が充分なアルカリ溶液を調製できる。
有機溶媒の溶媒中の使用割合は、溶媒の種類、水との混和性(溶解性)、反応温度および反応時間に応じて決定する。
水と有機溶媒の混合比は、3/97〜85/15質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜60/40質量比であり、更に好ましくは15/85〜40/60質量比である。この範囲において、セルロースアシレートフィルムの光学特性を損なうことなく容易にフィルム全面が均一に鹸化処理される。
本発明に用いるアルカリ溶液が含有する有機溶媒として、上記した好ましいI/O値を有する有機溶媒とは異なる有機溶媒(例えばフッ化アルコール等)を、後述の界面活性剤、相溶化剤の溶解助剤として併用してもよい。その含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5%が好ましい。
本発明に用いるアルカリ溶液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を添加することによって表面張力を下げて塗布を容易にしたり、塗膜の均一性を上げてハジキ故障を防止し、かつ有機溶媒が存在すると起こり易いヘイズを抑止し、さらに鹸化反応が均一に進行する。その効果は、後述する相溶化剤の共存によって特に顕著となる。用いられる界面活性剤には特に制限はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のいずれであってもよい。
具体的には、例えば、吉田時行著「界面活性剤ハンドブック(新版)」(工学図書、1987年刊行)、「界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」第1編(技術教育出版、2000年刊行)等記載の公知の化合物が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、カチオン性界面活性剤としての4級アンモニウム塩類、ノニオン性界面活性剤としての各種のポリアルキレンレングリコール誘導体類、各種のポリエチレンオキサイド付加物類等のポリエチレンオキサイド誘導体類、両性界面活性剤としてのベタイン型化合物類が好ましい。
アルカリ溶液には、ノニオン活性剤とアニオン活性剤またはノニオン活性剤とカチオン活性剤を共存させて用いることも本発明の効果が高められて好ましい。
これらの界面活性剤のアルカリ溶液に対する添加量は、好ましくは、0.001〜10質量%であり、より好ましくは、0.01〜5質量%である。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、相溶化剤を含有させることも好ましい。本発明において、「相溶化剤」とは、温度25℃において、相溶化剤100gに対して水の溶解度が50g以上となる親水性化合物をいう。相溶化剤の水の溶解度は、相溶化剤100gに対して、80g以上であるのが好ましく、100g以上であるのがより好ましい。また、相溶化剤が液状化合物である場合は、沸点が100℃以上であるのが好ましく、120℃以上であるのがより好ましい。
相溶化剤は、アルカリ溶液を貯留する浴等の壁面に付着したアルカリ溶液の乾燥を防止し、固着を抑制し、アルカリ溶液を安定に保持させる作用を有する。また、透明支持体の表面にアルカリ溶液を塗布して一定時間保持した後、鹸化処理を停止するまでの間に、塗布されたアルカリ溶液の薄膜が乾燥し、固形物の析出を生じ、水洗工程での固形物の洗い出しを困難にすることを防止する作用を有する。さらには、溶媒となる水と有機溶剤との相分離を防止する。特に、界面活性剤と有機溶剤と上述した相溶化剤との共存によって、処理された透明支持体は、ヘイズが少なく、かつ、長尺の連続鹸化処理の場合であっても安定して全面均一な鹸化度となる。
相溶化剤は、上記の条件を満たす材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリオール化合物、糖類等のヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を含む水溶性重合体が好適に挙げられる。
ポリオール化合物は、低分子化合物、オリゴマー化合物および高分子化合物のいずれも用いることができる。
脂肪族ポリオール類としては、例えば、炭素数2〜8のアルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ヒドロキシル基を3個以上含有する炭素数3〜18のアルカン類(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、イノシトール等)が挙げられる。
ポリアルキレンオキシポリオール類としては、上記のような同じアルキレンジオール同士が結合していてもよく、異なるアルキレンジオールが互いに結合していてもよいが、同じアルキレンジオール同士が結合したポリアルキレンポリオールがより好ましい。いずれの場合も結合数は3〜100であるのが好ましく、3〜50であるのがより好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)が挙げられる。
糖類としては、例えば、高分子学会高分子実験学編集委員会編「天然高分子」第二章(共立出版(株)、1984年刊)、小田良平等編「近代工業化学22、天然物工業化学II」((株)朝倉書店、1967年刊)等に記載されている水溶性化合物が挙げられる。中でも、遊離のアルデヒド基およびケトン基を持たない、還元性を示さない糖類が好ましい。
糖類は、一般に、グルコース、スクロース、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類されるが、いずれも本発明に好適に用いられる。
例えば、サッカロース、トレハロース、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット、還元水あめが挙げられる。これらの糖類は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を有する水溶性重合体としては、例えば、天然ガム類(例えば、アラビアガム、グアーガム、トラガンドガム等)、ポリビニルピロリドン、ジヒドキシプロピルアクリレート重合体、セルロース類またはキトサン類とエポキシ化合物(エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド)との付加反応体が挙げられる。
中でも、アルキレンポリオール、ポリアルキレンオキシポリオール、糖アルコール等のポリオール化合物が好ましい。
相溶化剤の含有量は、アルカリ溶液に対して、0.5〜25質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、消泡剤、アルカリ溶液安定化剤、pH緩衝剤、防腐剤、防菌剤等の公知のものが挙げられる
[アルカリ鹸化方法]
上記のアルカリ溶液を用いたセルロースアシレートフィルムの表面処理方法は従来公知のいずれの方法でもよいが、特に、フィルムの片面のみをムラ無く均一に鹸化処理する場合は、塗布方式が好ましい。塗布の方法としては、従来公知の塗布方法{ロッドコーティング法(細い金属線を巻いたロッド)、ロールコーティング法(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、カーテンコーティング法、ダイコーティング法(エクストルージョンコーター(スロットコーター)、スライドコーター、スリットダイコーター)等の塗布法}を挙げることができる。塗布方式に関しては、各種文献(例えば、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B. Gutoff, Edits., VCH Publishers, Inc, 1992)に記載されている。アルカリ溶液の塗布量は、その後、水洗除去するため廃液処理を考慮して、極力抑制することが望ましく、1〜100cc/m2が好ましく、1〜50cc/m2がより好ましい。少ない塗布量域でも安定に操作できるロッドコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ダイコーターが好ましい。特に、少ない塗布量域で塗布スジのムラを発生することなく高速で塗布できる、塗布装置部と塗布支持体面が非接触の方法であるダイコーターが好ましい。
鹸化処理は、処理するフィルムの変形、処理液の変質等が生じない温度120℃を越えない範囲の処理温度で行うことが好ましい。更に温度10℃以上であり100℃以下の範囲が好ましい。特に、温度20〜80度が好ましい。
また、鹸化処理の時間は、アルカリ溶液、処理温度により適宜調整して決定するが、1秒から60秒の範囲で行われるのが好ましい。
更に、セルロースアシレートフィルムをその表面が少なくとも10℃以上の温度でアルカリ溶液で鹸化処理する工程、セルロースアシレートフィルムの温度を少なくとも10℃以上に維持する工程、そして、アルカリ溶液をセルロースアシレートフィルムから洗い落とす工程によりアルカリ鹸化処理を実施することが好ましい。
セルロースアシレートフィルムをその表面が所定の温度でアルカリ溶液で鹸化処理には、塗布する前に予め所定の温度に調整する工程、アルカリ液を予め所定の温度に調整しておく工程、或いはこれらを組み合わせた工程等が挙げられる。塗布する前に予め所定の温度に調整する工程と組み合わせることが好ましい。
鹸化反応後は、水洗、中和し水洗等でフィルム表面からアルカリ溶液及び鹸化処理反応物とを洗浄し除去することが好ましい。
具体的には、例えば国際公開第02/46809号パンフレット、特開2003−313326号公報等に記載の内容が挙げられる。
フィルムの鹸化処理(親水化処理)が施された側の表面は、フィルム表面における水との接触角は20〜55゜の範囲にあることが好ましい。水との接触角は、25〜50゜の範囲にあることがより好ましく、30〜45゜の範囲にあることが特に好ましい。又、フィルム表面における表面エネルギーは55〜75mN/mの範囲にあることが好ましい。表面エネルギーの評価は、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社、1989年刊行)に記載の接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。
このような表面特性を満足することで配向膜、並びに偏光膜との密着性が充分となり、且つ本発明の偏光板を画像表示装置に用いた際の、輝点故障や雲状故障等の光学的な欠陥のない優れた特性を発現する。
[配向膜]
本発明の配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)塗布液を塗布して形成される配向膜が好ましい。配向膜の膜自身の強度、下層或は上層となる光学異方性層との密着性の観点から硬化されたポリマー膜であることが好ましい。配向膜は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するために設けられる。配向膜に配向規定の機能を付与する方法としては、従来公知のラビング、磁場或は電場の付与、光照射等が挙げられる。
本発明に供される配向膜は、液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配向しているツイストネマチック表示モードでは、光学的異方性層の液晶性分子を実質的に斜めに配向させる機能を有する。
本発明の配向膜に使用されるポリマーは水溶性ポリマーが挙げられる。ポリマーの例として、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]、特開平11−296820[0005]〜[0012]記載の化合物が挙げられる。好ましくは水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)、ポリイミド前駆体水系溶媒溶液から作製されるポリイミドが挙げられ、この中でもゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリイミド前駆体水系溶媒溶液から作製されたポリイミドがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび/または変性ポリビニルアルコール、あるいは、ポリイミド前駆体水系溶媒溶液から作製されたポリイミドが最も好ましい。
水溶媒に溶解させてなるポリイミド前駆体水系溶媒溶液としては特開平11−296820[0005]〜[0010]記載のものが好ましい。
上記記載の水溶性ポリマーとしては20℃、1atmの条件で純水に対して0.1質量%以上溶解するポリマーが好ましい。
配向膜は、前記ポリマー、架橋剤を含有する配向膜形成用組成物の塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋し)、配向処理することにより形成することができる硬化膜である。
配向膜形成用組成物、例えばポリイミド前駆体水系溶媒溶液を基材上に塗布する方法は特に限定されず、公知の方法、例えば、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、マイヤーバーコート法、ドクターブレード法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート法等を任意に採用することができる。もちろん筆やはけ等で塗布することもできる。所望の膜厚で基材上に塗布されたポリイミド前駆体水系溶媒溶液は、次いで乾燥される。乾燥温度は、溶液中に含まれるジアミンやテトラカルボン酸またはその誘導体の種類、水系溶媒の構成等に応じて適宜選択するのが好ましいので一概には規定できないが、通常は室温以上200℃以下、好ましくは50℃以上150℃以下が選ばれる。また乾燥は、一定温度下において行っても良いし、段階的に温度を上昇させながら行っても良い。乾燥した塗膜を焼成することで、ジアミンとテトラカルボン酸またはその誘導体はイミド化し、ポリイミド皮膜を得ることができる。焼成温度は特に限定されないが、100℃以上400℃以下が好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましく、120℃以上130℃以下がさらに好ましい。100℃以下ではイミド化が進行しない可能性があり、400℃以上では、熱分解が生じる可能性がある。なお、乾燥、焼成プロセスを工夫することで乾燥と焼成をほぼ同時に行っても良い。本発明のポリイミド前駆体水系溶媒溶液から得られるポリイミドフィルムはそのまま液晶配向膜に使用することができるが、当該フィルムにさらに配向処理を施すことで、良好な液晶配向膜を得ることができる。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、85乃至95%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開2000−56310号公報明細書中の段落番号[0074]、同2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[022]に記載のもの等が挙げられる。
前記配向膜に使用するポリマー(好ましくは水溶性ポリマー、さらに好ましくはポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコール)の架橋剤の例には、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1乃至20質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で架橋剤が残存していると、充分な耐久性が得られない。そのような配向膜を液晶表示装置に使用すると、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にレチキュレーションが発生することがある。
[配向膜に含有されるカルボン酸化合物]
本発明の配向膜形成用組成物は、少なくとも一つの極性基を有する有機カルボン酸化合物を含有することが好ましい。
これにより、得られた配向膜に配向手段で配向した後に光学異方性層を塗設して得られた光学補償シートの塗布面状が良好で白抜け等の光学的欠陥を軽減若しくは解消する改善効果を発現する。推測される理由としては、配向膜に含有する少なくとも一つの極性基を有する有機カルボン酸化合物が配向膜の膜表面水素イオン濃度等を安定にして光学異方性層を塗設した時に液晶分子の配向状態への影響を小さくすることが1つの要因と思われる。当然、添加量により効果は異なってくる為、適時量を調整する必要がある。
少なくとも一つの極性基を有する有機カルボン酸化合物としては、水素結合性を有する水素原子含有の極性基を少なくとも1種含有するカルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸は、脂肪族化合物、芳香族化合物、或は複素環化合物の何れのものでもよい。
特定の極性基としては、−OH、−SH、−NHR、−CONHR、−SO2NHR、−HNCONHR、−NHSO2NHR、―NHCOR1、―NHSO2R1が挙げられる。但し、Rは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又は複素環基を表す。R1は、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。該カルボン酸が上記の極性基を複数含有する場合には、該極性基は同じでも異なってもよい。
本発明の好ましい特定の極性基として、−OH、−SH、−NHR、−CONH2、−SO2NH2、−HNCONHR、−NHSO2NHR、―NHSO2R1が挙げられる。
ここで、Rは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又は複素環基を表す。R1は、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。
Rが脂肪族基を表す場合、脂肪族基は炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(例えば、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、デカリン等)が挙げられる。
脂肪族基としては、これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状脂肪族基がより好ましい。
アリール基としては、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、ビフェニレン等)が挙げられる。
複素環基としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、、ピリジイル基、ピラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
上記の脂肪族基、アリール基、複素環基は各々置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。
非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、−OR11、−SR11、−COR11、−COOR11、−OCOR11、−SO2R11、−NHCONHR11、−N(R12)COR11、−N(R12)SO2R11、−N(R13)(R14)、−CON(R13)(R14)、−SO2N(R13)(R14)、−P(=O)(R15)(R16)、−OP(=O)(R15)(R16)、−Si(R17)(R18)(R19)、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。これら脂肪族基、アリール基、複素環基は、前記Rのものと同義である。
前記R11は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R11における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R11におけるアリール基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
R12は、水素原子又はR11基と同様のものを表す。
前記R13及びR14は、各々独立に、水素原子、又はR11と同様のものを表し、R13とR14とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R15及びR16は、各々独立に、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR11を表す。R15及びR16における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R15及びR16におけるアリール基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、かかる極性置換基において、R15及びR16の双方が−OHで表されることはない。
前記R17、R18及びR19は、各々独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR20を表すが、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記Rで示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR20は前記−OR11と同様の内容を表す。
R1における、脂肪族基、アリール基および複素環基はRと同じものを表す。
本発明の少なくとも一つの極性基を有する有機カルボン酸化合物としては、炭素数1〜22(カルボン酸の炭素原子を除く)の脂肪族カルボン酸、炭素数6〜14の芳香族カルボン酸、複素環カルボン酸のカルボン酸化合物であり、pKaが6.5以下となるものが特に好ましい。より好ましくはカルボン酸のpKaが3.0〜6.5の化合物である。
これら少なくとも一つの極性基を有する有機カルボン酸化合物として具体的には、例えばオキシ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、α−オキシアルカン酸(アルカンとしては、炭素数3〜18のアルカン)、等)、アミノ酸、α−オキシ−β−アミノ酸、α−オキシ−γ−アミノ酸、β−オキシ−α−アミノ酸、これらオキシ酸或はオキシアミノ酸のヒドロキシル基がアルコキシ基に誘導された化合物、ヒドキシシクロヘキサンカルボン酸類、ヒドロキシベンゼンカルボン酸類、ポリオール(例えば、アルカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール等)の少なくとも1個のヒドロキシル基を環状カルボン酸無水物(コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸等の無水物等)でエステル化した化合物、ポリアミノ化合物(例えば、アルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、シクロヘキサンジアミン、フェニレンジアミン等)と環状カルボン酸無水物でアミド化した化合物とから誘導される化合物が挙げられるが、本発明の化合物はこれらに限定されるものではない。
更に好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有したポリカルボン酸であり、その少なくとも1つのカルボキシル基がエステル化されてなるカルボン酸化合物が挙げられる。
少なくとも1つのヒドロキシル基を含有したポリカルボン酸としては、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、オキシグルタミン酸(β−体、γ−体)、上記のポリオールの少なくとも2個のヒドロキシル基を環状カルボン酸無水物でエステル化した化合物等が挙げられる。
これらのポリカルボン酸化合物の少なくとも1つのカルボン酸が炭素数1〜22の炭化水素基でエステル置換されていることが好ましい。
エステル置換される炭素数1〜18の炭化水素基の具体的態様は、前記のRで記載した脂肪族基、芳香族基、複素環基と同義である。又これらの炭化水素基は置換されてもよく、置換基としては、前記のRに置換されると同一の内容のものが挙げられる。
本発明の少なくとも一つの極性基を有する有機カルボン酸化合物は、配向膜形成用組成物中、0.01〜1.0質量%の割合で添加するのが好ましい。更には、0.02〜0.5質量%が好ましい。
この範囲において、膜の強度が十分に保持された白抜け等の光学的に欠陥の無い光学補償シートが得られる。更には、長尺フィルムを連続して製造しても、極めて安定な性能で製造することが出来る。
配向膜形成用組成物である前記ポリマー、架橋剤及び少なくとも一つの極性基を有する有機カルボン酸化合物を含む塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、配向処理することにより配向膜を形成する。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールおよび/または変性ポリビニルアルコールを配向膜形成用組成物として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜は、透明支持体上または上記下塗層上に設けられる。また、配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより形成することができる。
ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、光照射で光配向する場合には、光照射装置としての光源は、超高圧水銀灯、キセノン灯、蛍光灯、レーザ等を用いることが出来、光二量化化合物を光配向をするには上記光源と偏光膜を組み合わせて(偏光膜を通して)紫外線を直線偏光とし、光配向膜に照射する。偏光膜としては、主に使用されているものとして延伸染色PVAがある。この直線偏光紫外線照射装置としては、例えば、特開平10−90684号公報に開示されているものを用いることが出来る。
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
[光学異方性層]
本発明の光学異方性層は、液晶性化合物から形成される。
液晶性化合物としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が好ましい。
棒状液晶性分子としては、例えばアゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。これらの化合物は、例えば日本化学会編季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994年)第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章等の文献記載の化合物等が挙げられる。これら低分子液晶化合物は重合性基を分子内に有することが好ましい(例えば、特開2000−304932号公報明細書段落番号[0016]、特開2002−6138号公報明細書段落番号[0055]等記載)。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。高分子液晶性分子は、以上のような低分子液晶性分子に相当する側鎖を有するポリマーである。高分子液晶性分子を用いた光学補償シートについては、特開平5−53016号公報に記載の化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子としては、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている化合物が挙げられる。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284号公報の記載が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0151]〜[0168]記載の化合物等が挙げられる。
なお、STNモードのような棒状液晶性分子がねじれ配向している液晶セルを、光学的に補償するためには、ディスコティック液晶性分子もねじれ配向させることが好ましい。上記連結基に、不斉炭素原子を導入すると、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。また、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化合物(カイラル剤)を光学的異方性層に添加しても、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。
二種類以上のディスコティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性ディスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック液晶性分子とを併用することができる。
非重合性ディスコティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティック液晶性分子の重合性基を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、例えば特許第2640083号公報記載の化合物等が挙げられる。
[光学異方性層の他の成分]
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、含フルオロ脂肪族基を含有するポリマー、重合性モノマー、ポリマー、配向剤、傾斜角制御剤等の成分を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、ディスコティック液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特に含フッ素界面活性剤が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子とともに使用するポリマーは、ディスコティック液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。具体的には、例えば特開2004−139015号公報明細書中の段落番号[0036]〜[0094]、特開2004−101820号公報明細書中の段落[0029]〜[0058]記載の化合物が挙げられる。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
ディスコティック液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
上記化合物を用い、特許第2004−139015号公報記載の光学異方層を用いることも挙げられる。
含フルオロ脂肪族基を含有するポリマー(以下「ポリマーA」とする。)としてはフルオロ脂肪族基含有モノマーにより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体が好ましい。
Figure 2006201579
上記一般式(1)についての詳細な説明は、後で述べる。
まず、含フルオロ脂肪族基を含有するポリマー(ポリマーA)について、以下に説明する。
前記ポリマーAに含まれるフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位は、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーが好ましい。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。以下に前記ポリマーAに含まれるフルオロ脂肪族基含有モノマーの具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
次に、一般式(1)で表される繰り返し単位について、以下に説明する。
Figure 2006201579
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)またはその塩、スルホ基(−SO3H)またはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}またはその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基。
一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または下記に例示した置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2およびR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、または後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが特に好ましく、R2およびR3が水素原子で、R1が水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していても良い。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4およびR5がアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基またはアリーレン基を含むことが好ましく、単結合、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基またはアリーレン基を含んでいることが特に好ましく、単結合であることが最も好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1〜R3における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006201579
光学異方性層の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド等)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、テトラヒドロフラン、トリオキサン、1,3−ジオキソラン等)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル(例、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン等)、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロパングリコール等)が挙げられる。このうち、アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ロッドコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法(押し出しコーティング法、エクストリュージョン法、スライドコーティング法、スリットコーティング法)により実施できる。
配向剤としては以下の構造の物質が挙げられる。
一般式(I)
Z−(X−Q)m
式中、Zはm価の連結基をあらわす。mは2以上の整数を表す。XはNRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、O、Sのいずれかをあらわし、複数のXは同じでも異なっても良い。Qはヘテロ環または芳香環をあらわし、複数のQは同じでも異なっていてもよい。
前記一般式(I)において、Zはm価の連結基を表す。好ましくはZは芳香環以外の連結基である。
前記一般式(I)において、Qはヘテロ環または芳香環をあらわし、複数のQは同じでも異なっていてもよい。ヘテロ環の例としては、5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環であり、好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環である。芳香環の例としては、6〜30員の置換もしくは無置換の芳香環であり、好ましくは5、6員の置換もしくは無置換の芳香環基であり、さらに好ましくは、ヘテロ環の芳香環である。
Qが有してもよい置換基としては、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、ドデシル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、2−へキシルデシル、2−オクチルドデシル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、やトリシクロアルケニル基、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル、o−2−(パーフルオロヘキシル)エトキシフェニル、o−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルオキシフェニル、o−2−(6H−ドデカフルオロヘキシル)エトキシフェニル、o−(8H−ヘキサデカフルオロオクチル)メトキシフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノキシ、2−パーフルオロヘキシルエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ、o−2−(パーフルオロヘキシル)エトキシフェノキシ、o−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルオキシフェノキシ、o−2−(6H−ドデカフルオロヘキシル)エトキシフェノキシ、o−(8H−ヘキサデカフルオロオクチル)メトキシフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、3−パーフルオロヘキシルプロピルアミノ、3−(2、4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピルアミノ、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミノ、3−(2−ヘキシルデカノオキシ)プロピルアミノ、3−ドデシルオキシプロピルアミノ、3−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)プロピルアミノ、3−(3−(6H−パーフルオロヘキシル)プロピルオキシ)プロピルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、2−メチルオキシアニリノ、2−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ、2−(2−パーフルオロブチルエチルオキシ)アニリノ、2、4−ジ(2−パーフルオロヘキシルエチルオキシ)アニリノ、2−(6H−パーフルオロヘキシルメチルオキシ)アニリノ、3,4−ジ(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルメトキシカルボニルアミノ)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
また、置換基によって分子が連結し、一般式(I)が多量体(例えば二量体、三量体等)であっても良い。多量体の中では、二量体、三量体、または四量体が好ましい。
前記一般式(I)は、より好ましくは下記一般式(III)である。
Figure 2006201579
式中、Zはm価の連結基をあらわす。qは2以上の整数を表す。XはNRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、O、Sのいずれかをあらわし、複数のXは同じでも異なっても良い。R及びR’は置換基をあらわし、同じでも異なっていてもよく、複数のR及びR’はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(III)において、RおよびR’で表される置換基としては、一般式(I)でQが有してもよい置換基の例をあげることができる。
RおよびR’の置換基の例として、下記一般式(VIII)で表されるものも含むものとする。つまり、一般式(III)には多量体(例えば二量体、三量体等)も含まれる。
Figure 2006201579
式中、Z1はm価の連結基をあらわす。qは2以上の整数を表す。X1及びX2はNRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、O、Sのいずれかをあらわし、複数のX1及びX2はそれぞれ同じでも異なっても良い。R1及びR2は置換基をあらわし、同じでも異なっていても良く、複数のR1及びR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(VIII)において、R1及びR2で表される置換基としては、一般式(I)でQが有してもよい置換基の例をあげることができる。
次に好ましい下記一般式(IV)を説明する。
Figure 2006201579
式中、Z11は二価の連結基をあらわす。X11及びX12はNRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、O、Sのいずれかをあらわし、同じでも異なっても良い。R11、R12、R13及びR14は置換基をあらわし、それぞれ同じでも異なっていても良い。
一般式(IV)において、Z11で表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−O−、−CO−、−SO−、ーSO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
一般式(IV)において、R11、R12、R13及びR14で各々表される置換基の例としては、前述の一般式(III)におけるRおよびR’の置換基として挙げた例が挙げられる。
好ましくはR11、R12、R13及びR14は、置換基を有してもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基であり、さらに好ましくは置換基を有してもよいアルキルアミノ基[例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、3−パーフルオロヘキシルプロピルアミノ、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピルアミノ、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミノ、3−(2−ヘキシルデカノオキシ)プロピルアミノ、3−オクチルオキシプロピルアミノ、3−ドデシルオキシプロピルアミノ、3−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)プロピルアミノ、3−(3−(6H−パーフルオロヘキシル)プロピルオキシ)プロピルアミノ]、アリールアミノ基[例えばアニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、2−メチルオキシアニリノ、2−(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ、2−(2−パーフルオロブチルエチルオキシ)アニリノ、2、4−ジ(2−パーフルオロヘキシルエチルオキシ)アニリノ、2−(6H−パーフルオロヘキシルメチルオキシ)アニリノ、3,4−ジ(3−パーフルオロヘキシルプロピルオキシ)アニリノ]である。有してもよい置換基としては前述のRおよびR'の置換基として挙げた例が挙げられる。
より好ましくは前記一般式(IV)は、下記一般式(IX)である。
Figure 2006201579
式中、X51及びX52はNRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、O、Sのいずれかをあらわし、同じでも異なっても良い。A51、A52及びA53は2価の連結基を表し、同じでも異なっても良く、複数のA52は同じでも異なってもよい。tは0以上の整数を表す。R51、R52、R53及びR54は置換基をあらわし、同じでも異なっていても良い。
一般式(IX)において、R51、R52、R53およびR54は一般式(IV)で示したR11、R12、R13およびR14と同じものであり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IX)において、A51、A52及びA53は2価の連結基であり、例えばアルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。より好ましくはアルキレン基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキレン基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキレン基であり、例えば−CH2−、−(CH22−、−CH2CH(CH3)−、−CH2C(CH32−、−(CH24−)であり、さらに好ましくは、−(CH22−、−CH2CH(CH3)−、−(CH24−である。
前述のアルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基および二価のヘテロ環残基は、可能であれば置換基を有してもよく、有してもよい置換基としては前述のRおよびR'の置換基として挙げた例が挙げられる。
次に好ましい下記一般式(V)を説明する。
Figure 2006201579
式中、Z21、Z22及びZ23は二価の連結基をあらわし、それぞれ同じでも異なっても良い。X21〜X26はNRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、O、Sのいずれかをあらわし、それぞれ同じでも異なっても良い。R21〜R26は置換基をあらわし、それぞれ同じでも異なっていても良い。
一般式(V)において、Z21〜Z23、R21〜R26はそれぞれ、一般式(IV)で示したZ11、R11〜R14と同種類であり、好ましい範囲もそれぞれ同様である。
より好ましくは前記一般式(V)は、下記一般式(X)である。
Figure 2006201579
式中、X61〜X66はNRa(Raは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)、O、Sのいずれかをあらわし、同じでも異なっても良い。A61〜A69は2価の連結基を表し、同じでも異なっても良く、複数のA62、A65、A68はそれぞれ同じでも異なってもよい。n1〜n3は0以上の整数を表す。R561〜R66は置換基をあらわし、同じでも異なっていても良い。
一般式(X)においてR61〜R66はそれぞれ、一般式(IV)で示したR11〜R14と同種類であり、好ましい範囲もそれぞれ同様である。
一般式(X)において、A61〜A69は2価の連結基であり、例えばアルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。より好ましくはアルキレン基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキレン基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキレン基であり、例えば−CH2−、−(CH22−、−CH2CH(CH3)−、−CH2C(CH32−、−(CH24−)であり、さらに好ましくは、−(CH22−、−CH2CH(CH3)−、−(CH24−である。
前述のアルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基および二価のヘテロ環残基は、可能であれば置換基を有してもよく、有してもよい置換基としては前述のRおよびR'の置換基として挙げた例が挙げられる。
前記一般式(I)、(III)、(IV)、(V)、(IX)及び(X)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。なお、前記一般式(I)、(III)、(IV)、(V)、(IX)及び(X)で表される化合物は、配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有してもよい。以下、これらの化合物を例示する。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
前記一般式(I)、(III)、(IV)、(V)、(IX)及び(X)で表される化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記化合物の添加量としては、液晶性化合物の量に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%が特に好ましく、0.05〜5質量%が最も好ましい。
傾斜角制御剤として以下の化合物が挙げられる。
一般式(II)
(Rf−Y−)nAr(−W)p
式中、Arは芳香族ヘテロ環又は芳香族炭化水素環を表し、Yは単結合又は2価の連結基を表し、Rfはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、Wはスルホ基又はカルボキシル基を表し、nは1〜4の整数を表し、pは1又は2を表す。但し、Rfにおいて、フッ素原子で置換された炭素原子数は1〜4である。
更に詳細に説明すると、上記一般式(II)において、Arで表される芳香族ヘテロ環は好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12の芳香族ヘテロ環であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環であり、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソキサゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、1,3,5−トリアジン環、インドール環、インダゾール環、キノリン環、カルバゾール環が好ましい。Arで表される芳香族炭化水素環は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環であり、ベンゼン環が最も好ましい。Arは芳香族炭化水素環であるのが好ましい。
Arで表される芳香族ヘテロ環又は芳香族炭化水素環は置換基を有していてもよく、置換基としては以下の基を挙げることができる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
Arで表される芳香族ヘテロ環又は芳香族炭化水素環の置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基であり、特に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基であり、最も好ましくは無置換の芳香族ヘテロ環又は芳香族炭化水素環である。
Yは2価の連結基または単結合を表す。2価の連結基である場合には、アルキレン基、アルケニレン基、2価の芳香族基、2価のヘテロ環残基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基は、アルキレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−、−SO2−及びそれらの群より選ばれる2価の連結基を少なくとも2つ組み合わせた基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、可能であれば前述のArの置換基として例示された基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基など)によって置換されていてもよい。
Yは2価の連結基であることが好ましく、なかでもアルキレン基、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが特に好ましい。
Rfで表されるフッ素原子で置換されたアルキル基は環状構造又は分岐構造を有していてもよい。フッ素原子の置換率は、アルキル基に含まれる水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されていることが好ましく、60%以上が置換されていることがより好ましい。但し、フッ素原子で置換された炭素原子の数は1〜4のいずれかである。Rfは、末端がCF3基又はCF2H基であることが好ましく、CF3基であることが特に好ましい。Rfで表されるフッ素原子で置換されたアルキル基は、可能であれば前述のArの置換基として例示された基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基など)によって置換されていてもよい。
以下に、Rfの具体例を示す。
Rf1:n−C49
Rf2:C25
Rf3:n−C49−(CH22
Rf4:n−C49−(CH23
Rf5:C25−(CH22
Rf6:H−(CF24
Rf7:H−(CF24−(CH2)−
Wはスルホ基であることが好ましく、mは1又は2が好ましく、nは1が好ましい。
特に好ましくは前記一般式(II)は、下記一般式(IIa)である。
Figure 2006201579
式中、Y2は単結合又は2価の連結基を表し、Rf2はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。但し、Rf2において、フッ素原子で置換された炭素原子の数は1〜4である。
前記一般式(IIa)において、Y2及びRf2は前記一般式(II)におけるY及びRfと同義であり、好ましい範囲も同一である。
前記一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
前記一般式(II)で表される化合物は、一般的なヒドロキシ基のアルキル化反応及び芳香族化合物のスルホ化反応等を組み合わせることによって容易に合成することができる。
前記一般式(II)で表される化合物の添加量としては、液晶性化合物の量に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%が特に好ましく、0.05〜1質量%が最も好ましい。
[液晶性分子の配向状態の固定]
液晶性分子は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が実質的に均一に配向している状態で固定されていることが最も好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学的異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、0.7乃至5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、光学的異方性層を厚く(3乃至10μm)する場合がある。
光学的異方性層内での液晶性分子の配向状態は、前述したように、液晶セルの表示モードの種類に応じて決定される。液晶性分子の配向状態は、具体的には、液晶性分子の種類、配向膜の種類および光学異方性層内の添加剤(例、可塑剤、ポリマー、界面活性剤)の使用によって制御される。
上記のようにして、本発明の光学補償シートが製造される。本発明の光学補償シートは、前記した通り、好ましくは予め密着性を付与処理した透明支持体、配向膜、及び光学異方性層がこの順に積層された層構成を有する。
本発明の光学補償シートは、透明保護膜および偏光膜とともに使用することで、機能を著しく改善した偏光板として利用可能である。
以下、偏光板及びその製造について詳しく説明する。
[偏光板の透明保護膜]
本発明の偏光板は偏光膜と透明保護膜を含有する。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくは前記のセルロースアシレートフィルムが用いられる。透明保護膜の厚さは、20〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがさらに好ましい。特に好ましくは30〜80μmである。通常は偏光膜の両面に透明保護膜を配置する。
本発明では、偏光板の片面に、透明保護膜の代わりに本発明の光学補償シートを用いることが好ましい。すなわち、光学補償シートの光学異方性層(複数の光学異方性層を設ける場合、最も偏光膜側の第1光学異方性層)を、配向膜を介して液晶性分子から形成する。本発明による偏光板を大型の液晶表示装置に取り付けると、光漏れなどの問題を生じることなく、表示品位の高い画像を表示する。
[光学補償シートの表面処理]
光学補償シートを偏光板の透明保護膜の代わりに使用する場合、光学補償シートの透明支持体と偏光板の偏光膜との接着が問題となる。
本発明では、光学補償シートの偏光膜側の面を表面処理することにより、光学補償シートと偏光膜との接着を改善する。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理またはアルカリ処理を実施する。
コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等の処理方法は、例えば、前記の公技番号2001−1745の30頁〜31頁に記載の内容が挙げられる。本発明は、アルカリ処理することが好ましく、前記したフィルムの鹸化処理で記載と同様の内容のものが挙げられる。
[偏光膜]
本発明に用いられる偏光膜は、通常、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素とからなる偏光膜が好ましい。
偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。
架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。
架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書の記載が挙げられる。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましく、40乃至50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
偏光膜と光学異方性層を接着剤を介して配置することも可能性である。接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01乃至10μmの範囲にあることが好ましく、0.05乃至5μmの範囲にあることが特に好ましい。
[偏光板の製造]
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10乃至80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。
通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5乃至30.0倍が好ましく、3.0乃至10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5乃至5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0乃至10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10乃至80度斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1乃至90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40乃至50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
偏光膜の光学異方性層とは反対側の表面には、前記透明保護膜を配置する(光学異方性層/配向膜/透明支持体/偏光膜/透明保護膜の配置とする)ことが好ましい。
透明保護膜は、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることが出来る。
上記のようにして、本発明の偏光板が製造される。
本発明の光学補償シートまたは該光学補償シートを用いた偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。
以下、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置及びその製造について詳しく説明する。
「液晶表示装置」
本発明の透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板を含有する。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態について、以下で説明する。
各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態において、本発明の光学補償シートまたは該光学補償シートを用いた偏光板は、有利に光学的に補償することができる。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置が挙げられる。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(VAモード液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
(IPSモード液晶表示装置)
IPSモードの液晶セルでは、液晶分子を基板に対して常に水平面内で回転させるモードで、電界無印加時には電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている。電界を印加すると電界方向に液晶分子は向きを変える。液晶セルを挟持する偏光板を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。液晶分子としては、誘電率異方性Δεが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とする。これは、レタデーションΔn・dは0.25μm超0.32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性が得られる。偏光板の組み合わせにより、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回転したとき最大透過率を得ることができる。尚、液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズやファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶分子は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性Δεは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性Δnは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。
(その他液晶表示装置)
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することが出来る。
なお、前記の透過型のほかに、本発明では反射型または半透過型の液晶表示装置であってもよい。
「反射防止膜付きの偏光板」
本発明の偏光板は、空気側の偏光膜の透明保護膜の表面上に更に反射防止膜を設けてなることが好ましい。これにより、外光の写り込みが著しく軽減若しくは解消されて、鮮明な画像表示が可能となる。反射防止膜は偏光膜の保護膜上に直接設ける、或は透明支持体上に反射防止膜を設けた反射防止フィルムを透明保護膜と貼り合せる態様が挙げられる。偏光板の薄膜化から、前者の態様が好ましい。上記透明支持体および/または透明保護膜は、本発明の光学補償シートの透明支持体を用いることができる。
[反射防止膜]
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(すなわち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明支持体上に設けてなる。
反射防止膜の形成方法としては、屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させて多層膜とする方法;化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法により薄膜を形成する方法;金属アルコキシド等の金属化合物のゾル/ゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法などが挙げられる。さらに生産性が高い反射防止膜の形成方法として、無機粒子をマトリックスに分散させてなる薄膜組成物を積層塗布して反射防止膜を形成する方法など各種の提案がなされている。またこの塗布による反射防止膜に、最上層表面が微細な凹凸の形状を有している防眩性を付与した反射防止膜も挙げられる。
(塗布型反射防止膜の構成)
透明支持体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成からなる反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率。
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。さらに、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また反射防止膜の表面の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(高屈折率層及び中屈折率層)
本発明の反射防止膜の高い屈折率を有する層(高屈折率層及び中屈折率層)は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなることが好ましい。
(無機化合物微粒子)
高屈折率に用いられる無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。
これらの無機化合物としては、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられ、特に好ましくは、Co、Zr、Al(好ましくはCo)から選ばれる少なくとも1つの元素(以下このような元素を含有元素ということがある)を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子(以下、「特定の酸化物」と称することもある)が挙げられる。含有元素の総含有量は、Tiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
上記の含有元素は、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部、又は表面に存在する。二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在することがより好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。これらの特定の金属元素は、酸化物として存在してもよい。
また他の好ましい無機粒子としては、酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)と、チタン元素との複合酸化物の粒子であり、且つ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン、及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複合酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、その酸化物の屈折率が1.95以上となる金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb,Sn、及びBiが好ましい。特には、Ta、Zr、Sn、Biが好ましい。複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量に対して、25質量%を越えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましい。より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%である。
ドープされた金属イオンは、金属イオン又は金属原子の何れの形体で存在してもよく、複合酸化物の表面から内部まで適宜に存在する。表面と内部との両方に存在することが好ましい。
このような無機化合物の超微粒子を得るには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物又は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコア/シェル構造とすること(特開2001−166104号公報、米国特許2003/0202137A1号公報等)、特定の分散剤の併用(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許番号6210858B1号公報、特開2002−2776069号公報等)などを挙げることができる。
(マトリックスバインダー)
高屈折率層のマトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。またラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有のポリビニル化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。さらに金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と、金属アルコキド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。これらについては、例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、一般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。また中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1.30〜1.50の範囲であるのがよい。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等からなる薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性又は重合性の官能基を含む化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報、特開2004−45462号公報明細書等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基又は重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン{例えば、「サイラプレーン」チッソ(株)製等}、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時又は塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
またシランカップリング剤等の有機金属化合物と、特定のフッ素含有炭化水素基を有するシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾル/ゲル硬化膜も好ましい。例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物又はその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物を含有することが好ましい。
特に、上記低屈折率層はその屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子を用いることが好ましい。中空の無機微粒子は、その屈折率が、通常1.17〜1.40、好ましくは1.17〜1.37、さらに好ましくは1.17〜1.35であるのがよい。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空の無機微粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。中空の無機微粒子の屈折率は、粒子の強度及び該中空粒子を含む低屈折率層の耐擦傷性の観点から、1.17以上とすることが好ましい。
なお、これら中空の無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計[アタゴ(株)製]にて測定することができる。
無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、又は不定形状であることが好ましい。
また、中空の無機微粒子の空隙率wは、該粒子内の空腔の半径をri、粒子外殻の半径をroとするとき、下記数式(5)に従って計算される。
数式(5):w=(ri/ro3×100
中空の無機微粒子の空隙率は、該粒子の強度及び反射防止膜表面の耐擦傷性の観点から、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
低屈折率層中の中空の無機微粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30〜100%、さらには35〜80%、特には40〜60%であることが好ましい。すなわち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30〜100nm、さらには35〜80nm、特には40〜60nmの範囲となるので好ましい。該平均粒径が前記の範囲であると、反射防止膜の強度が十分に発現される。
低屈折率層に含まれる他の添加剤としては、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層の上にさらに最外層が形成される場合には、低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されてもよいが、安価に製造できる点で、塗布法により形成されることが好ましい。低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(反射防止膜の他の層)
反射防止膜には、さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗層、保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止膜に物理強度を付与するために、前記透明支持体(又は透明保護膜;以下同じ)の表面に設けられる。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層にはまた、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。またハードコート層の耐擦傷性は、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後のハードコート層を塗設した試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、反射防止膜を設けた保護フィルムを偏光板を液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設けられる。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。前方散乱層については、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
反射防止膜の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。
(アンチグレア機能)
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜50%であることが好ましく、5〜30%であることがさらに好ましく、5〜20%であることが最も好ましい。
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
以下に本発明の光学補償シート、偏光板、液晶表示装置についての具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Dを調製した。
(セルロースアセテート溶液D組成)
アシル置換度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤微粒子溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤微粒子溶液を調製した。
(マット剤微粒子溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液D 10.3質量部
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液を調製した。
(添加剤溶液組成)
光学的異方性を低下させる化合物(A−19) 49.3質量部
(logP値=5.6)
波長分散調整剤(UV−102) 7.6質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液D 12.8質量部
(セルロースアセテートフィルム試料CA−1の作製)
上記セルロースアセテート溶液Dを94.6質量部、マット剤微粒子溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学的異方性を低下する化合物および波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.8%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させセルロースアセテートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。作成したセルロースアセテートフィルムCA−1について、レターデーションを測定したところ、厚み方向のレターデーション|Rth(630)|は3.2nm、正面レターデーションRe(630)は0.3nmであった。また、|Re(400)−Re(700)|は1.2nm、|Rth(400)−Rth(700)|は7.5nmであった。
(鹸化処理)
セルロースアセテートフィルム(CA−1)上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液(S−1)をロッドコーターを用いて塗布量14cc/m2、塗布速度40m/分で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に10秒滞留させた後に、同じくロッドコーターを用いて純水を3cc/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥した。
<アルカリ溶液(S−1)組成>
水酸化カリウム 8.55質量部
水 23.235質量部
イソプロパノール 54.20質量部
界面活性剤(K−1:C14H29O(CH2CH2O)2OH) 1.0質量部
プロピレングリコール 13.0質量部
消泡剤サーフィノールDF110D(日信化学工業(株)製) 0.015質量部
アルカリ処理後のフィルムの表面の水との接触角は35°であり、且つフィルム全面がムラ無く均一に親水化された。
(配向膜(AL)の形成)
50質量%のグルタルアルデヒドの水溶液を作製し、その水溶液中に亜硫酸ナトリウム0.05質量%を加えて4時間室温で放置した。その液を下記の変性ポリビニルアルコールの溶解した水/メタノール溶液に添加して、下記の組成の配向膜塗布液ALL−1を作製した。
<配向膜塗布液(ALL−1)組成>
配向膜塗布液
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
クエン酸 0.07質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
Figure 2006201579
上記のアルカリ処理したフィルム表面上に、配向膜塗布液をロッドコーターで28ml/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し配向膜(AL−1)を作製した。
次に、フィルムの長手方向にラビング処理を実施した。
(光学的異方性層の形成)
下記の組成のディスコティック液晶塗布液(DA−1)を#4のワイヤーバーコーターで配向膜上に塗布し、125℃の高温槽中で90秒加熱し、ディスコティック液晶を配向させた後、高圧水銀灯を用いてUVを500mJ/cm2照射し、室温まで放冷して、光学補償シートKS−1を作成した。光学的異方性層の厚さは、1.8μmであった。
<ディスコティック液晶塗布液(DA−1)組成>
下記のディスコティック液晶DLC−A 9.1質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)) 0.9質量部
イルガキュアー907(チバガイギー社製) 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン 25.9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2:イーストマンケミカル社製) 0.2質量部
配向剤(例示化合物(I−1)) 0.02質量部
傾斜角制御剤(II−17) 0.02質量部
下記の含フルオロ脂肪族基を含有するポリマー(FP−1) 0.04質量部
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
Figure 2006201579
光学補償シートKS−1の波長632.8nmにおける正面レターデーション(Re)は40nm、膜厚方向のレターデーションRthは90nm、であった。
光学補償シートKS−1をクロスニコル偏光板間に挟み、面状ムラ、配向不良の確認を行った。なお、白抜け状ムラと配向の評価は下記の通りとし、結果を表2に示した。
(i)面状ムラ
偏光板クロスニコル下の状態で光学補償シートを対角位に差し込み、面状のムラの程度を目視判定した。○は、ムラが目視で確認できない、△は、ムラが目視で確認できるを意味する。
(ii)配向
偏光板クロスニコル下の状態で光学補償シートを消光位に差し込み、シュリーレンなどの欠陥の有無を確認した。○は、欠陥が無い、△は、欠陥が有るを意味する。
(iii)密着性の評価
また、光学補償シートKS−1を、アクリル系接着剤を用いて光学異方性層をガラス板に貼りつけ、90℃で20時間保存した。アクリル系接着剤は液晶表示装置の組み立てに、ガラス板は液晶セルに用いられるものと同じである。ガラス板から光学補償シートを垂直方向に剥がして、剥離残り(ガラス板に光学異方性層が付着している状態)が生じた部分を調べることで、密着性を評価した。評価は、0(著しく剥離残りがある)から5(剥離の残りが全く認められない)までの5段階で行った。それらの結果を表2に示す。
[実施例2]
(透明支持体の作製)
実施例1で得られたCA−1に鹸化液S−1を実施例1と同様の方法で塗布を行った。
(配向膜(AL−2)の形成)
配向膜塗布液(ALL−2)を以下の条件で焼成乾燥した。
<配向膜塗布液(ALL−2)組成>
1,12−ジアミノドデカン 4.01質量部
ピロメリット酸のジエチルエステル 6.20質量部
水 50質量部
エタノール 50質量部
上記組成からなる水系溶媒を50℃に加熱し、室温まで冷却してポリイミド前駆体溶液を得た。このポリイミド前駆体溶液を作製した鹸化処理済のセルロースアセテートフィルムCA−1上に、ロッドコーターでで塗布した。60℃で10分乾燥後、120℃で60分焼成してイミド化した。焼成後のフィルムを赤外分光測定した結果、1774、1716cm-1にポリイミドの特性ピークが見られ、ポリイミドフィルムとなっていることが分かった。本ポリイミドフィルムの膜厚を測定したところ0.5μmであることが分かった。
次に、セルロースアセテートフィルムCA−1の長手方向と平行な方向に配向するようにポリイミド膜にラビング処理を実施した。
(光学的異方性層の形成)
実施例1で使用したディスコティック液晶塗布液DA−1を用いて、実施例1と同様にして光学的異方性層の厚さが1.8μmである光学補償シートKS−2を作成した。
光学補償シートKS−2のレターデーションを、配向膜のラビング方向に沿って測定したところ、波長632.8nmにおける正面レターデーション(Re)は41nm、膜厚方向のレターデーションRthは89nm、であった。
光学補償シートKS−2をクロスニコル偏光板間に挟み、面状ムラ、配向不良の確認を行った。
また、光学補償シートKS−2で、実施例1と同様に密着評価を実施した。
それらの結果を表2に示す。
[実施例3]
(透明支持体の作製)
実施例1で得られたCA−1に鹸化液S−1を実施例1と同様の方法で塗布、配向膜塗布液ALL−1の塗布を行った。
(光学的異方性層の形成)
下記の組成のディスコティック液晶塗布液(DA−2)を#4のワイヤーバーコーターで塗布し、125℃の高温槽中で150秒加熱し、ディスコティック液晶を配向させた後、高圧水銀灯を用いてUVを500mJ/cm2照射し、室温まで放冷して、光学補償シートKS−3を作成した。
<ディスコティック液晶塗布液(DA−2)組成>
ディスコティック液晶DLC−A 9.1質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)) 0.9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2 イーストマンケミカル) 0.2質量部
セルロ−スアセテートブチレート
(CAB531−1 イーストマンケミカル) 0.05質量部
イルガキュアー907 3.0質量部
カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン 25.9質量部
光学的異方性層の厚さは、1.8μmであった。光学補償シートKS−3のレターデーションを配向膜のラビング方向に沿って測定したところ、波長632.8nmにおける正面レターデーション(Re)は40nm、膜厚方向のレターデーションRthは90nm、であった。
光学補償シートKS−3をクロスニコル偏光板間に挟み、面状ムラ、配向不良の確認を行った。
また、光学補償シートKS−3で、実施例1と同様に密着評価を実施した。
それらの結果を表2に示す。
[実施例4]
(鹸化処理、及び配向膜の形成)
セルロースアセテートフィルム(CA−1)上に実施例1と同様の鹸化処理、配向膜を同様にして塗布・乾燥させた後、ラビング処理を実施した。
(光学補償シート(KS−4)の作製)
実施例4の配向膜塗布後の支持体上において、下記内容の光学異方性層を塗設して光学補償シート(KS−4)を作製した。
光学異方性層:下記の棒状液晶化合物(LC)38.1質量部、光重合開始剤「イルガキュアー907」1.14質量部、増感剤「カヤキャアーDETX」0.38質量部、下記の配向調整剤0.19質量部、グルタルアルデヒド0.04質量部、及びメチルエチルケトン60.15質量部の混合物(DA−3)をワイヤーバーで塗布し、125℃、1m/秒の熱風で3分間加熱した。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて30秒間光照射し室温まで放冷した。光学異方性層の膜厚は0.8μmであった。
Figure 2006201579
Figure 2006201579
光学的異方性層の厚さは、1.8μmであった。光学補償シートKS−4をクロスニコル偏光板間に挟み、面状ムラ、配向不良の確認を行った。
また、光学補償シートKS−4で、実施例1と同様に密着評価を実施した。
それらの結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1における透明支持体(CA−1)の代わりに以下の透明支持体(CAR−1)を使用した。
(透明支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
<セルロースアセテート溶液組成>
アシル置換度2.85(6位置換度0.90)のセルロースアセテート
100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤)(logP値=4.46) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)(logP値=6.96)3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 45質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤(LogP値=8.40)16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
Figure 2006201579
上記組成のセルロースアセテート溶液464質量部にレターデーション上昇剤溶液36質量部、およびシリカ微粒子“AEROSIL972”(商品名;日本アエロジル(株)製)1.1質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、乾燥風で、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアシレートフィルムCAR−1(厚さ100μm)を製造した。
作成したセルロースアシレートフィルムCAR−1について、レターデーションを測定したところ、厚み方向のレターデーション|Rth(630)|は85nm、正面レターデーションRe(630)は7nmであった。また、|Re(400)−Re(700)|は8.0nm、|Rth(400)−Rth(700)|は16.4nmであった。
上記透明支持体を使用した他は、実施例1と同様にして光学補償シート(KSR−1)を作成した。
光学補償シートKSR−1をクロスニコル偏光板間に挟み、面状ムラの確認を行った。
また、光学補償シートKSR−1で、実施例1と同様に密着評価を実施した。
それらの結果を表2に示す。
[比較例2]
比較例1に用いたレターデーション上昇剤の代わりに下記のレターデーション上昇剤(logP:5.4)を3.0質量部添加した。
Figure 2006201579
作成したセルロースアシレートフィルムCAR−2について、レターデーションを測定したところ、厚み方向のレターデーションRthは83.7nm、面内のレターデーションReは9.7nmであった。厚み方向のレターデーション|Rth(630)|は83.7nm、正面レターデーションRe(630)は9.7nmであった。また、|Re(400)−Re(700)|は3.5nm、|Rth(400)−Rth(700)|は9.5nmであった。
上記透明支持体を使用した他は、比較例1と同様にして光学補償シート(KSR−2)を作成した。
光学補償シートKSR−2で、実施例1と同様に密着評価を実施した。
それらの結果を表2に示す。
[比較例3]
下記組成の配向膜塗布液(ALL-3)を作製した。
<配向膜塗布液(ALL-3)組成>
下記記載のポリイミド(質量平均分子量:62000) 10質量部
N―メチルピロリドン 100質量部
Figure 2006201579
上記組成からなる配向膜塗布液(ALL-3)を比較例2で作製した鹸化処理済のセルロースアセテートフィルムCAR−2上に、ロッドコーターで塗布し、140℃で60分加熱し乾燥させた。乾燥後のフィルムを赤外分光測定した結果、1774、1716cm-1にポリイミドの特性ピークが見られ、ポリイミドフィルムとなっていることが分かった。本ポリイミドフィルムの膜厚を測定したところ0.6mであることが分かった。
上記透明支持体、配向膜を使用した他は、実施例1と同様にして光学補償シート(KSR-3)を作成した。
光学補償シートKSR−3をクロスニコル偏光板間に挟み、面状ムラの確認を行った。
また、光学補償シートKSR−3で、実施例1と同様に密着評価を実施した。
それらの結果を表3に示す。
[比較例4]
比較例1に用いたレターデーション上昇剤の代わりに下記のレターデーション上昇剤(logP:7.3)を1.8質量部投入した。
Figure 2006201579
作成したセルロースアシレートフィルムCAR−4について、レターデーションを測定したところ、厚み方向のレターデーション|Rth(630)|は30.2nm、正面レターデーションRe(630)は3.1nmであった。また、|Re(400)−Re(700)|は11.0nm、|Rth(400)−Rth(700)|は21.2nmであった。
上記支持体を使用した他は、比較例1と同様にして光学補償シート(KSR−4)を作成した。
光学補償シートKSR−4で、実施例1と同様に密着評価を実施した。
それらの結果を表3に示す。なお、表中、Re(λ)は、Re(630)を、Rth(λ)は、|Rth(630)|を、ΔRe(λ)は|Re(400)−Re(700)|を、ΔRth(λ)は|Rth(400)−Rth(700)|を表す。
Figure 2006201579
表2に示される結果より、本発明の光学補償シート(KS−1)〜(KS−4)は、優れた面状(白抜け状ムラが無く、配向良好)と優れた密着性を示した。一方比較例(KSR−1)及び(KSR−4)は、配向膜の面状が低下した。
以上の様に、本発明の光学補償シートが良好な性能を示した。
[実施例5]
(反射防止膜付き保護フィルム(AF)の作製)
上記のセルロースアセテートフィルム(CA−1)上に、“ペルノックスC−4456−S7”[ATO(酸化錫−酸化アンチモン)を分散したハードコート剤(固形分45質量%):日本ペルノックス(株)製]を塗布、乾燥後、紫外線を照射して硬化し、厚み1μmの導電性層(ECL)を形成した。このフィルムの表面抵抗は108Ω/□オーダーの導電性であった。
なお表面抵抗率は、試料を(25℃/65%RH)の条件下に1時間放置した後、同条件下で三菱化学(株)製 抵抗率計“MCP−HT260”を用いて測定した。
このフィルム上に下記のようにしての反射防止膜を作製した。
{防眩性ハードコート層用塗布液(HCL−1)}
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物“PETA”[日本火薬(株)製]50質量部、硬化開始剤「イルガキュア184」(チバガイギー社製)2質量部、第1の透光性微粒子としてアクリル−スチレンビーズ[総研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.55]5質量部、第2の透光性微粒子としてスチレンビーズ[総研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.60]5.2質量部、シランカップリング剤“KBM−5103”[信越化学工業(株)製]10質量部、および下記のフッ素系ポリマー(PF−2)0.03質量部をトルエン50質量部と混合して塗布液として調製し、これをロール形態から巻き出された上記の導電層(ECL)上に、乾燥膜厚6.0μmになるように塗布し、溶媒乾燥後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ防眩性ハードコート層(屈折率1.52)(HC−3)を作製した。
Figure 2006201579
{低屈折率層(LL−1)の形成}
上記の防眩性ハードコート層上に、後述する低屈折率層用塗布液(LLL−1)を、マイクログラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層(LL−1)(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。このようにして、本発明の反射防止膜付き保護フィルム(AF−1)を作製した。
得られた反射防止膜の平均反射率は2.1%、ヘイズは43%であった。
(偏光膜(HF)の作製)
平均重合度4000、鹸化度99.8mol%のPVAを水に溶解し、4.0%の水溶液を得た。この溶液をテーパーのついたダイを用いてバンド流延して乾燥し、延伸前の幅が110mmで厚みは左端が120μm、右端が135μmになるように製膜した。
このフィルムをバンドから剥ぎ取り、ドライ状態で45度方向に斜め延伸してそのままよう素0.5g/L、よう化カリウム50g/Lの水溶液中に30℃で1分間浸漬し、次いでホウ酸100g/L、よう化カリウム60g/Lの水溶液中に70℃で5分間浸漬し、さらに水洗槽で20度で10秒間水洗したのち80℃で5分間乾燥してよう素系偏光膜(HF−1)を得た。偏光膜は、幅660mm、厚みは左右とも20μmであった。
(視認側偏光板(SHB)の作製)
光学補償シート(KS−1)の光学異方性層と反対側のフィルム(CA−1)面、及び上記の反射防止膜付き保護フィルム(AF−1)の反対側のフィルム(CA−1)面を実施例1と同様に鹸化処理し、処理したフィルム面の其々を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(HF−1)を挟んで貼り付けた。
偏光膜の透過軸とAF−1のCA−1の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸とKS−1のCA−1の遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(SHB−1)を作製した。
(バック側偏光板(BHB)の作製)
光学補償シート(KS−1)の光学異方性層と反対側のフィルム(CA−1)面、及び透明保護膜(CA−1)の片面を実施例1と同様に鹸化処理し、処理したフィルム面の其々を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(HF−1)を挟んで貼り付けた。
偏光膜の透過軸と透明保護膜(CA−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸とKS−1のCA−1の遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(BHB−1)を作製した。
[実施例6]
(反射防止膜付き保護フィルムの作製)
〔反射防止膜(AF)の作製〕
[ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調製]
トリメチロールプロパントリアクリレート[“TMPTA”日本化薬(株)製]750.0質量部に、質量平均分子量3000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部および光重合開始剤「イルガキュア184」[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
{二酸化チタン微粒子(T−1)の作製}
特開平5−330825号公報に基づいて、鉄(Fe)をコバルトに変更した以外は同公報と同様にして、二酸化チタン粒子の中にコバルトをドープしたコバルト含有の二酸化チタン微粒子(T−1)を作製した。コバルトのドープ量は、Ti/Co(質量比)で、98.5/1.5となるようにした。作製した二酸化チタン微粒子は、ルチル型の結晶構造が認められ、1次粒子の平均粒子サイズが40nm、比表面積が44m2/gであった。
{二酸化チタン微粒子分散液(TL−1)の調製}
上記二酸化チタン微粒子(T−1)100g、下記構造の高分子分散剤(DP−1)20g、およびシクロヘキサノン360gを添加して、粒径0.1mmのジルコニアビーズと共にダイノミルにより分散した。分散温度は35〜40℃で5時間実施した。300nm以上の粒子径が0%の平均径55nmの二酸化チタン微粒子分散液(TL−1)を調製した。
Figure 2006201579
[中屈折率層用塗布液(MLL−1)の調製]
上記の二酸化チタン微粒子分散液(TL−1)88.9質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(“DPHA”)58.4質量部、光重合開始剤「イルガキュア907」[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]3.1質量部、光増感剤「カヤキュアーDETX」[日本化薬(株)製]1.1質量部、メチルエチルケトン482.4質量部、およびシクロヘキサノン1869.8質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液(MLL−1)を調製した。
[高屈折率層用塗布液(HLL−1)の調製]
上記の二酸化チタン分散液(TL−1)586.8質量部に、“DPHA”47.9質量部、「イルガキュア907」4.0質量部、「カヤキュアーDETX」1.3質量部、メチルエチルケトン455.8質量部、およびシクロヘキサノン1427.8質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液(HLL−1)を調製した。
[低屈折率層用塗布液(LLL−1)の調製]
“DPHA”1.4質量部、下記構造のフッ素系ポリマー(PF−1)5.6質量部、中空シリカ(平均粒径40nm、シェル層厚7nm、屈折率1.31、イソプロパノール18質量%)20.0質量部、反応性シリコーン“RMS−033”(Gelest社製)0.7質量部、下記内容のゾル液a 6.2質量部、および「イルガキュア907」0.2質量部をメチルエチルケトン315.9質量部に投入して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LLL−1)を調製した。
Figure 2006201579
[ゾル液aの調製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン“KBM5103”[信越化学工業(株)製]100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加えて混合し、さらにイオン交換水30部を加えて60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却してゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。またガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
[反射防止膜(AF−2)の作製]
前記のロール形態のセルロースアセテートフィルム(CA−1)上に、前記ハードコート層用塗布液(HCL−1)を、リバースグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ[アイグラフィックス(株)製]を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層(HC−1)を形成した。得られたハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液(MLL−1)、高屈折率層用塗布液(HLL−1)及び低屈折率層用塗布液(LLL−1)を、3つの塗布ステーションを有するリバースグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は100℃、2分間とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、180W/cmの空冷メタルハライドランプ[アイグラフィックス(株)製]を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。硬化後の中屈折率層(ML−1)は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、1分の後、100℃、1分とし、紫外線硬化条件は、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ[アイグラフィックス(株)製]を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。硬化後の高屈折率層(HL−1)は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから、窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ[アイグラフィックス(株)製]を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射した。硬化後の低屈折率層(LL−1)は屈折率1.43、膜厚100nmであった。
以上の様にして、反射防止膜付きセルロースアシレートフィルム(AF−2)を作製した。
(視認側偏光板(SHB)の作製)
光学補償シート(KS−3)の光学異方性層と反対側のフィルム(CA−1)面、及び上記の反射防止膜付き保護フィルム(AF−2)の反対側のフィルム(CA−1)面を実施例1と同様に鹸化処理し、処理したフィルム面の其々を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜(HF−1)を挟んで貼り付けた。
偏光膜の透過軸とAF−2のCA−1の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸とKS−3のCA−1の遅相軸とは、直交するように配置した。このようにして偏光板(SHB−2)を作製した。
(バック側偏光板(BHB)の作製)
ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償シート(KS−3)のCA−1面を偏光膜(HF−1)の片側に貼り付けた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)に実施例1のアルカリ鹸化処理と同様にして片面鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側に貼り付けた。
偏光膜の透過軸とセルロースアセテートフィルム(CA−1)の遅相軸とは平行になるように配置した。偏光膜の透過軸と上記トリアセチルセルロースフィルムの遅相軸とは、直交するように配置した。このようにしてバック側偏光板(BHB−2)を作製した。
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを6μmに設定した。Δn(屈折率neとnoの差)が0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。液晶セルの大きさは20インチであった。
作製したベンド配向セルを挟むように、空気側となる方に実施例5で作製した視認側偏光板(SHB−1)を、バック側となる方にバック側偏光板(BHB−1)を貼り付けた。偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。
視野角の評価尺度として、視野の画像のコントラスト比が10以上を維持し、かつ黒側の階調反転の起こらない(即ち黒表示(L1)と次のレベル(L2)の間で反転が起こらない)範囲の開角度の値を用いた。測定結果を表4に示す。
Figure 2006201579
(液晶表示装置パネル上でのムラ評価)
実施例5の偏光板を用いた前記液晶表示装置の表示パネルを全面中間調に調整し、ムラを評価した。どの方向から見てもムラは観察されなかった。
(TN液晶セルでの評価)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに実施例6で作製した偏光板(SHB−2)を、光学補償シート(KS−3)とCA−1が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。CA−1の遅相軸は偏光膜の透過軸と直交するように配置した。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、O(ordinary)モードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。測定結果を表4に示す。
Figure 2006201579
(液晶表示装置パネル上でのムラ評価)
実施例6の偏光板を有するベント配向、及びTN液晶表示装置の表示パネルを全面中間調に調整し、ムラを評価した。どの方向から見てもムラは観察されなかった。
(VA液晶セルでの評価)
VAモードで22インチの液晶表示装置:TH22−LH10型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の実施例5で作製した偏光板(SHB−1)の光学補償シート(KS−1)が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。この液晶表示装置の表示パネルを全面中間調に調整し、ムラを評価したところ、どの方向から見てもムラは観察されなかった。
また、IPSモードで20インチの液晶表示装置:W20−1c3000形(日立製作所(株)製)に設けられている視認側の保護フィルムの代わりに本発明の実施例6で作製した偏光板(SHB−2)の光学補償シート(KS−3)が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、視認側に一枚貼り付けた。この液晶表示装置の表示パネルを全面中間調に調整し、ムラを評価したところ、どの方向から見てもムラは観察されなかった。

Claims (13)

  1. 透明支持体上に、配向膜、及び液晶性化合物を含む光学異方性層がこの順に積層された光学補償シートであって、前記透明支持体が、下記式(I)かつ(II)をみたすことを特徴とする光学補償シート。
    (I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦25
    (II)|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  2. 前記配向膜が水溶性ポリマーを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の光学補償シート。
  3. 透明支持体が、セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の光学補償シート。
  4. 前記透明支持体が、Re(λ)およびRth(λ)を低下させ、かつオクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物の少なくとも1種を、透明支持体のポリマー成分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償シート。
  5. 前記セルロースアシレートフィルムが、アシル置換度2.85〜3.00のセルロースアシレートであることを特徴とする請求項3または4に記載の光学補償シート。
  6. 前記セルロースアシレートフィルムが、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物の少なくとも1種を、セルロースアシレートに対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の光学補償シート。
  7. 前記セルロースアシレートフィルムの膜厚が10〜120μmであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の光学補償シート。
  8. 前記配向膜が、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールまたはこれらの混合物を主成分として含有する配向膜形成用組成物を塗布、乾燥してなる硬化膜であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学補償シート。
  9. 前記配向膜が、ポリイミド前駆体を主成分として含有する配向膜形成用組成物を塗布、乾燥してなる硬化膜であることを特徴とする請求項8に記載の光学補償シート。
  10. 透明保護膜、偏光膜および請求項1〜9のいずれかに記載の光学補償シートがこの順に積層されていることを特徴とする偏光板。
  11. 前記透明保護膜が、その空気側表面に反射防止膜を設けてなることを特徴とする請求項10に記載の偏光板。
  12. 液晶セルと前記液晶セルの両側に配置された一対の偏光板とを有する液晶表示装置において、前記偏光板の少なくとも一方が、請求項10または11に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  13. 前記液晶表示装置が、TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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