JP2006196125A - 多光子記録方法及び多層光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、記録媒体中での光異性化が速やかに起こり、記録材料の実効的な感度アップを可能にする多光子記録方法及び多層光記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の多光子記録方法によれば、記録媒体の少なくとも一部を記録光照射前に加熱するプレヒート工程を有している。よって、書き込み前のプレヒート工程を行うことによりピークパワーが小さな光源でも書き込みを容易(高感度化)とし、読み出し時及び保存時には常温とすることにより、読み出し耐性及び保存特性を確保することが可能となる。また、記録閾値が下がり、多光子記録再生装置の小型化及びコスト低減が可能となる。
【選択図】 図3

Description

本発明は多光子記録方法及び多層光記録媒体に関し、詳細には光記録媒体中の記録材料に2つの異なる波長の光束を用い2光子吸収による情報の記録を行う2光子吸収記録方法に関する。
近年の光ディスクの大容量化は、主に記録波長の短波長化と対物レンズの高NA化による最短記録波長の改善による記録面密度の向上により成し遂げられてきた。これに対し、光の透過性を利用して、記録媒体全体を有効利用し大容量記録を成し遂げようとする試みは、ホグラムメモリーに端を発し、ビット記録よる3次元光記録へと続いてきた。
このようなビット記録による3次元光記録は、現用の記録層が1層の光記録に比較し、深さ方向に多層化した分だけ大容量化が可能であり、現状の100倍を越える大容量記録の実現が期待されている。深さ方向に多重に記録するには、基本的に同一の性質を持った多重化された記録層の、意図した層にのみ書き込んだり、読み出したりすることが必要となる。従って、何らかの非線形性を導入し選択性を付与することが必要となる。この非線形性を付与する方法の一つとして、2光子吸収反応を利用した書き込みが挙げられる。通常の吸収過程は吸収帯のエネルギーに対応した1光子吸収過程であるが、この半分のエネルギーを持つ光子2つを同時に吸収する2光子吸収過程によっても同様の反応を起こすことが可能である。この2光子吸収過程の特徴は、吸収量が光強度(エネルギー密度)の2乗に比例することで、この結果として、光のエネルギー密度が高まる書き込み光の焦点近傍でのみ吸収が起こる。また、記録層に用いる材料によっては、消去と書き込みのサイクルの可能なものが非特許文献1に記載されている。消去の過程においても、2光子吸収過程を利用し、特定の書き込みビットのみを消去可能であることが示されているが、吸収波長が異なるため、書き込みとは異なる波長の短パルス光源が必要とされる。
A.Toriumi and S.Kawata, Opt.Lett Vol.23, No.24 P.1924〜P.1926 (1998)
しかしながら、非特許文献2によれば、2光子吸収過程を用いることにより記録層の多層化が可能であるが、1光子吸収過程に比べ、2光子吸収過程の確率は小さく、非常に高強度の光源を必要となる。従って、記録材料の熱的損傷の防止と、2光子吸収反応の両立には、ピークパワーは大きいが、平均出力は比較的小さな、超短パルス光源が書き込み光源として必要である。現時点では、超短パルス光源は、大型、かつ高価な光源であり、実用化の大きな障壁となっている。また、3次元多層記録を実現するためには、大型かつ高価な超短パルス光源に変わる光源の開発も重要であるが、それにも増して、2光子吸収反応の効率が高い高感度な材料の開発が不可欠である。2光子吸収反応の効率を高めるために様々な材料研究が行われているが、実用上の感度を決定する要因の一つとして、屈折率変化の大きさが挙げられる。この屈折率変化は色素の光異性化反応による体積変化により起こる。従って、色素の持つポテンシャルを活かすため、媒体中での光異性化が速やかに起こる必要がある。
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、記録媒体中での光異性化が速やかに起こり、記録材料の実効的な感度アップを可能にする多光子記録方法及び多層光記録媒体を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するために、本発明の多光子記録方法は、記録媒体の少なくとも一部を記録光照射前に加熱するプレヒート工程を有している。よって、書き込み前のプレヒート工程を行うことによりピークパワーが小さな光源でも書き込みを容易(高感度化)とし、読み出し時及び保存時には常温とすることにより、読み出し耐性及び保存特性を確保することが可能となる。また、記録閾値が下がり、多光子記録再生装置の小型化及びコスト低減が可能となる。
また、プレヒート工程の加熱手段がレーザ光の照射による加熱であることにより、遠隔的かつ局部的にバインダー材料のガラス転移点付近まで加熱し、加熱部位でのみ記録閾値の低下が起こるがその他の部分では、熱の影響をほとんど受けないため記録内容は安定に保持される。
更に、プレヒート工程に用いるレーザ光が、書き込み光と同軸に導入され、かつ記録情報と同期して変調されることにより、投入熱量がより小さくて済み、隣接するビットの書き込み閾値のばらつきの防止や隣接トラックあるいは隣接記録層等の書き込みビット近傍の記録済みビットの温度変化が小さくなることにより、ヒートサイクルによる色素層の結晶化や記録ビットのコントラスト低下の影響がない、高信頼性の多層光記録媒体及び多光子記録再生装置を提供できる。
また、プレヒート工程に用いるレーザ光の照射強度を、媒体内での前記レーザ光の吸収を補償し、記録層において同一の吸収量となるよう設定することにより、隣接ビット間及び隣接記録層間の干渉が最小となる記録が可能となり、高信頼性の多層光記録媒体及び多光子記録再生装置を提供できる。
更に、プレヒート工程に用いるレーザ光の照射光量がピット先端書き込み時から後端を書き終わるまでの時間と共に、照射光量を変化させることにより、隣接ビット間及び隣接記録層間の干渉が最小となる記録が可能となる。また、投入熱量が最小となることで、記録層内の色素の凝集が抑制され、記録時のS/Nを維持することが可能な高信頼性の多層光記録媒体及び多光子記録再生装置を提供できる。
また、照射光の照射光量の変化を、出力又はパルス幅あるいはその両方が異なる複数のパルス列の照射により構成することにより、デジタル制御が容易に可能となり、アナログ制御に比較して高速での制御を行う場合にも制御精度を保ったまま、低コストなシステムを構築できる。
更に、プレヒート工程に用いるレーザ光の照射パターンが、当該記録ビット以前に記録された記録ビットの書き込み時の投入熱量を考慮して決定されたテーブルに従う。よって、投入熱量を最適化でき、隣接ビット間及び隣接記録層間の熱干渉の影響をさらに受けにくく、かつ色素層内での色素の結晶化がより抑制されるため、高S/N、かつ高信頼性を両立できる多層光記録媒体及び多光子記録再生装置を提供できる。
また、別の発明としての多層光記録媒体は、多層の光記録媒体中に、記録色素に加え、光記録媒体の少なくとも一部を記録光照射前に加熱するプレヒート工程に用いるレーザ光を吸収する色素を分散したことに特徴がある。よって、記録媒体内でのプレヒート光の吸収量を色素濃度により決定できるため、記録媒体を構成するバインダー等の選択の幅が広がるため、所望の特性を優先した材料選択により高信頼性の多層光記録媒体が提供できる。
更に、記録色素とプレヒート工程に用いるレーザ光を吸収する色素の濃度分布が一致することにより、プレヒートが必要な記録層のみに色素を配置し、加熱することが可能となることで、記録時の記録媒体内への投入熱量が小さくなり、ヒートサイクルによる色素層の結晶化や記録ビットのコントラスト低下の影響が無い、さらに高信頼性の多層光記録媒体を提供できる。
また、多層光記録媒体の表面からの深度により、プレヒート工程に用いるレーザ光を吸収する色素の濃度に濃度勾配を持つことにより、書き込み及び読み出しパワーの層ごとの平坦化と読み取り信号強度の平坦化が可能となり、高信頼性の多層光記録媒体を提供できる。
更に、記録色素を含む層と含まない層がガラス転移点の異なる材料により構成されていることにより、記録色素を含む層は感度優先、記録色素を含まない層は記録媒体の安定性優先の媒体設計が可能となり、結果として高信頼性の多層光記録媒体を提供できる。
本発明の多光子記録方法によれば、記録媒体の少なくとも一部を記録光照射前に加熱する。よって、書き込み前のプレヒート工程を行うことによりピークパワーが小さな光源でも書き込みを容易(高感度化)とし、読み出し時及び保存時には常温とすることにより、読み出し耐性及び保存特性を確保することが可能となる。また、記録閾値が下がり、多光子記録再生装置の小型化及びコスト低減が可能となる。
図1は本発明の一実施の形態例に係る多層光記録媒体の構成を示す断面図である。同図に示す本実施の形態例の多層光記録媒体100は、グルーブが刻まれたポリカーボネート製の記録層支持基板103に、記録材料であるジアリールエテンとバインダーであるPVB(ポリ・ビニル・ブチラール)を等量、メトキシエタノールに溶解し、さらにアゾ色素を添加したものをスピンコートにより成膜した記録層104が形成されている。次に、PVBを同じくメトキシエタノールに溶解した色素を含まない溶液を作成、接着層102を形成し、順次積層後、両面に保護基板101、105を接着し、高感度多層基板を作成した。なお、基板の構成・材料・色素等は本発明の構成の一例であり、本実施の形態例に限定されるものではない。
図2は本発明の一実施の形態例に係る多層光記録媒体の別の構成を示す断面図である。同図に示す本実施の形態例の多層光記録媒体200は、グルーブが刻まれたポリカーボネート製の記録層支持基板203に、記録材料であるジアリールエテンとバインダーであるPVB(ポリ・ビニル・ブチラール)を等量、メトキシエタノールに溶解し、さらにアゾ色素を添加したものをスピンコートにより成膜した記録層204が形成されている。次に、PVBを同じくメトキシエタノールに溶解した色素を含まない溶液を作成、接着層202を形成した。最表面の記録層204より、波長780nmにおいて、一層あたりの吸収光量が媒体表面での光量のそれぞれ0.2%となるように、色素濃度を変えた溶液を用意し記録層204を含め順次積層した。最後に両面に保護基板201、205を接着し、高感度多層基板を作成した。なお、基板の構成・材料・色素等は本発明の構成の一例であり、本実施の形態例に限定されるものではない。
次に、図1及び図2に示した多層光記録媒体を用い、プレヒートの工程をレーザ光により行い、かつレーザ光によるプレヒートを記録情報と同期させて行う本発明の2光子吸収記録装置について説明する。
図3は本発明の一実施の形態例に係る2光子吸収記録再生装置の構成を示す構成図である。同図に示す本実施の形態例の2光子吸収記録再生装置300は2系統の光学系を持っている。先ず、再生・フォーカス・トラッキングのサーボ及びプレヒートに係る再生用レーザ兼プレヒート光レーザの光学系から説明する。再生用を兼ねる780nmのプレヒート光用半導体レーザ301からの出射光は、カップリングレンズ302により並行光となり、無偏光ビームスプリッタ303により光路を変えられ、偏光ビームスプリッタ304と1/4波長板305よりなる光アイソレータを通り、円偏光に変換される。対物レンズ306により上述した多層光記録媒体100、200の何れかの記録層に集光された光の一部は、記録層を構成する異種界面の屈折率差により反射する。上述した多層光記録媒体100、200の場合は約0.1%である。この反射光は旋光方向が逆転しており、1/4波長板305を通過後、入射光と直交する直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ304で検出系へと導かれる。検出系では、集光レンズ307により集光され、ピンホール308により焦点以外からの反射・散乱光が除去される。集光レンズ309により再度集光され、シリンドリカルレンズ310を通り4分割アバランシェ・フォトダイオード311に導かれる。4分割アバランシェ・フォトダイオード311により高感度に検出された信号によりトラッキング・フォーカスサーボがかけられる。また、4分割アバランシェ・フォトダイオード311からの和信号により、記録情報の読み出しも可能となることは言うまでもない。この光源からの出射光は、記録層で2光子吸収が起こるには出力が弱く、読み取りによる再生信号の劣化は起こりえない。記録層には吸収色素が含まれているため、本実施の形態例では一層あたり約0.2%が吸収され熱に変わる。CD/DVD系記録メディアと同様にマークを記録する部位では出力を上げ、記録層をガラス転移点以上に上げることにより、2光子吸収により励起される光異性化反応が速やかに起こる用記録部位のみを改質する。しかし、前後の層はスポットが絞られていないため一層あたりの熱量は同じだが広いエリアに熱が吸収されるため温度は上がらず、再結晶等の悪影響は最小限となる。
次に、記録系について説明する。780nmの記録用パルスレーザ312からの出射光は、ビームエキスパンダ313、無偏光ビームスプリッタ303、偏光ビームスプリッタ304、1/4波長板305を経て、対物レンズ306により多層光記録媒体100、200に焦点を結ぶ。この際、記録用パルスレーザ312の出射光は、再生用半導体レーザ301の出射光と同軸となるよう調整されている必要がある。このとき、両者の多層光記録媒体内の焦点は、一致するので記録時のトラキング・フォーカスサーボも可能となる。以上のような機構により、記録用パルスレーザ312の出射光は、多層光記録媒体100、200上に焦点を結ぶ。記録層には、記録色素に加えプレヒート用レーザ光の吸収色素も含まれており、かつ記録光照射時には同期してプレヒート用レーザも照射されており、記録スポット周辺はプレヒートされ、バインダー樹脂は軟化しており、記録色素の異性化反応は速やかに行われる。以上のような過程により、2光子吸収により情報が書き込まれる。なお、記録媒体の形状はディスク以外にもカードなど他の形態を取ることも可能であり、それらに対応する記録再生システムも含め、本実施の形態例はその構成を制限するものではない。
ここで更に詳細に説明すると、2光子吸収が誘起される大きな電界強度を得るための光源に、超短パルスレーザが用いられているが、超短パルスレーザを用いる利点は平均パワーが小さいため、試料に対する熱的影響は小さく、試料の熱的損傷は起こらない。しかし、ピークパワーは平均パワーの3桁から5桁ほど大きいために、集光スポット近傍でのみ2光子吸収を誘起することが可能である点にある。ここで、屈折率変化による多光子吸収記録を、記録色素側から考えると、2光子吸収を起こした色素は、光異性化反応により分子の立体構造が変わることにより、吸収波長の変化が起こることによりその長波長側での屈折率が変化することによりマークが書き込まれている。また、多層メモリとしての応用では、深度方向に多重化した記録層から、光を用い読み書きするために、記録色素はアモルファス状態であることが望ましく、アモルファス状態を安定化するためにバインダー樹脂中に分散されている。しかし、樹脂中に分散することは逆に、色素分子を拘束することに他ならず、屈折率変化の源である光異性化反応の分子を物理的に拘束することにより阻害する。これを防ぐ目的で、樹脂による色素分子の拘束が弱い樹脂を用いた場合には、異性化反応のみが促進されるのではなく、一般に色素の拡散も速く、結晶化による記録層の劣化および記録マークのコントラスト低下も起こる。そこで、本発明では、樹脂に熱をかけることにより機械的強度の変化即ち軟化が起こることにより、ネットワーク中に存在する色素の光異性化反応に対する拘束が弱まることに着目し、書き込み前のプレヒートによりピークパワーが小さな光源でも書き込みを容易(高感度化)とし、読み出し時および保存時には常温とすることにより、読み出し耐性および保存特性を確保することが可能となった。
また、本実施の形態例のようにプレヒートを行うことにより、記録が容易となるが、ヒートサイクルを繰り返すことは、やはりバインダー樹脂中での色素の拡散を伴い、サイクル数を経るごとに記録情報の劣化が進む。従って、CWレーザ光により遠隔的かつ局部的にバインダー材料のガラス転移点付近まで加熱することにより、加熱部位でのみ記録閾値の低下が起こるが、その他の部分では熱の影響をほとんど受けないため記録内容は安定に保持される。
更に、プレヒートのためのレーザ光を、記録情報(書き込み光により書き込む記録ビット)と同期して加熱を行うことにより、投入熱量がより小さくて済むことにより、隣接するビットの書き込み閾値のばらつきの防止や隣接トラックあるいは隣接記録層等の書き込みビット近傍の記録済みビットの温度変化が小さくなることにより安定性の更なる向上が可能となる。
また、光記録の利点は、記録の読み書きが遠隔で行うことができる点にある。この遠隔で読み書きできるという特徴は、記録媒体の少なくとも片側が光を透過する素材により構成されていることによる。従って、レーザ光によりプレヒートする場合には、プレヒートに用いるレーザ光の熱源としての利用効率(即ち吸収率)と遠隔で記録の読み書きをするための透過率のバランスを取ることが必要となる。このバランスを取るために、記録媒体を構成する樹脂等の素材の吸収率と透過率を変えることも可能であるが、レーザ光の吸収色素を混ぜる量を変えることにより、樹脂の物理的性質(光学的性質・ガラス転移点)を大きく変えることなく吸収・透過量を設計することが可能となる。
更に、プレヒート用のレーザ光の吸収は小さいほど熱的干渉の影響は小さい。従って、記録色素とプレヒート光の吸収色素の分布を一致させることにより、記録色素の存在する領域のみが選択的に加熱され、記録閾値の低減と記録済みビットの安定性の両立が可能となる。
また、深さ方向に多重化された記録層を持つ多層光記録媒体では、深度の深い記録層では深度の浅い記録層に比べると、浅い記録層での吸収分だけプレヒート光の強度は減少する。従って、それを補償するように、深度の深い記録層では色素濃度を高くし、吸収量を大きくすることにより加熱効率を高め、プレヒート光の必要光量を平坦化することが可能となる。更に、前述したように、プレヒートの工程によりガラス転移点以上に加熱される部分は、書き込みパルスにより光異性化反応が誘起される書き込みマーク部位と一致することが望ましく、またマーク周囲の色素の結晶化を押さえるためにはマーク周囲はなるべく加熱しないことが、メディア上の色素層の記録特性および記録マークの保存特性を確保する上で重要である。本発明の構成では、各マークの先端では、隣接マークとの間に物理的な距離があるために室温に近い温度からプレヒートする必要がある。一旦ガラス転移点まで上昇した後は、円周方向のビットが伸びる方向に熱量を投入するだけでよい。特に、現行の金属系反射層を持つディスクに比較し、熱の拡散が遅いため、一旦暖めるとスポット内をその温度に保持するための熱量は小さく、長手方向に伸びる部分を加熱するための熱量を投入するだけでよい。従って、マーク先端が最も熱量が必要で、後方に行くに従い少なく制御することにより、記録マークの形状とガラス転移点まで温度が上昇する領域を一致させることが可能となる。
次に、プレヒート光の制御シーケンスを用いた高感度記録方法について、図1及び図2に示した多層光記録媒体を用い、図3に示した2光子吸収記録再生装置を用いて記録する際の、プレヒート用光源の制御シーケンスを示す図4を用いて説明する。図4の(d)は、多層光記録媒体上のピットの概略図である。図4の(a)はプレヒート光をON/OFF制御した場合を、図4の(b)はプレヒート光を概略指数関数近似で減衰させた場合を、図4の(c)は最初のパルスの出力が大きく、残りのパルスは出力を60%とした場合のプレヒート光の制御シーケンスをそれぞれ示している。何れの場合も、2光子吸収による書き込みを確認し、かつプレヒート光のない場合に比較し記録エネルギーが下がっていることが確認された。なお、上述した実施の形態例は一例であり、色素、バインダー及び記録媒体の構成、各層の反射率及び赤外光の吸収率等は様々な条件が採用可能であることは言うまでもない。また、上記条件が変わった場合には、制御シーケンスも変更が必要であり、本実施の形態例に限るものではない。
このように、投入熱量の制御はプレヒート用レーザの出力をアナログ制御することにより、理想的な書き込みができる。しかし、高速でアナログでの制御を行うことは、制御精度とコストの両立が難しい。そこで、本発明における投入熱量の制御は、パルスの高さまたは幅あるいはその組み合わせで行うデジタル制御として行うことができる。
また、多光子記録方法において、プレヒート工程に用いるレーザ光の照射パターンが、当該記録ビット以前に記録された記録ビットの書き込み時の投入熱量を考慮して決定されたテーブルに従う。更に、上述したように、本発明によれば、記録ビットごとの書き込み時のプレヒート工程の最適制御となる。本発明の多層光記録媒体が、現行ディスクに比較すると記録層内の熱伝導が悪くプレヒートによる熱の蓄積の影響が現れやすく、記録ビット間及び記録層間での熱干渉が起こりやすいことを考慮し、隣接ビットに投入された熱量を考慮し、テーブルに従ったプレヒート光の照射パターンを採用することにより、最小限の熱量の投入により所望のプレヒートの効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施の形態例に係る多層光記録媒体の構成を示す断面図である。 本発明の一実施の形態例に係る多層光記録媒体の別の構成を示す断面図である。 本発明の一実施の形態例に係る2光子吸収記録再生装置の構成を示す構成図である。 多層光記録媒体と2光子吸収記録再生装置を用いて記録する際のプレヒート用光源の制御シーケンスを示す図である。
符号の説明
100,200;多層光記録媒体、
102,105,202,205;接着層、
103,203;記録層支持基板、
104,204;記録層、
300;2光子吸収記録再生装置、
301;ヒート光用半導体レーザ、302;カップリングレンズ、
303;無偏光ビームスプリッタ、304;偏光ビームスプリッタ、
305;1/4波長板、306;対物レンズ、
307,309;集光レンズ、308;ピンホール、
310;シリンドリカルレンズ、
311;4分割アバランシェ・フォトダイオード、
312;記録用パルスレーザ、313;ビームエキスパンダ。

Claims (11)

  1. 記録媒体中の記録材料に多光子吸収過程による記録を行う記録方法において、
    記録媒体の少なくとも一部を記録光照射前に加熱するプレヒート工程を有することを特徴とする多光子記録方法。
  2. 前記プレヒート工程の加熱はレーザ光の照射による加熱である請求項1記載の多光子記録方法。
  3. 前記プレヒート工程の加熱に用いるレーザ光は書き込み光と同軸に導入され、かつ記録情報と同期して変調される請求項2記載の多光子記録方法。
  4. 前記プレヒート工程に用いるレーザ光の照射強度を、媒体内での前記レーザ光の吸収を補償し、記録層において同一の吸収量となるよう設定する請求項1〜3のいずれかに記載の多光子記録方法。
  5. 前記プレヒート工程に用いるレーザ光の照射光量がピット先端書き込み時から後端を書き終わるまでの時間と共に、照射光量を変化させる請求項1〜4のいずれかに記載の多光子記録方法。
  6. 照射光の照射光量の変化を、出力又はパルス幅あるいはその両方が異なる複数のパルス列の照射により構成する請求項1〜5のいずれかに記載の多光子記録方法。
  7. 前記プレヒート工程に用いるレーザ光の照射パターンが、当該記録ビット以前に記録された記録ビットの書き込み時の投入熱量を考慮して決定されたテーブルに従う請求項5又は6に記載の多光子記録方法。
  8. 多層の光記録媒体中に、記録色素に加え、光記録媒体の少なくとも一部を記録光照射前に加熱するプレヒート工程に用いるレーザ光を吸収する色素を分散したことを特徴とする多層光記録媒体。
  9. 記録色素と前記プレヒート工程に用いるレーザ光を吸収する色素の濃度分布が一致する請求項8記載の多層光記録媒体。
  10. 多層光記録媒体の表面からの深度により、前記プレヒート工程に用いるレーザ光を吸収する色素の濃度に濃度勾配を持つ請求項8又は9に記載の多層光記録媒体。
  11. 記録色素を含む層と含まない層がガラス転移点の異なる材料により構成されている請求項8〜10のいずれかに記載の多層光記録媒体。
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