しかしながら、上述したようにナビゲーション装置をセンターコンソール内に装着する場合、他のオーディオ機器等に比して上記ボタン等が操作される回数が少ない傾向にあるナビゲーション装置は、当該センターコンソール内でもその下段部分に装着される場合が多く、その場合は当該ナビゲーション装置の取付角度(すなわち、当該ナビゲーション装置を装着したときの水平方向からの角度差)が、後述する許容角度(例えば30°)以上傾斜させるようになってしまう場合も出てきている。
そして、この場合には、上記一定方向に定められている検出軸の方向と実際の検出時に各センサに加わる加速度等の方向(すなわち水平方向)とが大きく異なることとなるため、各センサ自体の感度にオフセット等の誤差が含まれるようになり、結果として車両の現在位置の測位精度や速度の測定制度が低下してしまうという問題点があった。
次に、この問題点について、具体的に図8を用いて説明する。なお、図8は、加速度センサ101を含むナビゲーション装置100が装着された状態のセンターコンソール102の断面を示す模式図である。
図8に示すように、ナビゲーション装置100自体を水平方向に対して傾斜させることで操作パネル103をセンターコンソール102に合わせて上向きとする場合、加速度センサ101における検出軸Gもナビゲーション装置100の傾斜に併せて当該ナビゲーション装置100の取付角度θだけ水平方向に対して傾斜することとなる。
そしてこの場合、車両が前進する時に図8中右方向に移動することとすると、この前進中にナビゲーション装置100に実際に加わる加速度は当該前進方向に対して反対の方向を有する加速度Axとなる。
しかしながら、この実際に加わる加速度Axを検出軸Gが取付角度θだけ傾斜した加速度センサ101で検出した場合には、その検出結果としては実際の加速度Axよりも減少した値を有する加速度Gx(Gx=cosθ×Ax)として出力される。
一方、加速度Axと同時にナビゲーション装置100に加わる鉛直上向きの加速度(すなわち、車両の振動や路面からの衝撃により加わる鉛直上向きの加速度)は、上記加速度Axに対して垂直な加速度Azとなる。
しかしながら、この実際に加わる加速度Azを加速度Axと同様に加速度センサ101で検出した場合には、その検出結果としては実際の加速度Azの正弦成分である加速度Gz(Gz=sinθ×Az)として出力される。
そして、上記加速度Gxと加速度Gzとベクトル的な加算結果として加速度センサ101により検出される加速度Atは、
[数1]
At=Gx+Gz=cosθ×Ax+sinθ×Az
となり、実際に検出されるべき加速度Axとは異なった値となってしまい、この誤差が結果として車両位置の測位精度等の低下となって現れてしまうのである。そして、ナビゲーション装置100の取付角度θが大きくなるほど本来の車両移動方向の加速度Axよりも垂直方向の加速度Azから受ける影響の方が大きくなり、当該誤差も大きくなるのである。
他方、最近のナビゲーション装置においては、その取付角度に起因する上記誤差を補正するため、当該誤差補正用のソフトウエアに基づいた演算処理により加速度センサ又はジャイロセンサの検出結果の補正を行っていた。更に、車両の移動に伴った継続的な学習処理によりその補正の精度を向上させることも行われていた。
しかしながら、上記した演算処理による誤差補正では、ナビゲーション装置が車両に装着された直後においては十分な補償効果が得られないという問題点があった。
また、このように誤差補正用のソフトウエアにより補正を行うものであっても、図8に示す取付角度θが大きい(例えば30°を越える)場合には各センサ装置の設計値として予測されている取付角度の許容角度の範囲外となる場合があるという問題点があった。
更に、上記した取付角度に起因する測位誤差を解消すべく、上記ナビゲーション装置の製造工程において、各センサ装置のナビゲーション装置への取付時に上記取付角度を減少させることも考えられるが、この場合には当該減少させるために特別な方法・部材等を用いて各センサ装置を必要な方向に傾斜させてナビゲーション装置に取り付ける必要があり、結果としてナビゲーション装置としての製造コストの高騰及び歩留まりの低下を来たすという問題点があった。
更にまた、ナビゲーション装置にセンサ装置を傾けて配置するには、限られたナビゲーション装置の筐体内でのスペース効率に影響を与え、ひいては、ナビゲーション装置の大きさそのものにも影響を及ぼしてしまうという恐れもあった。
そこで、本発明は、上記各問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、製造コストの高騰及び歩留まりの低下を来たすことなく上記取付角度に起因する測位誤差を補正して正確に車両に加わる加速度を検出することが可能なセンサ装置及び当該センサ装置を備えた移動体用電子機器を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一定の方向性を有する物理量の当該方向及び大きさを検出する検出素子等のセンサ部と、当該センサ部を固定支持する取付部等の支持部と、を備えるセンサ装置において、前記センサ部が、前記方向及び大きさを検出する基準である検出軸の方向と当該検出する際に実際に前記センサ部に加わる前記物理量の方向との差として予測される角度差を減少させる減少方向に、予め設定された減少角度だけ傾斜して前記支持部に固定支持されている。
このとき、減少方向としては、前記物理量の方向を含む平面内において当該物理量の方向を基準として時計方向又は反時計方向のいずれか一方のみの方向となる。
よって、支持部に固定される段階で上記角度差を減少させるように傾斜してセンサ部が固定されているので、より正確に検出すべき物理量の大きさ及び方向を検出することができる。
また、センサ装置自体でもって前記角度差を減少させるように構成されているので、センサ装置により検出された検出結果を演算処理等により補正して用いる場合においては、当該情報処理等による補正可能範囲を実質的に拡大することができる。
更に、センサ装置自体でもって当該角度差を減少させるように構成されているので、当該センサ装置を含む機器の製造工程において、センサ装置の当該機器への取り付けに関しては前記角度差を減少させることを考慮することがなく従来と同様の方法・部材等を用いることができるので、前記機器内部でのスペース効率に影響を与えることなく、製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のセンサ装置において、前記支持部は、側板等の基材と、当該基材に固定されると共に前記センサ部を固定支持する取付部材と、により構成されていると共に、前記センサ部が、前記減少方向に前記減少角度だけ傾斜して前記取付部材に固定支持されている。
よって、センサ部と基材との間に介在する取付部材と、当該センサ部と、の間で上記角度差を減少させているので、簡易な構成で正確に物理量を検出することができると共に、基材等、他のセンサ装置の構成部品は従来と同様の部品等を用いることができるので、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のセンサ装置において、前記取付部材には、前記減少方向に前記減少角度だけ傾斜した取付スリットが形成されており、前記センサ部には、前記取付スリットに噛み合うことにより当該センサ部を固定支持するためのセンサスリットが形成されており、前記センサ部が、前記取付スリットと前記センサスリットとが噛み合うことにより前記取付部材に固定支持されている。
よって、取付部材に形成する取付スリットの形成方向を上記減少方向及び減少角度に傾斜させるのみでセンサ部を上記角度差を減少させる方向に固定支持することができるので、センサ装置の製造コストを低減することができる。
更に、スリット同士を噛み合わせることでセンサ部を取付部材に固定するので、より簡易な製造工程によりセンサ装置を製造することができる。
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のセンサ装置において、前記センサ部は、複数の可動電極等の検出用円板と、当該各検出用円板に対して垂直に当該各検出用円板の中心を貫通して当該各検出用円板を支持すると共に前記検出軸としての機能を有する支持軸と、により構成されており、前記支持軸が、前記減少方向に前記減少角度だけ傾斜して前記支持部に固定支持されている。
よって、センサ部を構成する支持軸を上記減少方向及び減少角度に傾斜させて固定支持するので、当該センサ部が支持軸に支持された検出用円板により構成されている場合でも、簡易な構成で正確に物理量を検出し、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のセンサ装置において、前記検出用円板は、前記支持軸に固定支持されている二の固定電極と、各前記固定電極間の前記支持軸に当該支持軸の方向に移動可能に支持されている一の可動電極と、一方の前記固定電極と前記可動電極との間の前記支持軸及び他方の前記固定電極と前記可動電極との間の前記支持軸に夫々当該支持軸の方向に移動可能に支持されている二の可動スペーサと、により構成されている。
よって、センサ部が支持軸に支持された固定電極、可動電極及び稼動スペーサにより構成されている場合でも、簡易な構成で正確に物理量を検出し、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサ装置を備えた移動体用電子機器であって、前記センサ装置内における前記センサ部の傾斜により、前記移動体用電子機器の移動体への取付角度及び取付方向に起因する前記角度差を減少させるように構成される。
よって、センサ装置を含む移動体用電子機器を移動体に取り付ける際の取付角度を考慮して減少方向及び減少角度が予め設定されているので、当該移動体用電子機器においてより正確に必要な物理量の方向及び大きさを検出することができると共に、センサ装置自体が上記角度差を減少させるための構成を有しているので、センサ装置自体を傾斜させるための機構等を別途設ける必要がなく、更に前記移動体用電子機器内でのスペース効率に影響を与えることもないので、移動体用電子機器としての製造コスト自体を低減し更に歩留まりをも向上させることができる。
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、支持部に固定される段階で上記角度差を減少させるように傾斜してセンサ部が固定されているので、より正確に検出すべき物理量の大きさ及び方向を検出することができる。
また、センサ装置自体でもって前記角度差を減少させるように構成されているので、センサ装置により検出された検出結果を演算処理等により補正して用いる場合においては、当該演算処理等による補正可能範囲を実質的に拡大することができる。
更に、センサ装置自体でもって当該角度差を減少させるように構成されているので、当該センサ装置を含む機器の製造工程において、センサ装置の当該機器への取り付けに関しては前記角度差を減少させることを考慮することがなく従来と同様の方法・部材等を用いることができるので、前記機器内部でのスペース効率に影響を与えることなく、製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、センサ部と基材との間に介在する取付部材と、当該センサ部と、の間で上記角度差を減少させているので、簡易な構成で正確に物理量を検出することができると共に、基材等、他のセンサ装置の構成部品は従来と同様の部品等を用いることができるので、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、取付部材に形成する取付スリットの形成方向を上記減少方向及び減少角度に傾斜させるのみでセンサ部を上記角度差を減少させる方向に固定支持することができるので、センサ装置の製造コストを低減することができる。
更に、スリット同士を噛み合わせることでセンサ部を取付部材に固定するので、より簡易な製造工程によりセンサ装置を製造することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、センサ部を構成する支持軸を上記減少方向及び減少角度に傾斜させて固定支持するので、当該センサ部が支持軸に支持された検出用円板により構成されている場合でも、簡易な構成で正確に物理量を検出し、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、センサ部が支持軸に支持された固定電極、可動電極及び稼動スペーサにより構成されている場合でも、簡易な構成で正確に物理量を検出し、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、センサ装置を含む移動体用電子機器を移動体に取り付ける際の取付角度を考慮して減少方向及び減少角度が予め設定されているので、当該移動体用電子機器においてより正確に必要な物理量の方向及び大きさを検出することができると共に、センサ装置自体が上記角度差を減少させるための構成を有しているので、センサ装置自体を傾斜させるための機構等を別途設ける必要がなく、更に前記移動体用電子機器内でのスペース効率に影響を与えることもないので、移動体用電子機器としての製造コスト自体を低減し更に歩留まりをも向上させることができる。
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、車両に搭載されて当該車両の移動を補助するナビゲーション装置に装備されるセンサ装置の構造に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
(I)第1実施形態
初めに、本発明に係る第1実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
なお、第1実施形態は、車両の右折時又は左折時に当該車両に加わる角速度を検出するジャイロセンサ(角速度センサ)の構造に対して本発明を適用した実施形態である。
また、図1は第1実施形態に係る移動体用電子機器としてのナビゲーション装置が装着されているセンターコンソールを含む車室内を例示する斜視図であり、図2は第1実施形態に係る角速度センサの外観を示す図であり、図3は当該角速度センサの内部構造を示す図である。
先ず、図1に示すように、第1実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両Cの車室前方にあるセンターコンソール102の下段部に、操作パネル2が車室内に露出するように差し込まれる形で装着されている。
そして、当該ナビゲーション装置1の上方のセンターコンソール102内には、当該ナビゲーション装置1による移動補助処理に用いられる表示装置としての引き出し/引き込み式のディスプレイD及びその支持部が装着されている。
このとき、ナビゲーション装置1は、図1に示すように、操作パネル2における操作性を向上させるべく、当該操作パネル2が上方に向いて操作者に対面するように、センターコンソール102に挿入されているその後部(車両前方側)が鉛直方向に下がるように車両Cの前進方向を含む水平面に対して傾斜して装着されている。
次に、第1実施形態に係るナビゲーション装置1内に固定される第1実施形態に係る角速度センサの構造について、図2及び図3を用いて説明する。なお、第1実施形態に角速度センサは、より具体的には音叉型の圧電素子を用いたジャイロセンサである。
先ず、図2(a)に示すように、第1実施形態に係る角速度センサ10は、ケース11及び基材としての側板12によって封入された直方体形状を有しており、側板12には当該側板12及びケース11により封入されている内部回路に接続されている接続端子13が形成されている。そして、角速度センサ10は、更にホルダ14により支持されており、このホルダ14の下端に形成されている取付支持部15により後述する装置基板に固定支持されている。
また、上記接続端子13はホルダ14と側板12との間の空間に挟まれている図示しないプリント配線によりホルダ端子16に電気的に接続されており、当該ホルダ端子16を介して上記装置基板に電気的に接続されている。
次に、角速度センサ10のナビゲーション装置1への装着状態について、図2(b)を用いて説明する。なお、図2(b)は、図2(a)に太矢印で示す方向から角速度センサ10の装着状態を見た側面図である。
図2(b)に示すように、角速度センサ10は、ナビゲーション装置1の底面を形成する装置筐体21に平行に固定配置された上記装置基板20に垂直に取付支持部15により固定支持されている。そして、角速度センサ10の内部回路と装置基板20とは、上述したようにホルダ端子16により電気的に接続されている。
次に、角速度センサ10の内部構造について、図3を用いて説明する。なお図3において、図3(a)はケース11を取り払った状態の角速度センサ10の内部構造を示す斜視図であり、図3(b)は角速度センサ10の内部構造を図3(a)に1)矢印で示す方向から見た側面図であり、図3(c)は角速度センサ10の内部構造を図3(a)に2)矢印で示す方向から見た側面図であり、図3(d)は検出素子27自体の構成を示す斜視図であり、図3(e)は取付部26の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、角速度センサ10の内部には、実際に車両Cに加わる角速度の方向及び大きさを検出する音叉型のセンサ部としての検出素子27が支持部及び取付部材としての取付部26によって固定支持されており、更に当該取付部26が側板12に固定されている。このとき、検出素子27における上記検出軸Gの方向は、図3(c)に示すように、車両Cの前進方向が含まれる平面内の当該検出素子27の長手方向に垂直な方向となる。
更に、側板12の内側には、取付部26をよける形で内部基板25が固定支持されている。そして、当該内部基板25上には、検出素子27及び接続端子13に夫々電気的に接続されている図示しない内部回路が形成されており、車両Cに加わる角速度を検出するに当たって必要となる処理を実行する。
この構造において、図3(a)及び(c)に示すように、検出素子27は、車両Cの前進方向を含む平面内で角度δだけ前進方向と反対方向に傾斜した状態で取付部26により側板12に固定支持されている。なお、検出素子27は前進方向に垂直な方向(すなわち、図3(b)左右方向)には傾斜していない。
そして、このような内部構造を有する角速度センサ10が図2(b)に示す如く装置筐体21に平行に固定配置されている装置基板20に垂直に固定支持され、更に当該装置筐体21を含むナビゲーション装置1がセンターコンソール102内に装着された場合には、当該装着時にナビゲーション装置1の後部が鉛直方向に下がることにより当該ナビゲーション装置1自体が車両Cの前進方向を含む平面内で鉛直方向に傾斜することから、結果として図3(c)における反時計方向に角速度センサ10自体が傾斜することとなり、よって、図3(c)に示す検出軸Gの方向と車両の前進方向との角度差が角度δ分だけ減少することとなる。
ここで、角速度センサ10により車両Cに加わる角速度を検出する場合には、従来と同様の取付角度補正用のプログラムに則って、ナビゲーション装置1の図示しない演算回路により、ナビゲーション装置1の取付角度に起因する上記誤差の補正処理が従来と同様に実行される。このとき、図3に示すように検出素子27が予め角度δだけ当該取付角度を打ち消すように傾斜させて固定支持されているので、当該補正処理として実際には、ナビゲーション装置1のセンターコンソール102内への装着により発生する水平方向に対する傾斜角度(上記取付角度)から上記角度δを差し引いた残りの角度誤差のみを補正する処理を行えば足りることとなる。
次に、検出素子27を取付部26に固定する方法について、図3(d)及び(e)を用いて説明する。
先ず、図3(d)に示すように、検出素子27の中心には、その検出軸Gに対して垂直な方向にセンサスリット27aが形成されている。一方、図3(e)に示すように、取付部26には、上記角度δだけ車両Cの前進方向と反対方向に傾斜させた取付スリット26aが形成されている。そして、検出素子27の取付部26への固定に当たっては、当該センサスリット27aと取付スリット26aとが相互に噛み合うことにより、図3(a)又は(c)に示す状態で検出素子27が取付部26に固定支持される。なお、当該固定支持には、上記センサスリット27aと取付スリット26aとが噛み合っている状態でその周囲を固着する接着剤等が用いられる。
以上説明したように、第1実施形態の角速度センサ10の構造によれば、取付部26に固定支持される段階で上記角度誤差を減少させるように傾斜して検出素子27が固定支持されているので、より正確に検出すべき角速度の大きさ及び方向を検出することができる。
また、角速度センサ10自体でもって角度誤差を減少させるように構成されているので、角速度センサ10により検出された加速度を補正処理により補正して用いる場合においては、当該補正処理による補正可能範囲を実質的に拡大することができる。
更に、角速度センサ10自体でもって当該角度誤差を減少させるように構成されているので、当該角速度センサ10を含むナビゲーション装置1の製造工程において、角速度センサ10の当該ナビゲーション装置1への取り付けに関しては上記角度誤差を減少させることを考慮することがなく従来と同様の方法・部材等を用いることができ、製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
更にまた、検出素子27と側板12との間に介在する取付部26と、当該検出素子27と、の間で上記角度誤差を減少させているので、簡易な構成で正確に加速度を検出することができると共に、側板12等、他の加速度センサの構成部品は従来と同様の部品等を用いることができるので、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
また、取付部26に形成する取付スリット26aの形成方向を上記角度誤差を減少させる方向及び角度δに傾斜させるのみで検出素子27を上記角度誤差を減少させる方向に固定支持することができるので、角速度センサ10自体の製造コストを低減することができる。
更に、取付スリット26aとセンサスリット27aとを噛み合わせることで検出素子27を取付部材に固定するので、より簡易な製造工程により角速度センサ10を製造することができる。
更にまた、角速度センサ10を含むナビゲーション装置1を車両Cに取り付ける際の取付角度を考慮して検出素子27の傾斜方向及び角度δが予め設定されているので、当該ナビゲーション装置1においてより正確に必要な角速度の方向及び大きさを検出することができると共に、角速度センサ10自体が上記角度誤差を減少させるための構成を有しているので、角速度センサ10自体を傾斜させるための機構等を別途設ける必要がなく、更にナビゲーション装置1内でのスペース効率に影響を与えることもないので、ナビゲーション装置1としての製造コスト自体を低減し更に歩留まりをも向上させることができる。
(II)第2実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第2実施形態について、図4及び図5を用いて説明する。
上述した第1実施形態では、音叉型の圧電素子である検出素子27を用いたジャイロセンサ(角速度センサ)に対して本発明を適用した場合について説明したが、以下に説明する第2実施形態では、車両の加速時又は減速時に当該車両に加わる加速度を検出する静電容量式の加速度センサの構造に対して本発明を適用した場合について説明する。
なお、第2実施形態の加速度センサを備えたナビゲーション装置の車室内での取付の態様は、図1に示した第1実施形態のナビゲーション装置1の場合と全く同様であるので、細部の説明は省略する。
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置内に固定される第2実施形態に係る加速度センサの構造について、図4及び図5を用いて説明する。
先ず、図4(a)に示すように、第2実施形態に係る加速度センサ30は、ケース31によって封入された直方体形状を有しており、当該ケース31には加速度センサ30を装置基板20に固定するための取付支持部32が形成されている。また、当該ケース31には、当該ケース31により封入されている内部回路に接続されている接続端子33が形成されている。そして、当該接続端子33により上記内部回路が装置基板20に電気的に接続されている。
次に、加速度センサ30の第2実施形態のナビゲーション装置への装着状態について、図4(b)及び(c)を用いて説明する。なお、図4(b)は図4(a)に1)矢印で示す方向から加速度センサ30の装着状態を見た側面図であり、図4(c)は、図4(a)に2)矢印で示す方向から加速度センサ30の装着状態を見た側面図である。
図4(b)及び(c)に示すように、加速度センサ30は、第2実施形態のナビゲーション装置の底面を形成する装置筐体21に平行に固定配置された上記装置基板20に垂直に取付支持部32により固定支持されている。そして、加速度センサ30の内部回路と装置基板20とは、上述したように接続端子33により電気的に接続されている。
次に、加速度センサ30の内部構造について、図5を用いて説明する。なお図5において、図5(a)はケース31を取り払った状態の加速度センサ30の内部構造を示す斜視図であり、図5(b)は加速度センサ30の内部構造を図5(a)に1)矢印で示す方向から見た側面図であり、図5(c)は加速度センサ30の内部構造を図5(a)に2)矢印で示す方向から見た側面図である。
図5に示すように、加速度センサ30の内部においては、実際に車両Cに加わる加速度の方向及び大きさを検出する円板形状の検出部50が内部基板35によって固定支持されており、この内部基板35から上記接続端子33が突出する形状となっている。
このとき、検出部50は、円板状のガード電極37及び38と、円板状の検出用円板としての可動電極41及び42と、方形板状の固定電極36とが夫々の中心を貫通する支持軸39及びナット40により基台43に支持されており、更に当該基台43が内部基板35に固定支持されている。ここで、検出部50における検出軸Gの方向は、図5(b)に示すように、内部基板35に垂直な方向となる車両Cの前進方向が含まれる平面内の当該支持軸39の方向となる。
更に、内部基板35上には、検出部50及び接続端子33に夫々電気的に接続されている図示しない内部回路が形成されており、車両Cに加わる加速度を検出するに当たって必要となる信号処理を実行する。
この構造において、図5(b)に示すように、検出部50は、車両Cの前進方向を含む平面内で角度δだけ前進方向の反対方向を基準に時計方向に傾斜した状態で基台43により内部基板35に固定支持されている。
そして、このような内部構造を有する加速度センサ30が図4(b)に示す如く装置筐体21に平行に固定配置されている装置基板20に垂直に固定支持され、更に当該装置筐体21を含む第2実施形態のナビゲーション装置がセンターコンソール102内に装着された場合には、第1実施形態の場合と同様に当該ナビゲーション装置の後部が鉛直方向に下がることにより当該ナビゲーション装置自体が車両Cの前進方向を含む平面内で鉛直方向に傾斜することから、結果として図5(b)における反時計方向に加速度センサ30自体が傾斜することとなり、よって、図5(b)に示す検出軸Gの方向と車両の前進方向との角度差が角度δ分だけ減少することとなる。
ここで、加速度センサ30により車両Cに加わる加速度を検出する場合には、第1実施形態の場合と同じく従来と同様の取付角度補正用のプログラムに則って、第2実施形態のナビゲーション装置の図示しない演算回路により、第2実施形態のナビゲーション装置の取付角度に起因する上記誤差の補正処理が従来と同様に実行される。このとき、図5に示すように検出部50が予め角度δだけ当該取付角度を打ち消すように傾斜させて固定支持されているので、当該補正処理として実際には、当該ナビゲーション装置のセンターコンソール102内への装着により発生する水平方向に対する傾斜角度(上記取付角度)から上記角度δを差し引いた残りの角度誤差のみを補正する処理を行えば足りることとなる。
以上説明したように、第2実施形態の加速度センサ30の構造によれば、基台43に固定支持される段階で上記角度誤差を減少させるように傾斜して検出部50が固定支持されているので、より正確に検出すべき加速度の大きさ及び方向を検出することができる。
また、加速度センサ30自体でもって角度誤差を減少させるように構成されているので、加速度センサ30により検出された加速度を補正処理により補正して用いる場合においては、当該補正処理による補正可能範囲を実質的に拡大することができる。
更に、加速度センサ30自体でもって当該角度誤差を減少させるように構成されているので、当該加速度センサ30を含む第2実施形態のナビゲーション装置の製造工程において、加速度センサ30の当該ナビゲーション装置への取り付けに関しては上記角度誤差を減少させることを考慮することがなく従来と同様の方法・部材等を用いることができ、製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
更にまた、検出部50を構成する支持軸39を傾斜させて固定支持するので、当該検出部50が支持軸39に支持された静電容量式のものである場合でも、簡易な構成で正確に物理量を検出し、更に製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
また、加速度センサ30を含むナビゲーション装置を車両Cに取り付ける際の取付角度を考慮して検出部50の傾斜方向及び角度δが予め設定されているので、当該ナビゲーション装置においてより正確に必要な加速度の方向及び大きさを検出することができると共に、加速度センサ30自体が上記角度誤差を減少させるための構成を有しているので、加速度センサ30自体を傾斜させるための機構等を別途設ける必要がなく、更に第2実施形態のナビゲーション装置内でのスペース効率に影響を与えることもないので、ナビゲーション装置としての製造コスト自体を低減し更に歩留まりをも向上させることができる。
(III)第3実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第3実施形態について、図6及び図7を用いて説明する。
上述した第1実施形態では音叉型の圧電素子である検出素子27を用いたジャイロセンサに対して本発明を適用した場合について、また、第2実施形態では静電容量式の加速度センサに対して本発明を適用した場合について、夫々説明したが、以下に説明する第3実施形態では、IC(Integrated Circuit)化された加速度センサを含むと共に自身もまたバルクマイクロマシニング技術を利用してIC化されているセンサチップの構造に対して本発明を適用した場合について説明する。
なお、第3実施形態のセンサチップを備えたナビゲーション装置の車室内での取付の態様は、図1に示した第1実施形態のナビゲーション装置1の場合と全く同様であるので、細部の説明は省略する。
次に、第3実施形態に係るナビゲーション装置内に固定される第3実施形態に係るセンサチップの構造について、図6を用いて説明する。なお図6において、図6(a)は第3実施形態に係るセンサチップの外観を示す斜視図であり、図6(b)は第3実施形態のナビゲーション装置に対して装着された当該センサチップを図6(a)に1)矢印で示す方向から見た正面図であり、図6(c)は当該装着されたセンサチップを図6(a)に2)矢印で示す方向から見た側面図である。
先ず、図6(a)に示すように、第3実施形態に係るセンサチップ60は、ICチップとして一般的な外観を有しており、具体的には、樹脂等により形成されている本体55と、複数の接続端子56と、を備えている。ここで、第3実施形態に係るセンサ57は、センサチップ60の図6(a)における本体上面55Aに垂直な軸Jを傾斜中心として傾斜した状態で本体55内に埋め込まれた状態となっている。そして、当該接続端子56により上記センサ57を含む内部回路が装置基板20に電気的に接続されている。
次に、センサチップ60の第3実施形態のナビゲーション装置への装着状態について、図6(b)及び(c)を用いて説明する。
先ず、図6(b)及び(c)に示すように、センサチップ60は、第3実施形態のナビゲーション装置の底面を形成する装置筐体21に接続端子62を介して垂直に固定配置されたサブ基板61上に、当該サブ基板61の表面と上記本体上面55Aとが平行となるように固定設置されている。そして、センサ57を含むセンサチップ60の内部回路と装置基板20とは、上記接続端子56及び62並びにサブ基板61を介して電気的に接続されている。なお、サブ基板61のセンサチップ60が装着されている表面は車両Cの前進方向と平行とされている。
更に、サブ基板61上には、センサチップ60に電気的に接続されている図示しない内部回路が形成されており、車両Cに加わる加速度を検出するに当たって必要となる処理を実行する。
次に、センサチップ60の内部構造について説明する。
図6(a)及び(b)に示すように、センサチップ60の内部には、実際に車両Cに加わる加速度の方向及び大きさを検出するICチップ状のセンサ57が、上記軸Jを傾斜中心として、当該センサ57における検査軸Gが車両Cの前進方向を含む平面内で角度δだけ前進方向と反対方向を基準として時計回りに傾斜した状態で固定支持されている。
そして、このような内部構造を有するセンサチップ60が図6(b)及び(c)に示す如く装置筐体21に平行に固定配置されている装置基板20に垂直なサブ基板61の表面に固定支持され、更に当該装置筐体21を含む第3実施形態のナビゲーション装置がセンターコンソール102内に装着された場合には、当該装着時に当該ナビゲーション装置の後部が鉛直方向に下がることにより当該ナビゲーション装置自体が車両Cの前進方向を含む平面内で鉛直方向に傾斜することから、結果として図6(b)における反時計方向にセンサチップ60自体が傾斜することとなり、よって、図6(b)に示す検出軸Gの方向と車両の前進方向との角度差が角度δ分だけ減少することとなる。
ここで、センサチップ60により車両Cに加わる加速度を検出する場合には、従来と同様の取付角度補正用のプログラムに則って、ナビゲーション装置の取付角度に起因する上記誤差の補正処理が従来と同様に実行される。このとき、図6に示すようにセンサチップ60自体が予め角度δだけ当該取付角度を打ち消すように傾斜してサブ基板61上に固定支持されているので、当該補正処理として実際には、第3実施形態のナビゲーション装置のセンターコンソール102内への装着により発生する水平方向に対する傾斜角度(上記取付角度)から上記角度δを差し引いた残りの角度誤差のみを補正する処理を行えば足りることとなる。
以上説明したように、第3実施形態のセンサチップ60の構造によれば、本体55内に埋め込まれる段階で上記角度誤差を減少させるように傾斜してセンサ57が固定支持されているので、より正確に検出すべき加速度の大きさ及び方向を検出することができる。
また、センサチップ60自体でもって角度誤差を減少させるように構成されているので、センサチップ60により検出された加速度を補正処理により補正して用いる場合においては、当該補正処理による補正可能範囲を実質的に拡大することができる。
更に、センサチップ60自体でもって当該角度誤差を減少させるように構成されているので、当該センサチップ60を含む第3実施形態のナビゲーション装置の製造工程において、センサチップ60の当該ナビゲーション装置への取り付けに関しては上記角度誤差を減少させることを考慮することがなく従来と同様の方法・部材等を用いることができ、製造コストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
また、センサチップ60を含むナビゲーション装置を車両Cに取り付ける際の取付角度を考慮してセンサチップ60の傾斜方向及び角度δが予め設定されているので、当該ナビゲーション装置においてより正確に必要な加速度の方向及び大きさを検出することができると共に、センサチップ60自体が上記角度誤差を減少させるための構成を有しているので、センサチップ60自体を傾斜させるための機構等を別途設ける必要がなく、更に第3実施形態のナビゲーション装置内でのスペース効率に影響を与えることもないので、ナビゲーション装置としての製造コスト自体を低減し更に歩留まりをも向上させることができる。
なお、上述した第3実施形態においては、本体55に封入されているセンサ57自体を傾斜させたが、これ以外に、第3実施形態の変形形態として図7に例示するように、センサチップ60内に封入されるセンサ65そのものは図6に示す軸Jを中心として傾斜させることなく、センサ65としてのICチップを製造する段階において、検出軸G自体をセンサ65に対して傾斜させる構成でも上記第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
この点について、例えばセンサ65が容量検出式の加速度センサである場合について図7を用いて詳説する。
上述した第3実施形態のセンサチップ60においては、センサ55自体の中心軸(すなわち、センサ55上に想定される三方向の中心軸のうち水平方向に最も近く且つサブ基板61の表面に平行な中心軸)の方向と検査軸Gの方向とは平行とされていた。しかしながら、これに代えて、図7に内部平面図として例示する如く、外部端子71に接続された可動部70と、外部端子67、69及び73に夫々接続された容量検出部66、68及び72と、を含む容量検出式のセンサ65において、その検査軸G自体をセンサ65に対して上記角度δだけ傾斜させるのである。
そして、この状態のセンサ65を、それ自体は図6に示す軸Jを中心として傾斜させることなくセンサチップ内に埋め込み、当該センサ65が埋め込まれたセンサチップを図6に示す態様でサブ基板61に固定設置することとしても、上述した第3実施形態と同様の効果を奏することができるのである。
更に、上述した各実施形態及び変形形態においては、対応するプログラムに則った補正処理の効果を加味して傾斜角度δを設定したが、これ以外に、演算処理のみを用いた補正処理を全く行わず、ナビゲーション装置の取付角度が予め判っている場合にはその全てを各実施形態及び変形形態における角度δの傾斜により打ち消すように構成することができる。
また、上述した各実施形態及び変形形態においては、車両Cが前進するときに加わる加速度等の方向及び大きさを検出する場合について説明したが、これ以外に、車両Cが後進するときに加わる加速度等を精度よく検出することに本発明が適用できることは言うまでもない。
更に、上述した各実施形態及び変形形態においては、方向性を有する物理量として車両Cに加わる加速度等を検出する場合について説明したが、これ以外に、例えば車両の速度を直接検出する場合に本発明を適用することも可能である。