JP2006194126A - 排ガス処理設備およびそのパージ方法 - Google Patents

排ガス処理設備およびそのパージ方法 Download PDF

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【課題】逆洗や圧縮空気吹き込みや煤の加熱燃焼などの大掛かりな装置、手段を必要とせず、DPF中の堆積物の排出を効率よく行うことができる排ガス処理設備および方法を提供する。
【解決手段】多孔質波板と多孔質平板の対を基本単位とし、該多孔質波板の波板稜線が交互に直交するように積層された成形体であって、前記多孔質平板を介して前記多孔質波板との間にそれぞれ排ガスの流入経路と流出経路が形成されるフィルタ装置と、該フィルタ装置に堆積した堆積物を排ガスによりパージする排ガスのバイパス流路と、前記フィルタ装置の排ガス流路(フィルタ流路)と前記バイパス流路のいずれかを選択する切替弁とを有する排ガス処理装置を、排ガス源に対して並列に複数系列設け、前記フィルタ装置に堆積した堆積物のパージ時に、前記バイパス流路に流通させる排ガスの流速が、前記排ガス処理時のフィルタ流路の排ガスの流速よりも大きくなるように、前記パージする排ガス処理装置の系列を選択可能にした排ガス処理設備。
【選択図】図1

Description

本発明は排ガス処理設備およびそのパージ方法に係り、特にディーゼルエンジン(DE)排ガス、DE発電運転時にDPF中に堆積して差圧上昇の原因となる灰・煤を新たに特別な装置を用いることなく除去(排出)できることを可能とする排ガス処理設備およびそのパージ方法に関する。
ディーゼルエンジンは内燃機関の中で最も効率の高いものの1つであり、一定出力当りの二酸化(CO)排出量が低い。その上、重油などの低質の燃料を使用できるため経済的にも優れている。このため近年、地球温暖化防止のためエネルギー利用効率の高く、CO排出量の低いディーゼルエンジンを用いた車や定置式の発電設備が見直され、多用される傾向にある。
一方、重質油や軽油を燃料とするディーゼルエンジンは、未燃炭化水素と煤が一体化した粒状物質が多く、公害の元凶になっていることが社会問題になっている。このため、ディーゼルエンジンメーカ及び自動車メーカなど、各方面で粒状物質(ディーゼルパティキュレート、以下、DPと称することがある)の除去に関する研究、開発が進められ、優れた除去性能を有するフィルタや、前置の酸化触媒やフィルタに酸化触媒を担持して、排ガス中の一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)にして煤を燃焼させ、長期間煤の詰まりを防止できるようにしたDPフィルタ(DPF)に関する研究・発明がなされている(非特許文献1)。
DEの長時間の運転によりDPF中に堆積する灰・煤などの堆積物は、DPFの細孔に貯まり、目詰まりを起こし易く差圧上昇の原因となる。この閉塞対策として、一定間隔で一定時間、ガスを運転時の流路と逆に吹いて堆積物を排出したり、加熱することにより煤を燃焼するなどの対策がなされている(特許文献1)。
産業環境管理協会、環境管理 Vol.37、p441-449 特開2002−285820号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、逆洗や圧縮空気吹き込みや煤の加熱燃焼などの大掛かりな装置、手段を必要とせず、DPF中の堆積物の排出を効率よく行うことができる排ガス処理設備および方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは、排ガス浄化触媒が担持された多孔質波板と多孔質平板の対を基本単位とし、該多孔質波板の波板稜線が交互に直交するように積層された成形体を有し、該成形体の前記波板稜線と直交する側面の一つの面、または該直交する側面であって互いに隣接する二つの面が閉止され、前記多孔質平板を介して前記多孔質波板との間にそれぞれ排ガスの流入経路と流出経路が形成されているPM含有排ガス浄化用フィルタ(以下、交差型DPFと称する)および上記積層体に前記波板稜線の一方向から排ガスを流入させる手段と、該排ガスが流入する面と反対側の面、または該面および排ガスが流入する方向と直交する側面の一つの面の排ガス流路に排ガスの通過と遮断の切替弁を設けた排ガス浄化装置を提案した(特願2004−099149号)。この交差型DPFは、図7に示すように波板1と平板2を交互に積層した構造となっており、図8に示すように流路aおよび流路bの出口にバルブ4を設けてバルブを切替えることにより、DP板を通過して流路bに移り、その際にガス中に含まれるDPは濾過、除去される(フィルタモード)。またDP除去運転により堆積した灰や煤は流路bの出口バルブを閉にすることにより吹き出すことができる(パージモード)。上記交差型DPFは、他に比べて特別な装置を必要とすることなく堆積物の排出が可能であるが、長時間運転に伴い、堆積した灰、煤の一部は、図9にあるようにフィルタの細孔内に押し込まれた状態となり、堆積物吹き出し間隔を短くすると差圧が徐々に上昇するということが懸念されていた。
本発明は、上記交差型DPFの課題を解決し、DPF中の堆積物の排出をより容易に行うことができる設備および方法を提供するものである。
本願で特許請求される発明は下記のとおりである。
(1)多孔質波板と多孔質平板の対を基本単位とし、該多孔質波板の波板稜線が交互に直交するように積層された成形体であって、該成形体の前記波板稜線と直交する側面の1つの面、または該直交する側面の互いに隣接する二つの面が閉止され、前記多孔質平板を介して前記多孔質波板との間にそれぞれ排ガスの流入経路と流出経路が形成されるフィルタ装置と、前記閉止された面を開放して該フィルタ装置に堆積した堆積物を排ガスによりパージする排ガスのバイパス流路と、前記フィルタ装置の排ガス流路(フィルタ流路)と前記バイパス流路のいずれかを選択する切替弁とを有する排ガス処理装置を、排ガス源に対して並列に複数系列設け、前記フィルタ装置に堆積した堆積物のパージ時に、前記バイパス流路に流通させる排ガスの流速が、前記排ガス処理時のフィルタ流路の排ガスの流速よりも大きくなるように、前記パージする排ガス処理装置の系列を選択可能にしたことを特徴とする排ガス処理設備。
(2)前記複数系列のバイパス流路とフィルタ流路をそれぞれ共通化し、該共通化した流路に開閉弁を設けたことを特徴とする(1)記載の設備。
(3)前記複数系列のバイパス流路とフィルタ流路をそれぞれ共通化し、該共通化した流路を三方弁を介して接続したことを特徴とする(1)記載の設備。
(4)(2)または(3)記載の設備において、前記フィルタ装置のパージ時に、少なくとも一つの系列の2以上の排ガス処理装置のバイパス流路を開にし、他の系列のバイパス流路は閉にして前記系列の排ガス処理装置をパージすることを特徴とする排ガス処理設備のパージ方法。
通常のDPF装置においては、1基のDEに対して通常はDPF装置1基が配置される。すなわち、図6は1基のDE7に対して1基のDPF装置3が配置された通常のシステムを示す。DPF出口には、フィルタ装置と連通したフィルタ側(除塵)ラインと、堆積物をパージするためのバイパス側ラインが設けられ、バイパス側にはバルブ4が設けられている。8は煙突である。これに対して本発明では、1基または複数のディーゼルエンジンに対して比較的小型のDPF装置を並列に、複数基に分割して配置する。すなわち、図1は、本発明の基本的な概念を示すもので、図6のDPF装置を、例えば4基のDPF装置3に分割したシステムの系統図である。図1ではひとつの排ガス源(DE)に対して複数のDPFを設けているが、図2の(B)のように排ガス源はひとつに限らず、複数であっても良い。このシステムにおいて運転時は全DPF装置のバイパス側を閉、フィルタ側を開とし、PM除去を行う。一定時間運転後、4基のDPF装置の内、2基のバルブを全閉し、残りの2基をバイパス側に切り替える。これによりバイパス側の流速は通常の2倍になる。
図2および図3は図1のシステムを改良したものであり、図2ではバルブ4つ(4-a、4-b、4-c、4-d)、図3では三方バルブ9を2つ使用することにより、より少ないバルブでの運用が可能になり、経済的かつ実用的なシステムとすることができる。
上記DPF装置の分割及び全閉する割合に特に制限はないが、流速が大きくなりすぎると装置(システム)全体の圧力損失が高くなること、また短時間ではあるがフィルタ単位濾過面積あたりの煤供給量が増加して負荷が掛かり過ぎること、およびDPFが破損する恐れがあるので、燃焼灰の払い落としのための流速は一定限抑えることが好ましい。本発明の交差型DPFを構成する多孔質波板および多孔質平板には、酸化チタンその他の金属酸化物、白金等の排ガス浄化用触媒が担持されていてもよい。
以上に述べたように、DPF装置を分割して堆積物吹き出しの流速を大きくすることにより、フィルタ細孔内に押し込まれた灰・煤をも排出することが可能となり、これによりDPF装置の長期安定運転が可能となる。
本発明によれば、従来のシステムに対して新たな特別な設備を必要とせず、効率的な堆積物の排出が可能となる。また大型ディーゼル発電のニーズが高まる中で、DPF装置の分割は必然であり、本発明の効果がより発揮される。
以下具体例を用いて本発明を詳細に説明する。
シリカアルミナ繊維の不織布からなる板厚0.2mmの交差コルゲートハニカム(波板ピッチ6.3mm、平板平板間隔2.5mm、ニチアス社製、外寸300mm×300mm×300mm)に15%TiO2ゾル(石原産業社製)を含浸後、エアーブローにより液切り、150℃乾燥、ジニトロジアンミン白金溶液(Pt濃度:1.33g/L)を含浸、再度乾燥後、600℃で焼成して、Pt担持量0.2g/Lの酸化触媒付DPF用基材を作成した。
このDPF2個でDPF装置1基を構成し、550kWDE発電設備に対して図2の(A)に示したように4基(DPFは8個)を設置し、300℃で排ガスのPM除去を実施した。550kWDE発電設備からの総排ガス流量は構成システムやエンジン仕様により異なるが、本実施例では約3000Nm3/hであった。このシステムを用いてフィルタ側ライン(図2の(A)のバルブ4-b、4-dは閉、4-a,4-cは開の状態)で運転する場合は、合計8個のDPFで約3000Nm3/hの排ガスを処理することになるが、この運転を50分間実施した。その後、モードIとしてバルブ4-a、4-c、4-dは閉、4-bは開にして5分間、引き続きモードIIとしてバルブ4-a,4-b,4-cは閉、4-dは開にして5分間を、繰り返して運転した。
モードI及びIIの際には、4個のDPFに約3000m3N/hのDE排ガスが導入され、DPFの通過流速はフィルタライン(8個のDPF)通ガス時の2倍になる。
[比較例1]
実施例1と同様に作成したDPF8個よりなるDPF装置1基を、図2の(A)に示すように550kWDE発電設備に設置し、300℃においてPM除去を実施した。このシステムに於いて4-b、4-dを開にして4-a、4-cを閉にした場合の排ガス流量は、通常のフィルタ側ラインを流れるガス量と同じで流速も同等である。このシステムで55分間フィルタ側に排ガスを流し、その後、バルブを開にしてバイパスで5分間通ガスする操作を繰り返して運転した。
実施例1および比較例1の運転において差圧の経時変化を比較した。
比較例1の結果を図4に、実施例1の結果を図5にそれぞれ示した。これらの図から明らかなように、比較例1の場合の55分−5分では差圧が上昇するのに対し、バイパスの流速を大きくした方(2倍)がPM除去50分−バイパス5+5分の運転においても経時的な差圧の上昇は見られない。この結果から明らかなように、バイパス流路の流速を大きくすることにより、運転時にフィルタに詰まった堆積物をより多く排出することが可能なことが分る。
本発明の排ガス処理設備を単純に反映したシステムを示す図。 本発明の排ガス処理設備をより実用化に近づけたシステムを示す図。 本発明の排ガス処理設備をより実用化に近づけたシステムを示す図。 本発明の比較例の結果を示す図。 本発明の実施例の結果を示す図。 通常のDPFシステムを示す図。 交差型DPFの基本構成を示す図。 交差型DPFの作用を説明する説明図。 DPFの細孔内に閉塞物が堆積する様子を示す模式図。
符号の説明
1.多孔質波板、2.多孔質平板、3.交差型DPF装置、4.バルブ、5.DPFエレメント(フィルタ)、6.堆積物(灰・煤)、7.ディーゼル発電機、8.煙突、9.三方バルブ。

Claims (4)

  1. 多孔質波板と多孔質平板の対を基本単位とし、該多孔質波板の波板稜線が交互に直交するように積層された成形体であって、該成形体の前記波板稜線と直交する側面の1つの面、または該直交する側面の互いに隣接する二つの面が閉止され、前記多孔質平板を介して前記多孔質波板との間にそれぞれ排ガスの流入経路と流出経路が形成されるフィルタ装置と、前記閉止された面を開放して該フィルタ装置に堆積した堆積物を排ガスによりパージする排ガスのバイパス流路と、前記フィルタ装置の排ガス流路(フィルタ流路)と前記バイパス流路のいずれかを選択する切替弁とを有する排ガス処理装置を、排ガス源に対して並列に複数系列設け、前記フィルタ装置に堆積した堆積物のパージ時に、前記バイパス流路に流通させる排ガスの流速が、前記排ガス処理時のフィルタ流路の排ガスの流速よりも大きくなるように、前記パージする排ガス処理装置の系列を選択可能にしたことを特徴とする排ガス処理設備。
  2. 前記複数系列のバイパス流路とフィルタ流路をそれぞれ共通化し、該共通化した流路に開閉弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の設備。
  3. 前記複数系列のバイパス流路とフィルタ流路をそれぞれ共通化し、該共通化した流路を三方弁を介して接続したことを特徴とする請求項1記載の設備。
  4. 請求項2または3記載の設備において、前記フィルタ装置のパージ時に、少なくとも一つの系列の2以上の排ガス処理装置のバイパス流路を開にし、他の系列のバイパス流路は閉にして前記系列の排ガス処理装置をパージすることを特徴とする排ガス処理設備のパージ方法。
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