JP2006193349A - ガラスの製造方法及びガラス製造装置、並びにこれらに用いる保護部材 - Google Patents

ガラスの製造方法及びガラス製造装置、並びにこれらに用いる保護部材 Download PDF

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Abstract

【課題】
光学ガラスの材料を溶融容器に供給する際、溶融容器の内面で、かつ、溶融ガラスの液面と接触する部分に生じる熱衝撃を緩和し、熱衝撃による溶融容器の疲労や破損を防止する。
【解決手段】
光学ガラスの材料を溶融させる溶融槽(溶融容器)20と、この溶融槽20に連続的又は間歇的に前記材料を供給する材料供給部(材料供給手段)10とを備える光学ガラスの製造装置であって、溶融槽20の内面における溶融ガラス液面と接触する部分に沿って、溶融ガラス液面に接する部分が、複数の分割体73からなるように形成された保護部材70を配置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラスの材料を連続的又は間歇的に溶融容器に供給し、この溶融容器内で前記材料を溶融させた後、連続的に次工程に供給するガラスの製造方法、及びこのような方法に用いるガラスの製造装置、保護部材に関し、特に、白金などの貴金属又は貴金属合金からなる溶融容器を用いて前記材料を溶融させる光学ガラスの製造に好適な装置と方法に関する。
ガラスは、主として粉体のガラス成分酸化物(ガラス原料バッチ)を材料とし、これを高温で溶融することによって製造される。特に、光学ガラスは、正確で均質な光学的特性を必須とするため、製造に際しては、材料の配合を厳密に行った上で、これを適量ずつ溶融容器に投入することが要求される。
光学ガラスの材料を溶融容器に供給し、加熱によって溶融ガラスとする工程では、白金や白金合金からなる溶融容器を用いることが知られている。これら白金などの貴金属溶融容器は、加工が容易なだけでなく、溶融した光学ガラスを収容しても比較的侵食が少ないため、光学ガラスの溶融に適している。
しかしながら、このような溶融容器は、光学ガラスの溶融温度である1000〜1400℃程度の過酷な条件で使用され、熱による変形や亀裂が発生する可能性があるため、予め補強などの対策を講じる必要がある(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1では、白金容器又は白金管における溶接部分の変形を防止するために、白金テープによる鍛接補強を行っている。また、白金テープは、端部が波型としてあり、鍛接位置の境界に亀裂が生じることを防止している。
特公昭64−6854号公報
上記した特許文献1の溶融容器では、溶接部分の補強を行っているが、光学ガラスの溶融工程では、溶融容器の内側で、かつ、溶融ガラスの液面と接触する部分にも亀裂などが発生するという問題がある。その第一の原因としては、溶融ガラスの液面と溶融容器の接触点が、気相、液相、固相の共存点になることが挙られる。これは、気相、液相、固相の共存点が、化学的に活性なため、溶融容器が侵食されやすいからである。
また、光学ガラスの製造においては、生産効率を高めるために、いわゆる連続溶融を行うことができる。この場合、溶融するガラス材料は、連続的又は間歇的に溶融容器に供給される。
ガラス材料を連続的又は間歇的に溶融容器に供給すると、溶融容器内で既に溶融された溶融ガラスの液面付近は、それよりも低温のガラス材料が供給されることによって瞬間的に降温する。通常、供給するガラス材料と溶融容器内の溶融ガラスには、1000℃を超える温度差があるため、溶融容器の内側で、かつ、溶融ガラスの液面に接触する部分が、大きな熱衝撃を受けることになる。これが、上記問題の第二の原因である。
なお、上記の熱衝撃を緩和するために、ガラス材料を予め加温しておくことも考えられるが、その場合でも、ガラス材料と溶融ガラスの温度差は1000℃前後であり、熱衝撃の影響は大きい。
したがって、ガラス材料が連続的に供給される溶融容器では、その液面付近に、降温による局所的な体積収縮に起因する大きな応力がかかることになる。更に、ガラス材料が間歇的に投入される溶融容器では、ガラス材料の供給周期で熱衝撃が繰り返され、そのたびに溶融容器の液面付近に大きな応力がかかる。これにより、溶融容器の液面付近は、次第に疲労して強度が損なわれるだけでなく、亀裂などが発生して破損する可能性がある。
溶融容器が一部でも破損した場合は、溶融ガラスが漏れ出し、製造を続けることが困難になるため、溶融容器の補修や交換が必要になる。溶融容器の補修や交換を行うには、多額のコストに加え、相当期間の製造中止を強いられることになる。
更に、光学ガラスの製造においては、ガラス材料として、主としてガラス原料バッチ(ガラス化前の粉体原料をいう)を用い、これを間歇的、又は連続的に溶融容器に供給してガラス化(直接溶融)させるとともに、得られた溶融ガラスを連続的に次工程(例えば、清澄工程、均一化工程、粘度調整工程など)に供給する(連続溶融)方法(以下、直接連続溶融法という)がある。
直接溶融は、いったん溶融し、ガラス化したものを粉砕したガラス材料(いわゆるカレット)を再度溶融容器中で溶融して所望の光学ガラスとする方法(以下、間接溶融法という)とは異なり、溶融容器に供給された瞬間に、容器中の溶融ガラスの液面付近で化学反応が開始する。したがって、単に、温度の低い材料が供給される場合に生じる液面の温度降下に比べると、反応熱(例えば、反応に伴う水の気化熱)を伴う大きな降温、それに次いで生じる温度回復(昇温)が発生する。
さらに、連続溶融を行うと、ガラス化したものを順次連続的に次工程に送り込み、清澄、均一化、粘度調整などの一連の処理を順次行う。すなわち、時系列的に施すべき処理を、二次元的に異なる位置で行うことで、実質的な生産所要時間を著しく短縮することができる。しかしながら、この場合、溶融容器におけるガラス材料の供給と、次工程への送り出しはバランスして行う必要があり、このとき、溶融容器における溶融ガラスの液位(溶融ガラスの液面の高さ)は常に略一定、つまり所定範囲内にあることになる。従って、溶融容器の一定部位は、常に液面付近に相当し、上記降温、昇温による熱衝撃が集中する。
上記のような、過酷な負担を溶融容器に与えたとしても、直接連続溶融法は、量産方法としては極めて有利である。すなわち、間接溶融法における、ガラスの固化、粉砕の一連の工程を完全に省略することができるからである。
本発明者らは、先に、ガラス溶融容器を保護するため、昇温降温の熱衝撃を緩和する着脱可能な保護部材の提案を行った(特願2003−284303号)。しかしながら、溶融容器の保護の点では一定の効果が得られたが、保護部材の寿命が必ずしも十分ではなかった。すなわち、光学ガラスの侵食によって保護部材が損傷を受け、その一部が溶融容器内に脱落する等危険が生じた。
例えば、最近の撮像機器等に求められる光学ガラスとして、高屈折率(例えば、ndが1.7〜2.0)のもの、及び低屈折率低分散(例えば、ndが1.6以下、νd(アッベ数)が60以上)のものがある。これらのうち、高い屈折率を得るために、高屈折率成分(Tiなど)を多く含有する光学ガラスは、白金に対する侵食性が極めて高い。また、低屈折率低分散の光学ガラスも、成分として含有されるフッ素などの影響により、侵食性が高くなる。
また、主たる骨格成分としてホウ酸を含有するもの(ホウ酸塩ガラス)においては、上記の直接連続溶融を行うと、ガラス化反応時の気化熱が大きく、反応部位における温度回復が鈍いため、溶融容器に与える影響が大きい。
本発明者らは、上記のように過酷な条件下でも溶融容器を保護する機能が十分得られ、かつ、保護部材自体の寿命も延長できることを目的として、本発明を完成した。
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、ガラスの材料を溶融容器に供給する際、溶融容器の内側で、かつ、溶融ガラスの液面と接触する部分に生じる熱衝撃を緩和し、熱衝撃による溶融容器の疲労や破損を防止することができるガラスの製造装置及び製造方法、並びにこれらに用いる保護部材の提供を目的とする。特に、溶融温度が高く、溶融温度における粘性が低い上に、求められる光学性能に対応するために溶融容器を浸食しやすい種類の光学ガラスの製造に適した方法の提供を目的とするとともに、装置と保護部材の損傷を軽減し、その寿命を長くすることを目的とする。また、直接連続法によって極めて生産性高くガラスを製造することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明におけるガラスの製造方法は、ガラスの材料を連続的又は間歇的に溶融容器に供給し、前記溶融容器内で溶融したガラスを連続的に次工程に供給する工程を含むガラスの製造方法であって、前記溶融容器の内面における溶融ガラス液面と接触する部分と、前記溶融ガラス液面における前記材料が供給される部位との間に、前記溶融ガラス液面に接する部分が複数の分割体からなるように形成された保護部材を介在させる方法としてある。
このような方法とすれば、ガラスの連続的な生産過程において、ガラスの材料を溶融容器に供給する際、溶融容器の内面で、かつ、溶融ガラスの液面と接触する部分に生じる熱衝撃を緩和し、熱衝撃による溶融容器の疲労や破損を防止することができる。これにより、溶融容器の寿命を延長することができるだけでなく、溶融容器の破損による生産性の低下や溶融容器の補修コストを抑制することができる。
しかも、保護部材は、溶融ガラス液面に接する部分を複数の分割体からなるように形成することにより、熱衝撃を緩和するに際し、瞬時に膨張、収縮することが許容され、さらに、個々の分割体の膨張量及び収縮量を小さくすることができるため、内部応力がより軽減され、損傷し難くなっている。これにより、保護部材自体の長寿命化も可能である。
また、本発明におけるガラスの製造方法は、前記材料が、ガラス原料バッチであるのが好ましい。
このように、材料供給時に生じる溶融ガラス液面の温度変動が大きいガラス原料バッチを用いた場合でも、溶融ガラス液面に生じる大きな熱衝撃を速やかに緩和し、溶融容器及び保護部材の損傷を抑止できる。このため、ガラス原料バッチを用いて、量産に有利な方法とすることができる。
また、本発明におけるガラスの製造方法は、前記ガラスが、ホウ酸塩光学ガラス、屈折率ndが1.7以上の光学ガラス、又は屈折率ndが1.6以下で分散νdが65以上の光学ガラスのいずれかであるのが好ましい。
このように、溶融容器を浸食しやすい種類の光学ガラスを用いた場合でも、溶融ガラス液面に生じる大きな熱衝撃を速やかに緩和し、溶融容器及び保護部材の損傷を抑止することができるため、溶融容器を侵食しやすいこの種の光学ガラスを用いる場合に、本発明の効果が顕著となる。
また、本発明におけるガラスの製造方法は、前記溶融容器の上端周縁部に、前記保護部材を着脱可能に支持させるとともに、前記保護部材の下端を自由端とした方法とすることができる。
このような方法とすれば、保護部材が、その長寿命にもかかわらず損傷、劣化した場合であっても適宜交換することが可能となり、溶融容器へのダメージを長期間軽減することができる。また、保護部材の下端を自由端とすれば、保護部材が熱衝撃を受けても、下端側での収縮及び膨張が許容されるので、それに伴う内部応力を軽減し、保護部材の変形や破損を防止することができる。
また、本発明におけるガラスの製造方法は、前記溶融容器の底部に、前記保護部材を支持させるとともに、前記保護部材の上端を自由端とした方法とすることができる。
このような方法とすれば、保護部材が熱衝撃を受けても、上端側での収縮及び膨張が許容されるので、それに伴う内部応力を軽減し、保護部材の変形や破損を防止することができる。
また、本発明におけるガラス製造装置は、ガラスの材料を溶融させる溶融容器を備えたガラス製造装置であって、前記溶融容器の内面における溶融ガラス液面と接触する部分と、前記溶融ガラス液面における前記材料が供給される部位との間に介在するように保護部材が配置され、前記保護部材が、前記溶融ガラス液面に接する部分が複数の分割体からなるように形成された構成としてある。
このような構成とすることにより、溶融容器の寿命を延長することができるだけでなく、溶融容器の破損による生産性の低下や溶融容器の補修コストを抑制することができ、保護部材自体の長寿命化も可能である。
また、本発明におけるガラス製造装置は、前記溶融容器の水平断面形状が円形であり、前記保護部材の中心軸が、前記溶融容器の中心軸とほぼ一致するように、前記保護部材が前記溶融容器内に配置される構成とすることができる。
このように構成すれば、溶融容器の強度を高くし、また、保護部材による熱衝撃の緩衝効果をより効果的に発揮させることができる。
また、本発明におけるガラス製造装置は、前記溶融容器の内面との間に隙間が生じるように、前記保護部材を前記溶融容器内に配置した構成とすることができる。
このように構成すれば、保護部材による熱衝撃の緩衝効果をより効果的に発揮させることができる。
また、本発明における保護部材は、ガラスの材料を溶融させる溶融容器内に配置される保護部材であって、前記溶融容器の内面における溶融ガラス液面と接触する部分と、前記溶融ガラス液面における前記材料が供給される部位との間に介在するように配置され、前記溶融ガラス液面に接する部分を有し、かつ、当該部分が複数の分割体からなるように形成された構成としてある。
このように構成すれば、ガラスの材料を溶融容器中の溶融ガラスに供給する際に、溶融ガラス液面に材料供給を行うことにより発生する熱衝撃を緩和して、熱衝撃による溶融容器の疲労や破損を防止することができるだけでなく、保護部材自体の寿命も長くすることができる。
また、本発明における保護部材は、前記溶融容器内に配置したときに、前記溶融容器の内面との間に隙間が生じるように、前記溶融容器の上端周縁部に着脱可能に支持させる支持部を備えた構成とすることができる。
このように構成すれば、保護部材による熱衝撃の緩衝効果をより効果的に発揮させることができるとともに、保護部材が、その長寿命にもかかわらず損傷、劣化した場合であっても適宜交換することが可能となり、溶融容器へのダメージを長期間軽減することができる。
以上のように、本発明によれば、溶融容器の内面における溶融ガラス液面と接触する部分に沿って、溶融容器内に配置された保護部材を用いることにより、ガラスの材料を溶融容器に供給する際、溶融容器の内面における溶融ガラスの液面と接触する部分に生じる熱衝撃を緩和し、熱衝撃による溶融容器の疲労や破損を防止することができる。しかも、熱衝撃を緩和するために溶融容器内に配置される保護部材は、溶融ガラス液面に接する部分を複数の分割体からなるように形成することにより、それ自体が損傷し難くなっている。
これにより、溶融容器の寿命を延長することができるだけでなく、保護部材自体の寿命も長くすることができ、溶融容器の破損による生産性の低下、さらには、溶融容器や保護部材の補修コストを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の実施形態では、光学ガラスを製造する装置と方法について説明するが、本発明は、光学ガラス以外のガラスを製造する場合の装置と方法にも適用することができる。
[光学ガラスの製造装置]
まず、本発明に係る光学ガラスの製造装置について説明する。図1は、光学ガラスの製造装置の概略を示す正面図、図2は、保護部材の概略斜視図である。
これらの図に示すように、光学ガラスの製造装置は、光学ガラスの材料を連続的又は間歇的に供給する材料供給部(材料供給手段)10と、材料供給部10から供給される材料を収容し、これを溶融する溶融槽(溶融容器)20と、連結パイプ30を介して溶融槽20に接続され、溶融槽20から供給される溶融ガラスの脱泡処理などを行う清澄槽40と、連結パイプ50を介して清澄槽40に接続され、清澄槽40から供給される溶融ガラスの粘度調整などを行う作業槽60とを備えている。
溶融槽20は、上方が開口した容器であり、例えば、白金・ロジウム、白金・金などの白金含有合金や、白金、ロジウム、金、イリジウム、パラジウムなどの貴金属からなっている。
また、溶融槽20は、高周波誘導などの加熱手段を備え、その加熱により光学ガラスの材料が溶融される。加熱手段は、溶融ガラスの温度をほぼ一定に保つように加熱を行うが、低温の材料を溶融槽20に供給すると、溶融ガラスの液面付近において温度が急激に低下し、溶融槽20の液面接触部分が大きな熱衝撃を受けることになる。また、ガラス原料バッチの供給によって、ガラス化反応による熱衝撃も生じる。本発明では、この問題を解決するために保護部材70を用いる。
保護部材70は、溶融槽20の内面における溶融ガラス液面と接触する部分に沿って溶融槽20内に配置されるように、溶融槽20に取り付けられる。
保護部材70を溶融槽20内に配置するにあたり、保護部材70は、例えば、溶融槽20の内側において、溶融槽20の内面における溶融ガラス液面と接触する部分と、溶融ガラス液面におけるガラス材料が供給される部位との間に介在するように配置する。すなわち、ガラス材料の供給を受けて生じる溶融ガラス液面の降温・昇温が、溶融槽20に対して熱衝撃を与える以前に、保護部材70に対して与えるように配置され、溶融槽20に取り付けられる。
本実施形態では、溶融ガラスの液面に接する筒部71と、筒部71の上端から外側方へ延出するフランジ部72とを備えるものとできる。この場合、保護部材70は、保護部材70が損傷、劣化したときの交換が容易となるように、フランジ部72を支持部として、溶融槽20の上端周縁部に着脱可能に支持された状態で、溶融槽20に取り付けることができる。
上記のように溶融槽20に取り付けられた保護部材70は、溶融槽20に光学ガラスの材料が投入されたときに発生する溶融ガラスの急激な降温に伴う熱衝撃を吸収し、溶融槽20への熱衝撃を和らげる働きをする。また、降温による熱衝撃を抑制することによって、ガラス材料の投入後における溶融ガラスの昇温に伴う熱衝撃(膨張)も抑制する働きをする。
例えば、光学ガラスの材料を溶融槽20に間歇投入する場合、保護部材70が無ければ、その周期毎に溶融槽20の内部における液面付近が数100℃〜1000℃超の温度振動による熱衝撃を受けることになる。このとき、本実施形態のように、ガラス化したガラス溶融液が、溶融槽20から、次の工程が行われる清澄槽40や作業槽60などに連続的に供給される場合、ガラス溶融、及びそれに次ぐ工程(清澄、均一化、粘度調整など)が異なる位置で常に平行して進行するため、溶融槽20内の溶融ガラスの液位は、ほぼ一定である。したがって、上記の熱衝撃は、溶融槽20の実質的に同一レベルの部位において恒常的に生じることとなる。
この温度振動は、投入量が多いほど大きく、ガラス材料としてガラス原料バッチを用いた場合に顕著となる。また、溶融槽20の径が小さいほど大きい。保護部材70を取り付けた場合は、温度振動による熱衝撃を数分の一以下に抑えることができる。
より具体的な例を挙げると、図6に示すように、溶融槽20に保護部材70を取り付けないと、溶融ガラスの液面付近の溶融槽20の外側の温度が、材料投入により直ちに低下し、次いで回復するという温度振動が周期的に繰り返される。保護部材70を取り付けると、図5に示すように、その温度変動幅は、数分の一以下に抑えられる。
なお、図5及び図6は、光学ガラスの材料を溶融槽20に間歇投入したときの溶融槽20の外側での温度変化を示しているが、詳細については後述する。
このような溶融槽20への熱衝撃を和らげる緩衝効果が、より効果的に発揮されるようにするためには、保護部材70は、筒部71と溶融槽20の内面との間に隙間が生じるように、溶融槽20の内面に所定の間隔をおいて対向するように取り付けるのが好ましい。
このためには、例えば、図3に示すように、フランジ部72の外周端縁に沿って垂下片75を設け、この垂下片75を溶融槽20の外面などに当接させることによって、保護部材70が位置決めされるようにすればよい。溶融槽20は、その外側を耐熱保護材80で覆うことができ、例えば、図示するように、垂下片75は、耐熱保護材80の外面に当接させることができる。また、垂下片75は、フランジ部72の全周にわたって設けてもよいが、例えば、フランジ部72の外周端縁に沿って等間隔に2以上の垂下片を設けるというように、保護部材70の位置決めに必要な数だけ、適当な位置に部分的に設けることもできる。
これらの構成は、溶融ガラス液面においては、保護部材70の受ける熱衝撃を、上記隙間の溶融ガラスが緩衝し、溶融槽20に対する熱衝撃を、よりいっそう低下させる効果がある。更に、溶融槽20と保護部材70との接触面積を少なくすることができ、保護部材70から溶融槽20への熱衝撃の伝達を抑止するとともに、両者の収縮量及び膨張量の差や、体積変化の方向性の違いにより、応力を互いに及ぼし合うのを避ける上でも有効である。
なお、図3では、作図上、各部材を離間させているが、溶融槽20、フランジ部72及び垂下片75は、耐熱保護材80に密着又は当接しており、フランジ部72は、溶融槽の20の上端周縁部に当接している。
溶融槽20への熱衝撃を和らげる緩衝効果を発揮するに際して、保護部材70自体も、材料供給による溶融ガラスの降温及びその後の昇温による温度振動により、溶融ガラスの液面付近で局所的な収縮及び膨張を繰り返すことになる。このため、長期使用による保護部材70の侵食は避けられないが、保護部材70の侵食が進んだとしても、溶融ガラスを外部に流出させることがないので、生産への影響は軽微である。また、侵食により保護部材70が劣化した場合は、保護部材70を補修あるいは交換することにより、溶融槽20を長期にわたって継続的に熱衝撃から保護することができるが、保護部材70の寿命は可能な限り長くすることが望ましい。
図示する例では、局所的な収縮及び膨張により保護部材70に作用する応力を極力小さくして、保護部材70の長寿命化を図るために、保護部材70の溶融ガラス液面に接する部分を、複数の分割体73からなるように形成している。
より具体的には、溶融槽20内に保護部材70を配置したときに、保護部材70の筒部71は下端側が溶融ガラス中に浸漬されるが、溶融槽20内に配置した状態において、筒部71の下端から溶融ガラスの液面上に露出する部分にわたる範囲に、筒部71の下端側に開口する複数のスリット74を設けることにより、溶融ガラス液面に接する部分が複数に分割されている。
このとき、各分割体73は、上端側で筒部71の残部に一体に連設されているが、下端及びスリットにより分割された両側端は自由端となっており、温度振動による上下方向及び水平方向の収縮及び膨張が許容される形状となっている。これにより、保護部材70の各分割体73は、瞬時に膨張、収縮することが許容され、さらに、分割して体積を減ずることで、個々の分割体73の膨張量及び収縮量を小さくすることができるため、保護部材70に作用する内部応力がより軽減され、保護部材70の変形や破損が防止される。
さらに、分割体73を、複数のスリット74により分割して形成すれば、多数の分割体を組み合わせて一体とする必要がなく、保護部材70の成形が簡易であるとともに、使用期間を通じて保護部材70としての一体性が維持された状態で、上記した熱衝撃の緩衝効果を十分に発揮することが可能であり、保護部材70が損傷、劣化した場合の補修や交換などの作業も行い易い。
保護部材70の溶融ガラス液面に接する部分を分割するスリット74は、保護部材70の全周にわたって、ほぼ等間隔に形成されることが好ましい。
このとき、スリット74の数は、溶融するガラスの組成に起因する溶融温度、溶融槽20の大きさ、溶融槽20の肉厚、及び材料供給の頻度などを考慮し、保護部材70が受ける熱衝撃の度合に応じて適宜決定される。
スリット74の数が多ければ、形成される分割体73の数も増え、熱衝撃に対する収縮・膨張の応答性を高めるとともに、収縮量及び膨張量の分散が可能であり、応力緩和効果が高くなる。しかし、スリット74の数が多すぎると、保護部材70による熱衝撃遮蔽効果(溶融槽20に与える熱衝撃を遮蔽する効果)が低下し、また、個々の分割体73の寸法が小さくなるために物理的強度が低下する傾向がある。
このため、スリット74の数は4〜50個の範囲内とすることが好ましく、スリット幅sは1〜10mmの範囲内とするのが好ましい。また、各分割体73の水平方向の幅は20〜1000mmの範囲で選択することが好ましく、分割体73の寸法が大きすぎると上記応力緩和効果が低下し、小さすぎると物理的強度が低下する。
図示する例において、スリット74は、筒部71の下端側を始点とし、終点が筒部71の溶融ガラスの液面上に露出する部分に位置するように形成されているが、スリット74の始点から終点までの長さは、溶融ガラスの液位の変動を考慮して適宜設定することができる。後述するように、連続溶融炉では、溶融ガラスの液位に大きな変動が生じないようにすることができるが、それでも若干の変動が生じ得る。このため、スリット74により形成される分割体73が、常に溶融ガラス液面に接している状態となるように、スリット74の浸漬深さを設定するのが好ましい。
さらに、スリット74は、その鉛直方向の長さを所定長Lとするとき、常に溶融ガラス液面より上にL/2以上の部分が露出し、液面下にはL/2未満の部分が浸漬しているようにすることが好ましい。
これは、以下の点で非常に効果がある。すなわち、保護部材70は、溶融ガラス液面付近に熱衝撃を受けるが、この影響は、液面上と液面下に同等に生じるのではなく、液面より上側の部分が受ける影響が大きい。保護部材70の溶融ガラス液面付近において生じた局所的な温度振動は、液面下の部分では、熱容量が大きい(したがって、常に所定温度範囲内にある)ガラス溶融液との接触によって、所定温度範囲からの変動は軽微だが、液面より上の部分では、上記のガラス溶融液による緩衝作用が無いため、液面より上の所定距離の部位に昇温に起因する熱膨張に伴う歪が達する。このように、本発明が解決しようとする保護部材の破損(又は、溶融容器自体の破損)は、溶融ガラス液面より上の所定範囲部分に生じやすい。
したがって、溶融ガラス液面より上であって、歪の到達する部位にわたって、スリット74が設けられているのが好ましい。換言すれば、所定の寸法のスリット付保護部材としたとき、スリット74の大半を溶融ガラス液面より上に位置させることが最も効率的であり、より好ましくは、スリット74の溶融ガラスの液位上の部分(a)と液位下の部分(b)の寸法比(a/b)は、7/3以上である。このようにすると、さらに効率的にスリット74が作用する。
以上のことを考慮して、例えば、ガラス材料の供給量と次工程への溶融ガラスの供給量、及びこれらのタイミングなどを適宜調整して液位を一定に保つ目標となる液面を基準面としたときに、スリット74の終点が、基準面から30〜100mmの範囲に位置するようにするのが好ましく、スリット74の始点が、基準面から5〜40mmの範囲に位置するようにするのが好ましい。
上記の例では、フランジ部72により溶融槽20の上端周縁部に保護部材70を取り付けるようにしたが、保護部材70を溶融槽20に取り付ける具体的態様は特に限定されない。例えば、図5に示すように、溶融槽20の底部に支持させることもできる。
より具体的には、保護部材70は、溶融槽20の内側において、上部側が溶融槽20の内面における溶融ガラス液面と接触する部分に沿って溶融ガラスの液面に接する本体部76と、本体部76の下部側に形成された複数の足部77とを備えるものとできる。この場合、保護部材70は、複数の足部77により溶融槽20の底面に載置された状態で、溶融槽20に取り付けることができる。
なお、図5(a)は溶融槽20に保護部材70を取り付けた状態を概念的に示す説明図であり、図5(b)は保護部材70の概略斜視図である。また、図中、符号78で示す穿孔は、溶融ガラスを保護部材70外に流出させるためのものであり、その形成位置や数は、保護部材70の形状、大きさなどに応じて適宜設定される。
このような態様で保護部材70を溶融容器20に取り付ける場合、保護部材70は、その本体部76の少なくとも底部が、ほぼ球面状に形成されているのが好ましい。これにより、物理的な強度を得ることができ、特に、ガラス材料をカレットの形態で投入すると、溶融ガラス中に沈んだカレットが溶融しきらないまま保護部材70の底面に接触することがあるが、このときの接触による保護部材の破損が生じ難くなる。
また、溶融槽20への熱衝撃を和らげる緩衝効果が、より効果的に発揮されるようにするために、上記の例と同様に、保護部材70は、本体部76と溶融槽20の内面との間に隙間が生じるように、その形状や大きさを適宜設定し、溶融槽20の内面に所定の間隔をおいて対向するように取り付けるのが好ましい。
図5に示す保護部材70は、本体部76の上部側の一部を除いて、溶融ガラスの液面下に浸漬されるが、溶融槽20内に配置した状態において、本体部76の上端から溶融ガラスの液面下に浸漬された部分にわたる範囲に、上記の例と同様にして、本体部76の上端側に開口する複数のスリット74を設けることにより、保護部材70の溶融ガラス液面に接する部分を、複数の分割体73からなるように形成することができる。このとき、各分割体73は、下端側で本体部76の残部に一体に連接されているが、上端及びスリット74により分割された両側端は自由端となっており、上記の例と同様に、温度振動による上下方向の収縮及び膨張が許容される。
このような態様で保護部材70を構成した場合、スリット74の終点は、本体部76の溶融ガラスの液面下に浸漬された部分に位置することとなるが、このときも、上記の例と同様に、スリット74の鉛直方向の長さ差を所定長Lとするとき、常に溶融ガラスの液面より上にL/2以上が露出するようにすることが好ましく、より好ましくは、スリット74の液位上の部分(a)と液位下の部分(b)の寸法比(a/b)は、7/3以上である。このようにすると、液面上に露出した保護部材70が、より有効に溶融ガラス液面の熱変動を緩衝することがで、その際に最も効率的にスリット74が作用する。
上記いずれの態様の場合にも、溶融槽20の水平断面形状を円形状とするとともに、保護部材70の水平断面形状を、例えば、円形状又は多角形形状など、回転対称の中心軸を備えた形状とし、溶融槽20の中心軸と保護部材70の中心軸とがほぼ一致するように、保護部材70が溶融容器内に配置されることが好ましい。これにより、溶融槽20の強度を高くし、また、保護部材による熱衝撃の緩衝効果をより効果的に発揮させることができる。
また、保護部材70は、1つの部材を所定形状に成形することによって形成してもよいが、複数の部材を周方向に組み合わせて形成してもよい。いずれの場合にも、その周方向にも自由端79を設けることが好ましい。前者の場合には、例えば、図2に示すように、帯状の部材を両端がオーバーラップするように筒状に成形し、その端部が自由端79となるように形成することができる。後者の場合には、複数の部材の端縁を同様にオーバーラップさせて周方向に組み合わせることで、その端縁が自由端79となるように形成することができる。
このように保護部材70を構成すると、保護部材70における周方向の収縮及び膨張が許容され、これによっても熱衝撃に伴う内部応力を更に軽減することができる。
保護部材70の素材としては、白金のほか、白金・ロジウム、白金・金などの白金含有合金や、ロジウム、金、イリジウム、パラジウムなどの貴金属を用いることができる。溶融工程では、侵食された溶融槽成分や保護部材成分が溶融ガラスへ混入すると、溶融ガラスが着色される可能性があるため、白金又は白金合金などの侵食の小さい素材を選択することが好ましい。ただし、白金を用いると着色が大きくなるガラス成分の場合は、他の素材を適宜選択する。また、保護部材70の素材は、溶融槽20の素材と、共通の成分を含有するものとすることが好ましい。このようにすれば、侵食によって保護部材70の成分が溶融ガラスに混入しても、その成分が溶融槽20の成分と同一であるため、製造される光学ガラスへの影響を小さくすることができる。
本発明を適用した溶融槽20は、連続溶融を行う連続溶融炉に用いることが好ましい。この場合、溶融槽20で溶融したガラスは、連続的に次の工程に移動する。次の工程は、例えば、清澄槽40とすることができる。清澄槽40では、溶融ガラスの脱泡や均質化が行われる。更に、清澄槽40の後工程は、作業槽60とすることができる。作業槽60では、溶融ガラスが成形に適した粘度に調整される。言うまでもなく、溶融槽20、清澄槽40、作業槽60の他に、それらの中間工程又は後工程として、他の工程を加えても良い。例えば、中間工程として攪拌槽を設け、ガラスの均質性を更に高める場合がある。
このような連続溶融炉では、ポット溶融の場合と異なり、溶融ガラスの液位に大きな変動が生じない。すなわち、溶融ガラスの流出と同時にガラス材料の供給が行われ、ガラス液面がほぼ一定の位置に保たれる。したがって、溶融槽20の液面付近が集中的に熱衝撃を受けるため、本発明を適用すると効果が顕著である。
本発明に適用される光学ガラスの組成には特に制約は無い。例えば、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラスなどに好適に用いられる。特に、アルカリ成分を含有する、侵食作用の強いガラスにおいても適用でき、また、溶融時の粘度が30ポアズ以下の低粘性のガラスにおいて効果が顕著である。
また、本発明の装置、及び方法は、ガラス原料を混合、反応させてガラス化する工程に用いると特に効果が顕著であるが、一度ガラス化した材料を粉砕したいわゆるカレットを再溶融し、所望の精緻な物性を有する光学ガラスを製造することに用いることもできる。特に、前者に用いるときには、溶融容器として白金、又は白金合金を用い、かつ、ガラス種としてホウ酸塩ガラスを用いると、本発明の効果が顕著である。ホウ酸塩ガラスは、ガラス化過程での気化熱の発生が大きく、溶融ガラス液面の温度振動が激しいために、本発明の効果が大きい上、本発明の装置によって、透過率の高い光学ガラスが得られる。また、白金又は白金合金からなる本発明の装置に、鉛を含有しない光学ガラスを適用することでも、良好な効果がえら得る。さらに、精緻な光学物性の制御が困難であるフツリン酸塩ガラスについても、本発明の装置を用いると高品質の光学ガラスが得られる。特に、高屈折率成分を多量に含有した屈折率ndが1.7以上の光学ガラス、屈折率ndが1.6以下で分散νdが65以上のフツリン酸ガラスに好適に適用できる。
[光学ガラスの製造方法]
つぎに、本発明に係る光学ガラスの製造方法について説明する。
本発明に係る光学ガラスの製造方法は、光学ガラスの材料を連続的又は間歇的に溶融容器に供給し、この溶融容器内で前記材料を溶融させる工程に適用することができる。具体的には、溶融槽20の内面における溶融ガラス液面と接触する部分に沿って、溶融ガラス液面に接する部分が複数の分割体73からなるように形成された保護部材70を溶融槽20内に配置し、保護部材70で囲まれた溶融ガラス液面に、前記材料を供給し、溶融させる。
このような光学ガラスの製造方法を用いれば、光学ガラスの材料を溶融槽20に供給する際、溶融槽20の内面における溶融ガラスの液面と接触する部分に生じる熱衝撃を緩和し、熱衝撃による溶融槽20の疲労や破損を防止することができるとともに、保護部材70自体も損傷し難くすることができる。これにより、溶融槽20の寿命を延長することができるだけでなく、保護部材70自体の寿命も長くすることができ、溶融槽20の破損による生産性の低下、さらには、溶融槽20や保護部材70の補修コストを抑制することができる。
また、本発明における光学ガラスの製造方法では、その劣化に応じて保護部材70を交換可能に構成することで、保護部材70による溶融槽20の保護効果を長期にわたって維持し、溶融槽20の寿命を更に延長することが可能になる。
図1に示す光学ガラスの製造装置において、溶融槽20に保護部材70を取り付けて光学ガラスの材料を溶融した場合と、溶融槽20に保護部材70を取り付けずに光学ガラスの材料を溶融した場合とを比較した。材料供給部10から溶融槽20に間歇的に材料を投入し、溶融槽20の溶融ガラスの液面と接触する部分と対向する外側部分の温度変化を観察した。
保護部材70を取り付けていない溶融槽20では、図6に示すように、溶融槽20中に材料を投入すると、直ちに溶融槽20の側面部位の温度が低下し、次いで温度回復した。溶融槽20の内側では、さらに大きな温度変動が起きていることになる。
なお、ここでは、ガラス材料としてカレット(ガラス化後に固化、粉砕したガラス材料)を用いたが、ガラス原料バッチを用いた場合には、同様の寸法の溶融槽、同量のガラス材料を供給すれば、温度変動が更に大きくなり、溶融槽の損傷が大きくなる。この温度変動の増大を抑制するためには溶融層の寸法を大きくするか、供給量を減少させるなど、生産効率上不利な方策を施さなければならない。
一方、保護部材70を取り付けた溶融槽20では、図5に示すように、材料を投入すると、溶融槽20における液面付近の温度は低下したが、その温度差は、図7の場合と比較すると、六分の一以下に抑えられている。これは、溶融槽20の液面付近を覆う保護部材70が熱衝撃を吸収したためである。
本発明は、ガラスの材料を連続的又は間歇的に溶融容器に供給し、この溶融容器内で前記材料を溶融させるガラスの製造装置及び製造方法に適用することができる。特に、白金などの貴金属又は貴金属合金からなる溶融容器を用いて前記材料を溶融させる光学ガラスの製造装置や製造方法として有用である。
光学ガラスの製造装置を示す概略正面図である。 保護部材の一例を示す概略斜視図である。 保護部材の一例を溶融容器に取り付けた状態を概念的に示す説明図である。 保護部材の他の例を示す図である。 実施例における溶融槽(液面付近)の温度変化を示す説明図である。 比較例における溶融槽(液面付近)の温度変化を示す説明図である。
符号の説明
10 材料供給部
20 溶融槽(溶融容器)
70 保護部材
71 筒部
72 フランジ部
73 分割体
74 スリット
75 垂下片
76 本体部
77 足部

Claims (9)

  1. ガラスの材料を連続的又は間歇的に溶融容器に供給し、前記溶融容器内で溶融したガラスを連続的に次工程に供給する工程を含むガラスの製造方法であって、
    前記溶融容器の内面における溶融ガラス液面と接触する部分と、前記溶融ガラス液面における前記材料が供給される部位との間に、前記溶融ガラス液面に接する部分が複数の分割体からなるように形成された保護部材を介在させることを特徴とするガラスの製造方法。
  2. 前記材料が、ガラス原料バッチであることを特徴とする請求項1に記載のガラスの製造方法。
  3. 前記ガラスが、ホウ酸塩光学ガラス、屈折率ndが1.7以上の光学ガラス、又は屈折率ndが1.6以下で分散νdが65以上の光学ガラスのいずれかであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のガラスの製造方法。
  4. 前記溶融容器の上端周縁部に、前記保護部材を着脱可能に支持させるとともに、前記保護部材の下端を自由端としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスの製造方法。
  5. 前記溶融容器の底部に、前記保護部材を支持させるとともに、前記保護部材の上端を自由端としたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のガラスの製造方法。
  6. ガラスの材料を溶融させる溶融容器を備えたガラス製造装置であって、
    前記溶融容器の内面における溶融ガラス液面と接触する部分と、前記溶融ガラス液面における前記材料が供給される部位との間に介在するように保護部材が配置され、
    前記保護部材が、前記溶融ガラス液面に接する部分が複数の分割体からなるように形成されたものであることを特徴とするガラス製造装置。
  7. 前記溶融容器の水平断面形状が円形であり、前記保護部材の中心軸が、前記溶融容器の中心軸とほぼ一致するように、前記保護部材が前記溶融容器内に配置されることを特徴とする請求項6に記載のガラス製造装置。
  8. 前記溶融容器の内面との間に隙間が生じるように、前記保護部材を前記溶融容器内に配置したことを特徴とする請求項6〜7のいずれか1項に記載のガラス製造装置。
  9. ガラスの材料を溶融させる溶融容器内に配置される保護部材であって、
    前記溶融容器の内面における溶融ガラス液面と接触する部分と、前記溶融ガラス液面における前記材料が供給される部位との間に介在するように配置され、
    前記溶融ガラス液面に接する部分を有し、かつ、当該部分が複数の分割体からなるように形成されたものであることを特徴とする保護部材。
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