JP2006189753A - 位相差補償システム及び液晶プロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 3種類の基本色光ごとに適切な位相差補償を施す。
【解決手段】 液晶素子で生じた位相差を補償するにあたり、無機材料で形成された高屈折率層401aと低屈折率層401bとを交互に積層した第1光学異方性層401と、重合性液晶化合物の液晶分子の配向角を液晶素子の厚み方向において変化させハイブリッド配向とした第2光学異方性層402とからなる位相差補償素子400を使用する。この位相差補償素子400をRGBの基本色光によって画像の投影を行なう液晶プロジェクタに使用するにあたり、各基本色光に合せて第1光学異方性層401と第2光学異方性層402との厚みd1,d2を調整し、各基本色光に最適な位相差補償を行なう。
【選択図】 図20

Description

本発明は、フルカラー画像表示のために3種類の基本色光ごとに液晶素子が用いられた三板式の液晶プロジェクタに効果的な位相差補償システムと、この位相差補償システムを備えた液晶プロジェクタとに関するものである。
三板式の液晶プロジェクタは、青色光,緑色光,赤色光の3種類の基本色光ごとに液晶素子が用いられている。それぞれの色チャンネルごとに液晶素子によって光変調された基本色光は合成プリズムなどにより合成され、投影レンズによりスクリーンに投影される。液晶プロジェクタには、スクリーンの前面から画像の投影を行うフロント方式とスクリーンの背面から投影を行うリア方式とがあり、また使用する液晶素子が透過型のものであるか反射型のものであるかによって全体的な光学系に相違はあるが、いずれにせよ投影する画像を基本色光ごとに液晶素子に表示し、これに対応した基本色光で照明を与えて投影レンズでスクリーン上に画像を結像させる構成となっている。
液晶素子には、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードなど、種々の動作モードのものがある。最も一般的な液晶素子として知られているのが、TFT(Thin Film Transistor)−LCDであり、このTFT−LCDの液晶動作モードとしてはTNモードが主流である。一方、近年液晶素子の用途展開が進むにつれて、高コントラスト化の要望が高まっており、VAモードの液晶素子の研究も盛んに行われている。
TNモードの液晶素子は、2枚のガラス基板の間に90°ねじれたネマチック液晶が封入され、また、2枚のガラスの外側には一対の偏光板がクロスニコルで配置されている。そして、電圧無印加状態では、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層で偏光面が90°ねじられて検光子側の偏光板を通過して白表示となる。また、電圧が十分に印加された状態では、液晶の配列方向が液晶パネルに略垂直に変化して、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が偏光状態を変化させることなく液晶層を通り抜けて検光子側の偏光板に到達して黒表示となる。
一方、VAモードの液晶素子は、2枚のガラス基板の間に垂直配向あるいは垂直傾斜配向するようにネマチック液晶が封入され、また、2枚のガラスの外側には一対の偏光板がクロスニコルで配置されている。そして、電圧無印加状態では、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層でその偏光面をほとんど変化させることなく液晶層を通り抜けて検光子側の偏光板に到達して黒表示となる。また、電圧が十分に印加された状態では、液晶の配列方向が液晶パネルに平行で、且つ90°ねじれた状態に変化して、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層で偏光面が90°ねじられて検光子側の偏光板を通過して白表示となる。
これらの表示モードで動作する液晶素子は、斜め方向から表示画面を見た場合に、コントラストの低下や階調表示で明るさが逆転する階調反転現象等による表示特性の悪化が生じるという視野角依存性の問題がある。このような視野角依存性の問題は、液晶素子を黒表示しようとしても、視野角によっては、完全な黒にはならず、光漏れを起こすことに起因する。
従来より、黒表示状態の液晶層を通過する光の位相差値と、光学異方性層の位相差値とを合わせこみ、該黒表示状態の液晶層を三次元的に光学補償して、どの方向から見ても光漏れをなくして、視野角依存性の問題を改善する光学補償フイルムが提案されている。例えば、本願出願人によって、トリアセチルセルロース(TAC)フイルム等の透明支持体及びその上に設けられた光学異方性層からなる光学補償シートであって、前記光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層であり、前記ディスコティック構造単位の円盤面が、透明支持体面に対して傾いており、且つ、前記ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方性層の厚み方向において変化するハイブリッド配向を有し、前記透明支持体が光学的にほぼ一軸性の負の屈折率楕円体の特性を有する光学補償フイルムが提案されている(特許文献1参照)。
この光学補償フイルムによれば、黒表示状態の液晶層と鏡面対称となるように前記光学異方性層のディスコティック構造単位が配列されているため、前記透明支持体と前記ディスコティック構造単位との積層体全体の光学特性として、黒表示状態の液晶層が光学的に補償され幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
しかしながら、前記光学補償フイルムを用いることにより、前記液晶素子の視野角依存性の問題を改善し、視野角を拡大することに成功したが、近年、大画面表示を可能とする大画面液晶モニターや液晶プロジェクタ等への要望が高まり、前記大画面液晶モニターや液晶プロジェクタ等に対し、更なる高視野角、高コントラスト化が望まれている。特に、液晶プロジェクタは、様々な角度で液晶セルに入射した光が投影レンズにより統合されてスクリーンに拡大投影されるため、より高いコントラストが要求され、前記光学補償フイルムには未だ改善の余地がある。即ち、前記光学補償フイルムでは、前記透明支持体にTACフイルムが用いられており、該TACフイルムの厚みの均一化や前記TACフイルムの光学特性を高精度で所望の特性とすることが難しく、近年の要求に対しては、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することは不十分であった。
また、従来より、液晶セルを挟むように配置される2つの偏光板間に、ハイブリット配向した液晶層を有する光学フイルムを配置してなり、該光学フイルムが、複屈折性が極めて少ないプラスチックフイルムからなる基材フイルム上にハイブリッド配向した液晶層を配置してなる液晶プロジェクタのコントラスト比改善方法が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、このコントラスト比改善方法であっても、光学フイルム全体として、黒表示状態の液晶層をより高い精度で光学的に補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することは不十分であった。
そこで、本出願人は、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを交互に積層した位相差補償膜からなる位相差補償素子を用いてコントラストを向上させた液晶プロジェクタを発明した(特許文献3参照)。しかし、光学フイルム全体として、黒表示状態の液晶層をより高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止することは不十分であった。
更に、本出願人による先行出願では、無機材料で形成された第1の光学異方性層と、重合性化合物で形成された第2の光学異方性層とを積層した位相差補償素子、及びこの位相差補償素子を使用してコントラストを向上させた液晶プロジェクタとを開発した。この位相差補償素子によれば、上述した問題を解決し、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して幅広い視野角において光漏れを防止することができ、より高視野角、高コントラストで高画質な液晶プロジェクタを構成することができる。
特開平8−50206号公報 再公表特許WO01/090808 特開2004−170712号公報
フルカラーでの画像投影を行うために、液晶プロジェクタには赤色光,緑色光,青色光の基本色光ごとに3つの液晶素子が用いられ、これらの液晶素子で変調された各色光が合成プリズムで合成され、投影レンズを経てスクリーンに投影されるようになっている。ところが、本出願人による先行出願では、基本色光の種類によらず同じ位相差補償素子が用いられているため、例えば緑色光について適切な位相差補償を行ったとしても、赤色光や青色光については位相差補償作用が適切に行われるとは言い難い。したがって、例えばスクリーン上に黒レベル表示を行ったときには、黒の輝度が上昇してコントラストが低下するだけでなく、低輝度領域のカラーバランスがくずれて黒が着色するという問題が生じていた。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、スクリーンに投影される画像自体のコントラストを向上させ、かつ低輝度領域のカラーバランスもずれないようにした位相差補償システム及び液晶プロジェクタを提供することを目的とする。
本発明の位相差補償システムは、基本色光の光路中に設けられた各々の液晶素子の入射面側又は出射面側の少なくともいずれかに配置される位相差補償素子を、透明支持体の面上に無機材料で形成された第1の光学異方性層と、重合性化合物で形成された第2の光学異方性層とから構成するとともに、これらの位相差補償素子として少なくとも2種類のものを用いている。この2種類の位相差補償素子の相違は、最も短波長の基本色光が通過する位相差補償素子については、他の基本色光に用いられる位相差補償素子とはその物理的構造を異ならせたことを特徴としている。
第1の光学異方性層は、少なくとも高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを交互に積層した位相差補償膜で構成され、各々の薄膜層がそれぞれの基本色光の基準波長の100分の1以上5分の1以下の光学膜厚とている。また、少なくとも最も短波長の基本色光が通過する位相差補償膜の物理的構造を他の位相差補償膜と異ならせるために、その合計層数や、合計層厚を他よりも減らして対応することも本発明特有の構成である。
第2の光学異方性層は、液晶分子を含む重合性液晶化合物から形成され、該液晶分子の配向角が厚み方向に変化するハイブリッド配向としている。また、基本色光に応じて変更される物理的構造の相違は、第2の光学異方性層の層厚の相違と、配向角の分布の相違とのいずれか一方、または両方としている。
また、ハイブリッド配光である第2の光学異方性層を2層以上有し、各層の層厚、配光角の分布、配光方向の少なくとも1つが異なる位相差補償システムを構成することもできる。さらに、これらの位相差補償システムを用いた液晶プロジェクタもまた本発明の対象となる。
本発明によれば、位相差補償素子を第1の光学異方性層と第2の光学異方性層とから構成し、フルカラー画像の表示に必要な基本色光の波長を考慮して各光学異方性層の物理的構造を変えるようにしたから、可視光領域の全域にわたってスクリーンに投影される画像のコントラストを向上させ、黒レベルの色味をなくすことができる。
本発明の位相差補償素子の基本的な作用は、概念的に次のとおりである。図1において、液晶素子2は内面側にそれぞれ配向膜を形成した透明なベース基板3bと対向基板3aとの間に、液晶分子からなる液晶層5を封入した構造となっている。それぞれの基板3a,3bには画素ごとに液晶層5を駆動するためのマトリクス電極やコモン電極,透明導電膜なども設けられているが、図示は省略してある。液晶素子2の前段には偏光子が配置してあり、入射光S1は直線偏光となって液晶素子2に入射する。
周知のように、棒状の液晶分子の集合体からなる液晶層5はポジティブレターダーとして作用する。このため、入射光S1は正常光成分Soと異常光成分Seとなって液晶層5を通過する間に、異常光成分Seが正常光成分Soに対して位相遅れを生じる。この位相差P1は、液晶層5を構成している液晶分子固有の光学異方性に依存した複屈折Δnpと液晶層5の厚みdpとの積「dpΔnp」で規定される特徴値に依存して決まり、この特徴値は結晶光学的には平均入射角に対する平均位相差として定義されている。そして、液晶層5の平均位相差をRpとすると、位相差P1は「P1=αRp(=αdpΔnp)」となる。この係数αの値は、光の入射角分布や、液晶分子の配向姿勢、印加電圧などによって変化する外的なファクターを括り出したもので「0」以上「1」未満の値となる。
液晶素子2からの出射光S2は、正常光成分Soと、これに対して位相遅れを伴った異常光成分Seとの合成光となるため、入射光S1が直線偏光光であっても平均位相差Rpに応じた楕円偏光成分を含むものとなる。この楕円偏光成分を抑えるには液晶層5による位相遅れを補償すればよく、そのために液晶素子2の出射面と検光子との間に位相差補償素子6が設けられる。
位相差補償素子6は、透明支持体7上に位相差補償膜8を形成したもので、異常光成分Seに対して正常光成分Soに位相遅れを生じさせるネガティブレターダーとして作用する。位相差補償膜8は、無機材料からなる第1光学異方性層8aと、重合性化合物からなる第2光学異方性層8bとからなり、各光学異方性層の複屈折Δn1,Δn2及び物理的膜厚d1,d2から、平均入射角に対する平均位相差R1(=d1Δn1),R2(=d2Δn2)をそれぞれ定義することができ、これらの平均位相差R1,R2の和が位相差補償素子全体の平均位相差Rqとして定義される。
異常光成分Seに対する正常光成分Soの位相差P2は「P2=βRq(=βd1Δn1+βd2Δn2)」となる。そして「P1=P2」であれば、位相差補償素子6からの出射光S3は互いに位相遅れのない正常光成分と異常光成分との合成光となり、楕円偏光成分が消失して直線偏光となって出射する。したがって、位相差補償素子6の後段に配置された検光子には直線偏光が入射するようになり、画像のコントラストを高めるうえで非常に有効なものとなる。
なお、係数α及び係数βは光の入射角分布により異なるが、図示のように光線が同じ入射角で液晶素子2及び位相差補償素子6を通過する場合には、互いに相殺し合うことができるので入射角による影響は無視することができる。したがって、「P1=P2」を満足させようとする上では、係数αに含まれるファクターのうち、液晶分子の配向姿勢や印加電圧など、液晶素子2自体に依存する内的なファクターだけを考慮すればよい。また、便宜上、複屈折Δnp,Δnqの正負の符号は無視しているが、必要に応じてその正負については明示することとする。
上記のように、液晶素子2で生じる位相差P1と、位相差補償素子6で生じる位相差P2とをできるだけ等しくすること、換言すればそれぞれの平均位相差Rp,Rqをできるだけ一致させることが本発明の目的を達成するうえで効果的であることが分かる。しかし、位相差補償素子6には、その内部の結晶光学的な構造により、ネガティブレターダー以外にもa−plate,o−plateといった一軸性の構造やその積層体など、様々な構造のものがある。したがって、上記のように「Rp=Rq」をできるだけ満足させるには、これらのことを考慮しつつ、位相差補償膜8の平均位相差Rqを決めているパラメータ(d1,Δn1,d2,Δn2)を調節する必要がある。以下、TN液晶を例にしてこれらのパラメータを決定する手法について説明する。
ここで、一般的な液晶層5の平均位相差Rp(=dpΔnp)と位相差補償膜8の平均位相差Rq(=d1Δn1+d2Δn2)との波長依存性をグラフ化すると、模式的に図2のように表される。図示のように、液晶層5の平均位相差Rpは、可視光領域では短波長側で大きくなり、長波長となるにしたがってゆるやかに減少する特性を示す。また、位相差補償膜8の平均位相差Rqは、液晶層5と同様に短波長側で大きく長波長側で小さくなるものの、特に短波長側でその傾きが急になることが多い。それぞれの厚みdp,d1,d2は波長とは無関係の物理量であるから、この波長依存性は複屈折Δnp,Δnq(Δn1+Δn2)によるものである。
また図2に示すグラフは、可視光領域において、液晶層5がもつ特定の平均位相差Rpに対し、特定の複屈折をもつ位相差補償膜8の平均位相差Rqをできるだけ近づけるように、第1の光学異方性8a及び第2の光学異方性層8bの厚みd1,d2を調節し、緑色光の基準波長550nm(視感度のピークに相当)で両者を一致させた状態を表している。厚みd1,d2の調節により、位相差補償膜8の平均位相差Rqを上下方向にシフトさせることは可能であるが、その傾きは複屈折Δn1,Δn2の波長依存性によるため、大きく変更することはできない。
三板方式の液晶プロジェクタでは、各基本色光とも共通諸元の液晶素子が用いられているので、基本色光ごとに位相差P1,P2が大きく異なる場合には、位相差補償素子の平均位相差Rqを調節する必要がある。そこで本発明では、これに対処する最も簡便な手法として、図3に示すように、青色,緑色,赤色の各基本色光の波長領域をそれぞれ400nm〜500nm、500nm〜600nm、600nm〜700nmに区画したとき、青色光領域で用いられる位相差補償素子6については、位相差補償膜8の厚みd1,d2が薄くなるように調節し、波長域400nm〜500nmで平均位相差RqB の特性を得、しかも青色光の基準波長450nmで液晶層5の平均位相差Rpと一致させるようにしている。この結果、液晶層5の複屈折Δnpの波長依存性と、第1光学異方性層8a及び第2光学異方性層8bの複屈折Δn1,Δn2の波長依存性とを一致させなくても、可視光領域のほぼ全域にわたって各々の平均位相差を実用上問題のない程度まで合わせることが可能となる。
さらに、長波長側での改善をはかるべく、図4に示すように赤色光領域で用いる位相差補償素子6については、その位相差補償膜8の厚みd1,d2を増やすように調節して平均位相差RqR の特性を得るとともに、赤色光の基準波長650nmで各々の位相差を一致させてもよい。これらの手法は、厚みd1,d2をそれぞれの基本色光の波長に応じて調節するだけで、第1光学異方性層8a及び第2光学異方性層8b自体の結晶光学的な構造で決まる複屈折Δn1,Δn2を変える必要がなく、量産適性に優れている。
なお、TN液晶では、黒レベル表示を行うときに電圧を印加して基板間に充填された棒状の液晶分子を垂直配向させることになるが、基板近くでは液晶分子が垂直配向姿勢にならない。印加電圧を高くすれば垂直配向となる液晶分子が多くなるものの、黒レベル表示に際して垂直配向姿勢となる液晶分子の割合は厚みdpに対して60%〜95%、あるいは65%〜80%程度が一般である。このため、厚みdpの液晶層5で生じる位相差P1は「dpΔnp」よりも小さくなるから、位相差補償膜8の設計時にはこれを考慮してパラメータの設定を行い、簡易的には先の係数αを0.7にして「0.7×dpΔnp=Rq」が満足されるような位相差補償膜を用いればよい。なお、同様の傾向はOCBモード液晶やSTNモード液晶でも見られる。
本発明では、上述した位相差補償膜8は、無機材料で形成された第1光学異方性層8aと重合性化合物からなる第2光学異方性層8bとから構成されている。また、第1光学異方性層8aは、その具体的一例として高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを交互に積層した構造が用いられる。このような位相差補償素子6がもつ複屈折の波長依存性についてさらに考察する。
青色光,緑色光,赤色光の基準波長を450nm,550nm,650nm、各々の基準波長における位相差補償素子の複屈折をΔnq(450) ,Δnq(550) ,Δnq(650) とすると、複屈折Δnqの波長依存性Uqは、
Uq={Δnq(450) −Δnq(650) }/Δnq(550)
で算出することができる。同様に、液晶層の複屈折Δnpの波長依存性Upは、
Up={Δnp(450) −Δnp(650) }/Δnp(550)
で定義される。
そして、可視光全域にわたってUp=Uqが満足されることが理想であるが、液晶層を構成している液晶分子は実用面から種類が限られ、したがってその複屈折Δnpの波長依存性Upは大きく変えることができない物性値となっている。そこで、位相差補償膜の複屈折Δnqの波長依存性Uqを波長依存性Upに近づける設計が行われるが、波長依存性Uqは第1光学異方性層及び第2光学異方性層に用いられている薄膜層の物性値によるものであり、また波長に関する位相差補償の成立条件は、厚みd1,d2の選択による。
以上のことから、まず位相差補償膜の波長依存性Uqが液晶層の波長依存性Upにできるだけ近づくように、第1光学異方性層の高屈折率薄膜層に用いる高屈折材料と、低屈折率薄膜層に用いる低屈折材料と、第2光学異方性層の重合性化合物とを選択する。ついで、全可視光領域を考慮のうえで第1光学異方性層の厚みd1と第2光学異方性層の厚みd2とを調節すればよい。なお、各々の波長依存性Up,Uqがほぼ一致していれば、厚みd1,d2を調節するだけで可視光域のほぼ全域にわたって良好な位相差補償作用が得られるが、後述するように現時点で実用されている第1光学異方性層と第2光学異方性層との組み合わせでは、両者間に少なからず隔たりが生じてくる。このとき、図3及び図4に示すように、基本色光ごとに色チャンネルが独立した三板方式の液晶プロジェクタでは、基本色光ごとに厚さd1,d2の調節が可能となる。
波長依存性Up,Uqをほぼ一致させることができない大きな要因は、第1光学異方性層がもつ屈折率の波長依存性と第2光学異方性層がもつ屈折率の波長依存性とが相違することにあり、特に屈折率が大きい材料ほどその波長依存性も大きく、短波長側で顕著になる傾向がある。しかし、第1光学異方性層の高屈折材料及び低屈折材料と、第2光学異方性層の重合性化合物との厚みを適宜変更することのできる本発明の位相差補償素子は、従来の第1光学異方性層だけを用いていた位相差補償素子や、第2光学異方性層だけを用いていた位相差補償素子よりも調整可能な範囲が広くなるという効果を奏することができる。以下、上述した考察を踏まえて本発明の位相差補償システムについて説明する。
(位相差補償素子)
本発明の位相差補償素子は、透明支持体の面上に、無機材料で形成された第1の光学異方性層、及び重合性化合物で形成された第2の光学異方性層を備えてなり、必要に応じてその他の層を有してなる。
−透明支持体−
前記透明支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白板ガラス、青板ガラス、石英ガラス、サファイアガラス、有機高分子フイルムなどが挙げられる。前記有機高分子フイルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、ポリスルフィン系、ポリスルホン系及びポリエーテルスルホン系、セルロースエステル系などの重合体群から選ばれる1種類、または2種類以上の組合せが挙げられる。前記有機高分子フイルムの具体例としては、ポリカーボネート共重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリアリレート共重合体が好適に挙げられ、ポリカーボネート共重合体がより好適に挙げられる。前記ポリカーボネート共重合体としては、フルオレン骨格を有するポリカーボネート共重合体が好ましく、透明性、耐熱性、生産性の観点から、ビスフェノール類とホスゲンあるいは炭酸ジフェニルなどの炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネート共重合体が特に好ましい。前記ポリカーボネート共重合体が有するフルオレン骨格の含有量としては、1〜99モル%であることが好ましい。前記ポリカーボネート共重合体としては、国際公開第00/26705号パンフレットに記載の、繰り返し単位を用いることも可能である。
前記透明支持体としては、面の平滑性の観点から、前述の各種無機材料よりなるガラスを好適に用いることができる。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上であることが好ましく、前記厚みの上限としては、組込みのハンドリング性や機械的強度の観点から、0.3mm〜3mmが好ましく、0.5mm〜1.5mmがより好ましい。
−第1の光学異方性層−
前記第1の光学異方性層の構造としては、無機材料で形成され、層全体として、光学異方性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが例えば、前記透明支持体の法線方向を積層方向として、屈折率が互いに異なる複数種の層が規則的な順序で積層され、繰り返し構造を有してなる(繰り返し単位が繰り返されてなる)周期構造積層体であり、前記繰り返し単位の光学厚み、即ち、前記周期構造積層体中の繰り返し構造の積層方向における厚み(以下「周期構造ピッチ」という。)が、可視光領域における光の波長より短い構造が好適に挙げられる。
なお、前記周期構造積層体中の一の繰り返し構造の積層方向における厚みと、他の繰り返し構造の積層方向における厚みとは、必ずしも同一とする必要はなく、前記第1の光学異方性層を通過させる光の性質等により異ならせることも可能である。
前記一の繰り返し構造を構成する層数としては、屈折率が互いに異なる複数種の層であれば、特に層数に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、この中でも、2種の無機材料による2つの層からなるものが好適に挙げられる。
前記周期構造積層体を構成する各層の膜厚としては、可視光領域における光の波長より小さいものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光領域における光の波長をλとした場合に、λ/100〜λ/5であることが好ましく、λ/50〜λ/5であることがより好ましく、λ/30〜λ/10であることが特に好ましい。
前記周期構造積層体を構成する各層の膜厚としては、積層された薄膜の相互間で光干渉が生じることを避ける必要があるため、各層の膜厚は薄い方がよいが、必要な合計膜厚を得るのに成膜回数が増えてくるので、各層の膜厚の決定に際しは、前記第1の光学異方性層の所望とする光学特性、薄膜の相互干渉による着色の問題などを考慮して、各層の材料、屈折率、膜厚比、合計膜厚などから各層の膜厚の最適値が決定されることが好ましい。
前記周期構造ピッチとしては、可視光領域における光の波長よりも短いものであれば、特に制限はなく、該可視光領域の中から目的に応じて適宜選択することができるが、ここで、前記可視光領域としては、特に明記するもの以外は、400〜700nmの波長領域をいう。従って、前記周期構造ピッチとしては、400〜700nmの範囲で適宜選択されることが好ましい。
前記第1の光学異方性層を構成する前記周期構造積層体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第1の光学異方性層の複屈折性による位相差値は、光学異方性層の厚みdと、前記繰り返し構造を構成する各層の屈折率差Δnとの積によって決まるので、所望の屈折率差Δnに応じて適宜選択されることが好ましく、具体的には、屈折率の高い材料として、TiO2、ZrO2など、屈折率の低い材料として、SiO2、MgF2などから適宜選択されることが好ましい。
前記周期構造積層体の材料としては、具体的には、可視光領域における屈折率の最大値と最小値との屈折率差Δnが0.5以上となる材料の組合せから選択されることが好ましく、酸化物膜から適宜選択される複数の材料の組合せであることがより好ましく、SiO2(屈折率n=1.4870〜1.5442)膜及びTiO2(屈折率n=2.583〜2.741)膜の組合せであることが特に好ましい。
前記屈折率の差が0.5未満であると、光学異方性層の厚みを調整して、前記第1の光学異方性層における位相差値を所望の値とすることとなるため、繰り返し単位を積層する工程が増加してしまい、製造適性や生産性を勘案した場合好ましくない。このような第1の光学異方性層は、多層膜の積層方向、即ち、前記透明支持体の法線方向には、屈折率の一様な媒質と等価であり、層全体としては、構造性複屈折とよばれる異方性が生じることにより、一軸性の傾斜していない負の屈折率楕円体の光学特性を有するものである。そして、前記第1の光学異方性層は、平滑性が高く、且つ前記周期構造積層体の材料、膜厚、層数、前記周期構造ピッチの周期などを適宜選択することにより、所望の平均位相差を容易且つ高精度に得ることが可能となる。
また、前記第1の光学異方性層は、多層膜の膜厚比や膜厚を適宜選択することにより反射防止膜としての機能を付与することも可能である。
−第2の光学異方性層−
本発明の位相差補償素子に用いられる第2の光学異方性層としては、少なくとも重合性化合物を備えてなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の構成を備えてなる。前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、配向状態を固定可能とした液晶分子を含む重合性液晶化合物を用いることが好ましく、棒状、円盤状、バナナ状などの液晶分子を含む重合性液晶化合物がより好ましく、円盤状の液晶分子を含む重合性液晶化合物が特に好ましい。また、前記重合性化合物には、必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含有することが可能である。
本発明において、液晶を構成する分子に分子形状に起因する固有軸、つまり、棒状などの棒状様分子であれば長軸方向、板状分子であれば板の法線方向にこの固有軸を設定した場合に、注目した微少領域に含まれる液晶分子の固有軸の平均方向がほぼ揃っていることを液晶分子が配向状態にあると言う。さらに、本発明では、この配向状態にあるとき、注目した微少領域の液晶分子の固有軸の平均方向と、位相差補償素子の積層方向(第2の光学異方性層と透明支持体との界面における法線方向)とのなす角を配向角と称し、固有軸の平均方向を前記界面へ投影した成分を配向方向と称する。
配向状態としては、前記液晶分子の配向角が傾斜する状態を有しているもの、つまり配向角が、第2の光学異方性層の厚み方向に平行又は垂直状態にない事が好適に挙げられ、前記配向角が第2の光学異方性層の上面と下面との間で厚み方向に連続的に変化するハイブリッド配向を有しているものがより好適に挙げられる。
前記ハイブリッド配向における配向角度としては、配向膜側から空気界面側に向かって連続的に20°±20°〜65°±25°の範囲で変化するように調整されることが好ましい。
前記重合性液晶化合物の前記配向角度及び配向方向により決定される前記配向状態としては、黒表示状態の液晶セルの液晶層の位相差の角度依存性を補償するように前記配向角及び配向方向が調整されることが好ましい。
ここで、前記第2の光学異方性層における前記液晶分子の配向膜側近傍の配向角、空気界面側の配向角及び平均配向角は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、多方向からの平均位相差を測定し、測定された平均位相差からハイブリッド配向屈折体モデルを想定し、該ハイブリッド配向屈折体モデルから算出された推定値である。
また、前記平均位相差から配向角を算出する方法としては、Design Concepts of Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGESTに記載された手法で算出することも可能である。前記配向角を算出する場合における前記第2の平均位相差の測定方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第2の光学異方性層の法線方向の平均位相差(Re0)、該法線方向に対して−40°方向の平均位相差(Re−40)及び+40°方向の平均位相差(Re40)が挙げられる。前記Re0、Re−40、Re40の測定は、それぞれ前記エリプソメーターを用いて、前記各測定方向に観察角度を変えて測定した値である。
前記棒状液晶分子を含む重合性液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマーバインダーを用いて前記棒状液晶分子の配向状態を固定可能とした重合性液晶化合物、重合により液晶分子の配向状態を固定可能とした重合性基を有する重合性液晶化合物などが挙げられ、この中でも重合性基を有する前記重合性液晶化合物が好適に挙げられる。
前記棒状液晶分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。
前記棒状液晶分子を含む重合性液晶化合物としては、下記構造式(I)で表される低分子の重合性基を有する棒状液晶化合物が重合した高分子液晶化合物が挙げられる。
Figure 2006189753
但し、前記構造式(1)において、Q1 及びQ2 は、それぞれ重合性基を表し、L1 、L2 、L3 及びL4 は、それぞれ単結合または二価の連結基を表すが、L2 及びL3 の少なくとも一方は、−O−CO−O−を表す。また、A1 及びA2 は、それぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサー基を表す。また、Mは、メソゲン基を表す。
前記円盤状液晶分子を含む重合性液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマーバインダーを用いて前記円盤状液晶分子の配向状態を固定可能とした重合性液晶化合物、重合により前記円盤状液晶分子の配向状態を固定可能とした重合性基を有する重合性液晶化合物などが挙げられ、この中でも重合性基を有する前記重合性液晶化合物が好適に挙げられる。
前記重合性基を有する重合性液晶化合物としては、例えば、円盤状コアと重合性基との間に連結基を導入した構造が挙げられる。前記重合性液晶化合物の具体的としては、特開平8−050206号公報に記載されている様な下記構造式(2)で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2006189753
但し、前記構造式(2)において、Dは円盤状コアを表し、Lは二価の連結基を表し、Pは重合性基を表す。また、nは4〜12の整数である。また、複数の二価の連結基Lと重合性基Pとの組合せとしては、異なる二価の連結基と重合性基との組合せでもよいが、同一の組合せが好ましい。前記円盤状コアDとしては、2種以上を併用することも可能である。
前記構造式(2)において、円盤状コアDの具体例としては、下記構造式D1〜D15で表される円盤状コアが挙げられる。
Figure 2006189753
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前記構造式(2)において、二価の連結基Lとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−、これらの組合せなどが好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−、これらの中から選ばれる二価の基を少なくとも二つ組合せた二価の連結基がより好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−O−、これらの中から選ばれる二価の基を少なくとも二つ組合せた二価の連結基であることが特に好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数としては、1〜12であることが好ましい。前記アルケレン基の炭素原子数としては、2〜12であることが好ましい。前記アリーレン基の炭素原子数としては、6〜10であることが好ましい。また、前記アルキレン基、前記アルケニレン基、前記アリーレン基としては、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基などの置換基を有していてもよい。
前記二価の連結基Lの具体例としては、−AL−CO−O−AL−、−AL−CO−O−AL−O−、−AL−CO−O−AL−O−AL−、−AL−CO−O−AL−O−CO−、−CO−AR−O−AL−、−CO−AR−O−AL−O−、−CO−AR−O−AL−O−CO−、−CO−NH−AL−、−NH−AL−O−、−NH−AL−O−CO−、−O−AL−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−O−CO−NH−AL−、−O−AL−S−AL−、−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−、−S−AL−、−S−AL−O−、−S−AL−O−CO−、−S−AL−S−AL−、−S−AR−AL−などが挙げられる。
但し、前記二価の連結基Lの具体例において、左側が前記円盤状コアDに結合し、右側が重合性基Pに結合する。またALはアルキレン基、アルケニレン基を表し、ARはアリーレン基を表す。
前記構造式(2)において、前記重合性基Pとしては、特に制限はなく、重合反応の種類に応じて適宜選択することができるが、不飽和重合性基、エポキシ基であることが好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることがより好ましい。前記重合性基Pの具体例としては、下記構造式P1〜P18で表される重合性基が挙げられる。
Figure 2006189753
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Figure 2006189753
Figure 2006189753
Figure 2006189753
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但し、前記重合性基の具体例P1〜P18において、nは4〜12の整数を表し、前記円盤状コアDの種類により決定される値である。
前記重合性化合物に含有するその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記重合性化合物の重合反応を開始する重合開始剤、前記重合性化合物の塗布液を調製するための溶剤などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱重合反応を開始する熱重合開始剤、光重合反応を開始する光重合開始剤が挙げられるが、これらの中でも前記光重合開始剤が好適に挙げられる。
前記光重合開始剤の具体例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号に記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号に記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号に記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号に記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組合せ(米国特許3549367号に記載)、アクリジン及びフェナジンの化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号に記載)、オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号に記載)が挙げられる。
前記光重合開始剤の前記重合性液晶化合物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合性液晶化合物の塗布液における固形分の0.01〜20重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがより好ましい。
前記光重合反応に用いられる光照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線が好適に挙げられる。前記光照射手段の照射エネルギーとしては、20m〜50J/cm2 であることが好ましく、100〜800mJ/cm2 であることがより好ましい。
また、前記光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機溶剤が好適に挙げられる。前記有機溶剤の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、ピリジン等のヘテロ環化合物、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン等のアルキルハライド、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテルなどが好適に挙げられ、これらの中でもアルキルハライド、ケトンがより好適に挙げられる。前記有機溶剤としては、これらの二種類以上を併用してもよい。
前記重合性液晶化合物の重合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平8−27284号公報、特開平10−278123号公報に記載の方法を用いることも可能である。
前記第2の光学異方性層が備えるその他の構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合性化合物に含まれる前記液晶分子を配向させるための配向膜が好適に挙げられる。前記配向膜上に前記重合性化合物が塗布等により積層されることが好ましい。
前記配向膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラビング処理された有機化合物(ポリマー)からなる配向膜、マイクログループを有する配向膜、ラングミュア・ブロジェット法(LB膜)によりω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチル等の有機化合物が累積された配向膜、無機化合物が斜方蒸着された配向膜、電場、磁場又は光照射等により配向機能が生じる配向膜などが挙げられるが、前記ラビング処理された有機化合物からなる配向膜が好適に挙げられる。
前記ラビング処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記有機化合物からなる膜の表面を紙や布で一定方向に数回こする処理が挙げられる。
前記有機化合物の種類としては、特に制限はなく、前記液晶分子の配向状態(特に配向角)に応じて決定することができ、例えば、前記液晶分子を水平に配向させるために配向膜の表面エネルギーを低下させない配向膜用ポリマーが挙げられる。
前記配向膜用ポリマーの具体例としては、ラビング処理の方向に対して直交する方向に前記液晶分子を配向する場合には、変性ポリビニルアルコール(特開2002−62427号公報に記載)、アクリル酸系コポリマー(特開2002−98836号公報に記載)ポリイミド、ポリアミック酸(特開2002−268068号公報に記載)が好適に挙げられる。
前記配向膜は、前記重合性化合物、前記透明支持体に対する密着性を向上させることを目的として、反応性基を有することが好ましい。前記反応性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配向膜用ポリマーの繰り返し単位の側鎖に反応性基を導入したもの、前記配向膜用ポリマーに環状基の置換基を導入したものなどが挙げられる。
前記反応性基により前記重合性化合物、前記透明支持体に対して化学結合を形成する配向膜としては、特開平9−152509号に記載の配向膜を用いることも可能である。
配向膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜5μmであることが好ましく、0.02〜2μmであることがより好ましい。
前記第2の光学異方性層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記溶剤に前記液晶分子を含む前記重合性化合物、前記重合開始剤などを含有した塗布液を、前記配向膜の上に塗布することで形成する方法が好適に挙げられる。塗布液の前記配向膜上への塗布方法としては、特に制限はなく、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコート法などの公知の方法が挙げられる。
なお、第2の光学異方性層の作製方法としては、前記配向膜を用いて前記液晶分子を含む前記重合性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性分子を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフイルムなどの透明支持体上に転写してもよい。このような作製方法によれば、配向膜による複屈折の影響を考慮する必要がなく、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償することが可能となる。
−その他の層−
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反射防止層が挙げられる。前記反射防止層の材料、構造としては、反射率を低減し、透過率を増加させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のARフイルム(Anti Reflection Coat Film)などが挙げられる。
前記第1の光学異方性層と第2の光学異方性層とを用いた位相差補償素子の構造には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。好適な構造としては、以下に示す第1から第8の構造を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(第1の構造の位相差補償素子)
図5は、第1の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第1の構造に係る位相差補償素子は、前記透明支持体11の一方の面上に、前記第1の光学異方性層12を備え、他方の面上に配向方向が異なる2つの前記第2の光学異方性層13a,13bを備えてなる。すなわち、図5に示すように、第1の構造に係る位相差補償素子10は、透明支持体11の一方の面上に、配向膜14a、第2の光学異方性層13a、配向膜14b、第2の光学異方性層13b、反射防止層15bの順に配置されるように積層され、透明支持体11の他方の面上に第1の光学異方性層12、反射防止層15a、反射防止層15aの順に配置されるように積層されてなるものである。
前記第1の光学異方性層12は、TiO2層12a及びSiO2層12bの周期構造積層体であり、各層の厚みはそれぞれ約15nmである。また、配向膜14aと配向膜14bのラビング処理の方向はTNモードの液晶素子の構造から90°を中心に70°から110°までの範囲内の任意の角度に設定することができ、80°から100°の範囲内と設定することが好ましい。(以降、ラビング処理の方向を上記の範囲で調整する場合を略90°と称する)この様な配向膜14aおよび14bを備えることにより、第2の光学異方性層13aおよび13bにおける前記液晶分子の配向方向を現実のコントラスト性能を向上させるために最適な配向方向へ配向させることが可能となる。
また、第2の光学異方性層13aおよび13bの膜厚は黒状態のTNモード液晶素子の液晶の位相差の視野角依存性を補償する原理から、ほぼ同程度の膜厚に設定するが、コントラスト性能を向上させるために液晶素子の構造や配向状態を考慮して、各層の厚みを20%程度まで変化させて最適化することもできる。さらに、前述の液晶素子の角度依存性補償の観点から第2の光学異方性層13aおよび13bのそれぞれの配向角度および配向方向も同様に液晶素子の構造や配向状態を考慮して最適化することが好ましい。
図6は、図5に示される第1の構造の位相差補償素子10において、反射防止層15cを透明支持体11と配向膜14aとの間に形成した態様の位相差補償素子10aを示す断面図である。
位相差補償素子10aは、反射防止層15cが透明支持体11と配向膜14aとの間に形成されている以外は位相差補償素子10と同様の構造である。位相差補償素子10aは、透明支持体11の一方の面上の最外表面に反射防止層15b、他方の面上の最外表面に反射防止層15aを積層し、更に反射防止層15cを透明支持体11と配向膜14aとの間に形成するという反射防止層の3層構造をとっている。このように、反射防止層を適宜積層体の中間に形成することにより、より広い波長範囲で反射防止効果を得ることができる。
(第2の構造の位相差補償素子)
図7は、第2の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第2の構造に係る位相差補償素子は、前記透明支持体の少なくとも一方の面上に、前記第1光学異方性層及び前記第2光学異方性層をこの順に備えてなる。
すなわち、図7に示すように、第2の構造に係る位相差補償素子20は、透明支持体21の一方の面上に、第1光学異方性層22、配向膜24、第2光学異方性層23、反射防止層25bの順に積層され、透明支持体21の他方の面上に反射防止層25aを積層してなるものである。前記第1光学異方性層22は、高屈折率薄膜層であるTiO2 膜22a、及び低屈折率薄膜層であるSiO2 膜22bの周期構造積層体である。
前記第1光学異方性層22は、このような周期構造積層体とすることにより反射防止機能を兼ね備えることも可能である。また、前記第2の構造に係る位相差補償素子20を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの位相差補償素子における配向膜のラビング処理の方向を略90°の所望の角度異なるように設定することが好ましい。前記第2の構造に係る位相差補償素子20に示すように、透明支持体の一方の面上に各層を配置する態様は、各層を構成する素材、組合せにもよるが、一般的にハンドリングがよく、製造も容易となる。
(第3の構造の位相差補償素子)
図8は、第3の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第3の構造に係る位相差補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第光学異方性層が前記透明支持体の一方の面上に設けられてなる。
すなわち、図8に示すように、第3の構造に係る位相差補償素子30は、透明支持体31の一方の面上に、第1光学異方性層32、配向膜34a、第2光学異方性層33a、配向膜34b、第2光学異方性層33b、反射防止層35bの順に積層され、透明支持体31の他方の面上に、反射防止層35aを積層してなるものである。前記第1光学異方性層32の構造としては、前記第1の構造に係る位相差補償素子10における第1光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、前記配向膜34aと前記配向膜34bのラビング処理の方向を略90°の所望の角度異なるように設定することが好ましい。このような前記配向膜34a及び前記配向膜34bを備えることにより前記第2光学異方性層33a及び前記第2光学異方性層33bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶分子の配向方向を所望の角度だけ異なる方向に配向させることが可能となる。
(第4の構造の位相差補償素子)
図9は、第4の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第4の構造に係る位相差補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第2異方性層が前記透明支持体を介して設けられてなる。
すなわち、図9に示すように、第4の構造に係る位相差補償素子40は、透明支持体41の一方の面上に、第1光学異方性層42、配向膜44a、第2光学異方性層43a、反射防止層45bの順に積層され、透明支持体41の他方の面上に配向膜44b、前記第2光学異方性層43b、反射防止層45aがこの順に配置されるように積層されてなるものである。前記第1光学異方性層42の構造としては、前記第1の構造に係る位相差補償素子10における第1光学異方性層12と同様の構造とすることができる。
また、前記配向膜44aと前記配向膜44bのラビング処理の方向を略90°の所望の角度異なるように設定することが好ましい。このような前記配向膜44a及び前記配向膜44bを備えることにより、前記第2光学異方性層43a及び前記第2の光学異方性層43bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶分子の配向方向を所望の角度だけ異なる方向に配向させることが可能となる。
(第5の構造の位相差補償素子)
図10は、第5の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第5の構造に係る位相差補償素子は、前記透明支持体の少なくとも一方の面上に、前記第1光学異方性層及び前記第2異方性層を備えてなる。
すなわち、図10に示すように、第5の構造に係る位相差補償素子50は、透明支持体51の一方の面上に、配向膜54、第2光学異方性層53、第1光学異方性層52、反射防止層55bの順に積層され、透明支持体51の他方の面上に反射防止層55aが積層されてなるものである。前記第1光学異方性層52は、TiO2 膜52a及びSiO2 膜52bの周期構造積層体である。
また、前記第5の構造に係る位相差補償素子50を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの位相差補償素子における配向膜のラビング処理の方向を略90°の所望の角度異なるように設定することが好ましい。
(第6の構造の位相差補償素子)
図11は、第6の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第6の構造に係る位相差補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第2の異方性層を有してなる。
すなわち、図11に示すように、第6の構造に係る位相差補償素子60は、透明支持体61の一方の面上に、配向膜64a、第2光学異方性層63a、配向膜64b、第2光学異方性層63b、第1光学異方性層62、反射防止層65bの順に積層され、透明支持体61の他方の面上に反射防止層65aが積層されてなるものである。前記第1光学異方性層62の構造としては、前記第5の構造に係る位相差補償素子50における第1の光学異方性層52と同様の構造とすることができる。
また、前記配向膜64aと前記配向膜64bのラビング処理の方向を略90°の所望の角度異なるように設定することが好ましい。このような前記配向膜64a及び前記配向膜64bを備えることにより、前記第2光学異方性層63a及び前記第2光学異方性層63bにおける前記重合性化合物に含まれる前記液晶分子の配向方向を所望の角度だけ異なる方向に配向させることが可能となる。
(第7の構造の位相差補償素子)
図12は、第7の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第7の構造に係る位相差補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第2光学異方性層が前記透明支持体を介して設けられてなる。
すなわち、図12に示すように、第7の構造に係る位相差補償素子70は、透明支持体71の一方の面上に、配向膜74a、第2光学異方性層73a、第1光学異方性層72、反射防止層75bの順に積層され、透明支持体71の他方の面上に配向膜74b、前記第2光学異方性層76、第1光学異方性層77、反射防止層75aの順に積層されてなるものである。
前記第1の光学異方性層72,77の構造としては、前記第5の構造に係る位相差補償素子50における第1の光学異方性層52と同様の構造とすることができる。また、前記第1光学異方性層72,77は少なくとも一層備えていればよく、いずれか一方の前記第1光学異方性層を省略することが可能である。
また、前記配向膜74aと前記配向膜74bのラビング処理の方向を略90°の所望の角度異なるように設定することが好ましい。このような前記配向膜74a及び前記配向膜74bを備えることにより、前記第2光学異方性層73及び前記第2光学異方性層76における前記重合性化合物に含まれる前記液晶分子の配向方向を所望の角度だけ異なる方向に配向させることが可能となる。
(第8の構造の位相差補償素子)
図13は、第8の構造に係る位相差補償素子の断面図である。第8の構造に係る位相差補償素子は、前記透明支持体の一方の面上に前記第1の光学異方性層を備え、他方の面上に前記第2光学異方性層を備えてなる。
すなわち、図13に示すように、第8の構造に係る位相差補償素子80は、前記透明支持体81の一方の面上に配向膜84、第2の光学異方性層83、反射防止層85bの順に積層され、透明支持体81の他方の面上に、第1光学異方性層82、反射防止層85aの順に積層されてなるものである。前記第1光学異方性層82は、TiO2 膜82a及びSiO2 膜82bの周期構造積層体である。
また、前記第8の構造に係る位相差補償素子80を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの位相差補償素子における配向膜のラビング処理の方向を略90°の所望の角度異なるように設定することが好ましい。
前記位相差補償素子にあっては、前記第1光学異方性層12,22,32,42,52,62,72,82における光学特性が無機材料よりなる周期構造積層体による周期構造ピッチによって決められるために、高分子フイルムを一軸伸延して所定の光学特性を得る場合に生じる残留応力による高分子フイルム面内における屈折率のバラツキやヘイズ値の低下等の光学的不均一性の問題が防止でき、前記第1の光学異方性層面内における光学的均一性を高くすることが可能である。従って、前記位相差補償素子は、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償することが可能となる。
また、前記第1光学異方性層12,22,32,42,52,62,72,82が、十数nmの範囲で面内の厚みの制御が可能であり、高い平滑性を実現でき、前記第1光学異方性層面内における光学的均一性を高くすることが可能である。従って、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して、光漏れを低減して、スジ状のむらが顕在化することが防止できる。
更に、前記第1光学異方性層12,22,32,42,52,62,72,82は、高温・高多湿環境で長期にわたり使用されても、膨張又は収縮が生じることがなく、位相差補償素子全体としても長期にわたり光学特性の変化を最小とすることが可能となる。
特に、前記第2〜第4の構造の位相差補償素子20,30,40にあっては、前記透明支持体21,31,41上に、十数nmの範囲で面内の厚み制御が可能な前記第1光学異方性層22,32,42を備えてなる。このため、前記第1光学異方性層22,32,42は、高い精度で面内の厚みむらを防止することが可能であり、高平滑な表面を有する第1の光学異方性層を得ることが可能となる。このような高平滑な表面を有する前記第1光学異方性層22,32,42上に、前記第2光学異方性層23,33,43が積層されるので、該第2光学異方性層23,33,43の面内における配向欠陥を防止することが可能となる。このため、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止する位相差補償素子を実現でき、幅広い視野角が要求される大画面液晶モニターや液晶プロジェクタ等に前記位相差補償素子を用いることにより高画質、高コントラストな液晶素子及び液晶プロジェクタが実現することが可能となる。
[位相差補償素子の製造方法]
位相差補償素子の製造方法としては、透明支持体の面上に、無機材料からなり、屈折率がお互いに異なる複数種の層を規則的な順序で積層して、前記第1光学異方性層を得る工程と、重合性液晶化合物に含まれる液晶分子の配向状態を保った状態で前記重合性液晶化合物を重合し前記第2光学異方性層を得る工程とを含む製造方法が挙げられる。
即ち、透明支持体の面上に直接、前記第1光学異方性層を得た後に、該第1光学異方性層上に、第2光学異方性層を得ることにより位相差補償素子を製造してもよく、透明支持体の面上に、前記配向膜を介して前記第2光学異方性層を得た後に、該第2光学異方性層上に、第1光学異方性層を得ることにより位相差補償素子を製造してもよい。また、透明支持体の一方の面上に直接、前記第1光学異方性層を得た後に、前記透明支持体の他方の面上に、第2光学異方性層を得ることにより位相差補償素子を製造してもよい。
位相差補償素子の製造方法の具体例としては、例えば、以下の製造方法が挙げられる。まず、所定の大きさのガラス基板に、反射防止層及び第2光学異方性層をこの順で形成する。前記反射防止層及び第2光学異方性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料又は無機材料よりなる反射防止層の構成材料を前記ガラス基板上に塗付又は蒸着して前記反射防止層を製膜する。次いで、TiO2 膜及びSiO2 膜を交互に蒸着して周期構造積層体を製膜する。前記第1光学異方性層における各層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
次いで、製膜された前記第2光学異方性層上に、変性ポリビニルアルコール樹脂の溶液を塗工し、配向膜を製膜する。製膜された前記配向膜の表面を一方向に布地でラビング処理して配向機能を付与する。
次いで、液晶分子を含む重合性化合物の溶液を前記配向膜上にバーコーター、スピンコータ、ダイコーターなどを用いて塗工する。次いで、該塗工層を加熱して溶媒を乾燥させた後に、液晶分子の配向を熟成させるために加熱温度を変化させた後、紫外線を照射して前記重合化合物を重合させて、液晶分子の配向を固定し、第2光学異方性層を得る。なお、前記重合性化合物の溶媒の乾燥、液晶分子の配向時の加熱条件は同様であってもよい。
第2光学異方性層を前記ガラス基板の一方の面上に2層備えるものにあっては、更に、前記第2光学異方性層上に、配向膜を前記配向膜と同様の作製方法により製膜し、次いで、前記配向膜上に前記第2光学異方性層の作成方法と同様の方法により、2層目の第2光学異方性層を得る。この場合、1層目及び2層目の前記配向膜の配向方向は、略90°の所望の角度異なるように配置されることが好ましい。
最後に第2光学異方性層上に、所定の反射防止膜形成材料の溶液を塗工して反射防止膜を形成し、位相差補償素子を作製することができる。
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に封入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配される位相差補償素子と、前記液晶素子及び位相差補償素子に対向配置される偏光素子とを備え、更に、必要に応じてその他の構成を備えてなり、前記位相差補償素子が前記本発明の位相差補償素子を用いてなる。前記液晶素子の表示モードとしては、TN(Twisted Nematic)モードが挙げられる。
図14〜17は、本発明の液晶表示装置の概略構成図である。これらの図において理解を促すため、各図に示す液晶表示装置の概略構成においては、図面の下側に配された光源から光が入射され、図面の上側に進んで出射される形態を示し、偏向板や第2光学異方性層の2つ構成要素を含むものについては、図面の上下方向になぞらえて、以下、図面の上方向を「上側」、図面の下方向を「下側」と表記する。
図14に示すように、液晶表示装置100は、吸収軸102及び115が概略直交しクロスニコルで対向配置される一対の上側偏光素子101(検光子)及び下側偏光素子116(偏光子)と、上・下側偏光素子101、116の間に配置される位相差補償素子108と、液晶素子114(液晶セル)とを備えてなる。なお、上・下側偏光素子101、116に代えて、グラン−トムソンプリズムなどの偏光ビームスプリッタを偏光素子として、液晶素子114に対向配置して用いることも可能である。
液晶素子114は、ガラス基板よりなる上側基板109と下側基板113とが対向配置され、これらの上側基板109及び下側基板113の間には、例えば、ネマチック液晶111が封入されている。上側基板109及び下側基板113の対向面には、不図示の画素電極、回路素子(薄膜トランジスタ)等が形成されている。上側基板109及び下側基板113のネマチック液晶111が接する対向面には不図示の上・下側配向膜が形成されている。該配向膜のネマチック液晶111が接する面上は、液晶分子の配列方向を揃えるために、ラビング処理が施されている。該ラビング処理を施すことにより刻まれる溝の方向(ラビング方向)としては、例えば、TNモードの液晶表示装置の場合では、上・下側配向膜におけるラビング方向110及び112が概略直交している。
図14は、液晶素子114に電圧が印加されていない通常状態時の液晶分子の配列状態を表している。上側基板109及び下側基板113側のネマチック液晶111は、前記不図示の配向膜に施されたラビング処理の作用によりラビング方向110及び112と略同一の方向に配列されている。そして、ラビング方向110及び112はお互いに直交しているので、ネマチック液晶111の分子は、上側基板109から下側基板113に向かうに従い、液晶分子の長軸が90°ねじれた状態となるように配列される。
前記偏光素子としては、該偏光素子を平行ニコル配置したときの光の透過率を100%とした場合に、該偏光素子をクロスニコル配置したときの光の透過率が0.001%以下が好ましい。
上側偏光素子101(検光子)及び下側偏光素子116(偏光子)は、少なくとも偏光膜を有してなり、更に、必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記偏光膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体部分ケン化物等の親水性ポリマーなどからなるフイルムに、ヨウ素、アゾ系、アントラキノン系、テトラジン系等の二色性染料などの二色性物質を吸着させて、延伸配向処理したものなどが挙げられる。
前記伸延配向処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記偏光膜の吸収軸が長手方向に対して実質的に直交する、幅方向一軸延伸型テンター延伸機が好適に挙げられる。このような幅方向一軸延伸型テンター延伸機は、貼り合せ時に異物が入りにくいというという利点を有する。
前記伸延配向処理としては、特開2002−131548号公報に記載の延伸方法を用いることも可能である。
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記偏光膜の片面又は両面に有する透明保護膜、反射防止膜、防眩処理膜などが挙げられる。
上・下側偏光素子101、116の構造としては、前記偏光膜の少なくとも一方の面に前記透明保護膜を有した偏光板、位相差補償素子を支持体として該位相差補償素子の一方の面に一体的に前記偏光膜を有するものなどが好適に挙げられる。
前記透明保護膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステルなどが挙げられる。
前記透明保護膜としては、具体的には、セルローストリアセテート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)などのポリオレフィン類が好適に挙げられる。
また、特開平8−110402号公報、特開平11−293116号公報に記載されている非複屈折性光学樹脂材料も用いることが可能である。
前記透明保護膜の配向軸(遅相軸)方向としては、特に制限はないが、作業操作上の簡便性から、前記透明保護膜の配向軸が長手方向に平行であることが好ましい。また、透明保護膜の遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)の角度も特に限定的でなく、偏光板の目的に応じて適宜設定できる。なお、前記幅方向一軸延伸型テンター延伸機を用いて前記偏光膜を作製した場合には、前記透明保護膜の遅相軸(配向軸)と前記偏光膜の吸収軸(延伸軸)方向とは実質的に直交することになる。
前記透明保護膜のレターデーションとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、測定波長632.8nmにおいて10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
なお、前記セルロースアセテートを用いる場合には、環境の温湿度によるレターデーション変化を小さくおさえる目的から、レターデーションが3nm未満が好ましく、2nm以下がより好ましい。
前記偏光板の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール形態で供給される長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。
また、前記偏光膜、前記偏光板は、光学軸のズレ防止、ゴミなどの異物侵入防止などの点から前記位相差補償素子に固着処理されていることが好ましい。
反射防止層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系ポリマーのコート層、多層金属蒸着層等の光干渉性の膜、などが挙げられる。
上・下側偏光素子101、116の光学的性質、耐久性(短期、長期での保存性)としては、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)と同等かそれ以上の性能を有することが好ましい。
位相差補償素子108は、前記本発明の位相差補償素子を用いてなる。前記位相差補償素子としては、液晶表示装置100に組み込んだ状態における液晶表示装置100の白表示透過率をVw、黒表示透過率をVbとしたときに、該液晶表示装置100の正面における前記白表示透過率Vwと黒表示透過率Vbとの比、即ち、コントラスト比Vw:Vbが100:1以上が好ましく、200:1以上がより好ましく、300:1以上がさらに好ましい。
また、液晶表示装置100の表示面における法線方向から60°傾斜した全方位角方向において、黒表示透過率の最大値がVwに対して10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。このような位相差補償素子を用いることにより、高コントラストで階調反転の生じない広い視野角の液晶表示装置を実現できる。
また、残留捩れ成分が大きい液晶素子を正確に補償するためには、クロスニコルに配置した一対の偏光素子の間に前記位相差補償素子を配置し、該位相差補償素子の法線方向を回転軸として該位相差補償素子を回転させたときに前記液晶表示装置が消光する方位がなく、全方位にあたり、光の透過率が0.01%以上が好ましい。
位相差補償素子108は、上側偏光素子101と液晶素子114との間に配置され、第1の光学異方性層107、上側第2光学異方性層103、下側第2光学異方性層105を含んでなる。
位相差補償素子108を構成する各光学異方性層はそれぞれ、上側第2光学異方性層103における配向膜のラビング方向104と、液晶素子114の上側基板109における上側配向膜のラビング方向110との成す角が180°となるように配置され、下側第2光学異方性層105における配向膜のラビング方向106と、液晶素子114の下側基板113における下側配向膜のラビング方向112との成す角が180°となるように配置される。
なお、第2光学異方性層と、液晶素子の基板における配向膜のラビング方向との関係は置換しても良く、下側第2光学異方性層105における配向膜のラビング方向106と、液晶素子114の上側基板109における上側配向膜のラビング方向110との成す角が180°となるように配置され、上側第2光学異方性層103における配向膜のラビング方向104と、液晶素子114の下側基板113における下側配向膜のラビング方向112との成す角が180°となるように配置されてもよい。
また、第1の光学異方性層107は液晶素子114側となるように備えられることが好ましい。
図15は、TNモードの液晶表示装置において、黒表示状態、即ち、液晶素子114に電圧が印加された状態の液晶分子の配列状態を表している。液晶素子114に電圧が印加されると、液晶分子が立ち上がった状態、即ち、液晶分子の長軸が光の入射面に対して垂直となるように液晶分子の配列状態が変化する。ここで理想的には、電圧を印加した時の液晶素子114内の全ての液晶分子が、光の入射面に対して平行となることが望ましいが、実際には、図15に示すように、液晶素子114内の液晶分子は、上側基板109及び下側基板113から液晶素子114の中心領域に向かうに従い、徐々に液晶分子の長軸が立ち上がった状態となる。従って、上側基板109及び下側基板113側界面近傍の液晶分子は電圧印加時においても、その液晶分子の長軸が光りの入射面に対して平行ではなく、傾斜した配列状態となっている。このように、光の入射面に対して傾斜した液晶分子が存在することが、視野角によっては、黒表示状態とならずに光漏れを起こす原因となる。
更に、TNモードの液晶表示装置に用いられるネマチック液晶は、一般に棒状液晶であり、光学的に正の一軸性を示す。このため、液晶素子114の中心領域に存在し、完全に立ち上がった状態の液晶分子によっても、斜め方向から液晶表示装置100を見た場合には、複屈折が発現され、視野角によっては、黒表示状態とならずに光漏れを起こす原因となる。
従って、黒表示状態における上側基板109及び下側基板113側界面近傍の液晶素子114内の液晶の配向状態に対しては、第2の光学異方性層103及び105に含まれる液晶分子の配向状態を鏡面対称として、上側基板109及び下側基板113側界面領域における前記複屈折の発現を光学的に補償するとともに、液晶素子114の中心領域における液晶による複屈折に対しては、一軸性の傾斜していない負の屈折率楕円体の光学特性を有する第1の光学異方性層107により光学的に補償して配置されることにより、全体として黒表示状態の液晶素子114を三次元的に光学補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
また、位相差補償素子108は、図16に示すように液晶素子114の下面に備えることもでき、さらには図17に示すように液晶素子114の上下面に108a、108bとして備えることも可能である。なお、液晶素子の上下面に配置する場合、第1の光学異方性層107a又は107bのいずれかを省略することも可能であり、それぞれに第1の光学異方性層を設ける場合は107a、107bの合計のレターデーション値で調整される。
また、位相差補償素子108としては、該位相差補償素子108に備えられる不図示の前記支持体が液晶素子114の上側基板109と下側基板113であることも可能である。この場合には、図17に示す第1の光学異方性層107a又は107bが上側基板109と下側基板113に直接形成される。
(液晶プロジェクタ)
図18に本発明を適用したリア方式の液晶プロジェクタ200の外観を示す。筐体202の前面に拡散透過型のスクリーン203が設けられ、その背面に投影された画像が前面側から観察される。筐体202の内部には投影ユニット300が組み込まれ、その投影画像はミラー206,207で反射されスクリーン203の背面に結像される。筐体202の内部にはチューナー回路などのほか、ビデオ信号及び音声信号再生用の周知の回路ユニットが組み込まれ、投影ユニット300に画像表示手段として設けられた液晶素子にビデオ信号の再生画像を表示することによって、この液晶プロジェクタは、大画面のテレビジョンとして使用することができる。
図19に投影ユニット300の構成を概略的に示す。この投影ユニット300には透過型の三枚の液晶素子311R,311G,311Bが組み込まれ、フルカラーで画像投影を行うことができる。光源312からの放射光は、紫外線及び赤外線をカットするフィルタ313を透過することにより、フルカラー画像表示に必要な3種類の基本色光である赤色光,緑色光,青色光を含む白色光となり、光源から液晶素子に至る照明光軸にしたがってガラスロッド314に入射する。ガラスロッド314の光入射面は、光源312に用いられている放物面鏡の焦点位置近傍に位置し、光源312からの光は効率的にガラスロッド314に入射する。
ガラスロッド314の出射面に対峙してリレーレンズ315が配設され、ガラスロッド314からの白色光は、リレーレンズ315及び後段のコリメートレンズ316により平行光となってミラー317に入射する。ミラー317で反射された白色光は、赤色光だけを透過するダイクロイックミラー318Rで2光束に分けられ、透過した赤色光はミラー319で反射して液晶素子311Rを背面から照明する。また、ダイクロイックミラー318Rで反射された緑色光と青色光は、緑色光だけを反射するダイクロイックミラー318Gでさらに2光束に分割される。ダイクロイックミラー318Gで反射された緑色光は液晶素子311Gを背面側から照明する。ダイクロイックミラー318Gを透過した青色光は、ミラー318B,320で反射され、液晶素子311Bを背面から照明する。
各々の液晶素子311R,311G,311Bはそれぞれ同一諸元をもつTN液晶で構成され、その各々には、フルカラー画像を構成する赤色画像,緑色画像,青色画像の濃度パターン画像が表示される。これらの液晶素子311R,311G,311Bから光学的に等距離となる位置に中心がくるように合成プリズム324が配置され、合成プリズム324の出射面に対面して投影レンズ325が設けられている。合成プリズム324は、その内部に2面のダイクロイック面324a,324bを有し、液晶素子311Rを透過してきた赤色光、液晶素子311Gを透過してきた緑色光、液晶素子311Bを透過してきた青色光を合成して投影レンズ325に入射させる。投影レンズ325は、その物体側焦点面が液晶素子311R,311G,311Bの出射面に一致し、像面側焦点面がスクリーン203に一致するようにしてあるから、合成プリズム324で合成されたフルカラー画像はスクリーン203に結像されることになる。
液晶素子311R,311G,311Bの照明光の入射面側には、それぞれ偏光板326R,326G,326Bが設けられている。また、各液晶素子の出射面側には、位相差補償素子327R,327G,327Bと、偏光板328R,328G,328Bとが設けられている。入射面側の偏光板326R,326G,326Bと出射面側の偏光板328R,328G,328Bはクロスニコル配置となっており、入射面側の偏光板は偏光子、出射面側の偏光板は検光子として作用する。なお、それぞれの色チャンネルごとに設けられた液晶素子、その両側にそれぞれ設けられた位相差補償素子の作用は、詳しくは後述するようにそれぞれの基本色光に基づく相違はあるものの、基本的には共通である。
図20に位相差補償素子327Gの概略断面を示す。位相差補償素子327Gは、たとえば、上述した第2の構造の位相差補償素子20と同様の構造を備えており、ガラス基板などからなる透明支持体400と、この上に設けられた第1光学異方性層401と、第2光学異方性層402と、第1光学異方性層401と第2光学異方性層402との間に設けられた配向膜403と、透明支持体400の下面と第2光学異方性層402の上面とに設けられた反射防止層404a,404bとからなる。
第1光学異方性層401は、無機材料からなる構造性複屈折体で構成され、屈折率が異なる誘電体の高屈折率薄膜層401aと低屈折率薄膜層401bとを交互に積層した総厚みd1の多層膜で構成されている。各層の光学膜厚(物理的膜厚と屈折率との積)は光の波長よりも充分に小さく、好ましくはλ/100〜λ/5、より好ましくはλ/50〜λ/5、実際的にはλ/30〜λ/10が適切である。この方法で、容易に負のc−plateの作成が可能となり、複屈折Δn2をもつ一軸性の負の複屈折板として薄膜の形成面が投影光軸に垂直となるように配置して用いられる。
なお、屈折率が異なる誘電体薄膜を積層した多層膜により固有の光学的作用を得るものとして、ダイクロイックミラー、偏光ビームスプリッタ、色合成プリズム、反射防止膜などが知られているが、これらの多層膜を構成する個々の薄膜層は、いずれもその光学膜厚がλ/4の整数倍となるように設計され、光の干渉現象を利用して所期の目的を達成するものである。この点、上述した多層膜は、個々の薄膜401a,401bの光学膜厚がλ/4よりも薄いことや、2種類の薄膜の光学膜厚の比によって固有の複屈折Δn1が決められることなどから、光の干渉現象とは全く異なる作用原理に基づくものである。
第2光学異方性層402は、液晶分子を含む重合性液晶化合物から形成され、該液晶分子の配向角を厚み方向に変化させたハイブリッド配向をさせたものであり、厚みがd2とされている。
他の色チャンネルに用いられている位相差補償素子327R,327Bも、位相差補償素子327Gと同構成のものであり、透明支持体上に第1光学異方性層と第2光学異方性層とが層設されたものが用いられている。ただし、青色チャンネルの位相差補償素子327Bについては、第1光学異方性層と第2光学異方性層とのいずれか一方、または両方の厚みが、位相差補償素子327G,327Rよりも薄くされている。第1光学異方性層の総厚みd1を薄くするには、薄膜の積層数を減らすことで簡単に対応することが可能であるが、積層数を同じにして個々の薄膜を薄くすることで対応してもよい。
これらの位相差補償素子327R,327G,327Bは、基本色光ごとに液晶素子311R,311G、311Bを通過してくる楕円偏光成分を含む色光に対して負の位相差補償作用を示し、各色光を直線偏光に戻してそれぞれの偏光板328R,328G,328Bに入射させる。したがって、液晶素子311R,311G、311Bの電極間に電圧を印加してスクリーン203上に黒表示を行おうとする場合、偏光板328R,328G,328Bによる光遮断機能が良好に発揮され、黒レベルのコントラストを向上させることができる。
また、液晶素子311R,311G、311Bが呈する複屈折作用には波長依存性があり、各々の基本色光ごとに全く同一構成の位相差補償素子327R,327G,327Bを用いた場合には特に青色光の位相差補償機能が低下する。ところが、青色光用の位相差補償素子327Bについては、第1の光学異方性層と第2の光学異方性層との厚みを他よりも薄くしてあるから、液晶素子311Bによって生じる正の位相差が位相差補償素子327Bによって生じる負の位相差で相殺され、全基本色光で良好な位相差補償を行うことが可能となる。
なお、以上の態様において、コストの観点から位相差補償素子327Rと327Gとを兼用する位相差補償素子を設計して、位相差補償素子327Rと327Gとして導入してもよいし、位相差補償素子327R,327G,327Bのなかで、第1の光学異方性層や第2の光学異方性層のいずれかが同じ設計の層を用いてもよい。
[実施例1]
次に、上記液晶プロジェクタの投影ユニット300に用いられる位相差補償素子327R,327G,327Bの具体的な実施例について説明する。
[液晶素子]
上記投影ユニット300の液晶素子311R,311G,311Bは、セル厚dを4.5μmとした。図21に、TN液晶に用いたネマティック液晶材料がもつ複屈折Δnと、TN液晶のセル厚dを4.5μmにしたときの原初的な平均位相差dΔnとの波長依存性を示す。図示のとおり、それぞれの値は波長によって異なってくる。そして、前述のようにTN液晶は黒レベル表示においてセル内の液晶分子の全てが垂直配向姿勢になるわけではないので、セル厚dの略70%に相当する液晶層の部分が、補償すべき位相遅れを生じさせる実効的な要因として寄与しているものとし、これを実効平均位相差Reとして表すと同図のとおりである。
なお、この実施例の液晶素子では、メルク社の「ZLI−1083」(商品名)として知られるシアノシクロヘキサン系ネマティック液晶を用いている。先のパーセンテージは、液晶層を構成している液晶分子の組成や種類、あるいは基板間への印加電圧レベルや液晶分子の配向姿勢分布に応じて適宜に変更すべきであり、必ずしも一律に70%に限られるものではない。
[位相差補償素子の作製]
以下の方法により位相差補償素子を作製した。
−配向膜−
ガラス基板上に、下記組成の配向膜塗布液100ml/m2 を滴下し、1000rpmの条件でスピンコートする。その後、該配向膜塗布液を100℃の温風で3分間乾燥して、厚み600nmの配向膜を形成した。次いで、形成された前記配向膜上にラビング処理を施して、所定の配向方向に配向する配向膜を形成した。
<配向膜塗布液>
下記構造式(3)の変性ポリビニルアルコール・・20g
水(溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・360g
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・120g
グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・1.0g
Figure 2006189753
−第2の光学異方性層−
下記構造式(4)の円盤状液晶化合物4.27g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.42g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.09g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.02g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.14g、増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製)0.05gを溶剤としてのメチルエチルケトン15.0gに溶解し、重合性液晶化合物の塗布液を調製した。 得られた前記重合性液晶化合物塗布液100ml/m2 を前記配向膜上に滴下し、1500rpmの条件でスピンコートする。その後、130℃の恒温ゾーンで5分間加熱し、前記重合性液晶化合物を配向させた。その後、高圧水銀灯を用いて照射エネルギー300mJ/cm2 でUV照射して、前記重合性液晶化合物を重合させ、液晶分子の配向状態を固定した。その後、室温まで放冷し、第2光学異方性層を形成した。
Figure 2006189753
形成された前記第2光学異方性層において、前記円盤状液晶化合物は、円盤面の垂直軸法線と前記ガラス基板の法線とのなす角度(配向角)が、10°から62°に前記ガラス基板側から空気界面側に向かって増加し、前記円盤状液晶化合物がハイブリッド配向していた。前記円盤状液晶化合物の配向角は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えて平均位相差を測定し、得られた測定値からハイブリッド配向屈折体を仮想し、「Design Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法により算出した。 前記第2光学異方性層上に、更に、配向膜をその配向方向が前記配向膜と概略直交するように積層した。そして、該配向膜上に第2の光学異方性層を同様の方法により形成した。 得られた該第2の光学異方性層において、円盤状液晶化合物は、円盤面の垂直軸と前記ガラス基板の法線とのなす角度(配向角)が、12°から65°に前記ガラス基板側から空気界面側に向かって増加し、該円盤状液晶化合物がハイブリッド配向していた。また、得られた第2の光学異方性層はシュリーレン等の欠陥がない均一な膜であった。
−第1の光学異方性層−
得られた前記第2の光学異方性層上に減圧下でスパッタ装置を用いてSiO2 とTiO2 を交互に蒸着して、多数層からなる周期構造積層体を形成した。
−反射防止膜−
得られた前記第1の光学異方性層上に減圧下でスパッタ装置を用いてSiO2 とTiO2 を交互に蒸着して、反射防止膜を形成した。形成された該反射防止膜の膜厚は、例えば0.24μmであった。
[液晶表示装置]
作製された前記位相差補償素子を白表示1.5V、黒表示3VのノーマリーホワイトモードのTNモード液晶素子に重ね合わせて、比較例1の液晶表示装置を得た。
位相差補償素子327R,327G,327Bの第1光学異方性層の高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層との物理的膜厚は、例えばそれぞれ30nm,20nm(物理的膜厚比が3:2)とし、各々21層ずつ合計42層積層して、合計の物理的膜厚を1.05μmとする。実施例1の位相差補償素子の物性を表す図22の表に示すように、TiO2 膜及びSiO2 膜の屈折率にも波長依存性がある。この第1光学異方性層の複屈折Δn1を測定したところ、同図に示すようにやはり波長依存性が認められた。
また、位相差補償素子327R,327G,327Bの第2光学異方性層については、その物理的膜厚を例えばそれぞれ3μmとする。図22の表に示すように、この第2光学異方性層の複屈折Δn2を測定したところ、やはり波長依存性が認められた。
なお、物理的膜厚が30nm,20nmのTiO2 膜,SiO2 膜の光学膜厚は、屈折率が大きい波長400nmにおいてもそれぞれ76.6nm,29.6nmでいずれもλ/5以下であり、青色光の基準波長450nmや他の基本色光の基準波長においてもこの条件は満たされる。この条件が満たされることによって、λ/4の光学膜厚を基準にした従来の干渉薄膜とは異なり、これらの積層膜に本発明システムに必須である光学異方性をもたせることができる。また、個々の薄膜層の光学膜厚をλ/100よりも薄くすると、各々の薄膜層の物理的膜厚は極端に薄いものになる。したがって、所望の総膜厚を得るには各々の薄膜層の積層数が大幅に増え、製造効率が著しく劣化してしまうので実用的ではない。
ここで、上記構造をもつ第1光学異方性層の複屈折Δn1が、構造性複屈折の理論から予想される理論値とよく一致することを示す。一般に、屈折率n1 ,n2 、物理的膜厚がa,bである薄膜を波長よりも十分に短いピッチa+bで交互に積層した第1光学異方性層に対し、各層の積層面に電磁波が垂直に入射した場合には、電場が各層の平面に平行に振動する波(TE波)だけになるため、複屈折性を示さない。ところが、電磁波が各層の積層面に傾斜して入射した場合には、電場が各層に平行に振動する波(TE波成分)と、電場が各層に垂直に振動する波(TM波成分)とで有効屈折率NTE,NTMが異なり、それぞれ次式で表されることが知られている。
TE=√{(an1 2+bn2 2)/(a+b)}
TM=√〔(a+b)/{(a/n1 2)+(b/n2 2)}〕
これらの有効屈折率NTE,NTMの相違が複屈折性を生じさせる要因であり、その複屈折Δnは「Δn=NTM−NTE」で与えられる。これらの式から求めた複屈折Δnの理論値を図22に示す実測値と比較すると、両者がよく一致していることが理解できる。
この第1光学異方性層の平均位相差d1Δn1は、波長ごとの複屈折Δn1と、第1光学異方性層の膜厚d1(=1.05μm)との積であるから、同図に示すように波長ごとに異なってくる。この図22からは、TiO2 膜及びSiO2 膜の屈折率の波長依存性を比較したとき、複屈折Δn1の波長依存性に対する影響力は、SiO2 膜よりもTiO2 膜の方が大きいということも読み取ることができる。また、第2光学異方性層の平均位相差d2Δn2も、波長ごとの複屈折Δn2と、第2光学異方性層の膜厚d2(=3μm)との積から求められる。位相差補償素子全体としての平均位相差dΔnは、平均位相差d1Δn1と平均位相差d2Δn2との和から求められる。
図23は、図21に示すTN液晶の実効平均位相差Re(○)と、図22に示す実施例1の位相差補償素子の平均位相差dΔn(▲)とを波長ごとにプロットしたもので、実効平均位相差(○)と位相差補償素子の平均位相差(▲)とが重なり合うほど良好な位相差補償効果が得られることを表している。同図によれば、位相差補償素子は波長500nm〜600nmの領域ではほぼ満足し得る効果が得られるものの、500nmよりも短波長側では過補償の傾向を示し、500nmよりも長波長側では補償不足の傾向を示すとがわかる。したがって、青色光,緑色光,赤色光の各基本色光に対し、第1光学異方性層と第2光学異方性との厚みを同一にした位相差補償素子を適用したのでは、可視光領域中の最も短波長側の青色光については十分な位相差補償効果が得られないことになる。
[実施例2]
この問題は、図24に示すように、青色光用に適用する位相差補償素子の平均位相差▲が、青色光のほぼ中間の基準波長450nmにおいて実効平均位相差○と一致するように、第1光学異方性層の全体厚みd1を調整すれば、第1光学異方性層の複屈折Δn1を変えなくても改善することができる。さらに、赤色光についてもそのほぼ中間の基準波長650nmで平均位相差▲と実効平均位相差○とが一致するように、赤色光用の位相差補償素子の第1光学異方性層の全体厚みd1を増やすことで改善が可能となる。
図25はこうして設計された本発明の実施例2に係る位相差補素子の物性値を示すもので、第1光学異方性層の積層構造自体は実施例1と全く共通であるが、第1光学異方性層の全体の厚みd1が基本色光ごとに調整されている。すなわち、青色光用のものはd1=0.85μm、緑色光用のものはd1=1.05μm、赤色光用のものはd1=1.1μmにしてある。これにより図24に示すように位相差補償素子の平均位相差dΔnを基本色光ごとに変えることができ、良好な位相差補償効果が得られた。
このように、各々の基本色光ごとに位相差補償素子による平均位相差を調整するにあたっては、第1光学異方性層の複屈折Δn1が各層の屈折率n1 ,n2 と各々の物理的膜厚の比で決まることを利用し、基本色光ごとに用いられる第1光学異方性層のTiO2 膜とSiO2 膜の物理的膜厚を同じにして複屈折Δn1も一律のものにしておき、基本色光の種類に応じてそれぞれの第1光学異方性層の合計層数を変えて膜厚d1を調整することが望ましい。そして上記実施例2では、第1光学異方性層の平均位相差を基本色光ごとに調整するにあたり、緑色光用のものは合計積層数を34層とし、青色光用のものは合計積層数を42層、赤色光用のものは44層にすることで対応している。なお、図23に示すように、この位相差補償素子を用いる場合、波長500nm〜700nmの領域では平均位相差▲と実効平均位相差○とがほぼ一致しているとみなせば、緑色光用位相差補償膜を赤色光用にそのまま用い、2種類の位相差補償素子で可視光全域をカバーすることも可能である。
以上の設計手順を踏まえ、基本色光ごとに膜厚を調整した3種類の位相差補償素子をそれぞれガラス基板に蒸着し、液晶プロジェクタの各色チャンネルに設けられたTN液晶素子の出射側基板に密着して装備した。そして、基本色光ごとに対策を施していない位相差補償素子を用いた従来の液晶プロジェクタとの比較のために、両者に各基本色光とも黒レベルを表示する信号を入力してスクリーン上に黒色表示の投影テストを行った。
従来の位相差補償素子を用いた液晶プロジェクタでは、スクリーン上で黒色が青味を帯びて観察されたのに対し、本発明の位相差補償素子を用いたものではほとんど色味のない黒色表示となった。青色だけのグラデーション表示を行った結果では、黒色に近い低輝度の範囲では従来のものよりも低輝度が得られただけでなく、輝度レベルが異なる領域でもレベル差が明瞭な差として表現できることが確認された。
また、全面白色表示と全面黒色表示との間でコントラストを測定したところ、従来のものでは500:1程度であったものが、本発明のものでは700:1まで改善された。これらの結果から、本発明の位相差補償システムによれば、黒色に近い低輝度の範囲で特に表現力を増す効果があり、一般のフルカラー画像の投影時においても、黒を引き締めて画像の鮮明度を向上させる効果がある。
[実施例3]
上記実施例2では、位相差補償素子の第1光学異方性層の総厚みを色ごとに変更したが、第1光学異方性層の総厚みを各色で共通(例えば1μm)にして、第2光学異方性層の厚みを色ごとに変更(例えば、B:2.5μm,G:3.05μm,R:3.3μm)してもよい。この実施例3の位相差補償素子の平均位相差を表すグラフと、物性値を表す表とを図26及び図27に示す。このグラフから分かるように、第2光学異方性層の厚みを変化させても、第1光学異方性層の厚みを買えた場合と同様に、最適な平均位相差を得ることができる。
[実施例4]
また、上記実施例1及び2では、位相差補償素子の第1光学異方性層と第2光学異方性層とのいずれか一方の厚みを色ごとに変更したが、両光学異方性層の厚みを各色ごとに変更してもよい。例えば、第1光学異方性層及び第2光学異方性層の厚みを以下のように変化させた位相差補償素子の平均位相差を表すグラフと、物性値を表す表とを図28及び図29に示す。このグラフから分かるように、第1と第2の光学異方性層との厚みを変化させれば、目標とする平均位相差を得ることができる。
第1光学異方性層(B:1.05μm,G:1.2μm,R:1.25μm)
第2光学異方性層(B:2.25μm,G:2.5μm,R:2.6μm)
[実施例5]
透明支持体上に、第1光学異方性層、配向膜、第2光学異方性層、配向膜、第2光学異方性層、反射防止膜をこの順に形成し、透明支持体の裏面に反射防止膜を形成したこと以外は前記実施例2と同様の方法により実施例5の液晶表示装置を得た。
[実施例6]
透明支持体の表面側に、配向膜、第2光学異方性層、第1光学異方性層、配向膜、第2光学異方性層、反射防止膜をこの順に形成し、前記透明支持体の裏面側に、反射防止膜を形成したこと以外は前記実施例2と同様の方法により実施例6の液晶表示装置を得た。
[実施例7]
透明支持体の表面側に、配向膜、第2光学異方性層、反射防止膜をこの順に形成し、前記透明支持体の裏面側に、配向膜、第2光学異方性層、第1光学異方性層、反射防止膜をこの順に形成したこと以外は前記実施例2と同様の方法により実施例7の液晶表示装置を得た。
[実施例8]
透明支持体の表面側に、配向膜、第2光学異方性層、反射防止膜をこの順に形成し、前記透明支持体の裏面側に、第1光学異方性層、配向膜、第2光学異方性層、反射防止膜をこの順に形成したこと以外は前記実施例2と同様の方法により実施例8の液晶表示装置を得た。
[実施例9]
前記実施例1〜7において、配向塗布液を下記組成の配向膜塗布液としたこと以外は実施例7と同様にして、実施例9の液晶表示装置を得た。
[配向膜塗布液]
サンエバー150(日産化学(株)製)・・・・・20g
ポリイミド用シンナー(日産化学(株)製)・・・20g
[実施例10]
裏面側の第2光学異方性層の膜厚を表面側の第2光学異方性層の95%の膜厚にしたこと以外は実施例8と同様にして、実施例10の液晶表示装置を得た。
[実施例11]
裏面側の第2光学異方性層の膜厚を表面側の第2光学異方性層の成す角を92°とした事以外は実施例8と同様にして、実施例11の液晶表示装置を得た。
(比較例1)
実施例2の液晶装置における位相差補償素子において、第1光学異方性層をTAC(トリアセチルセルロース)フイルムとしたこと以外は、実施例2と同様にして比較例1の液晶表示装置を得た。
(液晶表示装置の視野角依存性の評価)
実施例2〜9及び比較例1の液晶表示装置について、コノスコープ(Autronic−Melcher社製)を用いて、表示面の正面から迎角20°、方位角45°の場所におけるコントラスト比を測定した。ここで、前記コントラスト比は、バックライトに対する白表示透過率及び黒表示透過率から白表示透過率/黒表示透過率として測定した。結果を表1に示した。
(液晶プロジェクタのコントラストの評価)
RGBの各色に対応した実施例2〜11及び比較例1の液晶表示装置をTN型液晶プロジェクタに装着して、実施例12〜21及び比較例2の液晶プロジェクタを得た。得られた該液晶プロジェクタについて、白表示、黒表示投影光のスクリーン面上での照度及びコントラスト比(白表示透過率/黒表示透過率)を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2006189753
表1の結果から、比較例2の液晶表示装置と比較して実施例2〜11の液晶表示装置は、いずれも広視野角であり、視野角依存性は同等であることが判る。また、比較例2の液晶プロジェクタと比較して実施例12〜21の液晶プロジェクタは、いずれも同等のコントラストであることが判る。
以上説明したように、本発明の位相差補償システムを用いれば、液晶プロジェクタのコントラストと色バランスの改善が可能である。このシステムの特徴は、少なくとも青色光チャンネルに装備する位相差補償素子の物理的構造を、他の色光チャンネルで用いられる位相差補償素子と異なるようにした点にある。物理的構造を変えるには、薄膜材料、各薄膜層の膜厚、合計膜厚のいずれを変えてもよいが、先の各実施例では第1光学異方性層の高屈折率層と低屈折率層との合計積層数、または第2光学異方性層の厚みを変えたことが特徴となっている。
この手法の有利な点としては、基本色光ごとに用いられる少なくとも2種類以上の位相差補償素子が、その第1光学異方性層及び第2光学異方性層を得るための材料を共通にして設計できることが挙げられ、さらに各々の膜厚も共通にできることにある。したがって、物理的構造を変えるにしても、合計の積層数や厚みという容易に制御できるパラメータを変えることが対応でき、品質を一定に保ちながら量産がしやすいという製造上での大きな利点がある。
なお、基本色光ごとに位相差補償素子を構成するにあたっては、それぞれの第光学異方性層の高屈折率層と低屈折率層の物理的膜厚比を変更して複屈折Δn1を変え、これらの複屈折Δn1の値に応じて各々の全体の膜厚d1を決めることもできる。さらに、基本色光ごとに組み合わせが異なる高屈折材料と低屈折率材料とを用いて各薄膜層を形成することも可能である。
上記第1光学異方性層の高屈折率層及び低屈折率層は、真空蒸着やスパッタリングで任意の膜厚で形成することができる。特に、2種類の蒸着材料を用いて高屈折率層と低屈折率層とを交互に成膜してゆくには、成膜対象となる透明な基板に対して各々の蒸発源を遮蔽することができるようにそれぞれシャッタを設け、これらのシャッタを交互に開閉して2種類の薄膜層を交互に積層したり、あるいは基板を一定の速さで循環移動する基板ホルダに保持させ、基板を循環移動させる過程でそれぞれの蒸発源の上を通過させることによって順次に2種類の薄膜を交互に積層させるなどの手法を取ることができる。また、高屈折率層及び低屈折率層を得るための無機材料には、上述したTiO2 やSiO2 以外にも、ZrO2 、MgO、CeO2 、SnO2 、Ta25 、Y23 、LiNbO3 、MgF2 、CaF2 、Al23 ,Nb25など、公知の種々の蒸着材料を用いることができる。
蒸着やスパッタリングによる薄膜層からなる光学異方性層を作成するにあたっては、その支持体となる基板を、照明光学系あるいは投影光学系を構成するレンズなどの光学部品や、液晶素子の構成部品であるガラス基板などの光学部品に接合したり、これらの光学部品そのものを薄膜層の支持体に兼用させることも可能である。このような工夫により部品点数を減少させ、位置合わせや角度調整を要する箇所を減らすことができる。
液晶素子の基板上に光学異方性層を形成する場合には、液晶素子の外面あるいは内面のいずれに設けることも可能であるが、素子の内面に設ける方が空気との界面の数を減らすことができ、表面反射による画像の劣化や光量ロスを減らすことができる。なお、液晶素子の基板には、画素ごとに信号電圧が印加されるアクティブ側基板と、コモン側電極として利用される対向基板とがあるが、光学的にはそのいずれに光学異方性層を形成してもよい。また、必要に応じて光学異方性層の片面または両面に反射防止処理を行うことが望ましい。特に、薄膜層を積層した位相差補償素子の場合には、その作成工程中に干渉薄膜による反射防止処理を施すことができるので、製造効率がよい。
薄膜層を積層した第1光学異方性層を作成するにあたっては、各層の物理的膜厚比は必ずしも3:2に限られず例えば1:1であってもよく、また2種類の薄膜を交互に積層することにのみ限られない。例えば屈折率が異なる3種類以上の薄膜を適宜の順序,膜厚で積層してもよく、成膜工程の容易さ、各層の内部応力による歪みの吸収、屈折率の波長依存性などを考慮して適宜に設計することが可能である。さらに、上述してきた各種の構造性複屈折体に対して、位相差補償作用を有するとともに特に耐久性に問題のないポリマーフイルムを基材とする位相差補償シートを組み合わせることもまた、本発明の実施形態に含まれる。
上述した多層膜からなる位相差補償素子を透過型の液晶素子と組み合わせて用いる場合、図19に示す例では、位相差補償素子327R,327G,327Bが液晶素子311R,311G,311Bの出射面側と検光子となる偏光板328R,328G,328Bとの間に配置されているが、基本的には各液晶素子311R,311G,311Bの入射面側と偏光子となる偏光板326R,326G,326Bとの間に配置して用いることも可能である。
さらに、図30に示すように、偏光子450と液晶素子451の入射面との間に第1位相差補償素子452を設け、液晶素子451の出射面と検光子453との間に第2位相差補償素子454を設けるようにしてもよい。この場合には、液晶素子451で生じる位相差を第1,第2位相差補償素子452,454の組み合わせで補償すればよい。このような分割使用ができることは、例えば一つの位相差補償素子で位相差補償を行おうとしたとき、その合計膜厚が厚くなり過ぎる場合等に有利である。多層膜の合計膜厚が厚くなってくると、蒸着材料の種類にもよるが、一般にクラックが生じやすくなったり、あるいは製造の歩留りが悪くなる傾向が出てくるが、こうした問題も位相差補償膜を分割して用いることによって簡単に解決することができるようになる。
さらに、液晶プロジェクタには反射型の液晶素子が用いられることもある。反射型の液晶素子は液晶層の背後にミラーを配置した構造をもち、入射光は液晶素子を2度通過してから出射する。したがって、液晶層で生じる位相差がセル厚の2倍になることを考慮して設計を行えばよい。例えば反射型の液晶素子をオフアクシス(入射光軸と反射光軸とが別)で使用する際に、図31(A)に示すように、液晶素子456に近接して位相差補償素子457を配置し、偏光子458と検光子459と組み合わせる場合には、入射光は液晶層を2度通過するが位相差補償素子457についても2度通過することになるから、前述した実施例のように、液晶素子のセル厚(液晶層の厚みd)を基準にした設計を行えばよい。
また、図31(B)に示すように、液晶素子456の入射面側(あるいは出射面側)だけに位相差補償素子460を配置する場合には、液晶素子456のセル厚を2倍に見込んだ設計を行う必要がある。なお、液晶素子456の入射面側と出射面側にそれぞれ個別に位相差補償素子を配置することも可能で、その場合には液晶素子456のセル厚を基準にした薄膜設計を行えばよい。もちろん、セル厚を2倍に見込んだうえで設計を行ったうえで、入射面側と出射面側に任意の比率で分割使用することも可能である。また、位相差補償素子の第1光学異方性層及び第2光学異方性層の実質的な厚みは、光の入射角度また出射角度が変わることにより変化するため、この点を考慮した設計も必要となる。
位相差補償作用を説明する概念図である。 平均位相差の波長依存性を示すグラフである。 青色光領域で平均位相差を調節するときの説明図である。 青色光及び赤色光領域で平均位相差を調節するときの説明図である。 第1の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 第1の構造の位相差補償素子の別の層構造を示す断面図である。 第2の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 第3の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 第4の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 第5の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 第6の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 第7の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 第8の構造の位相差補償素子を示す断面図である。 本発明を実施した液晶表示装置の無通電状態を示す概略図である。 本発明を実施した液晶表示装置の通電状態を示す概略図である。 液晶表示装置の別の実施形態を示す概略図である。 液晶表示装置の更に別の実施形態を示す概略図である。 リア方式の液晶プロジェクタを示す外観図である。 投影ユニットを示す構成図である。 位相差補償素子の一例を示す概念図である。 TN液晶の平均位相差の波長依存性を示す図表である。 実施例1の位相差補償素子の波長依存性を示す図表である。 TN液晶と実施例1の位相差補償素子の平均位相差特性を示すグラフである。 実施例2の位相差補償素子の平均位相差特性を示すグラフである。 実施例2の位相差補償素子の波長依存性を示す図表である。 実施例3の位相差補償素子の平均位相差特性を示すグラフである。 実施例3の位相差補償素子の波長依存性を示す図表である。 実施例4の位相差補償素子の平均位相差特性を示すグラフである。 実施例4の位相差補償素子の波長依存性を示す図表である。 位相差補償素子を分割配置した場合の説明図である。 反射型の液晶素子にオフアクシスで位相差補償素子を組み合わせる場合の説明図である。
符号の説明
2,114 液晶素子
5 液晶層
6,10,20,30,40,50,60,70,80,108,327R,327G
,327B,457,460 位相差補償素子
8a,12,22,32,42,52,62,72,82,107,401,452
第1の光学異方性層
8b,13,23,33,43,53,63,73,83,103,105,402,
452 第2の光学異方性層

Claims (7)

  1. 液晶素子を透過する光線の複屈折に伴う位相差を3種類の基本色光ごとに補償する位相差補償システムであって、
    この位相差補償システムは、それぞれの基本色光の光路中に配置された液晶素子の入射面側または出射面側の少なくともいずれかに配置され、透明支持体の面上に無機材料で形成された第1の光学異方性層、及び重合性化合物で形成された第2の光学異方性層を設けた位相差補償素子から構成され、
    少なくとも1つの基本色光の光路中に配置された位相差補償素子と、その他の基本色光中に配置された位相差補償素子とは、第1の光学異方性層及び/または第2の光学異方性層の構造が異なっていることを特徴とする位相差補償システム。
  2. 前記第1の光学異方性層は、少なくとも高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを交互に積層して構成され、各々の薄膜層がそれぞれの基本色光の基準波長の100分の1以上5分の1以下の光学膜厚であることを特徴とする請求項1記載の位相差補償システム。
  3. 前記第1の光学異方性層の構造は、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層との合計層数、あるいは合計層厚が異なっていることを特徴とする請求項2記載の位相差補償システム。
  4. 前記第2の光学異方性層は、液晶分子を含む重合性液晶化合物から形成され、該液晶分子の配向角が厚み方向に変化するハイブリッド配向であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の位相差補償システム。
  5. 前記第2の光学異方性層の構造は、基本色光ごとに該第2の光学異方性層の層厚と、配向角の分布とのいずれか一方、または両方が異なっていることを特徴とする請求項4記載の位相差補償システム。
  6. 前記のハイブリッド配向である第2の光学異方性層を2層以上有し、各層の層厚、配向角の分布、配向方向の少なくとも1つが異なっていることを特徴とする請求項4または5に記載の位相差補償システム。
  7. 請求項1ないし6記載の位相差補償システムを備えたことを特徴とする液晶プロジェクタ。

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