JP2006163002A - 光学補償素子、液晶表示装置及び液晶プロジェクタ - Google Patents

光学補償素子、液晶表示装置及び液晶プロジェクタ Download PDF

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Abstract

【課題】 黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止する光学補償素子、前記光学補償素子を用いることにより高視野角、高コントラストで高画質な液晶表示装置及び液晶プロジェクタの提供。
【解決手段】 支持体上に、無機材料で形成された第1の光学異方性層及び重合性液晶化合物で形成された第2の光学異方性層を備えた光学補償素子。一対の電極及び該電極間に封入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面又は片面に配される前記光学補償素子と、前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備えた液晶表示装置。光源からの照明光を液晶表示装置に照射し、液晶表示装置によって光変調された光を投影光学系によりスクリーン上に結像させて画像を表示する液晶プロジェクタ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学補償素子、液晶表示装置及び液晶プロジェクタに関する。
近年、液晶表示装置は、その用途展開が急速に進んでおり、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに使われている。
一般に、液晶表示装置は、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードなどの表示モードで液晶を動作させて、該液晶を通過する光を電気的に制御して明暗の違いを画面上に表すことで、文字や画像を表現する表示装置である。
このような液晶表示装置としては、一般に、TFT(Thin Film Transistor)−LCDが知られており、該TFT−LCDの液晶動作モードとしてはTNモードが主流である。
一方、近年液晶表示装置の用途展開が進むにつれて、高コントラスト化の要望が高まっており、VAモードの液晶表示装置の研究も盛んに行われている。
TNモードの液晶表示装置は、2枚のガラス基板の間に90°ねじれたネマチック液晶が封入され、また、2枚のガラスの外側には一対の偏光板がクロスニコルで配置されている。そして、電圧無印加状態では、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層で偏光面が90°ねじられて検光子側の偏光板を通過して白表示となる。また、電圧が十分に印加された状態では、液晶の配列方向が液晶パネルに略垂直に変化して、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が偏光状態を変化させることなく液晶層を通り抜けて検光子側の偏光板に到達して吸収され黒表示となる。
一方、VAモードの液晶表示装置は、2枚のガラス基板の間に垂直配向あるいは垂直傾斜配向するようにネマチック液晶が封入され、また、2枚のガラスの外側には一対の偏光板がクロスニコルで配置されている。そして、電圧無印加状態では、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層でその偏光面をほとんど変化させることなく液晶層を通り抜けて検光子側の偏光板に到達して吸収され黒表示となる。また、電圧が十分に印加された状態では、液晶の配列方向が液晶パネルに平行で、かつ90°ねじれた状態に変化して、偏光子側の偏光板を通った直線偏光が液晶層で偏光面が90°ねじられて検光子側の偏光板を通過して白表示となる。
これらの表示モードで動作する液晶表示装置は、斜め方向から表示画面を見た場合に、コントラストの低下や階調表示で明るさが逆転する階調反転現象などによる表示特性の悪化が生じるという視野角依存性の問題がある。
このような視野角依存性の問題は、光漏れを起こすことに起因するもので、液晶表示装置を黒表示しようとしても、視野角によっては、完全な黒がえられないことにある。
従来から、黒表示状態の液晶層を通過する光の位相差値と、光学異方性層の位相差値とを合わせこみ、該黒表示状態の液晶層を三次元的に光学補償して、どの方向から見ても光漏れをなくして、視野角依存性の問題を改善する光学補償フィルムが提案されている。
例えば、本願出願人によって、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどの支持体及びその上に設けられた光学異方性層からなる光学補償シートであって、前記光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層であり、前記ディスコティック構造単位の円盤面が、支持体面に対して傾いており、かつ、前記ディスコティック構造単位の円盤面と支持体面とのなす角度が、光学異方性層の厚み方向において変化するハイブリッド配向を有し、前記支持体が光学的にほぼ一軸性の負の屈折率楕円体の特性を有する光学補償シートが提案されている(特許文献1参照)。
この光学補償フィルムによれば、黒表示状態の液晶層と鏡面対称となるように前記光学異方性層のディスコティック構造単位が配列されているため、前記支持体と前記ディスコティック構造単位との積層体全体の光学特性として、黒表示状態の液晶層が光学的に補償され幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
しかしながらこの場合、前記光学補償フィルムを用いることにより、前記液晶表示装置の視野角依存性の問題が改善され、視野角を拡大することに成功したが、近年、大画面表示を可能とする大画面液晶モニターや液晶プロジェクタなどへの要望が高まり、前記大画面液晶モニターや液晶プロジェクタなどに対し、更なる高視野角、高コントラスト化や輝度の向上が望まれている。特に、液晶プロジェクタは、様々な角度で液晶セルに入射した光が投影レンズにより統合されてスクリーンに拡大投影されるため、より高いコントラストや輝度が要求され、前記光学補償フィルムには未だ改善の余地がある。
即ち、前記光学補償フィルムでは、前記支持体にTACフィルムが用いられており、該TACフィルムの厚みの均一化や前記TACフィルムの光学特性を高精度で所望の特性とすることが難しく、近年の要求に対しては、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することは不十分であった。
また、従来より、液晶セルを挟むように配置される2つの偏光板間に、ハイブリット配向した液晶層を有する光学フィルムを配置してなり、該光学フィルムが、複屈折性が極めて少ないプラスチックフィルムからなる基材フィルム上にハイブリッド配向した液晶層を配置してなる液晶プロジェクタのコントラスト比の改善方法が知られている(特許文献2参照)。
これらの素子においては屈折率が異なる層を積層しているため、各層間の屈折率差によって発生する反射によって入射光の利用効率が低下する上に、反射光が局部的な画質の劣化を起こすことが懸念されている。
特開平8−50206号公報 再公表特許WO01/090808
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止する光学補償素子、前記光学補償素子を用いる際の、素子内外で発生する反射光の抑止を行いることにより高視野角、高コントラストで高画質な液晶表示装置及び液晶プロジェクタを提供することを目的とする。
<1> 支持体と、無機材料で形成された第1の光学異方性層と、重合性液晶化合物で形成された第2の光学異方性層と、反射防止層とを有することを特徴とする光学補償素子である。
<2> 反射防止層が、支持体の少なくとも一方の面上に設けられた前記<1>に記載の光学補償素子である。
<3> 反射防止層が、隣接した2層のうち、少なくとも屈折率差が最大となる2層の間に設けられた前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<4> 反射防止層が、無機材料からなる複数の層で形成された積層体を一単位として、繰り返し積層された周期構造積層体からなり、
前記一単位の屈折率が異なる2種の前記積層体が交互に積層され、かつ、可視光領域における前記2積層体間の屈折率差が0.5以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<5> 積層体が、波長λ(540nm)に対して以下の式を満たす光学厚みを有する層を含む<1>から<4>のいずれかに記載の光学補償素子である。
nd=(λ/4)×(2m+1)
(nは層の屈折率、dは層の厚み(nm)、mは自然数である。)
<6> 周期構造積層体が、複数の無機化合物層の積層体で形成された前記<5>に記載の光学補償素子である。
<7> 第1の光学異方性層が、屈折率が互いに異なる複数の層が規則的な順序で積層され、繰り返し単位が繰り返されてなる周期構造積層体であり、前記繰り返し単位の光学厚みが可視光領域における光の波長より短く、全体として負の屈折率異方性を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<8> 周期構造積層体が、SiO層及びTiO層で形成された前記<7>に記載の光学補償素子である。
<9> 第2の光学異方性層が、液晶構造を含む重合性液晶化合物で形成され、前記液晶構造の配向角が、前記第2の光学異方性層の厚み方向に対して傾斜した状態で重合により固定されてなる前記<1>から<8>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<10> 第2の光学異方性層が、配向方向が直交する2つの層を有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<11> 支持体上に、第1の光学異方性層を有し、該第1の光学異方性層を有する面と反対側の前記支持体上に反射防止層、第2の光学異方性層をこの順に有してなり、空気界面となる層上に反射防止層を有する前記<1>から<10>に記載の光学補償素子である。
<12> 液晶プロジェクタに用いられる前記<1>から<11>のいずれかに記載の光学補償素子である。
<13> 少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に封入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配される光学補償素子と、
前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備え、前記光学補償素子が前記前記<1>から<12>のいずれかに記載の光学補償素子であることを特徴とする液晶表示装置である。
<14> 液晶素子が、ツイストネマティック型である前記<13>に記載の液晶表示装置である。
<15> 光源と、該光源からの照明光が照射される液晶表示装置と、該液晶表示装置によって光変調された光をスクリーン上に結像させる投影光学系とを備え、前記液晶表示装置が前記<13>から<14>のいずれかに記載の液晶表示装置であることを特徴とする液晶プロジェクタである。
本発明の光学補償素子は、支持体の面上に無機材料からなる光の波長より小さく屈折率がお互いに異なる複数種の層を規則的な順序で積層した第1の光学異方性層と、重合性液晶化合物に含まれる液晶構造の配向状態を保った状態で前記重合性液晶化合物を重合させた第2の光学異方性層を有し、各光学異方性層と支持体の屈折率差が大きな界面及び素子の少なくともいずれかと空気界面に反射防止層を有する。
また、本発明の液晶表示装置は、少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に注入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配される光学補償素子と、前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを有し、前記光学補償素子が前記本発明の光学補償素子であるため、高視野角、高コントラスト化が可能となる。
また、本発明の液晶プロジェクタは、光源と、該光源からの照明光が照射される液晶表示装置と、該液晶表示装置によって光変調された光をスクリーン上に結像させる投影光学系とを備え、前記液晶表示装置が前記本発明の液晶表示装置であるため、高視野角、高コントラスト化が可能となる。
本発明によると、従来における前記問題を解決し、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止する光学補償素子、前記光学補償素子を用いることにより高視野角、高コントラストで明るい高画質な液晶表示装置及び液晶プロジェクタを提供することができる。
(光学補償素子)
本発明の光学補償素子は、支持体と、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層と、反射防止層とを有し、必要に応じてその他の層を有してなる。
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白板ガラス、青板ガラス、石英ガラス、アルカリフリーガラス、サファイアガラス、有機高分子フィルムなどが挙げられる。前記有機高分子フィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、ポリスルフィン系、ポリスルホン系及びポリエーテルスルホン系、セルロースエステル系などの重合体群から選ばれる1種類、または2種類以上の組合せが挙げられる。前記有機高分子フィルムの具体例としては、ポリカーボネート共重合体、ポリエステル共重合体、ポリエステルカーボネート共重合体、ポリアリレート共重合体が好適に挙げられ、ポリカーボネート共重合体がより好適に挙げられる。前記ポリカーボネート共重合体としては、フルオレン骨格を有するポリカーボネート共重合体が好ましく、透明性、耐熱性、生産性の観点から、ビスフェノール類とホスゲンあるいは炭酸ジフェニルなどの炭酸エステル形成化合物と反応させて得られるポリカーボネート共重合体が特に好ましい。前記ポリカーボネート共重合体が有するフルオレン骨格の含有量としては、1〜99モル%が好ましい。前記ポリカーボネート共重合体としては、国際公開第00/26705号パンフレットに記載の、繰り返し単位を用いることも可能である。
前記支持体としては、面の平滑性の観点から、前述の各種無機材料よりなるガラスを好適に用いることができる。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm以上が好ましく、前記厚みの上限としては、組込みのハンドリング性や機械的強度の観点から、0.3mm〜3mmが好ましく、0.5mm〜1.5mmがより好ましい。
−第1の光学異方性層−
前記第1の光学異方性層の構造としては、層全体として、光学異方性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが例えば、前記支持体の法線方向を積層方向として、屈折率が互いに異なる複数種の層が規則的な順序で積層され、繰り返し構造を有してなる(繰り返し単位が繰り返されてなる)周期構造積層体であり、前記繰り返し単位の光学厚み、即ち、前記周期構造積層体中の繰り返し構造の積層方向における厚み(以下「周期構造ピッチ」という。)が、可視光領域における光の波長より短い構造が好適に挙げられる。
なお、前記周期構造積層体中の一の繰り返し構造の積層方向における厚みと、他の繰り返し構造の積層方向における厚みとは、必ずしも同一とする必要はなく、前記第1の光学異方性層を通過させる光の性質等により異ならせることも可能である。
前記一の繰り返し構造を構成する層数としては、屈折率が互いに異なる複数の層であれば、特に層数に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、この中でも、2種の無機材料による2つの層からなるものが好適に挙げられる。
前記周期構造積層体を構成する各層の厚みとしては、可視光領域における光の波長より小さいものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、可視光領域における光の波長をλとした場合に、λ/100〜λ/5が好ましく、λ/50〜λ/5がより好ましく、λ/30〜λ/10が特に好ましい。
前記周期構造積層体を構成する各層の厚みとしては、積層された薄膜の相互間で光干渉が生じることを避ける必要があるため、各層の厚みは薄い方がよいが、必要な合計厚みを得るのに成膜回数が増えてくるので、各層の厚みの決定に際しは、前記第1の光学異方性層の所望とする光学特性、薄膜の相互干渉による着色の問題などを考慮して、各層の材料、屈折率、厚み比、合計厚みなどから各層の厚みの最適値が決定されることが好ましい。
前記周期構造ピッチとしては、可視光領域における光の波長よりも短いものであれば、特に制限はなく、該可視光領域の中から目的に応じて適宜選択することができ、ここで、前記可視光領域としては、特に明記するもの以外は、400〜700nmの波長領域をいう。従って、前記周期構造ピッチとしては、400〜700nmの範囲で適宜選択されることが好ましい。
前記第1の光学異方性層のレターデーションとしては、下記式(1)で表されるレターデーションRthが20〜300nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
Rth={(n+n)/2−n}・d・・・式(1)
但し、前記式(1)において、n、n及びnは、前記支持体の法線方向をZ軸とした時に、第1の光学異方性層中におけるお互いに直交するX、Y、Z軸方向の屈折率をそれぞれ表す。また、dは光学異方性層の厚みを表す。
前記周期構造積層体中の繰り返し構造の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の光学異方性層の厚みとしては、前記レターデーションを満たすものが好ましく、具体的には、50〜2000μmがより好ましく、100〜1500μmが特に好ましい。
前記第1の光学異方性層を構成する前記周期構造積層体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第1の光学異方性層の複屈折性による位相差値は、光学異方性層の厚みdと、前記繰り返し構造を構成する各層の屈折率差Δnとの積によって決まるので、所望の屈折率差Δnに応じて適宜選択されることが好ましい。具体的には、TiO、ZrO、Nb5、MgO、CeO、SiO、SnO、Ta、Y、LiNbO、CaF、Al、MgFなど公知の種々の蒸着材料を用いることができる。
前記周期構造積層体の材料としては、具体的には、可視光領域における屈折率の最大値
と最小値との屈折率差Δnが0.5以上となる材料の組合せから選択されることが好ましく、酸化物膜から適宜選択される複数の材料の組合せがより好ましく、SiO層(屈折率n=1.4870〜1.5442)及びTiO層(屈折率n=2.583〜2.741)、又はSiO層(屈折率n=1.4870〜1.5442)及びNb層(屈折率n=2.313)の組合せが特に好ましい。
前記屈折率差Δnが0.5未満であると、光学異方性層の厚みdを調整して、前記第1の光学異方性層における位相差値を所望の値とすることとなるため、繰り返し単位を積層する工程が増加してしまい、製造適性や生産性を勘案した場合好ましくない。
このような第1の光学異方性層は、多層膜の積層方向、即ち、前記支持体の法線方向には、屈折率の一様な媒質と等価であり、層全体としては、構造性複屈折とよばれる異方性が生じることにより、一軸性の傾斜していない負の屈折率楕円体の光学特性を有するものである。そして、前記第1の光学異方性層は、平滑性が高く、且つ前記周期構造積層体の材料、厚み、層数、前記周期構造ピッチの周期などを適宜選択することにより、前記レターデーションなどを容易且つ高精度に得ることが可能となる。
また、前記第1の光学異方性層は、多層膜の厚み比や厚みを適宜選択することにより反射防止層としての機能を付与することも可能である。
なお、前記レターデーションRthの測定としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて測定することができる。
−第2の光学異方性層−
前記第2の光学異方性層としては、少なくとも重合性液晶化合物を備えてなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の構成を備えてなる。
前記重合性液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、配向状態を固定可能とした液晶構造を含む重合性液晶化合物を用いることが好ましく、棒状、円盤状、バナナ状などの液晶構造を含む重合性液晶化合物がより好ましく、円盤状の液晶構造を含む重合性液晶化合物が特に好ましい。
また、前記重合性液晶化合物には、必要に応じて適宜選択した、その他の成分を含有することが可能である。
本発明において、液晶を構成する分子に分子形状に起因する固有軸、つまり、棒状などの棒状様分子であれば長軸方向、板状分子であれば板の法線方向にこの固有軸を設定した場合に、注目した微少領域に含まれる液晶構造の固有軸の平均方向がほぼ揃っていることを液晶構造が配向状態にあると言う。さらに、本発明では、この配向状態にあるとき、注目した微少領域の液晶構造の固有軸の平均方向と、光学補償素子の積層方向(第2の光学異方性層と支持体との界面における法線方向)とのなす角を配向角と称し、固有軸の平均方向を前記界面へ投影した成分を配向方向と称する。
配向状態としては、前記液晶構造の配向角が傾斜する状態を有しているもの、つまり配向角が、第2の光学異方性層の厚み方向に平行又は垂直状態にない事が好適に挙げられ、前記配向角が第2の光学異方性層の上面と下面との間で厚み方向に連続的に変化するハイブリッド配向を有しているものがより好適に挙げられる。
前記ハイブリッド配向における配向角度としては、配向膜側から空気界面側に向かって連続的に20°±20°〜65°±25°の範囲で変化するように調整されることが好ましい。
前記重合性液晶化合物の前記配向角度及び配向方向により決定される前記配向状態としては、黒表示状態の液晶層と鏡面対象となるように前記配向角及び配向方法が調整されることが好ましい。
ここで、前記第2の光学異方性層における前記液晶構造の配向膜側近傍の配向角、空気界面側の配向角及び平均配向角は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、多方向からのレターデーションを測定し、測定されたレターデーションから屈折率楕円体モデルを想定し、該屈折率楕円体モデルから算出された推定値である。
また、前記レターデーションから配向角を算出する方法としては、Design Concepts of Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGESTに記載された手法で算出することも可能である。前記配向角を算出する場合における前記レターデーションの測定方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光学異方性層の法線方向のレターデーション(Re0)、該法線方向に対して−40°方向のレターデーション(Re−40)及び+40°方向のレターデーション(Re40)が挙げられる。
前記Re0、Re−40、Re40の測定は、それぞれ前記エリプソメーターを用いて、前記各測定方向に観察角度を変えて測定した値である。
前記棒状液晶構造を含む重合性液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマーバインダーを用いて前記棒状液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性液晶化合物、重合により液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性基を有する重合性液晶化合物などが挙げられ、この中でも重合性基を有する前記重合性液晶化合物が好適に挙げられる。
前記棒状液晶構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。
前記棒状液晶構造を含む重合性液晶化合物としては、下記構造式(1)で表される低分子の重合性基を有する棒状液晶化合物が重合した高分子液晶化合物が挙げられる。
但し、前記構造式(1)において、Q及びQは、それぞれ重合性基を表し、L、L、L及びLは、それぞれ単結合または二価の連結基を表すが、L及びLの少なくとも一方は、−O−CO−O−を表す。また、A及びAは、それぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサー基を表す。また、Mは、メソゲン基を表す。
前記円盤状液晶構造を含む重合性液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマーバインダーを用いて前記円盤状液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性液晶化合物、重合により前記円盤状液晶構造の配向状態を固定可能とした重合性基を有する重合性液晶化合物などが挙げられ、この中でも重合性基を有する前記重合性液晶化合物が好適に挙げられる。
前記重合性基を有する重合性液晶化合物としては、例えば、円盤状コアと重合性基との間に連結基を導入した構造が挙げられる。前記重合性液晶化合物の具体的としては、特開平8−050206号公報に記載されている様な下記構造式(2)で表される化合物が好適に挙げられる。
但し、前記構造式(2)において、Dは円盤状コアを表し、Lは二価の連結基を表し、Pは重合性基を表す。また、nは4〜12の整数である。また、複数の二価の連結基Lと重合性基Pとの組合せとしては、異なる二価の連結基と重合性基との組合せでもよいが、同一の組合せが好ましい。前記円盤状コアDとしては、2種以上を併用することも可能である。
前記構造式(2)において、円盤状コアDの具体例としては、下記構造式(D1)〜(D15)で表される円盤状コアが挙げられる。







前記構造式(2)において、二価の連結基Lとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−、これらの組合せなどが好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−、これらの中から選ばれる二価の基を少なくとも二つ組合せた二価の連結基がより好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−O−、これらの中から選ばれる二価の基を少なくとも二つ組合せた二価の連結基が特に好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数としては、1〜12が好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数としては、2〜12が好ましい。前記アリーレン基の炭素原子数としては、6〜10が好ましい。また、前記アルキレン基、前記アルケニレン基、前記アリーレン基としては、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基などの置換基を有していてもよい。
前記二価の連結基Lの具体例としては、−AL−CO−O−AL−、−AL−CO−O−AL−O−、−AL−CO−O−AL−O−AL−、−AL−CO−O−AL−O−CO−、−CO−AR−O−AL−、−CO−AR−O−AL−O−、−CO−AR−O−AL−O−CO−、−CO−NH−AL−、−NH−AL−O−、−NH−AL−O−CO−、−O−AL−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−O−CO−NH−AL−、−O−AL−S−AL−、−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−、−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−、−S−AL−、−S−AL−O−、−S−AL−O−CO−、−S−AL−S−AL−、−S−AR−AL−などが挙げられる。
但し、前記二価の連結基Lの具体例において、左側が前記円盤状コアDに結合し、右側が重合性基Pに結合する。またALはアルキレン基、アルケニレン基を表し、ARはアリーレン基を表す。
前記構造式(2)において、前記重合性基Pとしては、特に制限はなく、重合反応の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、不飽和重合性基、エポキシ基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。前記重合性基Pの具体例としては、下記構造式(P1)〜(P18)で表される重合性基が挙げられる。






但し、前記重合性基の具体例(P1)〜(P18)において、nは、4〜12の整数を表し、前記円盤状コアDの種類により決定される値である。
前記重合性液晶化合物に含有するその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記重合性液晶化合物の重合反応を開始する重合開始剤、前記重合性液晶化合物の塗布液を調製するための溶剤などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱重合反応を開始する熱重合開始剤、光重合反応を開始する光重合開始剤が挙げられ、こられの中でも前記光重合開始剤が好適に挙げられる。
前記光重合開始剤の具体例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号に記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号に記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号に記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号に記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組合せ(米国特許3549367号に記載)、アクリジン及びフェナジンの化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号に記載)、オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号に記載)が挙げられる。
前記光重合開始剤の前記重合性液晶化合物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記重合性液晶化合物の塗布液における固形分の0.01〜20重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。
前記光重合反応に用いられる光照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線が好適に挙げられる。前記光照射手段の照射エネルギーとしては、20〜50mJ/cmが好ましく、100〜800mJ/cmがより好ましい。また、前記光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機溶剤が好適に挙げられる。前記有機溶剤の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、ピリジン等のヘテロ環化合物、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン等のアルキルハライド、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブが好適に挙げられ、これらの中でもアミド、エーテル、ケトンがより好適に挙げられる。前記有機溶剤としては、これらの二種類以上を併用してもよい。
前記重合性液晶化合物の重合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平8−27284号公報、特開平10−278123号公報に記載の方法を用いることも可能である。
前記第2の光学異方性層が備えるその他の構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、前記重合性液晶化合物に含まれる前記液晶構造を配向させるための配向膜が好適に挙げられる。前記配向膜上に前記重合性液晶化合物が塗布等により積層されることが好ましい。
前記配向膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラビング処理された有機化合物(ポリマー)からなる配向膜、マイクログループを有する配向膜、ラングミュア・ブロジェット法(LB膜)によりω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチル等の有機化合物が累積された配向膜、無機化合物が斜方蒸着された配向膜、電場、磁場又は光照射等により配向機能が生じる配向膜などが挙げられ、前記ラビング処理された有機化合物からなる配向膜が好適に挙げられる。
前記ラビング処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記有機化合物からなる膜の表面を紙や布で一定方向に数回こする処理が挙げられる。
前記有機化合物の種類としては、特に制限はなく、前記液晶構造の配向状態(特に配向角)に応じて決定することができ、例えば、前記液晶構造を水平に配向させるために配向膜の表面エネルギーを低下させない配向膜用ポリマーが挙げられる。
前記配向膜用ポリマーの具体例としては、ラビング処理の方向に対して直交する方向に前記液晶構造を配向する場合には、変性ポリビニルアルコール(特開2002−62427号公報に記載)、アクリル酸系コポリマー(特開2002−98836号公報に記載)ポリイミド、ポリアミック酸(特開2002−268068号公報に記載)が好適に挙げられる。
前記配向膜は、前記重合性液晶化合物、前記支持体に対する密着性を向上させることを目的として、反応性基を有することが好ましい。前記反応性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配向膜用ポリマーの繰り返し単位の側鎖に反応性基を導入したもの、前記配向膜用ポリマーに環状基の置換基を導入したものなどが挙げられる。
前記反応性基により前記重合性液晶化合物、前記支持体に対して化学結合を形成する配向膜としては、特開平9−152509号に記載の配向膜を用いることも可能である。前記配向膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.01〜5μmが好ましく、0.02〜2μmがより好ましい。
前記第2の光学異方性層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記溶剤に前記液晶構造を含む前記重合性液晶化合物、前記重合開始剤などを含有した塗布液を、前記配向膜の上に塗布することで形成する方法が好適に挙げられる。
塗布液の前記配向膜上への塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコート法などの公知の方法が挙げられる。
なお、第2の光学異方性層の作製方法としては、前記配向膜を用いて前記液晶構造を含む前記重合性液晶化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性分子を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルムなどの支持体上に転写してもよい。このような作製方法によれば、配向膜による複屈折の影響を考慮する必要がなく、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償することが可能となる。
−反射防止層−
前記反射防止層は、複数の光学異方性層を積層して、光学補償素子を構成した際の光学特性の劣化を抑える機能があり、支持体の少なくとも一方の面上に積層されることが好ましい。
前記反射防止層の劣化抑制機能は以下のように発揮される。即ち、前記支持体や各光学異方性層の組合せによって、光学補償性能を有する素子を得ることができるが、このとき、各層を構成する素材の屈折率を勘案すると、支持体の場合は、石英ガラスでは1.45、サファイアでは1.76となっている。
また、屈折率差を有する複数の層で構成される第1の光学異方性層では前述の通り0.5以上の屈折率となるように積層され、第2の光学異方性層も有機化合物の屈折率が一般的には1.4〜1.8であることから、これらの光学補償素子を構成する際には各層に屈折率差が生じることは避けがたい。
このような屈折率の差によって、光源からの光が層間で反射を起こし、素子から出射される光量が低減してしまうほか、光源付近に配置される素子には強い光が投射されるために反射光が発生することによって得られる画質が劣化するなどの不具合が起こってしまう。前記反射防止層を前記光学補償素子に積層することによって、この屈折率差に起因する光の反射を抑えることができ、優れた光学補償素子得ることができる。
前記反射防止層は、屈折率差が最大となる2層の間に設けることにより、更に効果が発揮される。そのため、可視光領域における前記2積層体間の屈折率差として、0.5以上であることが好ましい。また、前記光学補償素子の空気界面となる最外層上に積層することにより、前記光の反射をより抑制することができる。
前記反射防止層の光学特性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ある波長λに対して反射防止構造を得るためには、波長の4分の1の奇数倍となるように以下の式を満たす光学厚みを有する層を設けることが好ましい。
nd=(λ/4)×(2m+1)・・・・・・・・・・・(1)
ここで、nは層の屈折率であり、dは層の厚み(nm)である。このnとdの積ndは光学厚みと呼ばれることがある。また、mは自然数である。
なお、λは可視光線の波長(nm)であり、可視領域に関して考慮する場合は380〜680nmの範囲の中心波長550nmを用いて検討されることが多い。
上記式(1)で示された層が、1層だけでは考慮されるのが1つの波長に対してのみであるため、可視領域の範囲において広く反射防止効果を得るためには、特開昭59−50401号公報、山村史彦、『光学薄膜』、OPTRONICS、10,172−173(2004)、花岡英章『反射防止層の特性と最適設計・膜作成技術』、技術評論社、2001、小倉啓太郎『生産現場における光学薄膜の設計・作成・評価技術』、技術評論社、2001、などに記載されているような設計で、多層構造の反射防止層を設けることにより、より広い波長範囲で反射防止効果を得ることができる。
前記反射防止層の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層でもよく複数の層の積層体でもよい。これらの中でも、複数の層で形成された積層体を一単位として、繰り返し積層された周期構造積層体からなり、前記一単位の屈折率が異なる2種の前記積層体が交互に積層されることが好ましい。このように積層することにより、より広い波長範囲で反射防止効果を得ることができる。
前記反射防止層の材料としては、反射率を低減し、透過率を増加させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、耐久性等の面から無機化合物、公知のARフィルム(Anti Reflection Coat Film)などが挙げられる。
前記反射防止層の材質については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第1の光学異方性層で挙げた材質を用いることができる。
なお、本発明のプロジェクタに用いる場合において、光源からの光を光の3原色である赤、緑、青の波長ごとに分割して制御する場合は、それぞれ制御される波長にあわせて上記のλを設定することができる。この場合、反射防止効果を必要とする波長領域は全可視領域より個別の波長領域に狭まるため反射防止構造の設計が容易になる。
上記の光学厚みを有する層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、屈折率nの物質を厚みが、dとなるように層を配置して形成する方向などが挙げられる。成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、緻密に厚みの制御が可能である蒸着法(真空蒸着以外に、イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング蒸着、イオンビームスパッタ蒸着等を含む)CVD法などで積層することが好ましい。
−その他の層−
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、酸素遮断層、剥離防止層などが挙げられる。
―光学補償素子の構造―
前記光学補償素子の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下に示す第1から第8の構造の光学補償素子が好適に挙げられる。
(第1の構造の光学補償素子)
図1は、第1の構造に係る光学補償素子の断面図である。
第1の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の一方の面上に、前記第1の光学異方性層を備え、他方の面上に配向方向が異なる2つの前記第2の光学異方性層を備えてなる。
即ち、図1に示すように、第1の構造に係る光学補償素子10は、支持体1の一方の面上に、配向膜4A、第2の光学異方性層3A、配向膜4B、第2の光学異方性層3B、反射防止層5Bが、該反射防止層5Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体1の他方の面上に第1の光学異方性層2、反射防止層5Aが、該反射防止層5Aが最外表面に配置されるように積層されてなるものである。
前記第1の光学異方性層2は、TiO層2A及びSiO層2Bの周期構造積層体であり、各層の厚みはそれぞれ約15nmである。また、配向膜4Aと配向膜4Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜4A及び配向膜4Bを備えることにより、第2の異方性層A及び第2の異方性層3Bにおける前記重合性液晶化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
図2は、図1に示される第1の構造の光学補償素子10において、本発明の反射防止層5Cを支持体1と配向膜4Aとの間に形成した態様の光学補償素子10aを示す断面図である。
光学補償素子10aは、反射防止層5Cが支持体1と配向膜4Aとの間に形成されている以外は光学補償素子10と同様の構造である。光学補償素子10aは、支持体1の一方の面上の最外表面に反射防止層5B、他方の面上の最外表面に反射防止層5Aを積層し、更に反射防止層5Cを支持体1と配向膜4Aとの間に形成するという反射防止層の3層構造をとっている。このように、反射防止層を適宜積層体の中間に形成することにより、より広い波長範囲で反射防止効果を得ることができる。
(第2の構造の光学補償素子)
図3は、第2の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第2の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の少なくとも一方の面上に、前記第1の光学異方性層及び前記第2の異方性層をこの順に備えてなる。
即ち、図2に示すように、第2の構造に係る光学補償素子20は、支持体21の一方の面上に、第1の光学異方性層22、配向膜24、第2の光学異方性層23、反射防止層25Bがこの順に該反射防止層25Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体21の他方の面上に反射防止層25Aを積層してなるものである。
第1の光学異方性層22は、TiO層22A及びSiO層22Bの周期構造積層体であり、各層の厚みはそれぞれ約15nmである。第1の光学異方性層22は、このような周期構造積層体とすることにより反射防止機能を兼ね備えることも可能である。
また、前記第2の構造に係る光学補償素子20を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの光学補償素子における配向膜のラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。
前記第2の構造に係る光学補償素子20に示すように、支持体の一方の面上に各層を配置する態様は、各層を構成する素材、組合せにもよるが、一般的にハンドリングがよく、製造も容易となる。
(第3の構造の光学補償素子)
図4は、第3の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第3の構造に係る光学補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第2の異方性層が前記支持体の一方の面上に設けられてなる。
即ち、図3に示すように、第3の構造に係る光学補償素子30は、支持体31の一方の面上に、第1の光学異方性層32、配向膜34A、第2の光学異方性層33A、配向膜34B、第2の光学異方性層33B、反射防止層35Bが、この順に該反射防止層35Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体31の他方の面上に、反射防止層35Aを積層してなるものである。
第1の光学異方性層32の構造としては、前記第2の構造に係る光学補償素子20における第1の光学異方性層22と同様の構造とすることができる。
また、配向膜34Aと配向膜34Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜34A及び配向膜34Bを備えることにより第2の異方性層33A及び第2の異方性層33Bにおける前記重合性液晶化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
(第4の構造の光学補償素子)
図5は、第4の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第4の構造に係る光学補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第2の異方性層が前記支持体を介して設けられてなる。
即ち、図4に示すように、第4の構造に係る光学補償素子40は、支持体41の一方の面上に、第1の光学異方性層42、配向膜44A、第2の光学異方性層43A、反射防止層45Bがこの順に該反射防止層45Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体41の他方の面上に配向膜44B、第2の光学異方性層43B、反射防止層45Aがこの順に配置されるように積層されてなるものである。
第1の光学異方性層42の構造としては、前記第2の構造に係る光学補償素子20における第1の光学異方性層22と同様の構造とすることができる。
また、配向膜44Aと配向膜44Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜44A及び配向膜44Bを備えることにより、第2の異方性層43A及び第2の異方性層43Bにおける前記重合性液晶化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
(第5の構造の光学補償素子)
図6は、第5の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第5の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の少なくとも一方の面上に、前記第1の光学異方性層及び前記第2の異方性層を備えてなる。
即ち、図5に示すように、第5の構造に係る光学補償素子50は、支持体51の一方の面上に、配向膜54、第2の光学異方性層53、第1の光学異方性層52、反射防止層55Bがこの順に該反射防止層55Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体51の他方の面上に反射防止層55Aが積層されてなるものである。
第1の光学異方性層52は、TiO層52A及びSiO層52Bの周期構造積層体であり、各層の厚みはそれぞれ約15nmである。
また、前記第5の構造に係る光学補償素子50を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの光学補償素子における配向膜のラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。
(第6の構造の光学補償素子)
図7は、第6の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第6の構造に係る光学補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第2の異方性層を有してなる。
即ち、図6に示すように、第6の構造に係る光学補償素子60は、支持体61の一方の面上に、配向膜64A、第2の光学異方性層63A、配向膜64B、第2の光学異方性層53B、第1の光学異方性層62、反射防止層65Bがこの順に該反射防止層65Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体61の他方の面上に反射防止層65Aが積層されてなるものである。
第1の光学異方性層62の構造としては、前記第5の構造に係る光学補償素子50における第1の光学異方性層52と同様の構造とすることができる。
また、配向膜64Aと配向膜64Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜64A及び配向膜64Bを備えることにより、第2の異方性層63A及び第2の異方性層63Bにおける前記重合性液晶化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
(第7の構造の光学補償素子)
図8は、第7の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第7の構造に係る光学補償素子は、配向方向が異なる2つの前記第2の異方性層が前記支持体を介して設けられてなる。
即ち、図7に示すように、第7の構造に係る光学補償素子70は、支持体71の一方の面上に、配向膜74A、第2の光学異方性層73A、第1の光学異方性層72、反射防止層75Bがこの順に該反射防止層75Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体71の他方の面上に配向膜74B、第2の光学異方性層73B、第1の光学異方性層72、反射防止層75Aがこの順に該反射防止層75Bが最外表面に配置されるように積層されてなるものである。
第1の光学異方性層72の構造としては、前記第5の構造に係る光学補償素子50における第1の光学異方性層52と同様の構造とすることができる。また、第1の光学異方性層72は少なくとも一層備えていればよく、いずれか一方の第1の光学異方性層72を省略することが可能である。
また、配向膜74Aと配向膜74Bのラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。このような配向膜74A及び配向膜74Bを備えることにより、第2の異方性層73A及び第2の異方性層73Bにおける前記重合性液晶化合物に含まれる前記液晶構造の配向方向を90°異なる方向に配向させることが可能となる。
(第8の構造の光学補償素子)
図9は、第8の構造に係る光学補償素子の一例を示す断面図である。
第8の構造に係る光学補償素子は、前記支持体の一方の面上に前記第1の光学異方性層を備え、他方の面上に前記第2の光学異方性層を備えてなる。
即ち、図8に示すように、第8の構造に係る光学補償素子80は、支持体81の一方の面上に配向膜84、第2の光学異方性層83、反射防止層85Bがこの順に該反射防止層85Bが最外表面に配置されるように積層され、支持体81の他方の面上に、第1の光学異方性層82、反射防止層85Aがこの順に該反射防止層85Aが最外表面に配置されるように積層されてなるものである。
第1の光学異方性層82は、TiO層82A及びSiO層82Bの周期構造積層体であり、各層の厚みはそれぞれ約15nmである。
また、前記第8の構造に係る光学補償素子80を、2枚積層して用いることも可能である。この場合には、それぞれの光学補償素子における配向膜のラビング処理の方向が90°異なることが好ましい。
前記光学補償素子にあっては、第1の光学異方性層2、22、32、42、52、62、72、82における光学特性が無機材料よりなる周期構造積層体による周期構造ピッチによって決められるために、高分子フィルムを一軸伸延して所定の光学特性を得る場合に生じる残留応力による高分子フィルム面内における屈折率のバラツキやヘイズ値の低下等の光学的不均一性の問題が防止でき、前記第1の光学異方性層面内における光学的均一性を高くすることが可能である。従って、前記光学補償素子は、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償することが可能となる。
また、第1の光学異方性層2、22、32、42、52、62、72、82が、10数nmの範囲で面内の厚みの制御が可能であり、高い平滑性を実現でき、前記第1の光学異方性層面内における光学的均一性を高くすることが可能である。従って、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して、光漏れを低減して、スジ状のむらが顕在化することが防止できる。
特に、前記第1〜第3の構造の光学補償素子にあっては、支持体1、21、31上に、10数nmの範囲で面内の厚み制御が可能な第1の光学異方性層2、22、32を備えてなる。このため、第1の光学異方性層2、22、32は、高い精度で面内の厚みむらを防止することが可能であり、高平滑な表面を有する第1の光学異方性層を得ることが可能となる。このような高平滑な表面を有する第1の光学異方性層2、22、32上に、第2の光学異方性層3、23、33が積層されるので、該第2の光学異方性層3、23、33の面内における配向欠陥を防止することが可能となる。このため、黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償し、幅広い視野角において光漏れを防止する光学補償素子を実現でき、幅広い視野角が要求される大画面液晶モニターや液晶プロジェクタ等に前記光学補償素子を用いることにより高画質、高コントラストな液晶表示装置及び液晶プロジェクタが実現することが可能となる。
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に封入される液晶構造を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配置される光学補償素子と、前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備え、更に、必要に応じてその他の構成を備えてなり、前記光学補償素子が前記本発明の光学補償素子を用いてなる。
前記液晶素子の表示モードとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードなどが挙げられるが、この中でも、高コントラスト比であることなどから、TNモードが好適に挙げられる。
図10〜13は、本発明の液晶表示装置の概略構成図である。
これらの図において理解を促すため、各図に示す液晶表示装置の概略構成においては、図面の下側から光源からの光が入射され、図面の上側に進んで出射される形態を示し、偏向板や第2光学異方性層の2つ構成要素を含むものについては、図面の上下方向になぞらえて、以下、図面の上方向を「上側」、図面の下方向を「下側」と表記する。
図10に示すように、液晶表示装置100は、吸収軸102及び115が概略直交しクロスニコルで対向配置される一対の上側偏光素子101(検光子)及び下側偏光素子116(偏光子)と、上・下側偏光素子101、116の間に配置される光学補償素子108と、液晶素子114(液晶セル)とを備えてなる。
なお、上・下側偏光素子101、116に代えて、グラン−トムソンプリズムなどの偏光ビームスプリッタを偏光素子として、液晶素子114に対向配置して用いることも可能である。
液晶素子114は、ガラス基板よりなる上側基板109と下側基板113とが対向配置され、これらの上側基板109及び下側基板113の間には、例えば、ネマチック液晶111が封入されている。上側基板109及び下側基板113の対向面には、不図示の画素電極、回路素子(薄膜トランジスタ)等が形成されている。上側基板109及び下側基板113のネマチック液晶111が接する対向面には不図示の上・下側配向膜が形成されている。該配向膜のネマチック液晶111が接する面上は、液晶分子の配列方向を揃えるために、ラビング処理が施されている。該ラビング処理を施すことにより刻まれる溝の方向(ラビング方向)としては、例えば、TNモードの液晶表示装置の場合では、上・下側配向膜におけるラビング方向110及び112が概略直交している。
図11は、液晶素子114に電圧が印加されていない通常状態時の液晶分子の配列状態を表している。上側基板109及び下側基板113側のネマチック液晶111は、前記不図示の配向膜に施されたラビング処理の作用によりラビング方向110及び112と略同一の方向に配列されている。そして、ラビング方向110及び112はお互いに直交しているので、ネマチック液晶111の分子は、上側基板109から下側基板113に向かうに従い、液晶分子の長軸が90°ねじれた状態となるように配列される。
前記偏光素子としては、該偏光素子を平行ニコル配置したときの光の透過率を100%とした場合に、該偏光素子をクロスニコル配置したときの光の透過率が0.001%以下が好ましい。
上側偏光素子101(検光子)及び下側偏光素子116(偏光子)は、少なくとも偏光膜を有してなり、更に、必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記偏光膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体部分ケン化物等の親水性ポリマーなどからなるフィルムに、ヨウ素、アゾ系、アントラキノン系、テトラジン系等の二色性染料などの二色性物質を吸着させて、延伸配向処理したものなどが挙げられる。
前記伸延配向処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記偏光膜の吸収軸が長手方向に対して実質的に直交する、幅方向一軸延伸型テンター延伸機が好適に挙げられる。このような幅方向一軸延伸型テンター延伸機は、貼り合せ時に異物が入りにくいというという利点を有する。
前記伸延配向処理としては、特開2002−131548号公報に記載の延伸方法を用いることも可能である。
前記その他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記偏光膜の片面又は両面に有する透明保護膜、反射防止層、防眩処理膜などが挙げられる。
上・下側偏光素子101、116の構造としては、前記偏光膜の少なくとも一方の面に前記透明保護膜を有した偏光板、光学補償素子114を支持体として該光学補償素子の一方の面に一体的に前記偏光膜を有するものなどが好適に挙げられる。
前記透明保護膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステルなどが挙げられる。
前記透明保護膜としては、具体的には、セルローストリアセテート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)などのポリオレフィン類が好適に挙げられる。
また、特開平8−110402号公報、特開平11−293116号公報に記載されている非複屈折性光学樹脂材料も用いることが可能である。
前記透明保護膜の配向軸(遅相軸)方向としては、特に制限はないが、作業操作上の簡便性から、前記透明保護膜の配向軸が長手方向に平行であることが好ましい。また、透明保護膜の遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)の角度も特に限定的でなく、偏光板の目的に応じて適宜設定できる。なお、前記幅方向一軸延伸型テンター延伸機を用いて前記偏光膜を作製した場合には、前記透明保護膜の遅相軸(配向軸)と前記偏光膜の吸収軸(延伸軸)方向とは実質的に直交することになる。
前記透明保護膜のレターデーションとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、測定波長632.8nmにおいて10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましい。
なお、前記セルロースアセテートを用いる場合には、環境の温湿度によるレターデーション変化を小さくおさえる目的から、レターデーションが3nm未満が好まし
く、2nm以下がより好ましい。
前記偏光板の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール形態で供給される長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。
また、前記偏光膜、前記偏光板は、光学軸のズレ防止、ゴミなどの異物侵入防止などの点から前記光学補償素子に固着処理されていることが好ましい。
反射防止層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系ポリマーのコート膜、多層金属蒸着膜等の光干渉性の膜、などが挙げられる。
上・下側偏光素子101、116の光学的性質、耐久性(短期、長期での保存性)としては、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)と同等かそれ以上の性能を有することが好ましい。
光学補償素子108は、前記本発明の光学補償素子を用いてなる。
前記光学補償素子としては、液晶表示装置100に組み込んだ状態における液晶表示装置100の白表示透過率をVw、黒表示透過率をVbとしたときに、該液晶表示装置100の正面における前記白表示透過率Vwと黒表示透過率Vbとの比、即ち、コントラスト比Vw:Vbが100:1以上が好ましく、200:1以上がより好ましく、300:1以上がさらに好ましい。
また、液晶表示装置100の表示面における法線方向から60°傾斜した全方位角方向において、黒表示透過率の最大値がVwに対して10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。このような光学補償素子を用いることにより、高コントラストで階調反転の生じない広い視野角の液晶表示装置を実現できる。
また、残留捩れ成分が大きい液晶素子を正確に補償するためには、クロスニコルに配置した一対の偏光素子の間に前記光学補償素子を配置し、該光学補償素子の法線方向を回転軸として該光学補償素子を回転させたときに前記液晶表示装置が消光する方位がなく、全方位にあたり、光の透過率が0.01%以上が好ましい。
光学補償素子108は、上側偏光素子101と液晶素子114との間に配置され、第1の光学異方性層107、上側第2光学異方性層103、下側第2光学異方性層105を含んでなる。
光学補償素子108を構成する各光学異方性層はそれぞれ、上側第2光学異方性層103における配向膜のラビング方向104と、液晶素子114の上側基板109における上側配向膜のラビング方向110との成す角が180°となるように配置され、下側第2光学異方性層105における配向膜のラビング方向106と、液晶素子114の下側基板132における下側配向膜のラビング方向112との成す角が180°となるように配置される。
なお、第2光学異方性層と、液晶素子の基板における配向膜のラビング方向との関係は置換しても良く、下側第2光学異方性層105における配向膜のラビング方向106と、液晶素子114の上側基板109における上側配向膜のラビング方向110との成す角が180°となるように配置され、上側第2光学異方性層103における配向膜のラビング方向104と、液晶素子114の下側基板113における下側配向膜のラビング方向112との成す角が180°となるように配置されてもよい。
また、第1の光学異方性層107は液晶素子114側となるように備えられることが好ましい。
図12は、TNモードの液晶表示装置において、黒表示状態、即ち、液晶素子114に電圧が印加された状態の液晶分子の配列状態を表している。液晶素子114に電圧が印加されると、液晶分子が立ち上がった状態、即ち、液晶分子の長軸が光の入射面に対して垂直となるように液晶分子の配列状態が変化する。ここで理想的には、電圧を印加した時の液晶素子114内の全ての液晶分子が、光の入射面に対して平行となることが望ましいが、実際には、図12に示すように、液晶素子114内の液晶分子は、上側基板109及び下側基板113から液晶素子114の中心領域に向かうに従い、徐々に液晶分子の長軸が立ち上がった状態となる。従って、上側基板109及び下側基板113側界面近傍の液晶分子は電圧印加時においても、その液晶分子の長軸が光りの入射面に対して平行ではなく、傾斜した配列状態となっている。このように、光の入射面に対して傾斜した液晶分子が存在することが、視野角によっては、黒表示状態とならずに光漏れを起こす原因となる。
更に、TNモードの液晶表示装置に用いられるネマチック液晶は、一般に棒状液晶であり、光学的に正の一軸性を示す。このため、液晶素子114の中心領域に存在し、完全に立ち上がった状態の液晶分子によっても、斜め方向から液晶表示装置100を見た場合には、複屈折が発現され、視野角によっては、黒表示状態とならずに光漏れを起こす原因となる。
従って、黒表示状態における上側基板109及び下側基板113側界面近傍の液晶素子114内の液晶の配向状態に対しては、第2の光学異方性層103及び105に含まれる液晶分子の配向状態を鏡面対称として、上側基板109及び下側基板113側界面領域における前記複屈折の発現を光学的に補償するとともに、液晶素子114の中心領域における液晶による複屈折に対しては、一軸性の傾斜していない負の屈折率楕円体の光学特性を有する第1の光学異方性層107により光学的に補償して配置されることにより、全体として黒表示状態の液晶表示素子114を三次元的に光学補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
また、光学補償素子108は、図12に示すように液晶素子114の下面に備えることもでき、さらには図13に示すように液晶素子114の上下面に108a、108bとして備えることも可能である。なお、液晶素子の上下面に配置する場合、第1の光学異方性層107a又は107bのいずれかを省略することも可能であり、それぞれに第1の光学異方性層を設ける場合は107a、107bの合計のレターデーション値で調整される。
また、光学補償素子108としては、該光学補償素子108に備えられる不図示の前記支持体が液晶素子114の上側基板109と下側基板113であることも可能である。この場合には、図12に示す第1の光学異方性層107a又は107bが上側基板109と下側基板113に直接形成される。
(液晶プロジェクタ)
本発明の液晶プロジェクタは、光源からの照明光を液晶表示装置に照射し、液晶表示装置によって光変調された光を投影光学系によりスクリーン上に結像させて画像を表示する液晶プロジェクタにおいて、前記液晶表示装置が前記本発明の液晶表示装置を用いてなる。
前記液晶プロジェクタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スクリーン投影型のフロントプロジェクタ、リアプロジェクションテレビなどが挙げられる。また、前記液晶プロジェクタに用いられる液晶表示装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置などが好適に挙げられる。
図14はリア方式の液晶プロジェクタを示す外観図である。
図14に示すように前記液晶プロジェクタ200は、筐体202の前面に拡散透過型のスクリーン203が設けられ、その背面に投影された画像がスクリーン203の前面側から観察される。筐体202の内部には投影ユニット300が組み込まれ、投影ユニット300によって投影される投影画像が、ミラー206、207で反射されスクリーン203の背面に結像される。前記液晶プロジェクタ200は、筐体202の内部には、図示しないチューナー回路、ビデオ信号及び音声信号再生用の周知の回路ユニットなどが配置されている。
前記投影ユニット300には、画像表示手段として図示しない液晶表示装置が組み込まれている。該液晶表示装置がビデオ信号の再生画像を表示することによって、画像をスクリーン203上に表示することができる。
図15は前記投影ユニット300を示す構成図である。
図15に示すように、前記投影ユニット300は、透過型の三枚の液晶素子311R,311G,311Bを備え、フルカラーで画像投影を行うことが可能である。
光源312から出射された光は、紫外線及び赤外線をカットするフィルタ313を透過することにより赤色光、緑色光、青色光を含む白色光となり、光源312から前記液晶素子311R、G、Bに至る照明光軸にしたがってガラスロッド314に入射する。ガラスロッド314の光入射面は、光源312に用いられている放物面鏡の焦点位置近傍に位置し、光源312からの光は効率的にガラスロッド314に入射する。
ガラスロッド314の出射面には、リレーレンズ315が配設され、ガラスロッド314から出射される白色光は、リレーレンズ315及び後段のコリメートレンズ316により平行光となって、ミラー317に入射する。
ミラー317で反射された白色光は、赤色光だけを透過するダイクロイックミラー318Rで2光束に分けられ、透過した赤色光はミラー319で反射して液晶素子311Rを背面から照明する。
また、ダイクロイックミラー318Rで反射された緑色光と青色光は、緑色光だけを反射するダイクロイックミラー318Gで更に2光束に分割される。ダイクロイックミラー318Gで反射された緑色光は、液晶素子311Gを背面側から照明する。ダイクロイックミラー318Gを透過した青色光は、ミラー318B,320で反射され、液晶素子311Bを背面から照明する。
各々の液晶素子311R、311G、311Bは、それぞれTNモードの液晶素子で構成され、個々の該液晶素子には、フルカラー画像を構成する赤色画像、緑色画像、青色画像の濃度パターンの画像が表示される。これらの液晶素子311R、311G、311Bから光学的に等距離となる位置に中心がくるように、合成プリズム324が配置され、該合成プリズム324の出射面に対面して投影レンズ325が設けられている。前記合成プリズム324は、内部に2面のダイクロイック面324a、324bを備え、液晶素子311Rを透過してきた赤色光、液晶素子311Gを透過してきた緑色光、液晶素子311Bを透過してきた青色光を合成して投影レンズ325に入射させる。
各液晶素子311R、311G、311Bの出射面の中心から、合成プリズム324及び投影レンズ325の中心を通り、スクリーン3の中心に至る投影光軸上には、投影レンズ325が設けられている。前記投影レンズ325は、物体側焦点面が液晶素子311R、311G、311Bの出射面に一致し、像面側焦点面がスクリーン3に一致するように配置される。このため合成プリズム324で合成されたフルカラー画像は、スクリーン303に結像される。
液晶素子311R、311G、311Bの照明光の入射面側には、それぞれ偏光板326R、326G、326Bが設けられている。また、前記各液晶素子の出射面側には、光学補償素子327R、327G、327Bと、偏光板328R、328G、328Bとが設けられている。入射面側の前記偏光板326R、326G、326Bと出射面側の偏光板328R、328G、328Bとはクロスニコルの配置となっており、入射面側の偏光板は偏光子、出射面側の偏光板は検光子として作用する。
本発明の液晶表示装置は、前記液晶素子311R、311G、311B、偏光板326R、326G、326B、328R、328G、328B、及び光学補償素子327R、327G、327Bを備えてなる。
尚、それぞれの色チャンネルごとに設けられた液晶素子、その両側にそれぞれ設けられた偏光板及び光学補償素子の作用は、それぞれの色光に基づく相違はあるものの、基本的な作用は実質的に共通であるので、以下、赤色チャンネルにより作用を説明する。
ミラー319で反射された赤色照明光は、入射面側の偏光板326Rで直線偏光となって液晶素子311Rに入射する。ノーマリホワイトモードの場合、液晶素子311Rに用いられているTNモードの液晶は、赤色画像の黒を表示するために画素に信号電圧が印加される。このとき、液晶層に含まれる液晶分子は様々な配向姿勢をとるようになり、赤色照明光が平行光束となって液晶素子311Rに入射しても、液晶層が呈する旋光性と複屈折性により、液晶素子311Rの出射面から出射する光は完全な直線偏光とはならず、一般に楕円偏光の画像光が出射するようになり、検光子側の偏光板328Rから光漏れを生じて、充分な黒が得られない。また、ノーマリーブラックモードの場合でも、液晶分子のわずかな傾きによって黒レベルが充分に黒くはならない。
また、黒表示させたい状態において、液晶素子中の液晶分子を斜めに通過する光が含まれている場合には、液晶層によって変調された画像光は、直線偏光とはわずかに光学的な位相が相違した楕円偏光となって、検光子側の偏光板328Rから光漏れを生じて、充分な黒が得られない。
本発明の液晶プロジェクタは、前記本発明の光学補償素子を備えた前記本発明の液晶表示装置を用いてなる。そして光学補償素子327Rが黒表示状態の液晶層を、より高い精度で光学的に補償して、幅広い視野角において光漏れを防止することが可能となる。
このため、前記本発明の液晶プロジェクタは、高視野角、高コントラスト、高画質を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[光学補償素子の作製]
以下の方法により光学補償素子を作製した。
実施例1の光学補償素子は、図2に示す、光学補償素子10aの実施例であり、支持体1の一方の面上に、反射防止層5C、配向膜4A、第2の光学異方性層3A、配向膜4B、第2の光学異方性層3B、反射防止層5Bをこの順に積層し、支持体1の他方の面上に第1の光学異方性層2、反射防止層5Aをこの順に積層した光学補償素子である。
−反射防止層(1)−
支持体1として、平均屈折率1.52のガラス基板を用い、該ガラス基板の上に減圧下でスパッタ装置を用いてSiO層とTiO層を交互に蒸着して、反射防止層5Cを形成した。形成されたSiO層とTiO層の厚みはどちらも0.24μmであった。
−配向膜−
前記ガラス基板上に形成した反射防止層5C上に、下記組成の配向膜塗布液100ml/mを滴下し、1000rpmの条件でスピンコートする。その後、該配向膜塗布液を100℃の温風で3分間乾燥して、厚み600nmの配向膜を形成した。次いで、形成された前記配向膜上にラビング処理を施して、所定の配向方向に配向する配向膜4Aを形成した。
<配向膜塗布液>
下記構造式(3)の変性ポリビニルアルコール・・20g
水(溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・360g
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・120g
グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・1.0g
−第2の光学異方性層−
下記構造式(4)の円盤状液晶化合物4.27g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.42g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.09g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.02g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.14g、増感剤(カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製)0.05gを溶剤としてのメチルエチルケトン15.0gに溶解し、重合性液晶化合物の塗布液を調製した。
得られた前記重合性液晶化合物塗布液100ml/mを配向膜4A上に滴下し、1500rpmの条件でスピンコートする。その後、130℃の恒温ゾーンで5分間加熱し、前記重合性液晶化合物を配向させた。その後、高圧水銀灯を用いて照射エネルギー300mJ/cmでUV照射して、前記重合性液晶化合物を重合させ、液晶構造の配向状態を固定した。その後、室温まで放冷し、第2の光学異方性層3Aを形成した。

形成された第2の光学異方性層3Aにおいて、前記円盤状液晶化合物は、円盤面の垂直軸法線と前記ガラス基板の法線とのなす角度(配向角)が、10°から62°に前記ガラス基板側から空気界面側に向かって増加し、前記円盤状液晶化合物がハイブリッド配向していた。前記円盤状液晶化合物の配向角は、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレターデーションを測定し、得られた測定値から屈折率楕円体モデルを仮想し、「Design Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法により算出した。
第2の光学異方性層3A上に、更に、配向膜をその配向方向が配向膜4Aと直交するように積層した。そして、配向膜4A上に第2の光学異方性層3Bを、第2の光学異方性層3Aと同様の方法により形成した。
得られた第2の光学異方性層3Bにおいて、円盤状液晶化合物は、円盤面の垂直軸と前記ガラス基板の法線とのなす角度(配向角)が、12°から65°に前記ガラス基板側から空気界面側に向かって増加し、該円盤状液晶化合物がハイブリッド配向していた。
また、得られた第2の光学異方性層3Bは、シュリーレン等の欠陥がない均一な層であった。また、この層の屈折率を測定したところ、その平均屈折率が約1.6であった。
−第1の光学異方性層−
得られた第2の光学異方性層3A及び3Bの反対側の面上に減圧下でスパッタ装置を用いてSiO層とTiO層を交互に蒸着して、各層をそれぞれ26層ずつ、合計52層を積層した周期構造積層体からなる第1の光学異方性層2を形成した。形成された第1の光学異方性層2の全体の厚みは、760nm、Rth=200nmであった。
−反射防止層(2)−
得られた第1の光学異方性層2上に、減圧下で反射防止層5Cの形成方法と同様にスパッタ装置を用いてSiO層とTiO層を厚みがどちらも0.24μmとなるように交互に蒸着して、反射防止層5Aを形成した。
−反射防止層(3)−
得られた第2の光学異方性層3B上に、減圧下でスパッタ装置を用いてSiO層とTiO層を厚みがどちらも0.24μmとなるように交互に蒸着して、反射防止層5Bを形成した。
[液晶表示装置]
作製された光学補償素子10aを白表示1.5V、黒表示3VのノーマリーホワイトモードのTNモード液晶素子に重ね合わせて、実施例1の液晶表示装置を得た。
(実施例2)
反射防止層のうち反射防止層5A及び反射防止層5Bだけを形成したこと以外は前記実施例1と同様の方法により実施例2の光学補償素子と液晶表示装置を得た。
(実施例3)
反射防止層のうち反射防止層5Cだけを形成したこと以外は前記実施例1と同様の方法により実施例3の光学補償素子と液晶表示装置を得た。
(比較例1)
反射防止層をすべて設けなかったこと以外は前記実施例1と同様の方法により比較例1の光学補償素子と液晶表示装置を得た。
(液晶表示装置の視野角依存性の評価)
実施例1及び比較例1の液晶表示装置について、コノスコープ(Autronic−Melcher社製)を用いて、表示面の正面から仰角20°、方位角45°の場所におけるコントラスト比を測定した。ここで、前記コントラスト比は、バックライトに対する白表示透過率及び黒表示透過率から白表示透過率/黒表示透過率として測定した。結果を表1に示した。
(液晶プロジェクタのコントラストの評価)
RGBの各色に対応した3枚の実施例1〜3及び比較例1の液晶表示装置をTN型液晶プロジェクタに装着して、液晶プロジェクタを得た。この得られた液晶プロジェクタについて、白表示、黒表示投影光のスクリーン面上での照度及びコントラスト比(白表示透過率/黒表示透過率)を測定した。結果を表1に示した
表1の結果から、比較例1の液晶表示装置と比較して実施例1〜3の液晶表示装置は、いずれも入射光量/透過光量比が大であり光量の損失が少なく、屈折率差が大きな部位すべてに反射防止層を設けることによって、得られる効果が高いことが判る。
本発明の光学補償素子、液晶表示装置は、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに好適に使用することができる。
図1は、第1の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図2は、図1に示される第1の構造の光学補償素子において、本発明の反射防止層を有する態様の一例を示す断面図である。 図3は、第2の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図4は、第3の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図5は、第4の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図6は、第5の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図7は、第6の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図8は、第7の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図9は、第8の構造の光学補償素子を示す断面図である。 図10は、本発明の液晶表示装置を示す概略図である。 図11は、本発明の液晶表示装置を示す概略図である。 図12は、本発明の液晶表示装置を示す概略図である。 図13は、本発明の液晶表示装置を示す概略図である。 図14は、リア方式の液晶プロジェクタを示す外観図である。 図15は、投影ユニットを示す構成図である。
符号の説明
1、21,31、41、51、61、71、81・・・・・支持体
2、22、32、42、52、62、72、82・・・・・第1の光学異方性層
3、23、33、43、53、63、73、83・・・・・第2の光学異方性層
4、24、34、44、54、64、74、84・・・・・配向膜
5、25、35、45、55、65、75、85・・・・・反射防止層
10、20、30、40、50、60、70、80・・・・光学補償素子
100・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・液晶表示装置
101・・・・・・・・・・・・・・・上側偏光板
102・・・・・・・・・・・・・・・上側偏光板吸収軸
103・・・・・・・・・・・・・・・上側第2光学異方性層
104・・・・・・・・・・・・・・・上側第2光学異方性層作製時のラビング方向
105・・・・・・・・・・・・・・・下側第2の光学異方性層
106・・・・・・・・・・・・・・・下側第2光学異方性層作製時のラビング方向
107・・・・・・・・・・・・・・・第1の光学異方性層
108・・・・・・・・・・・・・・・光学補償素子
109・・・・・・・・・・・・・・・液晶セル上側基板
110・・・・・・・・・・・・・・・上側基板液晶配向用ラビング方向
111・・・・・・・・・・・・・・・液晶分子(液晶層)
112・・・・・・・・・・・・・・・下側基板液晶配向用ラビング方向
113・・・・・・・・・・・・・・・液晶セル下側基板
114・・・・・・・・・・・・・・・液晶素子
115・・・・・・・・・・・・・・・下側偏光板の吸収軸
116・・・・・・・・・・・・・・・下側偏光板
200・・・・・・・・・・・・・・・液晶プロジェクタ
300・・・・・・・・・・・・・・・投射ユニット

Claims (15)

  1. 支持体と、無機材料で形成された第1の光学異方性層と、重合性液晶化合物で形成された第2の光学異方性層と、反射防止層とを有することを特徴とする光学補償素子。
  2. 反射防止層が、支持体の少なくとも一方の面上に設けられた請求項1に記載の光学補償素子。
  3. 反射防止層が、隣接した2層のうち、少なくとも屈折率差が最大となる2層の間に設けられた請求項1から2のいずれかに記載の光学補償素子。
  4. 反射防止層が、無機材料からなる複数の層で形成された積層体を一単位として、繰り返し積層された周期構造積層体からなり、
    前記一単位の屈折率が異なる2種の前記積層体が交互に積層され、かつ、可視光領域における前記2積層体間の屈折率差が0.5以上である請求項1から3のいずれかに記載の光学補償素子。
  5. 積層体が、波長λ(540nm)に対して以下の式を満たす光学厚みを有する層を含む請求項1から4のいずれかに記載の光学補償素子。
    nd=(λ/4)×(2m+1)
    (nは層の屈折率、dは層の厚み(nm)、mは自然数である。)
  6. 周期構造積層体が、複数の無機化合物層の積層体で形成された請求項5に記載の光学補償素子。
  7. 第1の光学異方性層が、屈折率が互いに異なる複数の層が規則的な順序で積層され、繰り返し単位が繰り返されてなる周期構造積層体であり、前記繰り返し単位の光学厚みが可視光領域における光の波長より短く、全体として負の屈折率異方性を有する請求項1から6のいずれかに記載の光学補償素子。
  8. 周期構造積層体が、SiO層及びTiO層で形成された請求項7に記載の光学補償素子。
  9. 第2の光学異方性層が、液晶構造を含む重合性液晶化合物で形成され、前記液晶構造の配向角が、前記第2の光学異方性層の厚み方向に対して傾斜した状態で重合により固定されてなる請求項1から8のいずれかに記載の光学補償素子。
  10. 第2の光学異方性層が、配向方向が直交する2つの層を有する請求項1から9のいずれかに記載の光学補償素子。
  11. 支持体上に、第1の光学異方性層を有し、該第1の光学異方性層を有する面と反対側の前記支持体上に反射防止層、第2の光学異方性層をこの順に有してなり、空気界面となる層上に反射防止層を有する請求項1から10に記載の光学補償素子。
  12. 液晶プロジェクタに用いられる請求項1から11のいずれかに記載の光学補償素子。
  13. 少なくとも一対の電極及び該一対の電極間に封入される液晶分子を有する液晶素子と、該液晶素子の両面及び片面のいずれかに配される光学補償素子と、
    前記液晶素子及び光学補償素子に対向配置される偏光素子とを備え、前記光学補償素子が前記請求項1から12のいずれかに記載の光学補償素子であることを特徴とする液晶表示装置。
  14. 液晶素子が、ツイストネマティック型である請求項13に記載の液晶表示装置。
  15. 光源と、該光源からの照明光が照射される液晶表示装置と、該液晶表示装置によって光変調された光をスクリーン上に結像させる投影光学系とを備え、前記液晶表示装置が請求項13から14のいずれかに記載の液晶表示装置であることを特徴とする液晶プロジェクタ。
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