JP2006188440A - 創傷治癒促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】手術創および外傷の創傷治癒の促進のための創傷治癒促進剤の提供。
【解決手段】赤血球よりも小径の人工酸素運搬体を有効成分とする創傷治癒促進剤。人工酸素運搬体の径が、最大で200nm以下であるものが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、手術創および外傷の創傷治癒の促進のためのものであって、特に人工酸素運搬体を有効成分とすることを特徴とする創傷治癒促進剤に関する。
外科手術の手術適応は、個々人において、その手術がもたらす利益を手術創(切開創、吻合創などの創傷)と比較して決定される。すなわち手術による利益が手術の侵襲を凌駕する場合に実施され(手術適応)、いかに手術がもたらす利益が大きくとも、生体がその手術の侵襲に耐えて回復しなければ手術を行わない(禁忌)。しかし実際には、手術が与える損傷と利益のバランスは判定が困難な場合も少なからずあり、術前に有利(手術適応あり)と見えても予断を許さないことが多い。すなわち、その間に介在する因子が多く、たとえば個人の予備力、心肺機能、感染などの因子によって修飾された結果、手術結果が予期せぬ方向へ向かうこともある。たとえば、解剖学的な形態上、血行障害を招来しやすく血行改善を図る手段がない腸管や気管の手術では、その縫合部に縫合不全をきたした場合には重篤な合併症が発生するため、創傷治癒が最も重大な予後決定因子となる。
このため創傷、特に手術創の早期治癒が望まれるが、従来、外科手術創、外傷などの創傷の治癒は、わずかに栄養補給などが間接的、補助的な創傷治癒の促進方法といえる程度であって、直接的に創傷治癒を促進する手段といえるものはなく、ほとんどの場合、創傷部位の自然治癒に任せられているのが実情である。
近年、赤血球から取出した精製ヘモグロビンを、架橋修飾、あるいは脂質小胞体中に封入してカプセル化した形態の人工赤血球が提案され、輸血によるウィルス感染、血液型不適合などの問題を回避することができ、輸血に好適な酸素運搬体として期待されている。特に精製ヘモグロビンを含有するリポソームの形態が提案されている(特許文献1〜2など参照)。ところが精製ヘモグロビンは、赤血球に比べてヘモグロビンの酸素運搬能を評価する2つのパラメータ:P50値およびヒル係数(Hill coefficient)の値が低いことが知られている。P50値は、全ヘモグロビンの50%が酸素と結合する(酸素飽和度50%)時の酸素分圧と定義され、つまりヘモグロビンの酸素親和性を表すパラメータであり、ヒル係数は、ヘモグロビンの4つのサブユニットが酸素を運搬する時に発現するアロステリック作用の強さ、つまりヘモグロビンの協同作用の強さを表すパラメータである。
精製ヘモグロビンは、酸素との親和性が高く、酸素と極めて高い割合で結合し、末梢組織で酸素を放出しにくいことが知られており、上記パラメータのP50値については、生理条件下、赤血球内のヘモグロビンのP50値が26mmHg程度であるのに対し、精製ヘモグロビンを内包する脂質小胞体のP50値として9mmHgが示されている(特許文献3参照)。これは、赤血球から赤血球膜を除去して取出した精製ヘモグロビンが、赤血球内にヘモグロビンとほぼ同濃度で存在する2,3−ジホスホグリセリン酸および塩素イオンなどの陰イオンを損失しているためであると考えられている。
輸血に使用する人工赤血球は、酸素運搬能のうちに末梢組織での酸素放出が求められるため、ヘモグロビンの高すぎる酸素親和性は望まれない。精製ヘモグロビンを含有する人工赤血球の酸素親和性を低下させるため、2,3−ジホスホグリセリンに代わるアロステリック因子として、たとえばイノシットヘキサリン酸(特許文献3など参照)あるいは縮合リン酸(特許文献4参照)を含ませたヘモグロビン含有リポソームも提案されている。またたとえば、ヘモグロビン内包脂質小胞体の高濃度ヘモグロビンを含む内水相に、塩素イオン(陰イオン)とともにATPなどの有機リン酸誘導体を共存させることにより、ヘモグロビンの酸素親和性を低下(P50値を20〜50mmHgに調整)させ、また同時にヘモグロビンの四つのサブユニットの間に協同作用(ヒル係数2以上)を発現させることが提案されている(特許文献5参照)。
ヘモグロビン含有リポソームについてはさらに種々の検討がなされており、たとえばウィルス除去処理されたストローマフリーヘモグロビン溶液に、酸化型および/または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD/NADH)と、イノシン、イノシン酸、グアノシンおよびリボース−1−リン酸から選ばれる成分とを加えてメト化抑制効果をもたせたヘモグロビン溶液またはヘモグロビン含有リポソーム(特許文献6参照)も提案されている。
さらに、人工酸素運搬体のP50値を小さく、好ましくは5〜20mmHgとするものとして、ヘモグロビンを含有するpH7.0〜9.0の溶液を内部に取り込んだリポソームからなる人工酸素運搬体も提案されている(特許文献7参照)。
特開平4−18030号公報 特開平4−26629号公報 特開平1−61426号公報 特開平3−291239号公報 特開平5−310593号公報 特開2002−348341号公報 特開2001−348341号公報
創傷治癒の材料となる基質と酸素は、末梢循環で供給されるが、この循環を形成するものは「血管」と「血液」しかない。創傷部位に修復可能な血管が存在したり、血行が豊富な組織(たとえば腹膜)でカバーできることはあるが、これらが当てはまるのはごく稀な場合であり、一般には外科手術創あるいは外傷の創傷部位には、修復可能な血管はない。このため、従来、創傷治癒を促進する手段をほとんど持ち得ず、創傷部位の自然治癒に任せられているというよりもむしろ、創傷治癒を促進する手段がなかったといえる。創傷、特に手術創の早期治癒は、手術適応の判断にも影響し、創傷治癒が最も重大な予後決定因子ともなるなど、その影響は大きいため創傷治癒を促進しうる創傷治癒促進剤の出現が切望されていた。
本発明者は、上記に鑑みて、創傷特に手術創の早期治癒を図り、その方法を見出すべく鋭意検討するうちに、循環を形成するもうひとつの因子である「血液」に着目し、人工酸素運搬体の使用を着想した。すなわち、人工酸素運搬体が特にサブミクロンオーダーたとえば粒径200nmの小径の微小人工酸素運搬体であれば、赤血球(7μm程度)よりはるかに小さく、概ね30から40分の1の大きさである。これを投与すれば、創傷により血行が断絶された部位であっても、創傷部位の微小循環を改善し、酸素拡散距離を短縮して供給量を増加させることで、好気代謝を促進し、当該組織の同化を促し、創傷治癒を促進することが可能であると推定した。
微小な人工酸素運搬体によって創傷治癒が促進されると想定するより具体的な根拠は、
1)微小循環の断絶があるが、サイズが小さいため、残存する毛細血管を介して還流しやすい。
2)周辺の側副血行路も広汎に断絶されているが、サイズが小さい(200nm程度)ため、側副血行路が発達していなくても(創傷の場合一般的に発達していない)毛細血管が直ちに側副血行路としての働きを代行する。
3)創傷部位に一次的出血があるが、凝固系の働きには影響を与えないと考えられる。
4)二次的な組織圧の上昇が抑制され、それによる二次的な微小循環障害が緩和される。
5)手術創においては、縫合部の物理的緊迫による局所の微小循環障害が想定されるものの、微小人工酸素運搬体によって、残存する微小循環路や側副血行路を介した微小循環の改善が考えられる。
などの点にある。
創傷治癒の過程は、同化(治癒促進)と異化(治癒遅延)過程がバランスをなす、ダイナミックなプロセスと考えられている。同化に寄与する因子としては、血液の微小循環によって内呼吸の材料となる基質と酸素を末梢組織に供給することである。細胞内のTCAサイクルでブドウ糖のような基質と酸素が燃焼(好気的酸化)したエネルギーがATPとして産生・蓄積され、細胞の生命活動の維持と再生、すなわち創傷治癒に使用される。治癒遅延(異化過程)の原因となるのは、こうした内呼吸によるエネルギー生産が低下することと、感染や炎症などによりエネルギー消費が増加して、代謝バランスが負に傾くことが挙げられる。
外的な要因で創傷が形成されると、治癒を促進するプロセスと遅延させるプロセスが動的なバランスをとりながら治癒過程が進行・遷延してゆく。外的原因による微小循環の広汎な断絶、周辺の側副血行路も障害されており、一次的出血があり、組織圧の上昇、縫合操作による物理的緊迫などが全て創傷部位の微小循環を障害する方向に働く。その際に、微小人工酸素運搬体が存在すると、側副血行路を介して、赤血球が到達しない毛細血管をも還流することで、酸素拡散距離を縮小し、酸素供給量を増加させ、エネルギー代謝を好転させ、二次的な炎症や浮腫を軽減して、組織の微小循環を改善する。その結果、代謝不全に由来する細胞死を抑制して再生過程を促進し、創傷による一次的代謝物(老廃物)や血栓を除去して、病原体の汚染があっても感染を抑制する方向に向かうと想定した。
上記から、微小人工酸素運搬体の投与により創傷治癒が促進されると推測し、実験を行ったところ、創傷の早期治癒効果を実証することができた。この実験は実施例として後述するが、室内空気下で血液と同等の酸素運搬能を持つ微小人工酸素運搬体の原液(ヘモグロビン濃度6g/dL)に対し最大25倍希釈液で投与し、すなわち実際の投与量としては一般的な輸血量(少なくとも体重の1%程度)の25分の1の量で投与し、また好ましくは術前投与する点において、いわゆる輸血とは異なる。これにより、創傷の直接的な治癒促進剤としてはじめて提供しうる以下のような本発明を完成した。このような本発明は、人工酸素運搬体が外科的手術や外傷による創傷の治癒を促進する効果をもつという人工酸素運搬体の新たな有用性を提唱するものでもある。
このような本発明に係る創傷治癒促進剤は、赤血球よりも小径の人工酸素運搬体を有効成分とする。
本発明に係る創傷治癒促進剤は、上記人工酸素運搬体を血液中に存在させ、本来の血行路が破壊された創傷部位に酸素を運搬させることにより創傷治癒を促進する。
上記創傷治癒促進剤は、上記人工酸素運搬体を、本来の血行路が破壊された創傷部位に残存する断絶されていない毛細血管を介して還流させることができる。
本発明に係る創傷治癒促進剤は、通常、静脈内に投与する。
上記人工酸素運搬体の径は、最大で200nm以下であることが好ましい。
上記人工酸素運搬体は、ヘモグロビンのリポソーム封入体が好ましい。
本発明では、高酸素親和性の人工酸素運搬体も好ましく使用できる。
本発明において、上記創傷は、手術創および/または外傷である。
上記創傷は、特に手術創である。
本発明に係る創傷治癒促進剤は、術前に少なくとも1回投与することが好ましい。
本発明の好ましい態様では、1回あたりの投与量が、体重に対して0.2〜0.04%となる量で投与する。
上記のような本発明によれば、創傷の治癒を促進し、創傷を早期に治癒させることができる。相当する効果および作用機序を持つ治療法が従来にはなかったのに対し、創傷治癒を促進する直接的で有効な治療法(従来の輸血や栄養補給などの創傷治癒の間接的治療法とは異なる)が提供される。消化管や気道の縫合不全や外傷の感染など、重大・致命的な合併症を抑制することが見込まれる。また外科手術において予め投与することで、創傷治癒効果を増強することができる。上記のように手術創傷は、その手術がもたらす利益と比較されるため、創傷治癒が促進されるということは、とりもなおさず損傷と利益のバランスを改善し、手術の安全性・有効性を増加させ、手術適応を拡大することに繋がる。
外傷の場合は、創傷の治癒を促進することにより、外傷による致死率を抑制し、回復を促進する最も重要な治療法となる。
本発明に係る創傷治癒促進剤の有効成分は、赤血球よりも小径の人工酸素運搬体である。特に、人工酸素運搬体の径は、毛細血管を閉塞させずに通過できる大きさが望ましく、具体的に粒子径(外径)が最大300nm以下であるのが好ましい。より好ましくは最大粒子径が200nm以下であり、平均粒径もほぼ200nm程度であることが好ましい。なお血管内膜には生理的条件下では100nm程度の窓があるとされることから、この窓から漏れないように100nmよりも大きいことが望ましい。
また、本発明で使用する人工酸素運搬体は、特に制限されるものではないが、高酸素親和性のものも好適な態様として挙げることができる。通常の輸血における人工酸素運搬体は、酸素運搬効率の観点から末梢組織での酸素放出性が求められ、このため前述のP50値は、赤血球内のヘモグロビンのP50値26mmHgよりも大きい30mmHgから40mmHg程度のP50値が望まれるのに対し、本発明で使用する人工酸素運搬体は、酸素との親和性の強いものでもよい。具体的には、P50値が20mmHg以下、さらに15mmHg以下程度の低いものでもよく、さらにはP50値が10mmHg以下の高酸素親和性であってもよい。たとえば人工酸素運搬体が、赤血球から取り出した精製ヘモグロビンを含むリポソームである場合には、イノシットヘキサリン酸などのアロステリック因子が添加されてないもののP50値は、通常9mmHg程度である(たとえば特許文献5の図1参照)。このようにP50値が低く、高酸素親和性のヘモグロビン含有リポソームも好ましく使用することができる。本発明で使用される部位では、血行の断絶により酸素が供給されないため、細胞あるいは組織は極端な低酸素状態となっており、そこに投与される人工酸素運搬体は、いかに酸素親和性が強くても酸素を放出することができるためである。
人工酸素運搬体は、人体に投与しうる酸素運搬能を有するものであれば特にその構造、材料を制限されず、人工酸素運搬体となりうるものを広く本発明において用いることができるが、たとえば精製ヘモグロビンの架橋など化学修飾物、あるいは精製ヘモグロビンをリポソームなどの脂質小胞体に内包したものなどが挙げられる。人工酸素運搬体として、特にヘモグロビン含有リポソームを好ましく例示することができる。
ヘモグロビン含有リポソームは、上記粒径をもつものであれば、従来数多く提案されている公知技術によるものを特に限定することなく使用することができる。リポソームに内封するヘモグロビン溶液は、赤血球を溶血し、膜成分を除去してストローマフリーヘモグロビンとした精製ヘモグロビン溶液を常法に従って得ることができる。精製ヘモグロビン溶液におけるヘモグロビンの濃度は、特に限定されないが、通常30〜60g/dL程度である。
このような精製ヘモグロビン溶液を含むヘモグロビン含有リポソームにおいて、たとえばP50値を調整するために、精製ヘモグロビン溶液のpHを、水酸化ナトリウム水溶液などで7.0〜9.0の範囲に調整することもできる。ヘモグロビン含有リポソームは、アロステリック因子として公知の化合物を含んでいてもよい。
またリポソームを形成する膜形成成分は、特に限定されず、その安全性および生体内において安定な人工酸素運搬体を提供するという観点から、天然または合成のリン脂質、他の脂質、それらの誘導体、安定化剤、酸化防止剤、荷電物質等が好適に用いられる。リン脂質およびその誘導体としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、およびこれらの不飽和結合を一部または完全水素添加した水素添加リン脂質などが挙げられる。リポソームの膜成分としては水素添加リン脂質が好ましい。水素添加リン脂質は、部分水素添加物であってもよい。たとば水素添加率50%以上の卵黄または大豆由来の水素添加リン脂質が好ましい。
安定化剤は、例えば、膜流動性を低下させるコレステロール、コレスタノール等のステロール;グリセロール、シュクロース等の糖類が挙げられる。酸化防止剤は、例えば、トコフェロール同族体、即ち、ビタミンEが挙げられる。トコフェロールには、α、β、γおよびδの4個の異性体が存在するが、本発明にはいずれも用いることができる。荷電物質は、例えば、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ジセチルホスフェート、脂肪酸が挙げられる。
また、上記膜成分の脂質が、例えば、親水性高分子化合物で修飾されている態様も好適である。修飾に用いられる親水性高分子化合物は、人工酸素運搬体の構造安定を損なうものでなければ特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、プルラン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、合成ポリアミノ酸、アミロース、アミロペクチン、キトサン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、カラギーナン、およびこれらの誘導体、さらにグルクロン酸、シアル酸等の水溶性多糖類が挙げられる。中でも、PEGおよびその誘導体が好ましい。PEG誘導体は、特に限定されないが、PEG鎖とジアシルグリセロールを1分子内に有する化合物であるのが好ましい。
具体的に、PEG結合リン脂質は、リン脂質の親水部(極性頭部)に、PEGを結合させた構造の分子であり、一分子中に1または2以上のPEG鎖を含有する。本発明では、リポソームが血液中においてタンパク等と結合し凝集したり、細網内皮系への取り込みにより血流中から早期に排除されたりするのは好ましくないため、これを避けるために、平均重合度で5〜1000モル、好ましくは40〜200モルの鎖長のPEGが結合したリン脂質が好ましい。PEGの鎖長が平均重合度で5モル以上であれば、人工酸素運搬体が血液中での擬集を避けることができ、一方平均重合度で1000モル以下であれば、PEG結合リン脂質の水溶性化を抑制でき、PEGをリポソーム膜に固定することができる。
修飾されたリン脂質の配合量は、その分子量あるいは添加方法などにもよるが、全膜形成成分に対して、0.2〜5モル%であるのが好ましい。
本発明では、リポソームの外表面に親水性高分子化合物を配置した形態が好ましい。中でも、リポソームの外表面をPEG等により修飾した形態が好ましい。リポソーム表面をPEG等により修飾するには、様々な手法が挙げられ特に限定されないが、PEG等をリン脂質、長鎖脂肪族アルコール、ステロール、ポリオキシプロピレンアルキル、グリセリン脂肪酸エステル等の疎水性化合物と結合させて、その疎水性化合物の部分をリポソーム表面に挿入する方法が好ましい。
本発明で用いる人工酸素運搬体は、ヘモグロビン含有リポソームである場合には常法によって容易に得ることができ、公知の方法から適宜の手段を選択して、所望の粒径および必要に応じて適切な酸素親和性(P50値)となるように調整すればよい。その一例として、たとえば特開2001−348341号公報の段落0038および実施例などの記載を参照することができ、そこにある記載を引用することにより本明細書に記載されているものとすることができる。
本明細書において「創傷」とは、手術あるいは外部からの行為により本来の血行路が破壊された部位であり、具体的に、切開創、縫合創などの手術創、切傷、裂傷、打撲傷、擦過傷、火傷などの外傷が挙げられる。
生体・臓器に対する損傷の類似点:外的創傷(手術・外傷)により臓器・組織に加わる損傷は、
1)外的原因による微小循環の広汎な断絶がある。
2)外的原因により周辺の側副血行路も広汎に断絶されている。
3)外的原因により創傷部位の出血がある。
4)炎症、異物暴露、感染、浮腫などの結果、組織圧の上昇による更なる微小循環障害がある。
5)外的な縫合操作による物理的緊迫に伴う更なる微小循環障害がある。
6)異物(非自己異物・病原体)への暴露があり、炎症や感染が成立しやすい。
などの点で類似している。
人工酸素運搬体は、手術創および外傷の治療の観点から見れば、
1)手術創と外傷では生体・臓器に対する損傷(生体環境)や病態が類似しており、
2)内因的な局所循環障害(虚血・梗塞)とは全く異なった病態および生体環境を持ち、
3)相当する効果および作用機序を持つ従来の治療法がない全く新たな治療法である、
4)人工酸素運搬体の投与により治癒過程が促進される可能性が高い、などの点から、従来では対策がない状況に適用できる全く新たな治療法として医学的有用性が期待でき、臨床応用された場合の社会的および経済的影響が多大であると見込まれる。
創傷と、臓器梗塞・組織虚血における障害との相違点:虚血・梗塞は創傷と比較して、
1)内的原因による微小循環の局所的な障害であり、
2)周辺の側副血行路は完全に保存されており、
3)一次的出血はない(血管の二次的病変による二次的出血=出血性梗塞がありうる)
4)内的原因に伴う炎症などの結果として組織圧の上昇による更なる微小循環障害、
5)縫合操作などによる吻合部の物理的緊迫がない、
6)異物(非自己異物病原体)への暴露がなく一次的感染はない
などが違っていて、異なった病態を形成する。
人工酸素運搬体を用いた手術創(切開創、縫合創など)および外傷(切傷、裂創、打撲症、擦過傷、火傷など)の創傷治癒の促進は、以下のような特徴が挙げられる。
1)人工酸素運搬体を用いた手術創および外傷治癒の促進
2)人工酸素運搬体による創傷部位およびその周辺の微小循環の維持と改善
3)人工酸素運搬体による創傷部位およびその周辺の微小循環に基づいた酸素供給の増加
4)酸素親和性を変化させた人工酸素運搬体による創傷部位への酸素供給効率化・酸素供給量増加
5)創傷部位およびその周辺の微小循環の改善に基づく、二次的炎症の抑制と感染の制御
本発明において、人工酸素運搬体による創傷治癒促進の臨床的な適用事例としては、以下が挙げられる。
1)手術創の治癒促進:食道、腸管(消化管)、気管、気管支(気道)、尿管、膀胱(尿路)、皮膚など、
元来、血流分布が不十分な上に、手術操作・外傷によって組織血流が障害されているため、いずれも手術創・縫合部・吻合部の縫合不全またはし開が発生しやすく、重大で往々にして致命的な合併症となりえる。
従来はこうした創傷治癒促進への対策は限られていて間接的であったが、人工酸素運搬体による酸素供給は、直接的な治療法として治癒促進のみならず感染防止も見込まれ臨床的有用性が極めて高い。外科手術の際には、予め投与することで、手術創の治癒促進効果を増強することも期待できる。
2)外傷の治癒促進:切傷、裂傷、打撲傷、擦過傷、火傷など
外傷の範囲や程度にかかわらず、治癒促進は外傷治療の第一義的な最重要課題である。従来はこうした外傷治癒促進への対策は限られていて間接的であったが、人工酸素運搬体による酸素供給は、直接的な治療法として治癒促進のみならず感染防止も見込まれ、臨床的有用性が極めて高い。
本発明の創傷治癒促進剤は、通常、微小なヘモグロビン含有リポソーム粒子を含む懸濁液などの液状物であり、静注により投与することができる。特に手術創の治癒促進に用いられる場合には、少なくとも術前に投与することが好ましい。この点において、輸血と大きく相違する。また本発明の創傷治癒促進剤は、通常の輸血量に対し極少量で有効である。たとえば輸血の場合には、通常最少でも400mLから800mLの血液に相当するヘモグロビン量(56gから112g)が必要であると考えられるが、本発明の創傷治癒促進剤がヘモグロビン含有リポソームである場合には、ヘモグロビン量で1g前後の量でも有効であることが実施例として後述するラットの実験により示唆されている。すなわち後述するラットの実験においては、ラット体重に対し創傷治癒促進剤量で1%から下限0.04%まで創傷治癒の促進効果が示されている。具体的にこれを体重50kgのヒトに対するLEH液投与量として換算すると体重の1%は500mLに相当するが、0.2%の場合には100mL、0.04%投与の場合にはわずかに20mLの投与量に相当する。これをヘモグロビン量として換算すると、体重1%に相当する500mLの血液は、ヘモグロビン濃度を14g/dLとすると70gのヘモグロビン量に相当する。一方、体重0.04%に相当する20mLの創傷治癒促進剤は原液の含有ヘモグロビン濃度が6g/dLであるので、わずか1.2gのヘモグロビン量で創傷治癒促進効果を示すことになる。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、上記で想定した創傷治癒における人工酸素運搬体の作用を、臨床上の実際の問題点に即して腸管縫合モデルにおいて実験的に検討した。腸管の縫合部は解剖学的な形態上、血行障害を招来しやすく、血行改善を図る手段がないため、縫合不全をきたした場合の合併症・損害が重篤であるため、創傷治癒の実験モデルとして適当である。このような創傷治癒が最も重大な予後決定因子となる腸管縫合モデルとしての胃壁の切開・再縫合実験モデルにおいて、循環血液中の人工酸素運搬体の存在の有効性を比較検討した。
(実施例1)
<概要>
ラット胃壁の切開・再縫合実験モデルにおいて、1)人工酸素運搬体、2)空リポソーム、3)ラット同種血の各投与群に対して、切開直前に体重の1%量をそれぞれ静脈内投与したのち、胃壁を切開・再縫合して、2日後および4日後に縫合部の治癒状態を破裂圧で比較した。また、組織学的な検索で創傷治癒の程度を比較検討した。
(1)前処置
ラット胃壁の切開・再縫合モデルにおいて、切開前に、下記1)〜3)を体重の1%の量を静脈内投与した(各群10匹)。
1)人工酸素運搬体:LEH(テルモ株式会社より提供された高酸素親和性ヘモグロビン含有リポソームLot.No.NRC−03−E0182P、ヘモグロビン濃度6g/dL、リポソーム粒径200nm)
2)空リポソー厶:EL(ヘモグロビンを含まない代わりに生理的食塩水を含む同径の空リポソーム)
3)同種血液:TX
(2)切開・再縫合
前処置したSDラットを開腹して胃壁を露出し、大弯側を約1.0cm切開した後、直ちに4−0モノフィラメント糸を用いて4針単結節縫合した。
この後、閉腹して2日(N=30)および4日後(N=30)に再び開腹して胃を摘出して縫合部の破裂圧を測定した。
また、縫合部をヘマトキシリン−エオジン染色し、縫合部の治癒機転を組織学的に検討した。
縫合後2日目には、人工酸素運搬体を投与したラットのみにおいて破裂圧が他の2群のラットより有意に高く、創傷治癒が促進していることが推測された。縫合後4日目には3群すべてにおいて、同等の破裂圧に到達した。結果を、図1および表1に示す。
Figure 2006188440
組織像においては、人工酸素運搬体を投与したラットのみにおいて縫合部・周辺の炎症像が抑制されており、肉芽組織が発達していた。また、人工酸素運搬体を投与したラットにおいて、組織学的に貪食細胞が空リポソーム群や同種輸血群よりも多数見られたが、これはヒトヘモグロビン(異種蛋白)の貪食に集結したものと考えられ、創傷治癒とは関連ないと考えられた。
人工酸素運搬体の前投与は腸管縫合部の治癒を促進し、腸管縫合部の破裂圧を有意に早期に上昇させた。これは、空リポソームを投与したラットにおいては見られないことから、人工酸素運搬体の酸素運搬能に由来するものと考えられた。また、同種輸血を行ったラットでも創傷治癒促進が見られないことから、単にヘモグロビン投与の影響でもない。今回、術後4日目にはいずれの群も同等の破裂圧となったが、人工酸素運搬体の投与により創傷治癒に要する期間が2日間、すなわち約半分に短縮されたことは、創傷治癒促進による縫合不全の予防対策となることが見込まれた。人工酸素運搬体は腸管縫合部の治癒を有意に促進し、腸管縫合部の縫合不全を防止する働きが実証された。
実験的に用いたモデルでも明らかなように、腸管縫合部が縫合不全でリークすることは最も重篤な合併症であり、手術の成否どころか、患者の生死を左右することになりかねない。人工酸素運搬体による創傷治癒の促進は、従来不可能であったことを可能にし、手術の安全性を大幅に改善することになる。また、手術で得られる利益と不利益(損傷)のバランスを改善するため、手術適応の安全な拡大にもつながる。手術による損傷が手術で得られる利益を大幅に減却する場合が多いが、このマイナスの部分を抑制することで、手術による利益をより大きく広く享受できるようになると考えられる。
(実施例2)
ヘモグロビン含有リポソーム:LEH(テルモ株式会社より提供された高酸素親和性ヘモグロビン含有リポソームLot.No.NRC−03−E0182P、ヘモグロビン濃度6g/dL、リポソーム粒径200nm))を生食で5倍ずつ希釈し、5倍希釈LEH、25倍希釈LEH、125倍希釈LEHを調製した。
体重約300gのラットに、体重の1%に相当する液量(約3mL)のLEHまたは希釈LEHを、尻尾から静脈内投与した後、開腹して胃壁を約12mm程度切開し、吸収糸4針の単結節縫合で閉鎖した。
この後、閉腹して2日後に再び開腹して胃を摘出して、胃壁の内圧を上げていき、縫合部の破裂圧を測定した。結果を表2および図2に示す。
Figure 2006188440
25倍希釈までは生食投与のみの対照群に有意差をもって高値であるが、125倍ではその効果は低下傾向にあり統計上有意とはならなかった。すなわち、「25倍希釈(0.04%=50kgの人に対してLEHを20mLに相当)までは生食に比べて創傷治癒促進効果あり」といえる。
本発明の創傷治癒促進剤は、手術創・外傷に対して、直接的に治癒促進に働くことが期待され、かつその効果が極めて重大・致命的な合併症の抑制に繋がることが見込まれることから、創傷に適用できるまったく新しい独立した直接的な治療剤として医学的有用性が期待でき、臨床応用された場合の社会的および経済的影響が多大であると見込まれる。
本発明の創傷治癒促進剤を、体重の1%量を術前に投与した場合の創傷治癒促進効果(破裂圧)をグラフで示す図である。 本発明の創傷治癒促進剤を希釈して術前に投与した場合の創傷治癒効果(破裂圧)をグラフで示す図である。

Claims (9)

  1. 赤血球よりも小径の人工酸素運搬体を有効成分とする創傷治癒促進剤。
  2. 前記人工酸素運搬体を血液中に存在させ、本来の血行路が破壊された創傷部位に酸素を運搬させることにより創傷治癒を促進する請求項1に記載の創傷治癒促進剤。
  3. 前記人工酸素運搬体を、本来の血行路が破壊された創傷部位に残存する断絶されていない毛細血管を介して還流させる請求項1または2に記載の創傷治癒促進剤。
  4. 静脈内に投与する請求項1ないし3のいずれかに記載の創傷治癒促進剤。
  5. 前記人工酸素運搬体の径が、最大で200nm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の創傷治癒促進剤。
  6. 前記人工酸素運搬体がヘモグロビン含有リポソームである請求項1ないし5いずれかに記載の創傷治癒促進剤。
  7. 前記創傷が手術創および/または外傷である請求項1ないし6いずれかに記載の創傷治癒促進剤。
  8. 前記創傷が手術創である請求項7に記載の創傷治癒促進剤。
  9. 少なくとも術前に1回投与する請求項8に記載の創傷治癒促進剤。
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