JP2006187678A - 汚泥削減方法および汚泥削減システム - Google Patents

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夕佳 岡田
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宏 大西
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Abstract

【課題】 簡易かつ経済的に汚泥の減量を図ることが可能であって、発生した汚泥の量を低減することができる汚泥削減方法および汚泥削減システムを提供する。
【解決手段】 (a)汚泥を、少なくとも次亜ハロゲン酸を含む酸化水と接触させ、接触させた後の前記汚泥を含む酸化水のpHが8以下である工程、(b)前記汚泥と酸化水とを、圧力を保持した状態で、所定の温度で加熱する工程、および(c)前記加熱後の汚泥を生物処理する工程を包含する汚泥削減方法と、この方法を実施するための、圧力を保持することができる、汚泥を収容するための収容部、酸化性物質を含む酸化水を前記収容部に供給するための酸化水供給手段、前記収容部内の汚泥と酸化性物質を含む酸化水とを加熱するための加熱手段、前記収容部の内容物を生物処理するための生物処理槽を備える汚泥削減システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、汚泥を削減する方法およびそのシステムに関し、具体的には化学処理と生物処理とを併用して汚泥を削減する方法およびそのシステムに関する。
排水中の有機成分の除去は、活性汚泥方式に代表される生物的処理方法によって行われているが、このような活性汚泥処理施設などからは、余剰汚泥が大量に発生しており、それらの発生量は施設の拡充に伴って増大している。従来、このような余剰汚泥は、脱水助剤(有機高分子ポリマー)を添加するなどして脱水した後、焼却処分あるいは埋立て処分されている。しかし、余剰汚泥の量が廃棄物の半分近くにまでなってきた現状においては、脱水機や焼却炉を大規模化せざるを得ず、この場合、その設備や維持に要する費用は多大なものとなる。また、埋立て処分場の逼迫も問題となっている。この結果、汚泥処分費用が事業者の大きな負担となっており、余剰汚泥の削減技術が待望されている。
汚泥の減量化の方法としては、従来から好気性または嫌気性の微生物を利用する生物的な処理方法、ならびに化学的または物理的な処理方法が知られている。たとえば、前者の処理方法の1つである嫌気性消化による余剰汚泥の減量化は、余剰汚泥を減量化するために用いたエネルギーがメタンガスとして回収されるといった利点がある。しかし、余剰汚泥の分解に多くの日数をかけたとしても、その余剰汚泥の分解率は60%程度と低い。また、その処理施設に広い敷地面積が必要であり、未分解の余剰汚泥及びその他の固形物は、最終的には脱水し、焼却あるいは埋立て処分にしなければならない。
さらに、脱水されたとしても、汚泥は相当の水分を含むため、そのような汚泥を焼却すると、焼却炉内の燃焼温度が低下してしまう。この温度低下は、ダイオキシン発生の一因ともなり、深刻な問題でもある。
一方で、化学的または物理的な処理方法、たとえば汚泥を化学的または物理的に処理し、その処理された汚泥を好気性消化により処理して、汚泥を減量する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、余剰汚泥を、分解槽において、超音波による破砕、ホモジナイザーによる摩砕、高圧と瞬間的な減圧膨張による破壊、オゾンガスによる酸化分解などにより可溶化した後、好気性消化する方法が提案されている。
図9に、特許文献1に用いられる処理装置を示す。図9の装置では、オゾンを用いて、余剰汚泥を酸化分解している。つまり、オゾンが、オゾン発生器101から2段設けたオゾン接触塔102に供給されるとともに、余剰汚泥が、ライン103からオゾン接触塔に注入される。オゾン接触塔102において、余剰汚泥とオゾンとを順次接触させて、汚泥に含まれる微生物を酸化分解する。得られた有機溶液は、スクリーン104を通して、好気性消化槽105に送られ、そこで生物処理される。生物処理された後の処理液に含まれる固形分は、沈殿池106において分離される。
特公昭57−19719号公報(8頁、図2)
汚泥を構成する微生物が栄養源を摂取するためには、栄養源となる基質が微生物細胞膜を通過する程度に溶解している必要がある。しかしながら、従来の方法では、余剰汚泥を活性汚泥に高効率に吸収分解させる程度まで十分に汚泥の可溶化と低分子化が行われていないため、汚泥の減量は、非常に不十分となる。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、簡易かつ経済的に汚泥の減量を図ることが可能であって、発生した汚泥の量を低減することができる汚泥削減方法および汚泥削減システムを提供することを目的とする。
本発明は、
(a)汚泥に、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを少なくとも含む酸化水を加え、前記酸化水を含む汚泥のpHを8以下にする工程、
(b)前記酸化水を含む汚泥を、圧力を保持できる空間内で、所定の温度で加熱する工程、ならびに
(c)前記加熱後の酸化水を含む汚泥を生物処理する工程、
を包含する汚泥削減方法に関する。本発明の汚泥削減方法により、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンの酸化力と加熱による加水分解により汚泥が十分に低分子化され、この低分子化された汚泥が、微生物により栄養源として殆ど吸収されるため、汚泥を大幅に削減ことができる。
上記汚泥削減方法において、上記酸化水が、塩素およびハロゲン塩の少なくとも一方を含む水を電解して得られた電解水であることが好ましい。これにより、電解水に含まれる次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンの酸化力と加熱による加水分解により、汚泥が十分に低分子化され、この低分子化された汚泥が微生物により栄養源として殆ど吸収されるために、汚泥が大幅に削減できる。
更に分解しやすい次亜ハロゲン酸等を、必要に応じて電解により生成することができるために、安定した酸化力を発揮することができる。
上記汚泥削減方法において、上記酸化水を含む汚泥のpHを2から5の範囲内に調整することが好ましい。
上記酸化水を含む汚泥のpHを上記範囲に調整することにより、酸化水に酸型(電荷的に中性)の次亜ハロゲン酸が多く存在することになり、その酸化力によって、汚泥を十分に低分子化することが可能となる。
上記汚泥削減方法において、上記所定の温度が、100℃から150℃の範囲内であることが好ましい。これにより、大きなエネルギーをかけず、低エネルギーで、汚泥の低分子化を実現することができる。
上記汚泥削減方法において、上記工程(b)の後、工程(c)の前に、上記酸化水を含む汚泥のpHを、5から8の範囲内に調整することが好ましい。
これにより、加熱後に汚泥の分解により、酸化水の酸性が強くなった場合でも、そのpHを調整した後に生物処理槽に移送される。このため、生物処理を行う微生物が酸により死滅することもなく、低分子化された汚泥を安定して栄養源として殆ど吸収でき、汚泥を安定した削減することが可能となる。
また、本発明は、圧力を保持できる、汚泥を収容するための収容部、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを少なくとも含む酸化水を前記収容部に供給するための酸化水供給手段、前記収容部内の前記酸化水を含む汚泥を加熱するための加熱手段、および前記加熱後の酸化水を含む汚泥を生物処理するための生物処理槽を備える汚泥削減システムに関する。このような構成を有するシステムを用いることにより、例えば、生物処理槽のような汚泥が発生した部分において、過剰に発生した汚泥を直接処理するのではなく、上記のような収容部を別途設け、その収容部で、汚泥を加熱漬、低分子化処理することが可能となる。これにより、生物処理槽で汚水浄化に寄与する活性汚泥にまで、加熱処理による影響(具体的には、死滅)が及ばないようにすることが可能となる。
ここで、上記「圧力を保持できる、汚泥を収容するための収容部」としては、酸化剤と汚泥とを加熱したときに酸化水の蒸気等が外部に漏れないように、密閉することができる容器等が挙げられる。さらには、汚泥を酸化水で連続的に処理する場合、例えば、出口が細くなった、所定の長さのパイプ等も、上記収容部として用いることができる。この場合、出口が細くなっているために、パイプの中を流れる汚泥と酸化水に圧力がかかった状態になり、酸化水が蒸発して、その酸化水の蒸気がパイプの外部に漏れたりすること等を防止することができる。
上記汚泥削減システムにおいて、上記酸化水生成手段が、塩素およびハロゲン塩の少なくとも一方を含む水を電解して、少なくとも次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを含む電解水を生成する電解水生成手段、ならびに前記電解水生成手段に水を供給する水供給手段からなることが好ましい。この場合、上記電解水が、酸化水として用いられる。
上記汚泥削減システムは、上記酸化水のpHを8以下に調整するpH調整手段をさらに備えることが好ましい。
これにより、上記酸化水に含まれる次亜ハロゲン酸の多くを酸型とすることができ、酸化水の酸化力を向上させることができる。
前記収容部の内容物の温度を検知する温度測定手段をさらに備える請求項6に記載の汚泥削減システム。
これにより、加熱温度を所定の範囲に調節することができるため、余分なエネルギーを使うことなく、汚泥を低分子化することが可能となる。
上記汚泥削除システムは、上記収容部の内容物のpHを5から8の範囲内に調整する中和手段をさらに備えることが好ましい。
これにより、汚泥および酸化水の加熱後に、汚泥を含む酸化水の酸性が強くなった場合でも、そのpHを調整したのちに、加熱後の汚泥を含む酸化水が生物処理槽に移送される。このため、生物処理槽の微生物が、酸により死滅することなく、その汚泥を栄養源として殆ど吸収することが可能となる。
なお、本発明において、「汚泥」とは、有機性排水を生物処理する過程で発生した微生物であって、排水処理の目的上必要とされる微生物量(生物処理に必要とされる微生物量)を上まわる量の微生物を含むものを意味する。つまり、汚泥とは、都市下水や種々の産業排水に含まれる有機物に対する資化能や酸化能の高い種々の好気性細菌、酸素のない状態で含有有機物を分解する嫌気性細菌、嫌気または好気のどちらの状態でも有機物を分解できる通性嫌気性細菌などの微生物、ならびにこの微生物を増殖させて得られる泥状の物質や有機性の懸濁物からなるものであり、微生物を含むものであれば、無機物や多少の未処理状態の有機物を含むものであってもよい。
「生物処理」とは、活性汚泥法や、膜分離活性汚泥法、生物膜法などの好気性処理、またはメタン発酵法などの嫌気性処理を用いて、生物によって有機物を処理する方法を意味する。
「微生物」とは、活性汚泥法で用いられる活性汚泥菌をはじめ、膜分離活性汚泥法で用いられる活性汚泥菌、生物膜法で用いられる生物膜構成菌、メタン発酵法で用いられるメタン資質菌を含む広い意味での微生物を意味する。
「汚泥を微生物分解可能な状態に液化する」とは、汚泥を微生物細胞膜を通過する程度に可溶化および低分子化し、その可溶化および低分子化された汚泥をBOD源として、微生物が吸収分解できる状態にすることを意味する。
本発明の汚泥削減方法ならびに汚泥削減システムにおいては、汚泥は、少なくとも次亜ハロゲン酸を含む酸化水と共に加熱される。このとき、汚泥を含む酸化水のpHは8以下となっている。このように、酸化水と共に加熱することにより、汚泥を構成する微生物細胞膜を通過する程度まで十分に可溶化および低分子化され、微生物分解可能な状態に液化される。このように、微生物分解可能な状態に液化された汚泥は、生物処理により、ガスに完全分解されることが可能となる。よって、余剰汚泥を発生させることなく、経済的に汚泥の削減を図ることができる。
さらに、上記のように、余剰汚泥の排出を低減することができるため、余剰汚泥を別途脱水したり、焼却したりする頻度を低下させることが可能となる。
また、本発明の汚泥削減方法および汚泥削減システムによれば、汚泥の液化率は60%を超えるため、微生物によって効率的に吸収分解される。特に加熱時の温度を100℃から150℃とすることで液化率が70%を十分に超え、特に吸収分解が良好となる。
ここで、液化率は、加熱の前後に、酸化水を含む汚泥のSS(浮遊物質)重量を測定して、(1−(加熱後のSS重量)/(加熱前のSS重量))×100により求めている。なお、このSS重量は、JIS K0102工業排水試験方法の浮遊物質の測定方法に準じて測定することができる。すなわち、所定量の、酸化剤を含む汚泥を、開口径1μmのガラス繊維濾紙を用い、濾過する。次いで、その濾紙を水洗し、110℃で乾燥し、常温に戻す。この濾紙の濾過前と濾過後との重量の差を測定することにより、そのSS重量を求めることができる。
つまり、液化率とは、有機性汚泥が低分子化して液状に変化したために減少した割合をいい、液化率が高いほど生物分解性は向上し、分解される汚泥の量が増加する。
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1
図1に、本発明の一実施形態にかかる汚泥削減システムを備える水処理システム10の概略図を示す。なお、本実施形態において、汚泥削減システムは、生物処理槽11、収容部13、酸化水供給手段14、ならびに加熱手段15からなる。
図1の水処理システム10は、汚水を生物処理により分解浄化する生物処理槽11、生物処理槽11から排出された処理水を、上澄みと余剰汚泥とに分離する沈殿槽12、余剰汚泥を収容するための収容部13、ならびに次亜塩素酸などの次亜ハロゲン酸を含み、pHが調節された酸化水を収容部13に供給する酸化水供給手段14からなる。収容部13は、圧力を保持することができ、また、収容部13には、収容部13内に収容された余剰汚泥および酸化水を加熱するための加熱手段15が設けられている。
次に、本水処理システムの作動機構を以下に示す。
まず、汚水が生物処理槽11で処理され、その処理水が、生物処理槽11から排出される。排出された処理水は、沈殿槽12で、上澄みと余剰汚泥に分離される。上澄みは、外部に放流される。
沈殿槽12で分離された余剰汚泥の少なくとも一部が、余剰汚泥移送手段16により、収容部13に移送される。移送された余剰汚泥を収容した収容部13に、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを少なくとも含む酸化水を、酸化水供給手段により供給し、汚泥に酸化水を加える(工程(a))。ここで、酸化水を含む汚泥のpH(つまり、汚泥と混合されている酸化水のpH)が8より大きい場合は、そのpHを8以下にする。
次に、収容部13内の汚泥および酸化水を、加熱手段15により、所定の温度で加熱する(工程(b))。加熱手段15を用いて加熱することにより、汚泥に含まれる有機物が加水分解されるとともに、酸化水に含まれていた次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンにより酸化され、液化される。これにより、収容部13中の汚泥が液化(低分子化)され、微生物による分解が容易な状態になる。
汚泥を含む酸化水に含まれる次亜ハロゲン酸(または次亜ハロゲン酸イオン)の濃度は、500ppm以上であることが好ましい。次亜ハロゲン酸(または次亜ハロゲン酸イオン)の濃度が500ppm未満になると、汚泥を液化する効果を十分発揮するために添加する酸化水の体積が膨大となり好ましくない。
また、次亜ハロゲン酸(または次亜ハロゲン酸イオン)の濃度は、汚泥の濃度の4倍以下であることが好ましい。次亜ハロゲン酸(または次亜ハロゲン酸イオン)の濃度が汚泥濃度の4倍より大きくなると、過剰の次亜ハロゲン酸による副反応により、タール状の副生物が生成して処理が困難となる場合がある。さらには、システムを構成する材料の劣化を誘導する場合もある。
なお、酸化水が次亜ハロゲン酸と次亜ハロゲン酸イオンの両方を含む場合には、酸化水において、次亜ハロゲン酸と次亜ハロゲン酸イオンとの合計が500ppm以上であることが好ましく、次亜ハロゲン酸と次亜ハロゲン酸イオンとの合計が、汚泥濃度の4倍以下であることが好ましい。
上記次亜ハロゲン酸としては、次亜フッ素酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、および次亜ヨウ素酸が挙げられ、次亜ハロゲン酸イオンとしては、次亜フッ素酸イオン、次亜塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、および次亜ヨウ素酸イオンが挙げられる。
加熱後の酸化水を含む汚泥(これは、液化された汚泥と酸化水からなる)は、移送手段17により、生物処理槽11に移送され、そこで生物処理される(工程(c))。つまり、液化された汚泥が、微生物により吸収・分解される。この結果、余剰汚泥の削減が実現される。
なお、本実施形態において、加熱後の収容部の内容物(加熱後の酸化水を含む汚泥)は、生物処理槽11へ直接返送される構成をとっている。さらには、流量調整槽を備えておき、加熱後の内容物を生物処理槽11に移送する前に流量調整槽へ移送して、その内容物を、流量調整槽から生物処理槽11へ順次移送する構成としてもよい。
なお、必要に応じて、余剰汚泥の一部が、返送汚泥として、返送汚泥移送手段18により、沈殿槽12から生物処理槽11へ返送されてもよい。
上記工程(b)における、加熱手段15による、収容部13内の汚泥および酸化水の加熱温度は、汚泥を、微生物が分解できるように、十分に可溶化および低分子化することができる温度であることが好ましい。その加熱温度は、100℃〜150℃であることが好ましい。加熱温度がこの範囲にあると、従来の汚泥削減システムと比較してよりエネルギー消費が少ないにもかかわらず、汚泥の液化率は70%を超えるからである。つまり、液化された汚泥が、生物処理槽11中の微生物によって効率的に吸収・分解されて、余剰汚泥を十分に減量することが可能となる。
加熱温度が150℃を超えると、汚泥の液化率は若干改善されるが、液化率が向上する割合よりも消費エネルギーが増加する割合が大きくなり、汚泥の液化率の改善効果が低くなる。150℃もの高温にするため、高温設備が必要となり、安全性からも好ましくない。更には、低分子化と共に重合も起こり始め、タールなどの高分子になり易くなり低分子化が大きく進まなくなると共に、保持手段内の内壁にタール状の付着物が増えてメンテナンス性が悪くなる。また、収容部13が耐食しやすくなり、収容部13の寿命が短くなる。よって、加熱温度は150℃以下であることが好ましい。
加熱温度が100℃より低くなると、汚泥の低分子化に必要な加水分解反応が不十分となり、汚泥の液化率が70%より低くなって、汚泥の削減効果が低下する。それとともに、分解されるべき汚泥に含まれる微生物の細胞膜を十分に分解できない場合が多くなり、逆に生物処理槽11内の汚泥量が安定せずに増加する場合がある。
以上のように、本発明によれば、少なくとも次亜塩素酸を含む酸化水と汚泥とを接触させ、これらを加熱することにより、汚泥を十分に液化することが可能となる。これにより、生物処理槽中の微生物が、この液化された汚泥を栄養源として殆ど吸収でき、結果として、処分されるべき汚泥を大幅に削減することが可能となる。
なお、収容部13としては、圧力を保持することができ、汚泥と酸化水とを加熱した状態で、酸や圧力上昇などに対して十分な耐久性を有する材料で構成されることが好ましい。特にpH2から5の範囲の条件で加熱された場合でも、十分な耐久性を有する材料で構成されることが好ましい。このような収容部を用いることにより、加熱した場合に収容部内の圧力が上昇し、酸化水が蒸発することを抑えることが可能となる。このため、収容部において、酸化水の大部分が液相のまま、存在することが可能となる。さらには、加熱により生じるガス(例えば、塩素等)が収容部の外部に逃げることがないため、酸化水に含まれる次亜ハロゲン酸等の濃度が減少することを抑えることもできる。
収容部の構成材料としては、加熱時の腐食または低分子化した汚泥による腐食をできるだけ回避することのできる素材を用いることが好ましい。特に、次亜ハロゲン酸の酸化力が高まるpH2から5の条件下での加熱に対する耐久性を有するように、例えば、少なくとも低分子化した汚泥が接触する内面は、SUS304やSUS316などのステンレス鋼、ハステロイやインコネルなどの耐熱性合金、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂等で被覆されることが望ましい。
収容部13の一例として、以下の実施の形態7に示されるような収容部が挙げられる。
酸化水供給手段は、少なくとも次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを含む酸化水を供給できるものであればよい。例えば、酸化水供給手段は、上記酸化水、それを収容するタンクなどから構成することができる。
加熱手段15としては、収容部内の汚泥および酸化水を加熱できる手段を、特に限定されることなく用いることができる。例えば、このような加熱手段としては、ジュール熱を用いた電気加熱手段、ガスや石油などの燃焼熱を用いた燃焼手段、ヒートポンプ、誘導加熱手段などが挙げられる。
電気加熱などにより加熱する接触加熱手段を加熱手段として用いる場合、このような加熱手段は、収容部の内壁に設置したり、投げ込みヒータのように配管をコイル状にして収容部内部の水に直接接触させて配置したりすることが好ましい。このような形態とすることにより、加熱効率を高めることが可能となる。
生物処理槽11としては、活性汚泥反応槽、浄化槽、メタン発酵槽などが考えられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
沈殿槽12としては、生物処理槽から排出された処理水から汚泥を分離できるものを用いることができる。本実施形態において、沈殿槽12は、汚泥の濃縮装置として機能する。これにより、できるだけ水分を除去した状態で、汚泥を収容部13に移送することが可能となる。なお、沈殿槽12の他に、汚泥を濃縮するための汚泥濃縮手段を設けてもよい。この汚泥濃縮手段としては、遠心濃縮機、液中膜式固液分離装置、スクリーンプレス、スクリュープレス、ベルトプレスなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
上記のように、汚泥の可溶化、低分子化には、加熱による加水分解だけでなく、次亜塩素酸に代表される次亜ハロゲン酸による汚泥の酸化の併用が効果的である。しかし、例えば、次亜塩素酸は、それを含む溶液のpHが高くなると、プロトンが解離し、HClOよりもClO-が増加して、その酸化力が低下する。したがって、少なくとも次亜ハロゲン酸を含む酸化水において、次亜ハロゲン酸が、イオンでなく、酸の状態(電荷的に中性の状態)で存在するように、酸化水のpHは8以下、特に2から5の範囲であることが好ましい。特に、酸化水のpHを6.5以下にすると、酸状態の次亜ハロゲン酸が9割以上となるため、酸化水のpHは6.5以下であることが好ましい。このような酸化水のpHの調整は、例えば、pH調整手段(図示せず)を用いて行うことができる。
なお、次亜ハロゲン酸イオンを含む酸化水を用いたとしても、汚泥の酸化は、可能である。
pH調整手段としては、酸化水に含まれる次亜塩素酸などの次亜ハロゲン酸の酸化力を有効にするために、収容部内の酸化水のpHを8以下に調整できるものを、特に限定することなく用いることができる。pHの調節は、例えば、pH調整剤を、汚泥と接触する前の酸化水に添加することにより行うことができる。あるいは、汚泥を含む酸化水にpH調整剤を添加して、そのpHを調節することもできる。
また、収容部内において、汚泥を含む酸化水にpH調整剤を添加して、そのpHを調整する場合、その酸化水のpHを実測しながら行うことが好ましい。または、収容部に添加される酸化水のpHとその量を予め決定しておくことで、収容部内の酸化水のpHを測定しなくとも、所定のpHのpH調整剤を所定量添加することにより、酸化水のpHを調整することも可能である。このとき、例えば、添加される酸化水のpH値と添加量を前もって確認して、その酸化水が所定のpHとなるように添加するpH調整剤の量を決定する。
なお、このようなpH調整手段は、以下の実施の形態2〜6の水処理システムが備えていてもよい。
pH調節剤としては、例えば、塩酸や硫酸などの鉱酸、有機酸などの酸からなるものが挙げられる。
なお、次亜ハロゲン酸等はハロゲンを脱離して分解しやすいので、長期に貯留していると、その酸化力が低下してくる。そこで、必要なときに塩素またはハロゲン塩を含んだ水を電解することにより、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを少なくとも含む電解水を生成することができる電解水生成手段を用いることができる。このような電解水生成手段を用いることにより、常に安定した酸化力を有する酸化水を供給することが可能となる。電解水生成手段については、以下の実施の形態2で説明する。
実施の形態2
図2に、本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システムを備える水処理システム20の概略図を示す。図2において、図1と同じ構成要素には、同じ符号を付し、その説明は省略する。
図2に示す水処理システムにおいて、汚泥削減システムは、生物処理槽11、収容部13、加熱手段15、少なくとも次亜ハロゲン酸を含む電解水を生成する電解水生成手段21、電解水生成手段21に水を供給する水供給装置22、ならびに外部からの汚水等の生物処理槽11への流量を調節する流量調整槽23からなる。なお、電解水生成手段21は、電解水を収容部13に供給する機能を有している。
図2の水処理システムの動作は、基本的に、上記実施の形態1と同様である。
本実施形態では、収容部13において、汚泥と、少なくとも次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを含む電解水とが接触される。この電解水は、電解水生成手段21により供給される。上記と同様に、汚泥と接触したのちの電解水のpHは8以下となっている。この電解水のpHの調整は、上記実施の形態1と同様に、pH調整手段を用いて行うことができる。
汚泥が上記電解水と共に収容部で加熱された後、収容部内の内容物が、移送手段24により、流量調整槽23に移送される。このような流量調整槽23を設けることにより、液化された汚泥を、一度に生物処理槽11に送るのではなく、その量を調節することができるため、その液化された汚泥を生物処理槽13で安定して処理することが可能となる。
なお、本実施形態においては、処理後の収容部内の内容物を流量調整槽23へ移送しているが、その内容物を生物処理槽11へ直接返送する構成としてもよい。
上記電解水生成手段21により生成される電解水は、少なくとも次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを含むものであれば、どのような方法を用いて生成してもよい。
電解水生成手段21は、塩素およびハロゲン塩の少なくとも一方を含んだ水を電気分解(以下、電解ともいう)して、少なくとも次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを含む電解水を生成できるものであればよい。例えば、電解水生成手段21としては、例えば、電解槽と、その電解槽に隔膜を介さずに配置された陽極と陰極とからなる電解装置が挙げられる。このような装置を用いて、電解水は、以下のようにして生成される。
まず、塩素およびハロゲン塩の少なくとも1種を含む水を、隔膜を介して、陽極および陰極を備える電解槽に入れ、この2つの電極間に直流電圧を印加する。陽極の近傍には、次亜ハロゲン酸を多く含む電解水が生成されるため、この電解水を、酸化水として用いることができる。
また、陰極近傍には、塩基性の電解水が生成されるため、陽極近傍で生成される電解水に、陰極近傍に生成される電解水を適宜混合したものを、酸化水として用いることもできる。
電解水を生成する場合、残留塩素を含む水道水を用いてもよいが、次亜ハロゲン酸の存在量を増加させるために、ハロゲン塩を含む水道水を電解することが好ましい。ハロゲン塩としては、塩化物、臭化物、フッ化物が用いられる。これらの中でも、イオンに解離しやすく、取り扱いも容易であるため、NaCl、KCl等をハロゲン塩として用いることが好ましい。
上記電解に用いられる電極としては、電気分解反応の用途で通常用いられる材料、例えば、その表面が、ルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、錫若しくはこれらの酸化物又はフェライトを有する材料からなるものが挙げられる。また、電極自体が、ルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、錫若しくはこれらの酸化物又はフェライト等から構成されていてもよい。あるいは、電極の基材の表面が、ルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、錫若しくはこれらの酸化物又はフェライト等で被覆されていてもよい。ルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、または錫は、金属単体であってもよいし、酸化物であってもよい。また、これらの金属の合金も好適に用いられる。合金としては、例えば、白金−イリジウム合金、ルテニウム−錫合金、ルテニウム−チタン合金などが挙げられる。上記のような金属等は、耐食性に優れ、また優れた不溶性を示すため、陽極として用いるのに好適である。
特に、塩素発生用の電極としては、更に不溶解性、電解水質の安全性、逆電圧洗浄時の耐久性が要求される。このような電極としては、パラジウム、ルテニウム、白金とイリジウムとの合金等を主成分とするものが好ましい。
なお、陰極には、特に厳しい不溶性が要求されないため、例えばステンレス、炭素鋼、チタン又はチタン合金、ハステロイ、インコネル等のニッケル合金からなる陰極を用いることができる。
電気分解は、例えば、電圧は5〜50V、電流は電極表面積あたり0.5〜600A/m2の条件で実施することが好ましい。電流密度が600A/m2より高い場合には、陽極の表面が剥離したり、陽極自体が溶出し易くなったりする。電流密度が0.5A/m2より小さい場合には、陽極の面積を大きくする必要があり、電解水生成手段の小型化が困難となる。
また、電解水生成手段21としては、電解槽と、電解槽に隔膜を介して配置された陽極と陰極からなる電解装置を用いることもできる。陽極と陰極との間を隔膜で仕切っているために、陽極水と陰極水とが混合することなく、それぞれを別個に取り出すことが可能となる。例えば、陽極水である強酸性電解水、またはアルカリ性である陰極水を陽極水に追加して、酸性電解水としたものを、酸化水として用いることができる。
隔膜には、セラミック、樹脂、ガラス繊維などを使用できる。例えば、隔膜としては、ポリエステル、ガラス繊維等の不織布に、0.2〜200μmの孔径の細孔を有する樹脂皮膜をつけて親水性としたものが挙げられる。
電解槽としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂からなるものを用いることができる。また、電解水を供給するための配管には硬質塩ビ管などからなるものを用いることができる。
電解水中の次亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸イオンおよびハロゲンに含まれる合計の有効ハロゲン濃度は、50〜2000ppmの範囲にあることが好ましい。有効ハロゲン濃度が50ppm未満では、その酸化力が不十分となる。有効ハロゲン濃度が2000ppmを超えると、その酸化力は十分となるが、収容部などの電解水と接触する部分の腐食が大きくなる。
また、本実施形態の水処理システムに、電解水のpHを調整するためのpH調整手段(図示せず)をさらに設け、このpH調整手段を用いて、電解水のpHを調整することが可能となる。この場合、汚泥の分解のために必要な次亜ハロゲン酸は電解水で生成し、pH調整はpH調整手段を用いて行うことができるので、電解水のpHを調整するために用いられるpH調整剤を、電気分解により生成する必要がなくなる。このため、消費エネルギーを低減させた水処理システムを構築することが可能となる。
なお、pH調整手段は、上記と同様に、一般的な酸水溶液またはアルカリ水溶液等からなるpH調整液と、そのpH調整剤を収容するタンク等から構成することができる。
実施の形態3
図3に、本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システム30を備える水処理システムの概略図を示す。なお、図3において、図2と同じ構成要素には、同じ番号を付している。
図3の水処理システムは、図2の水処理システムに、加熱後の収容部の内容物を中和するための中和手段31を追加したものである。中和手段31は、中和槽31aおよび中和剤供給手段31bからなる。
本実施形態の水処理システムの操作について説明する。本実施形態においても、その操作は、上記実施の形態2と基本的には、同じである。
本実施形態においては、収容部13内で汚泥と少なくとも次亜ハロゲン酸等を含む電解水とを加熱した後に、収容部13内の内容物を、中和手段31を用いて中和する。
具体的には、加熱後、収容部13内の内容物を、第1移送手段32により、中和槽31aに移送する。中和槽31aにおいて、中和剤供給手段31bから、中和剤を供給して、その内容物のpHを5から8に調整する。pHを調整した後、その内容物を、第2移送手段33を用いて、流量調整槽23に移送する。次いで、液化された汚泥が順次生物処理槽11に移送され、微生物により吸収・分解されることにより、汚泥が削減される。
収容部13で汚泥を処理する場合、電解水は、収容部13での加熱前に、pH8以下に調整されているが、加熱後は、収容部13内で、汚泥が加水分解し、酸が生成する。このため、その内容物のpHが5未満となっていることが多い。そこで、中和手段を用い、その内容物のpHを5〜8に調整することにより、その内容物が生物処理槽11に移送された場合に、酸性が高いことによる微生物の死滅を防止することが可能となる。このように、微生物の死滅を防止することが可能となるため、液化された汚泥の処理を安定して行うことが可能となる。
また、中和を行う場合、例えば、中和槽の排出口から、中和されている内容物を取り出し、そのpHを実測して、中性に変化したことを確認するのが好ましい。また、中和槽31aにpHメータのようなpH測定手段を設け、そのpH測定手段で、内容物のpHを測定しながら、中和を行ってもよい。
上記中和剤供給手段31bは、例えば、中和剤および中和剤を収容するタンク等から構成することができる。中和剤としては、金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などのアルカリ(例えば、チオ硫酸ナトリウム、苛性ソーダ、アンモニア水、消石灰など)を水に溶解したものや、電解槽の陰極近傍で生成した塩基性の電解水などを用いることができるが、必ずしもこれらに限定されない。
なお、電解槽と、電解槽に隔膜を介して配置された陽極と陰極からなる電解水生成手段を用いた場合、酸性の電解水とアルカリ性の電解水を個別に生成できる。このため、酸性の電解水とアルカリ性の電解水とを所定の混合比で混合することにより、収容部に添加される電解水のpHを調整できる。また、陰極側で生成したアルカリ性の電解液を、中和剤として内容物の中和に用いることができる。
なお、生成したアルカリ性の電解水が残っている場合には、これを中和剤の一部に使用することもできる。
なお、中和手段としては、上記以外にも、加熱後に、収容部内の内容物を、pH5〜8に中和できるものを、特に限定されることなく用いることができる。
以上のように、本実施形態の構成によれば、汚泥が十分に低分子化されるとともに、収容部での加熱により、液化した汚泥を含む内容物の酸性が強い場合でも、生物処理にて分解する前に、そのpHを5から8に調整して、生物処理槽に移送することが可能となる。このように、そのpHが中性付近にあるため、生物処理槽の微生物が酸により死滅することもなく、低分子化した汚泥が栄養源として殆ど吸収され、汚泥が安定して削減される。
なお、実施の形態1、2、および4の水処理システムが、この中和手段を備えていてもよい。中和剤を、加熱後の収容部13内の内容物に加えるのであれば、中和槽は必要ない。この場合、中和手段は、中和剤供給手段からなる。
また、電解水生成手段の代わりに、実施の形態1のような酸化水供給手段を備えてもよい。これは、以下の実施の形態4〜8でも同じである。
実施の形態4
図4に、本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システムを備える水処理システム40の概略図を示す。なお、図4において、図1と同じ構成要素には、同じ番号を付している。
図4の水処理システム40は、生物処理槽11、沈殿槽12、および汚泥削減システム41からなる。汚泥削減システム41は、収容部13、加熱手段15、収容部から排出された加熱後の汚泥を生物処理するための汚泥専用生物処理槽42、ならびに電解水生成手段43からなる。なお、電解水生成手段としては、上記のようなものを用いることができる。
本実施形態の水処理システムの作動機構について以下に示す。
収容部13にて、汚泥を、酸化水とともに加熱して、微生物分解可能な状態に液化する工程までは、実施の形態2と同様である。
次いで、収容部13内の内容物を、移送手段44により、収容部13から汚泥専用生物処理槽42へ移送し、ここで、液化した汚泥が微生物により吸収・分解される。この結果、余剰汚泥の削減が実現される。
なお、汚泥専用生物処理槽42で発生する汚泥を、返送手段45により、収容部13に返送して、沈殿槽12から移送される余剰汚泥と同時に液化処理してもよい。
汚泥専用生物処理槽42から排出された処理水は、そのまま放流してもよいし、または沈殿槽(図示せず)で固形物を沈殿させたのち、放流してよい。
汚泥専用生物処理槽42中には、収容部13にて微生物分解可能な状態に液化された汚泥を吸収・分解する微生物が生育している。一般に、有機物を生物分解する場合、投入される有機物の組成により、微生物種の構成比率が大きく異なってくることが知られている。汚泥専用生物処理槽42を備え、汚泥専用生物処理槽42において、液化された汚泥のみの分解を行うことにより、その分解を最も効率的に実施できる微生物構成が生物処理槽42中に形成されることが期待される。もちろん、生物処理槽42中の微生物の好適生育条件に応じて、温度やpHなどの条件の調整を適宜実施することが好ましい。
以上のように、本実施形態の構成によれば、汚泥が十分に低分子化された後に、外部から流入してくる汚水を生物処理する生物処理槽11で分解処理されず、汚泥専用生物処理槽42にて分解処理されるので、汚泥を大幅に効率よく削減できる。さらには、液化された汚泥が生物処理槽11では分解処理されないため、外部から流入してくる汚水の生物処理に影響しない。
また、加熱後の液化された汚泥を、液化された汚泥の分解に特化した微生物構成を用いて行うと共に、汚泥専用生物処理槽42をその微生物構成に適した条件にすることにより、汚泥の吸収・分解を効率よく実施することが可能となり、汚泥を更に効率よく、かつ高速に削減できるようになる。
実施の形態5
図5に、本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システム50の概略図を示す。図5において、図4と同じ構成要素には、同じ番号を付している。なお、図5において、汚泥の発生源となる、生物処理槽11、沈殿槽12などは、省略している。このことは、図6においても同様である。
図5の汚泥削減システム50は、収容部13、加熱手段15、電解水生成手段43、中和手段51、汚泥専用生物処理槽42、および汚泥処理用沈殿槽52からなる。中和手段51は、中和槽51aおよび中和剤供給手段51bからなる。なお、中和剤供給手段は、上記のように、中和剤と中和剤を収容するタンクとからなる。また、中和剤は、上記実施の形態3で説明したものを用いることができる。
本実施形態の汚泥削減システムの動作機構について以下に説明する。
収容部13にて、汚泥を微生物分解可能な状態に液化する工程までは、実施の形態2と同様である。
液化された汚泥を含む内容物を中和槽51aへ、第1移送手段53を用いて移送する。中和槽51aにおいて、中和剤供給手段51bを用いて中和剤を供給して、その内容物のpHを5から8に調整する。pHを調整した後、その内容物を、第2移送手段54を用いて、汚泥専用生物処理槽42へ移送し、そこで、液化された汚泥が微生物により吸収・分解される。続いて、汚泥専用生物処理槽42から排出された処理水が汚泥処理用沈殿槽52に入り、その処理水に含まれる固形物が汚泥として分離される。汚泥処理用沈殿槽52で発生した汚泥は、汚泥返送手段54により、収容部13に返送され、余剰汚泥とともに、収容部13で液化処理される。この結果、汚泥の削減が実現される。
また、汚泥処理用沈殿槽52で生じる上澄みは、そのまま放流することができる。
本実施形態において、汚泥処理用沈殿槽52は、汚泥の濃縮装置として機能する。汚泥専用生物処理槽42で発生する汚泥を、収容部13に返送する前に、汚泥処理用沈殿槽52において、その汚泥は、10000mg/L〜250000mg/Lにまで濃縮される。
また、上記実施の形態1と同様に、汚泥処理用沈殿槽52以外に、汚泥専用生物処理槽42で発生する汚泥の濃度を、10000mg/L〜250000mg/Lに調整する手段を備えていてもよい。
以上のように、本実施形態の構成によれば、汚泥と電解水とを加熱により、収容部13の内容物の酸性が強くなった場合でも、それを汚泥専用生物処理槽にて分解する前に、pH5〜8に調整することにより、生物処理槽の微生物が酸により死滅することが低減される。このため、液化した汚泥が、栄養源として、微生物に殆ど吸収される。このため、汚泥の削減を安定して行うことが可能となる。
また、汚泥処理用沈殿槽を備えることにより、沈殿槽を有さない場合と比較して、汚泥濃度を高くすることができる、つまり汚泥を含む液の溶液を低下させることができる。このため、収容部を小型化することができる。さらに、収容部を小型化することができるため、収容部を加熱するために必要とされるエネルギーも小さくすることができる。よって、多量のエネルギーを消費することなく、汚泥を削減することが可能となる。
実施の形態6
図6に、本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システム60の概略図を示す。なお、図6において、図5と同じ構成要素には、同じ番号を付している。
図6の汚泥削減システム60は、中和手段51が中和剤供給手段のみからなり、中和剤を、収容部13に直接投入する点のみで、図5の汚泥削減システムと異なる。この場合にも、中和剤供給手段は、上記のようなものを用いることができる。
このような構成とすることにより、中和槽を別途必要としないため、汚泥削減システムをコンパクトにすることができる。さらには、収容部に中和剤を直接投入するため、収容部内部に酸が残らないようにすることができる。このため、収容部の腐食が抑制され、収容部の寿命を延長させることができる。
実施の形態7
図7に、上記実施の形態のいずれにも用いることができ、また密閉可能である、バッチ処理型の収容部71の一例を示す。
収容部71には、収容部71を密閉するための圧力保持手段が設けられている。図7に示されるように、圧力保持手段は、汚泥注入電動弁72、大気開放電動弁73、圧力開放弁74、および排出電動弁75からなる。排出電動弁75は、収容部71の底部付近の壁部に形成された連通孔に接続する排出配管76の途中に設けられている。
更に、加熱時のエネルギーロスを低減するため、グラスウールなどからなる断熱材77が、収容部71の外周に接触するように配置されている。
余剰汚泥は、汚泥注入電動弁72が開いたときに、収容部71に投入される。このとき、投入された余剰汚泥が、排出配管76から排出されないように、排出電動弁75は閉じている。
また、収容部71には、電解水が電解水生成手段80から供給される。電解水は、余剰汚泥を投入する前に投入してもよいし、余剰汚泥の投入の後に投入してもよいし、または余剰汚泥と電解水とを同時に投入してもよい。これらのなかでも、余剰汚泥と電解水とを同時に供給することが好ましい。これにより、余剰汚泥と電解水とを均一に混合することが可能となる。
なお、電解水供給手段80としては、電解水を、収容部71に供給できる機能を有し、また、上記のようなものを用いることができる。
収容部71の下部に設けられた加熱手段81により、収容部71内部の汚泥および電解水を加熱される。この加熱時には、汚泥注入電動弁72、排出電動弁75、収容部71の内部と外気との連通を制御する大気開放電動弁73、ならびに圧力開放弁74が閉鎖される。
加熱後に、温度測定手段79にて、収容部内の内容物の温度を測定し、その温度が十分に低下したこと(45℃以下)を確認する。この後、大気開放電動弁73が開いて外気を取り入れることができるようにし、次いで、排出電動弁75を開いて、内容物を排出配管76を通して排出する。
さらに、加熱後の内容物の排出が容易となるように、収容部71の底部は、排出配管が接続された連通孔に向かって低くなるように傾斜されている傾斜部79を有している。
本形態形態において、余剰汚泥が電解水生成手段80に入らないように逆流防止弁82が設けられている。また、加熱時に、収容部内部の圧力が高くなり過ぎた場合に、収容部71には、その圧力を外部に開放する圧力開放74が配置されている。
収容部71は、上記実施の形態1に記載されるように、汚泥と酸化水とを混合して加熱している状態で、酸による腐食や圧力上昇などに対して十分な耐久性を有する材料で構成されることが好ましい。
圧力保持手段は、汚泥と酸化水とを加熱しているときに、収容部を、加熱による水蒸気やガスなどが大気に逃げないように、密閉することができるものであればよい。例えば、収容部が、汚泥や酸化水などを投入する投入口と、加熱後に汚泥を排出する排出口とを備える場合には、これらが耐圧性を有することにより、加熱時には、この投入口と排出口を閉じ、収容部を密閉することが可能となる。なお、本実施形態においては、圧力保持手段は、上記のように、汚泥注入電動弁72、大気開放電動弁73、圧力開放弁74、および排出電動弁75からなる。
但し、この場合、内部の異常なガス発生で内圧が上がりすぎた場合に、内部の蒸気を逃がす圧力開放弁を配置することが好ましい。なお、圧力開放弁の作動圧力は、収容部の強度を保障する上限の圧力よりも小さい値、例えば、0.5から2MPaの範囲に設定することが好ましい。
上記排出配管は、収容部内の内容物を外部に排出することを制御することができるものであればよい。例えば、排出配管の途中に弁等を設けて、排出を制御することができる。この制御は、手動で行ってもよいし、自動で行ってもよい。なお、この弁等は、収容部を密閉するときにも用いられる。
また、内部の液体の取り出しが容易なように、底部近傍の壁部に、排出配管が連通する連通孔を設けることが好ましい。
上記収容部内の内容物の温度を測定する温度測定手段としては、例えば、クロメル−アルメル合金、白金合金等を用いた熱電対を使用できる。加熱時に、温度測定手段を伝わって熱が収容部の外部に逃げることによるエネルギーロスを低減するために、例えば、その表面をガラスウールなどの断熱材を覆って断熱性を向上させたものが特に好ましい。
実施の形態8
図8に、収容部の別の一例を示す。
図8において、収容部91はパイプからなっている。
余剰汚泥は、圧送ポンプ92により収容部91に送られる。収容部91に送られた余剰汚泥は、電解水と混合される。この電解水は、電解水生成手段93で生成され、電解水注入調整弁94を介して、余剰汚泥と混合される。電解水の余剰汚泥への注入には別の圧送ポンプ(図示せず)が使用される。なお、電解水生成手段としては、上記実施の形態2に示されるようなものを用いることができる。
余剰汚泥と電解水とは、余剰汚泥の圧送にともない、その流動に乱れが生じるため、加熱手段95にて加熱される間のみならず、断熱材97で覆われている領域を通過する間にも、混合され続ける。
次に、電解水と混合された余剰汚泥は、パイプ状の収容部に設けられた加熱手段95により加熱される。収容部91は、加熱手段95により加熱される箇所から所定の領域まで、断熱材97により覆われている。余剰汚泥と電解水とが、断熱材で覆われている領域を通るためには、所定の時間(例えば、30分以上)要する。つまり、この時間の間、余剰汚泥が電解水と共に加熱される。この加熱により、余剰汚泥が低分子化し、液化される。
この液化された汚泥は、排出部98から排出される。液化された汚泥は、流動性が向上するため、流動ムラが大きくなりやすくなる。そこで、図8に示されるように、排出部98は、その断面積が収容部の断面積より小さくなっており、これにより、液化された汚泥を安定して排出することが可能となる。
また、汚泥と酸化水は、圧送ポンプによりパイプ内に圧送され、そしてそのパイプの排出部は、その断面積が小さくなっている(つまり、出口が狭くなっている)。この場合、このパイプ状の収容部においては、圧力が保持された状態になる。
以上のような構成を有する収容部を用いることにより、圧力を保持した状態で、汚泥を連続して処理することが可能となる。また、このようなパイプの収容部内では、上記のように汚泥と酸化水とが混合され、そして加熱されるため、上記実施の形態7と比較して、圧力保持手段を設ける必要がない。また、連続運転が可能となる。さらには、パイプのような管状反応器は、形状の自由度が大きく、デッドスペースなどの小面積に配置すことができること、管径を小さくすることにより、熱伝導を均一にすることができ、加熱手段や断熱手段の構成を簡略化することができること、圧力保持のために、圧送ポンプと、配管絞り/オリフィスを使用するために、バルブなどの大掛かりな耐圧構造が不要となること等のために、システム全体をコンパクト化することができる。
本実施形態では、電解水を、収容部において、余剰汚泥に混合しているが、余剰汚泥と電解水を混合した後に、圧送ポンプ92により、これらを収容部に移送することもできる。この場合、電解水を収容部に供給するための圧送ポンプが不要となり、汚削減除システムを安価に構成することが可能となる。また、液化された汚泥の温度が十分に高い場合には、熱交換器を用いて、液化された汚泥が有する熱により、収容部に移送される余剰汚泥を加熱することが可能となる。これにより、加熱に用いられるエネルギーを減少させることが可能となる。
なお、例えば、上記実施の形態で述べた水処理システム以外にも、他の水処理プロセスに、本発明の汚泥削減システムを追加した水処理システムを構成することもできる。
《実施例1》
図1に示される水処理システム10を用いて、余剰汚泥の処理を行った。水処理システムを、以下のように運転させた。
生物処理槽に乾燥重量が1kgである有機性汚泥を入れて、曝気する。このとき、1日当たり、乾燥重量に換算して0.05kgの返送汚泥を沈殿槽より引き抜き、生物処理槽に供給した。
沈殿槽で、汚泥を分離した上澄みは、外部に放流した。
沈殿槽内から、SS濃度50000mg/Lの汚泥を、1日当たり、乾燥重量で0.17kg引き抜いて収容部に移送した。収容部に、少なくとも次亜ハロゲン酸を含む酸化水(処理水)として、次亜塩素酸を2000ppm含むpH2.5の塩酸水溶液を30L供給し、汚泥を、150℃で1時間、加熱処理した。加熱後の汚泥の液化率を測定した。
次に、加熱後の汚泥を生物処理槽へ返送し、返送してから14日目と28日目の生物処理槽中の汚泥量を測定した。ここで、この汚泥量は、以下のように測定した。すなわち、生物処理槽中の汚泥を含む均一な混合液100mLを、開口径1μmのガラス繊維濾紙で、濾過する。その濾紙を、110℃で乾燥し、室温に戻し、濾過後の濾紙の重量を測定する。濾過前と濾過後の重量の差から、SS重量を求めることができる。なお、14日目と28日目の生物処理槽中の汚泥量は、液化された汚泥が返送される前の生物処理槽内の汚泥量を100としたときの値として表している。
得られた結果を、表1に示す。また、表1には、酸化水のpH、ならびに収容部での加熱温度および加熱時間を同時に示す。
《比較例1》
収容部に、酸化水の代わりに、pH7の水を30L供給したこと以外、実施例1と同様にして、汚泥の液化率、ならびに14日目、28日目における生物処理槽の汚泥量を測定した。得られた結果を、表1に示す。なお、表1には、水のpH、ならびに収容部での加熱温度および加熱時間を同時に示す。
Figure 2006187678
表1に示すように、pHの調整を特に実施しなかった比較例1においては、生物処理槽内の汚泥量が、時間経過に伴い大きく増加した。比較例1では、汚泥の液化率は52%であり、加熱処理により汚泥の一部は破壊されているが、微生物が栄養源として効率的に摂取する程度まで十分には、汚泥が可溶化および低分子化されていない。よって、生物処理槽内の汚泥量が増加したのは、微生物が分解しにくい固形分が生物処理槽に残存しているためであると考えられる。
これに対して、pHの調整を実施した実施例1においては、汚泥の液化率は85%であり、生物処理槽内の汚泥量は、28日目でもほとんど増加しなかった。
従って、汚泥は、本発明の汚泥削減方法により、十分に可溶化および低分子化されて、微生物分解可能な状態に液化されているため、生物処理槽において、微生物によって効率的に吸収分解されると考えられる。
《実施例2〜5》
図2に示す水処理システムを用い、酸化水として、30Lの電解水(次亜塩素酸を1800ppm含む)を用いて、表1に示されるような、電解水のpH、加熱温度、および加熱時間の条件で、収容部での加熱を行ったこと以外、実施例1と同様にして、汚泥の液化率、ならびに14日目および28日目の生物処理槽内の汚泥量を測定した。得られた結果を、表1に示す。
なお、収容部で液化された汚泥は、生物処理槽での生物処理の前に、流量調整槽に移送し、そののち、生物処理槽に順次流入させた。
表1に示すように、実施例2〜5においては、生物処理槽内の汚泥量は、28日目でも、ほぼ一定であった。また、このときの汚泥の液化率は、61%〜93%の範囲にあり、液化率が高い場合には、生物処理槽内の汚泥量の増加が抑制されていた(実施例4)。従って、汚泥は、本発明の汚泥削減方法により、十分に可溶化および低分子化されて、微生物分解可能な状態に液化されているため、生物処理槽において、微生物によって効率的に吸収分解されると考えられる。
《実施例6》
図3に示す水処理システムを用い、表1に示されるような、電解水のpH、加熱温度、および加熱時間の条件で、収容部での加熱を行い、加熱後の汚泥を中和槽で、中和剤である水酸化ナトリウム水溶液を供給して、そのpH5に調整したこと以外、実施例2と同様にして、液化率ならびに14日目および28日目の生物処理槽内の汚泥量を測定した。得られた結果を、表1に示す。
表1に示すように、実施例6においては、生物処理槽内の汚泥量はほぼ一定であった。
また、加熱後の液化された汚泥を、生物処理槽で生物処理する前に、そのpHを調整することにより、生物処理槽内の汚泥量の増加がさらに抑制された。これは、生物処理槽中の微生物が酸により死滅することなく、安定して分解に寄与したためと考えられる。
《実施例7》
図4に示すような汚泥削減システムを備える水処理システムを用い、沈殿槽内から、SS濃度50000mg/Lの汚泥を、1日当たり、乾燥重量で0.17kg引き抜いて、収容部に移送した。次いで、酸化水として、pH2.5の電解水(次亜塩素酸を1800ppm含む)を30L注入し、表2に示されるような、加熱温度および加熱時間で、汚泥を加熱した。この加熱後の汚泥の液化率を測定した。
次いで、加熱後の汚泥を汚泥専用生物処理槽へ移送し、14日目と24日目の汚泥専用生物処理槽内の汚泥量を測定した。
得られた結果を、表2に示す。なお、上記と同様に、14日目と28日目の生物処理槽中の汚泥量は、液化された汚泥が返送される前の生物処理槽内の汚泥量を100としたときの値として表している。
《比較例2》
収容部に注入される電解水の代わりに、pH7の水を30L用いたこと以外、実施例7と同様にして、液化率、ならびに14日目および28日目の汚泥専用生物処理槽内の汚泥量を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2006187678
表2に示すように、pHの調整を実施しなかった比較例2においては、汚泥専用生物処理槽内の汚泥量が時間経過に伴い大きく増加した。これは、比較例1の場合と同様の理由のためと考えられる。
これに対して、pHを調整した電解水を用いた実施例7においては、汚泥専用生物処理槽内の汚泥量はほぼ一定であった。
よって、本発明により、汚泥は、本発明の汚泥削減方法により、十分に可溶化および低分子化され、微生物分解可能な状態に液化されている。このため、加熱後の汚泥が汚泥専用生物処理槽に移送されると、微生物によって効率的に吸収・分解されると考えられる。
なお、実施例7、ならびに以下の実施例8〜9の場合、液化した汚泥は、汚水を生物処理するための生物処理槽(例えば、図4の生物処理槽11)には返送されないため、液化された汚泥によって、生物処理槽内の汚泥量が増加することはない。
《実施例8》
図4の水処理システムの汚泥削減システムを、図5に示されるような汚泥削減システムに変更し、加熱後の収容部の内容物を中和槽へ移送し、そこに、中和剤である水酸化ナトリウム水溶液を供給して、その内容物のpHを5に調整したこと以外、実施例7と同様にして、液化率、ならびに14日目および28日目の汚泥専用静物処理槽の汚泥量を測定した。得られた結果を、表2に示す。
表2に示すように、実施例8においては、汚泥専用生物処理槽内の汚泥量は、28日目でも、ほとんど増加していなかった。また、加熱後の汚泥を、汚泥専用生物処理槽へ投入する前に、加熱後の汚泥を含む内容物のpHを調整することにより、液状物の中和をしていない実施例7と比較して、汚泥専用生物処理槽内の汚泥量の増加がさらに抑制されていた。これは、上記実施例6の場合と同様の理由による。
《実施例9》
図4の水処理システムの汚泥削減システムを、図6に示されるような汚泥削減システムに変更し、収容部に、中和剤である水酸化ナトリウム水溶液を供給して、加熱後の収容部の内容物のpHを5に調整したこと以外、実施例7と同様にして、液化率、ならびに14日目および28日目の汚泥専用静物処理槽の汚泥量を測定した。得られた結果を、表2に示す。
表2に示されるように、実施例9においても、実施例8と同様に、汚泥専用生物処理槽内の汚泥量は、28日目でもほとんど増加しておらず、汚泥専用生物処理槽内の汚泥量の増加が抑制されていた。
本発明にかかる汚泥削減方法ならびに汚泥削減システムは、各種排水処理システムにおいて発生する余剰汚泥の削減方法ならびにその削減システムとして有用である。また、各種生物処理システムにおける前処理方法ならびに前処理システム等の用途にも応用できる。
本発明の一実施形態にかかる汚泥削減システムを備える水処理システム10の概略図である。 本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システムを備える水処理システム20の概略図である。 本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システムを備える水処理システム30の概略図である。 本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システムを備える水処理システム40の概略図である。 本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システム50の概略図である。 本発明の別の実施形態にかかる汚泥削減システム60の概略図である。 本発明の汚泥削減システムで用いられる収容部の一例の概略図である。 本発明の汚泥削減システムで用いられる収容部の別の例の概略図である。 従来の汚泥削減システムの概略図である。
符号の説明
10、20、30、40 水処理システム
11 生物処理槽
12 沈殿槽
13 収容部
14 酸化水供給手段
15 加熱手段
16 余剰汚泥返送手段
17、24、44 移送手段
18 返送汚泥移送手段
21、43 電解水生成手段
22 水供給手段
23 流量調整槽
31、51 中和手段
31a、51a 中和槽
31b、51b 中和剤供給手段
32 第1移送手段
33 第2移送手段
41、50、60 汚泥削減システム
42 汚泥専用生物処理槽
45 返送手段
52 汚泥処理用沈殿槽
53 第1移送手段
54 第2移送手段
71、91 収容部
72 汚泥注入電動弁
73 大気開放電動弁
74 圧力開放弁
75 排出電動弁
76 排出配管
77、97 断熱材
78、96 温度測定手段
79 傾斜部
80、93 電解水生成手段
81、95 加熱手段
82 逆流防止弁
92 圧送ポンプ
94 電解水注入調節弁
98 排出部
101 オゾン発生器
102 オゾン接触塔
103 ライン
104 スクリーン
105 好気性消化槽
106 沈殿池

Claims (10)

  1. (a)汚泥に、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを少なくとも含む酸化水を加える工程、
    (b)前記酸化水を含む汚泥を、圧力を保持することができる空間内で、所定の温度で加熱する工程、ならびに
    (c)前記加熱後の酸化水を含む汚泥を生物処理する工程、
    を包含する汚泥削減方法であって、
    前記工程(a)が、前記酸化水を含む汚泥のpHが8より大きい場合に、前記酸化水を含む汚泥のpHを8以下にする工程を含む汚泥削除方法。
  2. 前記酸化水が、塩素およびハロゲン塩の少なくとも一方を含む水を電解して得られた電解水である請求項1に記載の汚泥削減方法。
  3. 前記酸化水を含む汚泥のpHを2から5の範囲内に調整する請求項1または2に記載の汚泥削減方法。
  4. 前記所定の温度が、100℃から150℃の範囲内である請求項1〜3のいずれかに記載の汚泥削減方法。
  5. 前記工程(b)の後、前記工程(c)の前に、前記酸化水を含む汚泥のpHを、5から8の範囲内に調整する請求項1〜4のいずれかに記載の汚泥削減方法。
  6. 圧力を保持できる、汚泥を収容するための収容部、次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを少なくとも含む酸化水を前記収容部に供給するための酸化水供給手段、前記収容部内の前記酸化水を含む汚泥を加熱するための加熱手段、および前記加熱後の酸化水を含む汚泥を生物処理するための生物処理槽を備える汚泥削減システム。
  7. 前記酸化水供給手段が、塩素およびハロゲン塩の少なくとも一方を含む水を電解して、少なくとも次亜ハロゲン酸および/または次亜ハロゲン酸イオンを含む電解水を生成する電解水生成手段、ならびに前記電解水生成手段に水を供給する水供給手段からなる請求項6に記載の汚泥削減システム。
  8. 前記酸化水のpHを8以下に調整するpH調整手段をさらに備える請求項6に記載の汚泥削減システム。
  9. 前記収容部の内容物の温度を検知する温度検知手段をさらに備える請求項6に記載の汚泥削減システム。
  10. 前記収容部の内容物のpHを5から8の範囲内に調整する中和手段をさらに備える請求項6〜8のいずれかに記載の汚泥削減システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008119655A (ja) * 2006-11-15 2008-05-29 Nittetsu Kankyo Engineering Kk 有機性廃水の処理方法及び該方法に用いる薬剤
CN111392978A (zh) * 2020-04-13 2020-07-10 鹭滨环保科技(上海)股份有限公司 一种垃圾渗滤液污泥减量协同浓缩液资源化处理工艺

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