JP2006184460A - 多芯フェルール及び多芯フェルール製造用コアピン並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化が可能な多芯フェルール、及びその製造方法、該フェルールを製造できるフェルール製造用コアピン、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数本の光ファイバーを挿通するための筒状中空部2を有する多芯フェルール1であって、前記中空部の少なくとも一部が、光ファイバーの素線部分を保持するための素線挿通部3をなし、該素線挿通部3は、筒軸方向に直交する断面が、中空部の中心5を基準として3以上の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状をしている、多芯フェルール1、及びその製造方法、該多芯フェルールを製造できるコアピン、並びに該コアピンを製造するための方法。
【選択図】図3
【解決手段】複数本の光ファイバーを挿通するための筒状中空部2を有する多芯フェルール1であって、前記中空部の少なくとも一部が、光ファイバーの素線部分を保持するための素線挿通部3をなし、該素線挿通部3は、筒軸方向に直交する断面が、中空部の中心5を基準として3以上の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状をしている、多芯フェルール1、及びその製造方法、該多芯フェルールを製造できるコアピン、並びに該コアピンを製造するための方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、多芯フェルール製造用コアピン及びその製造方法、並びに該コアピンを用いた多芯フェルールの製造方法及び多芯フェルールに関する。
フェルールは、光ファイバーをつなぎ合わせるために用いられるものであり、従来は一本の光ファイバー素線同士をつなぎ合わせる一芯フェルールのみが用いられていたが、光通信が普及するにつれ、より多くの光ファイバー素線をつなぎ合わせることができる多芯フェルールの需要が高まってきた。
現在一般的に用いられている多芯フェルールは、光ファイバー素線を挿通するための貫通孔が、図4aに示すようにそれぞれ独立して設けられ、各貫通孔間のピッチは少なくとも貫通孔の直径以上空けられているのが通常である。そのため、多芯化を進めようとすれば、フェルールが大きくなり実用に適さない。すなわち、フェルールには多芯化とともに小型化が望まれおり、フェルールの実装密度(フェルールの断面積に対する光ファイバー素線の芯数)をいかに向上させるかが大きな課題となっている。
上記課題に対し、特許文献1において、複数本の光ファイバーの端部が、横断面形状が円形の貫通孔内に挿入されるフェルールであって、該光ファイバーの端部の各々が挿入される、内径の異なる一の貫通孔と他の貫通孔とが互いに平行に且つ密接して穿設され、且つ前記他の貫通孔の内径よりも小径に形成された一の貫通孔の内壁面に摺接して挿入された光ファイバーの端部の外周面に、前記他の貫通孔の各々に挿入された光ファイバーの端部の外周面が接触し得るように、前記一の貫通孔と他の貫通孔との境界に貫通孔同士を連結するスリットが前記貫通孔に沿って形成されていることを特徴とするフェルールが開示されている。
該フェルールによれば、一の貫通孔と他の貫通孔との各々に挿入された光ファイバーの端部は、貫通孔のスリットの箇所で接触した状態で液状の接着剤が固化して固着され、複数本の光ファイバーの端部を平行状態でフェルール内に固定できる。その結果、複数本の光ファイバーの端部をフェルールを介して増幅器等の器機に平行状態を保持して確実に接続できる。
また該フェルールによれば、貫通孔同士が互いに密接して穿設されているため、複数の貫通孔が独立して設けられているフェルールより、製品実装面積を小さくすることが可能である。
また該フェルールによれば、貫通孔同士が互いに密接して穿設されているため、複数の貫通孔が独立して設けられているフェルールより、製品実装面積を小さくすることが可能である。
しかし、特許文献1のフェルールでは、上記他の貫通孔の横断面積を、光ファイバー端部の横断面積よりかなり大きく形成する必要があるため、フェルールの実装密度の向上が難しい。また、その原理上、2本を超える光ファイバーを平行に保つことは困難である。
特許文献2には、熱可塑性の成形樹脂材で射出成形した円形断面の樹脂成形部を有する多芯フェルールであって、前記樹脂成形部には横一列に複数の心線挿通孔を配列すると共に、当該心線挿通孔群を複列に並設したことを特徴とする多芯フェルールであって、当該心線挿通孔群において、複数の円形孔が円繋ぎ形状で連続状に配列されている多芯フェルールが開示されている。
しかし、特許文献2の多芯フェルールは、横一列に複数の心線挿通孔を配列するため、3芯フェルールや4芯フェルールにおける、実装密度の向上には限度がある。
さらにまた、フェルールの実装密度を向上させるためには、その形状のみならず、製造面においても大きな課題がある。一般にフェルールは、コアピン(フェルールの内部形状の型となる)を用いた金型により製造される。例えば上記した貫通孔が独立した多芯フェルール(図4a参照)の製造には、図4bに示すようなコアピンが使用される。図の多芯フェルールにおいて、実装密度を大きくしようと思えば、光ファイバー素線を挿通する貫通孔同士を近接させ、フェルールの直径を小さくすることになるが、このためには、金型作製の際に、コアピンの素線部(ピン部材7)間の距離間隔を狭めなければならない。しかし、コアピン素線部間の間隔が狭くなれば、金型精度を保持することが困難であるという問題がある。
前記特許文献2においても、前記多芯フェルールを製造するための装置が開示されているが、隣接する極細のピン部材を接触状態で配置するために、様々な部材が必要とされている。
このように、複数のピン部材を近接させた状態で保持する金型の作製及び金型精度の維持は非常に困難である。この問題を解決するために、あらかじめ複数のピン部材を一体形成したコアピンを用いて金型を作製する方法が考えられるが、その実用化は困難である。その理由として、このようなコアピンの作製が非常に難しいことが挙げられる。すなわち、複数の極細の円柱が密着した状態で一体となっているピン部材を製造することになるが、ピン部材が細くなお且つ製造しようとする形状が円柱状ではないため、切削加工方法で製造することは非常に困難である。
従って、実装密度の高いフェルールを実現するにあたっては、新規な形状のフェルールのみならず、そのフェルールを製造することができる方法、前記製造方法に用いるための新規な形状のコアピン、さらに該コアピンを製造する方法が必要であるという問題があった。
特開2000−81536号
特開2004−170671号
本発明は、上記問題を解決するべく、新規な形状の多芯フェルール、前記多芯フェルールを製造する方法、前記多芯フェルールを製造するための新規な形状のコアピン、及び複雑形状のコアピンを製造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明は、複数本の光ファイバーを挿通するための筒状中空部を有する多芯フェルールであって、前記中空部の少なくとも一部が、光ファイバーの素線部分を保持するための素線挿通部をなし、該素線挿通部は、筒軸方向に直交する断面が、中空部中心を基準として3以上の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状をしている、多芯フェルールである。
前記フェルールは、複数本の光ファイバー素線(光ファイバー端部の、コーティングが除去されて素線が露出されている部分)を、一の中空部からなる素線挿通部に挿通する構成をとるため、一本の光ファイバー素線を一の挿通孔に通す従来のフェルールと異なり、複数の挿通孔を独立して設ける必要がなく、実装密度を高めることができる。また、素線挿通部は、筒軸方向に直交する断面が、中空部中心を基準として3以上の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状をしているため、光ファイバー素線が各円あるいは多角形に収まり、移動が制限される。すなわち、横断面形状が円形の一の挿通孔内に複数の光ファイバー素線を挿入すれば、挿入された複数本の光ファイバー素線と挿通孔の内壁面との間に空間部が存在し、光ファイバーの移動が可能であるため、光ファイバー素線を平行に保ったまま固定することは非常に困難である。これに対し本発明のフェルールの素線挿通部の横断面は、光ファイバー素線の直径よりわずかに大きい径の円あるいは多角形が、中空部中心を基準として等角度間隔に位置した形状をしているため、光ファイバー素線が各円あるいは多角形内に収まるように挿入すれば、素線と挿通部内壁面との間のすきまが小さいため、光ファイバー素線の移動が制限され、光ファイバー素線を平行に保ったまま固定することができる。
前記素線挿通部の筒軸方向の長さが0.5mm以上であれば、より確実に各光ファイバー素線を固定することができる。より好ましい長さは1mm以上である。
前記中空部の一部が、前記素線挿通部にテーパー状に連通する導入部をなす多芯フェルールであれば、光ファイバー素線を傷つけることなく挿入可能である。
また本発明は、フェルールの内部形状の型として用いられるコアピンであって、光ファイバー素線を挿通する孔の型となるピン部材を有し、該ピン部材の横断面形状は、中心を基準に複数の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状である、多芯フェルール製造用コアピンである。
前記コアピンは、光ファイバー素線を挿通する孔の型となるピン部材を有し、このピン部材は、光ファイバー素線の太さと同一若しくは若干太い複数の円柱あるいは多角柱が平衡状態で密着した形状をしており、さらに各柱はピン部材中心を基準に等角度間隔に配置され、中心部で繋がっている。そのため、前記ピン部材の横断面形状は、中心を基準に複数の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状となっている。このコアピンを型としてフェルールの内部形状を作製すれば、上記と同様、複数本の光ファイバー素線が各円あるいは多角形内に収まる多芯フェルールを製造できるため、光ファイバー素線の移動が制限され、各素線が平行に保たれるとともに、1の孔に複数の光ファイバー素線を密接して挿入できるため、実装密度の高いフェルールを製造することができる。
前記ピン部材の長さが0.5mm以上であれば、より確実に各光ファイバー素線を固定できるフェルールを製造することができる。より好ましいピン部材の長さは1mm以上である。また、前記コアピンが、ピン部材と台座部、及び該ピン部材と台座部をテーパー状に連通する連結部からなれば、光ファイバー素線を素線挿通部にスムーズに挿入できる導入部をフェルールに設けることができるため、光ファイバー素線を傷つけることなく挿入可能なフェルールが製造できる。
前記多芯フェルール製造用コアピンの材質は、セラミックス、タングステンカーバイト、ハイス、ダイス鋼のいずれかが好ましい。これらの高硬度の材料を選択すれば、製品寿命の長いコアピンを得ることができる。
また本発明は、フェルール製造用コアピンを製造する方法であって、X線、UV若しくはEB線を用いたリソグラフィー法によって、フェルールの素線挿通部と同一形状の孔部を有するレジスト構造体を作製する工程、該レジスト構造体を利用して電鋳法によってフェルール製造用コアピンを作製する工程、とを有することを特徴とする方法である。
前記方法によれば、上述した多芯フェルール用コアピンのように、従来製造できなかった複雑形状のコアピンであっても製造することができる。
また本発明は、フェルール製造用コアピンを製造する方法であって、X線、UV若しくはEB線を用いたリソグラフィー法によって、コアピンのピン部材(フェルールの光ファイバー素線挿通部の型となる)と同一形状を有するレジスト構造体を作製する工程、該レジスト構造体を用いて電鋳法により、フェルール製造用コアピンを製造するための型を作製する工程、及び、該コアピン製造用の型を用いて粉末射出成形、粉末押出成形法により、フェルール製造用コアピンを作製する工程、とを有することを特徴とする方法である。
前記方法を用いれば、上述した多芯フェルール用コアピンのように、従来製造できなかった複雑形状のコアピンも製造することができるとともに、コアピン製造用の型を用いて粉末射出成形、粉末押出成形法によりコアピンを作製するため、高硬度の材料を選択して、耐久性の高いコアピンを作製することができる。
また、前記多芯フェルール製造用コアピンを利用して、フェルールの金型を作製し、該金型を用いて多芯フェルールを製造すれば、実装密度が高く、且つ各光ファイバー素線を平行に保持できるフェルールを製造することができる。さらに、本発明のコアピンを用いれば、金型作製の際に、一芯用のピン部材を複数本、密着した状態で保持する必要がないため、高い金型精度を保つことができる。また、前記金型を利用して、プラスチック、金属、セラミックスのいずれかを含む材料を用いて射出成形加工することにより、寸法精度の高いフェルールを量産することができる。
以上説明したことから明らかなように、本発明の多芯フェルールは、実装密度が高く、且つ複数本の光ファイバー素線を平行に保つことができる。また、本発明の多芯フェルール製造用コアピンを用いれば、実装密度が高く、且つ複数本の光ファイバー素線を平行に保つことができる多芯フェルールを製造することができる。また、本発明のコアピン製造方法を用いれば、複雑形状のピン部材を有するコアピンを製造することが可能である。
本発明のフェルールにおける、中空部の中心を基準として3以上の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状、あるいは本発明のコアピンにおける、中心を基準に複数の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状とは、図3(c)に示すように、いわゆるクローバーの葉状の形状であって、各円あるいは多角形が中心を基準に等角度で配置され、中心部が繋がっている状態をいう。素線挿通部に挿入される光ファイバー素線が多いほど、実装密度の向上が図れるが、各素線を各円あるいは多角形内に確実に固定して移動を制限するためには、2芯〜4芯用に形成することが好ましい。本発明の多芯フェルールは、一の素線挿通部を有するものに限られず、複数の素線挿通部を有していてもよい(図3c左参照)。本発明に係る多芯フェルールによれば、1芯用の挿通部が独立して一定の間隔を空けて設けられた多芯フェルールと比較して、実装密度を2倍以上にすることも可能である。
リソグラフィー法とは、基板上に感光性樹脂(レジスト)の膜を形成し、このレジストに、パターンが形成されたマスクを介して照射し、その後、現像する(照射された部分あるいは照射されなかった部分を溶解する)ことによって、所望の形状のレジストを得る方法である。
本発明のリソグラフィー法には、X線、UV若しくはEB光線を用いることができる。好ましくはシンクロトロン放射光であり、特に好ましくはシンクロトロン放射X線である。
レジストには、照射された部分のレジストが、現像処理によって溶けてなくなってしまうポジ型のものと、照射された部分だけが現像後に残るネガ型の2種類があり、照射線の種類によって適宜選択することができる。シンクロトロン放射光を用いるときにはポジ型のレジストを使用する。レジスト材料として好ましいものには、アクリル系樹脂化合物、フェノール系樹脂化合物、フッ素系樹脂化合物があるが、中でもアクリル系樹脂化合物であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が好適である。レジスト構造体とは、上記リソグラフィー法によって作製された、所望の形状を有するレジストである。
本発明に係るフェルール製造用コアピンは、X線、UV若しくはEB光線により、レジストからなる母型を作製し、これを用いて電鋳技術を利用することにより製造することができる。本発明にかかるコアピンの製造方法の一例を以下に概説する。
第一段階として、直進性・解像度・透過性に優れるX線、UV若しくはEB光線(シンクロトロン放射光が好ましい)で、フェルールの素線挿通部(光ファイバー素線を挿通する孔)の断面形状に対応する微細パターンをレジストに転写し、現像することにより、フェルールの素線挿通部と同形状の孔を有する、ナノ精度・高アスペクト比のレジスト構造体を作製する。
第二段階として、このレジスト構造体を用いて電鋳を行うことにより、コアピンのピン部材を製作する。このピン部材に一部機械加工を施して、フェルール製造用コアピンを製造する。
コアピンのピン部材の付け根をテーパー形状にする場合や、コアピンに台座部を設ける場合は、第1段階において、コアピンの全形状の型となるレジスト構造体を形成してもよく、あるいは第1段階でピン部材のみの型となるレジスト構造体を形成し、第2段階において、電鋳によりピン部材を製作した後に、このピン部材に機械加工を施して、コアピンの全形状を製作してもよい。
第二段階として、このレジスト構造体を用いて電鋳を行うことにより、コアピンのピン部材を製作する。このピン部材に一部機械加工を施して、フェルール製造用コアピンを製造する。
コアピンのピン部材の付け根をテーパー形状にする場合や、コアピンに台座部を設ける場合は、第1段階において、コアピンの全形状の型となるレジスト構造体を形成してもよく、あるいは第1段階でピン部材のみの型となるレジスト構造体を形成し、第2段階において、電鋳によりピン部材を製作した後に、このピン部材に機械加工を施して、コアピンの全形状を製作してもよい。
また、本発明にかかるフェルール製造用コアピンの他の製造例を概説すると、以下のとおりである。
第一段階として、直進性・解像度・透過性に優れるX線、UV若しくはEB光線(シンクロトロン放射光が好ましい)で、コアピンのピン部材の断面形状に対応する微細パターンをレジストに転写し、現像することにより、コアピンのピン部材と同形状を有する、ナノ精度・高アスペクト比のレジスト構造体を作製する。
第二段階として、このレジスト構造体を用いて電鋳を行うことにより、ピン部材と同形状の孔を作り、一部に機械加工を施して、コアピンの型を製作する。
前記と同様、コアピンのピン部材の付け根をテーパー形状にする場合や、コアピンに台座部を設ける場合は、第1段階において、コアピンの全形状に対応するレジスト構造体を形成してもよく、あるいは第1段階でピン部材のみのレジスト構造体を形成し、第2段階において、電鋳によりピン部材の型を製作した後に、この型に機械加工を施して、コアピンの全形状の型を製作してもよい。
第三段階として、このコアピンの型に、金属あるいはセラミックスの微細粉末やプラスチックを射出成形することによってフェルール製造用コアピンを製作する。この際、セラミックス、タングステンカーバイト、ハイス、ダイス鋼といった高硬度の材料を選択すれば、コアピンの寿命を延ばすことが出来る。
第一段階として、直進性・解像度・透過性に優れるX線、UV若しくはEB光線(シンクロトロン放射光が好ましい)で、コアピンのピン部材の断面形状に対応する微細パターンをレジストに転写し、現像することにより、コアピンのピン部材と同形状を有する、ナノ精度・高アスペクト比のレジスト構造体を作製する。
第二段階として、このレジスト構造体を用いて電鋳を行うことにより、ピン部材と同形状の孔を作り、一部に機械加工を施して、コアピンの型を製作する。
前記と同様、コアピンのピン部材の付け根をテーパー形状にする場合や、コアピンに台座部を設ける場合は、第1段階において、コアピンの全形状に対応するレジスト構造体を形成してもよく、あるいは第1段階でピン部材のみのレジスト構造体を形成し、第2段階において、電鋳によりピン部材の型を製作した後に、この型に機械加工を施して、コアピンの全形状の型を製作してもよい。
第三段階として、このコアピンの型に、金属あるいはセラミックスの微細粉末やプラスチックを射出成形することによってフェルール製造用コアピンを製作する。この際、セラミックス、タングステンカーバイト、ハイス、ダイス鋼といった高硬度の材料を選択すれば、コアピンの寿命を延ばすことが出来る。
前記2つの製造例における第一段階を、以下により詳しく説明する。
照射線としては、シンクロトロン放射X線を使用することが好ましい。X線を遮蔽するX線マスクとしては、X線吸収体(膜)、メンブレンおよびフレームで構成されたX線マスク、あるいはX線吸収体のみで構成されたX線マスクを用いることができる。レジストとしては、ポジ型の感光性樹脂であるPMMAが好ましい。
X線マスクとレジストをシンクロトロン放射光(SR光)照射用治具に所定の隙間を開けて、あるいは密着させて取り付け、露光用チャンバー内に設置し、シンクロトロン放射X線を照射する。X線マスクを介してレジストに照射されたシンクロトロン放射X線は、X線吸収体の無い部分のみを透過し、その部分のレジストのみを照射する。
照射後、現像液を用いてX線照射された部分のレジストを溶解することにより、X線吸収膜と同一の微細パターンを有する立体構造物が作製できる。
照射線としては、シンクロトロン放射X線を使用することが好ましい。X線を遮蔽するX線マスクとしては、X線吸収体(膜)、メンブレンおよびフレームで構成されたX線マスク、あるいはX線吸収体のみで構成されたX線マスクを用いることができる。レジストとしては、ポジ型の感光性樹脂であるPMMAが好ましい。
X線マスクとレジストをシンクロトロン放射光(SR光)照射用治具に所定の隙間を開けて、あるいは密着させて取り付け、露光用チャンバー内に設置し、シンクロトロン放射X線を照射する。X線マスクを介してレジストに照射されたシンクロトロン放射X線は、X線吸収体の無い部分のみを透過し、その部分のレジストのみを照射する。
照射後、現像液を用いてX線照射された部分のレジストを溶解することにより、X線吸収膜と同一の微細パターンを有する立体構造物が作製できる。
本発明に係る多芯フェルールは、本発明に係るコアピンを図2に示すように金型Aに設置し、金型Bをかぶせて、材料注入孔から成形材料をキャビティに注入し固化することにより、製造することができる。
以下、実施例に基づき、本発明について説明する。
3芯フェルール製造用コアピンの製造
図3aに示す3芯フェルールを製造するためのコアピンを製造した。
まず、素線挿通部の横断面形状(筒軸方向に直交する断面)と同一のパターンを有するX線マスクを作製した。X線マスクは、X線吸収膜、メンブレンおよびフレームで構成されているものを使用した。また、X線マスクのパターン(X線吸収膜の形状)は、フォトレジストを用いて形成した。
レジストとしては、PMMAを用いた。照射線としては、シンクロトロン放射X線を用いた。
X線マスクとレジストとをSR光照射用治具に所定の隙間を空けて取り付け、露光用チャンバー内に設置し、シンクロトロン放射X線を照射した。その後、現像液を用いて照射された部分のPMMAを溶解することにより、X線吸収膜と同一の微細パターンを有する立体構造物(レジスト構造体)を得た。条件は、ドーズ量:60Amin、照射時間:4時間45分、現像液:GG現像液(40℃)とした。
得られたレジスト構造体は、フェルールの素線挿通部と同一形状の孔部を有し、この孔部の深さは830μmであった。
得られたレジスト構造体を用いて、電鋳技術によりこのレジスト構造体にニッケル合金メッキ層を形成した。次に溶剤でレジスト構造体を除去することにより、所望するフェルール製造用コアピンを形成した。
なお、コアピンの連結部はレジスト構造体の時点で形成し、台座部は、電鋳後に機械加工によって設けた。
図3aに示す3芯フェルールを製造するためのコアピンを製造した。
まず、素線挿通部の横断面形状(筒軸方向に直交する断面)と同一のパターンを有するX線マスクを作製した。X線マスクは、X線吸収膜、メンブレンおよびフレームで構成されているものを使用した。また、X線マスクのパターン(X線吸収膜の形状)は、フォトレジストを用いて形成した。
レジストとしては、PMMAを用いた。照射線としては、シンクロトロン放射X線を用いた。
X線マスクとレジストとをSR光照射用治具に所定の隙間を空けて取り付け、露光用チャンバー内に設置し、シンクロトロン放射X線を照射した。その後、現像液を用いて照射された部分のPMMAを溶解することにより、X線吸収膜と同一の微細パターンを有する立体構造物(レジスト構造体)を得た。条件は、ドーズ量:60Amin、照射時間:4時間45分、現像液:GG現像液(40℃)とした。
得られたレジスト構造体は、フェルールの素線挿通部と同一形状の孔部を有し、この孔部の深さは830μmであった。
得られたレジスト構造体を用いて、電鋳技術によりこのレジスト構造体にニッケル合金メッキ層を形成した。次に溶剤でレジスト構造体を除去することにより、所望するフェルール製造用コアピンを形成した。
なお、コアピンの連結部はレジスト構造体の時点で形成し、台座部は、電鋳後に機械加工によって設けた。
得られたコアピン6の形状を、図1に示す。製造されたコアピンは、図に示すように、ピン部材7と台座部9、及び台座部9とピン部材7とをテーパー状につなぐ連結部8とからなる。ピン部材の横断面形状は、中心を基準に直径126μmの3つの円が120°の等角度間隔で位置した形状をしており、ピン部材の長さは、830μmであった。また、連結部は、R面となるように形成した。
3芯フェルールの製造
実施例1で製造したコアピンを用いて図2に示すフェルール製造用金型を作製し、この金型にジルコニアセラミックス粉末(比表面積15m2/g)と有機バインダ(ポリブチルメタクリレート、ポリスチレン、パラフィンワックス)を均一混合した成形材料を用いて射出成形することにより、多芯フェルール成形体を得た。得られた成形体を大気中にて500℃で脱脂し、脱脂後の成形体を大気中で1350℃において焼結を行い、ジルコニアセラミックスからなる多芯フェルールを得た。
実施例1で製造したコアピンを用いて図2に示すフェルール製造用金型を作製し、この金型にジルコニアセラミックス粉末(比表面積15m2/g)と有機バインダ(ポリブチルメタクリレート、ポリスチレン、パラフィンワックス)を均一混合した成形材料を用いて射出成形することにより、多芯フェルール成形体を得た。得られた成形体を大気中にて500℃で脱脂し、脱脂後の成形体を大気中で1350℃において焼結を行い、ジルコニアセラミックスからなる多芯フェルールを得た。
得られた多芯フェルールは、図3aに示すように、3本の光ファイバーを挿通するための筒状中空部2を有し、前記筒状中空部2は、素線挿通部3と導入部4とからなる。素線挿通部3は、筒軸方向に直交する断面が、中空部中心5を基準として直径126μmの3つの円が120°の等角度間隔に位置した形状をしており、素線挿通部3の筒軸方向の長さは、830μmである。また導入部4は、素線挿通部3にテーパー状に連通し、スムースなR形状をなしている。フェルール端部(素線側)の直径は2.5mmである。
実施例2で得られた多芯フェルールは、スムースなR形状の導入部4を有するため、光ファイバー素線を傷つけることなく、素線挿通部に挿入することができた。また、光ファイバー素線は少々の曲がりがあっても容易に挿入することができた。3本の光ファイバー素線(直径125μm)は、素線挿通部3を構成する3本の円柱にそれぞれ収まるため、移動が制限され平行に固定された。従来の3芯フェルールは、光ファイバー素線間のピッチが最少で250〜1000μm程度あるのに対し、本実施例のフェルールでは、光ファイバー素線同士が近接するため、素線間のピッチをほぼ0とすることができた。また、射出成形法による成形方法で得られた本実施例の3芯フェルールは、フェルールの直径が2.5mmであるため、実装密度が、約3/4.9[芯/mm2]となり、射出成形により製造された従来の3芯フェルール(一芯用の挿通孔が独立して、一定の間隔を空けて設けられた多芯フェルール。実装密度は通常、約3/10[芯/mm2]程度)と比較して、実装密度を大幅に向上することができた。
なお、実施例1で製造したコアピンのピン部材7は、3本の極細の円柱が密着した外見を有するが、一体形成された一のピン部材であるため、実施例2の金型作製の際に、3本の独立した円柱を密接保持する金型を作製する必要はなく、従来の一芯用フェルールの金型と同様の方法で金型を作製することができた。従って、金型の作製が容易であり、また、金型精度が高く、高精度のフェルールを容易に大量生産することができた。
4芯フェルール製造用コアピンの製造(粉末射出成形技術によりコアピンを製造)
実施例1と同様の方法を用いて、4芯フェルール製造用コアピンと同形状のレジスト構造体を作製し、得られたレジスト構造体を用いてニッケル合金により電鋳を行い、コアピン製造用金型を得た。
この金型に、ハイス鉱と有機バインダ(ポリブチルメタクリレート、ポリスチレン、パラフィンワックス)とを均一混合した成形材料を用いて射出成形し、得られた成形体を水素中で800度で脱脂し(脱脂時間:8時間)、アルゴン中で1400度で焼結(焼結時間8時間)することにより、所望する形状の高硬度のコアピンを得た。
実施例1と同様の方法を用いて、4芯フェルール製造用コアピンと同形状のレジスト構造体を作製し、得られたレジスト構造体を用いてニッケル合金により電鋳を行い、コアピン製造用金型を得た。
この金型に、ハイス鉱と有機バインダ(ポリブチルメタクリレート、ポリスチレン、パラフィンワックス)とを均一混合した成形材料を用いて射出成形し、得られた成形体を水素中で800度で脱脂し(脱脂時間:8時間)、アルゴン中で1400度で焼結(焼結時間8時間)することにより、所望する形状の高硬度のコアピンを得た。
4芯フェルールの製造
実施例3で製造したコアピンを図2に示すように設置して、フェルール製造用金型を作製した。この金型を用いて液晶プラスチック、セラミックス材料を射出成形し、多芯フェルール成形体を得た。得られた成形体の同軸度は1μm以下であり、精度の高い多芯フェルールが得られた。フェルール端部(素線側)の直径は2.5mmであった。
実施例3で製造したコアピンを図2に示すように設置して、フェルール製造用金型を作製した。この金型を用いて液晶プラスチック、セラミックス材料を射出成形し、多芯フェルール成形体を得た。得られた成形体の同軸度は1μm以下であり、精度の高い多芯フェルールが得られた。フェルール端部(素線側)の直径は2.5mmであった。
得られた4芯フェルールの素線挿通部3は、筒軸方向に直交する断面が、中空部中心5を基準として直径126μmの4つの円が90度の等角度間隔に位置した形状をしていた。この4芯フェルールに、4本の光ファイバー素線(直径125μm)を挿入すると、各素線は、素線挿通部3を構成する4本の円柱にそれぞれ収まり、平行に固定された。従来の4芯フェルールは、光ファイバー素線間のピッチが最少で250〜1000μm程度設けられているのに対し、本実施例の4芯フェルールでは、光ファイバー素線同士が近接するため、素線間のピッチをほぼ0とすることができた。また、射出成形法による成形方法で得られた本実施例の4芯フェルールは、フェルールの直径が2.5mmであるため、実装密度が、約4/4.9[芯/mm2]となり、射出成形により製造された従来の4芯フェルール(一芯用の挿通孔が独立して、一定の間隔を空けて設けられた多芯フェルール。実装密度は通常、約4/12[芯/mm2]程度)と比較して、実装密度を大幅に向上することができた。
1 多芯フェルール
2 筒状中空部
3 素線挿通部
4 導入部
5 中空部中心
6 コアピン
7 ピン部材
8 連結部
9 台座部
2 筒状中空部
3 素線挿通部
4 導入部
5 中空部中心
6 コアピン
7 ピン部材
8 連結部
9 台座部
Claims (10)
- 複数本の光ファイバーを挿通するための筒状中空部を有する多芯フェルールであって、前記中空部の少なくとも一部が、光ファイバーの素線部分を保持するための素線挿通部をなし、
該素線挿通部は、筒軸方向に直交する断面が、中空部の中心を基準として3以上の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状をしている、多芯フェルール。 - 前記素線挿通部の筒軸方向の長さが0.5mm以上である、請求項1の多芯フェルール。
- 前記中空部の一部が、前記素線挿通部にテーパー状に連通する導入部をなす、請求項1または2に記載の多芯フェルール。
- フェルールの内部形状の型として用いられるコアピンであって、
光ファイバー素線を挿通する孔の型となるピン部材を有し、
該ピン部材の横断面形状は、中心を基準に複数の円あるいは多角形が等角度間隔に位置した形状である、多芯フェルール製造用コアピン。 - 前記ピン部材の長さが0.5mm以上である、請求項4に記載のコアピン。
- 前記多芯フェルール製造用コアピンの材質が、セラミックス、タングステンカーバイト、ハイス、ダイス鋼のいずれかである、請求項4または5に記載のコアピン。
- フェルール製造用コアピンを製造する方法であって、
X線、UV若しくはEB線を用いたリソグラフィー法によって、フェルールの素線挿通部と同一形状の孔部を有するレジスト構造体を作製する工程、及び
前記レジスト構造体を利用して電鋳法によって、フェルール製造用コアピンを作製する工程
とを有することを特徴とする方法。 - フェルール製造用コアピンを製造する方法であって、
X線、UV若しくはEB線を用いたリソグラフィー法によって、前記コアピンのピン部材と同一形状を有するレジスト構造体を作製する工程、
前記レジスト構造体を用いて電鋳法により、フェルール製造用コアピンを製造するための型を作製する工程、及び
前記コアピン製造用の型を用いて粉末射出成形、粉末押出成形法により、フェルール製造用コアピンを作製する工程
とを有することを特徴とする方法。 - 請求項4〜6のいずれか1項に記載したコアピンを利用して多芯フェルール用金型を作製し、該金型を用いて多芯フェルールを製造する方法。
- 。
前記多芯フェルール用金型を利用して、プラスチック、金属、セラミックスのいずれかを含む材料を用いて射出成形加工する事により多芯フェルールを製造する、請求項9に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004376807A JP2006184460A (ja) | 2004-12-27 | 2004-12-27 | 多芯フェルール及び多芯フェルール製造用コアピン並びにその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006184460A true JP2006184460A (ja) | 2006-07-13 |
Family
ID=36737643
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004376807A Pending JP2006184460A (ja) | 2004-12-27 | 2004-12-27 | 多芯フェルール及び多芯フェルール製造用コアピン並びにその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006184460A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008032625A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Yokogawa Electric Corp | 双方向光モジュールおよびこれを用いた光パルス試験器 |
JP2012133139A (ja) * | 2010-12-22 | 2012-07-12 | Konica Minolta Advanced Layers Inc | 光ファイバフェルール |
-
2004
- 2004-12-27 JP JP2004376807A patent/JP2006184460A/ja active Pending
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