JP2003167163A - フェルールおよびフェルールの製造方法 - Google Patents

フェルールおよびフェルールの製造方法

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JP2003167163A JP2001369744A JP2001369744A JP2003167163A JP 2003167163 A JP2003167163 A JP 2003167163A JP 2001369744 A JP2001369744 A JP 2001369744A JP 2001369744 A JP2001369744 A JP 2001369744A JP 2003167163 A JP2003167163 A JP 2003167163A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバの心合わせを簡易かつ高精度に行
える構造のフェルールを提供する。 【解決手段】 光ファイバOFの周面が線接触で当接す
るファイバ支持部4が左右2箇所に現れる光ファイバ収
容溝3aを備える第1保持体2aと、光ファイバOFの
周面が線接触で当接するファイバ支持部4か上面1箇所
に現れる光ファイバ収容溝3bを備える第2保持体2b
とからフェルール1を構成し、第1保持体2aの光ファ
イバ収容溝3aと第2保持体2bの光ファイバ収容溝3
bより形成される光ファイバ収容孔内に収容された光フ
ァイバは、その心が定位置となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信等に使用す
る光ファイバの接続を容易にするために利用される光コ
ネクタにおいて、光ファイバを固定する固定具として用
いられるフェルールと、その製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光通信システムの構築時における光ファ
イバの接続に用いられる光コネクタでは、光ファイバを
固定するためにフェルールが用いられており、このフェ
ルールを種々の係脱手段が設けられた外装部材(フレー
ムやハウジングなど)に収納することで、光ファイバ同
士の接続や切り離しを容易にする光コネクタが形成され
るのである。光コネクタとしては、JIS規格で種々の
タイプが決められており、昨今は、高密度化・小型化の
要請から、矩形のフェルールによって12心までのリボ
ン状ファイバを一括接続するMTタイプの光コネクタの
需要が増している。MT型のフェルールは、セラミック
スあるいはプラスチックスで成形加工されており、この
成形には金型を用いている。そして、MT型のフェルー
ル成形用金型を製作する手段として、金属の切削加工、
放電加工、研磨加工等の機械加工やエッチング加工が用
いられている。
【0003】また、光ファイバを接続する作業において
は、光ファイバの先端に光コネクタを取り付けるため、
接続する夫々の光ファイバ先端の被覆を除去して接合用
治具に固定し、夫々の端面を研磨してファイバの中心と
フェルールの孔の中心を揃えてフェルールに接着若しく
は溶着し、このフェルールを外装部材に装着してコネク
タとして接続した場合に、両光ファイバのコア部分が面
合わせされるようにする。
【0004】なお、光ファイバの固定に用いるフェルー
ルの光ファイバ収容孔は、光ファイバの断面形状に合わ
せた円形であるが、光ファイバの挿入を容易にするた
め、光ファイバの径よりも若干大きく形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金型製
作における現在の機械加工では100〜200μmに近
接した領域で100〜200μmの形状を連続して2μ
m以下の精度を確保して加工することは不可能である。
これは、機械加工の過程で生じる金属歪みが加工周辺に
残留するためである。また、エッチング加工において
は、その原理上、金属素材の結晶粒界等に加工精度が依
存することとなり、高精度の加工が得られないのが現状
ある。
【0006】すなわち、通信設備の高密度化・小型化を
進める目的で採用されているMTタイプのフェルールで
は、フェルール成形用金型の作製に限界があり、フェル
ール製造に最も要求される小型化に限界が生じている。
【0007】更に、光ファイバを収容するためにフェル
ールに設ける光ファイバ収容孔の空間寸法と光ファイバ
の実径との差によって、フェルールに固定された光ファ
イバの中心位置が偏る為、フェルールに光ファイバを挿
入後、接着等により光ファイバを固定する時に、フェル
ールの芯と光ファイバの芯とを整合する必要があり、こ
の作業は、光コネクター製作工程で最も重要であり且つ
大きなコストを占める工程となっている。
【0008】すなわち、光ファイバの接続およびフェル
ールへの光ファイバ装着および光コネクター組立てに際
しては、調芯機や特殊な治具や測定具等の装置を用いて
個々に芯合わせをし、その状態を維持しつつフェルール
の内径と光ファイバの外形の間隙を埋める為に接着剤、
補助部品などを用いて固定しており、これらの接合組立
て技術は、光ファイバの導入初期に用いられてきた接合
組立て技術であり、光ファイバ接続作業の低廉・簡易化
が進まない要因となっている。
【0009】そこで、本発明は、光ファイバの心合わせ
を簡易かつ高精度に行える構造のフェルールを提供する
と共に、そのようなフェルールを高い加工精度で作成で
きるフェルールの製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、光ファイバを収容する光フ
ァイバ収容孔に収容した状態で光コネクタの外装部材に
組み込まれるフェルールであって、上記光ファイバ収容
孔を二分するように分割することで、各々光ファイバ収
容溝を備える第1保持体と第2保持体となし、上記第1
保持体の光ファイバ収容溝は、光ファイバの周面が線接
触で当接するファイバ支持部が2箇所以上現れる形状と
し、上記第2保持体の光ファイバ収容溝は、光ファイバ
の周面が線接触で当接するファイバ支持部か1箇所以上
現れる形状とし、上記第1保持体の光ファイバ収容溝に
おける2箇所以上のファイバ支持部に線接触することで
光ファイバが安定的に保持された状態で、第2保持体を
第1保持体に被せることにより、光ファイバ収容孔内に
光ファイバを収容するものとしたことを特徴とする。
【0011】また、請求項2に係る発明は、請求項1に
記載のフェルールにおいて、上記第1保持体と第2保持
体とにより形成される光ファイバ収容孔の一方端には、
テーパ状に広がる拡径部を有するものとしたことを特徴
とする。
【0012】また、請求項3に係る発明は、X線吸収膜
とX線透過膜とからなるX線マスクにX線を照射して基
板上に塗布されたフォトレジストを露光する際に、X線
マスクの三次元形状がフォトレジストへ高精度に転写さ
れ、且つX線照射方向の形状が拡大されるという特質を
利用して、フェルールの光ファイバ収容孔がX線照射方
向に形成される形状のX線マスクでフォトレジストを露
光し、これを現像し、フェルールの雄型もしくは雌型を
創製物として得ることにより、フェルールの成型用金型
を作成し、この金型でフェルールを成型するようにした
ことを特徴とする。
【0013】また、請求項4に係る発明は、請求項3に
記載のフェルール製造方法において、フェルールの光フ
ァイバ収容孔の一方端がテーパ状に広がるように、X線
マスクの三次元形状を設定したことを特徴とする。
【0014】また、請求項5に係る発明は、請求項3又
は請求項4に記載のフェルールの製造方法において、フ
ェルールの光ファイバ収容孔を二分するように分割され
た外観形状を呈する第1保持体と第2保持体に応じたX
線マスクを各々用いて、第1保持体および第2保持体の
雄型もしくは雌型を創製物として得るようにしたことを
特徴とする。
【0015】また、請求項6に係る発明は、請求項5に
記載のフェルールの製造方法において、第1保持体に形
成される光ファイバ収容溝には光ファイバの周面が線接
触で当接するファイバ支持部が2箇所以上現れ、第2保
持体に形成される光ファイバ収容溝には光ファイバの周
面が線接触で当接するファイバ支持部が1箇所以上現れ
るような形状となるように、夫々のX線マスクを作成す
るようにしたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るフェルールの
一実施形態を図1および図2に基づき説明する。
【0017】図1に示すように、フェルール1は第1保
持体2aと第2保持体2bとからなるもので、光ファイ
バを収容する光ファイバ収容孔3を二分するように分割
された外観形状を呈する。すなわち、第1保持体2aに
形成された光ファイバ収容溝3aと、第2保持体2bに
形成された光ファイバ収容溝3bとによって光ファイバ
収容孔3が形成されるのである。なお、本実施形態に示
すフェルール1は、2つの光ファイバ収容溝3,3を備
えるものとしたが、光ファイバ収容溝は一つでも良い
し、3以上のものでも構わない。
【0018】そして、上記第1保持体2aの光ファイバ
収容溝3aは、光ファイバOFの周面が線接触で当接す
るファイバ支持部4が左右2箇所に現れる形状としてあ
り、上記第2保持体2bの光ファイバ収容溝3bは、光
ファイバOFの周面が線接触で当接するファイバ支持部
4か上面1箇所に現れる形状としてある。すなわち、第
1保持体2aの光ファイバ収容溝3aにおける2箇所の
ファイバ支持部4,4に線接触することで光ファイバO
Fが安定的に保持された状態となり、この状態で第2保
持体2bを第1保持体2aに被せることにより、光ファ
イバ収容孔3内に光ファイバOFを収容すれば、3つの
接触点によって光ファイバOFの収容位置を一定にする
ことが出来る。よって、本発明に係るフェルール1を用
いれば、旧来のフェルールのように、光ファイバの芯調
整に熟練を要する必要が無く、簡易且つ迅速に光ファイ
バの収容作業を行うことが可能となり、このフェルール
を外装部材に装着して光コネクタとするまでの作業効率
を大幅に向上できる。
【0019】加えて、本実施形態に示すフェルール1の
光ファイバ収容溝3の一方端(光ファイバが挿入される
側)は、テーパ状に広がる拡径部5を形成してある。こ
の拡径部5は、光ファイバを挿入する時のガイドとして
有用である。
【0020】なお、本実施形態のフェルール1では、平
面と曲面から光ファイバ収容孔3を構成する物とした
が、光ファイバ収容溝3の形状は特に限定されるもので
はなく、光ファイバOFが収容孔内でガタつくことなく
安定に保持できるようなファイバ支持部が形成されてい
ればよい。例えば、断面形状が三角形や四角形といった
平面のみから構成される多角形としても良いし、楕円形
状とすることで、ファイバ支持部が現れるようにしても
良い。
【0021】また、理想的な光ファイバ収容溝3の形状
は、光ファイバOFと同径の光ファイバ収容溝3とする
ことによって、光ファイバの周面と面接触になる場合
(無限の線接触の連なりよりなる場合)であるが、この
ような光ファイバ収容孔の形成は、従来の加工技術では
実現不可能であった。これは、フェルールの光ファイバ
収容孔の形状に限らず、分割形状とした複数の光ファイ
バ保持体からなるフェルールを作成することも、従来技
術では到底不可能であった。そこで、以下に、本発明に
係るフェルールの製造方法を詳述する。
【0022】図3(a),(b)で示すのは、円柱状の
光ファイバ収容孔を持ったフェルールを形成するための
X線マスク10であり、X線吸収膜11とX線透過膜1
2とからなる。このX線マスク10を用いて図4の工程
のごとく、基板13上のレジストをX線で露光すると、
X線透過膜12に対応する部位のみがX線により露光さ
れてレジスト露光部14が生ずる。すなわち、レジスト
露光部14はフェルールの形状となり、X線吸収膜11
に対応する非露光部はフェルールの金型形状となる。な
お、X線の場合、レジストとしてPMMAやPTFEを
用いる。
【0023】この時、Xマスク10には、X線吸収膜1
1の厚さを変えることにより露光形態を異ならしめ、光
ファイバ収容孔となる部位の一部が拡径するようにして
ある。これは、X線吸収膜におけるX線吸収値の差によ
るもので、感光性レジスト上に形成される形状は、X線
マスクの3次元方向形状が感光性レジストに拡大して転
写されることとなる。このように、X線吸収膜とX線透
過膜とから構成したマスクを用いれば、サブミクロンの
形状を容易に作成する事が出来ると同時に、吸収体と保
持体とのコントラストは非常によくなり、露光されたレ
ジスト表面は容易に表面粗さ0.1μm以下の鏡面と精
度を作り出す事が出来る。
【0024】具体的には、サブミクロンの精度を保持し
たX線マスク、たとえば真円度0.1μm、ピッチ精度
0.1μmを有するX線マスクを用いる事で、極めて微
細で高精度なレジスト構造体を作り出す事が出来る。例
えば、X線マスクとして、X線透過膜としてのポリイミ
ド膜75μmにX線吸収体としてのAuを50〜60μ
mの厚さでパターンニングしたものを使用し、レジスト
であるPMMAの厚さを12mmとしてX線による感光
を行い、形成されたレジストの全体をNi−Fe合金で
高さ12mmまで電着し、レジストを除去すれば、ファ
イバ収容孔の長さが12mmであるフェルールの母型を
作製できる。この母型を用いて成型用金型を電鋳により
作製すれば、この金型からフェルールを樹脂成形で高精
度に作成できる。つまり、X線によるフォトリソグラフ
ィーと電鋳による成型方法を組合せる事により、精密な
フェルールを形成することが可能となる。
【0025】また、X線吸収値の差によるマスク形状と
して、図3のX線マスクにおけるX線吸収膜とX線透過
膜とを逆にしたものを用いれば、図5のような立体形状
のレジスト21を得る事が出来る。そして、導電性基板
22上にレジスト21を形成しておけば、導電性基板2
2から電着を行うことで、そのレジスト形状に沿った金
型23が得られる。
【0026】ここで、一方端がテーパ状に拡径する光フ
ァイバ収容孔を形成するためのX線マスクの作製例を図
7に基づき説明する。
【0027】先ず、基板31上に所要厚さの感光性レジ
スト32を塗布し、この感光性レジスト32表面へ第1
フォトマスク33を密着させ、X線マスクとして作成す
るテーパ部の角θだけ中心軸を傾けて、基板31を回転
させる(図7(a)参照)と、第1フォトマスク33の
開口33aから入射したUV光によって、感光性レジス
ト32は擂り鉢状に感光することとなり、台錐形の感光
部34aが生ずる(図7(b)参照)。なお、第1フォ
トマスク33は、基板31との相対位置を保持して回転
できれば、オフコンタクトであっても良い。
【0028】上記のようにして形成した感光部34aに
対して、更に円柱状の感光領域を生ぜしめるため、円柱
の径に対応する開口35aを有する第2フォトマスク3
5を配置した状態で再び露光する(図7(c)参照)。
かくして、円錐と円柱を組み合わせた形状の感光部34
bが得られ(図7(d)参照)、感光していないレジス
ト部分を除去すれば、テーパ付きの光ファイバ収容孔を
転写するための形状となったレジスト創製物が基板31
上にできるのである(図7(e)参照)。なお、同様の
方法でテーパ付き円柱を複数箇所に形成すれば、複数の
テーパ付き円柱を持つフォトマスクを作成できる。更
に、テーパ付き円柱の片側を全面露光すれば、露光しな
かった側にのみテーパ付きの半円柱が形成されるので、
分割フェルールにおける光ファイバ収容溝のような形状
も実現できる。
【0029】上述したようなX線によるフォトリソグラ
フィーと電鋳による成型方法を組合せて分割フェルール
を作成する場合、図8に示すようなX線マスク40を用
いれば良い。すなわち、フェルールの光ファイバ収容孔
を二分割するように2つの保持体を想定し、それに応じ
た形態の創製物が転写されるような形状のX線吸収膜4
1aと、この周囲を囲む枠状のX線吸収膜41bと、そ
の間を埋めるようなX線透過膜42とを形成するのであ
る。
【0030】そして、導体基板51上に十分な厚さで塗
布した感光性レジストへ上記X線マスク40を介在させ
た状態でX線を照射し、現像すれば、分割フェルールで
ある一方の保持体と同形状のレジスト創製物52a、お
よびレジスト創製物52aを囲むような枠状の創製物5
2bが現れる。かくして、レジスト創製物52a,52
bの間に生ずる空部53は、分割フェルール形成用の金
型として用いることができ、この空部53へ電鋳により
金属を形成すれば、そのまま分割フェルール用金型が得
られるのである。このようにして得られた金型を用いれ
ば、寸法安定性に優れた分割フェルール(第1保持体6
0a、第2保持体60b)を容易に量産することが出来
る。
【0031】次に、第1保持体60aおよび第2保持体
60bを用いて光ファイバを収容したフェルールに組み
立てる場合の具体例を図11に基づき説明する。
【0032】図11(a)のように、第1保持体60a
と第2保持体60bとが完全に分離している時には、フ
ェルール組立治具61に第1保持体60aをセットし、
被覆62aを除去して剥き出しにした光ファイバ62b
を第1保持体60aの光ファイバ収容溝内に置き、光フ
ァイバ62bの先端面と第1保持体60aの先端とをフ
ェルール組立治具61のストッパ面61aに突き当てて
位置合わせし、この状態で第2保持体60bを被せ、締
結バンド63を使って第1保持体60aと第2保持体6
0bとを一体化する。すなわち、光ファイバの外周とほ
ぼ一致する溝形状の第1保持体、もしくは、2箇所以上
の線接触により光ファイバを定位置で安定的に保持し得
る溝形状の第1保持体を使用することにより、接着剤等
の介在物を介する事無く組立てることができ、その結
果、調芯等の作業も不要となり、迅速かつ効率的な光フ
ァイバ接続作業を実現できる。
【0033】図11(b)のように、第1保持体60a
と第2保持体60bとが締結バンドで仮組されている時
には、第1,第2保持体60a,60bの各光ファイバ
収容溝の後側(光ファイバの挿入側)にテーパ状の拡径
部を有するものとし、且つ第1,第2保持体60a,6
0b後端に適宜な蝶番構造を与えることで、第1保持体
60aと第2保持体60bとを分離させることなく、第
1保持体60aの光ファイバ収容溝で光ファイバ62b
の位置合わせを容易に行えるようにしてある。よって、
フェルール組立治具61に第1保持体60aをセットし
た状態で拡径部のある側を軸として第2保持体60bを
持ち上げ、光ファイバ62bを挿入し、光ファイバ62
bの先端面と第1保持体60aの先端とをフェルール組
立治具61のストッパ面61aに突き当てて位置合わせ
し、この状態で第2保持体60bを閉じ、この状態で締
結バンド63により第1保持体60aと第2保持体60
bとを強固に締め付けて一体化すれば良いのである。
【0034】なお、上述したような方法で高精度の光フ
ァイバ挿通孔を形成したフェルールは、そのまま外装部
材に装着できるような形状としておくことで、旧来と同
様な方法により光コネクタとして組み立てることができ
るものの、電鋳メッキ法でメッキを厚くすると金属の析
出に時間が掛かり過ぎるため、コストアップになるの
で、光ファイバ収容孔などの主要部を含む必要最低限の
部分をフェルール用パーツとして、電鋳メッキ法により
形成し、この金属製のフェルール用パーツを金型にイン
サート成型することで、外装部材に組み付け可能なフェ
ルール形状を持たせるようにしても良い。
【0035】また、高精度の立体形状を実現できる本発
明方法の利点を活かして、フェルールにガイドピン挿入
孔を設けておくようにしても良い。すなわち、上述した
ような高精度の型を作成する際に、光ファイバ収容孔と
併せてガイドピン挿入孔を設けておけば、その型から電
鋳メッキ法により金属製のフェルールを析出させると、
光ファイバ収容孔とガイドピン挿入孔の位置寸法が高精
度に再現されるので、コネクタとしての係脱手段を有す
る外装部材に装着することなく、フェルール同士を直に
接続することが可能となる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るフ
ェルールによれば、光ファイバ収容孔を二分するように
分割することで、各々光ファイバ収容溝を備える第1保
持体と第2保持体となし、上記第1保持体の光ファイバ
収容溝は、光ファイバの周面が線接触で当接するファイ
バ支持部が2箇所以上現れる形状とし、上記第2保持体
の光ファイバ収容溝は、光ファイバの周面が線接触で当
接するファイバ支持部か1箇所以上現れる形状とし、上
記第1保持体の光ファイバ収容溝における2箇所以上の
ファイバ支持部に線接触することで光ファイバが安定的
に保持された状態で、第2保持体を第1保持体に被せる
ことにより、光ファイバ収容孔内に光ファイバを収容す
るものとしたので、光ファイバの芯調整に熟練を要する
必要が無く、光ファイバをフェルールに収容する組立作
業を簡易且つ迅速に行うことが可能となり、このフェル
ールを外装部材に装着して光コネクタとするまでの作業
効率を大幅に向上できる。
【0037】また、請求項2に係るフェルールによれ
ば、第1保持体と第2保持体とにより形成される光ファ
イバ収容孔の一方端に、テーパ状に広がる拡径部を有す
るものとしたので、光ファイバを挿入する時のガイドと
して有用である。
【0038】また、請求項3に係るフェルールの製造方
法によれば、X線吸収膜とX線透過膜とからなるX線マ
スクにX線を照射して基板上に塗布されたフォトレジス
トを露光する際に、X線マスクの三次元形状がフォトレ
ジストへ高精度に転写され、且つX線照射方向の形状が
拡大されるという特質を利用して、フェルールの光ファ
イバ収容孔がX線照射方向に形成される形状のX線マス
クでフォトレジストを露光し、これを現像し、フェルー
ルの雄型もしくは雌型を創製物として得ることにより、
フェルールの成型用金型を作成し、この金型でフェルー
ルを成型するようにしたので、X線露光を用いてX線マ
スクの形状を転写すると同時にマスクの形状および寸法
を、サブミクロンオーダーで管理する事が出来、その結
果として、高密度に隣接した立体形状が、従来のどの加
工方法よりも優れた寸法安定性を完璧に確保できる。よ
って、光ファイバの芯調整を別途行う必要がないほど高
精度のファイバ収容孔の実現が可能となり、従来の如
く、接着剤等の介在物を介する事無くフェルールを組立
てることができ、光ファイバ接続工程の大幅な技術革新
が可能となる。この結果、光ファイバ関連の施工技術が
容易化し、施工費用の大幅なコストダウンが可能とな
り、各種機器の末端まで光ファイバの敷設を容易かつ安
価に行うことができ、高密度、高速の情報社会の社会基
盤確立に大いに寄与できる。
【0039】また、請求項4に係るフェルールの製造方
法によれば、フェルールの光ファイバ収容孔の一方端が
テーパ状に広がるように、X線マスクの三次元形状を設
定したので、フェルールの光ファイバ収容孔へ光ファイ
バを挿入する際のガイドとして機能させることが出来
る。
【0040】また、請求項5に係るフェルールの製造方
法によれば、フェルールの光ファイバ収容孔を二分する
ように分割された外観形状を呈する第1保持体と第2保
持体に応じたX線マスクを各々用いて、第1保持体およ
び第2保持体の雄型もしくは雌型を創製物として得るよ
うにしたので、フェルールへの光ファイバの収容作業が
一層簡易化できる。
【0041】また、請求項6に係るフェルールの製造方
法によれば、第1保持体に形成される光ファイバ収容溝
には光ファイバの周面が線接触で当接するファイバ支持
部が2箇所以上現れ、第2保持体に形成される光ファイ
バ収容溝には光ファイバの周面が線接触で当接するファ
イバ支持部が1箇所以上現れるような形状となるよう
に、夫々のX線マスクを作成するようにしたので、第1
保持体と第2保持体を閉じて形成される光ファイバ収容
孔内で光ファイバを安定に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1保持体および第2保持体よりなるフェルー
ルの外観斜視図である。
【図2】(a)フェルールの正面図である。 (b)フェルールの上面もしくは下面図である。 (c)フェルールの背面図である。 (d)フェルールの側面図である。
【図3】(a)フェルール製造用X線マスクの上面図で
ある。 (b)図3(a)のb−b断面図である。
【図4】X線マスクを用いたレジスト創製工程の説明図
である。
【図5】レジスト創製物の外観斜視図である。
【図6】レジスト創製体とフェルール用金型の概略断面
図である。
【図7】フェルール製造用X線マスクの製造工程説明図
である。
【図8】(a)分割フェルール製造用X線マスクの上面
図である。 (b)図8(a)のb−b断面図である。
【図9】分割フェルールのレジスト創製物の外観斜視図
である。
【図10】分割フェルールの外観斜視図である。
【図11】分割フェルールへの光ファイバ装着工程を示
す説明図である。
【符号の説明】
OF 光ファイバ 1 フェルール 2a 第1保持体 2b 第2保持体 3 光ファイバ収容孔 3a 光ファイバ収容溝 3b 光ファイバ収容溝 4 光ファイバ支持部 5 拡径部 10 X線マスク 11 X線吸収膜 12 X線透過膜 13 基板 14 レジスト露光部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前野 耕一 神奈川県平塚市東八幡5丁目1番9号 古 河電気工業株式会社平塚事業所内 Fターム(参考) 2H036 JA01 QA12 QA18 QA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバを収容する光ファイバ収容孔
    に収容した状態で光コネクタの外装部材に組み込まれる
    フェルールであって、 上記光ファイバ収容孔を二分するように分割すること
    で、各々光ファイバ収容溝を備える第1保持体と第2保
    持体となし、 上記第1保持体の光ファイバ収容溝は、光ファイバの周
    面が線接触で当接するファイバ支持部が2箇所以上現れ
    る形状とし、 上記第2保持体の光ファイバ収容溝は、光ファイバの周
    面が線接触で当接するファイバ支持部か1箇所以上現れ
    る形状とし、 上記第1保持体の光ファイバ収容溝における2箇所以上
    のファイバ支持部に線接触することで光ファイバが安定
    的に保持された状態で、第2保持体を第1保持体に被せ
    ることにより、光ファイバ収容孔内に光ファイバを収容
    するものとしたことを特徴とするフェルール。
  2. 【請求項2】 上記第1保持体と第2保持体とにより形
    成される光ファイバ収容孔の一方端には、テーパ状に広
    がる拡径部を有するものとしたことを特徴とする請求項
    1に記載のフェルール。
  3. 【請求項3】 X線吸収膜とX線透過膜とからなるX線
    マスクにX線を照射して基板上に塗布されたフォトレジ
    ストを露光する際に、X線マスクの三次元形状がフォト
    レジストへ高精度に転写され、且つX線照射方向の形状
    が拡大されるという特質を利用して、フェルールの光フ
    ァイバ収容孔がX線照射方向に形成される形状のX線マ
    スクでフォトレジストを露光し、これを現像し、フェル
    ールの雄型もしくは雌型を創製物として得ることによ
    り、フェルールの成型用金型を作成し、この金型でフェ
    ルールを成型するようにしたことを特徴とするフェルー
    ルの製造方法。
  4. 【請求項4】 フェルールの光ファイバ収容孔の一方端
    がテーパ状に広がるように、X線マスクの三次元形状を
    設定したことを特徴とする請求項3に記載のフェルール
    製造方法。
  5. 【請求項5】 フェルールの光ファイバ収容孔を二分す
    るように分割された外観形状を呈する第1保持体と第2
    保持体に応じたX線マスクを各々用いて、第1保持体お
    よび第2保持体の雄型もしくは雌型を創製物として得る
    ようにしたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記
    載のフェルールの製造方法。
  6. 【請求項6】 第1保持体に形成される光ファイバ収容
    溝には光ファイバの周面が線接触で当接するファイバ支
    持部が2箇所以上現れ、第2保持体に形成される光ファ
    イバ収容溝には光ファイバの周面が線接触で当接するフ
    ァイバ支持部が1箇所以上現れるような形状となるよう
    に、夫々のX線マスクを作成するようにしたことを特徴
    とする請求項5に記載のフェルールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022113435A1 (ja) * 2020-11-27 2022-06-02 株式会社フジクラ フェルール及び光コネクタ

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