JPH06202341A - 微細構造体の形成方法 - Google Patents

微細構造体の形成方法

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JPH06202341A
JPH06202341A JP10693A JP10693A JPH06202341A JP H06202341 A JPH06202341 A JP H06202341A JP 10693 A JP10693 A JP 10693A JP 10693 A JP10693 A JP 10693A JP H06202341 A JPH06202341 A JP H06202341A
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resist layer
groove
fixing
forming
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Hiroshi Takada
博史 高田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Micromachines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 V溝等の傾斜した側面を有する溝を含む微細
構造体の形成方法を提供する。 【構成】 レジスト層2が形成された基板1を、ある方
向にある角度傾斜させて、マスク4を用いて、レジスト
層2について、シンクロトロン放射光を用いて選択的に
第1の露光をする。次に、第1の露光をしたレジスト層
2を有する基板1を、ある方向とは逆方向の他の方向に
ある角度傾斜させて、マスク4を用いて、シンクロトロ
ン放射光を用いて選択的に第2の露光をする。次に、レ
ジスト層2を現像し、V溝を有するレジストパターンを
形成し、レジストパターンを用いて、金属鋳型を形成
し、この金属鋳型を用いて、V溝を有する微細構造体を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微細構造体の形成方法
に関し、特にV溝形状の傾斜した側面を有する溝を含む
微細構造体を極めて高い精度で、かつ再現性よく形成す
る微細構造体の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路装置の製造技術を応用し
て、極めて微細な構造体を形成する微細加工技術の研究
が近年活発になってきている。その中で、X線を使った
深いリソグラフィと電解メッキで高アスペクト比の微細
構造体を形成するLIGA(Lithograph G
alvanformung und Abformun
g)法は、特に注目されているところである。NIKK
EI MECHANICAL 1900.11.26お
よびMENS 1991(Micro Electro
Mechanical Systems Works
hop)のプロシーディングスに示される従来のLIG
A法について基本工程を以下に示す。図19を参照し
て、まず図19(a)に示すように、典型的には、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)を材料とするレジス
ト層102を望みの厚さ(0.1mm〜1mm)で基板
101上に形成した後、金(Au)などの重金属の吸収
材100aをパターンとするマスク100を用い、シン
クロトロン放射のX線(以下SR光と略記)でレジスト
層102を露光する。ついで、現像を行なえば、図19
(b)に示すように、100以上のアスペクト比を有す
るレジストパターン103が得られる。次に、レジスト
パターン103を有する基板をメッキ液につけ、電気メ
ッキによって、金属の構造体104を堆積させる(図1
9(c))。この工程において、ニッケル(Ni)、銅
(Cu)または金(Au)などを堆積させることができ
る。続いて、図19(d)に示すように、レジストを除
いて得られた金属の構造体104を鋳型として、誘電性
プラスチックのモールド材105を構造体104に充填
する。さらに、図19(e)に示すように、モールド材
105に従い、誘電性プラスチック106と導電性プラ
スチックシート107からなるプラスチック型108を
形成する。続いて、図19(f)に示すようにモールド
材105を分離して、プラスチック型108を準備す
る。プラスチック型108の谷間に電鋳により金属10
9を堆積させる(図19(g))。次に、プラスチック
型を除くと、微細な金属構造体110を得ることができ
る(図19(h))。
【0003】LIGA法は、マイクロマシン、光学素
子、センサーおよびアクチュエーターなどの製造に利用
することができ、その応用範囲は非常に広い。
【0004】以上示してきた従来のLIGA法によっ
て、さらにマイクロギア等の種々の構造体を形成するこ
とができる。しかしながら、従来のLIGA法により形
成されてきた構造体は、図19(h)を参照して、基板
101に対して水平方向の面110aでは様々な形状を
とることができた一方、基板101に対して垂直方向の
面110bでは切り立った壁のような形状がほとんどで
あり、所望の形状が形成された、基板に対して水平方向
の面と、該面の側面として、幅方向ならびに深さ方向に
精度のきわめて高い、かつ再現性のよいV溝等の傾斜し
た側面を有する溝を含む微細構造体を形成することがで
きなかった。
【0005】従来、V溝等の傾斜した側面を有する溝を
含む微細構造体は、たとえば、ダイヤモンドカッター等
より形成されていた。
【0006】図20は、従来の光ファイバ用多芯一括コ
ネクタを概略的に示す斜視図である。図20を参照し
て、従来の光ファイバ用多芯一括コネクタ50は、接続
基準となる2本のガイドピン23が装着された雄型プラ
グ51と、2本のガイドピン23を挿入するための2つ
のガイドピン孔(図示せず)が設けられた雌型プラグ6
1とからなる。
【0007】雄型プラグ51は、複数の光ファイバ素線
が実装された光ファイバテープ心線52と、光ファイバ
テープ心線を保護するためのゴム製ブーツ53と、複数
の光ファイバ素線を固定するための複数の光ファイバ素
子固定孔54とが設けられたフェルール55とから構成
される。
【0008】また、雌型プラグ61は、複数の光ファイ
バ素線が実装された光ファイバテープ心線62と、光フ
ァイバテープ心線62を保護するためのゴム製ブーツ6
3と、複数の光ファイバ素線を固定するための複数の光
ファイバ素子固定孔(図示せず)とが設けられたフェル
ール65とから構成される。
【0009】従来の光ファイバ用多芯一括コネクタ50
を用いて、光ファイバテープ心線52のそれぞれの光フ
ァイバ素線と、光ファイバテープ心線62のそれぞれの
光ファイバ素線とを接続する際には、雄型プラグ51と
雌型プラグ61とを互いに向合わせ、雄型プラグ51に
装着された2本のガイドピン23を雌型プラグ61の2
つのガイドピン孔(図示せず)に挿入し、雄型プラグ5
1と雌型プラグ61とを接続し、クランクスプリング5
6により固定することによって、雄型プラグ51の光フ
ァイバ素子固定孔54に取付けられた光ファイバテープ
心線52のそれぞれの光ファイバ素線の端部と、雌型プ
ラグ61の光ファイバ素子固定孔(図示せず)に取付け
られた光ファイバテープ心線62のそれぞれの光ファイ
バ素線の端部とを接続する。
【0010】図21は、図20に示す雄型プラグ51を
概略的に示す分解斜視図である。図21を参照して、雄
型プラグ51の構造について詳細に説明する。雄型プラ
グ51は、1対のガイドピン23と、2つのガイドピン
固定用V溝24と複数の光ファイバ素線固定用V溝26
とを有する光ファイバ素線固定台21と、押さえ部材2
2とからなるガイド部20と、ガイド部20を収容する
プラスチック樹脂で成形された樹脂性フェルール本体部
55aと、樹脂性フェルール蓋部55bとからなるフェ
ルール55と、ゴム製ブーツ53と、複数の光ファイバ
素線57が実装された光ファイバテープ心線52とから
なる。
【0011】次に、雄型プラグ51を組立てる工程につ
いて説明する。まず、光ファイバ素線固定台21を樹脂
性フェルール本体部55aの所定領域Aに取付ける。次
に、光ファイバテープ心線52をゴム製ブーツ53に挿
通し、光ファイバテープ心線52の先端部の被覆を剥
ぎ、複数の光ファイバ素線57を露出し、光ファイバ素
線固定台21に設けられた光ファイバ素線固定用V溝2
6内にそれぞれ収容する。また、1対のガイドピン23
を、光ファイバ素線固定台21に設けられた2つのガイ
ドピン固定用V溝24内にそれぞれ収容する。次に、光
ファイバ素線固定台21に設けられたガイドピン固定用
V溝24と光ファイバ素線固定用V溝26を覆うように
押さえ部材22を設置する。これにより、ガイドピン固
定用V溝24内にガイドピン23が安定的に固定されて
取付けられ、また光ファイバ素線固定用V溝26内に光
ファイバ素線57が安定的に固定されて取付けられる。
次に、ゴム製ブーツ53を樹脂性フェルール本体部55
aの所定位置に係合させる。次に、樹脂性フェルール本
体部55aの上に樹脂性フェルール蓋部55bを位置合
わせし、四隅をネジ止めすることにより、図20に示し
たような雄型プラグ51を作成する。
【0012】図22は、図20に示す雌型プラグ61を
概略的に示す分解斜視図である。図22を参照して、雌
型プラグ61の構造について詳細に説明する。雌型プラ
グ61は、雄型プラグ51に設けられた1対のガイドピ
ン23を挿入するための2つのガイドピン固定用V溝2
4と、複数の光ファイバ素線固定用V溝26とを有する
光ファイバ固定台21と、押さえ部材22とからなるガ
イド部20と、ガイド部20を収容するプラスチック樹
脂で成形された樹脂性フェルール本体部65aと樹脂性
フェルール蓋部65bとからなるフェルール65と、ゴ
ム製ブーツ63と、複数の光ファイバ素線67が実装さ
れた光ファイバテープ心線62とからなる。
【0013】なお、雌型プラグ61を組立てる工程につ
いては、雄型プラグ51を組立てる工程と同様であるの
でその説明を省略する。
【0014】図23は、図21に示す雄型プラグ51の
ガイド部20のXXIII−XXIII線に従う概略的
な拡大断面図である。図23を参照して、ガイド部20
は、シリコン基板からなる光ファイバ素線固定台21と
押さえ部材22とを備える。光ファイバ素線固定台21
は、1対のガイドピン23を取付けるための2つのV溝
形状のガイドピン固定用V溝24と、光ファイバテープ
心線52の複数の光ファイバ素線57を取付けるための
複数のV溝形状の光ファイバ素線固定用V溝26とを有
する。
【0015】従来、V溝形状のガイドピン固定用V溝2
4と、V溝形状の光ファイバ素線固定用V溝26のそれ
ぞれは、シリコン基板を、ダイヤモンドカッターでV字
型に溝を切削加工して形成されている。ところで、シリ
コン基板をダイヤモンドカッターで切削することにより
形成されたガイドピン固定用V溝24と、光ファイバ素
線固定用V溝26は、光ファイバ素線固定台21の幅W
方向の位置精度は、0.1μm程度の誤差で高精度に形
成することができるが、それぞれのV溝の深さ方向に
は、数μmの誤差を生じる。V溝の深さ方向に、数μm
の誤差を生じると、たとえば、シングルモードの光ファ
イバとして通常用いられている光ファイバ素線は、クラ
ッド径125μmのものでは、コア径が9μmであるの
で、光ファイバ素線固定用V溝26の深さが、数μmの
ずれを生じると、光ファイバ用多芯一括コネクタの光フ
ァイバ素線同士の接続部において、光の損失が大きいと
いう問題があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題を解決するためになされたものであって、基板に対し
て水平方向の面において、所望の微細な二次元の図形を
高精度に、かつ再現性のよい形状で有する面と、基板に
対し縦方向に精度の高い、かつ再現性のよい傾斜した側
面を有する溝を含む微細構造体の形成方法を提供するこ
とを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に従う微細構造体
の形成方法は、V溝を有する微細構造体の形成方法であ
って、基板上にレジスト層を形成する工程と、レジスト
層が形成された基板を、入射光に垂直な面に対して、あ
る方向にある角度傾斜させて、レジスト層にV溝の一方
側面に相当する部分を選択的に露光する第1の露光工程
と、第1の露光工程により露光したレジスト層を有する
基板を入射光に垂直な面に対して、ある方向とは逆方向
の他の方向にある角度傾斜させて、第1の露光工程によ
り露光したレジスト層についてV溝の他方側面に相当す
る部分を選択的に露光する第2の露光工程と、第1およ
び第2の露光工程により露光したレジスト層を現像して
V溝を有するレジストパターンを形成する工程と、レジ
ストパターンを用いて、反転された形状のパターンを有
する金属鋳型を形成する工程と、金属鋳型を用いてV溝
を有する微細構造体を形成する。
【0018】
【作用】本発明に従う微細構造体の形成方法によれば、
入射光に垂直な面に対して、ある方向にある角度傾斜さ
せて、レジスト層にV溝の一方側面に相当する部分を選
択的に露光する第1の露光工程と、第1の露光工程によ
り露光したレジスト層を有する基板を入射光に垂直な面
に対して、ある方向とは逆方向の他の方向にある角度傾
斜させて、第1の露光工程により露光したレジスト層に
ついてV溝の他方側面に相当する部分を選択的に露光す
る第2の露光工程とを備えている。したがって、第1お
よび第2の露光工程により露光したレジスト層を現像す
ると、基板に対し、ある方向にある角度傾斜した側面
と、基板に対し、ある方向とは逆の方向の他の方向にあ
る角度傾斜した側面とからなるV溝を有する溝を含むレ
ジストパターンが形成される。次に、V溝を有するレジ
ストパターンを用いて、反転された形状のパターンを有
する金属鋳型を形成し、金属鋳型を用いてV溝を有する
微細構造体を形成すると、V溝を有する溝を含む微細構
造体が高精度にかつ再現性よく形成される。
【0019】
【実施例】本発明に従って、V溝を有する微細構造体の
形成方法について、図1〜図7を参照しながら以下に説
明する。図1を参照して、まず導電性基板1上に、たと
えば、PMMAをベースとするポジ型感光レジスト層2
を形成する。この工程において、V溝の最下端の頂点
が、導電性基板1とレジスト層2の界面と一致するよう
に、予め、導電性基板1上に塗布するレジスト層2の膜
厚を調整する。次に、図2に示す工程において、レジス
ト層2を形成した導電性基板1と、所定のパターンの吸
収体3を有するマスク4とを、ホルダー(図示せず)を
用い、マスク4とレジスト層2との間の距離L1 を一定
距離、たとえば、数10μm程度に保って、固定する。
なお、図2を参照して、マスク4の吸収体3は、スリッ
ト状の開口部4aを有し、かつマスク4の吸収体3の端
部のそれぞれには、たとえば、金(Au)等からなる全
吸収体層5が設けられる。吸収体3の端部のそれぞれ
に、全吸収体層5を設けるのは、マスク4をシンクロト
ロン放射光(SR光)に対して垂直な面6に対して、レ
ジスト層2が形成された導電性基板1とともに、ある方
向にある角度傾斜させることにより生じる吸収体3の端
部によるシンクロトロン放射光(SR光)に対するみか
け上の吸収体4の減肉を避けるためである。次に、シン
クロトロン放射光(SR光)に対して垂直な面6に対し
て、+αの角度だけ、マスク4およびレジスト層2が形
成された導電性基板1を傾斜させて、マスク4を用い
て、レジスト層2について、シンクロトロン放射光(S
R光)を用いて選択的に露光する第1の露光工程を行な
う。
【0020】次に、図3に示す工程において、図2に示
す第1の露光工程により露光したレジスト層2を有する
導電性基板1をシンクロトロン放射光(SR光)に対し
て垂直な面6に対して、−αの角度だけ、マスク4およ
びレジスト層2が形成された導電性基板1を傾斜させて
マスク4を用いて、レジスト層2について、シンクロト
ロン放射光(SR光)を用いて選択的に露光する第2の
露光工程を行なう。
【0021】次に、図4に示す工程において、第1およ
び第2の露光工程により露光したレジスト層2を現像す
ると、導電性基板1上にV溝7aを有するレジストパタ
ーン7が形成される。次に、図5に示す工程において、
レジストパターン7を有する導電性基板1全体を、たと
えば、メッキ液中に浸漬し、導電性基板1を電極として
用い、電気メッキ等を行なうことにより、たとえば、ニ
ッケル(Ni)、銅(Cu)等の金属構造体8をV溝7
aに埋込まれるように導電性基板1上に堆積する。次
に、図6に示す工程において、レジスト材を溶剤等を用
いて除去することによりレジストパターン7と反転形状
のパターンを有する金属鋳型9を形成する。この金属鋳
型9を用い、たとえば、フェノール系、ポリエステル系
等の熱可塑性樹脂を射出成形したり、またはエポキシ樹
脂等の熱硬化性樹脂をトランスファー成形する等、公知
の成形技術を用いることにより材料10を成形する。次
に、図7に示す工程において、金属鋳型9を取除くこと
により、V溝を有する微細構造体11が形成される。
【0022】実施例1では、レジスト層2を有する導電
性基板1とマスク4とをホルダー(図示せず)により、
一定距離を離して固定し、図2および図3のそれぞれに
おいて示す第1の露光工程、第2の露光工程において、
レジスト層2を有する導電性基板1をシンクロトロン放
射光(SR光)に対して垂直な面6から、それぞれ、+
α、−αの角度だけそれぞれ傾斜させるとともに、マス
ク4についてもそれぞれの工程において、それぞれ、+
α、−αの角度だけ傾斜させている。したがって、実施
例1によれば、マスクをシンクロトロン放射光(SR
光)に対して垂直な面に設置し、レジスト層が形成され
た基板のみをシンクロトロン放射光(SR光)に対して
垂直な面に対してある方向にある角度傾斜させて、マス
クを用いてレジスト層についてシンクロトロン放射光を
用いて露光する第1の露光工程を行ない、マスクをシン
クロトロン放射光に対して垂直な面に設置し、レジスト
層が形成された基板のみをシンクロトロン放射光に対し
て垂直な面に対してある方向とは逆方向の他の方向にあ
る角度傾斜させて、マスクを用いて、第1の露光工程に
より露光したレジスト層について、シンクロトロン放射
光を用いて露光する第2の露光工程を行なった場合は、
マスクとレジスト層との間のギャップが大きくなるため
に、回折による分解能の低下を招くが、実施例では回折
に起因する加工精度の低下を防ぐことができる。
【0023】また、図2〜図4を参照して、レジスト材
として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポ
ジ型X線感光レジスト材を用いた場合では、電子蓄積リ
ングから得られるX線を用い、マスク4を用いて、導電
性基板1上に形成したポジ型X線感光レジスト層2につ
いて、選択的に露光し、現像することにより、X線が照
射された部分のみが溶解する。X線に対して垂直な面6
方向にレジスト層2が形成された導電性基板1を設置し
て、マスク4を用いて、レジスト層2についてX線を用
いて露光し現像すれば、導電性基板1上に垂直に切立っ
た形状を有するレジストパターンを形成することができ
る。このレジストパターンのレジスト層の深さ方向への
高さは、使用するX線のエネルギーとレジスト材の物性
より定まる。一般的に用いられるポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)の場合は、X線の波長が5Åの場合、
レジストパターンのレジスト層の深さ方向へ、約150
μm程度まで形成でき、また、X線の波長が2Åの場
合、レジストパターンのレジスト層の深さ方向へ、約5
00μm程度まで形成できる。
【0024】したがって、本発明に従えば、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)を用いた場合、V溝の深さ
をX線の波長が5Åの場合は、約150×cosαμm
程度まで形成でき、X線の波長が2Åの場合は、約50
0×cosαμm程度まで形成することができる。
【0025】なお、実施例1では、第1の露光工程にお
いて、シンクロトロン放射光(SR光)に対して、垂直
な面6に対し、導電性基板1を+αの角度だけ傾斜し
て、シンクロトロン放射光(SR光)を用いて、レジス
ト層2について露光し、第2の露光工程において、シン
クロトロン放射光(SR光)に対して垂直な面6に対
し、導電性基板1を第1の露光工程とは逆の方向の他の
方向へ−αの角度だけ傾斜してシンクロトロン放射光
(SR光)を用いてレジスト層2について露光した例を
示したが、第1および第2の露光工程におけるシンクロ
トロン放射光(SR光)に対し垂直な面6に対する導電
性基板1の傾斜角度は、第1の露光工程と第2の露光工
程において、傾斜角度の絶対値が同じであってもまた、
相異なっていてもよい。また、第1の露光工程および/
または第2の露光工程において、露光を必要としないマ
スクに形成されたスリット状の開口部へは、シンクロト
ロン放射光(SR光)の照射領域をスリット等で可変と
することにより、不必要な露光部分がレジスト層に形成
されないようにする。
【0026】実施例2 この発明に従って光ファイバ多芯一括コネクタの雄型プ
ラグまたは雌型プラグのガイド部の形成方法について説
明する。
【0027】図8を参照して、図8は、本発明に従って
形成される雄型プラグのガイド部20を概略的に示す断
面図である。図8を参照して、このガイド部20は、プ
ラスチック材からなる光ファイバ素線固定台21と、押
さえ部材22を含む。光ファイバ素線固定台21は、1
対のガイドピン23を取付けるためのガイドピン固定用
V溝24と、複数の光ファイバ素線25のそれぞれを固
定するために設けられた、複数の光ファイバ素線25の
本数に対応する複数の光ファイバ素線固定用V溝26を
有する。ガイドピン固定用V溝24には、ガイドピン2
3が収容され、ガイドピン23は、押さえ部材22によ
り、ガイドピン固定用V溝24に取付けられる。
【0028】ガイドピン固定用V溝24の形状は、ガイ
ドピン固定用V溝24の一方側面24aと、他方側面2
4bと、押さえ部材22の下面22aの3点でガイドピ
ン23がそれぞれ接するように適切に選ばれている。
【0029】ガイドピン23の径をφG 、ガイドピン固
定用V溝24の深さをHG 、ガイドピン固定用V溝の頂
角を2αとすると、ガイドピン固定用V溝24の深さH
G は、下記に示す式(1)で示される。
【0030】
【数1】
【0031】また、光ファイバ素線固定用V溝26に
は、光ファイバ素線25が収容され、光ファイバ素線2
5は、押さえ部材22により、光ファイバ素線固定用V
溝26に取付けられる。光ファイバ素線固定用V溝26
の形状は、光ファイバ素線固定用V溝26の一方側面2
6aと、他方側面26bと、押さえ部材22の下面22
bの3点で光ファイバ素線25がそれぞれ接するように
適切に選ばれている。
【0032】光ファイバ素線25の径をφF 、光ファイ
バ素線固定用V溝26の深さをHF、光ファイバ素線固
定用V溝の頂角を2αとすると、ガイドピン固定用V溝
26の深さHF は、下記に示す式(2)で示される。
【0033】
【数2】
【0034】次に、本発明に従って、ガイドピン固定用
V溝24と光ファイバ素線固定用V溝26を有する光フ
ァイバ素線固定台21の形成方法について、図9〜図1
7を参照しながら以下に説明する。
【0035】図9を参照して、まず導電性基板31上
に、たとえば、PMMAをベースとするポジ型感光レジ
スト層32を形成する。次に、図10に示す工程におい
て、レジスト層32の表面上に、光ファイバ素線固定用
V溝26を形成したい領域に、ニッケル(Ni)等の金
属層33をスパッタリング等で蒸着する。次に、図11
に示す工程において、金属層33の表面上およびレジス
ト層32の表面上に、たとえば、PMMAをベースとす
るポジ型感光レジスト層34を形成する。この工程にお
いて、金属層33の表面上からのレジスト層34の膜厚
34a は、上述した式(2)に基づいて算出されたHF
と一致するように調整する。また、導電性基板31の表
面上に形成するレジスト層32の膜厚d32と、レジスト
層32の表面上からのレジスト層34の膜厚d34b の合
計した膜厚(d32+d34b )は、上述した式(1)に基
づいて算出されたHG と一致するように調整する。
【0036】次に、図12に示す工程において、レジス
ト層32、金属層33、および、レジスト層34が形成
された導電性基板31と、所定のパターンの吸収体35
を有するマスク36と、ホルダー(図示せず)を用い、
マスク36とレジスト層34との距離L2 を一定の距
離、たとえば数10μm程度に保って、固定する。な
お、図12を参照して、マスク36の吸収体35は、ス
リット状の開口部35aを有し、かつマスク36の吸収
体35の端部のそれぞれには、たとえば、金(Au)等
からなる全吸収体層37が設けられる。吸収体35の端
部のそれぞれに、全吸収体層37を設けるのは、マスク
36をシンクロトロン放射光に対して垂直な面に対し、
レジスト層32、金属層33およびレジスト層34が形
成された導電性基板31とともにある方向にある角度傾
斜させることにより生じる吸収体35の端部におけるシ
ンクロトロン放射光に対するみかけ上の吸収体35の減
肉を避けるためである。次に、シンクロトロン放射光に
対して垂直な面37に対して+αの角度だけ、マスク3
6、およびレジスト層32、金属層33、ならびに、レ
ジスト層34が形成された導電性基板31を傾斜させ
て、マスク36を用いて、レジスト層32およびレジス
ト層34について、シンクロトロン放射光(SR光)を
用いて選択的に露光する第1の露光工程を行なう。次
に、図13に示す工程において、シンクロトロン放射光
に対して垂直な面37に対して、−αの角度だけ、マス
ク36、およびレジスト層32、金属層33ならびに、
レジスト層34が形成された導電性基板31を傾斜させ
て、マスク36を用いて、レジスト層32およびレジス
ト層34について、シンクロトロン放射光(SR光)を
用いて選択的に露光する第2の露光工程を行なう。な
お、第1の露光工程および/または第2の露光工程にお
いて、露光を必要としないマスクに形成されたスリット
状の開口部へは、シンクロトロン放射光(SR光)の照
射領域をスリット等で可変とすることにより、不必要な
露光部分がレジスト層に形成されないようにする。次
に、図14に示す工程において、第1および第2の露光
工程により露光したレジスト層32とレジスト層34と
を現像すると、導電性基板31上に1対のガイドピン固
定用V溝を形成するためのV溝38と、光ファイバ素子
固定用V溝を形成するためのV溝39とを有するレジス
トパターン40が形成される。次に、図15に示す工程
において、レジストパターン40を有する導電性基板3
1全体を、たとえば、メッキ液中に浸漬し、導電性基板
31を電極として用い、電気メッキを行なうことによ
り、たとえば、ニッケル(Ni)等の金属構造体41を
V溝38とV溝39とに埋込まれるように導電性基板3
1上に堆積する。次に、図16に示す工程において、レ
ジスト材を溶剤等を用いて除去することによりレジスト
パターン40と反転形状のパターンを有する金属鋳型4
2を形成する。この金属鋳型42を用い、低成形収縮率
の熱硬化型エポキシ樹脂等のプラスチック材料43を成
形する。次に、図17に示す工程において、金属鋳型4
2を取除くことにより、1対のガイドピン固定用V溝2
4と、複数の光ファイバ素子25の本数に対応する複数
の光ファイバ素線固定用V溝26とを有するプラスチッ
ク材料からなる光ファイバ素線固定台21が形成され
る。次に、図18に示す工程において、1対の径φG
ガイドピン23を、ガイドピン固定用V溝24に収容
し、また、ゴム製ブーツ(図示せず)を通した光ファイ
バテープ心線の先端被覆を剥ぎ、露出させた複数の光フ
ァイバ素線25のそれぞれを光ファイバ素子固定用V溝
26に収容する。次に、ガイドピン固定用V溝24と光
ファイバ素線固定用V溝26を覆うように押さえ部材2
2を光ファイバ素線固定台21上に設けることにより、
ガイドピン23をガイドピン固定用V溝24内に、複数
の光ファイバ素線25のそれぞれを複数の光ファイバ素
線固定用V溝26内にそれぞれ安定的に取付けることに
よりガイド部20を形成する。なお、雄型プラグを組立
てる工程については、従来の工程と同様であるのでその
説明を省略する。また、雌型プラグについても、雄型プ
ラグと同様にして形成することができるのでその説明を
省略する。
【0037】図8および図11〜図14を参照して、実
施例2によれば、予め、ガイドピン23の径φG 、およ
び光ファイバ素線25の直径φF に合わせて、レジスト
層32およびレジスト層34の膜厚を調整し、シンクロ
トロン放射光を用いて、ガイドピン固定用V溝24を形
成するためのV溝38を導電性基板31とレジスト層3
2の界面において、V溝38の頂点が形成されるように
第1の露光工程および第2の露光工程を行ない、同時
に、光ファイバ素線固定用V溝26を形成するためのV
溝39をレジスト層32の表面に形成した金属層33と
レジスト層34との界面において、V溝39の頂点が形
成されるように第1の露光工程および第2の露光工程を
行なっている。シンクロトロン放射光は、直進性に優
れ、また、レジスト材は高感度を有するため、第1およ
び第2の露光工程により露光したレジスト層32とレジ
スト層34を現像すれば、位置精度の高い、ガイドピン
固定用V溝24を形成するためのV溝38と、位置精度
の高い、光ファイバ素線固定用V溝26を形成するため
のV溝39とを有するレジストパターンが形成される。
【0038】このレジストパターンに形成されたV溝3
8とV溝39とに埋込まれるように金属を導電性基板3
1上に堆積し、レジストパターンを除去すると、レジス
トパターンが反転された形状のパターンを有する金属鋳
型42が高精度にかつ再現性よく形成される。そして、
この金属鋳型42を用いて成形した光ファイバ素線固定
台21のガイドピン固定用V溝24および光ファイバ素
線固定用V溝26は、位置精度の極めて高いV溝とな
る。
【0039】本発明に従って形成されたこのようなV溝
は、V溝の深さ方向の深さが、レジストの膜厚であり、
V溝の深さ方向への誤差がダイヤモンドカッターで切削
することにより形成されたV溝の深さ方向への誤差に比
べ著しく低減される。したがって、本発明に従って形成
されたV溝を有する光ファイバ素線固定台を用いた光フ
ァイバ多芯一括コネクタは、従来のダイヤモンドカッタ
ーで切削することによって形成されたV溝を有する光フ
ァイバ素線固定台を用いた光ファイバ一括多芯コネクタ
に比べ、接続されるべき互いの光ファイバ素線同士のコ
ア部分の軸ずれ量が極めて小さいため、光ファイバの接
続部における光の損失を著しく低減することができる。
【0040】また、本発明に従って形成される光ファイ
バ多芯一括コネクタは、V溝を有する光ファイバ素線固
定台がプラスチック材等を成形することにより得られる
ので、従来のシリコン基板を用いた光ファイバ素線固定
台を用いた光ファイバ多芯一括コネクタに比べ、量産性
に優れ、かつ小型軽量である。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
結果、基板に対して水平方向の面においては、所望の微
細な二次元の図形を高精度に再現性のよい形状を有する
面が形成され、基板に対して、縦方向には、精度の高
い、かつ再現性のよいV溝等の傾斜した側面等を有する
溝を含む微細構造体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例としての微細構造体の形
成方法の第1工程を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明に従う一実施例としての微細構造体の形
成方法の第2工程を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明に従う一実施例としての微細構造体の形
成方法の第3工程を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明に従う一実施例としての微細構造体の形
成方法の第4工程を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明に従う一実施例としての微細構造体の形
成方法の第5工程を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明に従う一実施例としての微細構造体の形
成方法の第6工程を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明に従う一実施例としての微細構造体の形
成方法の第7工程を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明に従って形成される雄型プラグのガイド
部を概略的に示す断面図である。
【図9】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素線
固定台の形成方法の第1工程を概略的に示す断面図であ
る。
【図10】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第2工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図11】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第3工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図12】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第4工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図13】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第5工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図14】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第6工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図15】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第7工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図16】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第8工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図17】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第9工程を概略的に示す断面図で
ある。
【図18】本発明に従う一実施例としての光ファイバ素
線固定台の形成方法の第10工程を概略的に示す断面図
である。
【図19】従来のLIGA法の工程を示す模式図であ
る。
【図20】従来の光ファイバ多芯一括コネタクを概略的
に示す斜視図である。
【図21】従来の光ファイバ多芯一括コネタクの雄型プ
ラグを概略的に示す分解斜視図である。
【図22】従来の光ファイバ多芯一括コネタクの雌型プ
ラグを概略的に示す分解斜視図である。
【図23】図21に示す雄型プラグのXXIII−XX
III線に従う概略的な断面図である。
【符号の説明】 1 基板 2 レジスト層 3 吸収体 4 マスク 5 全吸収体 6 光に対して垂直な面 7 レジストパターン 7a V溝 8 金属構造体 9 金属鋳型 10 材料 11 微細構造体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 V溝を有する微細構造体の形成方法であ
    って、 基板上にレジスト層を形成する工程と、 前記レジスト層が形成された基板を、入射光に垂直な面
    に対して、ある方向にある角度傾斜させて、前記レジス
    ト層にV溝の一方側面に相当する部分を選択的に露光す
    る第1の露光工程と、 前記第1の露光工程により露光したレジスト層を有する
    基板を、入射光に垂直な面に対して、前記ある方向とは
    逆方向の他の方向にある角度傾斜させて、前記第1の露
    光工程により露光したレジスト層についてV溝の他方側
    面に相当する部分を選択的に露光する第2の露光工程
    と、 前記第1および第2の露光工程により露光した前記レジ
    スト層を現像してV溝を有するレジストパターンを形成
    する工程と、 前記レジストパターンを用いて、反転された形状のパタ
    ーンを有する金属鋳型を形成する工程と、 前記金属鋳型を用いてV溝を有する微細構造体を形成す
    る、微細構造体の形成方法。
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