JP2006183697A - ブレーキ装置用のアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】
簡素な構成でありながら、パーキングブレーキ装置と、車速調整用のブレーキ装置の双方に用いることができるブレーキ装置用のアクチュエータを提供する。
【解決手段】
車両が停止し、運転者がメインキーなどを抜き出すことで、主電源がオフとなった状態でも、コイルバネ14の付勢力によりナット10が軸線方向に押されることが許容されるため、ブレーキ装置20が不図示の車輪を制動する状態が維持される。従って、運転者が特に意識しなくても、メインキーを抜き出した後に、コイルバネ14の付勢力により自動的にパーキングブレーキが作動するので、坂道に車両を駐車した後に、無人で動き出すようなトラブルを未然に防止できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両のブレーキ装置等に用いられるアクチュエータに関する。
従来、車両用のパーキングブレーキ装置としては、てこの原理を活用した機械式手動ワイヤー駆動によるブレーキ装置が一般的であった。これに対し、運転者の省力化を図るべく、電動パーキングブレーキ装置が開発されている(特許文献1参照)。
特開2003−232391号公報
特許文献1の電動パーキングブレーキ装置において、車輪と一体で回転するディスクやドラムなどに摩擦パッドを押しつけるための電動モータの動力については、その伝達を許容する一方で、駐車中において、かかる摩擦パッドからの反力については、電動モータへの伝達を阻止するロック装置を設けており、それにより駐車中における電動モータの通電を回避し、省エネを実現している。しかるに、特許文献1のロック装置は構成が複雑であり、コストが増大するという問題がある。
更に、同一車両において、電動パーキングブレーキ装置と、車速調整用のブレーキ装置の双方を設けることは、車両の重量増加・高コスト化を招くので、こられを一体化できれば好ましい。ところが、一般的な車速調整用の電動ブレーキ装置は、車輪制動時に電動アクチュエータを駆動するものであり、車輪制動時には電動アクチュエータの非通電を原則とする電動パーキングブレーキ装置と相容れないという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でありながら、パーキングブレーキ装置と、車速調整用のブレーキ装置の双方に用いることができるブレーキ装置用のアクチュエータを提供することを目的とする。
本発明のアクチュエータは、車輪を制動するブレーキ装置を駆動するアクチュエータであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、
前記電動モータの動力を、ブレーキ装置に連結された移動部材に伝達する動力伝達機構と、
前記移動部材を付勢するバネ手段と、を備え、
前記移動部材は、前記バネ手段の付勢力により、前記ブレーキ装置に車輪を制動させる制動位置へと移動し、又前記電動モータの動力により、前記ブレーキ装置に車輪の制動を解除させる解除位置へと移動することを特徴とする。
本発明のアクチュエータによれば、前記移動部材が、前記バネ手段の付勢力により、前記ブレーキ装置に車輪を制動させる制動位置へと移動し、又前記電動モータの動力により、前記ブレーキ装置に車輪の制動を解除させる解除位置へと移動するようになっているので、前記アクチュエータの非通電時には、前記バネ手段の付勢力により前記移動部材は常に制動位置へと移動するため、駐車中における前記電動モータへの非通電を実現できる。一方、車両が走行する際には、前記電動モータへ通電することで、前記移動部材を解除位置へと移動させる必要があるが、前記移動部材が前記解除位置へと移動したときに、前記制動位置への移動を禁止するようにすれば、車両が走行中においても前記電動モータへの非通電を実現できる。
前記移動部材が前記解除位置へと移動したときに、前記制動位置への移動を禁止する禁止手段を有すると好ましい。
前記動力伝達機構は、前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記移動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構を含むと好ましい。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態であるアクチュエータの断面図であり、移動部材が制動位置にある状態で示す。図2は、本実施の形態であるアクチュエータの断面図であり、移動部材が解除位置にある状態で示す。
図1、2において、円筒状のハウジング1の図で右端に、電動モータ2が取り付けられている。電動モータ2の回転軸2aは、ハウジング1の内部を延在するねじ軸11の一端(図で右端)に、カップリング3を介してセレーション結合などで一体的に回転するように連結されている。ねじ軸11は、軸受4によりハウジング1内に固定された隔壁5に対して回転自在(軸線方向移動不能)に支持される丸軸部11aと、ねじ部11bとを有している。ねじ部11bの外周には、雄ねじ溝11cが形成されている。
隔壁5とカップリング3との間には、ソレノイド6が設けられている。ソレノイド6は通電により軸線方向に移動する移動片(不図示)を有し、移動片が軸線方向いずれかの方向に移動することで、隔壁5とカップリング3に係合して両者を相対回転不能な状態とし、或いは隔壁5もしくはカップリング3から係脱して両者を相対回転可能な状態とするようになっている。電動モータ2とソレノイド6は、CPUにより駆動制御されるようになっている。
ねじ軸11は、ナット10を貫通している。ナット10の内周面には、ねじ部11bの雄ねじ溝11cに対向して、雌ねじ溝10aが形成され、両ねじ溝11c、10aによって形成される螺旋状の空間(転走路)には、多数のボール12が転動自在に配置されている。尚、軸線方向移動要素であるナット10と、回転要素であるねじ軸11と、ボール12とでボールスクリュー機構(動力伝達機構)を構成する。
ハウジング1の外周に形成されたねじ孔1aには、先端にピン部7aを有するボルト7が螺合されており、ピン部7aは、ナット10の外周面に軸線方向に沿って形成された直線溝10bに係合している。ピン部7aと直線溝10bとの係合により、ナット10の軸線方向移動は許容しつつ回転が阻止されるようになっている。
ナット10の端面(図1、2で左端面)には、中空円筒状の移動部材8が結合されている。移動部材8は、ハウジング1の開口1bから外部へと突出し、ブレーキ装置であるドラムブレーキ20の駆動アーム21に、ワイヤ22を介して連結されている。開口1bの内周面には、移動部材8の外周面に当接するようにしてブッシュ9が設けられており、移動部材8を移動自在に支持している。ハウジング1と移動部材8との間には蛇腹13が設けられ、ハウジング1内部への異物の侵入を阻止している。
移動部材8の外周において、ハウジング1とナット10との間にバネ手段であるコイルバネ14が配置されている。コイルバネ14は、ハウジング1に対し、ナット10を図1,2で右方に向かって付勢している。ハウジング1の内周面と、コイルバネ14との間には、円管状のストッパ15が配置されている。尚、コイルバネ14の付勢力をFxとし、ワイヤ22の張力をTxとしたときに、ナット10の位置に関わらず、Fx>Txが成立するものとする。
本実施の形態の動作について説明する。車両が走行しようとする場合、まずCPUは、ソレノイド6を消勢して、カップリング3が隔壁5に対して回転可能となるようにする。更にCPUを介して電動モータ2に電力が供給され、それにより回転軸2aと共にねじ軸11が一方向へ回転する。かかる場合、コイルバネ14の付勢力に抗して、ねじ軸11の回転に応じてナット10及び移動部材8が軸線方向に移動して解除位置となるため、移動部材8にワイヤ22を介して連結された駆動アーム21が、図2に示す位置に戻ることを許容することとなる。従って、ブレーキ装置20は不図示の車輪の制動を解除する状態になる。このとき、ナット10がストッパ15に当接した段階で、センサもしくはスイッチがオンし、CPUを介してソレノイド6が動作して、カップリング3を隔壁5に対して相対回転不能となるようにロックする。それにより、コイルバネ14が圧縮状態になり、比較的大きな付勢力を発揮するようになっても、電動モータ2に通電することなく、移動部材8を解除位置に維持することが可能となり省エネを図れる。
一方、車両のブレーキペダル(不図示)と連動して、CPUは、ソレノイド6を消勢して、カップリング3が隔壁5に対して回転可能となるようにする。このとき、CPUは、電動モータ2に通電しないため、回転軸2及びねじ軸11は自由に回転できるので、コイルバネ14の付勢力によりナット10が軸線方向に押されることが許容される。かかる場合、図1に示すように、ナット10及び移動部材8が軸線方向に移動して制動位置となるため、移動部材8にワイヤ22を介して連結された駆動アーム21が、図1に示す位置へと移動することとなる。従って、ブレーキ装置20は不図示の車輪を制動する状態になる。尚、ブレーキペダルの動きと連動して、電動モータ2を微動させ、ブレーキ力を調整してもよい。
車両が停止し、運転者がメインキーなどを抜き出すことで、主電源がオフとなった状態では、コイルバネ14の付勢力によりナット10が軸線方向に押されて移動部材8が制動位置のままとなるため、ブレーキ装置20は不図示の車輪を制動する状態が維持される。本実施の形態によれば、運転者が特に意識しなくても、メインキーを抜き出した後に、コイルバネ14の付勢力により自動的にパーキングブレーキが作動するようになるので、坂道に車両を駐車した後に、無人で動き出すようなトラブルを未然に防止できる。
また、ブレーキ装置20本体は、現状のドラム、ディスク等の摩擦制動装置等をそのまま適用出来、そのブレーキ駆動力はアクチュエータ内のコイルバネ14の最適設計により、また、ブレーキ装置20の駆動アーム21の長さを調整することで、軽量の小型車両から大重量の大型車両まで幅広く適用させることが可能になる。
本実施の形態のアクチュエータは、独立しているため車両の空いているスペースへ収められる自由度があり、また、現行システムを殆ど変更せずそのまま使用出来るため、大きな変更コストを掛けずに適用可能となる。
更に、CPUをメインキーの回路と切り離し、キーレスエントリースイッチの様なシステムにし、メインキー本体にそのスイッチを付加し、パーキングブレーキを作動・解除するシステムにすることもできる。かかる場合、パーキングブレーキ作動中に、仮に車両のドアがこじ開けられてイグニッション配線を短絡されてしまったとしても、パーキングブレーキが作動している限り、車両を動かすことが困難となるので、一種のイモビライザとして盗難を回避することができる。特に、本発明のアクチュエータは、4輪のブレーキ装置に個々に適用することが容易であるので、パーキングブレーキ力を最大限発揮できる。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、ナットを電動モータで回転させ、ねじ軸を軸線方向に移動させても良い。この場合、ねじ軸が軸線方向移動要素、ナットが回転要素となる。
本実施の形態であるアクチュエータの断面図である。 本実施の形態であるアクチュエータの断面図である。
符号の説明
1 ハウジング
2 電動モータ
6 ソレノイド
8 移動部材
10 ナット
11 ネジ軸
12 ボール
14 コイルバネ
24 ボール

Claims (3)

  1. 車輪を制動するブレーキ装置を駆動するアクチュエータであって、
    ハウジングと、
    前記ハウジングに取り付けられた電動モータと、
    前記電動モータの動力を、ブレーキ装置に連結された移動部材に伝達する動力伝達機構と、
    前記移動部材を付勢するバネ手段と、を備え、
    前記移動部材は、前記バネ手段の付勢力により、前記ブレーキ装置に車輪を制動させる制動位置へと移動し、又前記電動モータの動力により、前記ブレーキ装置に車輪の制動を解除させる解除位置へと移動することを特徴とするブレーキ装置用のアクチュエータ。
  2. 前記移動部材が前記解除位置へと移動したときに、前記制動位置への移動を禁止する禁止手段を有することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記動力伝達機構は、前記電動モータの回転軸に連結された回転要素と、前記移動部材に連結された軸線方向移動要素と、前記回転要素と前記軸線方向移動要素との間に配置された転動体とを含み、前記回転要素の回転運動を、前記軸線方向移動要素の軸線方向運動に変換するボールスクリュー機構を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキ装置用のアクチュエータ。

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