JP2006183367A - 円筒鉄筋篭及び土留擁壁の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 丈夫で環境に優しい土留擁壁を迅速且つ安価に構築することができる土留擁壁の構築方法及びそれに使用する円筒鉄筋篭を提供する。
【解決手段】本発明にかかる円筒鉄筋篭1は、円筒状に配置した複数の縦筋からなる縦筋群と、当該縦筋群の外周に沿って固着した複数の円形筋からなる円筒筋群と、を備えたものである。また、本発明にかかる土留擁壁の構築方法は、円筒鉄筋篭1を、法面Bに沿って列柱状に、且つ、隣接する円筒鉄筋篭1の円形筋の側端部同士が交差するように法面Bに据付ける据付け工程と、隣接する円筒鉄筋篭1同士を連結する連結工程と、円筒鉄筋篭1上部から中詰材4を詰込する詰込工程と、を備えたものである。
【選択図】図6
【解決手段】本発明にかかる円筒鉄筋篭1は、円筒状に配置した複数の縦筋からなる縦筋群と、当該縦筋群の外周に沿って固着した複数の円形筋からなる円筒筋群と、を備えたものである。また、本発明にかかる土留擁壁の構築方法は、円筒鉄筋篭1を、法面Bに沿って列柱状に、且つ、隣接する円筒鉄筋篭1の円形筋の側端部同士が交差するように法面Bに据付ける据付け工程と、隣接する円筒鉄筋篭1同士を連結する連結工程と、円筒鉄筋篭1上部から中詰材4を詰込する詰込工程と、を備えたものである。
【選択図】図6
Description
本発明は、盛土または切土による法面が崩れ落ちて崩壊することを防止するため、所望の勾配で安定した法面を形成する土留擁壁の構築方法及びそれに使用する円筒鉄筋篭に関する。
盛土または切土による法面は、崩れ落ちて崩壊した場合、人的にも金銭的にも大きな損失が生じるため、通常、図8〜図11に示す土留擁壁などよって保護されている。
図8は、従来からある土留擁壁11の構造を示す断面図であり、この土留擁壁11は、法面B側の土砂を掘削し、仮留山留め土などにより法面Bが崩壊することのないような安定対策を施したのち、鉄筋コンクリート製L型垂直用壁11aを構築し、その法面B側を裏込材11bによって埋め戻して構築する(特許文献1を参照。)。
また、図9は、他の土留擁壁12の構造を示す断面図であり、この土留擁壁12は、予め工場などで組立てられた断面台形の鋼製の型枠12aを複数個施工現場に据付けて互いに接続したのち、この鋼製の型枠12a内にコンクリート12bを打設して構築する(特許文献2を参照。)。
さらに、図10は、別の土留擁壁13の構造を示す断面図であり、この土留擁壁は、地盤に打設して連結した鋼矢板13aと、その後方に別途法面Bに設けられた迎え壁13bとを連結して構築する(特許文献3を参照。)。
加えて、図11は、また別の土留擁壁14の構造を示す断面図であり、この土留擁壁14は、複数のコンクリートブロック14aを法面Bに沿って積み上げ、このコンクリートブロック14aの背面側(法面Bとコンクリートブロック14aとの間)にコンクリート14bを打設して構築する。
しかし、上記の土留擁壁には、つぎに掲げるような問題点があった。
まず、図8の土留擁壁11の構築には、法面B側の土砂の掘削と、構築後の埋め戻しが必要である。そして、施工現場の状態に合わせて、施工現場で鉄筋を組立ててコンクリートを打設しなければければならない。したがって、土留擁壁11の構築には、異なる技能を備えた専門技術者(鉄筋工、型枠工など)を多数手配しなければならならない、掘削土の仮置スペースや廃棄スペースが必要になる等、経済的、環境的な問題点があった。
また、図9の土留擁壁12の構築には、施工現場で型枠を構築したり、土砂の埋め戻しをしたりする必要はないものの、施工現場でコンクリートを打設せねばならず、コンクリートの打設や養生に時間を必要とし、施工完了までに時間がかかるとの問題点があった。
さらに、図10の土留擁壁13の構築には、迎え壁13bを埋設するため、土砂の掘削や埋め戻しが必要となるので、図8の土留擁壁11と同様に、経済的、環境的な問題点があった。
加えて、図11の土留擁壁14には、土砂の埋め戻しなどは生じないものの、施工現場でのコンクリートブロックの組立て、及びコンクリートの打設を行わなければならず、これらには多大な時間を必要するため、施工完了までに時間がかかるとの問題点があった。また、コンクリートブロック14a同士は、流し込まれたコンクリート14bだけで連結しているため、地震によって土留擁壁14が崩れ落ちることがあるとの問題点があった。
なお、図8から図11に示すいずれの土留擁壁も、完成後の法面Bはコンクリート又は鋼矢板によって覆われている。そのため、水際植物や、それを餌や隠れ家とする魚類、昆虫類、小動物などが育たず、土留擁壁のそばには、安定した生態系を持つ多様な動植物の生息空間、いわゆるビオトープ(biotope)が作れないとの問題点もあった。
特開平08−49248号公報
特開平09−250145号公報
特開平10−273915号公報
特開2003−301473号公報
そこで、本発明は土留擁壁を短時間、安価で構築することができるとともに、構築された土留擁壁が丈夫で環境に優しい土留擁壁の構築方法及びそれに使用する円筒鉄筋篭を提供することを課題とする。
本発明にかかる円筒鉄筋篭は、円筒状に配置した複数の縦筋からなる縦筋群と、当該縦筋群の外周に沿って固着した複数の円形筋からなる円筒筋群、又は前記縦筋群の外周に沿って螺旋状に巻き付けて固着した螺旋筋と、を備えたものである。
また、本発明にかかる土留擁壁の構築方法は、このような円筒鉄筋篭を、法面に沿って列柱状となるように、且つ、隣接する円筒鉄筋篭の円形筋又は螺旋筋の側端部同士が交差するように法面に据付ける据付け工程と、隣接する円筒鉄筋篭同士を連結する連結工程と、円筒鉄筋篭上部から中詰材を詰込する詰込工程と、を備えたものである。
本発明の土留擁壁の構築方法及び円筒鉄筋篭により、丈夫で環境に優しい土留擁壁を迅速且つ安価に構築することができる。
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる円筒鉄筋篭1の外観斜視図であり、この図に示すように円筒鉄筋篭1は円筒状に配置された複数の縦筋1aからなる縦筋群と、この該縦筋群の外周に沿って、溶接により固着した複数の円形筋1bからなる円形筋群と、を備えている。なお、縦筋群と円筒筋群は、円筒鉄筋篭1の中央部に収納空間1cを形成している。
円筒鉄筋篭1の直径は約1m程度であり、その長さは、施工する法面Bの長さ及び施工現場までの輸送に使用するトラックの搭載部の長さにも拠るが、約10m程度である。また、縦筋1a同士及び円形筋1b同士の間隔は、後述する中詰材4の径よりも小さければよく、それぞれ、約30cm及び約15cm程度であり、縦筋1a及び円形筋1bとして利用される鉄筋の直径は、強度、加工し易さ、材料コストなどを考慮すれば、約1cm程度である。
次に、この円筒鉄筋篭1を使用する本発明の土留擁壁Aの構築法について、その手順を示すフローチャートである図2を利用して説明する。図2に示すように、土留擁壁Aの構築方法は、基本的には据付け工程S2、連結工程S3、詰込工程S4の3つの工程を備えており、これに加えて据付け工程S2の前に土留擁壁Aの法面Bを準備する整地工程S1を備えている。そこで、以下に各工程の詳細について説明する。
まず、整地工程S1により土塁擁壁Aの構築を開始する。整地工程S1は、地山から土を掘削する切土作業、地山に土を盛り上げる盛土作業などの土木作業によって、土留擁壁Aの構築位置の横断面形状及び縦断面形状に基づいて、図3に示すような法面Bを形成する。なお、法面Bの法勾配は、円筒鉄筋篭1を据付けることができれば特に限定しなくてもよいが、1:1程度が好ましい。
法面Bの形成後、法面Bの土砂が吸出されるのを防止するため、法面B上に吸出防止材Cを敷設する。なお、吸出防止材Cは、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの織布、不織布からなるもの、軟質塩化ビニール樹脂(PVC)からなるものなど、従来からある一般的なものであれば、特に限定することなく使用することができる。
据付け工程S2は、整地工程S1で形成した法面Bを覆うように、円筒鉄筋篭1を法面Bに沿って列柱状に、且つ、隣接する円筒鉄筋篭1、1、1・・・の側面を構成する円形筋の円弧部分が互い違いに交差するように、クレーンなどによって配置する工程である。また、図4は据付け工程S2完了後の状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は円筒鉄筋篭1の上側から見た図(平面図)である。なお、円筒鉄筋篭1の構成・配置をより明確にするため、図4(a)及び4(c)においては、吸出防止材Cの記載及び円筒鉄筋篭1の連なりの記載を省略している(図5、6においても同じ。)。そして、このようにして配置された複数の円筒鉄筋篭1、1、1・・・は、その交差部分に縦筋方向に連続した凸レンズ形状の空隙2が空いている。
連結工程S3は、円筒鉄筋篭1の空隙2に鉄筋3を縦筋方向に沿って人手等により挿入する工程であり、これによって隣接する円筒鉄筋篭1同士は互いに強固に連結して壁形状となる。また、図5は連結工程S3完了後の状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は円筒鉄筋篭1の上側から見た図(平面図)である。なお、鉄筋3の直径は、強度、加工し易さ、材料コストなどを考慮すれば約1cm程度であり、その断面形状については特にこだわらないが、入手のし易さを考えると丸形状であること(丸鋼)が好ましい。
詰込工程S4は、互いに連結され壁形状となった円筒鉄筋篭1、1、1・・・の収納空間1cに、バックホー(油圧ショベル)や人手により中詰材4を詰め、土留擁壁Aを構築する工程であり、これによって中詰材4の重量が法面Bに加わり、土留擁壁Aが法面Bを覆った状態で設置される。また、図6は詰込工程S4完了後の状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は円筒鉄筋篭1の上側から見た図(平面図)である。ちなみに、中詰材4としては、石材、袋詰コンクリートなどが挙げられ、詰め込み作業のし易さなどを考慮すると、その直径は10cm以上であり、15cm程度が好ましい。
このように、土留擁壁Aの構築に当っては、型枠の製造や土砂の埋め戻しなどが生じないため、より安価に土留擁壁を構築することができる。また、土留擁壁Aの構築に当っては、施工現場で型枠の構築やコンクリートの打設を行う必要がないので、施工時間が短い。さらに、土留擁壁Aを構成する円筒鉄筋篭1は、鉄筋3によって互いに強固に連結されており、内部に錘となる中詰材4を収納しているため、地震によっても崩れ難い。
なお、本発明は上記の実施例に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲内において様々な変更を加えることができる。
まず、上記の土塁擁壁Aの表面に、目土を客土したり(客土工程)、客土した土に植物を植えたりしてもよい。これにより、植えた植物及び客土中の雑草が繁茂し、それを隠れ家や餌として利用する昆虫や小動物があつまり、土留擁壁A付近にビオトープが形成されるので、水際などにより自然な緑化護岸を構築することができる。
また、円筒鉄筋篭1に替えて、図7に示すような、円筒状に配置した複数の縦筋10aからなる縦筋群と、当該縦筋群の外周に沿って螺旋状に巻き付けて固着した螺旋筋10bとを備えている円筒鉄筋篭10を使用してもよい。円筒鉄筋篭10は、円筒鉄筋篭1のように円筒筋1bを縦筋1aの周囲に嵌め込むのではなく、縦筋10aの回りに自動巻き付け溶接機により鉄筋(螺旋筋10b)を巻きつけることによって生産できるので、円筒鉄筋篭1よりも連続的に生産するには適しており、生産性が高い。さらに、円筒鉄筋篭1、円筒鉄筋篭10の下端に鋼棒などで底板を設け、中詰材の流出が減り土塁擁壁Aをより安定させることもできる。
1、10 円筒鉄筋篭
2 空隙
3 鉄筋
A 土留擁壁
B 法面
C 吸出防止材
2 空隙
3 鉄筋
A 土留擁壁
B 法面
C 吸出防止材
Claims (7)
- 円筒状に配置した複数の縦筋からなる縦筋群と、当該縦筋群の外周に沿って固着した複数の円形筋からなる円筒筋群と、を備えている円筒鉄筋篭。
- 円筒状に配置した複数の縦筋からなる縦筋群と、当該縦筋群の外周に沿って螺旋状に巻き付けて固着した螺旋筋と、を備えている円筒鉄筋篭。
- 長手方向の少なくとも一方の端部に、中詰材の流出を防止する底板を備えている請求項1又は2に記載の円筒鉄筋篭。
- 請求項1から請求項3の何れかに記載の円筒鉄筋篭を、法面に沿って列柱状に、且つ、隣接する円筒鉄筋篭の円形筋又は螺旋筋の側端部同士が交差するように法面に据付ける据付け工程と、隣接する円筒鉄筋篭同士を連結する連結工程と、円筒鉄筋篭上部から中詰材を詰込する詰込工程と、を備えている土留擁壁の構築方法。
- 連結工程において、隣接する円筒鉄筋篭の交差部分に鉄筋を挿入して、円筒鉄筋篭同士を連結する請求項4に記載の土留擁壁の構築方法。
- 据付け工程の前に、吸出防止材を敷設する工程を備えている請求項4又は5に記載の土留擁壁の構築方法。
- 詰込工程の後に、土留擁壁表面に目土を客土する客土工程を備えている請求項4から請求項6の何れかに記載の土留擁壁の構築方法。
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JP2004379502A JP2006183367A (ja) | 2004-12-28 | 2004-12-28 | 円筒鉄筋篭及び土留擁壁の構築方法 |
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JP2022025950A (ja) * | 2020-07-30 | 2022-02-10 | 小岩金網株式会社 | 土木構造物及び土木構造物の構築方法 |
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2004
- 2004-12-28 JP JP2004379502A patent/JP2006183367A/ja active Pending
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