JP2006182301A - 鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置 - Google Patents
鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】鉄道車両が縦曲線路を高速で走行するときに生ずる遠心力による台車枠に対する車体の相対高さの変化をなくし、上下ストッパ当りを回避可能とする。
【解決手段】鉄道車両1の走行中、走行位置検出手段11はこの鉄道車両1の走行位置を検出する。鉄道車両1が縦曲線路の近傍地点に達すると、高さ制御装置9は、記憶手段12からこの縦曲線路に関する軌道情報を読み出し、縦曲線路での上下方向の遠心力による車体2の台車枠3に対する相対高さの変化を打ち消す目標相対高さと早め距離とを算出する。そして、鉄道車両1が縦曲線路の始点より早め距離だけ手前に達すると、高さ変更手段6に制御力を発生させ、縦曲線路の始点では、車体2の相対高さがこの目標相対高さとなるようにする。これとともに、空気ばね5の給排気動作も行なわれ、車体2の相対高さが目標相対高さとなった後は、縦曲線路を通過し終えるまでこの給排気動作を停止する。
【選択図】図1
【解決手段】鉄道車両1の走行中、走行位置検出手段11はこの鉄道車両1の走行位置を検出する。鉄道車両1が縦曲線路の近傍地点に達すると、高さ制御装置9は、記憶手段12からこの縦曲線路に関する軌道情報を読み出し、縦曲線路での上下方向の遠心力による車体2の台車枠3に対する相対高さの変化を打ち消す目標相対高さと早め距離とを算出する。そして、鉄道車両1が縦曲線路の始点より早め距離だけ手前に達すると、高さ変更手段6に制御力を発生させ、縦曲線路の始点では、車体2の相対高さがこの目標相対高さとなるようにする。これとともに、空気ばね5の給排気動作も行なわれ、車体2の相対高さが目標相対高さとなった後は、縦曲線路を通過し終えるまでこの給排気動作を停止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、鉄道車両の上下ストッパ当りを防止する装置に係り、特に、縦方向に凹凸の地形による曲線路(以下、縦曲線路という)を走行中に台車に対する車体の相対的な高さ(以下、車体の相対高さという)を制御することにより、鉄道車両の上下ストッパ当りを防止する装置に関する。
従来、鉄道車両での車体の相対高さを変更する技術として、高さ調整弁を用いる技術が知られている。高さ調整弁は、空車・満車等の車両状態に起因する重量差による車高の変化を抑えるために用いられるものであって、車体・台車間に設けられた空気ばねに給排気動作を行なってこれを準静(可逆)的に伸縮制御し、車体の相対高さを一定高さに保つように制御を行なうものである。空気ばねは、鉄道車両の左右両側に設けられている。
また、かかる高さ調整弁を用いて車体の相対高さを変更させる他の例として、平面状の地形上での曲線路(横曲線路)を走行時に高さ調整弁で空気ばねを伸縮するようにした技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
これは、鉄道車両を横曲線路に沿って走行させるために、この横曲線路の曲線状態や鉄道車両の速度に応じて鉄道車両を傾斜させるものであるが、この際の鉄道車両の左右両側の空気ばね毎にその目標空気ばね高さを高さ検知器の車高情報に基づいて変更し、高さ調整弁により鉄道車両の傾きによって夫々の空気ばねの高さがその目標空気ばね高さになるようにして、車体の傾きを規制するものである。台車と車体との間には、台車に対する車体の上下動の範囲を規制するための上下ストッパが設けられており、上下ストッパの隙間が所定となるように、高さ調整弁によって空気ばねの伸縮状態が制御されているのであるが、鉄道車両が横曲線路を走行するときに傾くと、車体の左右一方側が降下あるいは上昇することにより、上下ストッパの隙間がなくなり、いわゆる上下ストッパ当りが生じて乗り心地が悪化するが、上記特許文献1に記載の発明では、上記のように、目標空気ばねの高さを変更することにより、かかる上下ストッパ当りを防止するものである。
特開2000−71981号公報
一般に、鉄道車両が高速で走行しながら、上下方向に凸の縦曲線路を通過するとき、上下方向の遠心加速度は速度の2乗に比例するために、速度の増加とともに車体に作用する上下方向の遠心力が急激に増加する。このため、車体の上下変位が大きくなって上下ストッパ当りが発生し、この衝撃によって乗り心地が悪くなる。
図14は鉄道車両が縦曲線路を走行するときの車体の台車に対する相対高さ(車体の相対高さ)の変位を示す図であって、横軸を距離、縦軸を車両の相対高さの変位を夫々表わしており、ここでは、破線間が凹状の縦曲線路である。
ほぼ平坦な線路を走行しているときには、上下ストッパ間の隙間が所定の大きさとなるように、空気ばねの伸縮状態が設定されており、そのときの車体の相対高さが図示する中立位置である。また、上下ストッパの位置は、図示するように、この中立位置よりも低い位置となる。
図14での実線は鉄道車両の走行に伴う車体の相対高さの軌跡を示すものであって、この軌跡は、上下方向の細かい振動等により、上下に細かく変動する軌跡となる。鉄道車両が縦曲線路を走行するようになると、上記の上下方向の遠心力により、車体の相対高さが小さくなり(即ち、上下ストッパ間の隙間が小さくなり)、高速に走行する場合には、車体の相対高さが上下ストッパの位置の高さとなることもあり(これにより、上下ストッパ間の隙間がなくなる)、上下ストッパ当りが発生することになる。
左右方向のカント(傾き)の場合では、上記特許文献1に記載の技術のように、車体の姿勢を変えることによって上下ストッパ当りを防止することができるが、上下方向に関しては、上記のように、この上下方向の大きな遠心力によって生ずる上下ストッパ当りに対し、車体の姿勢を変えることによって重力等の別の力を作用させて遠心力を低減する方法があればよいが、このような方法はない。そこで、上下ストッパ当りを回避するためには、車体に上下方向の力を加えて車体の高さを変更する必要がある。車体の相対高さを変更する方法として、上記の高さ調整弁を用いる方法がある。
ところで、高さ調整弁では、動的には、振動による車体の変位に対して作動しないように、不感帯が設けられている。このため、通常、高さ調整弁が指令を受けてから動作開始するまでに3秒程度の時間がかかるものあり、応答が遅い。通常、縦曲線路には、横曲線路のように、緩和曲線がないため、縦曲線路に進入すると、急激に上下方向の遠心力が作用し、車体はこの作用力に敏速に応答する。このことから、高さ調整弁で車体の相対高さを変更させようとする場合、その応答時間が3秒では、動作が間に合わず、上下ストッパ当りが発生し、乗り心地が悪化することになる。
また、車体の相対高さを変更する技術として、上記特許文献1に記載の方法があるが、この方法では、横曲線路の通過時の制御に関してのみしか考慮されておらず、縦曲線路の通過の車体の相対高さ応答に対する制御に関して考慮されていない。そのため、横曲線路の通過時には、上下ストッパ当りを回避できるが、縦曲線路の通過時には、上下ストッパ当りが発生し、乗り心地が悪化するという問題が生じることになる。
本発明の目的は、かかる問題を解消し、高速で縦曲線路を通過するときの上下方向の遠心力による車体の相対高さの変化を制御可能とすることにより、縦曲線路の通過時での上下ストッパ当りを回避して、乗り心地を良くすることができるようにした鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、鉄道車両の現在の走行位置を検出する走行位置検出手段と、縦曲線路に関する軌道情報が記録されている記憶手段と、鉄道車両における台車枠に対する上下方向の車体の相対高さを変更する高さ変更手段と、高さ変更手段を制御する高さ制御装置とを備え、走行位置検出手段から得られる走行位置情報と記憶手段から得られる縦曲線路の軌道情報とに基づいて、縦曲線路の近傍あるいは縦曲線路を走行するとき、高さ変更手段を制御して、縦曲線路の走行時に車体に作用する上向きまたは下向きの遠心力とは逆向きの制御力を車体に作用させ、車体の相対高さを変更させるようにするものである。
また、本発明は、鉄道車両における台車枠に対する上下方向の車体の相対高さを測定する高さセンサと、車体の相対高さを変更する高さ変更手段と、高さ変更手段を制御する高さ制御装置とを備え、高さ制御装置は、高さセンサで検出される車体の相対高さの中立位置からの変位量を算出し、変位量の絶対値が所定の閾値を超えたとき、変位量の絶対値が閾値以下となるように、高さ変更手段を制御して、車体の相対高さを変更させるようにするものである。
さらに、本発明は、鉄道車両の車体に配置され、車体の上下方向の加速度を検出する加速度センサと、鉄道車両の台車枠に対する上下方向の車体の相対高さを変更する高さ変更手段と、高さ変更手段を制御する高さ制御装置とを備え、高さ制御装置は、加速度センサで検出される加速度信号の高周波成分を除去するフィルタと、フィルタでフィルタ処理した加速度信号に基づいて、縦曲線路の走行時に作用する上下方向の加速度とは逆向きの制御力を高さ変更手段に発生させる制御力演算部とからなり、制御力により、車体の相対高さを変更するものである。
本発明によれば、縦曲線路の通過状況に対応して台車枠に対する車体の相対高さを変更するものであるから、ストッパ当りを回避することができ、縦曲線路を高速に通過しても、乗り心地を悪化させることはない。
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
図1は本発明による鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置の第1の実施形態を示す構成図であり、1は鉄道車両、2は車体、3は台車枠、4は車軸、5は空気ばね、6は高さ変更手段、7は高さ調整弁、8は元溜め、9は高さ制御装置、10は速度検出手段、11は走行位置検出手段、12は軌道情報記憶手段である。
同図において、鉄道車両1は、主として、車体2と台車枠3と車軸4とから構成されており、車軸4は回転可能な状態で台車枠3に取り付けられている。車体2は台車枠3に空気ばね5によって弾性支持されており、これにより、台車枠3から車体2に伝達される振動が低減される。また、台車枠3と車体2との間には、図示しないが、台車枠3に対する車体2の相対高さ(以下、車体2の相対高さという)の上限,下限を規定する上下ストッパが設けられている。
この第1の実施形態の鉄道車両の上下ストッパ当りの防止装置は、かかる鉄道車両1に配置されており、主に車体2の相対高さを変更する高さ変更手段6と、高さ変更手段6を制御する高さ制御装置9と、鉄道車両1の現在の走行速度を検出する速度検出手段10と、鉄道車両1の現在の走行位置を検出する走行位置検出手段11と、鉄道車両1が走行する縦曲線路などの線路に関するデータが軌道情報として記録されている軌道情報記憶手段12とから構成される。
速度検出手段10は、車軸4に取り付けられ、車軸4の回転速度、従って、鉄道車両1の走行速度に応じて周波数等が変化する電気信号を発生する速度発電機で構成されており、鉄道車両1の走行速度を検出する。
走行位置検出手段11は、速度検出手段10から検出され走行速度を積算して、鉄道車両1の現在の走行位置を算出する。ここで、走行位置検出手段11は、ATC(Automatic Train Control)信号を用いて、現在の走行位置を算出するように構成してもよいし、鉄道車両1が走行する軌道から発せられるトランスポンダアンテナあるいはGPS(Global Positionning System)を用いて、走行位置を直接算出するように構成してもよい。
軌道情報記憶手段12には、鉄道車両1が走行する路線に関する情報が、軌道情報として、記憶されており、縦曲線路については、その位置(始点や終点など)やその縦曲線路の半径,長さ,凸凹などの情報(縦曲線路データ)が、軌道情報として、記憶されている。また、軌道情報記憶手段12に記憶されている縦曲線路データには、路線を通常の運行ダイヤで走行するときの目標速度(計画速度)や車体2の重量等の車両に関する情報も含まれている。この場合、縦曲線路に対しては、夫々毎に縦曲線路データが設定されているが、上に凸の縦曲線路と下に凸(凹)の縦曲線路との複数の縦曲線路が連続して1つの上下する縦曲線路をなす場合には、「上に凸の縦曲線路が連続する区間」と「下に凸の縦曲線路が連続する区間」毎に縦曲線路データが軌道情報として記録されるようにしてもよい。
高さ制御装置9は、鉄道車両1が縦曲線路を目標速度で走行しようとするとき、走行位置検出手段11から得られるこの鉄道車両1の現在の走行位置と軌道情報記憶手段12に記録されているこの縦曲線路に関するデータである軌道情報とに基づいて、この縦曲線路に対応した車体2の相対高さの目標値(以下、車体2の目標相対高さという)を算出し、この算出結果に応じて高さ調整弁7を制御することにより高さ変更手段6を駆動し、車体2の相対高さを車体2の目標相対高さに変更する。
次に、高さ変更手段6及び高さ調整弁7の詳細を図2を用いて説明する。但し、13はシリンダ、14,15はジョイント、16は締め切り弁、17は調整棒、18は回転角センサ、19は配管であり、図1に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
同図において、高さ変更手段6と高さ調整弁7とは、空気ばね5に並列に配置され、車体2と台車枠3とを結合するように配置されている。ここでは、高さ変更手段6は上下方向に伸縮するシリンダ13で構成され、シリンダ13の両端は、回転可能なジョイント14,15により、車体2と台車枠3とに結合されている。シリンダ13は、油圧により、伸縮駆動するものとする。この油圧駆動の場合、作動油をシリンダ13に送る手段として、サーボアンプを用いて油をシリンダ13に送るようにしてもよいし、電動で駆動するギアポンプを用いて油をシリンダ13に送るようにしてもよい。あるいは、シリンダ13は、別の駆動方法として、空気圧により駆動するものとしてよいし、電動で駆動する構成として、リニアモータを用いたもの、あるいは、ボールネジと回転モータで構成してもよい。
高さ調整弁7は、調整棒17,回転角センサ18及び締め切り弁16から構成されており、圧縮空気が溜められている元溜め8に配管19により接続されている。台車枠3に対して車体2が上下方向に相対変位すると、調整棒17が上下に移動し、回転角センサをこの相対変位の量に比例して回転角だけ回転させる。高さ調整弁7は、この回転角に適応して締め切り弁16を開閉し、元溜め8から配管19を介して空気を空気ばね5に給気し、あるいは空気ばね5から空気を排気し、空気ばね5の高さを変更する。締め切り弁16は、通常、開の状態にあって、細かい振動などの外乱や車体2の重量の変化に応じて車体2の高さが変化するのを調整できるようにしているが、後述するように、鉄道車両1が縦曲線路を通過するときには、閉の状態にして、高さ調整弁7と空気ばね5との間の空気流路を遮断し、高さ調整弁7が作用しないようにする。
次に、図1,図2に示す第1の実施形態の動作及び処理の流れを図3に示すフローチャートを用いて説明する。
走行位置検出手段11は、速度検出手段10で検出される鉄道車両1の走行速度を積算して、この鉄道車両1の現在の走行位置を算出している(ステップS1)。
高さ制御装置9は、ステップS1で鉄道車両1の現在の走行位置が算出される毎に、この得られた現在の走行位置を軌道情報記憶手段12に記録されている縦曲線路データ(軌道情報)での位置情報と比較参照し(ステップS2)、この鉄道車両1が現在縦曲線路の近傍を走行しているか(縦曲線路の開始地点から予め決められた所定の距離の位置(以下、これを縦曲線路の近傍位置という)に達したか)、走行していないかを判定する(ステップS3)。縦曲線路の近傍位置に達していない場合は、高さ制御装置9は高さ変更手段6を制御せず、鉄道車両1は現在の状態を保ったまま走行するようにする。
鉄道車両1が縦曲線路の近傍位置に達した場合には(ステップS3)、高さ制御装置9は、軌道情報記憶手段12からこの鉄道車両1が近づいている縦曲線路に関する軌道情報を読み取り、これを参照して、現時点での(即ち、縦曲線路ではない線路を走行しているときの)車体2の相対高さの位置(以下、これを車体2の中立位置という)からの縦曲線路での車体2の目標相対高さZgと早め距離dLとを算出する(ステップS4)。この実施形態では、縦曲線路の始点(開始地点)よりも手前の地点で、即ち、鉄道車両1が縦曲線路を走行開始するよりも早めに車体2の中立位置からの相対高さをこの目標相対高さZgに設定する上下ストッパ当り防止動作を開始させるものであるが(以下、この地点を上下ストッパ当り防止動作の開始地点という)、早め距離dLは、この上下ストッパ当り防止動作の開始地点から縦曲線路の始点までの距離をいう。
上記の車体2の目標相対高さZgと早め距離dLとは、次のようにして求められる。
まず、走行しようとする縦曲線路に関する軌道情報を軌道情報記憶手段12から読み取り、この軌道情報の車体重量m,縦曲線路の半径R,この縦曲線路での目標速度Voを用いで、次式
Fz=m・Vo2/R ……(1)
の演算を行なうことにより、鉄道車両1がこの縦曲線路を通過するときに車体2に作用する上下方向の遠心力Fzを算出する。
Fz=m・Vo2/R ……(1)
の演算を行なうことにより、鉄道車両1がこの縦曲線路を通過するときに車体2に作用する上下方向の遠心力Fzを算出する。
次に、空気ばね5の上下ばね定数kzを用いて、縦曲線路を通過中にこの遠心力Fzによって生ずる車体2の上下定常変位Zsを、次式
Zs=Fz/kz ……(2)
により、算出する。即ち、半径Rの上に凸もしくは下に凸の縦曲線路を目標速度Voで走行することにより、車体2に下向きもしくは上向きの遠心力Fzが発生することになり、これにより、車体2は中立位置から下方(台車枠3に近づく方向)に、もしくは上方(台車枠3から離れる方向)に変位することになる。
Zs=Fz/kz ……(2)
により、算出する。即ち、半径Rの上に凸もしくは下に凸の縦曲線路を目標速度Voで走行することにより、車体2に下向きもしくは上向きの遠心力Fzが発生することになり、これにより、車体2は中立位置から下方(台車枠3に近づく方向)に、もしくは上方(台車枠3から離れる方向)に変位することになる。
これを、鉄道車両1が下に凸の縦曲線路を走行するものとして、図4により説明すると、鉄道車両1がこの縦曲線路の走行を開始すると、上記式(1)で表わされる下向きの遠心力Fzにより、図4(a)に示すように、上記式(2)で表わされる変位量Zsだけ車体2の相対高さがその中立位置から低下する。ここで、鉄道車両1の走行中では、車体2の細かい振動が生ずるから、この振動の振幅をΔZdとすると、図4(b)に示すように、車体2の相対高さは、さらに、振動の振幅ΔZd分低下し、(Zs+ΔZd)だけ低下することになる(なお、図4(b)では、簡略に図示するため、振動は一部しか示していない)。
このような車体2の相対高さの低下をなくし、縦曲線路の走行中もこの車体2の相対高さを車体2の中立位置に保持するためには、この低下分(Zs+ΔZd)だけ車体2の相対高さをその中立位置から高めるようにすればよい。但し、このように車体2の相対高さを高めた場合、上ストッパへの当りが生じないようにすることが必要であり、このために、図4(c)に示すように、この縦曲線路の走行中に生ずる最大の遠心力Fz0によって上記式(2)で表わされる最大の定常変位Zs0が発生しても、上ストッパとの間に少なくとも所定の隙間(上ストッパ隙間)Zstが保持されるように、車体2の目的相対高さZgを設定する。
ここで、鉄道車両1の縦曲線路の走行開始とともに、上記式(1)に示す遠心力Fzが発生し、これに伴って上記式(2)に示す定常変位Zsが生ずる場合には、高さ制御装置9は、図4(c)により、この車体2の目標相対高さZgを、次式、
Zg=Zs+ΔZd−Zst ……(3)
により算出し、車体2をその中立位置からこの目標相対高さZgだけ上方に変位させるように、高さ変更手段6を制御する。高さ変更手段6は、この目標相対高さZgに対し、次式、
Fa=kz・Zg ……(4)
の制御力Faを発生する。これにより、遠心力Fzによる変位Zsを相殺するようにするものである。
Zg=Zs+ΔZd−Zst ……(3)
により算出し、車体2をその中立位置からこの目標相対高さZgだけ上方に変位させるように、高さ変更手段6を制御する。高さ変更手段6は、この目標相対高さZgに対し、次式、
Fa=kz・Zg ……(4)
の制御力Faを発生する。これにより、遠心力Fzによる変位Zsを相殺するようにするものである。
ここで、Zg<0、従って、Zs+ΔZd<Zstの場合には、上ストッパとの隙間が充分であり、ストッパ当りが生ずる可能性が低いので、車体2の目標相対高さZg=0として、上下ストッパ当り防止のための制御は行なわない。
また、以上は鉄道車両1が下に凸の縦曲線路を走行する場合であったが、上に凸の縦曲線路を走行する場合も同様である。
また、上記の早め距離dLは、高さ変更手段6の応答速度及び鉄道車両1の走行速度に依存する。ここで、鉄道車両1が縦曲線路に入る前の(即ち、縦曲線路の近傍位置での)走行速度をV、高さ変更手段6の応答速度に関する定数をkとすると、早め距離dLは、次式、
dL=k・V ……(5)
により、求められる。
dL=k・V ……(5)
により、求められる。
以上のようにして、高さ制御装置9は、鉄道車両1が縦曲線路の近傍位置を走行するとき、この縦曲線路での車体2の目標相対高さZgと高さ変更手段6を動作開始させるための縦曲線路の開始地点からの早め距離dLとを求める(図3のステップS4)。
この車体2が縦曲線路の開始地点から早め距離dLだけ手前の上下ストッパ当り防止の動作開始地点に達すると、高さ制御装置9は、車体2の相対高さが上記の目標相対高さZgとなるように、高さ変更手段6を制御してシリンダ13を伸長させる。この制御によって車体2の相対高さが変化すると、これとともに、図2で説明したように、車体2に関して調整棒17が低くなるから、回転角センサ18が反時計廻り方向に回転し、締め切り弁16が回転角に応じた開状態となる。これにより、元留め8から配管19を介して空気ばね5に空気が送りこまれ、車体2の相対高さが目標相対高さZgとなるように、空気ばね5の高さが変更される。車体2の相対高さがこの目標相対高さZgもしくはこれに近い高さに設定されて高さ変更手段6の制御が終わると、高さ制御装置9は締め切り弁16を締め切って閉状態にする。これにより、空気ばね5の高さが所定に保持されて車体2の相対高さがほぼ目標相対高さZgに設定される(ステップS5)。
かかる目的相対高さZgの設定制御は、鉄道車両1が縦曲線路の始点に達するとき(即ち、鉄道車両1が早め距離dLを走行する間)には、終了しており、この状態で鉄道車両1は縦曲線路に進入する。高さ制御装置9は、この縦曲線路の通過中、高さ調整弁7が作動しない状態を維持する。これにより、鉄道車両1は、車体2の相対高さをほぼこの目標相対高さZgに維持したまま、縦曲線路を走行することになる(ステップS6)。
このように、早め距離dLだけ手前で高さ変更手段6を駆動開始することにより、この早め距離dLを走行して縦曲線路へ進入するときには、時間遅れなく車体2の相対高さが目標相対高さZgに設定されていることになる。また、高さ制御装置9は、車体2の相対高さを目標相対高さZgに設定する制御の終了とともに、締め切り弁16を締め切り、高さ変更手段6の制御が終了するまでは締め切った状態に維持される。これにより、高さ変更手段6によって高さが変更されている際中に、高さ調整弁7が作動して高さ制御を妨害しないようにする。
縦曲線路通過後、高さ制御装置9は、高さ変更手段6を駆動して、車体2の目標相対高さZgを中立位置に戻す。これにより、空気ばね5が強く圧縮された状態となり、調整棒17が車体2に関して上昇した状態となり、この上昇量に応じて回転角だけ回転角センサ18が時計廻り方向に回転する。そして、この状態で高さ制御装置9が締め切り弁16を開放する。これにより、空気ばね5から配管19を介して元溜め8に空気が戻り、空気ばね5の高さが車体2の相対高さが中立位置となる目的相対高さとなるようにする。これとともに、高さ制御装置9が締め切り弁16を締め切る。これにより、車体2の相対高さが元の中立位置に復帰することになる(ステップS7)。
図5は以上の動作を示すタイミング図である。ここでは、鉄道車両1が下に凸の縦曲線路を通過するものとしており、図5(a)は高さ制御装置9で算出される車体2の目標相対高さZgを破線で、同図(b)は車体2の相対高さの変化を実線で、同図(c)は高さ変更手段6の制御力Faを破線で、同図(d)は高さ調整弁7の状態を破線で夫々示しており、xiは縦曲線路の始点、xoは縦曲線路の終点、xsは始点xiよりも早め距離dLだけ手前の上下ストッパ当り防止動作の開始地点である。ここで、中立位置はゼロとしており、車体2の相対高さはこのゼロの中立位置からの上下の高さである。
鉄道車両1が縦曲線路の始点よりも手前の図示しない近傍地点に達すると、高さ制御装置9が、先の式(1)〜(3)により、車体2の目標相対高さZgと早め距離dLとを算出する。なお、このときの車体2の目標高さは、図5(a)に破線で示すように、ゼロの中立位置であり、車体2の相対高さは、図5(b)に実線で示すように、この中立位置であり(ここで、車体2の相対高さは、車体2に加わる振動も含めて表わしており、このため、その軌跡はジグザグに表わしている)、高さ変更手段6の制御力は、図5(c)に破線で示すように、ゼロであり、高さ調整弁7は、図5(d)に破線で示すように、On(オン)状態にある。
鉄道車両1が縦曲線路の始点から上記の算出した早め距離dLだけ手前の上下ストッパ当り防止の動作開始地点xsに達すると、車体2の相対高さが、図5(a)に示すように、上記の算出した目標相対高さZgとなるように、高さ制御装置9が高さ変更手段6を制御する。これにより、高さ変更手段6のシリンダ13が伸長し、図5(c)に示すように、制御力Faが生じて、車体2の相対高さを増加させる。このとき、高さ調整弁7は、図5(d)に示すように、On状態にあるから、上記のようにして、締め切り弁16が回転角センサ18の回転角に応じた状態で開状態にあり、元溜め8から配管19を介して空気ばね5に空気が送りこまれる。これにより、車体2の相対高さが、図5(b)に示すように、上記の目標相対高さZgもしくはその近くに設定される。このようにして、車体2の相対高さをほぼ目標相対高さZgに設定する制御が終了すると、図5(d)に示すように、締め切り弁16を締め切って高さ調整弁7をOff(オフ)状態とし、車体2の相対高さをほぼ目標相対高さZgに保持させる。
鉄道車両1が始点xiから縦曲線路に進入すると、車体2に下向きの上記式(1)の遠心力Fzが作用する。このときにも、図5(c)に示すように、高さ変更手段6に制御力Faが発生しているが、この制御力Faに抗して遠心力Fzが作用するため、図5(b)に示すように、車体2の相対高さが目標相対高さZgから下方に変位する。また、これとともに、車体2に対して調整棒17が上昇し、回転角センサ18が回転するが、図5(d)に示されるように、高さ調整弁7がOff状態にあるので、空気ばね5の給排気は行なわれない。
ここで、縦曲線路の始点xiよりも早め距離Lだけ手前の上下ストッパ当り防止の動作開始地点xsで予見的に車体2を上方に変位させているため、縦曲線路の始点xiでは、車体2の相対高さは目標相対高さZgに近い値になっており、その結果、縦曲線路への進入時には、遠心力Fzが発生して車体2が下方に(即ち、台車枠3の方に)変位しても、これに遅れることなく、充分に下ストッパまでの距離を確保することができるから、ストッパ当りを回避することができる。
縦曲線路の通過中では、車体2の相対高さを目標相対高さZgに維持するように高さ変更手段6の制御力Faや空気ばね5の高さが作用していることにより、車体2の上下変位の絶対値は、上ストッパ隙間より小さい値の状態に保たれる。この結果、ストッパ当りを回避し、上下ストッパ当りによる乗り心地の悪化を回避できる。
鉄道車両1が縦曲線路の終点xoに達し、縦曲線路を通過し終わると、車体2にこれので作用していた下向きの遠心力が作用しなくなるため、車体2の相対高さが増加する。高さ制御装置9は、縦曲線路の終点xoを通過すると、車体2の目標相対高さを中立位置に変更し、高さ変更手段6や高さ調整弁7を制御して空気ばね5の高さを変更し、車体2の相対高さを中立位置に復帰させる。その結果、車体2の相対高さが中立位置に戻される。
ここで、高さ変更手段6は、図5(c)に示すように、鉄道車両1が動作開始地点xsから縦曲線路の終点x0までを通過中、車体2の相対高さを目標相対高さZgに保持するため、制御力Faを発生した状態に保持されるが、鉄道車両1が縦曲線路を通過し終わると、制御力Faを発生しない状態に切り替えられる。
また、高さ調整弁7は、図5(d)に示すように、縦曲線路を走行しているときには、締め切り弁16を閉状態にして空気ばね5の給排気をしないOff状態に保持されており、これにより、上記のように、遠心力Fzによる車体2の相対高さの変更動作を妨げないようにする。縦曲線路を通過後には、高さ調整弁7をOnの状態に復帰させ、外乱や車重の変化等に対して車体2の高さを調整できるようにする。
なお、以上の説明は、鉄道車両1が下に凸の縦曲線路を通過する場合であったが、上に凸の縦曲線路を通過する場合も、同様である。但し、この場合には、図5(a)における車体2の目標相対高さZgと図5(c)に示す高さ変更手段6の制御力Faとは、中立位置に関して図示とは逆の下向きに表わされるものであり、従って、図5(b)に示す車体2の相対高さも、上下反転したものとなる。
以上のように、この第1の実施形態では、縦曲線路の位置に対応して、車体2を上・下遠心力に対して逆向きに変位させることにより、縦曲線路の通過中の車体2とストッパとの間の隙間を大きくすることになる。このため、縦曲線路の通過中の車体2の上・下変位の許容範囲を、中立位置からではなく、目的相対高さからと大きくすることができ、ストッパ当りを回避可能とし、乗り心地を悪化させずに高速に縦曲線路を通過することが可能になる。
また、縦曲線路に進入する手前で車体2の相対高さを予見的に制御するので、縦曲線路の進入時に急激に作用する上・下方向の遠心力に対する車体2の上・下方向の変位に対して、これに遅れることなく、上・下ストッパ隙間が大きい状態を実現することができ、ストッパ当りを回避することができる。
なお、この第1の実施形態では、1つの縦曲線路に関して、車体の相対高さを上方向または下方向に制御するものとしたが、上に凸の縦曲線路が複数連続する区間では、その区間全体に亘って車体2を下向きに変位した状態を保ち、その区間を通過した後に車体2の相対高さを中立位置に戻すように制御してもよい。また、下に凸の縦曲線路が複数連続する区間では、その区間全体に亘って車体2を上向きに変位した状態を保ち、その区間を通過した後に車体2の相対高さを中立状態に戻すようにし制御してもよい。これにより、縦曲線路の通過に伴う高さ変更手段6の駆動回数を減少させ、また、高さ変更時のエネルギー消費量を抑えることができる。また、個々の縦曲線路の間隔が短い場合に高さ変更の対応が可能になる。
図6は本発明による鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置の第2の実施形態の要部を示す構成図であって、6aは高さ変更手段であり、図2に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
先の第1の実施形態では、車体2と台車枠3の間に、高さ変更手段6を空気ばね5とは並列に配置されるものとしたが、この第2の実施形態では、高さ変更手段を空気ばね5と直列に配置したものである。
図6において、高さ変更装置6aは、空気ばね5と直列に、即ち、空気ばね5の下方にこの空気ばね5と当接するようにして台車枠3に配置される。この高さ変更装置6aは、例えば、直動シリンダによって構成されており、この直動シリンダが伸縮することにより、車体2の相対高さを変更することができるようにしている。直動シリンダは油圧シリンダで構成されて、油圧により駆動するものであるが、空圧シリンダで構成し、空気圧により駆動する形態としてもよいし、また、直動シリンダをボールネジとナットで構成し、電動で駆動する形態としてもよい。
この第2の実施形態においても、図2に示す高さ変更手段6を用いた場合と同様、縦曲線路の位置に適応してこの高さ変更手段6aを駆動し、車体2の相対高さを上記の目的相対高さZgに変更することにより、ストッパ当りを回避することが可能であって、乗り心地を悪化させずに、高速に縦曲線路を通過することが可能となる。
図7は本発明による鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置の第3の実施形態の要部を示す構成図であって、6bは高さ変更手段、20は給気弁、21は排気弁、23は締め切り弁であり、図2に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、高さ変更手段6bは、給気弁20と排気弁21と締め切り弁22とから構成される。
締め切り弁22は空気ばね5に接続されている。給気弁20は元溜め8に配管19により接続され、また、締め切り弁22を介して空気ばね5に接続されている。締め切り弁22が開いているときに、給気弁20を開放することにより、元溜め8の空気が空気ばね5に送られる。その結果、空気ばね5は伸長し、車体2の相対高さが大きくなる。排気弁21は、締め切り弁22を介して空気ばね5の接続されている。締め切り弁22が開いているときに、排気弁21を開放することにより、空気ばね5の空気を排気する。その結果、空気ばね5は縮み、車体2の相対高さが小さくなる。
鉄道車両が縦曲線路を通過するのに対応して、車体2の相対高さを上記の目標相対高さZgに変更する場合には、締め切り弁22を開放し、給気弁20または排気弁21を有効(開状態)にする。このとき、締め切り弁16を閉じて高さ調整弁7をOff(閉状態)とすることにより、この高さ調整弁7の影響を受けずに、車体2の相対高さを目標相対高さZgに大きく変更することが可能となる。
上下方向の遠心力が生じない通常走行時に車体2の相対高さを現状の相対高さを維持する場合には、締め切り弁22を閉じ、給気弁20と排気弁21とを無効(閉状態)にする。そして、これと同時に、高さ調整弁7の締め切り弁16を開放して高さ調整弁7を有効にすることにより、外乱や車体2の重量変化に対応して車体2の相対高さ調整し、車体2の高さを一定範囲に保つようにする。
以上のように、この第3の本実施形態においても、図1,図2に示した第1の実施形態と同様、縦曲線路の位置に適応して車体2の相対高さを制御することにより、ストッパ当りを回避し、乗り心地を悪化させずに、高速に縦曲線路を通過することが可能になる。
また、この第3の実施形態では、給気弁20や排気弁21を用いて空気ばね5を能動的に伸長させることにより、車体2の相対高さを制御するものであるから、新たなアクチュエータを付加することなく、車体2の相対高さを変更させることができる。
図8は本発明による鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置の第4の実施形態の要部を示す構成図であって、23は直動アクチュエータであり、図2に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
同図において、この第4の実施形態は、図1,図2に示す第1の実施形態における高さ調整弁7において、調整棒17の代わりに、伸縮可能な直動アクチュエータ23を用い、高さ調整弁7を高さ変更手段にも兼用するものである。ここで、直動アクチュエータ23は、高さ制御装置9(図1)によって制御駆動されるものであって、その駆動方式は、油圧,空圧,電動のいずれの形態によるものであってもよい。
鉄道車両の通常走行時では、直動アクチュエータ23は、車体2の相対高さを上記の中立位置に設定するための所定の長さ(以下、基準長さという)に設定されており、高さ調整弁7は、この直動アクチュエータ23のこの基準長さに応じた回転角センサ18の回転角に応じて締め切り弁16が開いた動作(On)状態にある。
直動アクチュエータ23をその基準長さから伸長させると、回転角センサ18が時計廻り方向に回転する。このように回転角センサ18が回転する状態は、図1,図2に示す実施形態での車体2が沈んで車体2の相対高さが低くなった状態と同じになる。このように車体2が沈んだ場合、図1,図2に示す実施形態では、締め切り弁16が開いて空気ばね5への給気動作が行なわれるが、この第4の実施形態においても、直動アクチュエータ23が伸長して車体2が沈み込んだのと同様の状態になると、締め切り弁16が開いて空気ばね5への給気動作が行なわれる状態となる。これにより、空気ばね5が伸長して車体2の相対高さが大きくなる。
逆に、直動アクチュエータ23をその基準長さから収縮させると、空気ばね5からの排気動作が行なわれる状態となり、これにより、空気ばね5が縮んで車体2の相対高さが小さくなる。
このようにして、直動アクチュエータ23を能動的に伸縮させることにより、空気ばね5での給排気動作を能動的に行なわせて空気ばね5を伸縮させることができ、車体2の相対高さを変化させることができる。これにより、第1の実施形態と同様、鉄道車両が縦曲線路を通過するときには、車体2の相対高さを上記の目標相対高さZgに設定することができる。そして、先の実施形態と同様、このように、車体2の相対高さを目標相対高さZgに設定する動作が終わると、鉄道車両が縦曲線路を通過し終わるまで、高さ制御装置9(図1)により、締め切り弁16が閉状態に保持されて車体2の相対高さを目標相対高さZgに保持する動作が行なわれる。
なお、上下方向の遠心力が生じない通常走行時には、締め切り弁16が開いて高さ調整弁7が動作状態に保持されており、従って、鉄道車両が縦曲線路を通過すると、締め切り弁16が閉状態から開状態に切り替わり、高さ調整弁7が動作状態になる。
以上のように、この第4の実施形態においても、縦曲線路の位置に適応して直動アクチュエータ23を伸長させることにより、図1,図2に示した第1の実施形態と同様、車体2の相対高さを変更させることができ、ストッパ当りを回避して、乗り心地を悪化させずに、高速に縦曲線路を通過することが可能になる。
また、この第4の実施形態では、縦曲線路を通過する場合も、先の各実施形態での高さ調整弁7を能動的に駆動して、空気ばね5の給排気動作を行なうことにより、ストッパ当りの防止のための車体2の相対高さを目的相対高さに変更することができるようにしたものであるから、新たにアクチュエータあるいは給排気弁を付加しないで、空気ばね5を伸縮させ、車体2の高さを変更することができ、先の各実施形態に比べて部品点数の削減やコスト低減などが可能となる。
図9は本発明による鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置の第5の実施形態を示すシステム構成図であって、24は高さセンサ、25は高さ制御装置、26はフィルタ、27は比較演算部であり、図1,図2に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
同図において、この第5の実施形態の鉄道車両の上下ストッパ当りの防止装置は、主として、高さ変更手段6と高さ調整弁7と高さ変更手段6を制御する高さ制御装置25と高さセンサ24とから構成されている。
高さセンサ24は、車体2と台車枠3との間に配置されて、台車枠3に対する車体2の高さ(即ち、車体2の相対高さ)を検出する。ここで、高さセンサ24は、図2での高さ調整弁7の調整棒17と回転角センサ18と同様の調整棒と回転角センサとで構成されており、調整棒の上下変位を回転角センサの角度に変換して、車体2の相対高さを検出するものであるが、これに限らず、例えば、レーザによる非接触の変位計などを用いた他の構成としてもよい。
高さ制御装置25は、フィルタ26と比較演算部27とから構成される。フィルタ26は、高さセンサ24から供給されるその高さ検出信号の高周波振動成分を除去し、比較演算部27に供給する。この高さ検出信号の高周波振動成分は外乱による車体2の振動によるものである。この高周波振動成分をフィルタ26で除去することにより、外乱に対して高さ変更手段6が過敏に応答しないように、車体2の高周波域の振動の応答の増大化を抑制することができる。比較演算部27は、フィルタ26でフィルタ処理された高さ検出信号を処理することにより、車体2の相対高さと上記の中立位置との差分を検出し、これと車体2の予め定められた上下相対変位の閾値とを比較する。高さ制御装置25は、この比較結果に応じて高さ変更手段6を制御し、車体2の相対高さを変更する。
図10は第5の実施形態の動作,処理の流れを示すフローチャートである。
同図において、高さセンサ24によって車体2の高さが検出されると(ステップS101)、その検出高さ信号の成分が高さ制御装置25に供給される。この高さ制御装置25では、この検出高さ信号は、フィルタ26により、その高周波波成分が除去されて、定常成分のみが抽出される(ステップS102)。この検出高さ信号の定常成分は比較演算部27に供給され、この定常成分が表わす車体2の相対高さと通常走行時の車体2の目標相対高さである中立位置(図5)との差分(中立位置からの相対高さの変化量)ΔZが求められて、この差分ΔZの絶対値が予め決められた閾値Zthと比較される(ステップS103)。
そして、|ΔZ|≦Zthのときには(ステップS104)、高さ変更手段6や高さ調整弁7は現在の状態が保たれて、現在の車体2の相対高さが保たれるようにし、また、|ΔZ|>Zthのときには(ステップS104)、高さ変更手段6を駆動して車体2の高さを制御し、車体2の相対高さを中立位置に戻すようにする(ステッフS105)。
ここで、上記の閾値Zthについて説明する。
図11(a)は車体2の相対高さが中立位置であるときの上ストッパ28Uと下ストッパ28Dとの隙間を示すものであって、この中立位置での上下ストッパ隙間をZstaとする。図11(b)は車体2の相対高さが減少して、上ストッパ28Uと下ストッパ28Dとで上下ストッパ当りが生じない最小の上下ストッパ隙間となった状態を示すものであって、このときには、上下ストッパ隙間が、中立位置での上下ストッパ隙間Zstaに対し、ΔZstだけ変化したものとする。図11(c)は車体2の相対高さが増加して、車体2の相対高さが制限される上下ストッパ当りが生じない最大の上下ストッパ隙間となった状態を示すものであって、このときにも、上下ストッパ隙間が、中立位置での上下ストッパ隙間Zstaに対し、ΔZstだけ変化する。この変化量ΔZstが上下ストッパ隙間の限界変化値となる。
閾値Zthは、かかる上下ストッパ隙間の限界変化値ΔZstよりも小さい値に設定される。上記の車体2の相対高さと中立位置との差分の絶対値|ΔZ|がこの限界変化値ΔZsを超えなければ、高さ制御装置25は高さ変更手段6を動作させない(図10のステップS104)。そして、この閾値Zthが小さいほど、車体2の相対高さの変化が小さくても、高さ変更手段6を動作させることができ、高い応答性で車体2の相対高さを制御することができる。
さらに、上記閾値Zthは、高さ調整弁7の不感帯(高さ調整弁7が応答しない車体2の高さ変動が小さい範囲)をZlとして、次式、
Zth<Zl ……(6)
を満たすようにする。このように、閾値Zthを高さ調整弁7の不感帯Zl以下の値とすることにより、高さ調整弁7より高い応答性の車体2の相対高さの制御が実現できる。
Zth<Zl ……(6)
を満たすようにする。このように、閾値Zthを高さ調整弁7の不感帯Zl以下の値とすることにより、高さ調整弁7より高い応答性の車体2の相対高さの制御が実現できる。
高さ制御装置25は、中立位置からの車体2の相対高さの変化量(差分)ΔZの絶対値が閾値Zthより小さい場合には(ステップS104)、車体2の相対高さを現在の状態を保つが、中立位置からの車体2の相対高さの変化量(差分)ΔZの絶対値が閾値Zthより大きくなった場合には(ステップS104)、車体2の相対高さを中立位置に戻すように、高さ変更手段6を駆動して車体2の相対高さを制御する(ステップS105)。
図12は第5の実施形態(図9)の図10に示す動作,処理を時系列的に示すタイミングチャートである。同図においても、図5と同様、xiは縦曲線路の始点、xoは縦曲線路の終点、xsは始点xiよりも早め距離dLだけ手前の上下ストッパ当り防止動作の開始地点であり、始点xiから終点xoとの間が縦曲線路である。また、中立位置はゼロとしており、車体2の相対高さはこのゼロの中立位置からの正負の高さである。さらに、鉄道車両1は下に凸の縦曲線路を通過するものとするが、上に凸の縦曲線路を通過する場合も、正負の違いがあるだけで同様である。
図12(a)は、鉄道車両1が下に凸の縦曲線路及びその前後を通過するときの車体2の(台車枠3からの)相対高さの変動軌跡を示すものであって、この変動軌跡を実線で示している。この場合、車体2に外乱による細かい上下変動が生ずるため、車体2の相対高さの変動軌跡がジグザグに変動する。また、この車体2の相対高さの変動軌跡は高さセンサ24の検出高さ信号の波形に相当するものであり、このジグザグの変動がこの検出高さ信号の高周波振動成分である。
図12(b)は高さ制御装置25のフィルタ26で高域成分が除かれた検出高さ信号の定常成分の波形を示すものであって、外乱による影響を除いた車体2の相対高さの変動を表わしている。ここで、鉄道車両1が始点xiから縦曲線路に進入すると、その車体2に下向きの遠心力が作用し、車体2の相対高さが減少する。このため、車体2の相対高さと中立位置との差分の絶対値|ΔZ|が増加し、これが閾値Zthを越える場合もある。この場合、図12(b)では、車体2の相対高さが閾値Zthを下回っていることによって示している。
図12(c)は高さ制御装置25による高さ変更手段6の制御力の変化を破線示すものであって、図12(b)と比較して明らかなように、車体2の相対高さと中立位置との差分の絶対値|ΔZ|が閾値Zthを越えないときには、この制御力はゼロであるが、この絶対値|ΔZ|が閾値Zthを越えると、車体2の相対高さを中立位置に戻すように、この絶対値|ΔZ|と閾値Zthとの差に応じた上向きの制御力が高さ変更手段6に発生させる。これにより、車体2は上方に戻される。縦曲線路の通過中では、かかる制御動作が絶対値|ΔZ|が閾値Zthを越える毎に行なわれ、フィルタ26からの検出高さ信号の定常成分が閾値Zthに相当する値の近傍に保たれるように、車体2の相対高さが保たれることになる。
鉄道車両1が縦曲線路を通過すると、車体2に対して下方に作用した遠心力がなくなるため、車体2は上方に変位し、その相対高さが中立位置となる状態に戻る。この状態では、比較演算部27により、車体2の相対高さと中立位置との差分の絶対値|ΔZ|が閾値Zthを越えないことが判定されるため、高さ変更手段6から制御力が発生しない。
図12(d)は高さ調整弁7の状態を破線で示すものである。縦曲線路の通過中や縦曲線路以外の線路の走行中では、高さ調整弁7をオン,オフのいずれの状態としてもよい。ここでは、オン状態に保持しているが、オン状態の場合には、車体2の相対高さが大きく変化した場合、高さ変更手段6による上記の押し戻し作用に加えて、高さ調整弁7の給排気による押し戻し作用が車体2に加わるため、より確実に車体2の相対高さを一定範囲内に調整することが可能となる。高さ調整弁7をオフ状態にする場合でも、高さ変更手段6による上記の押し戻し作用は有効であるため、高さ調整弁7が作動しない状態でも、車体2の相対高さを一定範囲内に調整することが可能となる。
ここで、この第5の実施形態では、高さ変更手段6が空気ばね5に並列に配置した直動のシリンダにより構成されるものとしたが、図6に示すように、空気ばね5と直列に配置する高さ変更手段6aとしてもよいし、図7に示すように、給排気弁を使用する高さ変更手段6bとしてもよいし、図8に示すように、高さ調整弁7と併用する構成としてもよく、同様の効果を得ることができる。
以上説明した第5の実施形態においても、縦曲線路を通過中の車体2の相対高さの変化に応じて、車体2を上下方向に変位させ、上下ストッパとの隙間が大きい状態であるように保つものであって、ストッパ当りを回避可能とし、乗り心地を悪化させずに、高速に縦曲線路を通過することを可能にする。
なお、この第5の実施形態では、車体2の相対高さを監視してこれを制御するものとしたが、車体2の相対高さの中立位置からの上または下方向の変動量の絶対値を|Z|とし、車体2の相対高さが中立位置から上または下ストッパにストッパ当りする位置までの距離をZstとして、次式、
dZst=|Zst−|Z|| ……(7)
で表わされる上下ストッパまでの距離dZstを常時求めて車体2の状態を監視し、この上下ストッパまでの距離dZstが予め設定された閾値以下になると、車体2の相対高さを中立位置に戻すように制御してもよく、上記と同様の効果が得られる。
dZst=|Zst−|Z|| ……(7)
で表わされる上下ストッパまでの距離dZstを常時求めて車体2の状態を監視し、この上下ストッパまでの距離dZstが予め設定された閾値以下になると、車体2の相対高さを中立位置に戻すように制御してもよく、上記と同様の効果が得られる。
図13は本発明によるによる鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置の第6の実施形態を示すシステム構成図であって、28は加速度センサ、29は高さ制御装置、30はフィルタ、31は制御力演算部であり、前出図面に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、第6の実施形態の鉄道車両の上下ストッパ当りの防止装置は車体2に配置されており、主に、高さ変更手段6とこの高さ変更手段6を制御する高さ制御装置29と加速度センサ28とから構成される。
加速度センサ28は、車体2に配置され、車体2の上下方向の加速度を検出するが、台車枠3に配置して台車枠3の上下方向の加速度を検出するようにしてもよい。また、加速度センサ28は、軸箱に配置して軸箱の上下方向の加速度を検出するようにしてもよい。
高さ制御装置29は、フィルタ30と制御力演算部31とから構成される。
フィルタ30では、加速度センサ28で検出された上下方向の加速度信号が供給され、この上下方向の加速度信号の高周波振動成分が除去される。これにより、車体2に加わる外乱による車体2の相対高さの高周波数の変動に対して高さ変更手段6が過敏に応答しないようにし、車体2の相対高さの変動の高周波域の応答の増大を抑制することができる。
制御力演算部31は、フィルタ30で高周波振動成分の除去処理して得られる上下方向の加速度信号の定常成分に応じて必要な制御力を演算し、この演算結果に応じて高さ変更手段6を制御し、車体2の相対高さを変更させる。
高さ変更手段6の制御力は、例えば、フィルタ処理された上下方向の加速度信号に比例する力に設定して制御する。この場合、鉄道車両1が縦曲線路通過中に、以下に示すように、上下ストッパ当り防止装置が動作する。
鉄道車両1が下に凸の縦曲線路に進入すると、車体2に作用する下向きの加速度が増大し、加速度センサ28に検出される下向きの加速度信号の定常成分が増加する。このとき、車体2は下方に引っ張られる。ここで、高さ制御装置29では、フィルタ処理された加速度信号の定常成分に比例した制御力の指令が高さ変更手段6に対して出力され、これにより、高さ変更手段6は車体2を上方に戻す制御力を発生する。この結果、車体2は、下向きに大きな遠心力が働いた状態となっても、大きく下方に変位しない。これにより、ストッパ当りを回避し、乗り心地を悪化させずに、高速に縦曲線路を通過することが可能になる。このことは、鉄道車両1が上に凸の縦曲線路に進入する場合も、同様である。
ここで、この第6の実施形態では、高さ変更手段6が空気ばね5に並列に配置した直動のシリンダにより構成されるものとしたが、図6に示すように、空気ばね5と直列に配置する高さ変更手段6aとしてもよいし、図7に示すように、給排気弁を使用する高さ変更手段6bとしてもよいし、図8に示すように、高さ調整弁7と併用する構成としてもよく、同様の効果を得ることができる。
1 鉄道車両
2 車体
3 台車枠
4 車軸
5 空気ばね
6,6a,6b 高さ変更手段
7 高さ調整弁
8 元溜め
9 高さ制御装置
10 速度検出手段
11 走行位置検出手段
12 軌道情報記憶手段
13 シリンダ
14,15 ジョイント
16 締め切り弁
17 調整棒
18 回転角センサ
19 配管
20 給気弁
21 排気弁
22 締め切り弁
23 直動アクチュエータ
24 高さセンサ
25 高さ制御装置
26 フィルタ
27 比較演算部
28 加速度センサ
29 高さ制御装置
30 フィルタ
31 制御力演算部
2 車体
3 台車枠
4 車軸
5 空気ばね
6,6a,6b 高さ変更手段
7 高さ調整弁
8 元溜め
9 高さ制御装置
10 速度検出手段
11 走行位置検出手段
12 軌道情報記憶手段
13 シリンダ
14,15 ジョイント
16 締め切り弁
17 調整棒
18 回転角センサ
19 配管
20 給気弁
21 排気弁
22 締め切り弁
23 直動アクチュエータ
24 高さセンサ
25 高さ制御装置
26 フィルタ
27 比較演算部
28 加速度センサ
29 高さ制御装置
30 フィルタ
31 制御力演算部
Claims (10)
- 鉄道車両の現在の走行位置を検出する走行位置検出手段と、
縦曲線路に関する軌道情報が記録されている記憶手段と、
該鉄道車両における台車枠に対する上下方向の車体の相対高さを変更する高さ変更手段と、
該高さ変更手段を制御する高さ制御装置と
を備え、
該走行位置検出手段から得られる走行位置情報と該記憶手段から得られる縦曲線路の軌道情報とに基づいて、縦曲線路の近傍あるいは該縦曲線路を走行するとき、該高さ変更手段を制御して、該縦曲線路の走行時に該車体に作用する上向きまたは下向きの遠心力とは逆向きの制御力を該車体に作用させ、該車体の相対高さを変更させるように構成したことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 請求項1において、
前記車体と前記台車枠との間に空気ばねを設けるとともに、該空気ばねへの給排気動作を行なわせて前記車体の相対高さを調整する高さ調整弁を設け、
縦曲線路の近傍あるいは縦曲線路の走行中、該高さ調整弁の締め切り弁を閉じて、前記車体の相対高さを一定に保つように制御することを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 請求項1において、
前記高さ制御装置は、縦曲線路の始点より所定の距離手前の地点で高さ変更手段を駆動し始めて、縦曲線路で前記車体に作用する遠心力とは逆向きの力を作用させ、前記車体の相対高さを変更させるように構成したことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 鉄道車両における台車枠に対する上下方向の車体の相対高さを測定する高さセンサと、
該車体の相対高さを変更する高さ変更手段と、
該高さ変更手段を制御する高さ制御装置と
を備え、
該高さ制御装置は、該高さセンサで検出される該車体の相対高さの中立位置からの変位量を算出し、該変位量の絶対値が所定の閾値を超えたとき、該変位量の絶対値が該閾値以下となるように、高さ変更手段を制御して、該車体の相対高さを変更させるように構成したことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 請求項4において、
高さ制御装置は、フィルタと比較演算部とがらなり、
該フィルタは、前記高さセンサから得られる前記車体の相対高さに応じた相対高さ信号の高周波成分を除去するフィルタ処理を行ない、
該比較演算部は、フィルタ処理された該相対高さ信号から前記車体の相対高さの前記中立位置からの変位量を算出し、該変位量の絶対値が所定の閾値を超えたとき、該変位量の絶対値が該閾値以下になるように、前記高さ変更手段を制御して、前記車体を上下方向に変位させることを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 鉄道車両の車体に配置され、該車体の上下方向の加速度を検出する加速度センサと、
該鉄道車両の台車枠に対する上下方向の該車体の相対高さを変更する高さ変更手段と、
該高さ変更手段を制御する高さ制御装置と
を備え、
該高さ制御装置は、該加速度センサで検出される該加速度信号の高周波成分を除去するフィルタと、該フィルタでフィルタ処理した該加速度信号に基づいて、縦曲線路の走行時に作用する上下方向の加速度とは逆向きの制御力を該高さ変更手段に発生させる制御力演算部とからなり、該制御力により、該車体の相対高さを変更させるように構成したことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
前記車体と前記台車枠との間に空気ばねが設けられ、
前記高さ変更手段は、前記車体と前記台車枠との間に、該空気ばねと並列に配置されたことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
前記車体と前記台車枠との間に空気ばねが設けられ、
前記高さ変更手段は、前記車体と前記台車枠との間に、該空気ばねと直列に配置されたことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
前記車体と前記台車枠との間に空気ばねが設けられ、
前記高さ変更手段は、該空気ばねに空気を供給する給気弁と該空気ばねから空気を排出する排気弁とからなり、該空気ばねへの給排気動作により、該空気ばねを伸縮させて前記車体の相対高さを変更させるように構成したことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。 - 請求項1〜6のいずれか1つにおいて、
前記車体と前記台車枠との間に空気ばねを設けるとともに、該空気ばねの給排気を行なわせて前記車体の相対高さを調整する高さ調整弁を設け、
前記高さ変更手段は、高さ調整弁を制御して該空気ばねの給排気動作を行なわせることにより、該空気ばねを伸縮させて前記車体の相対高さを変更させるように構成したことを特徴とする鉄道車両の上下ストッパ当り防止装置。
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- 2004-12-28 JP JP2004380910A patent/JP2006182301A/ja active Pending
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