JP2006180617A - ファンモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 小型化を図ると共に通風路の出口から異物が侵入することを防ぎつつ、モータ内部に冷却風を通すことのできるファンモータを提供する。
【解決手段】 ロータ8のロータヨーク9には、径方向に延びる突条部9bと共に通気溝11が形成され、通気溝11の外周側開口11bはファンボス穴4を介してファンボス2の負圧側に通じている。通気溝11の回転中心側開口11aは、回転中心側空間24、連通路17、円環状空洞18、空気通路21、周方向間隙25を介してファンボス2の正圧側に連通されている。ファンボス穴4は、通気溝11の外周側開口11bを露出するのに必要な最小限の穴寸法で形成されており、通気溝11は、ロータマグネット10によって溝長手方向中間部分が覆われることにより通風路が狭められている。また、ロータマグネット10の外周面10aは、ファンボス2の内周面2cに当接されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ファンモータに係り、特に、モータ内を冷却する構造を備えたファンモータに関する。
従来より、自動車のエンジン冷却などに使用されるファンモータは、エンジンからの輻射熱にさらされるエンジンルーム内に配置されている。このことから、この種のファンモータでは、ファンモータ自体の冷却構造に配慮が払われている(たとえば、特許文献1参照)。
たとえば、特許文献1に記載の例では、モータケースの前端部を覆う筒状のファンボスの外周壁に複数のファンブレード(送風羽根)が設けられていると共にファンボスの内側底面に冷却羽根が設けられている。また、ファンモータの軸方向前後位置には、空気を吸引する吸気口と空気を吐出する吐出口がそれぞれ設けられている。
そして、ファンボスの回転と共に冷却羽根を回転させることによって吸気口から空気をモータ内部に吸引し、モータケース内部に空気を流通させた後に吐出口からモータ内部の空気を吐出するようにして、ファンモータの内部の部材を効率よく冷却するようにしている。
ところで、この種のファンボスを備えたファンモータの技術分野においては、軸方向の小型化を図るために、ロータとステータとが軸方向に対向するように配置されたアキシャルギャップタイプのブラシレスファンモータが考案されている。このアキシャルギャップタイプのブラシレスファンモータについても、モータ内部に空気を流通させてモータ内部の部材を冷却しようとする試みがある。
実公平7−47971号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、仮にブラシ付きモータの代わりにアキシャルギャップタイプのブラシレスモータを適用したとしても、ファンボスの内側底面に冷却羽根を設けることによってモータケース内部に空気を流通させる構成に伴ってファンボス内側底面に冷却羽根を収容するための空間を設ける必要があるため、軸方向に小型化することが困難であった。
また、アキシャルギャップタイプのブラシレスファンモータにおいてモータ内部の部材を冷却させる構成として、ファンブレード(送風羽根)の負圧を利用してモータケース内部に空気を流通させると共に、この空気を回転子と固体子の間のエアギャップ部の近くに形成した出口から外部へ排出させるようにすることが考えられる。ところが、このようにした場合には、通風路の出口から異物がモータ内部に侵入し、モータロックが発生する虞がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、モータ内部の通風量の増大とファンボスの小型化との両立を図ることができるファンモータを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、通風路の出口から異物が侵入することを防ぎつつ、モータ内部の冷却効率を高めることのできるファンモータを提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部からの電気エネルギに応じて磁界を発生するステータと、前記ステータに対してエアギャップを隔てて軸方向に対向するように配置され、前記ステータから発生する磁界に反発して回転軸周りに回転するロータと、前記ロータと同軸上に固定されて前記ロータと一体的に回転する円筒部材で構成され、前記円筒部材の内側に前記ロータおよび前記ステータを収納するファンボスと、前記ファンボスの円筒外側面に一体的に設けられ、前記ファンボスの回転に伴って回転軸方向に空気流れを形成するファンブレードと、を備えるファンモータであって、前記ステータに、前記空気流れにおける前記ファンボスの正圧側と前記ステータよりも前記ロータ側で前記ロータの回転軸周りに形成された回転中心側空間とを連通する連通路が形成され、前記ロータに、前記回転中心側空間に開口する回転中心側開口と前記回転中心側開口よりも径方向外側に開口する外周側開口とを連通する通気溝が前記ステータ側の平面に形成されてなるロータヨークと、前記ロータヨークの前記ステータ側の平面に配設されると共に、前記通気溝の少なくとも溝長手方向中間部分を覆うように構成された円環状のロータマグネットと、が設けられ、前記ファンボスに、前記通気溝の前記外周側開口と前記ファンボスの外側とを連通する通気口が設けられていることを特徴とするものである。
従って、請求項1に記載の発明によれば、モータの回転、すなわち静止したステータに対してロータが回転軸周りに回転すると、ロータヨークに形成された通気溝内の空気がロータの回転による遠心力によりファンボスの通気口を介してファンボスの外側に押し出される。
また、ファンボスの回転に伴って回転軸方向に形成される空気流れにおけるファンボスの正圧側とステータよりもロータ側でロータの回転軸周りに形成された回転中心側空間とは、ステータに設けられた連通路により連通されている。これにより、ファンボスの外側に連通した回転中心側空間から通気溝内へ空気が供給されるので、ロータの回転中、通気溝内を回転中心側から外周側へと空気流れが定常的に形成される。
したがって、ロータの回転により、モータケース内部すなわちファンボス内部の通風量が増大するとともに、この通風量の増大をロータに通気溝を形成することにより行っているので、ファンボス内部に余分な空間を設ける必要がなく、ファンボスの小型化を実現できる。
また、ロータヨークに形成された通気溝は、ロータマグネットによって溝長手方向中間部分が覆われており、この構成により、通気溝とロータマグネットとにより構成される通風路が狭められるので、この通気溝を介してモータ内部に異物が侵入することを防止することができる。これにより、ロータとステータとの間に異物が挟まることを防止することができるので、モータロックの発生を防止することができる。
また、仮に微小な異物がファンボスの通気口を介して通気溝内に侵入しても、通気溝が形成されたロータヨークは回転するため、通気溝に侵入した異物を遠心力によって外部へ排出することができる。
ここで、上記ファンモータは、請求項2に記載のように、より具体的には、ロータヨークにステータと反対側に突出すると共に径方向内側から外側へ延びる突条部が形成され、通気溝が突条部に沿って形成される構成である。この構成は、たとえば、ロータヨークをプレス加工することにより容易に形成することができるので、これにより通気溝を形成する工数を少なく抑えることができる。
なお、請求項3に記載のように、外部からの電気エネルギに応じて磁界を発生するステータと、前記ステータに対してエアギャップを隔てて軸方向に対向するように配置され、前記ステータから発生する磁界に反発して回転軸周りに回転するロータと、前記ロータと同軸上に固定されて前記ロータと一体的に回転する円筒部材で構成され、前記円筒部材の内側に前記ロータおよび前記ステータを収納するファンボスと、前記ファンボスの円筒外側面に一体的に設けられ、前記ファンボスの回転に伴って回転軸方向に空気流れを形成するファンブレードと、を備えるファンモータであって、前記ステータには、前記空気流れにおける前記ファンボスの正圧側と前記ステータよりも前記ロータ側で前記ロータの回転軸周りに形成された回転中心側空間とを連通する連通路が形成され、前記ロータには、前記回転中心側空間に開口する回転中心側開口と前記回転中心側開口よりも径方向外側に開口する外周側開口とを連通する通気溝が前記ステータと反対側の平面に形成されてなる円環状のロータマグネットと、前記ロータマグネットの前記ステータと反対側の平面に配設されると共に、前記通気溝の少なくとも溝長手方向中間部分を覆うように構成されたロータヨークと、が設けられ、前記ファンボスには、前記通気溝の前記外周側開口と前記ファンボスの外側とを連通する通気口が設けられていても良い。
このようにしても、請求項1に記載のファンモータと同様に、ロータの回転により、モータケース内部すなわちファンボス内部の通風量が増大するとともに、この通風量の増大をロータに通気溝を形成することにより行っているので、ファンボス内部に余分な空間を設ける必要がなく、ファンボスの小型化を実現できる。
また、ロータマグネットに形成された通気溝は、ロータヨークによって溝長手方向中間部分が覆われており、この構成により、通気溝とロータヨークとにより構成される通風路が狭められるので、この通気溝を介してモータ内部に異物が侵入することを防止することができる。これにより、ロータとステータとの間に異物が挟まることを防止することができるので、モータロックの発生を防止することができる。
また、仮に微小な異物がファンボスの通気口を介して通気溝内に侵入しても、通気溝が形成されたロータマグネットは回転するため、通気溝に侵入した異物を遠心力によって外部へ排出することができる。
また、請求項4に記載のように、ロータマグネットの外周面がファンボスの内周面に当接されていると、ファンボスの外側からの空気がステータの連通路を介さずにロータマグネットの外周面とファンボスの内周面との間から回転中心側空間や通気溝に流れ込んで来たり、通気溝内の空気がロータマグネットの外周面とファンボスの内周面との間からモータ内部に逆流したりすることを防止することができるので、モータ内部の冷却効率をより高めることができる。
また、仮に微小な異物がファンボスの通気口から通気溝内に侵入しても、ロータマグネットの外周面をファンボスの内周面に当接させておくことにより、この微小な異物がロータとステータとの間のエアギャップに入り込むことを防止することができる。
さらに、請求項5に記載のように、ファンボスの通気口が通気溝の外周側開口と空気流れにおけるファンボスの負圧側とを連通するように構成されていると、この通気口を介してモータ内部の空気の排出を励起することができるので好適である。
また、請求項6に記載のように、通気溝の外周側開口が回転中心側開口に対して回転方向後方位置に形成されていると、通気溝の外周側開口における負圧が増し、通気溝内の通風量を増すことができる。
また、請求項7に記載のように、ステータのロータと反対側にヒートシンク部材が設けられており、ヒートシンク部材の外周部とファンボスの内周面との間に空気流れにおけるファンボスの正圧側と連通する周方向間隙が形成され、軸方向におけるヒートシンク部材とステータとの間に周方向間隙と連通路を連通する空気通路が形成され、ヒートシンク部材のステータ側の平面に空気通路内に突出すると共に突出端がステータに当接する複数の突起が設けられていると、ファンボスの正圧側と連通する周方向間隙を介して空気通路内に空気が流入し、この空気通路内に配置された突起に空気を十分に当てることができる。これにより、ヒートシンク部材を効率的に冷却することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態に係るファンモータの構成について説明する。図1乃至図5は本発明の第一実施形態に係る図であり、図1(a)はファンモータに設けられたファンボスおよびファンブレードの上面図、図1(b)はファンモータに設けられたファンボスおよびファンブレードの断面図、図2はファンモータの断面図、図3はファンブレードを除くファンモータの一部断面を含む斜視図、図4(a)、(b)はロータヨークの斜視図、図5はファンボスのファンボス穴(通気口)の要部拡大図である。
本発明の第一実施形態に係るファンボス2は、後述するモータの構成部品を収納する円筒部材で構成されている。ファンボス2の円筒外側面2bには、ファンボス2の回転に伴って回転軸方向に空気流れFを形成するファンブレード3が一体的に形成されている。本実施形態では、ファンブレード3は5枚翼としている。ファンブレード3の翼先端側は保持リング3aによって形状が保持されている。なお、図1におけるファンブレード3の断面は、ファンブレード3の翼幅中心線(図1中、ファンブレード3の幅方向中心を通過する一点鎖線Lで示す)に沿ったものとして示している。
ファンブレード3の回転により、ファンブレード3の上流側は負圧状態となり、下流側は正圧状態となって、図中下方に空気流れFが形成される。ファンボス2の円筒外側面2bの負圧側部位には、ファンボス2の内外を連通する通気口としてのファンボス穴4が設けられている。
このファンボス穴4は、空気流れFと平行な方向(モータ回転軸方向)において、後述するロータヨーク9の通気溝11の外周側開口11bと整合する位置に形成されている。本例では、ファンボス2の円筒外側面2bにファンボス穴4が周方向所定間隔毎に8つ設けられている。
この構成により、本例では、ロータヨーク9の回転に応じて通気溝11より外周方向に吐出される空気を通気溝11の外周側開口11bと整合する位置にあるファンボス穴4よりファンボス2の外側へ低損失で効率的に排出することが可能となっている。また、本例では、ファンボス2に形成されたファンボス穴4は、異物が入り込まないように、通気溝11の外周側開口11bを露出するのに必要な最小限の穴寸法で形成されている。
そして、本実施形態では、ファンボス2の内側に収納されているモータとして、円板状の永久磁石回転子(ロータ8)が固定子(ステータ13)側の電気子巻線と軸方向に対向して回転する、いわゆるアキシャルギャップ・固定ヨーク形モータが採用されている。
本実施形態に係るファンモータ1のモータ構成部品は、ロータ8と、ステータ13と、ヒートシンク部材19と、回路部22とにより構成されている。ロータ8は、ステータ13に対してエアギャップ12を隔てて軸方向に対向するように配置され、ステータ13から発生する磁界に反発して回転軸周りに回転するようになっており、ロータヨーク9とロータマグネット10とを有して構成されている。
ロータヨーク9に形成された円板状部9aのステータ13と反対側の部分は、ファンボス2の円筒底面部2aにねじ等により固定されており、このロータヨーク9の円板状部9aには、直交方向に延びるシャフト5が一体的に形成されている。このシャフト5は軸受け6を介して円筒状のホルダ7に回転自在に支持されている。これにより、ファンボス2およびロータ8は一体的に回転することができるようになっている。
ロータヨーク9の円板状部9aには、ステータ13と反対側に突出すると共に径方向内側から外側へ放射状に延びる複数(たとえば8本)の突条部9bが形成されている。この突条部9bは、たとえば、円板状部9aをプレス加工することにより形成されるものである。そして、円板状部9aに突条部9bが形成されることにより、円板状部9aのステータ13側には、突条部9bに沿って通気溝11が形成されている。
この通気溝11の径方向内側は、ロータマグネット10の穴部の内側でシャフト5の回転軸周りに形成された回転中心側空間24に開口する回転中心側開口11aとして形成されており、通気溝11の径方向外側は、ファンボス2のファンボス穴4に開口する外周側開口11bとして形成されている。なお、本例では、通気溝11の断面形状を半円形状としているが、これ以外にも矩形、三角形などいずれの形状でもよい。
ロータマグネット10は、円環状に構成されると共に、円板状部9aのステータ13側に形成された平面にシャフト5と同軸となるように配設されている。本例のロータマグネット10は、通気溝11の溝長手方向中間部分から通気溝11の外周側開口11bに至る領域をステータ13側から覆うと共に、ロータマグネット10の外周面10aがファンボス2の内周面2cに当接するように構成されている。
ステータ13は、ホルダ7に固着された円板状の部材であり、ステータ13のエアギャップ12側の面13aは、エアギャップ12を隔ててロータマグネット10と対向している。本例のステータ13は、円周方向に6つの電気子巻線(図示せず)を備えており、これにより、外部からの電気エネルギに応じてロータマグネット10側へ磁界を発生するように構成されている。
また、ステータ13の回転中心部には、ホルダ7の周囲に回転軸方向の連通路17が複数設けられている。この連通路17は、空気流れFにおけるファンボス2の正圧側と回転中心側空間24とを連通するものであり、より具体的には、連通路17よりも空気流れFにおけるファンボス2の正圧側に位置する円環状空洞18と回転中心側空間24とを連通している。なお、ステータ13の外周面13cとファンボス2の内周面2cとの間の円環状空隙16の径方向距離は、連通路17における通風抵抗よりも大きい通風抵抗となるように、その大きさが設定されている。
ステータ13のロータマグネット10と反対側の面13bには、円環状のヒートシンク部材19が複数の突起20を介して接するようにホルダ7に固着して設けられている。すなわち、ヒートシンク部材19とステータ13との間には空気通路21が設けられ、この空気通路21内には、ヒートシンク部材19からステータ13の面13bに当接する複数の突起20が突出している。
したがって、空気通路21内を流通する空気が突起20と熱交換することにより、ヒートシンク部材19および突起20と接しているステータ13を空冷することができる。なお、ヒートシンク部材19のステータ13と反対側には、モータの回路部22が納められており、本例では、ヒートシンク部材19によって回路部22も冷却することが可能となっている。
ヒートシンク部材19の外周面19aとファンボス2の内周面2cとの間には、円環状の周方向間隙25が設けられている。この周方向間隙25は、ファンモータ1の空気流れFの下流側、すなわち正圧側に開口しており、ファンモータ1の正圧側通気口となっている。
次に、本発明の第一実施形態において、ファンボス2の回転によってファンボス2の内外に形成される空気流れについて説明する。
ファンモータ1に外部より電気エネルギが与えられて、ステータ13に磁界が生じると、この磁界に反発してロータ8が回転する。これにより、ロータ8と共にファンボス2およびファンブレード3が回転し、ファンモータ1の回転軸方向に空気流れFが形成される。
そして、ロータ8が回転軸周りに回転すると、ロータヨーク9に形成された通気溝11内の空気がロータ8の回転による遠心力により回転中心側開口11aから外周側開口11bに移動し、さらに、この外周側開口11bからファンボス2のファンボス穴4を介してファンボス2の外側に押し出される。
すなわち、ロータヨーク9に形成された通気溝11は空気を径方向内側から外側へ圧送するポンプの役割を果たしている。しかも、単にロータヨーク9に設けられた円板状部9aの平面に溝を設けただけのポンプ構造であるので、従来のように冷却羽根を設ける等のように余分な空間を設ける必要が無く、さらに、ロータヨーク9の回転に対する空気抵抗も小さくすることができる。
そして、本例では、上述のようにして通気溝11内の空気がファンボス2の外側へ排出されることにより、通気溝11の回転中心側開口11aが開口する回転中心側空間24の圧力が低くなるため、この回転中心側空間24に連通するステータ13の連通路17を介してさらに上流側の円環状空洞18、空気通路21および周方向間隙25より空気が吸い込まれる。特に、空気流れFの下流側は正圧状態にあるため、周方向間隙25には外部から空気が押し込まれる。
以上のようにして、通気溝11を有するロータヨーク9の回転によりファンボス2内の通風量が増大され、この増大された空気の流れが、図2中矢印Aで示される方向に、ファンボス2の内外にわたって形成されるので、ファンボス2内においては、ヒートシンク部材19の突起20の周りに空気が流れてヒートシンク部材19を効率的に冷却することができる。したがって、ヒートシンク部材19での熱伝導により、モータ内部の必要部位を冷却することができる。
また、本例では、ファンボス2に形成されたファンボス穴4は、通気溝11の外周側開口11bを露出するのに必要な最小限の穴寸法で形成されており、さらに、ロータヨーク9に形成された通気溝11は、ロータマグネット10によって溝長手方向中間部分が覆われており、これによって通気溝11とロータマグネット10とにより構成される通風路が狭められているので、以上の構成により、通気溝11を介してモータ内部に異物が侵入することを防止することができる。これにより、ロータ8とステータ13との間に異物が挟まることを防止することができるので、ファンモータ1にモータロックが発生することを防止することができる。
また、仮に微小な異物がファンボス2のファンボス穴4を介して通気溝11内に侵入しても、通気溝11が形成されたロータヨーク9は回転するため、通気溝11に侵入した異物を遠心力によって外部へ排出することができる。
さらに、ロータマグネット10の外周面10aがファンボス2の内周面2cに当接されているので、ファンボス2の外側からの空気がステータ13の連通路17を介さずにロータマグネット10の外周面10aとファンボス2の内周面2cとの間から回転中心側空間24や通気溝11に流れ込んで来たり、通気溝11内の空気がロータマグネット10の外周面10aとファンボス2の内周面2cとの間からモータ内部に逆流したりすることを防止することができる。これにより、モータ内部の冷却効率をより高めることができる。
また、仮に微小な異物がファンボス2のファンボス穴4から通気溝11内に侵入しても、ロータマグネット10の外周面10aをファンボス2の内周面2cに当接させておくことにより、この微小な異物がロータ8とステータ13との間のエアギャップ12に入り込むことを防止することができるので、ファンモータ1にモータロックが発生することを防止することができる。
特に、ファンボス2のファンボス穴4が通気溝11の外周側開口11bと空気流れFにおけるファンボス2の負圧側とを連通するように構成されているので、このファンボス穴4を介してモータ内部の空気の排出を励起することが可能である。これにより、モータ内部の冷却効率をさらに高めることができる。
また、本例では、ロータヨーク9の円板状部9aをプレス加工することにより突条部9bと共に通気溝11を形成するようにしているので、ロータヨーク9の製作が容易であり、これにより通気溝11を形成する工数を少なく抑えることが可能である。
上記実施形態では、ロータヨーク9に設けられた通気溝11は、径方向に沿って放射状に延びるように説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、たとえば、図6,図7に示すように改変しても良い。図6,図7は本実施形態の改変例を示す図であり、いずれもロータヨーク9の上面図を示している。
たとえば、図6に示すように、通気溝11の外周側開口11bの周方向における開口位置を、回転中心側開口11aの径方向における開口位置よりも回転方向Rの後方位置となるように構成しても良い。これにより、外周側開口11bにおける空気流れの速度をより高めることができるので、通気溝11内の空気の流速が増して送風量を増加させることができる。
あるいは、図7に示すように、通気溝11は、回転方向Rの後方に曲げられた曲線形状であっても良い。このように、通気溝11の回転中心側開口11aと外周側開口11bとを半径方向において一致させる必要は無く、通気溝11の形状は種々改変することができるものである。
また、上記実施形態では、ロータヨーク9の円板状部9aをプレス加工することにより円板状部9aに中空の突条部9bを形成し、この突条部9bによって円板状部9aのステータ13側の平面に通気溝11を形成するように説明したが本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、ロータヨーク9の円板状部9aをプレス加工あるいは切削加工等することにより、円板状部9aに突条部9bが形成されずに円板状部9aのステータ13側の平面に通気溝11が形成されるようにしても良い。
また、上記実施形態では、ステータ13に設けられた連通路17が、円環状空洞18、空気通路21、周方向間隙25を介して空気流れFにおけるファンボス2の正圧側と連通するように説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、連通路17が円環状空洞18を介してファンボス2の正圧側と連通しても良く、また、連通路17が直接的にファンボス2の正圧側と連通する構成であっても良い。
上記実施形態では、通気溝11の溝長手方向中間部分から通気溝11の外周側開口11bに至る領域を覆うようにロータマグネット10が構成されるように説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、ロータマグネット10は、通気溝11の溝長手方向中間部分のみを覆う構成であっても良い。このようにしても、本例では、通気溝11とロータマグネット10とによる通風路が狭められるので異物の侵入を効果的に防止することが可能である。
ただし、通気溝11の溝長手方向中間部分のみを覆うように構成すると、ロータマグネット10の外周面10aとファンボス2の内周面2cとの間に隙間が生じるので、モータ内部の冷却効率を高めるためや、さらなる異物侵入防止効果を高めるためには、本例のように、ロータマグネット10の外周面10aがファンボス2の内周面2cに当接するように構成することが望ましい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係るファンモータの構成について説明する。図8,図9は本発明の第二実施形態に係る図であり、図8はファンモータの断面図、図9はロータマグネットの斜視図である。なお、以下に示す本発明の第二実施形態に係るファンモータの説明において、上記第一実施形態に係る部材と同一の部材については同じ符号を用いその説明を省略する。
上記第一実施形態では、ロータヨーク9に通気溝11を形成するように説明したが、本発明の第二実施形態に係るファンモータ101では、図8,図9に示すように、ロータマグネット110に径方向に沿って放射状に延びる複数の通気溝111が形成されている。
そして、この通気溝111の径方向内側は、ロータマグネット110の穴部の内側でシャフト5の回転軸周りに形成された回転中心側空間24に開口する回転中心側開口111aとして形成されており、通気溝111の径方向外側は、ファンボス2のファンボス穴4に開口する外周側開口111bとして形成されている。
このような構成としても、通気溝111を有するロータマグネット110の回転によりファンボス2内の通風量が増大され、この増大された空気の流れが、図8中矢印Aで示される方向に、ファンボス2の内外にわたって形成されるので、ファンボス2内においては、ヒートシンク部材19の突起20の周りに空気が流れてヒートシンク部材19を効率的に冷却することができる。
また、本例では、ファンボス2に形成されたファンボス穴4は、通気溝111の外周側開口111bを露出するのに必要な最小限の穴寸法で形成されており、さらに、ロータマグネット110に形成された通気溝111は、ロータヨーク109によって溝長手方向中間部分が覆われており、これによって通気溝111とロータヨーク109とにより構成される通風路が狭められているので、以上の構成により、通気溝111を介してモータ内部に異物が侵入することを防止することができる。これにより、ロータ8とステータ13との間に異物が挟まることを防止することができるので、ファンモータ1にモータロックが発生することを防止することができる。
また、仮に微小な異物がファンボス2のファンボス穴4を介して通気溝111内に侵入しても、通気溝111が形成されたロータマグネット110は回転するため、通気溝111に侵入した異物を遠心力によって外部へ排出することができる。
さらに、ロータマグネット110の外周面110aがファンボス2の内周面2cに当接されているので、ファンボス2の外側からの空気がステータ13の連通路17を介さずにロータマグネット110の外周面110aとファンボス2の内周面2cとの間から回転中心側空間24や通気溝111に流れ込んで来たり、通気溝111内の空気がロータマグネット110の外周面110aとファンボス2の内周面2cとの間からモータ内部に逆流したりすることを防止することができる。これにより、モータ内部の冷却効率をより高めることができる。
また、仮に微小な異物がファンボス2のファンボス穴4から通気溝111内に侵入しても、ロータマグネット110の外周面110aをファンボス2の内周面2cに当接させておくことにより、この微小な異物がロータ8とステータ13との間のエアギャップ12に入り込むことを防止することができるので、ファンモータ1にモータロックが発生することを防止することができる。
特に、ファンボス2のファンボス穴4が通気溝111の外周側開口111bと空気流れFにおけるファンボス2の負圧側とを連通するように構成されているので、このファンボス穴4を介してモータ内部の空気の排出を励起することが可能である。これにより、モータ内部の冷却効率をさらに高めることができる。
なお、本発明の第二実施形態に係るファンモータ101についても、上記第一実施形態に係るファンモータ1について説明したように、種々改変することができることは勿論である。
また、上記実施形態では、ロータヨーク9に通気溝11を設けるか、又は、ロータマグネット110に通気溝111を設ける構成としたが、ロータヨーク9とロータマグネット10の両方に通気溝11を設けるように構成しても良い。
図1(a)は本発明の第一実施形態に係るファンモータに設けられたファンボスおよびファンブレードの上面図、図1(b)は(a)の部分断面図である。 図2は本発明の第一実施形態に係るファンモータの断面図である。 図3は本発明の第一実施形態に係るファンモータの一部断面を含む斜視図である。 図4(a)、(b)は本発明の第一実施形態に係るロータヨークの斜視図である。 図5は本発明の第一実施形態に係るファンボスのファンボス穴(通気口)の要部拡大図である。 図6は第一改変例に係るロータヨークの上面図である。 図7は第二改変例に係るロータヨークの上面図である。 図8は本発明の第二実施形態に係るファンモータの断面図である。 図9は本発明の第二実施形態に係るロータマグネットの斜視図である。
符号の説明
1,101…ファンモータ、2…ファンボス、2a…円筒底面部、2b…円筒外側面、2c…内周面、3…ファンブレード、3a…保持リング、4…ファンボス穴、5…シャフト、6…軸受け、7…ホルダ、8…ロータ、9,109…ロータヨーク、9a…円板状部、9b…突条部、10,110…ロータマグネット、10a…外周面、11,111…通気溝、11a,111a…回転中心側開口、11b,111b…外周側開口、12…エアギャップ、13…ステータ、16…円環状空隙、17…連通路、18…円環状空洞、19…ヒートシンク部材、19a…外周面、20…突起、21…空気通路、22…回路部、24…回転中心側空間、25…周方向間隙、F…空気流れ

Claims (7)

  1. 外部からの電気エネルギに応じて磁界を発生するステータと、
    前記ステータに対してエアギャップを隔てて軸方向に対向するように配置され、前記ステータから発生する磁界に反発して回転軸周りに回転するロータと、
    前記ロータと同軸上に固定されて前記ロータと一体的に回転する円筒部材で構成され、前記円筒部材の内側に前記ロータおよび前記ステータを収納するファンボスと、
    前記ファンボスの円筒外側面に一体的に設けられ、前記ファンボスの回転に伴って回転軸方向に空気流れを形成するファンブレードと、を備えるファンモータであって、
    前記ステータには、前記空気流れにおける前記ファンボスの正圧側と前記ステータよりも前記ロータ側で前記ロータの回転軸周りに形成された回転中心側空間とを連通する連通路が形成され、
    前記ロータには、前記回転中心側空間に開口する回転中心側開口と前記回転中心側開口よりも径方向外側に開口する外周側開口とを連通する通気溝が前記ステータ側の平面に形成されてなるロータヨークと、
    前記ロータヨークの前記ステータ側の平面に配設されると共に、前記通気溝の少なくとも溝長手方向中間部分を覆うように構成された円環状のロータマグネットと、が設けられ、
    前記ファンボスには、前記通気溝の前記外周側開口と前記ファンボスの外側とを連通する通気口が設けられていることを特徴とするファンモータ。
  2. 前記ロータヨークには、前記ステータと反対側に突出すると共に径方向内側から外側へ延びる突条部が形成され、
    前記通気溝は、前記突条部に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のファンモータ。
  3. 外部からの電気エネルギに応じて磁界を発生するステータと、
    前記ステータに対してエアギャップを隔てて軸方向に対向するように配置され、前記ステータから発生する磁界に反発して回転軸周りに回転するロータと、
    前記ロータと同軸上に固定されて前記ロータと一体的に回転する円筒部材で構成され、前記円筒部材の内側に前記ロータおよび前記ステータを収納するファンボスと、
    前記ファンボスの円筒外側面に一体的に設けられ、前記ファンボスの回転に伴って回転軸方向に空気流れを形成するファンブレードと、を備えるファンモータであって、
    前記ステータには、前記空気流れにおける前記ファンボスの正圧側と前記ステータよりも前記ロータ側で前記ロータの回転軸周りに形成された回転中心側空間とを連通する連通路が形成され、
    前記ロータには、前記回転中心側空間に開口する回転中心側開口と前記回転中心側開口よりも径方向外側に開口する外周側開口とを連通する通気溝が前記ステータと反対側の平面に形成されてなる円環状のロータマグネットと、
    前記ロータマグネットの前記ステータと反対側の平面に配設されると共に、前記通気溝の少なくとも溝長手方向中間部分を覆うように構成されたロータヨークと、が設けられ、
    前記ファンボスには、前記通気溝の前記外周側開口と前記ファンボスの外側とを連通する通気口が設けられていることを特徴とするファンモータ。
  4. 前記ロータマグネットの外周面は、前記ファンボスの内周面に当接されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のファンモータ。
  5. 前記通気口は、前記通気溝の前記外周側開口と前記空気流れにおける前記ファンボスの負圧側とを連通することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のファンモータ。
  6. 前記通気溝の前記外周側開口は、前記回転中心側開口に対して回転方向後方位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のファンモータ。
  7. 前記ステータの前記ロータと反対側には、ヒートシンク部材が設けられており、
    前記ヒートシンク部材の外周部と前記ファンボスの内周面との間には、前記空気流れにおける前記ファンボスの正圧側と連通する周方向間隙が形成され、
    軸方向における前記ヒートシンク部材と前記ステータとの間には、前記周方向間隙と前記連通路を連通する空気通路が形成され、
    前記ヒートシンク部材の前記ステータ側の平面には、前記空気通路内に突出すると共に突出端が前記ステータに当接する複数の突起が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のファンモータ。
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