JP2006178578A - 自律移動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 地図情報や画像処理システム等を必要とせず、簡易な手段によって構成され、移動経路の変更等にも柔軟に対応することが可能な移動ロボットを提供することを課題とする。
【解決手段】 移動ロボット1は、ロボット本体と、駆動機構部3と、自律制御にかかるデータをICタグ4から取得するICタグリーダ5と、壁等の対象物や障害物に関する情報を取得するレーザレンジファインダ7と、制御機構部9と、音声出力用のスピーカ10とによって主に構成されている。そして、ICタグ4の読取りに基づいて取得した動作情報25と、対象物情報30とを組合わせて動作を制御することにより、適宜位置の修正を行い、自律移動することが可能となる。また、複数のICタグ4によってICタグ群を形成し、移動経路を設定することにより、移動ロボット1によるICタグ4の読取りがより安定的なものとなり、確実に自律移動を継続することが可能となる。
【選択図】図3
【解決手段】 移動ロボット1は、ロボット本体と、駆動機構部3と、自律制御にかかるデータをICタグ4から取得するICタグリーダ5と、壁等の対象物や障害物に関する情報を取得するレーザレンジファインダ7と、制御機構部9と、音声出力用のスピーカ10とによって主に構成されている。そして、ICタグ4の読取りに基づいて取得した動作情報25と、対象物情報30とを組合わせて動作を制御することにより、適宜位置の修正を行い、自律移動することが可能となる。また、複数のICタグ4によってICタグ群を形成し、移動経路を設定することにより、移動ロボット1によるICタグ4の読取りがより安定的なものとなり、確実に自律移動を継続することが可能となる。
【選択図】図3
Description
本発明は、自律移動装置に関するものであり、特に、移動経路に設置されたICタグを利用して動作を制御する自律移動装置に関するものである。
従来から、人間の制御によらず自律的に移動できる自律移動装置は、人間の行う作業の補助や代行、あるいは人間の進入できない場所での作業を行うことが期待され、さまざまな分野において研究開発が進められている。例えば、工場生産ラインへの部品等の無人搬送、車椅子やカート等の自動走行、原子力プラント等の危険を伴う領域でのロボットによる点検作業等が挙げられる。
これらの自律移動装置の移動を出発地点から目標地点までナビゲーションする方式としては、テープ(ライン)を視覚的に認識してトレースする方式や電磁誘導方式が例示される。これらの方式においては、移動経路を変更する場合にはテープや誘導線を敷設しなおす必要があり改変が大掛かりとなる。
そこで、設置や撤去の容易なランドマークやICタグを移動経路上に配置し、ランドマークやICタグによって移動動作が制御される自律移動装置及びシステム、自律移動方法が提案されている。ここで、ランドマークとは、経路上に設置された三角形、円形等の種々の形状の誘導標識である。また、ICタグとは、タグ状、ラベル状等に加工され小型アンテナを搭載した極小のICチップであり、読取装置との間で電子情報を無線通信するものである。このICタグを製品に添付し或いは人間が携帯することにより製品情報(製造年月日、流通過程、検査情報等)の管理や入退室管理、定期券改札などに利用されている。
ランドマークを利用する自律移動方法においては、予め記憶されたランドマークの形状や色彩の組合わせを動作情報と対応させ、移動装置が装備するステレオカメラによってランドマークを視覚的に認識することにより、移動動作を制御する方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、ICタグを利用する自律移動方法においては、ICタグに次のタグとの相対的な位置座標を記憶させ、絶対方位を検出することにより、次のICタグへ向かって移動する方法が開示されている(特許文献2参照)。ここで、絶対方位を検出する方法としては、予め記憶させた風景画像と現場での撮影画像とのパタンマッチングによる画像処理法が例示されている。
また、ICタグに、設置地点の絶対座標や次のタグの方向及び距離等に関する情報を記憶させ、地図情報における自己位置を検出しながら移動する移動システムも開示されている(特許文献3参照)。ここで、地図情報における自己位置の検出に際しては、移動手段として用いている車輪の移動量により移動距離を検出している。かかる検出値には車輪の滑り等に起因する誤差が生じ、この誤差の累積が自己位置の正確な検出に影響するため、目的のICタグの設置地点の左右に補正目的のICタグを設置することにより、次のタグへの進行方向を補正している。
しかしながら、上述したランドマークを視覚的に認識する方法では、移動装置がカメラ等の受像装置や画像処理システムを備えることが必須条件であるため、移動装置自体が大型化し、高価格とならざるを得なかった。また、ランドマークの形状や色彩の認識は環境光の変化による影響を受けやすく、動作情報を確実に取得することが困難な場合もあった。
また、ICタグに次のICタグの相対的な位置座標を記憶させる方法では、ICタグ間の相対的な位置関係が必須であるため、移動経路や環境に変化が生じた場合に、タグ間の相対的な位置関係が変化し、ICタグに記憶させるデータの改変が複雑となる問題があった。また、画像処理法による絶対方位の検出においては、受像装置及び画像処理システムを移動装置が備えることが必要であることに加え、パタンマッチングには複雑な画像処理を要するため、移動に際してリアルタイムに方位を修正することは困難であった。
さらに、ICタグに設置地点の絶対座標等を記憶させ、地図情報における自己位置を検出しながら移動する移動システムにおいては、環境全体の詳細な地図情報が予め移動装置内部に組み込まれていることが必要であり、環境の変化に対しても、その都度地図情報を改変して記憶媒体に格納しなおすことが必要となるため、労力的、経済的に負担が大きいという問題点があった。また、地図情報における自己位置の検出において、移動距離や方向の検出値の累積誤差に起因する位置のずれを補正するために、補正目的のICタグを設置するシステムでは、結果的にICタグの種類も設置数も多く必要となり、ICタグを設置して形成する移動経路が複雑な系となる問題もあった。
そこで、本発明は上記実情に鑑み、地図情報や画像処理システム等を必要とせず簡易な手段によって構成され、移動経路の変更や環境の変化にも柔軟に対応し、安定して自律移動を継続することが可能な、自律移動装置を提供することを課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる自律移動装置は、「装置本体と、設定された移動経路に沿って前記装置本体を移動させる移動手段と、前記装置本体に取設され、前記移動経路に予め複数設置され、それぞれ固有の識別番号が付与されたICタグを検出し、前記ICタグとの無線通信によって前記識別番号に係る識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記装置本体に内蔵若しくは取設され、前記ICタグのそれぞれの前記識別情報に関連付けた前記装置本体及び前記移動手段の動作を制御する動作情報をデータベース化して記憶する記憶手段と、前記装置本体に内蔵され、取得した前記識別情報に対応する前記動作情報を前記記憶手段から抽出する動作情報抽出手段と、前記装置本体に取設され、前記移動経路に沿って移動する前記装置本体の周囲の状況を検出し、壁及び障害物を含む外部対象物に係る対象物情報を取得する対象物情報取得手段と、前記本体に内蔵され、抽出した前記動作情報及び取得した前記対象物情報を組合わせ、前記装置本体及び前記移動手段の動作を自律的に制御する動作制御手段と」を主に具備して構成されている。
ここで、移動手段は、車輪駆動、クローラ式駆動、2足、4足等の脚歩行等によって例示される。特に、車輪(タイヤ)をモータ等を用いて回転駆動させて前後移動し、旋回するものが簡易に利用可能である。
また、ICタグは、それぞれ固有の識別番号(ID)が付与されているタイプのものが使用され、識別情報取得手段は、このICタグに記憶された識別番号に対応する電子情報を電波を介して非接触状態で受信するものであり、読取専用のICタグリーダ、あるいは種々の情報の書換え、更新が可能なICタグリーダ・ライタを使用することが可能である。
また、記憶手段は、自律移動装置の動作を制御する動作情報のデータベースを記憶するためのものであり、コンピュータの内蔵メモリ、あるいはハードディスク、フレキシブルディスク、CD−R等の外部記憶装置が例示される。
さらに、対象物情報取得手段は、移動装置の周囲に向けてレーザ光や超音波等を照射し、その反射波の検出により移動経路沿いの対象物や移動経路上の障害物を検出するレーザ距離センサや超音波距離センサを例示することができる。これらは、所定の時間間隔で周囲にレーザ光等を照射し、反射波により物体の有無を検出し、照射方向を変化させて反射波の角度や到達時間を検出することにより、壁等の対象物に関する情報を取得することが可能となる。
したがって、本発明の自律移動装置によれば、抽出した動作情報及び取得した対象物情報に基づいて、移動を含む各動作を自律的に制御することが可能となる。具体的に示すと、移動経路上に予め設置されたICタグを検出し、該ICタグから固有の識別番号に係る識別情報を取得する。そして、該識別情報から記憶手段に記憶された動作情報を抽出する。また、自律移動装置は動作情報の抽出にかかる処理と同時に、周囲の壁等の対象物あるいは移動経路上に存在する障害物等を検出及び認識する。これにより、得られた双方の情報を適宜組合わせ、対象物との距離及び角度を修正しながら、動作情報に基づく動作を自律的に行わせられる。
また、本発明にかかる自律移動装置は、上記構成に加え、「前記記憶手段は、前記移動経路にそれぞれ設置された前記ICタグの設置個所に対応する音声データをさらに記憶し、前記装置本体に取設され、前記音声データに基づいて音声の出力が可能な音声出力手段をさらに具備し、前記動作制御手段は、前記設置箇所に到達すると、前記音声データを利用し、前記音声出力手段による音声の出力を制御する音声出力制御手段をさらに有する」ものであっても構わない。
ここで、音声データは、自律移動装置に合成音声をもって発声させるテキストデータ、合成音をもって演奏させる音楽データ、単に再生させる音データ等が含まれる。音声出力手段は、既成の音声出力用スピーカ、アンプ、音声合成用モジュール等が利用可能である。
したがって、本発明の自律移動装置によれば、自律的な動作の一部として、周囲に対して音声を出力することが可能となる。これにより、移動等の動作に加え、音声の出力を自律的に制御することができる。したがって、店舗の案内や広告活動等に自律移動装置を活用することができるようになる。
また、本発明にかかる自律移動装置は、上記構成に加え、「複数の前記ICタグによって構成されたICタグ群が前記移動経路に配され、前記記憶手段は、前記ICタグのそれぞれの前記識別情報に関連付けた前記ICタグ群に係るICタグ群情報、及び前記ICタグ群情報に関連付けた前記動作情報を、それぞれデータベース化して記憶し、前記動作情報抽出手段は、取得した前記識別情報を対応する前記ICタグ群情報に変換し、変換された前記ICタグ群情報に対応する前記動作情報を前記記憶手段から抽出する」ものであっても構わない。
ここで、ICタグは、各設置箇所において複数が近接して設置され、一のICタグ群を形成し、このようなICタグ群を複数設置した自律移動装置の移動経路が設定される。
また、記憶手段は、識別情報にICタグ群を関連付けたICタグ群情報データベース、及びICタグ群情報に動作情報を関連付けた動作情報データベースを記憶している。ここで、同一のICタグ群に属するICタグから同一の動作情報を取得するために、同一のタグ群に属するICタグに同一のタグ群情報を割り振り、それぞれのICタグに固有の識別情報にICタグ群情報を関連付けたICタグ群情報データベースと、ICタグ群情報に動作情報を関連付けた動作情報データベースとを予め記憶手段に記憶させる。
したがって、本発明の自律移動装置によれば、ICタグの設置箇所で、ある特定のICタグを確実に通過しなくても、同一のICタグ群に属する少なくとも一のICタグを検出してその識別情報を取得すれば、目的とする動作情報を取得することが可能となる。そのため、何らかの原因により自律移動装置の移動が予定された移動経路と多少ずれても、安定して次のICタグを読取り、継続的に自律移動を行えるようになる。これにより、異なる識別番号を有する複数のICタグであっても、同一のタグ群に属していれば、いずれのICタグを読取った場合でも、ICタグ群情報を介して同一の動作情報を取得し、それに基づいて自律移動装置に対して同一の自律行動が制御される。
また、本発明にかかる自律移動装置は、上記構成に加え、「前記対象物情報取得手段は、レーザレンジファインダを使用する」ものであっても構わない。
ここで、レーザレンジファインダは、レーザ光を周囲に走査することにより、進行方向の対象物との距離及び角度を、短時間で容易に検出することが可能なものである。そのため、一軸方向にのみレーザ光を照射するレーザ距離計等の距離センサとは異なり、壁等の対象物との距離、角度等に関する情報を取得するために、自律移動装置自体が回転等することにより照射方向を変化させる、若しくは、自律移動装置の本体にそれぞれ異なる方向に向けて複数の距離センサを取設させる必要がない。
したがって、本発明の自律移動装置によれば、レーザレンジファインダを使用してレーザ光を自律移動装置の周囲に走査し、移動経路沿いの対象物及び障害物を検出するため、対象物情報が容易に短時間で取得される。これにより、自律移動装置は、移動経路に設置されたICタグから読取った識別情報に基づいて取得した動作情報と、レーザレンジファインダが取得した対象物情報とを対比する処理を速やかに行い、目的の自律移動を容易に行う。
さらに、本発明にかかる自律移動装置は、「装置本体と、設定された移動経路に沿って前記装置本体を移動させる移動手段と、前記装置本体に取設され、前記移動経路に予め複数設置され、前記装置本体及び前記移動手段の動作を制御する動作情報が記憶されたICタグを検出し、前記ICタグとの無線通信によって前記動作情報を取得する動作情報取得手段と、前記装置本体に取設され、前記移動経路に沿って移動する前記装置本体の周囲の状況を検出し、壁及び障害物を含む外部対象物に係る対象物情報を取得する対象物情報取得手段と、前記装置本体に内蔵され、取得した前記動作情報及び前記対象物情報を組合わせ、前記装置本体及び前記移動装置の動作を自律的に制御する制御手段と」を主に具備して構成されている。
ここで、ICタグは、自律移動装置の動作を制御するための動作情報をその内部に記憶するタイプのものが使用される。これにより、ICタグを読取ることにより、ICタグが記憶している動作情報を直接取得するため、自律移動装置は、動作情報に関するデータベースを所有する必要がない。ここで、動作情報取得手段には、前述のICタグリーダ等を利用可能である。
したがって、本発明の自律移動装置によれば、自律移動装置の動作を制御する動作情報は、移動経路上の既知の対象物を基準とする動作を含めて構成され、予めICタグ側に記憶されることにより、自律移動装置は、ICタグを読取って取得した動作情報と、対象物情報取得手段によって取得された、移動経路沿いの対象物との実際の距離等に関する情報とを対比させ、対象物との距離及び角度を適宜修正しながら、自律的に移動等の動作を行う。
本発明の効果として、ICタグの読取りによって取得した動作情報と、外部対象物を検出して取得した対象物情報とを組合わせて動作を制御することにより、地図情報や画像処理システム等を必要とせず、自律移動をすることが可能となる。また、複数のICタグによってICタグ群を形成し、移動経路を設定することにより、自律移動装置によるICタグの読取りがより安定的なものとなり、確実に自律移動を継続することが可能となる。さらに、音声出力手段を備えることにより、例えば、複数店舗が集結したショッピング街等で、店舗の案内や商品等の案内を状況に応じて行うことができる。
以下、本発明の第一実施形態の自律移動案内ロボット1(以下、単に「移動ロボット1」と称する)について、図1乃至図8に基づいて説明する。ここで、図1は第一実施形態の移動ロボット1の概略構成を示す説明図であり、図2は移動ロボット1の内部構成を模式的に示す説明図であり、図3は移動ロボット1の機能的構成を示す説明図であり、図4乃至図6は移動ロボット1の自律移動の一例を模式的に示す説明図であり、図7及び図8は移動ロボット1における処理の流れを示すフローチャートである。ここで、第一実施形態の移動ロボット1は、複数の店舗が集結するショッピング街の通路を壁に沿って移動し、店舗の入り口付近に到達すると、当該店舗及び商品の案内を音声によって買い物客に対して報知するものについて例示する。
第一実施形態の移動ロボット1は、図1及び図2に主に示されるように、移動ロボット1の主たる外観形状を成すロボット本体2と、ロボット本体2を移動経路に沿って移動させるための駆動機構部3と、移動ロボット1の自律制御にかかるデータをICタグ4から取得するICタグリーダ5と、レーザ光6を照射し、移動ロボット1の周囲を走査することにより、その反射波の有無及び角度、反射時間等によって、壁等の対象物及び障害物を検出するレーザレンジファインダ7と、超音波を照射し、その反射によって障害物等を検出する超音波センサ8と、ロボット本体2の内部に格納され、駆動機構部3及びICタグリーダ5等の各種構成機器を制御し、移動ロボット1の自律行動を制御するための制御機構部9と、店舗及び商品等の案内を音声を介して行うための音声出力用のスピーカ10とを具備して主に構成されている。ここで、ロボット本体2が本発明における装置本体に相当し、ICタグリーダ5が本発明における識別情報取得手段に相当し、スピーカ10が本発明におけるは音声出力手段に相当し、レーザレンジファインダ7及び超音波センサ8が本発明における対象物情報取得手段に相当する。
さらに詳細に説明すると、ロボット本体2は、胴体部ユニット11及び該胴体部ユニット11の上部に配設され、胴体部ユニット11に対して回動し、恰も移動ロボット1が首を振るような愛らしい動作を再現可能に形成された頭部ユニット12の二つの部材によって構成されている。なお、ロボット本体2の外殻表面は、本体カバー13によって被覆されている。また、図1に示すように、ロボット本体2は、外観が略半卵形状を呈して形成されている。さらに、駆動機構部3は、胴体部ユニット11の底部近傍に取設され、胴体部ユニット11に対して左右対称に配された一対の前輪3aと、該前輪よりも縮径し、胴体部ユニット11の後端近傍(図2における紙面右方向に相当)に取付けられた後輪3bと、前輪3aの中央に接続された車輪軸(図示しない)を介して前輪3aを回転させ、移動ロボット1を移動経路に沿って移動させるための駆動力を与える駆動用のモータ3cと、前輪3a若しくは後輪3bの移動に伴う回転数を測定し、移動距離を算出可能な距離センサ3dによって構成されている。なお、移動ロボット1の移動方向を変化させるためには、一対の前輪3aの各々の回転数を変化させることにより、回転数の違いによって所定方向に変化させるものや、或いは前輪3a若しくは後輪3bを車軸に対して偏向させる操舵機構を設け、所定方向に変化させるものであってもよい。
さらに、第一実施形態の移動ロボット1は、上記構成に加え、胴体部ユニット11に対し、頭部ユニット12を回転させるための頭部回転機構部14を具備している。具体的には、頭部ユニット12を所定範囲で回転(図1における矢印A参照)させるための頭部回転用のモータ14aと、モータ14aの回転を頭部ユニット12に対して伝達するための回転伝達機構14bと、頭部ユニット12の回転速度及び回転角度等を制御する頭部動作制御手段15とによって構成されている。なお、駆動機構部3のモータの駆動、ICタグリーダ5、レーザレンジファインダ7及び超音波センサ8の稼動、頭部回転用のモータ14aの駆動等に要する電力を供給するための充電式のバッテリー16が、胴体部ユニット11の内部に格納されている。なお、該バッテリー16は、充電の際に商用電源と接続するための接続端子(図示しない)と連結されている。また、ロボット本体2の内部には、前述した制御機構部9、スピーカ10等の構成を配するために、複数の支柱及び架台等が配されている。
ここで、ICタグリーダ5は、ICタグ4からの電波を受信する薄板状のアンテナ及び電子回路部(いずれも図示しない)によって主に構成され、ロボット本体2の胴体部ユニット11の底面後方付近に、アンテナ面5aがICタグ4の設置される設置床面に対向するように取設されている。
また、レーザレンジファインダ7は、レーザ光源、多角形のレーザ光反射体、レーザ光を照射する投光レンズ、対象物によって反射されたレーザ光を受光する受光レンズ、投光レンズ及び受光レンズを配設した円筒状フレームと、電子回路部とを主に具備して構成され、投光レンズ及び受光レンズがロボット本体2の底面から下方に露出するように、ロボット本体2の胴体部ユニット11の底面前部に取設されている。レーザ光反射体を回転させることにより、水平方向に180度の範囲でレーザ光を走査する。所定の対象物を検出する際には、目的外の対象物を検出しないように走査範囲を設定することが可能である。このように、レーザ光を走査して照射を行うことにより、一方向にのみ照射を行うレーザ距離センサを使用する場合に比べ、対象物に関する情報を極めて短時間に容易に検出することが可能である。
さらに、超音波センサ8は、超音波センサ部及び電子回路部(いずれも図示しない)によって主に構成され、ロボット本体2の胴体部ユニット11の底面後部から後進方向に超音波センサ部の先端の一部が突出するように取設されている。なお、超音波センサ8は、衝突防止用センサとして既に周知の技術であり、ここでは詳細な説明は省略する。
次に、第一実施形態の移動ロボット1における機能的構成について、図3に基づいて説明する。ここで、移動ロボット1の機能的構成の主たる部位は、自律制御を可能とするためにロボット本体2の内部に格納された制御機構部9によって構築されている。そして、移動ロボット1は、その機能的構成として、ICタグ4から取得した識別情報21に対応して記憶されたICタグ群情報22(詳細は後述する)がデータベース化して記憶されたICタグ群情報データベース23、ICタグ群情報22及び対応する動作情報25によって構築された動作情報データベース26、及び動作情報25に対応し、ショッピング街のそれぞれの店舗毎の商品案内等を音声出力するための音声データ27を予め記憶された記憶手段28と、ICタグ4から取得した識別情報21に対応する動作情報25を当該記憶手段28から抽出する動作情報抽出手段29と、レーザレンジファインダ7及び超音波センサ8によって取得される対象物情報30によって、壁32等の外部対象物または障害物を識別する対象物情報認識手段35と、抽出した動作情報25及び取得した対象物情報30に基づいて、自律動作を制御する動作制御手段36と、対象物情報認識手段35によって移動経路上にある障害物が認識されると、障害物を回避するように回避行動を行わせる回避行動制御手段37とを具備して主に構成されている。なお、動作制御手段36は、駆動機構部3を制御して前進、後進、回転、停止等の移動を制御するための自律行動制御手段40と、記憶手段28に記憶された音声データ27に基づいてスピーカ10を介して音声出力を制御する音声出力制御手段42と、前述の頭部動作制御手段15をさらに有して構成されている。
移動ロボット1が移動する移動経路に設置されるICタグ4は、それぞれに固有の識別番号が付与され、識別情報21として記憶している。そして、前述したICタグリーダ5からの送信要求に応じて識別情報21を送信する、いわゆる「パッシブ型」のものが第一実施形態において利用される。すなわち、前述のように、ICタグ4は、識別番号に対応する単純な識別情報21のみを記憶するだけであり、移動ロボット1の自律制御のための動作情報25は、制御機構部9の記憶手段28に記憶されている。そのため、移動ロボット1の自律制御の設定を変更する際であっても、移動経路に設置された多数のICタグ4に記憶する情報を書き換えたり、或いはICタグ4自体の交換をする必要がなく、記憶手段28に構築されたデータベースの変更のみで可能となる。そのため、環境の変化や移動経路の変更に対して、速やかに、かつ柔軟に対応することが可能となる。
また、移動ロボット1が移動する移動経路は、買い物客等の歩行者も通行するため、歩行の妨げにならない程度の厚さのICタグ4が、第一実施形態において使用されている。さらに、衝撃等によってICタグ4が破損することを防ぐため、主要構成であるIC基板部(図示しない)を衝撃吸収性を有するクッション材で被覆したものが用いられている。さらに、移動ロボット1のショッピング街での案内活動の実施は、恒常的に行われるものではなく、例えば、一日単位或いは一週間単位で変更することもあり、ICタグ4の設置及び回収を容易にすることが望ましい。したがって、第一実施形態の移動ロボット1では、既存施設の床面に多数のICタグ4を再剥離テープを利用して仮設し、案内作業の終了後には容易に撤去し、原状復帰を容易にしている。
ここで、動作情報25は、次のICタグを検出するまでに実行すべき動作を、実行順に列挙して構成される。例えば、移動に関する動作情報25は、「停止」、所定距離を直進または後進させる場合の、「直進、距離」、「後退、距離」、所定角度に回転させる場合の、「左回転、角度」、「右回転、角度」等のコマンドから構成される。さらに、移動経路沿いの物体を基準とし、物体から所定の距離に位置させる場合の、「左側倣い、距離」、「右側倣い、距離」や、壁面に対して所定角度の方向に進行させる場合の、「左壁面倣い、角度」「右壁面倣い、角度」、壁に突き当たる場所で方向転換させる場合の「正壁面倣い、角度」等のコマンドを含んで構成される。また、音声出力に関する動作情報25は、「文章発話、番号」、「歌唱、番号」、「WAV再生、番号」のように、音声出力の種別を音声出力データ27と対応させたコマンドと、「リピート、回数」、「ウエイト、時間」「停止」等のコマンドを組合わせて構成される。さらに、頭部動作に関する動作情報25は、「左回転、角度」、「右回転、角度」、「正面復帰」、「スピード設定、速度」、「ランダム(全体)」、「ランダム(その場中心)」等のコマンドを組合わせて構成される。
具体的には、左側の壁から1メートルの距離を壁に沿って30メートル直進させる場合の動作情報25は、『「左側倣い、1メートル」、「左壁面倣い、90度」、「直進、30メートル」』のように構成される。また、動作情報25において基準となる物体は、通常は固定されている静的物体、例えば、壁、防火扉、看板等が選択される。このような動作情報25に対し、移動ロボット1は自ら取得した対象物情報30を参照し、実際の壁との距離や角度をもとに、位置や進行方向を設定する。したがって、移動経路に存在する物体を動作の基準とすることで、移動ロボット1が絶対的な座標や絶対方位を検知することを必要とすることなく、自律移動することが可能となる。
ここで、移動経路の設定にあたっては、まず、移動ロボット1の動作の基準とする対象物を適宜選択し、予め移動経路との距離や進行方向との角度を測定する。そして、測定した数値を用いて、ICタグ4の設置箇所に応じて、動作情報25を作成する。ここで、ICタグを設置する場所としては、動作の基準とする静的物体のある地点、長い壁の始点と終点、通路が曲折する地点、回避すべき既知の障害物のある地点、案内すべき店舗の入口等が例示される。
さらに、移動ロボット1が移動する移動経路の設定においては、例えば5枚のICタグ4をそれぞれ30センチメートル間隔で設置し、このようにして形成したICタグ群を、複数箇所に設置して移動経路を設定する。ここで、一のタグ群ごとに予め一の識別用のデータであるICタグ群情報22が割り振られている。移動ロボット1が、識別番号に係る識別情報21をICタグ群情報22に関連付けたICタグ群情報データベース23と、ICタグ群情報22を動作情報25に関連付けた動作情報データベース26を記憶した記憶手段28を備えていることにより、識別情報21はICタグ群情報22に変換され、変換されたICタグ群情報22に対応する動作情報25が動作情報データベース26から抽出される。すなわち、異なる識別情報21を所有する複数のICタグ4であっても、同一のICタグ群に属するものであれば、同一の動作情報25が特定される。したがって、移動ロボット1が、長さ数センチメートル程度の小さいICタグを確実に通過しなくても、同一のタグ群に属するいずれかのICタグ4を通過すれば、目的とする動作情報25が取得できることとなる。これにより、移動ロボット1は、ICタグの読取りを安定して継続することが可能となる。
ここで、移動ロボット1が、同一タグ群に属する複数のICタグ4を、続けて二以上読取ることもあり得るが、その場合、第一実施形態では次のように処理するものとする。すなわち、連続して読取ったICタグ4が、それぞれ異なるICタグ群に属する場合には、先のICタグ4に基づく動作は未実行であっても、その動作情報25は廃棄され、新たなICタグ4に基づく動作情報25のみが有効となる。一方、同一のICタグ群に属するICタグ4を連続的に読取った場合は、新たなICタグ4による動作情報25は廃棄され、先のICタグ4に基づく動作が継続される。これにより、同一タグ群に属するICタグ4の連続読取りによる、同一内容の動作情報25の重複発効を防止することが可能となる。
具体的に、自律移動ロボット1が対象物情報を利用して直進する様子を、図4を用いて説明する。ICタグ4から取得した識別情報21に基づいて、例えば、『「左側倣い、1メートル」、「左壁面倣い、90度」、「直進、50メートル」』との動作情報25を取得したとする。すると、移動ロボット1は、レーザレンジファインダ7を用いて周囲にレーザ光6を照射し、左の壁32aとの距離及び角度を検出し、壁32aから1メートルの距離45をとり、壁に沿って直進する(ロボットの進行方向を矢印Bとする)。その後、移動距離の検出値における累積誤差や路面の状況等により、移動ロボット1の進行方向が左の壁に対して90度の角度よりずれたとしても(図4における移動ロボット1a参照)、所定の時間間隔でレーザ光6を照射し、実際の位置における壁との距離及び角度に関する対象物情報30を取得することにより、位置の修正を行い、正しい経路Rに戻ることができる(移動ロボット1b参照)。
また、移動経路が曲折する場合においても、移動ロボット1自身を基準として「右回転、70度」のように指示するのではなく、「正壁面倣い、90度」のように、対象物を基準とした動作情報25を付与することにより、移動ロボット1自身が、実際に旋回した角度を正確に検知することを必要とせず、方向転換することが可能となる。
例えば、図5に示すように、曲折する壁32b、32cに沿って移動ロボット1を直進させる、すなわち経路Rを移動させる場合、方向転換させる箇所には、『「停止」、「正壁面倣い、90度」、「直進、距離」』という動作情報25に対応させた識別情報21を有するICタグ4を設置する。このICタグ4を読取ることにより、移動ロボット1は、動作情報25を構成する各コマンドを順次実行し、まず停止し、次にレーザレンジファインダ7が取得した対象物情報30を利用し、前方の壁32cとの実際の角度を参照して、壁32cから90度の方向に進行方向を転換し、その後壁32cに沿って直進する。
ここで、移動ロボット1が壁に沿って直進する途中に、店舗等の入口が開口した空間や交差する通路などがあると、動作の基準となる壁がないために、上述のように進行方向にずれが生じても、図4を用いて説明した位置の修正処理をすることができず、店舗等に進入してしまう可能性がある。そこで、直進、後進、停止、回転、対象物との距離及び角度、及びその組合わせ等からなる動作情報25に対応させた識別情報21を有する通常のICタグ(以後、「通常タグ4a」と称する)とは別に、進入禁止を指示する情報に対応させたICタグ(以後、「禁止タグ4b」と称する)を使用して、進入禁止領域48への移動ロボット1の進入を防止する。すなわち、禁止タグ4bの識別情報21には進入禁止を指示する動作情報25を関連付け、この禁止タグ4bを進入禁止領域48との境界に設置する。
例えば、図6に示すように、移動ロボット1が通常タグ4aを読取り、壁32dに沿って直進する、すなわち経路Rを移動するという内容の動作情報25を取得し、これを実行中に店舗の前にさしかかると、そこにはレーザレンジファインダ7によって検出できる壁がないため、動作の基準を失うこととなる。しかしながら、店舗前に禁止タグ4bが予め設置されていれば、仮に進行方向にずれが生じて店舗内に進入する方向に向かっても、ICタグリーダ5によって禁止タグ4bの識別情報21を読取り、この識別情報21から、それ以上の前進を回避する動作情報25を取得する。
ここで、移動ロボット1が連続的に禁止タグ4bを読取っても、通常タグ4aの場合とは異なり、新たな禁止タグ4bに基づく動作情報25は廃棄されず、新たな禁止タグ4bによる動作情報25が発効するよう処理される。これにより、進入禁止領域48である店舗との境界に設置された禁止タグ4bによって、それ以上の前進を制限され、境界に沿って禁止タグを順次読取ることにより、移動ロボット1は進入禁止領域48へ進入することなく、目的の壁が検出可能な箇所まで導かれることとなる。
次に、第一実施形態の移動ロボット1における処理の流れについて、主に図7及び図8のフローチャートに基づいて説明する。
移動ロボット1をスタート地点に配置し、スイッチを入れて稼動を開始させると、まず初期設定された条件に従って動作する(ステップS1)。その後、ICタグリーダ5によるICタグ4の検出の有無を判断する(ステップS2)。そして、ICタグリーダ5がICタグ4からの電波を受信した場合(ステップS2においてYES)、移動ロボット1はICタグリーダ5によって、ICタグ4に付与された固有の識別番号に係る識別情報21を取得し(ステップS3)、F=1を与える(ステップS4)。一方、ICタグリーダ5がICタグ4を検出していない場合(ステップS2においてNO)、ステップS3からステップS6の処理を行わず、ステップS7の処理を行う。
ICタグリーダ5によって取得された識別情報21を、動作情報抽出手段29は、まず、記憶手段28に記憶されているICタグ群情報データベース23を用いて、ICタグ群情報22に変換する(ステップS5)。そして更に、変換されたICタグ群情報22に対応する動作情報25を、動作情報データベース26の中から抽出する(ステップS6)。
その後、外部対象物の検出を行っているレーザレンジファインダ7及び超音波センサ8によって、対象物情報30を取得する(ステップS7)。そして、ICタグ4に基づいて動作情報25を取得している場合は、対象物を基準とするコマンドにおける対象物との距離や角度の数値を、あるいは、ICタグ4を検出していない場合は初期設定における数値を、取得した対象物情報30と対比する(ステップS8)。このとき、取得した対象物情報30において、実際の対象物との距離や角度が動作情報25における数値と相違し、その差が予め設定しておいた閾値を超える場合は(ステップS8においてNO)、位置や角度の修正が必要と判断され、自律行動制御手段40によって駆動機構部3が制御され、対象物との距離や角度を修正する処理を行う(ステップS9)。その後、ステップS8に戻り、再度、対象物情報30と動作情報25における数値との対比を行う。一方、取得した対象物情報30において、実際の対象物との距離等が動作情報25における数値と一致する、あるいは、その差が予め設定しておいた閾値の範囲内である場合(ステップS8においてYES)、移動経路上の障害物の有無を判断する(ステップS10)。
ここで、対象物情報認識手段35が、対象物情報30に基づいて障害物を検知していない場合(ステップS10においてYES)、ICタグ4を検出済みであるか否かが判断される(ステップS12)。F=1であれば既にICタグ4を検出済みであるため(ステップS12においてYES)、読取ったICタグが禁止タグ4bであるか否かの判断に進む(ステップS13)。これに対し、ICタグ4を未だ検出していない場合、すなわち、F=1ではない場合(ステップS12においてNO)、ステップS2に戻り、ICタグ4の検出を継続する。
一方、対象物情報認識手段35が、移動経路上に障害物を検知している場合(ステップS10においてNO)、回避行動制御手段37によって、障害物を回避する動作が指示され、移動ロボット1はかかる回避行動を行う(ステップS11)。その後、ステップS8に戻り、対象物情報30を参照し、必要に応じて位置の修正処理を行うことにより、移動ロボット1はもとの経路に復帰する。
ステップS12の終了後、読取ったICタグが禁止タグ4bであるか否かが判断される(ステップS13)。読取ったICタグ4が禁止タグ4bではない場合(ステップS13においてYES)、すなわち、通常タグ4aを読取っている場合は、動作制御手段36による制御により、所定の自律行動を行う(ステップS15)。ここで、動作情報25が複数の動作に関するコマンドで構成されている場合は、それらの動作を順次実行する。このとき、動作情報25が移動動作に関するコマンドで構成されているときは、自律行動制御手段40によって駆動機構3が制御され、前進、後進、回転、停止等の動作を行う(ステップS16)。また、動作情報25が音声データ27に対応させたものである場合、音声出力制御手段42によって、スピーカ10に対して音声出力が指示され、当該音声データ27を出力する(ステップS17)。さらに、動作情報25が頭部回転動作に関するものである場合、頭部動作制御手段15によって頭部回転用モータ14aが制御され、頭部回転動作を行う(ステップS18)。
一方、動作情報25が、禁止タグ4bの読取により取得したものである場合(ステップS13においてNO)、自律行動制御手段40によって、駆動機構3に対して進入禁止領域48への進入を制限する動作指示がされ、移動ロボット1は当該進入禁止領域48への進入を回避する(ステップS14)。
禁止タグ4bに基づく禁止行動を終了した後、あるいは、通常タグ4aから取得した動作情報25に基づいて上記の所定の動作を終了した後、稼動停止の指示の有無を判断する(ステップS19)。かかる指示がある場合は(ステップS19においてYES)、稼動を停止し、ショッピング街での案内活動を終了する(ステップS20)。一方、かかる指示がない場合は(ステップS19においてNO)、ステップS2に戻り、一連の自律行動を継続する。
上記のように、第一実施形態の移動ロボット1によれば、外部対象物を基準とした動作を指示するコマンドを含めて動作情報25を構成することにより、移動ロボット1自身が絶対的な位置座標や絶対方位を検知することを必要とせずに自律移動することが可能となる。また、対象物情報30を参照して、適宜対象物との距離や角度を修正して移動するため、簡易な移動手段である車輪駆動による場合であっても、車輪回転数による距離センサ3dの検出値に生じる誤差の累積を問題とすることなく、目的の経路を自律移動することが可能となる。さらに、長い壁を利用して直進する場合などは、直進の開始位置と終了位置にICタグ4を設置すれば足りるため、動作情報25の基準となる対象物の選択を工夫して移動経路を設定することにより、ICタグ4の設置数を抑制することも可能となり、また、ICタグ4の設置位置の絶対座標やICタグ4間の相対的な座標を利用して移動する場合に比べ、単純な動作情報25で自律的行動を制御することが可能となる。
加えて、複数のICタグ4を一のICタグ群として設置することにより、移動ロボット1が、確実かつ容易にICタグ4の読取りを継続でき、目的の動作を安定して行わせることが可能となる。また、移動経路上を人間や車両が通行することにより、万一ICタグ4が剥離する事態等に至っても、同一タグ群に属する他のICタグ4が残存することにより、移動ロボット1に目的の動作を行わせることができる。さらに、当初の設置枚数以上のICタグ4に同一のICタグ群情報22を付与した上で予備とすることにより、剥離したICタグ4を補填する場合においても、データベースに新たなデータを追加する作業を要することなく対応でき、保守性において優れている。
次に、本発明の第二実施形態の移動ロボット(図示しない)について説明する。第二の実施形態の移動ロボットは、移動経路を形成するICタグとして、動作情報を含んで記憶したICタグを使用するものである。すなわち、このタイプのICタグ(データキャリア型)は、識別番号のみを所有する第一実施形態のICタグに対して、記憶容量が大きく、大容量の音声データ等も記憶することができる。
ICタグから直接動作情報を取得することができるため、動作情報に関するデータベースを記憶手段に備える必要が無い。動作情報の取得の方法以外は、第一実施形態の移動ロボット1と同様に動作が制御されるため、詳細な説明は省略する。
上記のように、第二実施形態の自律移動案内ロボットによれば、動作情報を記憶させたICタグを設置して設定した移動経路を、ICタグリーダによってICタグを読取って取得した動作情報と、レーザレンジファインダ等の対象物検出手段によって取得した対象物情報とを対比することにより、自律的に移動する。また、店舗の案内や商品等の案内を行うための音声データを、予め記憶させたICタグの設置箇所に到達した際に、当該ICタグから音声データを取得し、音声出力する。従って、ICタグから直接に大容量の情報を取得することが可能であり、また、データベースを検索する作業を要しないため、情報処理が速い利点も有する。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、第一実施形態の移動ロボット1の頭部ユニット12の目に該当する位置に、画像映写手段を取設する態様が例示される。ここで、ICタグ4の識別情報21に対応させ、予め記憶手段28に画像データを記憶させることにより、ICタグ4の設置箇所に到達した際に、画像データを壁面等に映写する等の動作を行わせることが可能となり、移動ロボット1に案内、広告機能をより効果的に発揮させることが可能となる。
また、胴体部ユニット11の表面に衝突検知センサを設置し、衝突を検知したときに移動ロボット1が停止する動作を、動作制御手段36によって制御することにより、ショッピング街やイベント会場等の人の多く集まる場所において、より安全に移動ロボット1を自律移動させることが可能となる。
また、胴体部ユニット11の内部に無線通信手段を取設することにより、外部からのデータ入力操作によって、移動ロボット1に動作情報25を直接送信し、遠隔操作することも可能である。このとき、遠隔操作状態を解除して自律移動状態に切り替えるには、無線通信手段を介して遠隔操作を解除する命令を送信する際に、例えば、「直進、1メートル」との動作情報25を与えることにより、この動作の実行中にICタグ4を検出して再び自律移動に戻ることが可能となる。仮に直進中にICタグ4を検出しない場合は、この動作を終了した後、動作情報25を何も取得していない状態となり、停止する。
さらに、ロボットの形態に限らず、他の様々な用途に用いることが可能である。例えば、オフィスにおける書類の無人配送や工場生産ラインにおける部品等の無人搬送用のカートとして自律移動装置を使用し、壁に沿って移動した後に、所定場所で到着を知らせる内容を音声を出力する態様、あるいは、自律移動装置を車椅子形状として病院内で使用し、車椅子の使用者に対して通過箇所に関する案内を行い、検査室の入口等において職員に介助を呼びかける内容の音声を出力させる態様等が挙げられる。言葉を発声することで親しみある印象を与えるため、人間社会で受け容れられやすい態様で活動することが可能である。
1 移動ロボット(自律移動案内ロボット、自律移動装置)
2 ロボット本体(装置本体)
3 駆動機構部(移動手段)
4 ICタグ
5 ICタグリーダ(識別情報取得手段、動作情報取得手段)
7 レーザレンジファインダ(対象物情報取得手段)
8 超音波センサ(対象物情報取得手段)
10 スピーカ(音声出力手段)
21 識別情報
22 ICタグ群情報
25 動作情報
27 音声データ
28 記憶手段
29 動作情報抽出手段
30 対象物情報
42 音声出力制御手段
2 ロボット本体(装置本体)
3 駆動機構部(移動手段)
4 ICタグ
5 ICタグリーダ(識別情報取得手段、動作情報取得手段)
7 レーザレンジファインダ(対象物情報取得手段)
8 超音波センサ(対象物情報取得手段)
10 スピーカ(音声出力手段)
21 識別情報
22 ICタグ群情報
25 動作情報
27 音声データ
28 記憶手段
29 動作情報抽出手段
30 対象物情報
42 音声出力制御手段
Claims (5)
- 装置本体と、
設定された移動経路に沿って前記装置本体を移動させる移動手段と、
前記装置本体に取設され、前記移動経路に予め複数設置され、それぞれ固有の識別番号が付与されたICタグを検出し、前記ICタグとの無線通信によって前記識別番号に係る識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記装置本体に内蔵若しくは取設され、前記ICタグのそれぞれの前記識別情報に関連付けた前記装置本体及び前記移動手段の動作を制御する動作情報をデータベース化して記憶する記憶手段と、
前記装置本体に内蔵され、取得した前記識別情報に対応する前記動作情報を前記記憶手段から抽出する動作情報抽出手段と、
前記装置本体に取設され、前記移動経路に沿って移動する前記装置本体の周囲の状況を検出し、壁及び障害物を含む外部対象物に係る対象物情報を取得する対象物情報取得手段と、
前記本体に内蔵され、抽出した前記動作情報及び取得した前記対象物情報を組合わせ、前記装置本体及び前記移動手段の動作を自律的に制御する動作制御手段と
を具備することを特徴とする自律移動装置。 - 前記記憶手段は、
前記移動経路にそれぞれ設置された前記ICタグの設置個所に対応する音声データをさらに記憶し、
前記装置本体に取設され、前記音声データに基づいて音声の出力が可能な音声出力手段をさらに具備し、
前記動作制御手段は、
前記設置箇所に到達すると、前記音声データを利用し、前記音声出力手段による音声の出力を制御する音声出力制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自律移動装置。 - 複数の前記ICタグによって構成されたICタグ群が前記移動経路に配され、
前記記憶手段は、
前記ICタグのそれぞれの前記識別情報に関連付けた前記ICタグ群に係るICタグ群情報、及び前記ICタグ群情報に関連付けた前記動作情報を、それぞれデータベース化して記憶し、
前記動作情報抽出手段は、取得した前記識別情報を対応する前記ICタグ群情報に変換し、変換された前記ICタグ群情報に対応する前記動作情報を前記記憶手段から抽出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自律移動装置。 - 前記対象物情報取得手段は、レーザレンジファインダを使用することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の自律移動装置。
- 装置本体と、
設定された移動経路に沿って前記装置本体を移動させる移動手段と、
前記装置本体に取設され、前記移動経路に予め複数設置され、前記装置本体及び前記移動手段の動作を制御する動作情報が記憶されたICタグを検出し、前記ICタグとの無線通信によって前記動作情報を取得する動作情報取得手段と、
前記装置本体に取設され、前記移動経路に沿って移動する前記装置本体の周囲の状況を検出し、壁及び障害物を含む外部対象物に係る対象物情報を取得する対象物情報取得手段と、
前記装置本体に内蔵され、取得した前記動作情報及び前記対象物情報を組合わせ、前記装置本体及び前記移動装置の動作を自律的に制御する制御手段と
を具備することを特徴とする自律移動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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-
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- 2004-12-21 JP JP2004368874A patent/JP2006178578A/ja active Pending
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