JP2006178363A - 光走査装置および該光走査装置を用いたプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 低騒音で、信頼性が高く、光量の損失や迷光が少なく、小型で、安価な光走査装置およびそれを用いたプリンタを提供すること。
【解決手段】 光源11と、構成する材料のうち少なくとも1つの材料は強誘電体であるフォトニック結晶光学素子12と、フォトニック結晶光学素子12に印加する電圧を制御する電圧制御部13と光走査位置を検出する検出部14とで構成している。またフォトニック結晶光学素子12の入射面および出射面には断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置している。これらの構造はフォトニック結晶構造を形成する工程で同時に作製することができるので、光量の低下や迷光が抑えられ、かつ、コストアップも無く実現できる。
【選択図】 図1
【解決手段】 光源11と、構成する材料のうち少なくとも1つの材料は強誘電体であるフォトニック結晶光学素子12と、フォトニック結晶光学素子12に印加する電圧を制御する電圧制御部13と光走査位置を検出する検出部14とで構成している。またフォトニック結晶光学素子12の入射面および出射面には断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置している。これらの構造はフォトニック結晶構造を形成する工程で同時に作製することができるので、光量の低下や迷光が抑えられ、かつ、コストアップも無く実現できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光走査装置に係り、特にプリンタ等に用いられる光走査装置およびそれを用いたプリンタに関するものである。
現在普及しているプリンタには様々な方式があるが、そのなかの1つに光学的に書き込みを行う光書き込み方式がある。光書き込み方式の代表的なものとしては電子写真方式が挙げられる。
光書き込み方式で自己発光型の代表的なものとして、銀塩方式がある。銀塩方式は、印画紙に直接光で書き込み、光が照射されたところが現像後に照射した光の色に発色するものであり、赤(R),緑(G),青(B)の3色の光を用いて書き込むことでフルカラープリントができる。
また、自己発色型で最近注目されているものに、フォトクロミック材料を用いたものがある。フォトクロミック材料とは、光により色が可逆的に変化するもので、光を照射した部分がその光の色に変化し、さらに、色が変化した部分に紫外線を照射することで、元の色に戻すことが可能であるため、フルカラーで、光による書き込みおよび消去が繰り返し可能なリライタブルペーパーとして期待されている。
一方、上述した光書き込み方式に用いられる従来の光走査装置には、電子写真方式プリンタ等で現在最も採用されているポリゴンミラー方式の光走査装置がある。ポリゴンミラー方式は、複数の反射面を有するポリゴンミラーを高速で回転させ、その反射面に光を当てることで、光を走査させることができる。
以下、従来の光走査装置について説明する。
図7は、特開2003−202510号公報(特許文献1)に開示されたポリゴンミラー方式を説明するための図である。
図7は、特開2003−202510号公報(特許文献1)に開示されたポリゴンミラー方式を説明するための図である。
同図において、251は光源手段であり、4つのビームを出射する4ビーム半導体レーザより成っている。252はコリメーターレンズ、253は絞り、232はシリンドリカルレンズ、202は光偏向器であるポリゴンミラー、222は球面レンズ(第1の走査レンズ)、226はトーリックレンズ(第2の走査レンズ)、255は光学部材(間隔調整部材)としての平行平板ガラスであり、光検出器230により検出された量(感光ドラム上を走査する複数ビームの副走査方向の位置ズレ情報)に応じて、副走査方向に傾け制御することにより、感光ドラム(感光体)227上を走査する複数ビームの副走査方向の描画位置(走査開始位置)を調整している。
また、従来の光走査装置の別の方式として、LEDや有機ELなどの発光素子をアレイ状に並べた光走査装置が提案されている。
図8は、特開平9−226172号公報(特許文献2)に開示された光走査装置を説明するための図であり、有機EL素子をアレイ状に並べた構成を有し、任意の有機EL素子を制御して点灯させることにより光を走査させることを可能にしたものである。
同図に示す光走査装置は、ガラス基板308上に、信号電極309が有機ELのドット数と略同数個配置されている。各々の信号電極309は絶縁膜の第1コンタクトホール310を介して透明電極311に電気的に接続されている。
この透明電極311は、絶縁膜の第2コンタクトホール312において、正孔輸送層313と発光層314を挟んで、電子注入電極315と対向している。
この絶縁膜の第2コンタクトホール312は発光領域に該当するので、一直線上に等間隔に配列されている。電子注入電極315は、保護膜の第1コンタクトホール316において、共通電極318と電気的に接続されている。保護膜の第2コンタクトホール317は、保護膜が信号電極309と透明電極311の層間に形成されているので、信号電極309と透明電極311を電気的に接続するために必要となっている。
また、フォトニック結晶の大きな波長分散特性を用いた光走査装置も提案されている。
図9は、特開2001−13439号公報(特許文献3)に提案された光走査装置を説明するための図であり、酸化シリコン膜431内に円柱状のシリコン432を周期的に並べたフォトニック結晶430と波長可変レーザ410を用い、波長可変レーザ410の波長制御子に流す電流を変化させ波長を650nmから660nmまで変化させることにより、フォトニック結晶430内での光ビームの進行方向を変化させ、これにより光ビームの偏向方向を大きく変化させて光走査を行うようにしたものである。
また、本出願人が提案した特開2001−75040号公報(特許文献4)では、波長可変レーザとフォトニック結晶でレーザ走査システムを構成し、波長を連続的に変化させて、レーザ光を走査している。
また、光位置センサ、または、スタート位置センサおよび終点位置センサを設け、センサからの情報をフィードバックしてレーザの波長を補正している。これは波長可変レーザという特殊なレーザを用いており、装置が高価になってしまう。
また、本出願人が提案した特開2003−149419号公報(特許文献5)では、波長可変DBR半導体レーザとフォトニック結晶とレーザ光をフォトニック結晶に入射させるカップリングレンズとで光走査装置を構成している。
波長可変DBR半導体レーザは、導波路を局部的に加熱するヒータを搭載し屈折率を可変する受動導波路加熱方式の半導体レーザであり、レーザ光の波長を変化させて、レーザ光を走査している。これは特開2001−75040号公報(特許文献4)と同様に特殊なレーザを用いており、装置が高価になってしまう。
また、出願人は、光源と、強誘電体で形成されたフォトニック結晶と、強誘電体で形成されたフォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部と、走査位置を検出する検出部とで構成した光走査装置も提案している。ここでは、検出部で検出した走査位置を、フォトニック結晶に印加する電圧を制御する電圧制御部にフィードバックしながらフォトニック結晶に印加する電圧を制御することで、光を走査している。
しかし、これは、フォトニック結晶の入射面および出射面において、フォトニック結晶と空気の界面とで屈折率差があるため、フォトニック結晶の入射面および出射面において反射が生じてしまい、光量が低下したり、あるいは、反射光が迷光となり不要な書き込みの原因となって、プリンタ装置の画像品質を低下させてしまう。
その他の従来技術として、後述する如き特開平11−70695号公報(特許文献6)、特開2003−54030号公報(特許文献7)、特開2003−1864号公報(特許文献8)、D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003)(非特許文献1)もある。
しかしながら、上述したポリゴンミラー方式は、ミラーを機械的に回転させるという機械的駆動部が必要であるため、機械的摩耗が生じるという信頼性の面で問題があり、また、騒音が発生してしまうという問題がある。さらに、比較的大きな空間を占めてしまいプリンタが大きくなってしまうといった問題があった。
一方、LEDや有機ELなどの発光素子をアレイ状に並べた光走査装置は、発光素子を並べて任意の発光素子を点灯させるので、機械的な駆動部がなく機械的摩耗や騒音が発生せず、また、占有する空間が比較的小さくプリンタ装置を小型化することができる。
しかしながら、発光素子としてLEDをアレイ状に並べた光走査装置では、非常に長いLEDアレイチップを作製するのは非常に困難であるため、複数のLEDアレイチップを並べて実装する必要があるが、実装精度は印字品質に大きく影響するため、高精度の実装を行う必要があり、コストアップにつながっている。
また、LEDアレイは、印字品質に大きく影響する発光ばらつきの問題がある。発光ばらつきに対して、特開平11−70695号公報(特許文献6)のように、電極の一部をレーザ光で切断して1ビット毎に調整する手段はあるが、工程数が増えることになりコストアップにつながる。
発光素子として有機EL素子をアレイ状に並べた光走査装置では、特開平9−226172号公報(特許文献2)の図8のように、長尺のものを一括で作製することができるため、実装工程がないため低コストにすることができる、また、発光ばらつきが比較的少ない。しかしながら、有機EL素子は、LEDに比べて寿命が短く、また、累積点灯時間が長くなるにつれて次第に輝度が低下するという問題がある。
この問題に対しては、特開2003−54030号公報(特許文献7)のように、構造上単位面積あたりの発光強度を低下させて寿命を伸ばしたり、あるいは、特開2003−1864号公報(特許文献8)のように、有機ELアレイを複数ライン並べて、使用中のラインに寿命が来たら別のラインに切り替えて実質的に寿命を伸ばしたりするなどで対応しているが、構造が複雑になり、有機ELの低コストおよび小型化という利点が損なわれているという問題がある。さらに、有機ELアレイの寿命が短く、また、次第に輝度が低下するという問題の根本的解決にはなっていない。
また、フォトニック結晶と波長可変レーザで構成した光走査装置は、機械的な駆動部がなく、騒音が発生せず、プリンタ装置を小型化することができる。しかしながら、波長可変レーザという特殊なレーザを用いる必要があり、装置が高価なものになってしまうという問題がある。
本発明は、上記問題を解消することを目的とするものである。以下、各請求項毎の目的を具体的に述べる。
a)請求項1および2に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、光量の損失や迷光が少なく、小型で、安価な光走査装置を提供することを目的としている。
b)請求項3および4に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、光量の損失や迷光が少なく、小型で、安価で、かつ、高速走査が可能な光走査装置を提供することを目的としている。
c)請求項5に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、光量の損失や迷光が少なく、小型で、安価で、かつ、多色のプリンタに用いられる光走査装置を提供することを目的としている。
d)請求項6に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、光量の損失や迷光が少なく、小型で、安価で、かつ、フルカラープリンタに用いられる光走査装置を提供することを目的としている。
e)請求項7では、低騒音で、信頼性が高く、光量の損失や迷光が少なく、小型で、安価な光走査装置を提供することを目的としている。
f)請求項8に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、画像品質が高く、安価なプリンタを提供することを目的としている。
g)請求項9に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、画像品質が高く、安価なカラープリンタを提供することを目的としている。
h)請求項10に記載の発明は、低騒音で、信頼性が高く、小型で、画像品質が高く、安価なリライタブルペーパー用プリンタを提供することを目的としている。
本発明では、光走査系を、光源と、構成する材料のうち少なくとも1つの材料は強誘電体であるフォトニック結晶光学素子と、フォトニック結晶光学素子に印加する電圧を制御する電圧制御部と光走査位置を検出する検出部とで構成しており、フォトニック結晶光学素子の入射面および出射面には断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置し、さらに、これらの構造はフォトニック結晶構造を形成する工程で同時に作製することができるので、光量の低下や迷光が抑えられ、かつ、コストアップも無く実現できる。以下、請求項毎の構成を述べる。
a)請求項1および2に記載の光走査装置は、光源と、フォトニック結晶光学素子と、該フォトニック結晶光学素子に印加する電圧を制御する電圧制御部と、光走査位置を検出する検出部とを具備し、前記フォトニック結晶光学素子は、屈折率の異なる2つ以上の材料を2次元または3次元で配置して構成され、少なくともそのうちの1つの材料は強誘電体であり、かつ、前記フォトニック結晶光学素子の光を入射する面および出射する面に断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置されたこと、また、前記屈折率の異なる2つ以上の材料の2次元または3次元での配置と、前記フォトニック結晶光学素子の光の入射する面および出射する面に断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期での配置が同一工程で行われたものである。
b)請求項3および請求項4に記載の光走査装置は、請求項1または2に記載の光走査装置を主走査方向または副走査方向に2つ以上並べて構成されている。
c)請求項5に記載の光走査装置は、請求項4に記載の光走査装置において、光源の波長の異なる光走査装置を副走査方向に2つ以上並べて構成されている。
d)請求項6に記載の光走査装置は、光源波長の異なる3種類以上の請求項1または2に記載の光走査装置を、副走査方向に3つ以上並べて構成されている。
e)請求項7に記載の光走査装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の光走査装置において、フォトニック結晶光学素子をPLZTで形成されている。
f)請求項8に記載のプリンタは、請求項1から4のいずれかに記載の光走査装置と、該光走査装置からの光によって静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像する現像器と、現像された像を転写用紙に転写する転写器と、前記転写用紙に転写された像を定着させる定着器とで構成されている。
g)請求項9に記載のプリンタは、請求項5または6に記載の光走査装置と、光走査装置からの光によって銀塩ペーパー上に形成された像を現像する現像器と、現像された像を定着する定着器とで構成されている。
h)請求項10に記載のプリンタは、請求項1から7のいずれかに記載の光走査装置と、像を消去するための紫外光を発生する紫外光光源とで構成されている。
本発明では、フォトニック結晶を強誘電体で形成し、フォトニック結晶に印加する電圧で制御するので、波長可変レーザ等の特殊なレーザを用いる必要がなく、信頼性が高く、小型で、画像品質が高く、安価な光走査装置およびプリンタを容易に製造することができる。以下、請求項毎の効果を述べる。
a)請求項1および2に記載の発明においては、光走査装置を、光源と、構成する材料のうち少なくとも1つの材料は強誘電体であるフォトニック結晶光学素子と、フォトニック結晶光学素子に印加する電圧を制御する電圧制御部と光走査位置を検出する検出部とで構成しており、フォトニック結晶光学素子の入射面および出射面には断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置し、さらに、これらの構造はフォトニック結晶構造を形成する工程で同時に作製することができるので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、かつ、不要な反射を低減した光走査装置を容易に製造することができ、よって、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価な光走査装置を容易に実現することができる。
b)請求項3および4に記載の発明においては、請求項1または2に記載の光走査装置を主走査方向または副走査方向に2つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、かつ、実効的な走査速度が速い光走査装置を容易に製造することができ、よって、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価で、かつ、高速走査が可能な光走査装置を容易に実現することができる。
c)請求項5に記載の発明においては、請求項4に記載の光走査装置を、光源の波長の異なる光走査装置を副走査方向に2つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、かつ、異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができ、よって、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価で、かつ、多色のプリンタに用いられる光走査装置を容易に実現することができる。
d)請求項6に記載の発明においては、光源波長の異なる3種類以上の請求項1または請求項2に記載の光走査装置を、副走査方向に3つ以上並べて構成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要とせず、かつ、3つ以上の異なる波長の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができ、よって、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価で、かつ、フルカラープリンタに用いられる光走査装置を容易に実現することができる。
e)請求項7に記載の発明においては、請求項1〜6のいずれかに記載の光走査装置のフォトニック結晶をPLZTで形成しているので、機械的駆動部がなく、光量のばらつきがなく、特殊なレーザを必要としなく、かつ、可視光領域の光を走査できる光走査装置を容易に製造することができ、よって、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価で、かつ、可視光領域の光で使用可能な光走査装置を容易に実現することができる。
f)請求項8に記載の発明においては、請求項1〜4のいずれかに記載の光走査装置と、像担持体と、現像器と、転写器とで構成しているので、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価なプリンタを容易に製造することができ、よって、高品質のプリンタを安価に実現することができる。
g)請求項9に記載の発明においては、請求項5または6に記載の光走査装置と、定着器とで構成しているので、銀塩式カラープリンタが可能で、かつ、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価な銀塩式カラープリンタを容易に製造することができ、よって、高品質のカラープリンタを安価に実現することができる。
h)請求項10に記載の発明においては、請求項1〜7のいずれかに記載の光走査装置と紫外光光源とで構成しているので、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパーにプリントすることができ、かつ、低騒音で、信頼性が高く、画像品質が高く、小型で、安価なプリンタを容易に製造することができ、よって、高品質のリライタブルペーパー用プリンタを安価に実現することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。
<第1の実施例>
第1の実施例として、本発明の光走査装置について説明する。
図1は、第1の実施例の光走査装置の構成を示す図である。
第1の実施例として、本発明の光走査装置について説明する。
図1は、第1の実施例の光走査装置の構成を示す図である。
図1に示した光走査装置は、光源(半導体レーザ)11と、フォトニック結晶光学素子12と、電圧制御部13と、光走査位置検出器(フォトダイオード)14とで構成されている。
図2および図3は、図1のフォトニック結晶光学素子12の斜視図および上面図である。
図2および図3に示したフォトニック結晶光学素子12は、強誘電体(PLZT;チタン酸ジルコン酸ランタン鉛、すなわち、鉛(Pb)・ランタン(La)・ジルコン(Zr)・チタン(Ti)を含む酸化物セラミックス)基板121に円孔122を2次元的に周期配列で形成してある。
図2および図3に示したフォトニック結晶光学素子12は、強誘電体(PLZT;チタン酸ジルコン酸ランタン鉛、すなわち、鉛(Pb)・ランタン(La)・ジルコン(Zr)・チタン(Ti)を含む酸化物セラミックス)基板121に円孔122を2次元的に周期配列で形成してある。
また、強誘電体基板121の下面には電極123が、上面には電極124が形成してされ、(図3の上面図では電極123,124を省略してある)、電極123および電極124は電圧制御部13と接続されており、フォトニック結晶光学素子12に電圧を制御して印加できるようになっている。
また、強誘電体基板121の光を入射する面および出射する面には、三角形状を光の波長の1/2以下の周期で配置した鋸歯形状171,17が形成されている。
屈折率の異なる透明材料を多次元的に周期配列した構造体は、フォトニック結晶と呼ばれ、フォトニックバンドギャップ、異方性、高分散性などの特性を有することが知られている。
フォトニック結晶の高分散性は、光の波長または入射角を若干変えるだけで、屈折角が大きく変化する特性であるが、強誘電体で形成したフォトニック結晶の場合には、光の波長や入射角が固定であっても、フォトニック結晶に印加する電圧を変えることで、屈折角を大きく変化させることができることが報告されている(D. Scrymgeour, N. Malkova, S. Kim and V. Gopalan, Appl. Phys. Lett., 82, 3176 (2003))(非特許文献1)。
一方、鋸歯形状を波長の1/2以下の周期で配置した構造は、moth eye と呼ばれ反射防止構造があることが知られている。
図1から図3に示した本実施例の光走査装置では、強誘電体(PLZT)基板121に円孔122を2次元的に周期配列で形成してあり、強誘電体と空気が2次元的に周期配列した構造となり、フォトニックバンドギャップ、異方性、高分散性を有するフォトニック結晶となっている。
強誘電体(PLZT)でフォトニック結晶光学素子12を形成し、フォトニック結晶光学素子12の上下面に形成された電極123,124に電圧制御部13が接続されているので、半導体レーザ11から出射され、フォトニック結晶光学素子12に入射したレーザ光16は、フォトニック結晶に印加する電圧を制御して任意の方向に偏向することができる。したがって、電圧制御部13で電圧を制御して、レーザ光を走査することができる。
フォトニック結晶は先に述べたように波長分散性が高いが、光走査位置検出器14で走査開始位置および走査終了位置を検出して、電圧制御部13にフィードバックすることで、環境温度の変化などで半導体レーザ11の発光波長が若干変動しても、正常にレーザ光16を走査させることができる。
また、光を入射および出射する面には、三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状171および17が形成されており、入射および出射時の反射を防止する効果を有している。
強誘電体(PLZT)の2次元フォトニック結晶は、ゲル状の感光性強誘電体(PLZT)膜を紫外光でパターン露光し、酸性の水溶液で紫外光の未照射部分を溶解した後、400℃でベークすることで作製することができる。
また、本作製方法で、三角形状を波長の1/2周期以下で配置した鋸歯形状を同時に形成することが可能なため、製造コストを抑えることができ、安価に提供することができる。
なお、本実施例では、フォトニック結晶を形成する強誘電体材料として強誘電体(PLZT;チタン酸ジルコン酸ランタン鉛)を用いたが、光源波長に対して透明な強誘電体材料であれば他の材料であってもよい。しかしながら、強誘電体(PLZT)は可視光領域で透明であり、かつ、電気光学特性が非常に優れており、本発明の光走査装置を構成するフォトニック結晶の材料として最適と思われる。
また、、本実施例の光走査装置を、主走査方向あるいは副走査方向に複数並べる構成でも良く、複数並べた構成では、実効的な走査速度を速くすることができる。
<第2の実施例>
第2の実施例として、本発明の電子写真プリンタについて説明する。
図4は、第2の実施例の電子写真プリンタの構成図である。
第2の実施例として、本発明の電子写真プリンタについて説明する。
図4は、第2の実施例の電子写真プリンタの構成図である。
図4に示した電子写真プリンタは、光源としての半導体レーザ11と、フォトニック結晶光学素子12と電圧制御部13と光走査位置検出器14とで構成された本発明の第1の実施例で述べた光走査装置10と、像担持体(感光ドラム)15と、帯電器18と、現像器19と、転写器20と、クリーナー20’と、定着器(図示せず)とからなる。
図4に示した電子写真プリンタの動作を説明すると、まず、像担持体(感光ドラム)15が帯電器18によって帯電され、光走査装置10で画像データに応じて強度変調されたレーザ光16を走査する。
像担持体(感光ドラム)15上のレーザ光16が照射された領域は電荷量が減り、電荷量はレーザ光16の照射量の逆数に関係するので、像担持体(感光ドラム)15上に静電潜像が形成される。
次に、現像器19で像担持体(感光ドラム)15上の電荷を帯びた部分にトナーを吸着させ、転写器20で像担持体(感光ドラム)15上のトナーを紙に転写する。
その後、像担持体(感光ドラム)15はクリーナー20’でクリーニングし、再び同じ工程を繰り返す。したがって、これらの工程を順次繰り返し行い、最後に定着器(図示せず)で紙面上のトナーを紙面に定着させることで、紙面に画像を形成することができる。
<第3の実施例>
第3の実施例として、本発明の銀塩方式プリンタについて説明する。
図5は、第3の実施例の銀塩方式プリンタの構成図である。
第3の実施例として、本発明の銀塩方式プリンタについて説明する。
図5は、第3の実施例の銀塩方式プリンタの構成図である。
図5に示した銀塩方式プリンタは、第1の実施例で述べた光走査装置3つ(101,102,103)と、現像器19と、定着器22とで構成される。3つの光走査装置101,102,103において、光源111,112,113の出力波長はそれぞれ異なり、赤(R)、緑(G)および青(B)となっている。また、3つの光走査装置101,102,103は副走査方向に並べてある。
図5に示した銀塩方式プリンタの動作を説明すると、銀塩ペーパーAに、赤(R)の光源111を有する光走査装置101、緑(G)の光源112を有する光走査装置102、青(B)の光源113を有する光走査装置103で画像データに応じて強度変調された3色の光を順次走査し、銀塩ペーパーAを露光する。したがって、その後、現像器19で現像し、次に定着器22で定着し、乾燥させることで、銀塩ペーパーAにプリントすることができる。
なお、本実施例では、赤(R)の光源111を有する光走査装置101、緑(G)の光源112を有する光走査装置102、青(B)の光源113を有する光走査装置103の3つの光走査装置で構成しているが、2つ以上の光走査装置を用いることで、多色のプリントが可能となる。しかしながら、光源波長の異なる3つ以上の光走査装置で構成することで、フルカラーのプリントが可能となる。なお、赤(R)、緑(G)および青(B)のようにフルカラープリントに適した波長を選ぶ必要がある。また、フォトニック結晶の構造は光源の波長に応じて変更する必要がある。
本実施例では、銀塩ペーパーAにプリントしているが、同様の方式で、カラーフィルムやその他のカラー記録媒体にプリントすることも可能である。
<第4の実施例>
第4の実施例として、本発明のフォトクロミック材料からなるリライタブルペーパー用プリンタについて説明する。
図6は、第4の実施例のリライタブルペーパー用プリンタの構成図である。
第4の実施例として、本発明のフォトクロミック材料からなるリライタブルペーパー用プリンタについて説明する。
図6は、第4の実施例のリライタブルペーパー用プリンタの構成図である。
図6に示したリライタブルペーパー用プリンタは、第1の実施例で述べた光走査装置3つ(101,102,103)と、紫外光光源(紫外ランプ)24とで構成される。3つの光走査装置101,102,103において、光源111,112,113の出力波長はそれぞれ異なり、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)となっている。
フォトクロミック材料とは、紫外光の照射により発色し、発色した材料が吸収する可視光の照射により消色するものである。波長460nm付近に吸収スペクトルのピークをもつイエロー材料と、波長530nm付近に吸収スペクトルのピークをもつマゼンタ材料と、波長630nm付近に吸収スペクトルのピークをもつシアン材料の3種類のフォトクロミック材料を混合して白色フィルム上に塗布したものは、紫外線の照射により全材料が発色した後、赤色光を照射した部分はシアン材料が消色して赤色を示し、緑色光を照射した部分はマゼンタ材料が消色して緑色を示し、青色光を照射した部分はイエロー材料が消色して青色を示し、フルカラー画像表示が可能である。また、紫外光を再度照射すると、全材料が発色して画像が消去できるため繰り返し書き換え可能なリライタブルペーパーとして使用することができる(川島伊久衛、高橋裕幸、平野成伸、光学32巻12号、707(2003))。
図6に示したリライタブルペーパー用プリンタの動作を説明すると、まず、フォトクロミック材料からなるリライタブルペーパー(フォトクロミックペーパー)Bに紫外光光源(紫外ランプ)24で紫外光を照射し、既に形成されている画像を消去する。
次に、消去したリライタブルペーパー(フォトクロミックペーパー)Bに3つの光走査装置101,102,103で画像データに応じて強度変調された3色の光を順次走査することで、リライタブルペーパー(フォトクロミックペーパー)Bにプリントすることができる。
なお、本実施例では、赤(R)の光源111を有する光走査装置101、緑(G)の光源112を有する光走査装置102、青(B)の光源113を有する光走査装置103の3つの光走査装置で構成しているが、第3の実施例と同様に、2つ以上の光走査装置を用いることで、多色のプリントが可能となる。しかしながら、光源波長の異なる3つ以上の光走査装置で構成することで、フルカラーのプリントが可能となる。なお、赤(R)、緑(G)および青(B)のようにフルカラープリントに適した波長を選ぶ必要がある。また、フォトニック結晶の構造は光源の波長に応じて変更する必要がある。
10,102,102,103:光走査装置
11,111,112,113:光源(半導体レーザ)
12:フォトニック結晶光学素子
121:強誘電体(PLZT)基板
122:円孔
123,124:電極
13,131,132,133:電圧制御部
14:光走査位置検出器
15:像担持体(感光ドラム)
16:レーザ光
17,171:鋸歯形状
18:帯電器
19:現像器
20:転写器
20’:クリーナー
21:レンズ
22:定着器
23:転送ローラー
24:紫外光光源(紫外ランプ)
202:ポリゴンミラー
222:球面レンズ(第1の走査レンズ)
226:トーリックレンズ(第2の走査レンズ)
227:感光ドラム(感光体)
230:光検出器
232:シリンドリカルレンズ
251:光源手段
252:コリメーターレンズ
253:絞り
255:平行平板ガラス
308:ガラス基板
309:信号電極
310:絶縁膜の第1コンタクトホール
311:透明電極
312:絶縁膜の第2コンタクトホール
313:正孔輸送層
314:発光層
315:電子注入電極
316:保護膜の第1コンタクトホール
317:保護膜の第2コンタクトホール
318:共通電極
410:波長可変レーザ
430:フォトニック結晶
431:酸化シリコン膜
432:円柱状のシリコン
11,111,112,113:光源(半導体レーザ)
12:フォトニック結晶光学素子
121:強誘電体(PLZT)基板
122:円孔
123,124:電極
13,131,132,133:電圧制御部
14:光走査位置検出器
15:像担持体(感光ドラム)
16:レーザ光
17,171:鋸歯形状
18:帯電器
19:現像器
20:転写器
20’:クリーナー
21:レンズ
22:定着器
23:転送ローラー
24:紫外光光源(紫外ランプ)
202:ポリゴンミラー
222:球面レンズ(第1の走査レンズ)
226:トーリックレンズ(第2の走査レンズ)
227:感光ドラム(感光体)
230:光検出器
232:シリンドリカルレンズ
251:光源手段
252:コリメーターレンズ
253:絞り
255:平行平板ガラス
308:ガラス基板
309:信号電極
310:絶縁膜の第1コンタクトホール
311:透明電極
312:絶縁膜の第2コンタクトホール
313:正孔輸送層
314:発光層
315:電子注入電極
316:保護膜の第1コンタクトホール
317:保護膜の第2コンタクトホール
318:共通電極
410:波長可変レーザ
430:フォトニック結晶
431:酸化シリコン膜
432:円柱状のシリコン
Claims (10)
- 光源と、フォトニック結晶光学素子と、該フォトニック結晶光学素子に印加する電圧を制御する電圧制御部と、光走査位置を検出する検出部とを具備する光走査装置であって、
前記フォトニック結晶光学素子は、屈折率の異なる2つ以上の材料を2次元または3次元で配置して構成され、少なくともそのうちの1つの材料は強誘電体であり、かつ、前記フォトニック結晶光学素子の光を入射する面および出射する面に断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期で配置されたことを特徴とする光走査装置。 - 請求項1に記載の光走査装置において、
前記屈折率の異なる2つ以上の材料の2次元または3次元での配置と、前記フォトニック結晶光学素子の光の入射する面および出射する面に断面が三角形状をした構造を光源波長の1/2以下の周期での配置が同一工程で行われたものであることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1または2に記載の光走査装置を、主走査方向に少なくとも2つ以上並べたことを特徴とする光走査装置。
- 請求項1または2に記載の光走査装置を、副走査方向に少なくとも2つ以上並べたことを特徴とする光走査装置。
- 請求項4に記載の光走査装置において、前記副走査方向に並べた2つ以上の光走査装置の光源波長が少なくとも2つ以上であることを特徴とする光走査装置。
- 請求項1または2に記載の光走査装置を、前記副走査方向に少なくとも3つ以上並べ、かつ、光源波長が少なくとも3つ以上あることを特徴とする光走査装置。
- 請求項1から6のいずれかに記載の光走査装置において、前記フォトニック結晶光学素子を形成する強誘電体がPLZTであることを特徴とする光走査装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載の光走査装置と、該光走査装置からの光によって静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像する現像器と、現像された像を転写用紙に転写する転写器と、前記転写用紙に転写された像を定着させる定着器とを有することを特徴とするプリンタ。
- 請求項5または6に記載の光走査装置と、光走査装置からの光によって銀塩ペーパー上に形成された像を現像する現像器と、現像された像を定着する定着器とを有することを特徴とする銀塩式カラープリンタ。
- 請求項1から7のいずれかに記載の光走査装置と、像を消去するための紫外光を発生する紫外光光源とを有することを特徴とするプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004374186A JP2006178363A (ja) | 2004-12-24 | 2004-12-24 | 光走査装置および該光走査装置を用いたプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004374186A JP2006178363A (ja) | 2004-12-24 | 2004-12-24 | 光走査装置および該光走査装置を用いたプリンタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006178363A true JP2006178363A (ja) | 2006-07-06 |
Family
ID=36732514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004374186A Pending JP2006178363A (ja) | 2004-12-24 | 2004-12-24 | 光走査装置および該光走査装置を用いたプリンタ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006178363A (ja) |
-
2004
- 2004-12-24 JP JP2004374186A patent/JP2006178363A/ja active Pending
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