JP2006175755A - 成形品の製造装置 - Google Patents
成形品の製造装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006175755A JP2006175755A JP2004372241A JP2004372241A JP2006175755A JP 2006175755 A JP2006175755 A JP 2006175755A JP 2004372241 A JP2004372241 A JP 2004372241A JP 2004372241 A JP2004372241 A JP 2004372241A JP 2006175755 A JP2006175755 A JP 2006175755A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- base material
- mold
- carbon dioxide
- transfer surface
- pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】
量産性の高く、良好な転写性を得ることができる成形品の製造装置を提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる成形品の製造装置は、熱可塑性樹脂からなる母材シート1と金型転写面3との隙間を5mm以内に維持した状態にて二酸化炭素を金型キャビティ内に導入することを特徴とする。これ以上に母材シート1と金型転写面3の隙間が広いと、母材シート1に溶けない余剰な二酸化炭素の量が多くなり、プレス等で転写面3を押し付けた際に、低圧のプレス力では排気しにくくなる。また隙間の狭いほうが導入する二酸化炭素の絶対量を減らすことができ経済的である。
【選択図】 図1
量産性の高く、良好な転写性を得ることができる成形品の製造装置を提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる成形品の製造装置は、熱可塑性樹脂からなる母材シート1と金型転写面3との隙間を5mm以内に維持した状態にて二酸化炭素を金型キャビティ内に導入することを特徴とする。これ以上に母材シート1と金型転写面3の隙間が広いと、母材シート1に溶けない余剰な二酸化炭素の量が多くなり、プレス等で転写面3を押し付けた際に、低圧のプレス力では排気しにくくなる。また隙間の狭いほうが導入する二酸化炭素の絶対量を減らすことができ経済的である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、熱可塑性樹脂からなる成形品の製造装置に関するものであり、より詳しくはフィルムや板状等、粗形状を有する熱可塑性樹脂1次成形品を2次加工する製造装置に関する。
熱可塑性樹脂からなる成形品の製造方法としては、大量生産に適した射出成形方法が知られる。しかしながら、射出成形方法は、加熱溶融した樹脂材料を金型のキャビティに射出充填する際、表面に固化層が形成されるため、金型表面に対する転写精度や成形品の薄肉化に限界がある。
こうした欠点を改善するために、予め射出成形等により成形したプラスチック母材を金型キャビティ内に挿入し、この母材を、母材のガラス転移温度以上に加熱溶融させて樹脂内圧を上昇させた後、緩やかに冷却する成形方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法においては、圧力および温度に分布や偏りが生じないように、母材のガラス転移温度以下まで緩やかに冷却することが不可欠であるため、成形サイクルが長期化するという欠点があった。
かかる問題を回避する方法として、例えば、棒状、板状の発熱体や超音波による加熱手段を転写部材となる金型に設けることで、母材の被転写面のみを局所的に加熱溶融させて転写させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、高周波誘導加熱により、母材の転写表面のみを溶融させる方法も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。これらの方法によれば、樹脂表面を軟化させるために樹脂を直接もしくは間接的に加熱しているので、熱源もしくは溶融樹脂の熱が金型に伝達し、金型およびプレス装置の温度が少しずつ上昇する。そのため成形品の表面全体における温度の均一性および連続生産時におけるヒートサイクルの安定性を正確に制御することが困難であった。また、大面積を有する成形品の場合、金型の熱容量が増大するため、上記問題が顕著であった。つまり、射出成形に匹敵する量産性を得るには限界が生じていた。
一方、近年、超臨界二酸化炭素や二酸化炭素を成形加工に応用する試みが盛んであるが、古くから二酸化炭素を熱可塑性樹脂に吸収させると可塑剤として働き、樹脂のガラス転移温度を低下させることが非特許文献2等で知られている。また、これを射出成形に応用した技術が特許文献3に開示されている。特許文献3には、加圧した二酸化炭素(CO2)で充満させた金型内に、二酸化炭素を溶解させた溶融樹脂を充填することで流動樹脂のフローフロントに二酸化炭素が含浸して金型接触面における固化層の成長を抑制する技術が開示されているが、これは溶融状態の樹脂に適用されたものであり、本発明の場合、固化した樹脂に適用するものであるため技術分野が異なる。また、特許文献3に記載された方法では、二酸化炭素の樹脂に対する接触時間は射出時間によって制限されるので、最表面における二酸化炭素の浸透量を制御することが困難である。また、二酸化炭素を超臨界状態(7MPa)以上の高圧状態にすると、射出の障害となるため、金型内に導入される二酸化炭素は低圧とせざるを得ない。そのため、短時間に多量の二酸化炭素を浸透させることはより困難であった。
二酸化炭素を利用して成形品の転写性を向上させる他の手法が特許文献4に開示されている。特許文献4によれば、射出成形後に金型を一旦開き、金型と樹脂表面のスキン層の間に隙間を形成し、該隙間に高圧の二酸化炭素を導入することでスキン層を軟化させ、さらに樹脂圧を高めて金型表面を転写している。特許文献4も特許文献3と同様に溶融樹脂に適用したものであり、成形品全体がガラス転移温度以下になっているわけではない。そのため、スキン層表面から浸透した二酸化炭素は溶融状態の樹脂内部まで容易に浸透可能である。従って、樹脂と金型との隙間に滞留した二酸化炭素が溶け残るという、固化した樹脂に特有の問題が生じない。
本発明者らの鋭意検討によれば、ガラス転移温度以下の固化した熱可塑性樹脂からなる母材に超臨界状態における高圧の二酸化炭素を短時間で浸透させ、表面を軟化させることは容易であった。しかしながら、高圧の二酸化炭素を充満した雰囲気にて、単にプレス等により母材を金型面に押し付けたのでは、成形品の表面に膨れや局所発泡、転写むらの問題が生じてしまい。金型表面の微細形状を転写することは困難であった。この問題は、母材の厚みが1mm以下、特に0.5mm以下と薄い場合に顕著であった。この要因として、プレス時に母材と金型の隙間に溶け残った二酸化炭素が圧縮されて高圧状態にて挟まれ、プレス圧により樹脂内部に浸透させることができなかったためと考えられる。母材が薄いほどに、二酸化炭素の浸透できる絶対量が減少し、溶け残った二酸化炭素を母材と金型の隙間から排気することが困難となったため、問題が顕著になると思われる。
二酸化炭素の圧力を低くすれば、密度が低下しガス体となるため、上記問題は回避できたが、二酸化炭素の浸透時間が長くなり、連続量産化が困難であった。さらにプレス圧等の母材と樹脂との押し付け圧を非常に高くすることによって、ある程度問題は回避できるかエネルギー効率が悪いという課題が発生した。
特開平4−163119号公報
特開2002−36355号公報
特開2001−62862号公報
特開2002−52583号公報
プラスチック工業技術研究会主催技術講演会「最新記録媒体の動向と材料・成形加工技術」予稿集P3-30〜31,2004
J.APPl.PolyM.Sci."Vol.30,2633(1985)
本発明は上記の事情に鑑みて為されたもので、第1の目的は、量産性の高い成形品の製造装置を提供することにある。第2の目的は、良好な転写性を得ることができる成形品の製造装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の例示的側面としての成形の製造装置は、熱可塑性樹脂からなる母材と前記金型転写面との隙間を5mm以内に維持した状態にて前記二酸化炭素を金型キャビティ内に導入することを特徴とする。より望ましくは1mm以下である。さらに望ましくは100μm以下である。これ以上に母材と金型転写面の隙間が広いと、母材に溶けない余剰な二酸化炭素の量が多くなり、プレス等で転写面を押し付けた際に、低圧のプレス力では排気しにくくなる。また隙間の狭いほうが導入する二酸化炭素の絶対量を減らすことができ経済的である。
本発明においては、熱可塑性樹脂からなる母材に前記金型転写面を押し付けた際に、少なくとも転写完了までには母材に一部金型が接触しない面があり、該表面には二酸化炭素が接触しているほうが望ましい。プレス等による押し付け時に、余剰な二酸化炭素が該非接触部より効率よく排気できる。本発明においては、熱可塑性樹脂からなる母材が挿入される金型内空間以外に余剰な二酸化炭素が滞留するスペースが存在するが、それらを包括してキャビティと呼ぶ。
本発明のさらなる例示的側面としての成形方法は、前記金型の転写表面が微細な凹凸を有するものであり、10MPa以下、より望ましくは7MPa以下となる低圧力P1の二酸化炭素雰囲気にて母材と該金型転写面を接触させることを特徴とする。二酸化炭素が低圧状態において母材と金型の微細凹凸を密着させることにより、余剰となる二酸化炭素は低密度なガスに近い状態であるため、母材と金型の接触面より外部に排気しやすくなる。また二酸化炭素が圧縮されながら金型表面の凹凸に高圧状態で樹脂と密着および滞留することになり、母材表面の可塑化が促進すると考えられる。該金型転写面と母材とが接触する際における二酸化炭素の圧力P1は1〜10MPa、より望ましくは1〜7MPaの範囲であることが望ましい。
本発明においては、二酸化炭素と金型の凹凸を接触させた後、さらに母材に接する二酸化炭素の圧力P2をP1以上の高圧にすることが望ましい。P2は7MPa以上の超臨界状態にすることが望ましく、より望ましくは10MPa以上である。浸透性が高く可塑剤としての効果が大きい超臨界状態の二酸化炭素が、母材表面と金型の密着面に存在する微細凹凸を通じて、母材表面全体より浸透して転写性を向上させることが期待できる。また、母材に接する二酸化炭素を高圧にした後、さらにプレス等における母材と金型の押し付け力を上昇させることで、より転写性を向上させることができる。その後、二酸化炭素を金型内より排気することで、母材を冷却固化させることができる。
前記二酸化炭素にはアルコールが含有させていてもよい。エタノール等のアルコールを含有させることで母材である樹脂への可塑剤効果が飛躍的に向上する。エタノールの混合濃度は1〜10%程度が望ましい。
本発明によれば、量産性の高い成形品の製造装置及び良好な転写性を得ることができる成形品の製造装置を提供することができる。
実施例1.
本発明の実施例1に関する成形品の製造装置は、特に光学レンズ、プラスチックミラー、導光板やマイクロレンズアレイ等の光学部品、光ディスク等の情報メディア等の製造に用いられる。
本発明の実施例1に関する成形品の製造装置は、特に光学レンズ、プラスチックミラー、導光板やマイクロレンズアレイ等の光学部品、光ディスク等の情報メディア等の製造に用いられる。
以下、本実施例1にかかる製造装置について図1〜図10を用いて説明する。
図1〜図4は、本実施例1にかかる製造装置の概略構成を示すブロック図である。当該製造装置は、図示しない制御部の信号に基づいて制御される図示しないプレス駆動部としてのサーボモータで駆動し、金型を取り付けるための金型取付部の位置制御が可能なトグル式プレス機構101、高圧二酸化炭素供給ユニット102、成形加工用プレスユニット103から構成される。図1は装置全体の断面構造模式図、図2はプレスユニット103の要部断面構造図であり、図3,4はプレスユニット103上面からの模式図である。ここで、トグル式プレス機構101には、金型取付部が組み込まれている。
本発明において、母材表面もしくは全体に二酸化炭素を浸透させる方法は任意である。例えば、金型とは別の容器内を予め母材のガラス転移温度よりも低い温度に温度制御するとともに高圧力の二酸化炭素を充満させておき、その容器内に母材を長時間滞留させる方法を適用できる。
また、金型キャビティ内にて、連続式に短時間で母材に二酸化炭素を接触させながら浸透させる方法も適用できる。本実施例では、後者の方法を採用し、温度および圧力が制御された高圧タンク6内に保持された二酸化炭素を密閉した状態にてプレスユニット103内の金型キャビティ2に浸透させた。
母材シート1に金型表面形状を転写させる成形期間中は、金型キャビティ2の内部は、二酸化炭素をシール(封止)することが望ましい。金型キャビティ2内に充満した高圧二酸化炭素をシールする方法は任意であるが、プレス機構等による駆動源により、該二酸化炭素の圧力よりも高い反力を与えてシールするよりは、機械的に固定しシールした方が消費エネルギーを低減できるので望ましい。
本実施例1において、プレスユニット103は、超臨界染色の高圧容器等で採用されている下記公知の方法にて25MPaまでの高圧二酸化炭素がシールできる構造を採用し、以下のようにシールを行った。
まず、微細構造の転写面を有するスタンパ3を保持した第1の金型本体としての上蓋20を、図3に示されるように、下プレスユニット21内にギア19が嵌まり合うように挿入し、ついで図4に示すように上蓋を45度回転させた。上蓋20には、放射状に外側に突出したギア19が90°間隔で4箇所に設けられている。下プレスユニット21は、中央に当該上蓋20の外形状に対応した窪みを有し、さらに、その窪みの内側面には、上蓋20のギア19が嵌め込まれる窪みが設けられている。下プレスユニット21は、上蓋20のギア19における最外周の直径以上の直径よりなる円柱状にくり貫かれた空洞部が形成されており、この空洞部において上蓋20のギア19が回転し、所定の位置に位置決めされる。
図2に示されるように、上蓋20の外周に設けられた窪みにはOリング4が挿入されている。このOリング4と下プレスユニット21内の内壁シール面5を密着させることにより、シール性が維持される。上蓋20の上下移動は、図示しないエアーシリンダーに接続されたピストンの駆動により行われる。上蓋20は、操作者が取手28を把持し回転させることによって回転させることができる。
金型内に形成されたキャビティ空間に金型内に二酸化炭素を注入するよう供給手段としての高圧二酸化炭素供給ユニット102は、図1に示されるように、二酸化炭素ボンベ18、ポンプ9、減圧弁10、圧力計11、減圧弁12、圧力計13、ストップバルブ14、エアーオペレートバルブ15,16、逆止弁17、高圧タンク6を備えている。このうち、エアーオペレートバルブ15,16は、電磁弁のオンオフにより自動制御することができる。エアーオペレートバルブ15はプレスユニット103への導入用、エアーオペレートバルブ16は排出用である。エアーオペレートバルブ15,16は、トグル式プレス機構101と連動して自動運転可能である。ここで、高圧二酸化炭素供給ユニット102は、キャビティ空間の圧力や、サーボモータの出力、もしくは金型取付部の位置の検出値等に基づき制御部より出力される制御信号に応じて二酸化炭素を供給する。
二酸化炭素ボンベ18より供給された二酸化炭素は、ポンプ9により昇圧され、減圧弁10によって圧力計11の表示がPになるように圧力調整される。圧力調整された二酸化炭素は、高圧タンク6内で任意の温度および圧力Pに保持される。本発明において、金型キャビティ内に導入させる二酸化炭素の温度および圧力Pは、それぞれ50℃〜250℃、1〜25MPaの範囲に調整されることが望ましいが、本実施例においては、温度を150℃とし、圧力Pを15MPaとした。二酸化炭素にはアルコールが含有させていてもよい。エタノール等のアルコールを含有させることで母材である樹脂への可塑剤効果が飛躍的に向上する。エタノールの混合濃度は1〜10%程度が望ましい。
本発明において、二酸化炭素の圧力や温度を予め調整する高圧タンクの容量V2と二酸化炭素が導入される金型キャビティ内の内容積V1の体積比である、V2/V1は0.5以上20.0以下であることが望ましい。本実施例においては、高圧タンク6内における内容量V2は2.0リットル、二酸化炭素を導入する際における金型キャビティ2の内容積V1は1.5リットルとし、V2/V1=1.3とした。
下プレスユニット21の中央部に設けられた空洞部には、下プレス金型7が上下方向に可動な状態で保持されている。この下プレス金型7の下面と下プレスユニット21の間には、密閉シリンダー8が形成されている。下プレスユニット21内における密閉シリンダー8内には、減圧弁12により圧力計13の表示が6MPaに調整された二酸化炭素がストップバルブ14の開放により常時充填されている。このため、下プレス金型7は、金型キャビティ2内に二酸化炭素が充填されていない場合、密閉シリンダー8によって上方に押し上げられ、常に上昇した位置にある。
そして金型キャビティ2内に8MPaの二酸化炭素が充填されると、密閉シリンダー8による下プレス金型7の上昇圧力と下プレス金型7上面全体にかかる二酸化炭素による下降圧力が平衡になるように設定した。このような機構により、トグル式プレス機構101によるプレス力は、キャビティに充填された二酸化炭素が高圧になっても過剰な駆動力は必要としない。下プレス金型7は下プレスユニット21に対し、ガイドポスト31にてガイドされている。
本発明において、母材となる成形品の形態は任意である。また、母材の成形加工方法は、公知の射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、トランスファー成形、押し出し成形、キャスティング等を選択できる。本実施例においては、厚さ0.4mm、500×800mm□の押し出し成形によって得られたフィルムを用いた。
本発明において、母材となる熱可塑性樹脂の種類は、任意であり、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、脂環式オレフィン樹脂、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン、非晶質ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、スチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリアミド系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニルスルフォン、ポリエーテルスルフォン、芳香族ポリエステル、生分解性プラスチック等を選択できる。また、これらの材料の各種共重合体、ブレンド材料でもよく、フィラー等の各種添加材を含有していてもよい。本実施例においてはガラス転移温度145℃のポリカーボネートを用いた。
本発明における、金型キャビティ内における母材の保持方法は任意であるが、本実施例においては、次のように行った。まず、図2に示されるように、母材シート1を下プレス金型7上の下鏡面プレート25に設置した。ここで、下鏡面プレート25の面上には、矩形状に真空吸引溝23が設けられている。真空吸引溝23は吸引孔22の一端に接続されている。吸引孔22の他端側には、プレスユニット103の外に設置された真空ポンプ(不図示)が設けられている。母材シート1は、当該真空吸引溝23上に設置されている。そのため、真空ポンプにより吸引すると、吸引孔22及び真空吸引溝23を介して、母材シート1が下鏡面プレート25の平坦な上面に吸引される。このようにして、母材シート1は、下鏡面プレート25の上面に対して密着固定される。
本発明において母材シート1に転写させる金型表面の形態は任意であるが、本実施例においては、転写パターンとして厚さ0.3mmのNiスタンパ3上に設けられたφ100μm、高さ50μmのレンズが密集したマイクロレンズパターンを形成した。Niスタンパ3をスタンパ保持部材54によって上鏡面プレート26に固定した。スタンパと鏡面裏面に滞留したガスをスタンパ外周部より逃がすために、本実施例の金型はスタンパ保持部材54内の排気孔541(図7参照)につながる図示しない排気経路が形成されている。
本発明において母材や転写金型の温度制御方法や設定温度は任意であるが、本実施例においては、図2に示されるように上下の温調水回路24、27内に、125℃に調整された水媒体を温調機により加圧状態にて循環させることにより、下鏡面プレート25およびスタンパ3の表面温度が120℃になるように制御した。この120℃の温度は、母材のガラス転移温度から25℃差し引いた温度である。なお、上蓋20の全体、および下プレスユニット21内部におけるプレスピストンを構成する下プレス金型7の外側は図示しないヒーターにより120℃に温度制御されている。
本発明においては、高圧の二酸化炭素がキャビティ内にて導入、排出されることにより、キャビティ内の気体が圧縮、開放されることにより温度変化する場合がある。そのため、金型全体を温度制御し、二酸化炭素の流動に起因した金型の温度変化を抑制することが望ましい。
次に、本実施例における成形プロセスについて説明する。まず、母材シート1を上述の方法にて下鏡面プレート25に密着固定した。その後、図5に示されるように、ギア19が第2の金型本体部としての下プレスユニット21の空洞部に嵌まり合うように上蓋20を挿入した。図6のようにギア19を下プレスユニット21の空洞部に対して完全に挿入できたところで、上蓋20を45度回転させた。上蓋20を回転させ始めるとシールが効くので、それと同時に、図1に示すエアーオペレートバルブ15の開放した。これにより高圧タンク6内の二酸化炭素は、プレスユニット21に設けられた供給孔を通じて金型キャビティ2内に導入された。
図6のA部拡大図を図7、さらにスタンパ3の界面における拡大図を図8に示す。二酸化炭素が導入されることにより金型キャビティ2内の圧力が8MPa以上に達すると、下プレス金型7は上面の二酸化炭素による圧力に押圧されて後退、即ち下降する。本実施例では、図1に示すトグル式プレス機構101の上面を下プレス金型7の押し当て面29に接触させて、キャビティ間距離を制御した。本実施例においては、母材シート1とスタンパ3が全面にて密着した状態におけるキャビティ間距離をゼロとした。
本発明においては、可塑性樹脂からなる母材と金型転写面との隙間を5mm以内に保持した状態にて、二酸化炭素を金型キャビティ内に導入することが望ましい。母材とスタンパ間に、高圧で高密度の二酸化炭素が滞留した場合、該隙間が広いと、余剰な二酸化炭素を母材とスタンパの転写面から速やかに排出することが困難となる。特に母材の面積が広く厚みが薄い場合には、余剰な二酸化炭素を母材とスタンパの転写面から速やかに排出することが困難である。ここで、母材とスタンパを接触させるプレススピードを遅くすることで、かかる課題をある程度回避することも可能であるが、サイクルアップにつながる。
本実施例においては、下プレス金型7が後退した瞬間、トグル式プレス機構101を位置制御し、キャビティ間距離(即ち、スタンパ3と母材シート1間の距離)が0.2mmになるように金型キャビティ2内のガス圧にあわせてプレス力を上昇させた。キャビティ2内部のガス圧力は図示しない金型内ガス圧センサーにてモニターした。キャビティ間距離0.2mmの状態で、母材への二酸化炭素の浸透を促進する為、二酸化炭素の圧力を10MPaから1MPaにエアーオペレートバルブを開いて減圧し、2秒間保持した後再度二酸化炭素の圧力を16MPaまで上昇させた。
本実施例における、ガス圧、プレス力およびキャビティ間距離のプロセスタイムチャートを図10に示す。図10において横軸は時間、縦軸はキャビティ内の圧、プレス力又はキャビティ間距離を示す。図10に示されるように、キャビティ内圧力を高め始めてから4秒後にプレス力を高めている。プレス力が高まるにつれて、ガス圧により下プレス金型7が瞬間的に後退するが、それに伴いプレス力が上昇してキャビティ間距離を一定に保持する。本実施例では、約6秒から約16秒に亘ってキャビティ間距離を0.2mmに保持した。
次に、キャビティ間距離0.2mmを約10秒間保持した後に、二酸化炭素の圧力の上昇に応じてプレス力を上昇させ、図9に示されるように転写を行った。20秒間プレスしている途中にて、エアーオペレートバルブ16を開放し、二酸化炭素をキャビティ2内より放出した。その後、プレス力を開放し、母材シート1とスタンパ3を剥離させた。さらに上蓋20を外した後、成形品を取り出した。
本実施例にかかる成形方法によって製造した成形フィルムは、厚みの変化が1μm以内であり、全面に亘ってスタンパ3のマイクロレンズパターンが良好に転写されているものであった。
1 母材シート、2 金型キャビティ、3 スタンパ、4 リング、
5 内壁シール面、6 高圧タンク、7 下プレス金型、8 密閉シリンダー、
9 ポンプ、10 減圧弁、11 圧力計、12 減圧弁、13 圧力計、
14 ストップバルブ、15,16 エアーオペレートバルブ、
17 逆止弁、18 二酸化炭素ボンベ、19 ギア、
20 上蓋、21 下プレスユニット、22 吸引孔、
23 真空吸引溝、24,27 温調水回路、25 下鏡面プレート、
26 上鏡面プレート、28 取手、31 ガイドポスト、
32 スタンパ押さえ部材、321 排気孔、33 上蓋、
38 排気孔、39 排気孔、54 スタンパ保持部材、
101 トグル式プレス機構、102 高圧二酸化炭素供給ユニット、
103 プレスユニット。
5 内壁シール面、6 高圧タンク、7 下プレス金型、8 密閉シリンダー、
9 ポンプ、10 減圧弁、11 圧力計、12 減圧弁、13 圧力計、
14 ストップバルブ、15,16 エアーオペレートバルブ、
17 逆止弁、18 二酸化炭素ボンベ、19 ギア、
20 上蓋、21 下プレスユニット、22 吸引孔、
23 真空吸引溝、24,27 温調水回路、25 下鏡面プレート、
26 上鏡面プレート、28 取手、31 ガイドポスト、
32 スタンパ押さえ部材、321 排気孔、33 上蓋、
38 排気孔、39 排気孔、54 スタンパ保持部材、
101 トグル式プレス機構、102 高圧二酸化炭素供給ユニット、
103 プレスユニット。
Claims (16)
- 熱可塑性樹脂からなる母材を転写面を有する金型内に設置し、当該母材に前記転写面を転写する成形品の製造装置であって、
前記金型を取り付ける金型取付部と、
該金型取付部を進退させ、母材を転写面に押し付けるプレス駆動部と、
該プレス駆動部の進退動作を制御する制御部とを備えるとともに、
該制御部は、前記母材のガラス転移点温度よりも低温度の温度に前記金型の温度を維持した状態で、前記金型内に二酸化炭素を注入するよう供給手段へ信号を送信することを特徴とする成形品の製造装置。 - 前記母材と前記転写面との隙間を5mm以内に保持した状態で、二酸化炭素を前記キャビティ内に導入することを特徴とする請求項1記載の成形品の製造装置。
- 前記母材と前記転写面の隙間を0〜5mmの範囲で調整できることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形品の製造装置。
- 前記キャビティ内の二酸化炭素の圧力と、当該二酸化炭素の圧力が所定圧力に到達するまでの時間を調整する圧力調整手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の成形品の製造装置。
- 前記転写面は、微細な凹凸を有し、10MPa以下の低圧力P1の二酸化炭素雰囲気において前記母材と前記転写面を接触させることを特徴とする請求項4記載の成形品の製造装置。
- 前記母材と前記転写面が接触した後、二酸化炭素の圧力P2を10MPa以下の低圧力P1以上の高圧にすることを特徴とする請求項4記載の成形品の製造装置。
- 前記母材を前記転写面に押し付ける前に少なくとも1回の二酸化炭素の加圧および減圧工程を有し、二酸化炭素が減圧された状態で当該母材と当該転写面を押し付けることを特徴とする請求項4記載の成形品の製造装置。
- 前記母材を前記転写面に押し付ける前に少なくとも1回の二酸化炭素の加圧および減圧工程を有し、二酸化炭素が加圧された状態で当該母材と当該転写面を押し付けることを特徴とする請求項4記載の成形品の製造装置。
- 前記母材と前記転写面の接触圧を制御する接触圧制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の成形品の製造装置。
- 前記接触圧制御手段は、前記母材表面にかかる圧力が一定になるようにガス圧に応じて接触圧を制御することを特徴とする請求項8又は9記載の成形品の製造装置。
- 熱可塑性樹脂からなる母材を転写面を有する金型内に配設し、当該母材に前記転写面を転写させる金型装置であって、
転写面を有するスタンパもしくは転写部材と、
該スタンパもしくは該転写部材を配設する第1の金型本体部と、
該スタンパもしくは該転写部材とともにキャビティ空間を形成し、熱可塑性樹脂からなる母材を設置するプレートと、
該プレートを配設する第2の金型本体部とを備えるとともに、
前記母材のガラス転移点温度よりも低温度の温度に前記金型の温度を維持した状態で、前記キャビティ空間へ二酸化炭素を注入する供給孔を前記第1の金型本体部と前記第2の金型本体部との少なくとも一方に設けることを特徴とする金型装置。 - 前記母材と前記転写面との隙間を5mm以内に保持した状態で、二酸化炭素を前記キャビティ内に導入することを特徴とする請求項11記載の金型装置。
- 前記母材と前記転写面の隙間を0〜5mmの範囲で調整できることを特徴とする請求項11又は12に記載の金型装置。
- 前記母材に前記転写面を押し付けた際に、少なくとも転写完了までは母材の一部に当該転写面が接触しない非接触面があり、この非接触面には二酸化炭素が接触していることを特徴とする請求項11、12又は13記載の金型装置。
- 前記プレートの裏面側に対してもさらに二酸化炭素を導入することを特徴とする請求項11乃至14いずれかに記載の成形品の製造装置。
- 転写面を有する金型より形成されるキャビティ内に熱可塑性樹脂からなる母材を挿入し、当該金型の転写面を前記母材の表面に押し付けることにより金型転写面の形状を前記母材に転写させる成形品の製造方法であって、
前記母材を前記キャビティ内に挿入するステップと、
前記母材と前記転写面との隙間を5mm以内に保持した状態で、二酸化炭素を前記キャビティ内に導入するステップと、
前記母材のガラス転移温度よりも低温度の金型転写面を前記母材に対して押し付けるステップとを備えた成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004372241A JP2006175755A (ja) | 2004-12-22 | 2004-12-22 | 成形品の製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004372241A JP2006175755A (ja) | 2004-12-22 | 2004-12-22 | 成形品の製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006175755A true JP2006175755A (ja) | 2006-07-06 |
Family
ID=36730309
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004372241A Pending JP2006175755A (ja) | 2004-12-22 | 2004-12-22 | 成形品の製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006175755A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08216174A (ja) * | 1994-12-14 | 1996-08-27 | Ricoh Co Ltd | プラスチック成形品の製造方法 |
JP2002270540A (ja) * | 2001-03-14 | 2002-09-20 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | パターン形成方法 |
JP2002543582A (ja) * | 1999-04-21 | 2002-12-17 | ミヌタ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド | 微細パターン形成方法 |
JP2004235613A (ja) * | 2003-01-07 | 2004-08-19 | Hitachi Maxell Ltd | インプリント製造方法、その製造装置、磁気記録媒体の製造方法、及びその製造装置 |
JP2005186490A (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Munekata Co Ltd | 熱可塑性樹脂の成形方法 |
JP2006175756A (ja) * | 2004-12-22 | 2006-07-06 | Hitachi Maxell Ltd | 成形品の製造方法 |
-
2004
- 2004-12-22 JP JP2004372241A patent/JP2006175755A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08216174A (ja) * | 1994-12-14 | 1996-08-27 | Ricoh Co Ltd | プラスチック成形品の製造方法 |
JP2002543582A (ja) * | 1999-04-21 | 2002-12-17 | ミヌタ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド | 微細パターン形成方法 |
JP2002270540A (ja) * | 2001-03-14 | 2002-09-20 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | パターン形成方法 |
JP2004235613A (ja) * | 2003-01-07 | 2004-08-19 | Hitachi Maxell Ltd | インプリント製造方法、その製造装置、磁気記録媒体の製造方法、及びその製造装置 |
JP2005186490A (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Munekata Co Ltd | 熱可塑性樹脂の成形方法 |
JP2006175756A (ja) * | 2004-12-22 | 2006-07-06 | Hitachi Maxell Ltd | 成形品の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3857703B2 (ja) | 成形体の製造方法および製造装置 | |
TW555636B (en) | A molding method of a resin molded article by a mold apparatus, the mold apparatus, the resin molded article, and a molding machine having the mold apparatus | |
JP4184091B2 (ja) | 射出成形方法 | |
JP2003117992A (ja) | 成形要素を作製するための方法および装置 | |
WO2003072335A1 (fr) | Procede de moulage par injection et a dilatation | |
WO2011074041A1 (ja) | 成形方法および成形品の製造方法 | |
WO2013191206A1 (ja) | ローラ式加圧装置、インプリント装置、ローラ式加圧方法 | |
JP2010120316A (ja) | 樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品の製造方法及び光学素子 | |
JP2015223750A (ja) | タイヤモールド、及びタイヤモールドの製造方法 | |
JP4611731B2 (ja) | 成形品の製造方法 | |
KR100250340B1 (ko) | 열가소성 수지의 성형 방법 | |
JP2004167777A (ja) | 熱可塑性樹脂発泡体、並びに、それを製造するための方法及び装置 | |
US6322735B1 (en) | Method for molding thermoplastic resin | |
JP3839726B2 (ja) | 超臨界流体を用いた成形方法 | |
JP2006175755A (ja) | 成形品の製造装置 | |
JPWO2009016990A1 (ja) | 金型構造、射出成形装置、及び成形方法 | |
JP6253517B2 (ja) | タイヤ加硫金型、及びタイヤ加硫金型の製造方法 | |
JP3987486B2 (ja) | 熱可塑性樹脂の成形方法 | |
JP5071794B2 (ja) | 薄板状光学用成形品の射出プレス成形方法 | |
KR20190047112A (ko) | 유압 임프린트 장치 및 임프린트 방법 | |
JP2007137033A (ja) | 樹脂成形体加工方法及び樹脂成形体加工装置 | |
JP3854537B2 (ja) | 熱可塑性樹脂発泡体の成形方法 | |
JP2010105270A (ja) | 樹脂成形品の製造装置及び樹脂成形品の製造方法 | |
JP6115894B2 (ja) | 樹脂への形状転写方法及びその装置 | |
JPH11245256A (ja) | 非晶性熱可塑性樹脂の射出成形法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071009 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100406 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100727 |