JP2006170980A - 品質表示ラベル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上を検出することで青果物の品質を表示できるシステムおよびラベルの提供。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は次の(1)〜(22)である。
(2) 青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上の発生を検知する手段を有する青果物の品質表示システム。
(3) 青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上の発生を指標とする青果物の品質表示ラベル。
(4) 青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上の発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする上記(3)に記載の品質表示ラベル。
(5) 青果物が発生する二酸化炭素の発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする上記(3)または(4)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(6) ラベルの色相の変化がpHの変化を含むものである上記(5)に記載の品質表示ラベル。
(7) ラベルの色相の変化が、クレゾールレッドまたはブロムクレゾールパープルのいずれかの色素の変化を含むものである上記(5)または(6)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(8) ラベルが水酸化カルシウムまたは炭酸ナトリウムを含む上記(5)〜(7)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(9) 青果物が発生するエチレンの発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする上記(3)または(4)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(10) ラベルの色相の変化が、酸化還元反応を含むものである上記(9)に記載の品質表示ラベル。
(11) ラベルの色相の変化が、パラジウム(Pd)化合物および/またはモリブデン(Mo)化合物の酸化還元反応によるものである上記(9)または(10)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(12) ラベルが硫酸パラジウム(PdSO4)を含む上記(9)〜(11)のいずれかに記載に品質表示ラベル。
(13) ラベルがモリブデン酸アンモニウム((NH4)2MoO4)または七モリブデン酸六アンモニウム四水和物((NH4)6Mo7O24・4H2O)を含む上記(9)〜(12)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(14) ラベルの色相の変化が、モリブデンブルーの発色によるものである上記(9)〜(13)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(15) 青果物が発生する酢酸エチルまたは酢酸ブチルの発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする上記(3)または(4)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(16) ラベルの色相の変化が、脱水反応を含むものである上記(15)に記載の品質表示ラベル。
(17) ラベルの色相の変化がクロム(Cr)化合物の脱水反応によるものである上記(15)または(16)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(18) ラベルがクロム酸(H2CrO4)を含む上記(15)〜(17)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(19) ラベルがろ紙および/またはシリカゲルもしくはコロイダルシリカを担体とする上記(3)〜(18)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(20) 通気性のフィルムでラミネートした上記(19)のラベル。
(21) 青果物がナシ、リンゴ、メロンである上記(3)〜(20)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
(22) ラベルがさらに青果物に直接接着可能な接着剤と青果物からの水分を吸収する水分吸収層、多孔質フィルムを含む上記(3)〜(21)のいずれかに記載の品質表示ラベル。
粉末シリカゲルや粒状シリカゲルにこれらの化合物や色素を吸着させたものは「品質表示剤」として、そのままシャーレにのせたり、フィルム包装材につめたり、ろ紙や市販のカード等の台紙に乗せて「品質表示用カード」として加工したりすることで、使用することも可能である。また、シリカゲルプレートやろ紙、コロイダルシリカ等に吸着させたものは「品質表示フィルム」として、そのまま品質表示ラベルとして用いたり、またはラベルの材料に使用したり、空気中の水分によるこれらの化合物や色素の変化を避けるためにラミネート等で加工して、そのまま簡易な品質表示ラベルとして使用したりすることもできる。コロイダルシリカ(マイナスチャージ)の薄層膜を担体として用いた場合は、本発明の試薬を含んだポリマー(プラスチャージ)を吸着させることで、そのまま品質表示ラベルとして使用できる。本発明の品質表示剤、品質表示ラベルには、さらに品質表示にあたり、例えば「りんごマークが出たら、食べ頃です。早く食べて!!」という説明を加えることもできる。
20%エタノール溶液でブロモクレゾールパープルを溶解し0.1wt%に調整した。水酸化カルシウムをブロモクレゾールパープルの10倍量添加、攪拌し、品質表示ラベル用水溶液とした。調製した品質表示ラベル用水溶液をろ紙に吸着させて、品質表示プレート(A)とした。
作製した品質表示プレート(A)にPETからなる多孔質フィルムを組み合わせ、青果物接着面に両面テープをつけて品質表示ラベル(A)を製造した。品質表示ラベル(A)の概略図を図1aに示した。
上記において製造した品質表示ラベル(A)を16個のりんごを入れた贈答用のダンボール箱(JA)の中に入れ、色の変化を観察することで、リンゴの品質およびその変化を調べた。
貼り付け時には青紫色だった品質表示ラベル(A)が、日数の経過によって、りんごが発生する二酸化炭素と品質表示ラベル(A)に含まれる水酸化カルシウムが反応することにより、pHが変化して黄色に変化したことが確認された。この品質表示剤の色の変化によって、りんごの品質およびその変化を示すことが確認された。
PdSO4をH2SO4でpH1.0に調整した12mM PdSO4溶液を調製した。調製した12mM PdSO4溶液を重量比1:1の粉末シリカゲル(和光純薬工業社製)に吸着させて、乾燥させ、品質表示剤(B)とした。
上記において製造した品質表示剤1gをシャーレにのせて、12個りんごが入った段ボールの中に5〜7日間入れ、色の変化を観察することで、リンゴの品質を調べた。
5日後には、淡黄色だった品質表示剤は、りんごが発生するエチレンによって、品質表示剤に含まれるPdSO4(淡黄色)がPd(黒色)に変化したことが確認された。この品質表示剤の色の変化によって、りんごの品質およびその変化を示すことが確認された。7日後の品質表示剤の色の変化の様子を図2bに示し、比較として同日間室内で放置した品質表示剤の色の変化を図2aに示した。
上記において製造した品質表示剤(B)1gをシャーレにのせて、濃度がそれぞれ0.5、5、10mlになるようにエチレンガスを注入した9lの密閉容器に入れて、30分後の色変化を観察した。
品質表示剤(B)に含まれるPdSO4の変化によって、エチレンガス濃度に依存して品質表示剤が黒色となった。よって、本発明の品質表示剤が、エチレンを検出することが確認された。品質表示剤(B)の色変化の様子を図3に示した。
PdSO4をH2SO4でpH1.0に調整した12mM PdSO4溶液を調製した。調製した12mM PdSO4溶液をシリカゲルガラスプレート(メルク社製)に吸着させて、乾燥させ、品質表示プレート(C)とした。この品質表示プレートをセロハンテープで覆い、品質表示ラベル(C)とした。
上記において製造した品質表示ラベル(C)を16個のりんごを入れた贈答用のダンボール箱(JA)の中に入れ、色の変化を観察することで、リンゴの品質およびその変化を調べた。
貼り付け時には、淡黄色だった品質表示ラベル(C)が、日数の経過によって、りんごが発生するエチレンとの接触により、品質表示ラベル(C)に含まれるPdSO4がPdとなり、黒色に変化したことが確認された。この品質表示剤の色の変化によって、りんごの品質およびその変化を示すことが確認された。
上記において製造した品質表示ラベル(C)を、濃度がそれぞれ0、10、100、1000ppmになるようにエチレンガスを注入した9lの密閉容器に入れて、30分後の色変化を観察して、各エチレン濃度における色差の変化をコニカミノルタCR-13によって測定した。
品質表示ラベル(C)に含まれるPdSO4の変化によって、エチレンガス濃度に依存して品質表示ラベル(C)が黒色となった。よって、本発明の品質表示ラベル(C)が、エチレンを濃度依存的に検出することが確認された。品質表示ラベル(C)の色変化の様子を図4aに示し、エチレン濃度と色差の変化の関係を図4bに示した。
1mM PdSO4(pH1.0,HCl)5gに(NH4)6Mo7O24・4H2Oを0.01g溶解させた後、ろ紙を浸し、乾燥させて、品質表示プレート(D)とした。この品質表示プレートをセロハンテープで覆い、品質表示ラベル(D)とした。
上記において製造した品質表示ラベル(D)を16個のりんごを入れた贈答用のダンボール箱(JA)の中に入れ、色の変化を観察することで、リンゴの品質およびその変化を調べた。
貼り付け時には、白色だった品質表示ラベル(D)が、日数の経過によって、りんごが発生するエチレンとの接触により、品質表示ラベル(D)に含まれるPdSO4が変化することにより、モリブデンブルーの発色が起こり水色に変化したことが確認された。この品質表示剤の色の変化によって、りんごの品質およびその変化を示すことが確認された。
H2CrO4を水に加え、0.1%、0.5%、1%H2CrO4溶液をそれぞれ調製した。調製した各濃度のH2CrO4溶液の十分量に粒状シリカゲル(和光純薬工業社製)または粉末シリカゲル(和光純薬工業社製)を30分間浸して吸着させた後、乾燥させて品質表示剤(E)または品質表示剤(F)とした。これらをセロハンテープ(2cm×5cm)に接着させて品質表示ラベル(E)または品質表示ラベル(F)とした。
上記において製造した品質表示剤(E)、(F)を濃度がそれぞれ0、10、100ppmになるように酢酸ブチルを注入した密閉容器に入れて3日後までの色変化を観察し、時間経過における色差の変化をコニカミノルタCR-13によって測定した。
酢酸ブチルによる品質表示ラベル(E)、(F)に含まれるH2CrO4の変化によって、酢酸ブチル濃度に依存して品質表示ラベルが橙色から茶褐色となった。よって、本発明の品質表示剤が、酢酸ブチルを検出することが確認された。1%H2CrO4溶液を含む品質表示ラベル(E)、(F)の色差の変化の様子をそれぞれ図5a,bに示し、各濃度のH2CrO4溶液を含む品質表示ラベル(F)の100ppm酢酸ブチル存在下における色差の変化を図5cに示した。
図5a,bに示されるように、10ppmの酢酸ブチルにおいては、粒状シリカゲルを用いた品質表示ラベル(E)よりも、粉末シリカゲルを用いた品質表示ラベル(F)の方の色差が大きかった。シリカゲルの粒径による閾値によるものと考えられ、検出したい酢酸ブチルの濃度にあわせて、いずれの品質ラベルも使用できることが示された。また、図5cに示されるように、0.1%のH2CrO4溶液においても100ppmの酢酸ブチルで色差が確認できた。
1)品質表示剤および品質表示ラベルの製造
上記実施例に記載の製造方法に従い、以下の(1)〜(6)までの6種類の品質表示サンプルを製造した。
(1) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O/1mM PdSO4(HCl,pH1)溶液をシリカゲルプレートに吸着させた品質表示ラベル。
(2) 10mM PdSO4(H2SO4,pH1)をシリカゲルプレートに吸着させた品質表示ラベル。
(3) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O/1mM PdSO4(HCl,pH1)溶液を重量比1:1でシリカゲルに吸着させた品質表示剤。
(4) 10mM PdSO4(H2SO4,pH1)溶液を重量比1:1で吸着させた品質表示剤。
(5) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O/1mM PdSO4(HCl,pH1)溶液を重量比1:1でシリカゲルに吸着させ、ろ紙に載せてラミネート加工した品質表示剤。この概略図を図1bに示した。
(6) 10mM PdSO4(H2SO4,pH1)溶液を重量比1:1でシリカゲルに吸着させ、ろ紙に載せてラミネート加工した品質表示剤。
上記(5)、(6)に記載の品質表示剤では、りんごの品質を表示する例として、「りんごマークが出たら、食べ頃です。早く食べて!!」との説明を付け加えている。
りんご16個(つがる)を、贈答用の段ボール箱(JA)に入れ、上記(1)〜(6)のサンプルを封入し、30日間のサンプルの色の変化および色差の変化を調べた。また、0日目と10日目に6人のパネラーによる官能試験を行い、りんごの食べ頃を0として、「食べ頃よりも早い」を-3、「食べ頃をすぎている」を+3の7段階として評価することで、りんごの品質の変化を調べた。これらの結果により、品質表示サンプルのりんごの品質表示を調べた。
官能試験では、0日目のりんごは平均で-1.33と評価され、10日目のりんごは平均で+1.83と評価された。この結果よりりんごの食べ頃は0日目以降10日目以前であることが示された。図6aに品質表示サンプルの色の変化を示したが、いずれの品質表示サンプルも、4〜9日目でも色が変化することが確認された。サンプル(1)、(2)の色差の変化を図6bに示したが、0日目以降10日目以前の間に色の変化が十分に識別できる程度に起きていることが確認された。よって、これらの品質表示サンプルが、いずれも十分にりんごの品質表示ができることが示された。
1)品質表示カードの作成
上記実施例に記載の製造方法に従い、2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O/1mM PdSO4(HCl, pH1)溶液を重量比3:1でシリカゲルに吸着させ、市販の名刺用カードに載せてラミネート加工した品質表示カードを作成した。
株式会社プロ農夢花巻の協力のもと、岩手県から関東(東京、神奈川県、千葉県など)へ出荷するりんご20個(品種名ふじ)を入れた贈答用の段ボール箱に、上記の品質表示カードを同封した。消費者のアンケートにより、りんごが届いた時およびりんごを全て消費した時の品質表示カードの色の変化を調べ、食味の相関を調べた。品質表示カードの色の変化は図7に示した。
アンケート回答数12人の結果を表1に示した。また、表1において回答者のうち半数以上が品質表示カードの変化とりんごの食味が相関していると感じたことから、品質表示カードは十分にりんごの品質を表示し得ることが示された。
上記実施例14で作成した品質表示カードを用い、9lの密閉容器にラフランス1つと共に入れて、12日間のラフランスの熟し度合いと品質表示カードの色の変化をビデオ撮影(インターバル録画・10分に1コマ、0.5秒)により観察した。品質表示カードの色差の変化をコニカミノルタCR-13によって測定した。
経過日数におけるラフランスの熟し度合いと品質表示カードの色の変化を図8に示した。また、色差の変化を図9に示した。これらに示されるように、ラフランスが熟すにつれて、品質表示カードが変化することが確認された。
1)品質表示カードの製造
上記実施例に記載の製造方法に従い、収穫してから食べ頃までの時間が短いメロンを対象とする以下の(1)、(2)の2種類の品質表示カードを製造した。
(1) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O /2mM PdSO4(HCl, pH1)溶液を重量比3:1でシリカゲル(Wako gel-C100)に吸着させ、市販の名刺用カードに載せてラミネート加工した品質表示カード。
(2) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O /5mM PdSO4(HCl, pH1)溶液を重量比3:1でシリカゲルシリカゲル(Wako gel-C100)に吸着させ、市販の名刺用カードに載せてラミネート加工した品質表示カード。
上記(1)または(2)の品質表示カードを用い、9lの密閉容器にメロン1つと共に入れて、10日間のメロンの熟し度合いと品質表示カードの色差の変化を調べた。メロンの熟し度合いは密閉容器内のエチレン濃度の経時変化によって調べた。また、品質表示カードの色差の変化はコニカミノルタCR-13によって測定した。
経過日数における品質表示カードの色の変化を図10に示した。また、色差の変化を図11に示し、密封容器内のエチレン濃度の変化を図12に示した。これらに示されるように、いずれの品質表示カードもメロンの食べ頃に色が変化し、品質を表示できることが確認された。
1)品質表示カードの製造
上記実施例に記載の製造方法に従い、メロンは箱内で品質を表示できる以下の(1)〜(3)の3種類の品質表示カードを製造した。
(1) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O /10mM PdSO4(HCl, pH1)溶液を重量比3:1でシリカゲル(Wako gel-C100)に吸着させ、市販の名刺用カードに載せてラミネート加工した品質表示カード。
(2) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O /20mM PdSO4(HCl, pH1)溶液を重量比3:1でシリカゲルシリカゲル(Wako gel-C100)に吸着させ、市販の名刺用カードに載せてラミネート加工した品質表示カード。
(3) 2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O /5mM PdSO4(HCl, pH1)溶液を重量比3:1でシリカゲルシリカゲル(Wako gel-C100)に吸着させ、市販の名刺用カードに載せてラミネート加工した品質表示カード。
上記(1)〜(3)の品質表示カードを用い、メロンの箱(15×18×30cm)にメロン1つと共にそれぞれ入れて、11日間のメロンの熟し度合いと品質表示カードの色差の変化を調べた。農家の予想で食べ頃を判断し、メロンの熟し度合いは箱内のエチレン濃度の経時変化によって調べた。また、品質表示カードの色差の変化はコニカミノルタCR-13によって測定した。
経過日数における品質表示カードの色の変化を図13に示した。また、色差の変化を図14に示し、メロン箱内のエチレン濃度の変化を図15に示した。これらに示されるように、品質表示カード(1)では色の変化がやや判りにくいが、いずれの品質表示カードもメロンの食べ頃に色が変化し、品質を表示できることが確認された。
1)品質表示シールの製造
上記実施例に記載の製造方法に従い、2wt%(NH4)6Mo7O24・4H2O/20mM PdSO4(HCl, pH1)溶液を重量比3:1でシリカゲルに吸着させ、ろ紙に載せてラミネート加工した品質表示カードを作成し、この品質表示カードをセロハンテープで覆い、品質表示シールとした。
上記の品質表示シールを図16aに示すようにメロンに貼り付け、9lの密閉容器に入れて、10日間のメロンの熟し度合いと品質表示カードの色差の変化を調べた。メロンの熟し度合いはメロン箱内のエチレン濃度の経時変化によって調べた。また、品質表示カードの色差の変化はコニカミノルタCR-13によって測定した。
経過日数における品質表示シールの色の変化を図16bに示した。また、色差の変化を図17に示し、密封容器内のエチレン濃度の変化を図18に示した。これらに示されるように、シールの形状で用いた場合であっても、メロンの食べ頃に色が変化し、品質を表示できることが確認された。
1)品質表示プレート(B)試験サンプルの作製
表2に示すように、1mM PdSO4(pH1.0,HCl)5gにそれぞれ0.1、0.2、1.0、2.0%の(NH4)6Mo7O24・4H2Oを溶解し、これを重量比1:1〜1:5となるように粉末シリカゲル(和光純薬工業社製)に吸着させて、乾燥させ、各濃度の(NH4)6Mo7O24・4H2Oを含む品質表示剤(B)を製造した。
上記において製造した各濃度の(NH4)6Mo7O24・4H2O添加における品質表示剤(B)を、濃度がそれぞれ1600ppmになるようにエチレンガスを注入した密閉容器に入れて、0〜18日間経過する間における色変化を観察し、時間経過における色差の変化をコニカミノルタCR-13によって測定した。
(NH4)6Mo7O24・4H2Oを各濃度含むように添加した品質表示剤(B)は、いずれの濃度を用いた場合でも、エチレンガスと接触によって、モリブデンブルーによる水色の発色が起こった。図19aに(NH4)6Mo7O24・4H2Oを0.1%添加した場合、bは0.2%を添加した場合、cは1.0%添加した場合、dは2.0%添加した場合の色差の変化をそれぞれ示したが、これらに見られるように、各濃度の品質表示剤(B)における色差の変化は、添加した色素の濃度およびシリカゲルへの吸着率に応じて異なることが確認された。よって、色素の添加量および割合を変えることで、検出の対象に応じて、適した品質表示剤を調製できることが示された。
品質表示プレート(D)試験サンプルの作製
1mM PdSO4(pH1.0,HCl)5gに(NH4)6Mo7O24・4H2Oまたは(NH4)2MoO4をそれぞれ0.1、.05、.025、0.005、0.001g溶解させた後、ろ紙を浸し、乾燥させて、各量の (NH4)6Mo7O24・4H2Oまたは(NH4)2MoO4を含む品質表示プレート(D)を製造した。
1)品質表示プレート(D)試験サンプルの作製
1mMPdSO4(pH1.0 HCl)に0.2wt%となるように(NH4)6Mo7O24・4H2Oを溶解させた1.5cm角に切断したシリカゲルガラスプレート(メルク社製)を調整した溶液10mlに浸漬し、乾燥させて、品質表示プレート(D)とした。
上記において製造した品質表示プレート(D)、それぞれ0、320、1600、3200 ppmとなるようにエチレンガスを注入した密閉容器に入れて、24時間後の色変化を観察して、各エチレン濃度における色差の変化をコニカミノルタCR-13によって測定した。
品質表示プレート(D)に含まれるPdSO4の変化によって、エチレンガス濃度に依存して品質表示プレート(D)が濃い水色となり、色差が大きくなった。よって、本発明の品質表示プレート(D)が、エチレンを濃度依存的に検出することが確認された。品質表示プレート(D)のエチレン濃度と色差の変化の関係を図20に示した。
1)品質表示プレート(D)試験サンプルの作製
1mM PdSO4(pH1.0,HCl)5gにそれぞれ0.02、0.1、0.2、0.5、1.0、2.0wt%の(NH4)2MoO4または(NH4)6Mo7O24を溶解させた後、ろ紙を浸し、乾燥させて、各濃度の(NH4)2MoO4または(NH4)6Mo7O24を含む品質表示プレート(D)を製造した。
上記において製造した各濃度の(NH4)2MoO4または(NH4)6Mo7O24添加における品質表示プレート(D)を、濃度がそれぞれ0、1600ppmになるようにエチレンガスを注入した密閉容器に入れて、0〜156時間経過する間における色変化を観察し、時間経過における色差の変化をコニカミノルタCR-13によって測定した。
品質表示プレート(D)に (NH4)2MoO4をいずれの濃度で用いた場合でも、エチレンガスと接触によって、モリブデンブルーによる水色の発色が見られた。ただし、エチレンガスを注入しない系においてもわずかに水色の発色がみとめられた。(NH4)2MoO4濃度ごとの時間経過における色差の変化を比較したところ、0.5wt%以下の使用では室内放置における発色の程度は低いがエチレンガスと接触した場合は強く水色に発色することが示された。これは、特に0.1〜0.5wt%の(NH4)2MoO4の使用において明確であった。色差の変化を図21に示した。
また品質表示プレート(D)に(NH4)6Mo7O24をいずれの濃度で用いた場合でも、エチレンガスと接触によって、モリブデンブルーによる水色の発色が見られた。ただし、エチレンガスを注入しない系においてもわずかに水色の発色がみとめられた。(NH4)6Mo7O24濃度ごとの時間経過における色差の変化を比較したところ、0.5wt%以下の使用では室内放置における発色の程度は低いがエチレンガスと接触した場合は強く水色に発色することが示された。これは、特に0.02〜0.5wt%の(NH4)6Mo7O24の使用において明確であった。
色差の変化を図22に示した。
1)品質表示プレート(D)試験サンプルの作製
1mM PdSO4(pH1.0,HCl)5gに0.2wt%の(NH4)2MoO4または(NH4)6Mo7O24を溶解させた後、ろ紙を浸し、乾燥させて、各濃度の(NH4)2MoO4または(NH4)6Mo7O24を含む品質表示プレート(D)を製造した。
上記において製造した0.2wt%(NH4)2MoO4または(NH4)6Mo7O24を含む品質表示プレート(D)を、濃度がそれぞれ0、160、320、640、1600、3200ppmになるようにエチレンガスを注入した密閉容器に入れて、0〜54時間経過する間における色変化を観察し、時間経過における色差の変化をコニカミノルタCR-13によって測定した。
エチレンガス濃度によって、(NH4)2MoO4または(NH4)6Mo7O24を含むいずれの品質表示プレート(D)も、エチレンガスと接触によって、モリブデンブルーによる水色の発色が見られた。エチレンガス濃度が3200ppmと高い場合には、18時間経過後で色差が最大となり、320ppmでは、(NH4)2MoO4を含む場合は24時間経過後に、また(NH4)6Mo7O24を含む場合は30時間経過後に色差が最大となった。経過時間における色差の変化を図23に示した。
1)品質表示プレート(D)試験サンプルの作製
1mM PdSO4(pH1.37, H2SO4)5gに(NH4)6Mo7O24・4H2Oをそれぞれ0.1、0.05、0.025、0.005、0.001g溶解させた後、ろ紙を浸し、乾燥させて、各量の (NH4)6Mo7O24・4H2Oを含む品質表示プレート(D)を製造した。
上記において製造した各量の(NH4)6Mo7O24・4H2O添加における品質表示プレート(D)を、1600ppmとなるようにエチレンガスを注入した密閉容器に入れて、24時間後の色変化を観察した。
品質表示プレート(D)にPdSO4溶液として1mM PdSO4(pH1.0, H2SO4)を用いた場合では、1mM PdSO4(pH1.0,HCl)と同様に、エチレンガスとの反応によりプレートが水色に発色した。
1)品質表示プレート(D)試験サンプルの作製
表2に示す2種類の溶媒を用いた各濃度PdSO4溶液に(NH4)6Mo7O24・4H2Oを0.2wt%になるように溶解した各溶液を調製した。調製した各濃度 PdSO4溶液を粉末シリカゲル(100〜450μm;和光純薬工業社製)0.2gにそれぞれ0.2g吸着させて、室内放置し室温にて自然乾燥させて品質表示剤とした。
上記において製造した品質表示剤A)〜F)をそれぞれ約0.1gシャーレにのせて、1600ppmになるようにエチレンガスを注入した密閉容器に入れて、24時間後の色変化を観察した。
PdSO4溶液としてPdSO4(HCl)を用いた場合には、24h時間経過後、5mM PdSO4(HCl)を用いた品質表示剤については青色の発色が観察され、濃度依存的な発色が確認された。一方1mM PdSO4(HCl)を用いた品質表示剤については十分な発色が見られなかった。また、PdSO4溶液としてPdSO4(H2SO4)を用いた場合には、24h時間経過後、5mM PdSO4(H2SO4)を用いた品質表示剤については黒色の発色が観察され、濃度依存的な発色が確認された。一方1mM PdSO4(H2SO4)を用いた品質表示剤については十分な発色が見られなかった。よって本発明の品質表示剤には、PdSO4(HCl)またはPdSO4(H2SO4)のいずれも用いることができ、エチレンの検出にあたっては、5mM以上の濃度で用いることが適していることが示された。これらの品質表示剤の色変化の様子を図24に示した。
Claims (22)
- 青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上の発生を検知して青果物の品質を表示する方法。
- 青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上の発生を検知する手段を有する青果物の品質表示システム。
- 青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上の発生を指標とする青果物の品質表示ラベル。
- 青果物が発生する二酸化炭素、エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群のいずれか1つ以上の発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする請求項3に記載の品質表示ラベル。
- 青果物が発生する二酸化炭素の発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルの色相の変化がpHの変化を含むものである請求項5に記載の品質表示ラベル。
- ラベルの色相の変化が、クレゾールレッドまたはブロムクレゾールパープルのいずれかの色素の変化を含むものである請求項5または6のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルが水酸化カルシウムまたは炭酸ナトリウムを含む請求項5〜7のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- 青果物が発生するエチレンの発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルの色相の変化が、酸化還元反応を含むものである請求項9に記載の品質表示ラベル。
- ラベルの色相の変化が、パラジウム(Pd)化合物および/またはモリブデン(Mo)化合物の酸化還元反応によるものである請求項9または10のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルが硫酸パラジウム(PdSO4)を含む請求項9〜11のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルがモリブデン酸アンモニウム((NH4)2MoO4)または七モリブデン酸六アンモニウム四水和物((NH4)6Mo7O24・4H2O)を含む請求項9〜12のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルの色相の変化が、モリブデンブルーの発色によるものである請求項9〜13のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- 青果物が発生する酢酸エチルまたは酢酸ブチルの発生によってラベルの色相が変化することを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルの色相の変化が、脱水反応を含むものである請求項15に記載の品質表示ラベル。
- ラベルの色相の変化がクロム(Cr)化合物の脱水反応によるものである請求項15または16のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルがクロム酸(H2CrO4)を含む請求項15〜17のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルがろ紙および/またはシリカゲルもしくはコロイダルシリカを担体とする請求項3〜18のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- 通気性のフィルムでラミネートした請求項19のラベル。
- 青果物がナシ、リンゴ、メロンである請求項3〜20のいずれかに記載の品質表示ラベル。
- ラベルがさらに青果物に直接接着可能な接着剤と青果物からの水分を吸収する水分吸収層、多孔質フィルムを含む請求項3〜21のいずれかに記載の品質表示ラベル。
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