JP2006170387A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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浩章 木村
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Abstract

【課題】変速比の固定を容易にかつ確実に行うことができるベルト式無段変速機を提供すること。
【解決手段】プライマリプーリ50と、セカンダリプーリ60と、このプライマリプーリ50およびセカンダリプーリとを巻き掛けるベルト100と、プライマリ可動シーブ53とプライマリ固定シーブ52との間にベルト挟圧力を発生させるプライマリ油室54と、セカンダリ可動シーブとセカンダリ固定シーブとの間にベルト挟圧力を発生させるセカンダリ油室と、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸線方向位置を機械的に固定する変速比固定手段70とを備える。変速比固定手段70は、油圧モータ71がプライマリ可動シーブ53に対して相対回転することで、係合手段である複数の可動プーリ側係合爪72と複数のモータ側係合爪73とが係合し、その係合が解除される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ベルト式無段変速機に関し、さらに詳しくは、変速比を固定することができるベルト式無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、無段変速機には、2つのプーリ、すなわち駆動源からの駆動力が伝達されるプライマリプーリおよびプライマリプーリに伝達された出力トルクを変化させて出力するセカンダリプーリと、このプライマリプーリに伝達された駆動力をセカンダリプーリに伝達するベルトとにより構成されるベルト式無段変速機がある。このプライマリプーリおよびセカンダリプーリは、平行に配置された2つのプーリ軸であるプライマリプーリ軸とセカンダリプーリ軸と、この各プーリ軸上を軸線方向にそれぞれ摺動する2つの可動シーブ(プライマリ可動シーブ、セカンダリ可動シーブ)と、この2つの可動シーブに軸線方向においてそれぞれ対向するとともに可動シーブとの間でV字形状の溝を形成する2つの固定シーブ(プライマリ固定シーブ、セカンダリ固定シーブ)と、可動シーブと固定シーブとの間にベルト挟圧力を発生するベルト挟圧力発生手段とにより構成されている。なお、ベルトは、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのそれぞれに形成されるV字形状の溝に巻き掛けられている。
このベルト式無段変速機は、各ベルト挟圧力発生手段により2つの可動シーブが各プーリ軸上をその軸線方向に摺動し、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのそれぞれに形成されるV字形状の溝の幅を変化させる。これにより、ベルトと、プライマリプーリおよびセカンダリプーリとの接触半径を無段階に変化させ、変速比を無段階に変化するものである。つまり、駆動源からの出力トルクを無段階に変化させるものである。
このベルト挟圧力発生手段としては、例えば特許文献1に示すように、運動ネジを用いて可動シーブを軸線方向に摺動させる押圧力を発生して、ベルト挟圧力を発生させるものがある。この特許文献1に示す従来のベルト式無段変速機は、ハウジングに固定されたスライダー支持部に雄ネジが形成され、スライダーにこの雄ネジと噛み合う雌ネジが形成されている。このスライダーは、ギヤを介してモータに連結されるとともに、可動プーリに回転自在に支持されている。つまり、可動プーリが回転しても、この可動プーリの回転力がスライダーには伝達されない。モータが回転すると、スライダーが回転し、このスライダーの雌ネジがスライダー支持部の雄ネジに螺合することで、可動プーリを軸線方向に摺動させる押圧力を発生して、ベルト挟圧力を発生させるものである。
特開平6−249310号公報
この上記従来のベルト式無段変速機において、固定シーブに対する可動シーブの軸線方向における位置を固定し、変速比を固定する場合がある。この場合、スライダーの雌ネジとスライダー支持部の雄ネジが噛み合うことで発生する摩擦によるセルフロック効果を用いる。ベルト挟圧力が発生する際には、可動シーブにベルト反力がプーリの軸線方向に作用する。通常は、このベルト反力を考慮して、噛み合う雄ネジと雌ネジとの間には発生する戻りトルク(ベルト反力が発生する方向に雌ネジを雄ネジに螺合させる方向のトルク)を算出し、この戻りトルクが発生してもセルフロック効果を得られるように設計されるものである。
しかしながら、ベルト式無段変速機が作動中、すなわち2つのプーリの回転中には、例えばベルトの接触半径や、ベルトの接触幅の変化によるプーリの変形などの外乱が発生する。上記セルフロック効果は、運動ネジの摩擦係数に依存するものであるため、上記発生した外乱が運動ネジに作用し、この運動ネジのみかけの摩擦係数を減少させる虞がある。つまり、セルフロック効果が想定しているほど得られずに、固定シーブに対する可動シーブの軸線方向における位置を固定、すなわち変速比を固定が十分に行えないという問題がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、変速比の固定を容易にかつ確実に行うことができるベルト式無段変速機を提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明では、平行に配置され、駆動源からの駆動力がいずれか一方に伝達される2つのプーリ軸と、当該2つのプーリ軸上をそれぞれ軸線方向に摺動する2つの可動シーブと、当該2つの可動シーブに前記軸線方向にそれぞれ対向する2つの固定シーブと、からなる2つのプーリと、前記2つのプーリのうちいずれか一方のプーリに伝達された前記駆動源からの駆動力を他方のプーリに伝達するベルトと、前記可動シーブと前記固定シーブとの間にベルト挟圧力を発生させるベルト挟圧力発生手段と、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を機械的に固定する変速比固定手段とを備えることを特徴とする。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、前記変速比固定手段は、前記可動シーブに対して当該可動シーブの回転方向に相対回転するモータと、前記モータが前記回転方向に相対回転することにより、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を係合することで機械的に固定する係合手段とを有することを特徴とする。
これらの発明によれば、変速比固定手段、すなわちモータが可動シーブに対してこの可動シーブの回転方向に相対回転することにより、係合手段が係合し、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を機械的に固定する。つまり、モータが可動シーブに対して相対回転することにより係合した係合手段は、可動シーブが固定シーブに対して軸線方向に摺動することを防止することができる。従って、変速比の固定を容易かつ確実に行うことができる。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、前記係合手段は、前記モータが前記可動シーブの回転方向のうち一方向に相対回転すると係合し、当該モータが当該回転方向のうち他方向に相対回転すると係合を解除することを特徴とする。
この発明によれば、変速比固定手段、すなわちモータが可動シーブに対してこの可動シーブの回転方向のうち一方向に相対回転することにより係合手段が係合され、他方向に相対回転することにより係合手段が解除され、ベルト挟圧力発生手段により可動シーブの軸線方向への摺動が可能となる。従って、変速固定手段であるモータが可動シーブに対してこの可動シーブの回転方向に相対回転することにより、係合手段の係合、解除を行うことができ、可動シーブを機械的に固定、解除することができる。これらにより、変速比の固定、変更を容易かつ確実に行うことができる。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、前記係合手段は、前記モータが前記可動シーブに対して相対回転すると係合し、当該可動シーブの回転方向に対する当該相対回転の方向に応じて、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を異ならせて機械的に固定し、当該モータが当該可動シーブに対して相対回転しないと係合を解除することを特徴とする。
この発明によれば、変速比固定手段、すなわちモータが可動シーブの回転方向に対する当該相対回転の方向に応じて、この可動シーブの固定シーブに対する軸線方向位置が異なった状態で機械的に固定される。つまり、モータが可動シーブの回転方向のうち一方向に相対回転し係合手段が係合した際の可動シーブの固定シーブに対する軸線方向位置と、モータが可動シーブの回転方向のうち他方向に相対回転し係合手段が係合した際の可動シーブの固定シーブに対する軸線方向位置とは異なり、異なる変速比で固定される。従って、固定する変速比の数が一定の場合は、変速比固定手段の軸線方向の長さを抑制することができる。一方、変速比固定手段の軸線方向の長さが一定の場合は、固定する変速比の数を増加させることができる。
また、この発明では、上記ベルト式無段変速機において、前記係合手段は、前記モータに設けられたモータ側係合部材および前記可動シーブに設けられた可動シーブ側係合部材により構成され、前記モータ側係合部材と前記可動シーブ側係合部材とが係合する係合面は、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を機械的に固定する際にベルト反力を受ける側の係合面が前記軸線方向と直交する面であり、当該ベルト反力を受けない側の係合面がテーパ面であることを特徴とする。
この発明によれば、可動シーブと固定シーブとの間に発生するベルト挟圧力に対するベルト反力が係合手段に軸線方向に作用するが、係合面のうちベルト反力を受ける側の係合面は、このベルト反力が作用する方向と直交する面で形成されている。従って、係合手段の係合状態において外乱によりベルト反力が変動しても、ベルト反力を受ける側の係合面に滑りが発生することを抑制することができるため、可動シーブを機械的に確実に固定することができる。一方、係合面のうちベルト反力を受けない側の係合面は、係合を解除する際にベルト挟圧力発生手段により可動シーブに与えられる押圧力が作用する方向に傾斜するテーパ面で形成されている。従って、係合手段の係合を解除する際には、このベルト反力を受けない側の係合面に滑りが発生するため、可動シーブの機械的な固定を容易に解除することができる。これらにより、変速比の固定、変更をさらに容易かつさらに確実に行うことができる。
この発明にかかるベルト式無段変速機は、変速比固定手段により可動シーブの固定シーブに対する軸線方向位置を機械的に固定することで、変速比の固定を容易にかつ確実に行うことができるという効果を奏する。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施例により、この発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。ここで、下記の実施例におけるベルト式無段変速機1−1に伝達される駆動力を発生する駆動源として内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータなどの電動機を駆動源として用いても良い。また、下記の実施例では、プライマリプーリ側に変速比固定手段を配置しているがセカンダリプーリ側に配置しても良い。
図1は、実施例1にかかるベルト式無段変速機のスケルトン図である。また、図2は、プライマリプーリの要部断面図である。図1に示すように、内燃機関10の出力側には、トランスアクスル20が配置されている。このトランスアクスル20は、トランスアクスルハウジング21と、このトランスアクスルハウジング21に取り付けられたトランスアクスルケース22と、このトランスアクスルケース22に取り付けられたトランスアクスルリヤカバー23とにより構成されている。
このトランスアクスルハウジング21の内部には、トルクコンバータ30が収納されている。一方、トランスアクスルケース22とトランスアクスルリヤカバー23とにより構成されるケース内部には、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1を構成する2つのプーリであるプライマリプーリ50およびセカンダリプーリ60と、ベルト挟圧力発生手段であるプライマリ油室54およびセカンダリ油室64と、変速比固定手段70と、ベルト100とが収納されている。なお、40は前後進切換機構、80は車輪110に内燃機関10の駆動力を伝達する最終減速機、90は動力伝達経路である。
発進機構であるトルクコンバータ30は、図1に示すように、駆動源からの駆動力、すなわち内燃機関10からの出力トルクを増加、あるいはそのままベルト式無段変速機1−1に伝達するものである。このトルクコンバータ30は、少なくともポンプ(ポンプインペラ)31と、タービン(タービンインペラ)32と、ステータ33と、ロックアップクラッチ34と、ダンパ装置35とにより構成されている。
ポンプ31は、内燃機関10のクランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能な中空軸36に取り付けられている。つまり、ポンプ31は、中空軸36とともに、クランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能である。また、ポンプ31は、フロントカバー37に接続されている。このフロントカバー37は、内燃機関の10のドライブプレート12を介して、クランクシャフト11に連結されている。
タービン32は、上記ポンプ31と対向するように配置されている。このタービン32は、上記中空軸36内部に配置され、クランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能なインプットシャフト38に取り付けられている。つまり、タービン32は、インプットシャフト38とともに、クランクシャフト11と同一の軸線を中心に回転可能である。
ポンプ31とタービン32との間には、ワンウェイクラッチ39を介してステータ33が配置されている。このワンウェイクラッチ39は、上記トランスアクスルハウジング21に固定されている。また、タービン32とフロントカバー37との間には、ロックアップクラッチ34が配置されており、このロックアップクラッチ34は、ダンパ装置35を介してインプットシャフト38に連結されている。なお、上記ポンプ31やフロントカバー37により形成されるケーシングには、図示しない作動油供給制御装置から作動流体として作動油が供給されている。
ここで、このトルクコンバータ30の動作について説明する。内燃機関10からの出力トルクは、クランクシャフト11からドライブプレート12を介して、フロントカバー37に伝達される。ロックアップクラッチ34がダンパ装置35により解放されている場合は、フロントカバー37に伝達された内燃機関10からの出力トルクがポンプ31に伝達され、このポンプ31とタービン32との間を循環する作動油を介して、タービン32に伝達される。そして、タービン32に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、インプットシャフト38に伝達される。つまり、トルクコンバータ30は、インプットシャフト38を介して、内燃機関10からの出力トルクを増加して後述するベルト式無段変速機1−1に伝達する。上記においては、ステータ33により、ポンプ31とタービン32との間を循環する作動油の流れを変化させ所定のトルク特性を得ることができる。
一方、上記ロックアップクラッチ34がダンパ装置35によりロック(フロントカバー37と係合)されている場合は、フロントカバー37に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、作動油を介さずに直接インプットシャフト38に伝達される。つまり、トルクコンバータ30は、インプットシャフト38を介して、内燃機関10からの出力トルクをそのまま後述するベルト式無段変速機1−1に伝達する。
トルクコンバータ30と後述する前後進切換機構40との間には、オイルポンプ26が設けられている。このオイルポンプ26は、ロータ27と、ハブ28と、ボディ29とにより構成されている。このオイルポンプ26は、ロータ27により円筒形状のハブ28を介して、上記ポンプ31に接続されている。また、ボディ29が上記トランスアクスルケース22に固定されている。また、ハブ28は、上記中空軸36にスプライン嵌合されている。従って、オイルポンプ26は、内燃機関10からの出力トルクがポンプ31を介してロータ27に伝達されるので、駆動することができる。
前後進切換機構40は、図1に示すように、トルクコンバータ30を介して伝達された内燃機関10からの出力トルクを後述するベルト式無段変速機1−1のプライマリプーリ50に伝達するものである。この前後進切換機構40は、少なくとも遊星歯車装置41とフォワードクラッチ42と、リバースブレーキ43とにより構成されている。
遊星歯車装置41は、サンギヤ44と、ピニオン45と、リングギヤ46とにより構成されている。
サンギヤ44は、図示しない連結部材にスプライン嵌合されている。この連結部材は、後述するプライマリプーリ50のプライマリプーリ軸51にスプライン嵌合されている。従って、サンギヤ44に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、プライマリプーリ軸51に伝達される。
ピニオン45は、サンギヤ44と噛み合い、その周囲に複数個(例えば、3個)配置されている。各ピニオン45は、サンギヤ44の周囲で一体に公転可能に支持する切換用キャリヤ47に保持されている。この切換用キャリヤ47は、その外周端部においてリバースブレーキ43に接続されている。
リングギヤ46は、切換用キャリヤ47に保持された各ピニオン45と噛み合い、フォワードクラッチ42を介して、トルクコンバータ30のインプットシャフト38に接続されている。
フォワードクラッチ42は、図示しない作動油供給制御装置からインプットシャフト38の図示しない中空部に供給された作動油により、ON/OFF制御されるものである。フォワードクラッチ42のOFF時には、インプットシャフト38に伝達された内燃機関10からの出力トルクがリングギヤ46に伝達される。一方、フォワードクラッチ42のON時には、リングギヤ46とサンギヤ44と各ピニオン45とが互いに相対回転することなく、インプットシャフト38に伝達された内燃機関10からの出力トルクが直接サンギヤ44に伝達される。
リバースブレーキ43は、図示しない作動油供給制御装置から作動油が供給された図示しないブレーキピストンにより、ON/OFF制御されるものである。リバースブレーキ43がON時には、切換用キャリヤ47がトランスアクスルケース22に固定され、各ピニオン45がサンギヤ44の周囲を公転できない状態となる。リバースブレーキ43がOFF時には、切換用キャリヤ47が解放され、各ピニオン45がサンギヤ44の周囲を公転できる状態となる。
ベルト式無段変速機1−1のプライマリプーリ50は、前後進切換機構40を介して伝達された内燃機関10からの出力トルクを後述するベルト100により、セカンダリプーリ60に伝達するものである。このプライマリプーリ50は、図2に示すように、プライマリプーリ軸51と、プライマリ固定シーブ52と、プライマリ可動シーブ53と、ベルト挟圧力発生手段、ここでは特に変速比を変更させる手段であるプライマリ油室54とにより構成されている。
プライマリプーリ軸51は、軸受101,102により回転可能に支持されている。また、プライマリプーリ軸51は、内部に複数の作動油通路51a〜cを有しており、これら作動油通路51a〜cには、図示しない作動油供給制御装置からプライマリ油室54に供給される作動油、変速比固定手段70の油圧モータ71を作動させる作動油が流入する。
プライマリ固定シーブ52は、プライマリ可動シーブ53と対向するように、プライマリプーリ軸51の外周に一体的に設けられている。プライマリ可動シーブ53は、プライマリプーリ軸51にこのプライマリプーリ軸51上を軸線方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。このプライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との間、すなわちプライマリ固定シーブ52のプライマリ可動シーブ53に対向する面と、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52と対向する面との間で、V字形状のプライマリ溝100aが形成されている。
プライマリ油室54は、図2に示すように、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52と対向する面と反対側の背面53aと、油圧モータ71、特にモータケース75とにより構成されている。プライマリ可動シーブ53の背面53aには、軸線方向の他方に突出、すなわちトランスアクスルリヤカバー23側に突出する環状の突出部53bが形成されている。この突出部53bとモータケース75との間には、例えばシールリングなどのシール部材55が設けられている。つまり、プライマリ油室54を構成するプライマリ可動シーブ53の背面53aと油圧モータ71とは、シール部材55によりシールされている。
このプライマリ油室54には、作動油供給孔51d,51eを介して、プライマリプーリ軸51の作動油通路51aに流入した作動油が供給される。つまり、プライマリ油室54に作動油を供給し、この供給された作動油の圧力により、プライマリ可動シーブ53を軸線方向に摺動させ、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ52に対して接近あるいは離隔させるものである。プライマリ油室54は、このプライマリ油室54に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ53に軸線方向の押圧力を作用することで、プライマリ溝100aに巻き掛けられるベルト100に対するベルト挟圧力を発生させ、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸線方向位置を変更する。これにより、変速比を変更させる変速比変更手段としての機能をも有するものである。
ベルト式無段変速機1−1のセカンダリプーリ60は、後述するベルトによりプライマリプーリ50に伝達された内燃機関10からの出力トルクをベルト式無段変速機1−1の最終減速機80に伝達するものである。このセカンダリプーリ60は、図1に示すように、セカンダリプーリ軸61と、セカンダリ固定シーブ62と、セカンダリ可動シーブ63と、ベルト挟圧力発生手段であるセカンダリ油室64とにより構成されている。
セカンダリプーリ軸61は、軸受103,104により回転可能に支持されている。また、セカンダリプーリ軸61は、内部に図示しない作動油通路を有しており、この作動油通路には、図示しない作動油供給制御装置からセカンダリ油室64に供給される作動流体である作動油が流入する。
セカンダリ固定シーブ62は、セカンダリ可動シーブ63と対向するように、セカンダリプーリ軸61の外周に一体的に設けられている。上記セカンダリ可動シーブ63は、セカンダリプーリ軸61にこのセカンダリプーリ軸61上を軸線方向に摺動可能にスプライン嵌合されている。このセカンダリ固定シーブ62とセカンダリ可動シーブ63との間、すなわちセカンダリ固定シーブ62のセカンダリ可動シーブ63に対向する面と、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62と対向する面との間で、V字形状のセカンダリ溝100bが形成されている。なお、66は、パーキングブレーキギヤである。
セカンダリ油室64は、セカンダリ可動シーブ63のセカンダリ固定シーブ62と対向する面と反対側の背面63aと、セカンダリプーリ軸61に固定された円板形状のセカンダリ隔壁65とに構成されている。セカンダリ可動シーブ63の背面63aには、軸線方向の一方に突出、すなわち最終減速機80側に突出する環状の突出部63bが形成されている。一方、セカンダリ隔壁65には、軸線方向の他方向に突出、すなわちセカンダリ可動シーブ63側に突出する環状の突出部65aが形成されている。この突出部63bと突出部65aとの間には、例えばシールリングなどの図示しないシール部材が設けられている。つまり、セカンダリ油室64を構成するセカンダリ可動シーブ63の背面63aと、セカンダリ隔壁65とは、図示しないシール部材によりシールされている。
このセカンダリ油室64には、図示しない作動油供給孔を介して、セカンダリプーリ軸61の図示しない作動油通路に流入した作動油が供給される。つまり、セカンダリ油室64に作動油を供給し、この供給された作動油の圧力により、セカンダリ可動シーブ63を軸線方向に摺動させ、セカンダリ可動シーブ63をセカンダリ固定シーブ62に対して接近あるいは離隔させるものである。セカンダリ油室64は、このセカンダリ油室64に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ63に軸線方向の押圧力を作用することで、セカンダリ溝100bに巻き掛けられるベルト100に対するベルト挟圧力を発生させ、ベルト100のプライマリプーリ50およびセカンダリプーリ60に対する接触半径を一定に維持する。
図3は、解除状態における変速比固定手段の断面図(図2のA−A断面図)である。図4は、解除状態における係合手段の構成例を示す図である。なお、図3および図4は、係合手段の係合が解除されている解除状態を示す図でもある。ベルト式無段変速機1−1の変速比固定手段70は、モータである油圧モータ71と、係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72および複数のモータ側係合爪73とにより構成される。
油圧モータ71としては、インナーロータとの相対回転により生じたアウターロータの回転を駆動力とするモータを用いる。例えば、アウターロータを構成するモータケース内に配置された少なくとも二つベーンにより少なくとも2つの油室を形成し、その油室に流入させた作動油の油圧により各ベーンを相対回転させて駆動力を発生するモータ、すなわちベーン式油圧モータを用いる。
油圧モータ71は、インナーロータであるモータシャフト74と、アウターロータであるモータケース75とにより構成されており、プライマリ可動シーブ53の突出部53bの内側に配置されている。このモータシャフト74は、プライマリプーリ軸51に固定されており、このプライマリプーリ軸51と一体に回転する。このモータシャフト74には、2つのベーン74a,74bが形成されている。この2つのベーン74a,74bは、プライマリプーリ軸51の径方向外側に突出して形成されている。また、2つのベーン74a,74bの図示しない外周面には、例えばゴムシールなどのシール部材76a,76bが設けられている。つまり、この2つのベーン74a,74bとモータケース75の内壁面75dとは、シール部材76a,76bにより、それぞれシールされている。
このモータシャフト74は、作動油供給通路74c,74dが形成されている。この作動油供給通路74c,74dは、一方の端部が上記プライマリプーリ軸51の作動油通路51b,51cにそれぞれ連通し、他方の端部がベーン74a,74bを挟んで図示しないモータシャフト外周面にそれぞれ開口している。
モータケース75は、底を有する円筒形状の円筒部材75aと、この円筒部材の75aの開口を閉塞する環状部材75bとにより構成されている。この円筒部材75aの軸線方向における一方の端部には、つば部75cが形成されている。環状部材75bは、このつば部75cに例えばボルトなどの固定部材77により固定されている。なお、この円筒部材75aの軸線方向における他方の端部は、軸受79a,79bを介して、このプライマリプーリ軸51に回転可能に支持されている。つまり、モータケース75は、プライマリプーリ軸51を中心に、プライマリプーリ軸51に対して相対回転可能となる。従って、モータケース75は、プライマリプーリ軸51とともに回転するプライマリ可動シーブ53に対して相対回転可能である。
このモータケース75とモータシャフト74との間、すなわちモータケース75の内壁面75dとモータシャフト74の図示しない外周面74eとの間には、このモータケースの中心を対称に2つ空間部が形成される。この内壁面75dと外周面74eとの間には、例えばゴムシールなどのシール部材76c〜fが設けられている。つまり、このモータシャフト74の図示しない外周面とモータケース75の内壁面75dとは、シール部材76c〜f手段により、それぞれシールされている。
この2つの空間部は、このモータシャフト74のベーン74a,74bにより隔てられ、係合側油室S1と解除側油室S2とそれぞれ形成される。係合側油室S1には、作動油供給通路74cから作動油通路51bに流入した作動油が供給される。一方、解除側油室S2には、作動油供給通路74dから作動油通路51cに流入した作動油が供給される。
係合手段の一方を構成する可動シーブ側係合部材である複数の可動シーブ側係合爪72は、プライマリプーリ軸51の同一中心を有し、モータケース75の円筒部材75aの径方向外側に配置される円筒形状の中間部材78に、モータケース75の相対回転方向に対して複数列形成さている。この中間部材78は、プライマリ可動シーブ53の突出部53bと円筒部材75aとの間に配置され、この突出部53bに固定されている。複数の可動シーブ側係合爪72は、この中間部材78の内周面78aに、モータケース75の相対回転方向の一方、すなわち可動シーブ側係合爪72とモータ側係合爪73とが接近する方向に突出して形成されている。この複数の可動シーブ側係合爪72は、各可動シーブ側係合爪72の軸線方向における幅が同一で、軸線方向に対して等間隔に形成されている。なお、この各可動シーブ側係合爪72の先端部72aは、チャンファー角を有して形成されている。また、この可動シーブ側係合爪72の両側面72c,72dは、軸線方向と直交する面により形成されている。
一方、係合手段の他方を構成するモータ側係合部材である複数のモータ側係合爪73は、モータケース75の円筒部材75aの外周面75eに、モータケース75の相対回転方向に対して複数列形成さている。この中間部材78は、プライマリ可動シーブ53の突出部53bと円筒部材75aとの間に配置され、この突出部53bに固定されている。複数の可動シーブ側係合爪72は、モータケース75の相対回転方向の一方、すなわち可動シーブ側係合爪72とモータ側係合爪73とが接近する方向に突出して形成されている。この複数のモータ側係合爪73は、各モータ側係合爪73の軸線方向における幅が同一で、軸線方向に対して等間隔に形成されている。なお、この各モータ側係合爪73の先端部73aは、チャンファー角を有して形成されている。また、このモータ側係合爪73の両側面73c,73dは、軸線方向と直交する面により形成されている。
以上のように、係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72と複数のモータ側係合爪73とは、モータケースの相対回転方向に対向するように形成されている。また、図4に示すように、係合手段の解除状態である可動シーブ側係合爪72の背面72bとモータ側係合爪73の背面73bとが接触する状態において、可動シーブ側係合爪72の先端部72aとモータ側係合爪73の先端部73aとの間に所定の隙間が形成されるように設定されている。
セカンダリプーリ60と最終減速機80との間には、動力伝達経路90が配置されている。この動力伝達経路90は、セカンダリプーリ軸61と平行なインターミディエイトシャフト91と、カウンタドライブピニオン92、カウンタドリブンギヤ93と、ファイナルドライブピニオン94とにより構成されている。インターミディエイトシャフト91は、軸受105,106により回転可能に支持されている。カウンタドライブピニオン92は、セカンダリプーリ軸61の軸線方向のうちパーキングブレーキギヤ66が固定されていない側に延在する部分に固定されており、軸受107,108により回転可能に保持されている。カウンタドリブンギヤ93は、インターミディエイトシャフト91に固定されており、カウンタドライブピニオン92と噛み合わされている。また、ファイナルドライブピニオン94は、インターミディエイトシャフト91に固定されている。
ベルト式無段変速機1−1の最終減速機80は、動力伝達経路90を介して伝達された内燃機関10からの出力トルクを車輪110,110から路面に伝達するものである。この最終減速機80は、中空部が形成されたデフケース81と、ピニオンシャフト82と、デフ用ピニオン83,84と、サイドギヤ85,86とにより構成されている。
デフケース81は、軸受87,88により回転可能に支持されている。また、このデフケース81の外周には、リングギヤ89が設けられており、このリングギヤ89がファイナルドライブピニオン94と噛み合わされている。ピニオンシャフト82は、デフケース81の中空部に取り付けられている。デフ用ピニオン83,84は、このピニオンシャフト82に回転可能に取り付けられている。サイドギヤ85,86は、このデフ用ピニオン83,84の両方に噛み合わされている。このサイドギヤ85,86は、それぞれドライブシャフト111,112に固定されている。
ドライブシャフト111,112は、その一方の端部にそれぞれサイドギヤ85,86が固定され、他方の端部に車輪110,110が取り付けられている。
ベルト式無段変速機1−1のベルト100は、プライマリプーリ50を介して伝達された内燃機関10からの出力トルクをセカンダリプーリ60に伝達するものである。このベルト100は、図1に示すように、プライマリプーリ50のプライマリ溝100aとセカンダリプーリ60のセカンダリ溝100bとの間に巻き掛けられている。また、ベルト100は、多数の金属製の駒と複数本のスチールリングで構成された無端ベルトである。
次に、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1の動作について説明する。まず、一般的な車両の前進、後進について説明する。車両に設けられた図示しないシフトポジション装置により、運転者が前進ポジションを選択した場合は、図示しないECU(Engine Control Unit)が、図示しない作動油供給制御装置から供給された作動油によりフォワードクラッチ42をON、リバースブレーキ43をOFFとし、前後進切換機構40を制御する。これにより、インプットシャフト38とプライマリプーリ軸51が直結状態となる。つまり、遊星歯車装置41のサンギヤ44とリングギヤ46を直接連結し、内燃機関10のクランクシャフト11の回転方向と同一方向にプライマリプーリ軸51を回転させ、この内燃機関10からの出力トルクをプライマリプーリ50に伝達する。プライマリプーリ50に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、ベルト100を介してセカンダリプーリ60に伝達され、このセカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61を回転させる。
セカンダリプーリ60に伝達された内燃機関10の出力トルクは、セカンダリプーリ軸61から動力伝達経路90のカウンタドライブピニオン92およびカウンタドリブンギヤ93を介して、インターミディエイトシャフト91に伝達され、インターミディエイトシャフト91を回転させる。インターミディエイトシャフト91に伝達された出力トルクは、ファイナルドライブピニオン94およびリングギヤ89を介して最終減速機80のデフケース81に伝達され、このデフケース81を回転させる。デフケース81に伝達された内燃機関10からの出力トルクは、デフ用ピニオン83,84およびサイドギヤ85,86を介してドライブシャフト111,112に伝達され、その端部に取り付けられた車輪110,110に伝達され、車輪110,110を回転させ、車両は前進する。
一方、車両に設けられた図示しないシフトポジション装置により、運転者が後進ポジションを選択した場合は、図示しないECUが、図示しない作動油供給制御装置から供給された作動油によりフォワードクラッチ42をOFF、リバースブレーキ43をONとし、前後進切換機構40を制御する。これにより、遊星歯車装置41の切換用キャリヤ47がトランスアクスルケース22に固定され、各ピニオン45が自転のみを行うように切換用キャリヤ47に保持される。従って、リングギヤ46がインプットシャフト38と同一方向に回転し、このリングギヤ46と噛合っている各ピニオン45もインプットシャフト38と同一方向に回転し、この各ピニオン45と噛合っているサンギヤ44がインプットシャフト38と逆方向に回転する。つまり、サンギヤ44に連結されているプライマリプーリ軸51は、インプットシャフト38と逆方向に回転する。これにより、セカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61、インターミディエイトシャフト91、デフケース81、ドライブシャフト111,112などは、運転者が前進ポジションを選択した場合とは逆方向に回転し、車両が後進する。
また、図示しないECUは、車両の速度や運転者のアクセル開度などの所条件とECUの記憶部に記憶されているマップ(例えば、機関回転数とスロットル開度に基づく最適燃費曲線など)とに基づいて、内燃機関10の運転状態が最適となるようにベルト式無段変速機1−1の変速比を制御する。このベルト式無段変速機1−1の変速比の制御には、変速比の変更と、変速の固定(変速比γ定常)とがある。この変速比の変更、変速比の固定は、プライマリプーリ50のベルト挟圧力発生手段であるプライマリ油室54と、油圧モータ71の係合側油室S1および解除側油室S2とに図示しない作動油供給制御装置から供給される作動油の油圧を制御することで行われる。変速比の変更は、主にプライマリ可動シーブ53がプライマリプーリ軸51の軸線方向に摺動し、プライマリ固定シーブ52とこのプライマリ可動シーブ53との間の間隔、すなわちプライマリ溝100aの幅を調整することで行われる。これにより、プライマリプーリ50におけるベルト100の接触半径が変化し、プライマリプーリ50の回転数とセカンダリプーリ60の回転数との比である変速比が無段階(連続的)に制御される。また、変速比の固定は、主に、可動シーブ側係合爪72とモータ側係合爪73とが係合することで行われる。
なお、セカンダリプーリ60においては、ベルト挟圧力発生手段であるセカンダリ油室64に図示しない作動油供給制御装置から供給される作動油の油圧を制御することで、セカンダリ固定シーブ62とこのセカンダリ可動シーブ63とによりベルト100を挟み付けるベルト挟圧力が調整される。これにより、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60との間に巻き掛けられたベルト100の張力が制御される。
図5は、係合状態における変速比固定手段の断面図を示す図である。図6は、係合状態における係合手段の構成例を示す図である。まず、変速比の変更を行う具体的方法について説明する。変速比を変更するためには、係合手段が解除されていることが必要である。従って、図示しないECUは、係合側油室S1内の油圧が解除側油室S2の油圧よりも低くなるように図示しない作動油供給制御装置からこれら油室に供給される油圧を制御する。これにより、モータケース75は、図5および図6に示すように、解除側油室S2の体積が係合側油室S1の体積よりも大きくなり、モータシャフト74に対して解除方向に回転する。ここでは、プライマリ可動シーブ53およびプライマリプーリ軸51が同一方向に回転しており、モータシャフト74および中間部材78も同一方向に回転しているため、モータケース75は、プライマリ可動シーブ53に対して解除方向に相対回転することとなる。そして、図3および図4に示すように、モータ側係合爪73の背面73bが可動シーブ側係合爪72の背面72bに接触し、係合側油室S1と解除側油室S2との差圧によりその状態を維持する。
係合手段が解除状態において、図示しないECUは、プライマリ油室54の油圧を図示しない作動油供給制御装置により制御し、プライマリ可動シーブ53をプライマリプーリ軸51の軸線方向に摺動させる。つまり、プライマリ可動シーブ53は、連続的に軸線方向へ摺動することができることとなる。このとき、可動シーブ側係合爪72の背面72bはモータ側係合爪73の背面73bに接触した状態で軸線方向に摺動する。
ここでは、プライマリ油室54の油圧を上昇させると、プライマリ可動シーブ53がプライマリ固定シーブ52に接近、すなわち図4に示す軸線方向のうちUP方向に摺動し、ベルト100の接触半径が大きくなり、変速比が小さくなる。つまり、プライマリ油室54の油圧を上昇させることで、無段階のUPシフトを行うことができる。一方、プライマリ油室54の油圧を低下させると、プライマリ可動シーブ53がプライマリ固定シーブ52から離れ、すなわち同図に示す軸線方向のうちDOWN方向の摺動し、ベルト100の接触半径が小さくなり、変速比が大きくなる。つまり、プライマリ油室54の油圧を低下させることで、無段階のDOWNシフトを行うことができる。従って、ベルト式無段変速機1−1は、確実な変速比の変更を行うことができる。
次に、変速比の固定を行う具体的方法について説明する。図示しないECUは、車両の走行状態が安定している場合など、大幅な変速比の変更を行う必要がないと判断すると変速比の固定を行い、変速比γを定常とする。図示しないECUは、変速比の固定を行う場合は、係合側油室S1内の油圧が解除側油室S2の油圧よりも高くなるように図示しない作動油供給制御装置からこれら油室に供給される油圧を制御する。これにより、モータケース75は、図3および図4に示すように、解除側油室S2の体積が係合側油室S1の体積よりも小さくなり、モータシャフト74に対して係合方向に回転する。ここでは、プライマリ可動シーブ53およびプライマリプーリ軸51が同一方向に回転しており、モータシャフト74および中間部材78も同一方向に回転しているため、モータケース75は、プライマリ可動シーブ53に対して係合方向に相対回転することとなる。
そして、図5および図6に示すように、複数の可動シーブ側係合爪72と複数のモータ側係合爪73とが係合する。従って、油圧モータ71がプライマリ可動シーブ53に対してこのプライマリ可動シーブ53の回転方向に相対回転することにより、係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72と複数のモータ側係合爪73が係合し、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸線方向位置を機械的に固定することができる。これにより、係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72および複数のモータ側係合爪73は、プライマリ可動シーブ53がプライマリ固定シーブ52に対して軸線方向に摺動することを防止することができる。
このとき、複数の可動シーブ側係合爪72の先端部72aおよび複数のモータ側係合爪73の先端部73aは、チャンファー角を有して形成されている。従って、油圧モータ71が駆動することで、モータケース75が係合方向に回転し、先端部72aと73aとが接触すると、この接触面は係合方向に対して傾斜した面となる。これにより、この接触面にはモータケース75が係合方向に回転する回転力により、滑りが発生し、一方の係合爪を他方の係合爪間に容易に挿入することができる。
また、係合手段が係合状態においては、プライマリ固定シーブ52およびプライマリ可動シーブ53にベルト挟圧力の反力であるベルト反力が発生する。このベルト反力は、プライマリプーリ軸51の軸線方向に作用する力であり、プライマリ可動シーブ53から中間部材78に伝達される。従って、図6に示すように、複数の可動シーブ側係合爪72の一方の側面72dと複数のモータ側係合爪73の一方の側面73cとが当接し、この複数の可動シーブ側係合爪72の一方の側面72dと複数のモータ側係合爪73の一方の側面73cとにより構成される係合面がベルト反力を受ける側の係合面となる。このベルト反力を受ける側の係合面を構成する側面72dおよび側面73cは、軸線方向と直交する面により形成されているため、係合手段の係合状態において外乱によりベルト反力が変動しても、ベルト反力を受ける側の係合面に滑りが発生することを抑制することができる。なお、一方、この複数の可動シーブ側係合爪72の他方の側面72cと複数のモータ側係合爪73の他方の側面73dとにより構成される係合面は、ベルト反力を受けない側の係合面となる。
なお、係合手段を係合状態から解除状態にする場合、つまり変速比を固定した状態からこの変速比を変更する場合は、上記ベルト反力を低減してから、複数の可動シーブ側係合爪72と複数のモータ側係合爪73との係合を解除することが好ましい。この場合は、図示しないECUは、まず図示しない作動油供給制御装置により、プライマリ油室54の油圧がベルトを挟持する際の油圧よりも高くする。これにより、ベルト反力を受ける側の係合面を構成する一方の側面72dと一方の側面73cとの間に作用するベルト反力が低減する。従って、モータケース75を解除方向に相対回転させ、複数のモータ側係合爪73と複数の可動シーブ側係合爪72との係合を解除する際に、作用するベルト反力を受ける側の係合面の摩擦力を低減することができる。これにより、油圧モータ71に要求される油圧の上昇を抑制することができる。
以上のように、変速比固定手段である油圧モータ71がプライマリ可動シーブ53に対してこのプライマリ可動シーブ53の回転方向に相対回転すること、すなわちプライマリ可動シーブ53の回転方向のうち係合方向に相対回転することにより係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72と複数のモータ側係合爪73とが係合され、解除方向に相対回転することにより複数の可動シーブ側係合爪72と複数のモータ側係合爪73との係合が解除され、プライマリ油室54によりプライマリ可動シーブ53の軸線方向への摺動が可能となる。従って、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1は、油圧モータ71がプライマリ可動シーブ53に対してこのプライマリ可動シーブ53の回転方向に相対回転することにより、係合手段の係合、解除を行うことができ、プライマリ可動シーブを機械的に固定、解除することができる。これらにより、変速比の固定、変更を容易かつ確実に行うことができる。
また、モータケース75は、係合手段である複数のモータ側係合爪73と可動シーブ側係合爪72とが解除状態から係合するのに必要な係合方向への相対回転角度と係合状態から解除するのに必要な解除方向への相対回転角度とが同じであり、小さい相対回転角度で変速比の固定を行うことができる。つまり、従来の運動ネジを用いたベルト式無段変速機のように、油圧モータ71によりプライマリ可動シーブ53を軸線方向に摺動させるために大きな相対回転角度を必要としない。これにより、相対回転角度が小さいため、ベルト式無段変速機1−1の油圧モータ71が要求する油量は、従来のベルト式無段変速機の油圧モータと比較して抑制することができる。
なお、上記実施例1において、係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72の両側面72c,72dおよび複数のモータ側係合爪73の両側面73c,73dは、ともに軸線方向に対して直交する面により形成されているがこの発明はこれに限定されるものではない。図7は、解除状態における他の係合手段の構成例を示す図である。図8は、係合状態における他の係合手段の構成例を示す図である。図7に示すように、ベルト反力を受ける側の係合面と軸線方向において対向するベルト反力を受けない側の係合面、すなわち係合手段を構成する複数の可動シーブ側係合爪72の他方の側面72eおよびモータ側係合爪73の他方の側面73eをテーパ面で形成する。他方の側面72eは、可動シーブ側係合爪72の先端部72aからプライマリ固定シーブ側に向かうテーパ面で形成されている。一方、他方の側面73eは、モータ側係合爪73の先端部73aからプライマリ固定シーブ側の反対側に向かうテーパ面で形成されている。
従って、図7に示すように、係合手段が解除状態から係合する場合には、ベルト反力を受けない側の係合面を構成する他方の側面72eおよび他方の側面73eは、ともにテーパ面により形成されているため、油圧モータ71が駆動することで、モータケース75が係合方向に回転し、この他方の側面72eと他方の側面73eとが接触しても、モータケース75が係合方向に回転する回転力により、上記ベルト反力を受けない側の係合面には滑りが発生し、一方の係合爪を他方の係合爪間にさらに容易に挿入することができる。
また、図8に示すように、係合手段が係合状態から解除される場合に、プライマリ可動シーブ53がUP方向に摺動しつつ、モータケース75が解除方向に相対回転すると、ベルト反力を受けない側の係合面を構成する他方の側面72eと他方の側面73eと接触するが、上記と同様にモータケース75が解除方向に回転する回転力により、上記ベルト反力を受けない側の係合面には滑りが発生し、一方の係合爪を他方の係合爪間から容易に離脱することができる。これにより、プライマリ可動シーブ53の機械的な固定をさらに容易に解除することができ、変速比の固定、変更をさらに容易かつさらに確実に行うことができる。
図9は、他の変速比固定手段の断面図である。図10は、他の係合手段の構成例を示す図である。実施例2にかかる図示しないベルト式無段変速機1−2は、図1に示すように、実施例1にかかるベルト式無段変速機1−1とその基本的構成はほぼ同一であるが、変速機固定手段70の係合手段が異なる。なお、上述のように、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2は、図1に示すベルト式無段変速機1−1とその基本的構成はほぼ同一であるため、その説明は省略する。
図9および図10に示すように、モータシャフト74と、モータケース75と、モータシャフト74のベーン74a,74bとにより形成される係合側油室S1と解除側油室S2には、それぞれ中立位置維持手段である例えばスプリングなどの弾性部材Pがそれぞれ配置されている(同図では、4つ)。この弾性部材Pは、モータシャフト74とモータケース75との間、すなわちベーン74a,74bと内壁面75dとの間に取り付けられている。この弾性部材の付勢力により、ベーン74a,74bは、2つの空間部の中間位置に維持される。つまり、係合側油室S1の油圧と解除側油室S2の油圧とが同一である場合は、モータケース75は解除位置に維持される。このモータケース75が解除位置に維持されている場合は、モータ側係合爪73−1,73−2の先端部73aと可動シーブ側係合爪72−1,72−2の先端部72aとの間には、所定の隙間が形成される。
係合手段の一方を構成する可動シーブ側係合部材である複数の可動シーブ側係合爪72−1,72−2は、中間部材78の内周面78aにモータケース75の相対回転方向に複数列形成さている。複数の可動シーブ側係合爪72−1は、モータケース75の相対回転方向の一方に突出して形成されている。また、複数の可動シーブ側係合爪72−2は、モータケース75の相対回転方向の他方に突出して形成されている。つまり、複数の可動シーブ側係合爪72−1,72−2は、モータケース75の相対回転方向の両方に突出して形成されている。この複数の可動シーブ側係合爪72−1,72−2は、各可動シーブ側係合爪72−1,72−2の軸線方向における幅が同一で、軸線方向に対して等間隔に形成されている。さらに、相対回転方向の一方に突出して形成される可動シーブ側係合爪72−1と、他方に突出して形成される可動シーブ側係合爪72−2とは、軸線方向において互いに対向する、すなわち同一位相で配置されている。なお、この各可動シーブ側係合爪72−1,72−2の先端部72aは、チャンファー角を有して形成されている。
一方、係合手段の一方を構成するモータ側係合部材である複数のモータ側係合爪73−1,73−2は、モータケース75の円筒部材75bの外周面75eにモータケース75の相対回転方向に複数列形成さている。複数のモータ側係合爪73−1は、モータケース75の相対回転方向の一方に突出して形成されている。従って、複数のモータ側係合爪73−1と、複数の可動シーブ側係合爪72−2とは、対向して形成されている。複数のモータ側係合爪73−2は、モータケース75の相対回転方向の他方に突出して形成されている。従って、複数のモータ側係合爪73−2と、複数の可動シーブ側係合爪72−1とは、対向して形成されている。つまり、複数のモータ側係合爪73−1,73−2は、モータケース75の相対回転方向の両方に突出して形成されている。この複数のモータ側係合爪73−1,73−2は、各モータ側係合爪73−1,73−2の軸線方向における幅が同一で、軸線方向に対して等間隔に形成されている。さらに、相対回転方向の一方に突出して形成されるモータ側係合爪73−1と、他方に突出して形成されるモータ側係合爪73−2とは、軸線方向において互いにずれて対向する、すなわち異なる位相で配置されている。具体的には、モータ側係合爪73−1間の軸線方向の幅をLとすると、モータ側係合爪72−2は、モータ側係合爪73−1に対して軸線方向においてL/2ずれて配置されている。なお、この各可動シーブ側係合爪72−1,72−2の先端部72aは、チャンファー角を有して形成されている。
次に、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2の動作について説明する。なお、この実施例2にかかるベルト式無断変速機1−2の基本的動作は、実施例1のベルト式無段変速機1−1の基本的動作と同様であるため、その説明は省略する。
変速比を変更するためには、係合手段が解除されていることが必要である。従って、図示しないECUは、係合側油室S1内の油圧と解除側油室S2の油圧とが同一となるように図示しない作動油供給制御装置からこれら油室に供給される油圧を制御する。これにより、モータケース75は、弾性部材Pの付勢力により係合側油室S1の体積と解除側油室S2の体積とが同一となり、図9および図10に示すように、モータシャフト74および中間部材78に対して解除位置に回転し、その位置を維持する。なお、このとき、モータ側係合爪73−1,73−2の先端部73aと可動シーブ側係合爪72−1,72−2の先端部72aとの間には、所定の隙間が形成される。従って、中間部材78がプライマリ可動シーブ53とともに、軸線方向に摺動しても、モータ側係合爪73−1,73−2と可動シーブ側係合爪72−1,72−2とが接触することはない。従って、変速比を変更する際に、係合手段が係合することはない。
係合手段が解除状態において、図示しないECUは、プライマリ油室54の油圧を図示しない作動油供給制御装置により制御し、プライマリ可動シーブ53をプライマリプーリ軸51の軸線方向に摺動させる。ここでは、プライマリ油室54の油圧を上昇させることで無段階のUPシフトを行い、プライマリ油室54の油圧を低下させることで無段階のDOWNシフトを行うことができる。従って、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2は、確実な変速比の変更を行うことができる。
次に、変速比の固定を行う具体的方法について説明する。図示しないECUは、変速比の固定を行う場合は、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する現在の軸線方向位置に応じて、モータケース75の相対回転方向のうちいずれか一方に相対回転させる。例えば、プライマリ可動シーブ53の現在の軸線方向位置からに対して、このプライマリ可動シーブ53の軸線方向への移動が最も少ないように、モータ側係合爪73−1と可動シーブ側係合爪72−2とを係合、あるいはモータ側係合爪73−2と可動シーブ側係合爪72−1とを係合させる。
ここで、モータ側係合爪73−1と可動シーブ側係合爪72−2とを係合させる場合は、係合側油室S1内の油圧が解除側油室S2の油圧よりも高くなるように図示しない作動油供給制御装置からこれら油室に供給される油圧を制御する。これにより、モータケース75は、解除側油室S2の体積が係合側油室S1の体積よりも小さくなるように、弾性部材Pの付勢力に対抗して、プライマリ可動シーブ53に対して一方向に相対回転することとなる。これにより、複数の可動シーブ側係合爪72−2と複数のモータ側係合爪73−1とが係合する。一方、モータ側係合爪73−2と可動シーブ側係合爪72−1とを係合させる場合は、係合側油室S1内の油圧が解除側油室S2の油圧よりも低くなるように図示しない作動油供給制御装置からこれら油室に供給される油圧を制御する。これにより、モータケース75は、解除側油室S2の体積が係合側油室S1の体積よりも大きくなるように、弾性部材Pの付勢力に対抗して、プライマリ可動シーブ53に対して他方向に相対回転することとなる。これにより、複数の可動シーブ側係合爪72−1と複数のモータ側係合爪73−2とが係合する。複数の可動シーブ側係合爪72−2と複数のモータ側係合爪73−1とが係合した際のプライマリ可動シーブ53の軸線方向位置と、複数の可動シーブ側係合爪72−1と複数のモータ側係合爪73−2とが係合した際の可動シーブの固定シーブに対する軸線方向位置とは異なるため、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2は、異なる変速比で固定される。
従って、油圧モータ71がプライマリ可動シーブ53に対してこのプライマリ可動シーブ53の回転方向に相対回転することにより、係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72−1および複数のモータ側係合爪73−2、あるいは複数の可動シーブ側係合爪72−2および複数のモータ側係合爪73−1のいずれかが係合し、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸線方向位置を機械的に固定することができる。これにより、係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72の先端部72aおよび複数のモータ側係合爪73は、プライマリ可動シーブ53がプライマリ固定シーブ52に対して軸線方向に摺動することを防止することができる。
なお、実施例2においては、係合手段を係合状態から解除状態にする場合、つまり変速比を固定した状態からこの変速比を変更する場合は、実施例1と同様に、上記ベルト反力を低減してから、複数の可動シーブ側係合爪72−1,72−2と複数のモータ側係合爪73−1,73−2との係合を解除することが好ましい。
以上のように、変速比固定手段である油圧モータ71がプライマリ可動シーブ53に対してこのプライマリ可動シーブ53の回転方向に相対回転することにより係合手段である係合手段である複数の可動シーブ側係合爪72−1および複数のモータ側係合爪73−2、あるいは複数の可動シーブ側係合爪72−2および複数のモータ側係合爪73−1のいずれかが係合しされ、モータケース75が解除位置に維持されることで、複数の可動シーブ側係合爪72−1,72−2と複数のモータ側係合爪73−1,73−2との係合が解除され、プライマリ油室54によりプライマリ可動シーブ53の軸線方向への摺動が可能となる。従って、実施例2にかかるベルト式無段変速機1−2は、油圧モータ71がプライマリ可動シーブ53に対してこのプライマリ可動シーブ53の回転方向に相対回転することにより、係合手段の係合、解除を行うことができ、プライマリ可動シーブを機械的に固定、解除することができる。これらにより、変速比の固定、変更を容易かつ確実に行うことができる。
また、一方のモータ側係合爪73−1と、他方のモータ側係合爪73−2とは、軸線方向において互いにずれて対向する、すなわち異なる位相で配置されているので、プライマリ可動シーブ53の回転方向に対する相対回転の方向に応じて、プライマリ可動シーブ53は、プライマリ固定シーブ52に対する軸線方向位置が異なった状態で機械的に固定される。従って、固定する変速比の数が一定の場合は、変速比固定手段70の軸線方向の長さを抑制することができる。一方、変速比固定手段70の軸線方向の長さが一定の場合は、固定する変速比の数を増加させることができる。
また、上記実施例2においては、弾性部材Pにより、モータケース75を解除位置に維持しているが、この発明はこれに限定されるものはない。例えば、モータケース75が解除位置に位置する際に、このモータケース75をモータシャフト74あるいは中間部材78に係止する係止手段を設けても良い。係止手段は、例えば、モータシャフト74の外周面から図示しない作動油供給制御装置から供給された作動油により突出する係止突起と、モータケース75の円筒部材75aが解除位置に位置する際に、この係止突起に対向する係止穴とにより構成されても良い。
なお、上記実施例1,2においては、プライマリ側のベルト挟圧力発生手段としてプライマリ油室54、セカンダリ側のベルト挟圧力発生手段としてセカンダリ油室64を用いたがこれに限定されるものではなく、セカンダリ側のベルト挟圧力発生手段としてセカンダリ油室64とともにトルクカムを用いても良い。また、プライマリ側、セカンダリ側のベルト挟圧力発生手段として、例えばモータなど電動機を単独であるいは併用して用いても良い。
以上のように、この発明にかかるベルト式無段変速機は、変速比を固定するベルト式無段変速機に有用であり、特に、変速比の固定を容易にかつ確実に行うのに適している。
実施例1にかかるベルト式無段変速機のスケルトン図である。 プライマリプーリの要部断面図である。 解除状態における変速比固定手段の断面図(図2のA−A断面図)である。 解除状態における係合手段の構成例を示す図である。 係合状態における変速比固定手段の断面図を示す図である。 係合状態における係合手段の構成例を示す図である。 解除状態における他の係合手段の構成例を示す図である。 係合状態における他の係合手段の構成例を示す図である。 他の変速比固定手段の断面図である。 他の係合手段の構成例を示す図である。
符号の説明
1−1,1−2 ベルト式無段変速機
10 内燃機関(駆動源)
20 トランスアクスル
30 トルクコンバータ
40 前後進切換機構
50 プライマリプーリ
51 プライマリプーリ軸
52 プライマリ固定シーブ
53 プライマリ可動シーブ
54 プライマリ油室(ベルト挟圧力発生手段)
60 セカンダリプーリ
61 セカンダリプーリ軸
62 セカンダリ固定シーブ
63 セカンダリ可動シーブ
64 セカンダリ油室(ベルト挟圧力発生手段)
70 変速比固定手段
71 油圧モータ(モータ)
72 可動シーブ側係合爪
73 モータ側係合爪
74 モータシャフト
75 モータケース
78 中間部材
80 最終減速機
90 動力伝達経路
100 ベルト
100a プライマリ溝
100b セカンダリ溝
110 車輪
S1 係合側油室
S2 解除側油室
P 弾性部材

Claims (5)

  1. 平行に配置され、駆動源からの駆動力がいずれか一方に伝達される2つのプーリ軸と、当該2つのプーリ軸上をそれぞれ軸線方向に摺動する2つの可動シーブと、当該2つの可動シーブに前記軸線方向にそれぞれ対向する2つの固定シーブと、からなる2つのプーリと、
    前記2つのプーリのうちいずれか一方のプーリに伝達された前記駆動源からの駆動力を他方のプーリに伝達するベルトと、
    前記可動シーブと前記固定シーブとの間にベルト挟圧力を発生させるベルト挟圧力発生手段と、
    前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を機械的に固定する変速比固定手段と、
    を備えることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記変速比固定手段は、
    前記可動シーブに対して当該可動シーブの回転方向に相対回転するモータと、
    前記モータが前記回転方向に相対回転することにより、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を係合することで機械的に固定する係合手段と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記係合手段は、前記モータが前記可動シーブの回転方向のうち一方向に相対回転すると係合し、当該モータが当該回転方向のうち他方向に相対回転すると係合を解除することを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速機。
  4. 前記係合手段は、前記モータが前記可動シーブに対して相対回転すると係合し、当該可動シーブの回転方向に対する当該相対回転の方向に応じて、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を異ならせて機械的に固定し、当該モータが当該可動シーブに対して相対回転しないと係合を解除することを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速機。
  5. 前記係合手段は、前記モータに設けられたモータ側係合部材および前記可動シーブに設けられた可動シーブ側係合部材により構成され、
    前記モータ側係合部材と前記可動シーブ側係合部材とが係合する係合面は、前記可動シーブの前記固定シーブに対する軸線方向位置を機械的に固定する際にベルト反力を受ける側の係合面が前記軸線方向と直交する面であり、当該ベルト反力を受けない側の係合面がテーパ面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のベルト式無段変速機。
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