JP2006170205A - ロケットエンジン室 - Google Patents

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Abstract

【課題】再使用可能なロケットエンジン室が提供される。
【解決手段】ロケットエンジン室(10)は、裏材構造(20)と、この裏材構造(20)の径方向内側に配置された熱交換器構造(18)とを有する。熱交換器構造(18)は、複数の一体に形成された冷却通路(22)を有し、これらの冷却通路(22)のうちの隣接する冷却通路(22)は、共通の側壁構造(28)を有する。各通路(22)は、高温ガスに接触する壁面(24)を形成する頂部セクション(23)を有する。頂部セクション(23)は、円の弧状部と、実質的に一定の壁厚とにより形成される内外面(26、24)を有する壁構造により形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体ロケットエンジンに関し、特に多数回作動可能な再使用可能ロケットエンジンに関する。
大部分のロケットエンジンは使い捨てであった。すなわち、エンジン設計が実施の成熟期に達すると、各製造エンジンは、おそらく二回だけ、一回目はエンジンが作動するか検証するための地上試験において、二回目はそれが飛行して消耗されるときに、作動される。現在運用されている唯一の再使用可能液体ロケットエンジンは、スペースシャトルのメインエンジンである。
米国特許第5,249,357号明細書
米国の液体ロケットエンジン燃焼室のいくつかは管を用いて作成されている。管は、よく知られている「ベル」形を通るスライスまたは切片に類似した、ロケット室/ノズルの形状に曲げられる。次いで、管は、軸対称の配列に固定され、互いに結合されて、完成した室/ノズルを形成する。室/ノズルを完成させるために、結合された管を強化する外部構造を付加する必要があり、また、冷却剤の入口と排出口のためのマニホールドを、配列した管の各端部に付加する必要がある。管の利点は、それが優れた圧力容器であることである。しかしながら多くの不都合がある。各個々の管は、設計仕様に適合する大きさおよび形状に形成する必要がある。さらに、完成した室を作成するのに多くの数を必要とし、多くの場合、200以上である。これによって、管すなわち本質的に室/ノズルの原材料は、大きな費用がかかる品目となる。次に、管およびマニホールドは、漏れなく所定の位置に結合する必要がある。これは誤りなく行うのが非常に困難であり、また、しばしば手直しが必要であり、さらに室/ノズルの費用が増大する。
液体ロケットエンジンのいくつかには、室/ノズルを別な仕方で構築するものがある。この方法は、「閉鎖部(close−out)を有する機械加工溝」として知られる。まず、平らなシートから始まり、圧延/溶接またはいくつかの同様のプロセスで「ベル」を作成する。次いで、冷却剤溝をこのベル形状構造内に機械加工する。次いで、第一のベルの上に嵌まる第二のベルを作成する。次いで、第二のベルを第一のベルに結合して、溝の閉鎖部を生成する。次いで、上述した管状構成と同様に、構造スチフナおよび入口/排出口マニホールドを所定の位置に結合して、室を完成する。利点は、この方法を、管を用いるよりは少ない数の部品で実施できることである。不都合としては、異なる部品を結合するのに用いる操作が挙げられる。さらに、結果として得られる溝構造が長方形であり、平らな壁面の一つが燃焼室に面することである。長方形の通路、そして特に燃焼室に面する通路の平らな側面は、作動中に塑性変形を経験する。これによって結果として、壁面の事実上の薄肉化が生じ、これは、作動停止の際に元の厚みに回復しない。薄肉化は後続の使用と共に増加する。この現象は、構造解析者によって「ラチェット(ratcheting)」と呼ばれてきた。全体の結果として構造の寿命が限られることになり、寿命は公称100サイクル未満となる。管状室構成は、同様の作動構造変形を経験するとはいえ、主に管が効率的な圧力容器として機能するので、機械加工溝構成を用いるのと同程度にはならない。
液体ロケット室およびノズルを作成する先進の方法が開発されてきた。特にこの方法は、真空プラズマ溶射として知られており、米国特許第5,249,357号に例示されている。この方法は、上述した機械加工溝方法に等しく、主な相違点といえば、(1)粉末原材料から始まり、高温の不活性ガス流を用いてベル形のマンドレル上に「ベル」を溶射し、さらに(2)溝閉鎖部を同様に溶射する、という二つの相違点がある。この時点において、この方法は、平らな壁の室だけを作成するのに使用されていた。これらは、長方形の冷却溝を有し、平らな壁面の一つが燃焼室に面する。製作費用は、主に溶射プロセスを用いてニアネットシェイプの一体型(ワンピース)の室/ノズルを生成するので、管状構成および結合した閉鎖部を有する機械加工溝のいずれよりも大幅に低い。この方法の不都合な点は、燃焼室に面する平らな壁面や、作動圧力および温度におけるその撓みおよび薄肉化という寿命を制限する特性にある。
本発明の目的は、再使用可能なロケットエンジン室を提供することである。
本発明のさらなる目的は、ひどい構造変形なしに高圧冷却剤を運ぶことができる冷却通路を有するロケットエンジン室を提供することである。
上述した目的は、本発明のロケットエンジン室によって達成される。
本発明に従うと、ロケットエンジン室が提供される。ロケットエンジン室は、裏材構造と、この裏材構造の径方向内側に配置された熱交換器構造とを有する。熱交換器構造は、複数の一体に形成された冷却通路を有し、これらの冷却通路のうちの隣接する冷却通路は、共通の側壁構造を有する。各通路は、高温ガスに接触する壁面を形成する頂部セクションを有する。頂部セクションは、円の弧状部と、実質的に一定の壁厚とにより形成される内外面を有する壁構造により形成される。
本発明のロケット室熱交換器の他の詳細、およびそれに付随する目的および利点は、以下の詳細な説明中に、および同様の参照符号が同様の部材を図示している添付の図面中に述べられる。
図面をここで参照すると、図1および図2は、本発明に従うロケットエンジン室10を例示する。室10は、高温ガスが通過する中空中心部12を有する。室10はさらに、室セクション14と、ノズルセクション16とを有する。
室10は、室10の長さいっぱいに延在する熱交換器セクション18と、また室10の長さいっぱいに延在する裏当てまたは裏材構造20とを有する。熱交換器セクション18は、裏材構造20の径方向内側に配置される。熱交換器セクション18には、高圧のロケット燃料などといった冷却剤が通過する複数の一体に形成された冷却通路22が存在する。冷却通路22は好ましくは、円形断面または近(near)円形断面を有する。
冷却通路22は、熱を伝達できる任意の適切な金属材料から形成できる。好ましくは、通路22は、分散強化銅合金などといった、銅または銅合金などの銅基材料から形成される。最も好ましい実施態様では、通路22は、GRCop−84合金から形成される。
冷却通路22は、高温ガス接触面24と、冷却剤に接触する内面26とを含む頂部セクション23を有する。面24および26はそれぞれ好ましくは、円の弧状部により形成される。弧状部は、通路22の一方の側壁28から対向する側壁28へと延在する。このような構成で面24および26を形成することは、これによって、通路22が、ひどい構造変形と、その結果としてのハードウェアの損傷および故障の傾向とを生じずに高圧冷却剤を運ぶことができるので、望ましい。本発明の好ましい実施態様において、頂部セクション23は、実質的に均一な厚みを有する。
図1および図2から理解できるように、冷却通路22のうちの隣接する冷却通路は、共通の側壁28を有する。側壁28は、頂部セクション23と一体化されており、同じ材料により形成される。図3から理解できるように、側壁は、不均一な厚みを有しており、非円形である。
冷却通路はまた、底部セクション30を有する。底部セクション30は、高温ガスと接触しないので、円形である形状を有するように形成される必要はないとはいえ、そのように所望されるのであればそうすることができる。底部セクション30は、任意の所望の形状を有することができる。一般に底部セクション30は、不均一な厚みと、滑らかな周囲表面または閉鎖部32とを有することになる。底部セクション30は、側壁28と一体に形成され、側壁28と同じ材料から形成される。
裏材構造20は、限定される訳ではないが、ニッケル基合金、鉄基合金、および複合材料を含め、当業技術内で知られる任意の適切な材料から形成できる。裏材構造20は好ましくは、閉鎖部32と嵌合する滑らかな周囲内面34と、滑らかな周囲外面36とを有するように形成される。好ましい実施態様において、面34は、閉鎖部32に結合される。
ロケットエンジン室は、当業技術内で知られる任意の適切な技術を用いて形成できる。例えば、図4に示すものなどといった、円形断面溝41が機械加工されたマンドレル40を、熱交換器セクション18を形成するのに使用できる。熱交換器セクション18は、マンドレル上に中実部品として形成でき、流体通路22の表面24は、溝41により形成される。熱交換器セクション18を形成する銅基材料を、真空プラズマ溶射などといった当業技術内で知られる任意の適切な技術を用いて、マンドレル40上に堆積させることができる。熱交換器セクション18をマンドレル40上に堆積させた後に、裏材構造20を、真空プラズマ溶射などといった当業技術内で知られる任意の適切な堆積技術を用いて形成できる。
冷却通路22の内部42は、当業技術内で知られる任意の適切な技術を用いて、熱交換器セクション18を形成する銅基材料堆積物内へ機械加工できる。
閉鎖部32は、真空プラズマ溶射または当業技術内で知られる任意の他の適切な技術を用いて施すことができる。閉鎖部32は、この領域が低温でありかつ裏材構造により支持されるので、円形よりもむしろ平面状となる。
所望ならば、ロケットエンジン室10は、機械加工された冷却通路と機械加工された円形断面内面とを有するスピン形成されたシェルなどといった製作方法の組み合わせを用いて形成できる。
上述した検討から理解できるように、本発明のロケットエンジン室10は、従来技術のロケットエンジン室の構成とは全く異なる。管は使用されていない。従って、管を互いに接続する必要がなく、費用の削減がもたらされる。
本発明に従うロケットエンジン室は、損傷が生じる前に、250サイクルの最小寿命を有することができる。
本発明に従って形成されるロケットエンジン室の正面図である。 図1のロケットエンジン室の後面図である。 ロケットエンジン室の部分断面図である。 本発明のロケットエンジン室を形成するのに使用できるマンドレルの概略図である。
符号の説明
10…ロケットエンジン室
14…室セクション
16…ノズルセクション
18…熱交換器セクション
20…裏材構造
22…冷却通路
23…頂部セクション
24…高温ガス接触面
26…内面
30…底部セクション
40…マンドレル

Claims (18)

  1. 裏材構造と、この裏材構造の径方向内側に配置された熱交換器構造と、
    を備えるロケットエンジン室であって、熱交換器構造は、複数の一体に形成された冷却通路を備えており、これらの冷却通路のうちの隣接する冷却通路は、共通の側壁構造を有することを特徴とするロケットエンジン室。
  2. 前記通路のそれぞれは、近円形断面を有することを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  3. 前記通路のそれぞれは、円形断面を有することを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  4. 前記通路のそれぞれは、円弧部により形成された頂部セクションを有しており、この頂部セクションは、前記室を通過する高温ガスに接触し、また、この頂部セクションは、実質的に一定の厚みを有することを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  5. 前記共通の側壁構造は、非円形であり、また、この共通の側壁構造は、不均一な厚みを有することを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  6. 前記ロケットエンジン室は、非円形の底部構造をさらに備えており、この非円形の底部構造は、不均一な厚みと滑らかな周囲表面とを有することを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  7. 前記裏材構造は、前記滑らかな周囲表面に結合されることを特徴とする請求項6記載のロケットエンジン室。
  8. 前記ロケットエンジン室は、室セクションとノズルセクションとをさらに備えており、前記通路のそれぞれは、室セクションとノズルセクションとを通って延在し、かつ、室セクションおよびノズルセクションの内面を形成することを特徴とする請求項6記載のロケットエンジン室。
  9. 前記熱交換器セクションは、銅材料から形成されることを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  10. 前記冷却通路は、機械加工された冷却通路であることを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  11. 前記冷却通路は、溶射された銅材料から形成されることを特徴とする請求項1記載のロケットエンジン室。
  12. 複数の一体に形成された冷却通路を備える熱交換器構造であって、これらの冷却通路のうちの隣接する冷却通路は、共通の側壁構造を有することを特徴とする熱交換器構造。
  13. 前記通路のそれぞれは、近円形断面を有することを特徴とする請求項12記載の熱交換器構造。
  14. 前記通路のそれぞれは、円形断面を有することを特徴とする請求項12記載の熱交換器構造。
  15. 前記通路のそれぞれは、円弧部により形成された頂部セクションを有しており、この頂部セクションは、前記室を通過する高温ガスに接触し、また、この頂部セクションは、実質的に一定の厚みを有することを特徴とする請求項12記載の熱交換器構造。
  16. 前記共通の側壁構造は、非円形であり、また、この共通の側壁構造は、不均一な厚みを有することを特徴とする請求項12記載の熱交換器構造。
  17. 非円形の底部構造をさらに備えることを特徴とする請求項12記載の熱交換器構造。
  18. 前記非円形の底部構造は、不均一な厚みと滑らかな周囲表面とを有することを特徴とする請求項17記載の熱交換器構造。
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