JPH0829090A - 熱交換器 - Google Patents

熱交換器

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JPH0829090A
JPH0829090A JP18625894A JP18625894A JPH0829090A JP H0829090 A JPH0829090 A JP H0829090A JP 18625894 A JP18625894 A JP 18625894A JP 18625894 A JP18625894 A JP 18625894A JP H0829090 A JPH0829090 A JP H0829090A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構成部材の窒化や応力腐食割れが発生しない
熱交換器を提供する。 【構成】 窒素成分含有の高温高圧ガスと水との間で熱
交換をすべく、多数の伝熱チューブ30の外側に水を流
す熱交換室4、および同室4とは管板20で仕切られそ
のチューブ30内に通す上記のガスを導入するガス導入
室3をそれぞれ設ける。管板20および伝熱チューブ3
0をクロム・モリブデン含有の低合金鋼によって形成す
る。管板20の一面を含むガス導入室3の内面に耐窒化
性材料を一体に積層する。伝熱チューブ30のうちガス
導入室3側の一端を、管板20における上記の積層部分
付近に達するまで管板20内に挿入する。当該挿入範囲
を含む一部においてそのチューブ30の内面を耐窒化性
材料にて気密に覆っておく。管板20の上記積層部分と
チューブ30の一端とを、低合金鋼部分を覆って耐窒化
性材料により溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえばアンモニア合
成装置内に組み込まれ、窒素成分含有の高温高圧ガスと
水(もしくは蒸気)との間で熱交換を行う熱交換器に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図2および図3に、上記用途においての
一般的な形式の熱交換器(ファイヤチューブ型、すなわ
ち伝熱チューブ内に高温ガスを通しその外側に水などを
流すもの)1・2についての全体断面図を示す。図のよ
うに熱交換器1・2のケーシング10の内部には、多数
の伝熱チューブ30が配置されてその外側に水を流す熱
交換室4または4’があり、また、熱交換室4・4’と
は管板20により仕切られていてそのチューブ30内に
通すガスを導入するガス導入室3または3’がある。高
温のガスを導入室3・3’から伝熱チューブ30内へ通
し、熱交換室4・4’において水との間で熱交換を行う
のである。なお、図2の例では伝熱チューブ30がU字
状で、図示右方へ送られたガスは熱交換(放熱)をしな
がらそのチューブ30にしたがって左方へ戻り、ガス導
入室3の外側に設けられたガス排出室5を経てケーシン
グ10の外へ出される。一方、図3の例では伝熱チュー
ブ30が直線状(1パス形式)であり、ガスは一方向へ
送られながら熱交換をし、チューブ30の下流側に設け
られたガス排出室5’を経て外へ出る。
【0003】上記のような熱交換器をアンモニア合成装
置などに使用し、アンモニアや窒素等(つまり窒素成分
含有のガス)を高温側流体とする場合には、熱交換器を
構成する金属材料に窒化が生じないよう留意しなければ
ならない。金属材料は、高温(約380℃以上)・高圧
(100kg/cm程度以上)のもとで窒素成分に触
れるとき窒化しやすく、窒化することによって硬くかつ
脆くなり割れが発生しやすくなるからである。
【0004】熱交換器において金属材料の窒化を防止す
るためには、高温のガスに触れるガス導入室の内面に耐
窒化性の材料が溶接オーバレイ加工されることが多い
が、それとともに下記のような手段がとられるのが一般
的である。
【0005】イ) 図4(a)に示すもので、管板20のう
ちガス導入室3に面する部分に耐窒化性材料をめっきす
るとともに、伝熱チューブ30としては、全長を耐窒化
性の材料としたものを使用する。そして管板20に挿入
したチューブ30の端部は、耐窒化性材料によって溶接
する。このやり方は、特公昭53−4161号公報に示
されている(同公報は伝熱チューブの配置態様などを主
に開示し、チューブや管板の詳細を図示してはいない
が、その説明文中に図4(a)の構成が記載されてい
る)。
【0006】ロ) 図4(b)のように、伝熱チューブ30
のうち管板20の付近、つまりチューブ30の温度が高
くなる部分のみを耐窒化性材料の短管37とし、残りの
部分(チューブ本体)36にその短管37よりも低コス
トの鋼材を用いて、両者を溶接により一つの伝熱チュー
ブ30とする。管板20の一方の側の面に耐窒化性材料
のめっきをし、管板20とチューブ30(短管37)と
を耐窒化性材料で溶接することなどは、図4(a)の場合
と同様である。
【0007】ハ) 図2のように伝熱チューブ30をU字
状にする場合には、図4(c)のように、ガス導入室3を
管板20から切り離し、ガス導入室3とチューブ30の
一端とを耐窒化性材料の短管でつなぐ構造にするととも
に、放熱ずみ(戻り側)のガスの通路を、チューブ30
のうち高温側(導入側)の部分にそれぞれ接近させて配
置することもある。戻り側の低温部分によってチューブ
30の高温部分を冷却するわけである。ただし、材料の
窒化を完全に防止できるほどの十分な冷却は期待できな
いので、他の何らかの窒化防止手段と併用されるのが普
通である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上のイ)(図4(a))に
示した手段による場合は、高価な耐窒化性材料を伝熱チ
ューブの全長に使用するため、熱交換器の製造コストが
高くなる。管板の厚みの範囲内では高温ガスと水との熱
交換がほとんどないためチューブは高温ガスに近い温度
であるものの、熱交換室の範囲に入ると、チューブの壁
を介して高温ガスと水との間で激しい熱交換が行われ、
チューブのメタル温度は急速に低下するので、一般的に
はチューブの全長に耐窒化性材料を用いる必要はない。
したがって上記イ)の手段は、必要のない部分に高価な材
料を使用している点で構成上の無駄があるといえる。
【0009】上記ロ)(図4(b))の手段によると、伝熱
チューブのうち耐窒化性材料からなる部分(短管)が短
いためコスト面では合理的だが、その部分とチューブ本
体との溶接箇所に応力的なネックの生じる場合が少なく
ない。双方の部分が互いに異種材料であるため、熱膨張
係数の相違により、運転時(温度上昇したとき)に高い
熱応力が発生しがちだからである。また、チューブ本体
や管板などにオーステナイト系ステンレス鋼が使用され
る場合には、比較的高温の水や蒸気に接することから、
それらが応力腐食割れを起こさぬように注意する必要が
ある。
【0010】また、ハ)のやり方は、U字状の伝熱チュー
ブを使用する図2の形式の熱交換器には適用できるが、
図3のような1パス形式の熱交換器には採用することが
できない。また、他の窒化防止手段と併用する必要があ
り、そのために構造が複雑化する場合が多い。
【0011】本発明の目的は、以上のような不都合のな
い熱交換器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の熱交
換器は、図2や図3に示される形式の熱交換器であっ
て、つぎのa)、b)、c)、d)およびe)のとおり構成したも
のである。すなわち、 a) 管板および伝熱チューブを、クロム・モリブデン含
有の低合金鋼によって形成する。
【0013】b) 管板の一面を含むガス導入室の内面に
耐窒化性材料を一体に積層する。積層する手段として
は、図4(前記のイ)・ロ))のようなめっきや溶接オーバ
レイ加工のほか種々のクラッド加工や溶射などが可能で
ある。耐窒化性材料としては、請求項3に記載したもの
をはじめとする種々のニッケル系合金のほか、オーステ
ナイト系ステンレス鋼(たとえばSUS321)などが
使用できる。
【0014】c) 伝熱チューブのうちガス導入室側の一
端を、管板における上記の積層部分付近に達するまで管
板内に挿入する。
【0015】d) 当該挿入範囲を含む一部においてその
チューブの内面を耐窒化性材料で気密に(つまり低合金
鋼と耐窒化性材料との間にガスが侵入しないように)覆
う。このように覆うための手段としては、請求項2(下
記f))や請求項4(下記f'))に記載のものや、爆着その
他による種々のクラッド加工・溶射・めっきなどが考え
られる。
【0016】e) 管板の上記積層部分とチューブの一端
とを、低合金鋼部分を覆って耐窒化性材料により溶接す
る。
【0017】この熱交換器については、請求項2に記載
したとおりさらにつぎのf)・g)のように構成するのがよ
い。
【0018】f) 上記の伝熱チューブのうち内面に耐窒
化性材料を有する部分を、チューブ本体(短管部分を除
く伝熱チューブの大部分)とは別の短管である同種の低
合金鋼製のものとし、かつその耐窒化性材料を粉末焼結
クラッド加工によって形成する。
【0019】g) 当該短管とチューブ本体とは、双方と
同種の低合金鋼による溶接によって一体化する。
【0020】上記の熱交換器は、とくに請求項3のよう
に、 h) 上記の短管を、2.25%(重量%をいう。以下同
様)前後のクロムと1%前後のモリブデンとを含有する
低合金鋼製のものとし、 i) その内面の耐窒化性材料を、77%前後のニッケ
ル、15.5%前後のクロムおよび8%前後の鉄を含有
する合金(インコネル600に相当するもの)とする
−のが好ましい。
【0021】請求項1の熱交換器に関しては、以上のほ
か請求項4のように、 f') 上記の伝熱チューブのうち内面に耐窒化性材料を有
する部分を、チューブ本体とは別の短管である同種の低
合金鋼製とし、かつその耐窒化性材料を、当該短管の内
側に挿入して熱交換室側の端部を短管とシール溶接した
スリーブ状のライナとし、 g') 当該短管とチューブ本体とは、双方と同種の低合金
鋼による溶接によって一体化する−のもよい。
【0022】
【作用】本発明の請求項1の熱交換器はつぎのような作
用を有している。
【0023】まず上記a)のように、管板・伝熱チューブ
をクロム・モリブデン含有の低合金鋼によって構成して
いるため、それらの部分が、水や蒸気に接触するにもか
かわらず応力腐食割れを起こすことがない。かかる低合
金鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼とはちがって、
高温の水や蒸気を含む環境下で応力を生じても、まず応
力腐食割れを発生する恐れはないからである。
【0024】ただし、このように主要部材として使用し
たクロム・モリブデン含有の低合金鋼は、高温・高圧の
窒素成分に接触するときそのままでは窒化を起こす可能
性がある。そこで、この熱交換器では、上記b)〜e)の構
成に基づいて当該部材の窒化を防止している。
【0025】すなわち、高温・高圧のガス(窒素成分含
有のガス)が導入されるガス導入室については、上記b)
のようにその内面に相当する管板やケーシング等の一面
を耐窒化性材料によって被覆しているため、その部分に
窒化が発生しない。なお、伝熱チューブを通ったのちの
ガスは熱交換により十分低温になっているため、伝熱チ
ューブよりも下流側にガス室がある場合にも、そのガス
室の内面には耐窒化性材料を被覆する必要がない。
【0026】また、ガス導入室から伝熱チューブ内へ送
られたガスでも、水(または蒸気)との間でまだ十分な
熱交換がなされないうちは温度が高く窒化作用がある
が、伝熱チューブの上流端付近については上記のc)〜e)
によって窒化が防止される。つまり、伝熱チューブの一
端部付近について、上記d)のとおりその内面を耐窒化性
材料にて気密に覆い、そのような一端部をc)のように管
板内に挿入したうえ、e)のとおりその一端部と管板とを
溶接する。伝熱チューブのうち管板内に挿入される部分
は、ガス導入室から続く最上流部分であるうえ外面が水
とは接触しないためガス導入室と同程度の高温にさらさ
れるが、そのような部分であっても、d)のように内面を
耐窒化性材料にて覆うことにより窒化を防止できるので
ある。またc)のように伝熱チューブの一端を管板内に挿
入し、両者をe)のとおり耐窒化性材料にて溶接するた
め、伝熱チューブの上流側の端面においてその低合金鋼
がガスに接触し窒化することもない。
【0027】伝熱チューブのうち内面を耐窒化性材料で
覆った部分は、上記d)のように伝熱チューブの一部(す
なわち窒化を起こす程度に高温度の部分)であって全部
ではないため、構成上の無駄がなくコスト的に有利であ
る。しかも、異種材料の溶接によってこのような構成と
するものではないため、温度上昇時に伝熱チューブにお
いて局部的に高い熱応力が生じる恐れもない。上記b)〜
e)の構成のみによって完全な窒化防止をはかることが可
能なので、管板等が冷却されるように伝熱チューブの形
状や配置を定めねばならないという制約はなく、したが
って熱交換器はたとえば図2・図3のいずれの形式にも
構成することができる。
【0028】請求項2の熱交換器の場合、上記f)・g)に
示す伝熱チューブをつぎの〜の方法によって構成す
ることができる。すなわち、熱間押出成形法によっ
て、低合金鋼製の管の内側に耐窒化性材料を粉末焼結ク
ラッド加工した複合管を製造する、その複合管を適当
な長さに切断して短管とする、当該短管と、伝熱チュ
ーブのチューブ本体である低合金鋼の管とを、低合金鋼
で溶接することにより接続する。に示した複合管の形
成方法は一部産業界においてすでに確立された技術であ
り、適切な条件のもとで特別な困難をともなうことなく
安定した品質のものを得ることができる。かかる複合管
を、伝熱チューブの上流端における適当部分に短管とし
て使用すれば、高温度のガスに接触するその部分の窒化
を確実に防止でき、しかも当該部分が伝熱チューブの全
長に及ぶものではないため経済的にも有利である。ま
た、そうして形成した短管の主要部とチューブ本体(お
よび両者間の溶接材料)とは同種の低合金鋼であるた
め、両者の溶接部分に高い熱応力が生じる恐れもない。
【0029】請求項3の熱交換器では、伝熱チューブの
短管として、上記h)に示す材料の内面に上記i)の耐窒化
性材料を一体化したものを使用する。発明者らの試みに
よれば、低合金鋼に対して耐窒化性材料を粉末焼結クラ
ッド加工する場合には、i)・h)に示した材料の組合せは
他の材料の組合せよりも製造が容易で品質の優れたもの
を得ることができ、熱交換器を有利に構成することがで
きる。伝熱チューブのうち短管以外の部分であるチュー
ブ本体も上記低合金鋼と同種の材料からなるため、g)に
したがって溶接される部分にもやはり熱応力が集中する
ことはない。
【0030】請求項4の熱交換器については、f')・g')
の伝熱チューブのうち内面に耐窒化性材料を有する部分
を、請求項2・3のものとは異なる、やはり構成容易で
コスト上・品質上有利なつぎのような手段により構成す
ることができる。すなわち、伝熱チューブのうち高温
ガスに接する部分として、他のチューブ本体の部分と同
種の低合金鋼を短く切断した短管を用意する、その短
管の内側に耐窒化性材料からなるスリーブ状のライナを
挿入したうえ、その熱交換室側の端部と短管との間をシ
ール溶接する、そうして耐窒化性材料を一体化された
短管と伝熱チューブのチューブ本体である部分とを、同
種の低合金鋼によって溶接する。短管とライナとの長さ
をほぼ等しくして両者の端部を接近させておけば、の
シール溶接は、短管の端部開口から溶接棒を挿入して容
易に行うことができる。熱交換室側の端部をこうしてシ
ール溶接するとともに管板側の端部を前記e)のとおり溶
接するので、短管の低合金鋼部分とライナとの隙間にガ
スが侵入して短管の窒化が引き起こされることはない。
で溶接される短管とチューブ本体(および溶接材料)
とは同種の低合金鋼であるため、やはりその溶接部分に
高い熱応力が発生することはない。
【0031】
【実施例】図1ならびに図2・図3に本発明の実施例を
紹介する。図2および図3は熱交換器1・2の全体的な
断面図で、先に説明したとおり、それぞれ、伝熱チュー
ブ30がU字状である形式の熱交換器1、およびチュー
ブ30が直線状である1パス形式の熱交換器2を示す。
熱交換器1・2はともに、ケーシング10と管板20、
および多数の伝熱チューブ30を主要部材とし、伝熱チ
ューブ30の内側に高温のガスを通す一方、その外側を
水(および水蒸気)で満たし、前者を高温側(伝熱)流
体とし後者を低温側(被伝熱)流体として熱交換を行う
ものである。図2に示す熱交換器1の場合、管板20で
仕切られた図示右側に熱交換室4、すなわち伝熱チュー
ブ30を介してガス・水間で熱交換を行う空間があり、
管板20よりも図示左側にガス導入室3とガス排出室5
とがある。両室3・5は、ガス導入室3を内側にして仕
切り壁3aにより区分され、U字状のチューブ30は、
一端が導入室3内に開口し他方の端部がその外側にあた
る排出室5に向けて開口している。図3に示す熱交換器
2の場合は、管板20の図示左側にはガス導入室3’の
みがあり、熱交換室4’をはさんだ右側にガス排出室
5’が設けてある。いずれの場合も、ガスは導入口3b
(3b’)から導入室3(3’)内に入り、伝熱チュー
ブ30内を通りながら水(水蒸気)との間で熱交換を
し、排出室5(5’)へ達したうえその排出口5a(5
a’)から出ていく。一方の水は、通水口4a(4
a’)から熱交換室4(4’)へ入り、ガスとの間で熱
交換をしたうえ、取出し口4b(4b’)から出され
る。本発明は、このような熱交換器1・2において同様
に実施することができるが、以下では、図2の形式をと
る熱交換器1における実施例を中心に説明する。図3の
形式の熱交換器2について説明を省略した部分は、下記
の構成に準じるものとする。
【0032】熱交換器1は、アンモニア合成装置(図示
せず)のうちに組み込んで高温・高圧のアンモニア合成
ガスを伝熱流体とし、また水や水蒸気を被伝熱流体とす
ることから、各部材の窒化防止と応力腐食割れとを防止
するために以下のとおり構成している。
【0033】第一に、管板20と伝熱チューブ30、お
よびケーシング10のうちガスに接する部分(図2にお
いて管板20よりも左側の部分)を、クロム・モリブデ
ン含有の低合金鋼にて構成している。かかる低合金鋼
は、2.25%(重量%。以下同様)前後のクロムと1
%前後のモリブデンとを0.15%以下の炭素成分とと
もに含有するもので、管状のものはボイラ用鋼管として
市販されている鋼種である。この鋼種はボイラ等に用い
るのふさわしい強度や耐熱性を有するほか、オーステナ
イト系ステンレス鋼などとは異なり、高温の水や水蒸気
を含む環境下で応力を生じても応力腐食割れを起こす恐
れがない。また、ケーシング10のうち上記以外の部分
(熱交換室として水や蒸気に接する部分)は、応力腐食
割れの恐れがなく、かつコストメリットのある炭素鋼に
て形成している。以上により、ケーシング10や管板2
0・伝熱チューブ30のうち熱交換室4内で水に接する
部分においても、何らの被覆処理を施さなくとも応力腐
食割れが生じない。
【0034】第二に、アンモニア合成ガスの温度および
圧力が高いガス導入室3について、高温のガスと接する
面に耐窒化性材料の溶接オーバーレイ加工(いわゆる溶
接肉盛り)を施している。高温のガスと接する面とは、
ガス導入口3bの内面や仕切り壁3aの内面、および管
板20のうち仕切り壁3aで囲まれた図示左側の範囲内
(図1における積層部分21)をいう。耐窒化性材料と
しては、インコネル600と一般に称されるニッケル系
合金(すなわちニッケル77%前後、クロム15.5%
前後、鉄8%前後などを含有するもの)を使用してい
る。ガス導入室3には、約20%以上の窒素を含み約四
百数十℃で百数十キロの圧力をもつアンモニア合成ガス
が導入されるが、このようなオーバーレイ加工を施して
おくことにより当該導入室3における低合金鋼の窒化は
防止される。なお、図3に示した熱交換器2においては
仕切り壁3aがないため、それに代えて、ケーシング1
0のうちガス導入室3’を構成する部分の内面と管板2
0の一方の側の全面とに対して同様の溶接オーバーレイ
加工を施す。
【0035】第三に、伝熱チューブ30のうち管板20
内に差し込まれた最上流の部分についても、図1のよう
にその内面を上記と同様の耐窒化性材料にて覆ってい
る。チューブ30内を通るガスは熱交換によって温度降
下するため、チューブ30の下流側やガス排出室5にお
いては一般に耐窒化処理は不要であるが、チューブ30
の最上流の部分ではまだ熱交換が不十分なうえ管板20
によって水との間が隔てられていることから温度が高
く、窒化に対する処理が必要だからである。
【0036】本実施例では、この第三の点をつぎの方法
によって構成している。すなわち、まず、上述した低
合金鋼製の管の内側に耐窒化性材料である上述のインコ
ネル600の層を一体化した複合管を、熱間押出成形を
手法とする粉末焼結クラッド加工によって製造する。
その複合管を適当な長さ、すなわち、ガスの導入温度や
管板20の厚さ・チューブ30の径・水の温度などから
チューブ30の内面が380℃を超えると推定される部
分で、管板20の厚さをやや超える程度の長さだけ切断
し、短管32とする。その短管32のうち一方の端部
(熱交換室4の側の端部)において溶接のための事前処
理として上記耐窒化性材料の一部を切削除去したうえ、
その端部に、低合金鋼製のチューブ本体31を突合せ溶
接して伝熱チューブ30を製作する。こうして製作し
た伝熱チューブ30のうち短管32の部分を、熱交換室
4の側から管板20の穴に挿入して先端を積層部分21
にまで到達させたうえ、耐窒化性材料である前記のイン
コネル600を溶接材料とし低合金鋼が露出することの
ないよう図1のとおり溶接部22を形成して、管板20
・チューブ30間を接続する。上述のクラッド加工によ
り短管32の部分の上記低合金鋼はインコネル600に
て気密となるように強固に覆われ、また短管32の上流
端においても低合金鋼はインコネル600の溶接部22
で覆われるため、以上により伝熱チューブ30の高温部
分は完全に耐窒化処理を施されたことになる。一方、チ
ューブ30のうち下流側(低温側)の端部は、図2のよ
うに管板20の外方の穴に挿入したうえ、双方をそれら
と同様の低合金鋼によって溶接する。チューブ30のう
ち短管32よりも下流側においては、そのメタル温度が
十分に低いため窒化防止に配慮する必要はなく、応力腐
食割れを起こさない材料を用いれば足りるからである。
なお、図3に示す熱交換器2においては、伝熱チューブ
30のうち図示右端の部分の溶接をこれと同様に低合金
鋼にて行う。
【0037】以上に述べた第三の点によると、伝熱チュ
ーブ30のうち耐窒化処理を施す部分が短いために無駄
なコストがかからないうえ、短管32とチューブ本体3
1との間に異種材料の溶接部がないため熱応力が局部的
に集中することがなく強度上も有利である。
【0038】伝熱チューブ30の最上流部分の内面を耐
窒化性材料で覆う手段としては、上に述べた粉末焼結ク
ラッド加工以外にも種々のものがある。すなわち、爆着
や溶射など上記以外の方法によってクラッドさせ、ある
いはめっきすることも可能である。そのほか、図1に示
す短管32の内側に耐窒化性材料からなるスリーブ状の
ライナ(図示せず)を挿入するのもよい。ただしその場
合には、短管32の内面とライナとの隙間にガスが入ら
ぬよう、ガス導入室3側に溶接部22を形成するほか、
熱交換室4寄りのライナの端部と短管32との間をシー
ル溶接しておく必要がある。ライナによらずにチューブ
の内側に耐窒化性材料を着ける場合であっても、チュー
ブとその材料との密着が完全でないならば、同様にシー
ル溶接を施して両者間を気密に保つべきである。
【0039】耐窒化性材料は、上述したインコネル60
0に限るものではなく、それに代えて他のニッケル系合
金を使用することもできる。ガスの性状等によっては、
JISにいうSUS321のようなオーステナイト系ス
テンレス鋼でも十分な耐窒化性がもたらされる場合もあ
る。
【0040】
【発明の効果】本発明の熱交換器は、窒素成分含有のガ
スを高温側流体としながらも、適所を耐窒化性材料にて
被覆しているため構成部材の窒化が防止され、耐用性・
信頼性にすぐれているほか、つぎのような利点も有して
いる。
【0041】1) 伝熱チューブの一部内面を覆う耐窒化
性材料もしくはその被覆部分は一般に高コストを要する
が、そのような被覆部分は伝熱チューブの一部であって
全部ではないため、製造コストが抑制される。
【0042】2) 伝熱チューブのうちに異種材料間の突
合せ溶接部分がないため、温度変化を生じる際にも局部
的に高い熱応力が生じる恐れがなく、強度上このまし
い。
【0043】3) 管板等が冷却されるように伝熱チュー
ブの形状や配置を定めねばならないといった制約はない
ため、伝熱チューブがU字状・直線状のいずれの形式の
熱交換器においても実施できる。
【0044】4) 伝熱チューブを含む主要部分がクロム
・モリブデン含有の低合金鋼によって構成されているた
め、応力腐食割れが発生する恐れがなく、また製造コス
トの面でも有利である。
【0045】請求項2の熱交換器についてはさらに、 5) 一部内面が耐窒化性材料で覆われた必要な伝熱チュ
ーブが、特別な困難をともなうことなく安定的に製造さ
れるので、窒化防止性・経済性を含めて熱交換器の品質
が高い。
【0046】請求項3の熱交換器では、 6) 伝熱チューブについて、とくに製造が容易で品質的
にも好ましい。
【0047】一方、請求項4の熱交換器は、 7) 上記の1)〜4)に加え、やはり伝熱チューブが構成容
易でコスト上・品質上も有利であるが、請求項2・3の
ようなクラッド加工技術を有しない製造者においても困
難なく製造できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱交換器のうち一つの要部を示す断面
図で、図2および図3におけるX部詳細図である。
【図2】一般的な形式の熱交換器を示す全体的な断面図
である。
【図3】図2のものとは異なる他の一般的な形式の熱交
換器を示す全体的な断面図である。
【図4】図4(a)・(b)・(c)はそれぞれ、従来の熱交
換器における図1に対応する要部の断面図である。
【符号の説明】
1・2 熱交換器 3・3’ ガス導入室 4・4’ 熱交換室 5・5’ ガス排出室 10 ケーシング 20 管板 30 伝熱チューブ 31 チューブ本体 32 短管

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素成分含有の高温高圧ガスと水との間
    で熱交換をすべく、多数配置された伝熱チューブの外側
    に水を流す熱交換室、および熱交換室とは管板により仕
    切られていて伝熱チューブ内に通す上記のガスを導入す
    るガス導入室をそれぞれ有する熱交換器であって、 管板および伝熱チューブがクロム・モリブデン含有の低
    合金鋼によって形成され、 管板の一面を含むガス導入室の内面に耐窒化性材料が一
    体に積層されるとともに、 伝熱チューブのうちガス導入室側の一端が、管板におけ
    る上記の積層部分付近に達するまで管板内に挿入され、
    挿入された範囲を含む一部においてそのチューブの内面
    が耐窒化性材料にて気密に覆われ、かつ、管板の上記積
    層部分とチューブの一端とが、低合金鋼部分を覆って耐
    窒化性材料により溶接されていることを特徴とする熱交
    換器。
  2. 【請求項2】 上記の伝熱チューブのうち内面に耐窒化
    性材料を有する部分がチューブ本体とは別の短管である
    同種の低合金鋼製であり、かつその耐窒化性材料が粉末
    焼結クラッド加工によって形成されており、 当該短管とチューブ本体とは、双方と同種の低合金鋼に
    よる溶接にて一体化されていることを特徴とする請求項
    1に記載の熱交換器。
  3. 【請求項3】 上記の短管が、2.25%前後のクロム
    と1%前後のモリブデンとを含有する低合金鋼にて形成
    され、 その内面の耐窒化性材料が、77%前後のニッケル、1
    5.5%前後のクロムおよび8%前後の鉄を含有する合
    金であることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
  4. 【請求項4】 上記の伝熱チューブのうち内面に耐窒化
    性材料を有する部分がチューブ本体とは別の短管である
    同種の低合金鋼製であり、かつその耐窒化性材料が、当
    該短管の内側に挿入されて熱交換室側の端部が短管とシ
    ール溶接されたスリーブ状のライナであり、 当該短管とチューブ本体とは、双方と同種の低合金鋼に
    よる溶接にて一体化されていることを特徴とする請求項
    1に記載の熱交換器。
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