JP2006169642A - 紙類処理剤 - Google Patents

Abstract

【課題】グリセリン、脂肪酸エステル類、油脂類、パラフィン類等を用いて紙類の柔軟処理を行う方法は、処理剤を多量に使用しないと柔軟性を付与できなかったり、処理剤が油性成分で構成されるため吸水性を阻害する虞があった。また第４級アンモニウム塩やポリシロキサンを用いて柔軟処理する方法も知られているが、皮膚刺激性のある第４級アンモニウム塩で処理する方法は安全性の面で問題があり、ポリシロキサンで処理する方法では、柔軟性と吸水性を同時に付与することはできないとともに、柔軟性付与効果を高めようとすると紙類の白度を低下させるという問題があった。本発明は、紙類に優れた柔軟性、吸水性を効果的に付与できる紙類処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の紙類処理剤は、グリセリン類と、アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物とを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は紙類に柔軟性、吸水性、保湿性を付与することのできる紙類処理剤に関する。

紙や紙製品、特にトイレットペーパーやティッシュペーパー等の家庭用の紙類には適度な柔軟性、吸水性、保湿性が要求されている。このような要求に応えるため、処理剤によって紙類を処理することが行われており、一般的にグリセリン、脂肪酸エステル類、油脂類、パラフィン類、イミダゾリン環を有する四級塩等を用いて処理する方法が知られているが、グリセリンを用いて処理する方法では、紙類に十分な柔軟性を付与するために多量のグリセリンを使用する必要があり、処理コストが高くつくという問題があった。また脂肪酸エステル類、油脂類、パラフィン類を用いて処理する方法では、処理剤が油性成分で構成されるために紙類に要求される吸水性を阻害し、手にべたつき感が残り使用者に不快感を与え易いという問題があった。さらにイミダゾリン環を有する四級塩を用いて処理する方法では、２％以上添加した場合に発泡性が大きい為、操業に支障をきたすという問題があった。またこのような問題点を解決するものそして、第四級アンモニウム塩で処理する方法（特許文献１）、第四級アンモニウム塩とグリセリン、脂肪族アルコールを含む処理剤で処理する方法（特許文献２）、等が知られている。更に近年の花粉症の流行を背景に、家庭用の紙類の柔軟性向上の要望が高まっており、このような要望に応えるために、グリセリン、ソルビトール等の保湿成分に、柔軟剤成分その他を配合した処理剤を、従来よりも多量に用いて処理した保湿ティッシュペーパー（例えば特許文献３、特許文献４）が市販されている。

特開昭６３−１６５５９７号公報 特開平４−１００９９５号公報 特開平５−１５６５９６号公報 特開平１１−２３５２８８号公報

しかしながら、特許文献１、２に記載されている方法は発泡による操業上のトラブルは改善されるものの、皮膚刺激性のある第四級アンモニウム塩を用いるため安全性が十分とは言い難い上、さらに第四級アンモニウム塩は吸水性を損なうという問題があり、特許文献３、特許文献４に記載されている方法は高い安全性を有するものの、吸水性を付与するためには処理剤を多量に必要とし、多量に用いても十分な柔軟性を付与することができないという問題があった。本願発明はこのような課題を解決するために鋭意研究した結果、皮膚刺激等のない安全性に優れた原料を用い、少ない添加量で紙類に柔軟性と吸水性を同時に付与することができ、さらには保湿性も付与することのできる紙類処理剤を見出し本発明を完成するに至った。

即ち本発明は、
（１）グリセリン類と、アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物とを含有することを特徴とする紙類処理剤、
（２）アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物における脂肪酸が炭素数８〜２２の脂肪酸である上記（１）の紙類処理剤、
（３）グリセリン類が、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリンより選ばれた少なくとも１種である上記（１）又は（２）の紙類処理剤
を要旨とする。

本発明の紙類処理剤は、紙類に優れた柔軟性、吸水性、保湿性を付与できる。従来の処理剤のように柔軟性を付与しようとすると紙類の吸水性が低下するという問題がない。本発明の処理剤はグリセリン類とアスパラギン酸脂肪酸アミド化合物とを併用したことにより、本発明処理剤で処理した紙類はグリセリンで処理した場合よりも更に優れた保湿性が発揮され、優れた柔軟性、吸水性、保湿性を有する効果がある。

本発明の紙類処理剤に用いるグリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられるが、グリセリンが好ましい。グリセリン類は一種のみを用いる場合に限らず、二種以上の混合物として用いることもできる。

アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物としては、アスパラギン酸と脂肪酸とを反応させて得られる下記（１）式で示される化合物が用いられる。

上記（１）式で示される化合物を形成する脂肪酸としては、炭素数８〜２２のものが好ましく、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられるが、特にステアリン酸、ミリスチン酸が好ましい。（１）式で示されるアスパラギン酸脂肪酸アミド化合物は、アスパラギン酸由来のカルボキシル基がナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩となっていても良く（上記（１）式のＸがアルカリ金属の場合）、アスパラギン酸由来の２つのカルボキシル基の一方のみがアルカリ金属塩となっていても両方がアルカリ金属塩となっていても良い。

本発明の紙類処理剤は、グリセリン類１０〜９９．９９重量％、（１）式で示されるアスパラギン酸脂肪酸アミド化合物０．０１〜９０重量％含有することが好ましい。グリセリン類の割合が１０重量％未満の場合（アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物の割合が９０重量％を超える場合）、保湿性不足となる虞があり、グリセリン類の割合が９９．９９重量％を超える場合（アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物の割合が０．０１重量％未満の場合）柔軟性不足となる虞がある。本発明の紙類処理剤におけるグリセリン類とアスパラギン酸脂肪酸アミド化合物の割合は、グリセリン類５０〜９９．９重量％、アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物０．１〜５０重量％がより好ましく、特に保湿性を考慮した場合、グリセリン類７０〜９９．７重量％、アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物０．３〜３０重量％が好ましい。

本発明の処理剤は、更に必要に応じて他の成分、例えば鉱物油、脂肪酸エステル等の平滑剤、ポリ（オキシアルキレン）アルキルエーテル、ポリ（オキシアルキレン）脂肪酸エステル等の乳化剤等を配合して用いることができる。

本発明の紙類処理剤は、上記化合物を水に溶解または分散した水溶液或いは乳化液として使用する。本発明の紙類処理剤により紙類の処理を行う場合、通常、上記化合物を５０．０〜９９．０重量％程度含む水溶液、乳化液として使用する。この水溶液、乳化液中には保湿成分等の他の成分を更に配合することができる。本発明の紙類処理剤は、上記処理剤をそのまま、または更に水で希釈した水溶液として使用する。本発明の処理剤で紙類を処理するには、処理液を噴霧器により紙類にスプレーする方法、印刷機により処理液を紙類に転写する方法、含浸機により紙類を浸漬処理する方法等が挙げられる。

本発明処理剤が処理対象とする紙類とは、ペーパータオル、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ちり紙、ペーパーナプキン、京花紙、保湿ティッシュ等が挙げられる。

以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。実施例において使用したアスパラギン酸脂肪酸アミド化合物は、以下のものである。

アスパラギン酸アミドＡ：アスパラギン酸ラウリックアミド
アスパラギン酸アミドＢ：アスパラギン酸ステアリックアミド
アスパラギン酸アミドＣ：アスパラギン酸ミリスチックアミド

実施例１〜６、比較例１
グリセリン類とアスパラギン酸脂肪酸アミド化合物とを表１に示す割合で配合して調製した処理剤（比較例１はグリセリンのみ使用）の２５重量％水溶液を調製した。各処理剤の水溶液を柔軟処理を施していないティッシュペーパーにスプレー噴霧処理した後、２４時間風乾させ、その後、更に恒温恒湿室（温度２０℃、湿度６５％ＲＨ）内で１２時間以上放置し、含有水分率が平衡になった後、ティッシュペーパーの柔軟性、吸水性を評価した。また保湿性を評価した後、ティッシュペーパーへの処理剤付着量を測定した。結果を未処理のティッシュペーパーの場合とあわせて表１に示す。

※１：付着量は、ソックスレー抽出器により、ベンゼンとエタノール混合溶媒（容積比１：１）を、８０℃で４時間還流させて溶媒中に抽出された重量より求めた。

※２：柔軟性は、被試験紙を５枚片手で握り、柔軟性の官能性評価を行った。評価基準は以下の５段階とした。
５：非常に柔らかい
４：柔らかい
３：やや柔らかい
２：柔軟剤未使用と同等
１：柔らかくない

※３：吸水性は、処理後のティッシュペーパーにスポイトから水滴（イオン交換水）を滴下し、吸水状態を未処理のティッシュペーパーと比較して以下の基準で評価した。
○：未処理のものに比べて吸水性が同程度乃至は良好となる。
×：未処理のものより吸水性が悪くなり、紙本来の吸水性が阻害される。

※４：保湿性は、秤量瓶(６０×８０)に試料紙５枚を重ねて入れ、温度２５℃、湿度４０％Ｒ．Ｈ．の恒温恒湿室に放置し、２４時間後の重量を精秤する。その後１００℃の乾燥機にて絶乾状態にした後、重量を精秤し、下記の式から導いた。

（数１）
保湿量（重量％）＝[(保湿紙の重量)／(絶乾紙の重量)−１]×１００

比較例２〜６
表２に示す処理剤主成分の含有率が規定量となるように水に溶解又は分散させて処理液を調整した。

各処理液を、柔軟処理を施していないティッシュペーパーに噴霧処理した後、２４時間風乾させ、その後、更に恒温恒湿室（温度２０℃、湿度６５％ＲＨ）内で１２時間以上放置して、含有水分率が平衡になった後、ティッシュペーパーの柔軟性、吸水性を実施例と同様に評価した。これらの結果及び処理剤の付着量を測定した結果を表２に示す。

Claims (3)

1. グリセリン類と、アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物とを含有することを特徴とする紙類処理剤。
2. アスパラギン酸脂肪酸アミド化合物における脂肪酸が炭素数８〜２２の脂肪酸である請求項１記載の紙類処理剤。
3. グリセリン類がグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリンより選ばれた少なくとも１種である請求項１又は２記載の紙類処理剤。